Í pù ï) År·¨Ê f Éû 8 2013 - canpan › data › organizations › 107 › 107826 › ...1 /...
TRANSCRIPT
自閉症スペクトラム支援のため
専門セミナー 2013
~実施状況報告書~
2013/07/27
発達障害児支援サークル「のびのび」
1
自閉症スペクトラム支援のための専門セミナー 2013
主催 発達障害児支援サークル「のびのび」
日時・講義
(1)島根県共同募金会助成金対象事業
7 月 27日(土)10時~16 時「見える会話ワークショップ」
講師 納富奈緒子先生・篠田朋子先生(another planet)
(2)社会福祉事業開発基金助成金対象事業
7 月 28日(日)10時~14 時「発達障害の本人告知と自己認知支援の方法」
講師 服巻智子先生
参加者
●過去3年間のセミナー参加者及び施設等に、ご案内通知を送付
●益田市・鹿足郡の全小中学校に、ご案内通知を送付
●過去、参加実績のある高等学校に、ご案内通知を送付
●島根県内全養護学校に、ご案内通知を送付
●過去のセミナーにネット申込された方に、メールでご案内
●市内障害者福祉施設に直接、チラシを持参
●発達障害児支援サークル「のびのび」メンバーがチラシを手配り
●ホームページに、セミナー開催に関する記事を掲載
①見える会話ワークショップ 参加者数 52人+スタッフ
②本人告知と自己認知支援 参加者数 56人+スタッフ
※2日めの「発達障害の本人告知と自己認知支援の方法」は、7月28日の山口県島根県
豪雨の日で、セミナー開始後に、益田市内も災害警戒状態となり、降り続く大雨のため、
JR山陰線・山口線が不通となり、市内にも一部、避難勧告が出されたこともあり、安全性
を考慮し、主催者判断で、16時の予定を14時で切り上げた。
2
1 見える会話ワークショップ
〔目的〕
発達障害児支援サークル「のびのび」主催による「見える会話」シリーズは、今回が3
回目となる。2011年に1回目を開催し、自閉症の特性から学び、なぜ、会話の見える化
が有効、かつ、重要なのか、根幹を理解したうえで、見える会話の代表として「コミック
会話」の手法を体験しながら学んだところである。昨年、2012年は、その復習として、
実際に活用している現場の実例も踏まえて、再確認を行った。今年度は、過去2回を学ん
だ人から、「もっと多くの人に習得してほしい」や「自分も学びたいという人が身近にいる」
というご意見が寄せられ、今回、新規受講の方を対象として再度、原点に戻る形での講義
をお願いした。
〔講義の内容〕
①自閉症の特性について
②コミュニケーションについて
言語によるコミュニケーションと非言語によるコミュニケーション
③コミュニケーションの見える化の効果
療育セッションの事例から検証(ビデオ)
④会話の見える化の例
⑤コミック会話
・概要
・基本ルール
・描き方のポイント
・模擬コミック会話の見学
・コミック会話の導入の仕方
・実習
二人一組で、コミック会話を使った会話の実習
3
〔受講者の感想(アンケートより)〕
1 内容について、ご満足いただけましたか
全員が、満足できる内容だったようで、「やや不満」「不満」と感じた人は、全くなく、
これは、過去2回に引き続いて同じ結果だった。
2 セミナーに参加して、どのような点が良かったですか
昨年のデータと比較してみると・・・
満足, 37
やや満足,
8
0 5 10 15 20 25 30 35 40
その他
役立つ情報が得られた
日頃の活動に役立った
スキルアップにつながった
他の参加者との交流・情報交換が図られた
抱えていた問題・不安の解消につながった 2013年
0 5 10 15 20 25 30
役に立つ情報が得られた
日頃の活動に役立った
スキルアップにつながった
他の参加者との交流・情報交換が図れた
抱えていた問題・不安の解消につながった
その他 2012年
4
参加人数に差があるため、単純に比較できない面はあるが、「日頃の活動に役立った」と
いう方が多かったように見受けられる。過去2回は、学校関係者が多かったが、今回は、
支援機関に所属される方が増えていたため、普段の活動への必要性を感じて参加された方
が多かったのかもしれない。ご意見ご感想の中にも、「明日のセッションから取り入れます」
という回答があった。
その他
・講師の人柄が良かった
・事例が多くてわかりやすかった
・具体的事例があり、とても分かりやすかったです。
・話を聞くだけでなく、その場で実際に演習に取り組めたことで、予想以上に難しいこ
とや、字際の現場でする前に自分の課題に気づけました(回数を重ねる必要がある)
