月刊養豚情報 - 2015年9月号

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TRANSCRIPT

Page 1: 月刊養豚情報 - 2015年9月号
Page 5: 月刊養豚情報 - 2015年9月号

54 海外豚情報 ア・ラ・カルト ◎㈱エコアニマルヘルスジャパン・岡野圭介85 栄養と衛生のコラムPIG UP PICK UP ◎東京サラヤ㈱・村松寿代 田原美恵子86 井上太郎の五里霧中◎井上太郎

13 巻頭言76 ニュース&新製品88 豚の統計100 広告索引・編集後記

今月の表紙

日本の豚肉市場で勝機を得るには!

34 チリの豚肉生産の現状と、今後の増産・輸出拡大の可能性  ◎調査情報部 山﨑良人、米元健太

16 「TPPと海外から見た日本の豚肉市場の狙い目」テーマに  ――豚肉勉強会主催第4回勉強会、盛大に開催される 

特 集

4  徳島県発の最高級銘柄豚「阿波とん豚」  猪の肉質を継承した新銘柄豚を開発  ◎徳島県阿波とん豚ブランド確立対策協議会

連 載

etc.

No.488

猪の肉質を継承した徳島県の新銘柄豚「阿波とん豚」。一般の国産豚とくらべ、赤みの濃く、脂肪交雑が多くやわらかい肉質が人気を呼んでいる。

シリーズ・ブランドポークを追う[103]

2 0 1 59月号

65 豚の遺伝子型判定による育種と生産および流通管理  ◎愛媛大学農学部生物資源学科 阿部俊之助70 市販消毒薬の黄色ブドウ球菌に対する除菌効果の比較(1.常温下)  ◎食品・環境衛生研究所 主宰 横関正直

74 コンクリートに防水機能持たせ、カビ・細菌の繁殖を強力に抑制  ――「MCタイト」「MCファイン」で豚舎床面などを長く清潔に保つ  ◎㈲田中機販

トピックス48 ISERPD2015(第7回国際新興・再興豚病学会)参加報告3  ◎㈱エコアニマルヘルスジャパン 石垣克至

Page 6: 月刊養豚情報 - 2015年9月号

徳島県発の最高級銘柄豚「阿波とん豚」

    猪の肉質を継承した新銘柄豚を開発

   シリーズ・ブランドポークを追う[103]

月刊 養豚情報 2015.9₄

 徳島県では平成 25 年より、「徳島県が誇る最高級ブランド豚」として開発した銘柄豚「阿波とん豚」が生産・販売され、消費者の注目を集めている。生産農家戸数は平成 27 年7月現在で2戸と決して多くはないが、一般の国産豚と比べても赤みが濃く、また脂肪交雑が多く柔らかい肉質は牛肉を連想させるほど。6月に開催された国際養鶏養豚総合展 2015 のフードコーナーでもブースを展開し「阿波とん豚」を試食提供、人気を呼んだことも記憶に新しい。 「阿波とん豚」という名前は、平成 25年 10 月の初出荷に合わせて公募を行い、全国から約 2000 通の応募があった中、「とんとん拍子で発展するように」との願いを込めて決定された。また、ロゴマークについても約 300 通の公募から選ばれたものだ。ロゴマークは、PRポスターや精肉パックに貼られたシールなどで見ることができる。

DNAマーカーの利用で猪の肉質を取り入れた豚の開発に成功 「阿波とん豚」開発の経緯は、平成9年までさかのぼる。徳島県農林水産部畜産振興課振興担当主任の藤本武氏は「もともと徳島県の銘柄豚として生産されている「阿波ポーク」は、徳島県の系統造成豚「アワヨーク」を用いたWLDの3元交配豚ですが、「アワヨーク」の能力を含め、生産性を重視した銘柄でした。

県の系統豚を用いているというだけでは、数多く存在する銘柄豚の中で埋もれがち。そこで、肉質に力を入れた銘柄を作り、「阿波ポーク」とともに2本柱での展開を考えました」と開発のきっかけを説明する。 肉質に特長を持たせるに当たって注目されたのが、徳島県内に広く生息する猪(日本猪)だった。猪肉は色合いが良く保水性が高いほか、分厚い脂に特徴がある。また、徳島県では猪と豚を掛け合わせた猪豚の生産も多く、猪豚の肉質についても猪肉同様のおいしさを持つことが知られていた。このような背景のもと、猪肉の良さを豚肉に取り入れることが考えられた。 一方で、猪は豚に比べ、繁殖能力や発育スピード、産肉性が低く、また神経質で飼育が難しい。猪豚についても、猪の性質を色濃く残し、また猪を豚に交配させるにも大きな労力が必要であり、多頭数の飼育は困難だった。 これらを踏まえ計画されたのが、DNAの特定の配列を指標として種豚を選抜するDNAマーカー育種である。DNAマーカーとは、DNA配列の違いを、品種や個体を識別する際の目印として利用するもの。「阿波とん豚」の開発に当初から関わり、この銘柄豚の生みの親でもある徳島県立農林水産総合技術支援センター畜産研究課専門研究員・養豚担当の新居雅宏氏は、次のように説明する。

徳島県徳島県阿波とん豚ブラン

ド確立対策協議会

Page 7: 月刊養豚情報 - 2015年9月号

52015.9 月刊 養豚情報

 「日本猪の場合、染色体の数は 19 で、豚と同一であるため交配ができます。また遺伝子の配列もほとんど同じです。この中から、猪たる所以の、肉質を示す遺伝子領域をDNAマーカーとして探す必要がありました。そこで、まず猪と「アワヨーク」をかけ合わせ、F1の猪豚を作りました。F1の外見は、猪のそれとは違い、白い毛色のものとなりました。しかし F1同士を掛け合わせると、猪の特徴を持ったものがまばらに現れます。同様に、肉質も多様性に富んでおり、これらの特徴と併せて遺伝子解析を実施したところ、肉質、脂肪に関する遺伝子領域を見つけることができ、その中でも第6および第 15染色体に、猪の特徴である肉の赤さ、保水性に関わる遺伝子領域を特定しました」 ここまで実に5年の歳月が費やされたが、この研究結果を以って、猪の肉質の遺伝子を持つ豚の開発が始まった。方法としては、まず F1 の猪豚にデュロック種を交配する。その子豚は猪の遺伝子を持つものと持たないものが産まれてくるので、DNAマーカーを指標として、猪の遺伝子を持つものを選抜する。この作業を3世代繰り返すことで、

猪の形質が豚へと近づいていき、第6および第 15 染色体が猪型となった豚が誕生し、平成 22 年に、繁殖豚として選抜されるに至ったのである。

「阿波とん豚」のロゴマーク脂身のうまさ・甘さが特徴の「阿波とん豚」

「阿波とん豚」完成までの系譜。十字マークが第6染色体のマーカー、星型マークが第 15染色体のマーカーである。猪豚に戻し交配を続けることで「阿波とん豚」の親世代が誕生した