・言葉で表現することが難しい子どもの気持ちに共感できるようになれるアイテムを教
えてもらえた
・今回、3回目の参加で、日々行っているコミック会話のふり返りができました。コミ
ック会話でコミュニケーションマインドを育てることを大切にしていくことの重要さ
を感じました。
・3回連続して受けさせてもらっているが、毎年毎年の変化(成長)過程を見せていた
だき、会話能力のアップにつながることを感じさせていただいています。
・訪問の時にコミック会話を使用しています。セミナーを受けることで、自身のやり方
について冷静にふり返ることができます。会話を何とか導き出そうとしている自分に
反省。話をしてくれた時に共感し、理解のある相談員を日々心がけたいです。
・早速、療育に取り入れたいと思います。話を聞くことから始めます。
・子どもから支援者へのアドバイスやセッションの様子(ビデオ)
・事例がたくさんあり、また、その方の成長もわかり、コミック会話だけでなく、正し
い障害特性の理解の大切さ、支援方法の引出しの多様性の必要がわかりました。
・何らの生きにくさを持っている方と接するとき、会話だけでは理解しにくいものが見
えやすくなると感じた。コミック会話(描いていく)は、まだうまくないので、やっ
ていくことが必要です。
普段の活動で製作した作品で会場を彩りました
5
3 今回で、「見える会話」は受講何回目ですか
今回は、今まで受講された方から口コミで広がりつつある「見える会話による支援」を
裏付けるかのように、初めての参加者が多かった。しかしながら、2回、3回と連続受講
の方も多く、それぞれスキルアップを目指している様子がうかがえる。さらに、4回目以
降の方もいらっしゃって、他の「見える会話ワークショップ」等を受講された方も何度も
何度も繰り返し受講されることで、自分のコミック会話など支援姿勢を振り返っているも
のと思われる。
3年連続で、講師をお願いした納富先生と篠田先生
(佐賀県武雄市 another planet所属)
1回
2回
3回
4回以上
6
4 「見える会話ワークショップ」へのご意見、ご感想
●コミック会話はじめにありき、ではなく、一人一人にあった伝え方の必要性を再確認で
きた。コミュニケーションマインドを育てる重要性が再確認できた。今、この部分が育っ
ていないのに、方法ありきになっている学校が多いので、コミュニケーションマインドを
育てる、人とかかわってうれしい、楽しいを感じられる教育をしていきたい。
●自分でやってみると、とても難しかったです。少しずつ、子どもと関わって、良い方向
へいけばと思っております。
●話の広い方、とても、難しいと思いました。
●お隣の方、実習のときは、名前も知らないのに、いろいろとありがとうございました。
●わかりやすく、丁寧なご指導、お話、ありがとうございました。小さな子ども達でも実
践できるということなので、できるときにたってみようと思います。
●コミック会話から指導へのつながりに対して、いいアドバイスをもらえました。
●実習はとても難しいと思いましたが、コミック会話をとり入れることで、生活が明確に
なるだろう人がいるので、挑戦してみたいと思います。
●アナザープラネットでの家族への寄り添い方がすばらしいと思い、マジックミラー等設
備面で難しいところはたくさんありますが、頑張ります。
●コミック会話について、初めて学ぶことができ、とても勉強になりました。
●島根まできた甲斐がありました。
●昨年、都合で受講できなかったので、今回参加できてよかった。
●まずは書いてみようと思いました。
●会話の見える化の例をいろいろと教えてきただき、参考になった。行動のパレットの感
情の色分けなどは、自分の心を自分で冷静に見るための良い方法だと感じた。
●見える会話のお話が聞けて良かったです。実践で、早速、使ってみたいと意気込んでい
ます。
●いろいろな方法があることが知れてとてもよかったです。
●実習してみて、どう話を掘り下げていくか、状況を聞き出していくかが、とても難しい
ように思った。5W1Hの聴き方について、日頃から気を使う必要があると思った。どの
ような聞き方がよいか、もう少し詳しく教えていただきかった。
●アットホームな雰囲気で、参加しやすかったです。
●実際に体験してみることで、自分のクセを発見することができました。
●今回、はじめて見える会話の研修に参加させていただきました。いろんなタイプを教え
てもらえ、全体像をつかめ、とても身になる研修でした。これだけの準備をされ、毎年、
大変だと思います。このような機会を作っていただき、本当にありがとうございます。
●とにかく書いてみる(描いてみる)を皆で共有する!
●前回に続けて参加させていただきました。新しい話題もあり、とても参考になりました。
●書いて話すことを日常的にしていきたいです。そして、子ども達と楽しくお話し、もっ
7
と伝えたい!話したいと思う気持ちを育てていこうと思いました。
●見よう見まねで、コミック会話的な事を担当している子ども達にしておりましたので、
「なぜ、有効なのか」子ども達と同じように共有し、共感することの大切さ、などなど勉
強することができました。子ども達とともに、支援者として私も成長していきたいなあと
感じました。描くのが遅いので、練習します。
●実際に研修(講義)を受けることで、本の内容の理解を深めることができた
●初めて受講しましたが、講義の内容がとても分かりやすく、コミック会話だけでなく、
他のツールの情報も得ることができ、有意義な時間になりました。
●子ども達からも、たくさん教えてもらえた気がしました。セッションの貴重な映像を見
せていただき、ありがとうございました。
●講師の先生のお話がとても分かりやすく、また、ビデオの実際映像も見ることができて、
自分で行う時の声かけの仕方などの参考になりました。今回、未来のコミック会話や CatKit、
ソーシャルストーリーズへの活用という部分をもう少し現場でも取り入れていこうと思い
ます。どのように活用していくのかという部分で具体的で分かりやすかったです。
●何となくわが子に始めた見える会話、初回から指導(と言っても、相手は、こう思って
いるかもよ)と書き込んだところ、「へえ」という反応しか返ってこなかったものですが)
的なものになってしまい、その後も描くときは、ついつい指導的な言葉を口にしてしまっ
ています。継続的に毎日、時間をとっているわけでなく、担任が書いてくれている毎日の
連絡ノートのトピックを見て、詳しい情報を知りたい時のみコミックにしている状態です
から、子どもにとっては、あまり楽しいものではなかったかもしれません。今回の実習で、
全く日常で行う会話と同じ展開で話を進めても良いのだということがわかり、今後、実践
してみようと思っています。
●毎日、練習の意味と日頃のふり返りの時間として、大変、役立ちます。事例紹介の子ど
も達の成長ぶりも感じられて嬉しいです。
●実際にセッションをしているビデオが沢山見れて、とても分かり易かったです。イメー
ジもしやすかった。これも見える化ですよね。日々の支援に活かしていきます。
今まで、マニュアル本などの情報で、自分なりに解釈して活用していたコミック会話に
ついて、実践されている方のお話やセッションの様子をビデオを見ることで、使い方や手
法など修正点をみつけることができたように感じる。ついつい、問題が起きたときに、そ
の事情聴取としてコミック会話を使いがちであるが、日常的な会話を見える化し、コミュ
ニケーションや人とのかかわりの楽しさを共有するためのツールであることを参加者で、
再確認できたセミナーだったといえるのではないだろうか。
事例として、映像で紹介された佐賀のお子さん、お母さん方のメッセージに感謝し、「明
日から実践する」という熱意に、この地域でも、子ども達が楽しくおしゃべりする姿を想
像することができた。
8
2 発達障害の本人告知と自己認知支援の方法
〔目的〕
障害の本人告知は、明らかに推進派と反対派とが存在する。しかし、発達障害児支援サ
ークル「のびのび」の活動を通して、本人告知を経て、自分自身の障害について理解して
いる子ども達は、コミック会話やソーシャルストーリーズ、物理的構造化など、その支援
を柔軟に取り入れ、生活力が向上しているように感じる。また、支援の現場では、支援マ
ニュアル先行で、本人にとって、「何が必要なのか」「なぜ、それが必要なのか」、個別の障
害特性の分析や本人の自己認知がないまま支援が実践され、結果的に十分な効果が得られ
ず、「この支援はこの子には合わない」と終了されてしまうことも見受けられる。
支援のマニュアルについて学ぶことも大切なことであるが、支援者自身が、障害の特性
を知り、本人と向き合うために、自分自身のことを正しく本人に伝え、知ってもらうこと
が重要ではないかと考えていた。これが、支援の原点であると感じており、この原点に返
るためのセミナーを企画し、本人告知等について国内でも先駆的な服巻智子先生に講義を
お願いした。
〔概要〕
セミナー当日、山口県島根県豪雨のため災害警戒態勢となり、セミナー参加者や講師の
安全確保等の対応に追われたため、記録者が不在となった。そのため、講義、概要は、参
加者より報告書の提供を受けた。
服巻智子先生の講義の様子
9
【受講者から提供された報告書 1】
○レジュメに入る前に
1、なぜ自己認知支援について知りたいのか
講義の最初に、服巻先生が問いかけた言葉が「なぜ自己認知支援について知りたいのか。」
でした。流行にのってなのか?なぜ?どうして?そう問いかけられた。何人かの受講生の
方がその質問に答えた。直面している支援の中で必要だと感じるというような内容が多か
ったと思う。私自身、その問いかけに答える中で、就労移行支援という立場もあり、どう
伝えることが本人にわかりやすく、伝わりやすいのかということを知りたくて、またヒン
トがほしくて受講をしたことを伝えた。
2、自己認知支援の前に
自己認知支援で問われることは、支援者自身の生き方であると話は続きます。CAT-k
itやコミック会話などは小手先のことでしかなく、大事なことは「みんな違って、みん
ないい」ということ。それを本当に実践していますか?と再度会場に問いかけられた。
ここで、5人のグループになり次のテーマについて話し合うグループワークが始まり、
テーマ① なぜ伝えることをためらうのか?
テーマ② 思春期に自分で嫌だと思ったことがあったか?
について、グループワークを行う。
このグループワークを通して、そこにある傲慢さであったり、差別であったりという自
己を見つめ直すことを考える力を耕すことを伝えられ、自分について知ることは権利であ
り、誰もが悩める若者であったことを忘れてはならないということ、「うまくいかないこと
を本人のせいにしてしまうような告知をしないでほしい。」とも話されました。
発達障害であることを、自閉症であること伝えることをなぜためらうのか、インシュリ
ンを打つ子もダウン症も筋ジストロフィーの子も自分がそうであることや支援の必要性に
ついて伝えられているのに、どうしてかとも言われ、そこに支援者の傲慢さがあると。頭
にも心にも響いた言葉であった。ということは、今までその傲慢さで考え、接してきてい
た自分にも気づき、恥ずかしさを覚えた一瞬でもあった。
3、自分らしくいる
講義のスライドに資料にはなかったが、「自分らしくいる!それは、美しく、素晴らしい
こと!!!と信じきる人が、自己認知支援ができる。」とあった。自分が、自分らしくそれ
でいいと思えないで、「みんな違って、みんないい」を実践することはできないという意味
のスライドだと思った。自分を振り返ると、正直なところ、現状ではできていないと思い、
人としても成長をしなければ、今後の支援者としてあり続けることはできないのではない
かとも感じたスライドだった。また、印象的だった言葉に「(本人の)まわりの人が、整理
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ができていないのに、告知や自己理解の支援はできない。」がある。まったくその通りだと
思った。
4、Put in their shoes!
「自閉脳を持つ、相手の立場に立つ」ことが必要で、定型発達の人と同じ励ましは、本
人を追い詰めることになる。一人でも理解できる人が共感できる人がいれば生きていける。
伝え方も、「どうしてわからないの?」「どうしてそんなことするの?」と問うのは、禁句
であり、支援者失格である。そこには理由がある、でも、やり方は変えないと、というと
ころで伝えていくことが大事。
○レジュメに沿って
5、本人への告知の意義
早い子で、幼稚園で告知をしている。思春期を迎えると、体の変化、恋愛、など多くの
変化がある。その前のまだシンプルな時に伝えることが良いとされている。告知を行う際
には、事前に親への勉強会を実施する。理由は、家でその話題が出た時に明るく話ができ
るようにとのこと。1回では終わらず、何度も勉強会を実施する。告知をする際には、親
が隠すようなことと思うと落ち込むので、こちらからはカラッと、さらっと深刻にせずに
伝える。そして、彼らの反応にビクビクしないこと。またおだてていう事ではない。
本人への告知の意義は、自分を好きになり、自分が主役の人生を生きる心構え、その人
の個性を固有のものにすることにある。
6、告知の方法
幼児期から小学校低学年(発達段階)
「ぼくの本」づくりが有効で、時間がかかるし、時間をかけるもの。効果は大きいとさ
れている。
小学校中学年以上
担任、両親にも同席してもらい、「自分の良いところ=得意なこと、長所」「自分の良く
ないところ=苦手なこと、欠点」を話し合い、そのどれもが自閉症によって形作られてい
ることを教える。決して、「良い点だけ」や「立派な人たちもみんな自閉症」だけを強調し
てはならない。良い所も特性によるもので、私たちが良い所を自閉症として見ているんだ
と伝える。
青年・成人の場合
長所と短所を限りなく正確に伝える。保護者や家族の同席もしてもらう。ずっと付き合
う姿勢が大切で、1度伝えたから終わりではなく、週1のペースで継続して話していく。
場合によっては、トラウマ治療が必要なケースもある。
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その他
中学以降は親以外が大事になってくる。いじめについては、話を聞いてみると、大人か
らのいじめである。いじめにあってたときの大人の対応に絶望する。しかもそれはすべて
学校の先生だった。
具体例
CAT-kitのツール(ホイールなど)を使いながら、話をまとめていくことで、話がそれた
時への対応や、話をそれにくくする効果がある。
IQが高い人にも書いて伝える。
7、自己認知支援とは
告知に始まり、成人まで継続していくもの。自分を学びながら、自分以外の違う人たち
について学んでもらう。自閉症と定型発達の違いを伝える。相談する習慣をつけることも
大事だが、本人のプライドもあって難しくなることも。
活用する技術には、コミック会話、ソーシャルストーリーズ、CAT-kit、ノンジャッジメ
ンタルな会話スキルなどが挙げられているが、とはいえ、技術ではなく、日々私たちが成
長を求められている。また、さまざまな多様さに耐えうるだけの自分を持つ。
○感想
発達障害の方に向き合う姿勢のみならず、自分の生き方そのものが問われるのが支援者
だと知ったつもりではいたがわかってはいなかったというのが率直な感想でした。ほんと
うの「みんな違って、みんないい」が理解できて実践できなければいけない。自己認知支
援というのは、それだけの人を求められ、ある意味では覚悟の必要なことなのだと感じま
した。また、話の中では、LGBTの方たちの話も出て、気づいてはいたが、目をつぶっ
ていた傲慢さを持っている自分にも気づかされました。あいにくの天候のため、短縮時間
での講演となりましたが、非常に有意義な時間となりました。ありがとうございました。
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【受講者から提供された報告書 2】
発達障害の本人告知と自己認知支援の方法として
まずは支援者自身が自分と向き合う習慣が必要であること。
『みんな違って みんないい』の意味を考える。「1人のために特別なことはできない」の
ではなく、「1人のために特別なことをするのが特別支援教育」ということ。多様性に耐え
られる支援者になることが重要である。
現在の本人告知が何のために為されているのか。それは、「本人の告知」=「(みんなが困
るのは)あなたのせい。」という意味になっている。安易に本人へ伝えることは絶対にして
はいけないこと、本人の特性や葛藤ととことん付き合う、向き合うことが必要である。
自己認知支援とは?
・まずは歴史と定義を知ることが必要。
ノーマライゼーション →1994年サモランカ宣言 多様なニーズに対応する必要性。
自分自身の良い価値を知る、そして弱点を知り伝える。 → 伝える際に支援者がビクビ
クしないことが大切。
本人への告知の意義
「事実が一番人を傷つけない」
自分を好きになり、自分が主役の人生を生きる心構え=生き方支援を行うことである。
告知に適切な年齢とは?
他のことの違いに気づき始める幼稚園~低学年に行う。女の子は時期として初潮前。
「自分の良さや苦手さ、特性について毎週話し合うことを、何年も続けていく」
告知に関して親は「感情」が入ることが多いため、支援者に委ねたほうが良い場合がある。
状況によっては医師から伝えてもらうが、定期的に話し合いは支援者が行う。
告知の方法について
まずは母親を対象とした勉強会を開催し、育児に悩む母親を楽にできる、明るくできるた
めの見通しや理解を深めていくことが大切。
告知は、保護者の方の教育があって初めて出きること。「隠さなきゃいけない」と思う気持
ちを抱える保護者の方に、本人へ「伝えるタイミングがあるよ」ということを話し合って
いく。
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ぼくの本づくり
・「ぼくの本」作りをしながら、告知をする方法(参照:「自分について」)
長い期間を掛けて作ることが重要で、少しずつ本人が自分のこと、家族のこと、同じとこ
ろ、違うところなど支援者と話し合いを重ねながら理解を深めていく。
小学校中学年以上の子と話し合う場合
自分の良くないところ=苦手なこと、欠点と捉え、本人にとってNGワードの可能性があ
る。事前に周囲から聞き取りながら準備を進めていくことが大切である。
親・担任の同席も行いながら、良い部分、苦手な部分も含めて特性であり、「自閉症のおか
げであなたがある」ことを伝えていく。
青年・成人の場合について
青年~成人期は本人にとって苦しみ・責任が大きい時期である。色々な誘惑が増える時期
でもある。(ドラッグ・お金・ギャンブルなど)
また、大きな要因として大人からのいじめがある。何か相談したとしても「あんたも悪い
でしょ」で片づけられ、その後相談することを止めてしまう。中には生きていけない程の
フラッシュバックを抱え、トラウマを治療することも必要なケースもある。
ポイントは「自分は愛されている」と思えること。自分がいいと思っている人が言ってく
れたことがすごく大切な経験となる。
具体例
・The CAT-Kitのツール
何をどう教えるか → 「ソーシャルストーリー」や「The CAT-Kit」研修
自己認知支援とは?
告知で終わりではなく、ずっと成人まで継続して支援を行っていくもの。
自分の得意不得意や自閉症の影響を知り、自分を確立して人生に向き合っていくこと。
その過程では他の自閉症の人との違いも学んでいくことが大切。
どれだけ能力の高い人でも言葉だけでは理解が難しい場合がある。そのため、難しい概
念は書いて伝える。きちんと意味を伝えることが重要。
支援者は自閉症の特性や伝え方を学ぶことは基本で、経験のある支援者の陪席研修など
行っていくことが必要。
14
自己認知支援において活用する技術
コミック会話、ソーシャルストーリーズ、The CAT-Kitなど支援する技術はた
くさんあるが、大切なのは技術ではないこと。私たち支援者が自分を磨く、自分を成長さ
せることが何より重要である。
本人との間に共感する理由を見つける。探していくこと。
複雑な状況においても、支援者が「状況が分からないけど、味方だからね」と本人へメッ
セージを伝えていく。
彼(彼女)達は相手の感情を見抜く天才であるため、こちらの抱いた感情がすぐに伝わっ
てしまう。がっかりした表情を絶対に出さないことも大切。
自閉症だけでなく、同性愛、異文化など、支援者が多様性に慣れることが必要である。
提供された報告書からも、支援の根幹に欠かせないものを感じるとることができた講義
だったことが感じられる。災害のため、時間短縮となったことに残念との声もあったが、
短くなった分、より講義に集中して、学び取るべきものをしっかり受け止めることができ
たとのご意見もあり、実り多い講義のひとつとなったようだった。
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〔受講者の感想(アンケートより)〕
(災害警戒のため早めのご帰宅を促したため、アンケート回収率は 70%と低かった。)
1 内容について、ご満足いただけましたか?
「やや不満」「不満」は、該当者なし。
2 どのような点が良かったですか
この項目は、毎回、設けているものだが、「抱えていた問題・不安の解消につながった」
というご感想が、今までの中で最も多い。今までのセミナーは、支援のためのツールを学
ぶ内容が多かったのだが、このことから、支援のツールについて学ぶことでは解消が困難
な問題の解消にも及び講義だったことが伺える。
その他の意見としては・・・
満足, 28
やや満足, 9
0 5 10 15 20 25 30
その他
役立つ情報が得られた
日頃の活動に役立った
スキルアップにつながった
他の参加者との交流・情報交換が図られた
抱えていた問題・不安の解消につながった
16
・心が温かくなりました。涙が止まりませんでした。
・わが子が小3の時に告知をしたが、受け止め方がとても淡々としていて、大きな反応
が見られません。たびたびに話をするということはできていませんが、継続的に何年
もかけて、大人になった時に自分のことを説明できる力をつけさせていく長きにわた
る支援だと分かりました。
・何を大切にして自己認知を行っていくのか、よく理解できました。
・自分を振り返ることの大切さを再確認できた。
・「考えを再度あらためよ!!」ということでしょうか?
・服巻先生のお話が聞けて、とても良かったです。心に深くしみるお話、初心に返れる
お話、あらためて大切なものが明確にできました。
・自分自身を振り返ることができ、とても、自分にとって、良い時間になった。自閉症
について、もっと学んでみよ知りたいと思うようになりました。
・告知・・・タイミングと思っていたが、自分の中でゆるがないものがあればと思った。
・いつも相手のちがいを肯定し、相手の立場に立つ自分でいるかどか、自問自答しなが
ら向き合いたいと思いました。
・支援者(人間)として大切なことは何か、再考させられた
・多忙な日々で忘れていたこと(自己認知)について、大切なことである!ということ
を思い出しました。
・全く無知の状態に近い感じ参加したので、全てが勉強でした。
「その他」に☑されていない方も、それぞれの思いをお寄せいただきました。
3 この講義へのご意見、ご感想
●支援をするうえで大切なことを学ぶことができました。いつも自分を見つめ直していき
たいです。
●直接、お話がうかがえて、満足しました。正直に相手に向き合うことの大切さ、改めて、
知らしめていただきました。
●実際の本人告知の様子を見たいです。
●今日、考えた内容を日々の支援に活かせていけるように努力していきたいと思いました。
●障害と向き合うは、支援者自身の心のありようや気持ちがとても必要になってくると分
かった。自分自身の中で、自分の心のあり方が不安定なことがあり、向き合うために自分
自身のことをしっかり見つめ直すことが必要だと思いました。
●私自身が、自分自身の欠点を認められていないので、自分が自己受容しないと、相手の
ちがいや欠点を受け入れられないことに悩みながら、支援者としての矛盾を抱えています。
今回、服巻先生が言われたように、特に、自分の中の壁を取り去って、日々で、「みんなち
がって、みんな良い」を実践することが、今からの私のテーマとなりました。
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●自分自身に向き合うことが必要なことは知ってはいたが、分かってはいなかったなと思
いました。これからも頑張っていきたいです。
●自分について、自己認知が試されていると感じました。その大切さも(人権意識を日々
高めることの必要性も)。私も成長したい。
●自分の人間性について、問われる研修でした。まず、自分のあり方、生き方について、
自分と向き合うことが大切。それがあって、初めて、自閉の方・・・だけでなく、他の方
に向かえると省み、すすむ方向性が見出せるかと思います。
●自分がどうあるか・・・。整理しておかないといけないことが、はっきりしたことが、
一番学習になりました。
●本人に正しく知らせ、一緒に考えること、付き合うこと、やっているつもりや、やりた
い気持ちがあっても、改めて振り返ることが大切と思いました。
●自己認知支援について、重いなあと感じました。
●天候のため残念でした。また、聞きたいです。
●告知についての心構え、考え方を改めて確認することができた。また、改めて難しさを
感じた。自己認知支援にも力を入れながら、理解者になれるよう頑張ってみようと思いま
した。
●服巻先生のぶっとい支柱というか、ブレない考えがすごいなと思いました。とことん、
つき合うって、すごく難しいけど、今日、先生が伝えられた支援者の姿勢は忘れずにもっ
ていきたいと思います。
●先生は、告知の講演は受けたくないと言われていたが、やはり多くの支援者や親が知る
べき内容だと思った。
●自分自身の差別感、自分を見つめて日頃からの支援にあたる、その通りと思いました。
●久しぶりに服巻先生のお話を聞くことができ、とても良かったです。「知識」よりも、支
援のマインドを学んだ気がしました。
●常、日頃から受けとめ、添えられる支援をしていこうと思いました。とても、よかった
です。
●なんで、告知をためらうの?という服巻先生に問いかけに、ドキっとしました。本気で
考えたことがある?とも言われ・・・。あー・・・。と考えさせられました。いいセラピ
ストになれるように、自分をみがいて(勉強して)いかなくては・・・、と思いました。
●「脳天をバッチーン!」と思いっきり、ひっぱ叩かれた感じで始まりました。一体、今
まで・・・、恥ずかしくて、顔をあげることができませんでした。ただ、その後のお話で、
徐々に、求められる支援者の姿を期待されている(希望している・こうなってほしい)と
いうことも実感できました。すばらしい研修でした。
●先生の生き様を感じられるようです。
●服巻先生のエピソードが全てを語ってくれた気がします。療育キャンプのお話など、と
っても感動しました。幼少時からの自己認知大切ですね。
18
●親として、どっしりと構えておく、受け止める覚悟をしておくということの大切さ、そ
して、とことん、つき合うことの根気強さが分かりました。
●自分自身と向き合うこと、支援者自身が人として成長すること、このことの大切さにつ
いて、とても考えさせられました。差別の多い社会の中で、いかに傷つくことを少なくし
てあげられるか、周囲の大人が交わっていかなくてはいけないと実感しました。それがで
きれば、自然と良い支援になるのだと思います。
●一人でも共感してくれる人がいれば生きる力になる。自分を振り返りながら、みんな違
って、みんな良いの。心で、自己認知支援をしていきたいと思います。
以上のご意見、ご感想のとおり、受講された多くの方が、「何のために」、「誰のための」、
『支援』なのか、見つめ直すきっかけと感じとってくださったようです。明日からの支援
に大いに期待が持てます。
発達障害児支援サークル「のびのび」では、毎回、このセミナーの場を活用して、普段
の活動の紹介もしています。今回は、プリザーブドフラワーの作品展と熱中症予防声かけ
プロジェクトの一環として、啓発グッズを配布しました。
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3 発達障害児支援サークル「のびのび」に対してのご意見
講義に対するアンケートに合わせて、来年10周年を迎える発達障害児支援サークル「の
びのび」にご意見を求めとところ、次のようなご意見をいただきました。
●毎年、とても参考になる講義を企画していただき、感謝しています。できれば多くの支
援者に関しまして、内容だと思うので、大きい会場である程度の動員をかけ、広く伝えて
もらえたらと思いました。
●毎年、とても貴重な勉強会を開いていただき、とても感謝しています。共に学んでいけ
るこの時間が嬉しいです。
●毎年、有意義な研修会の設定、大変、ありがたく思っています。なかなか、他県に交通
費をかけてでないといけない研修を、島根にいながらできるって、うれしい限りです。ま
た、研修会のスタイルもとてもユニークで、研修+楽しみ(おまけ)があり、より研修を
楽しむことができます。
●ご案内いただきありがとうございました。なかなか遠方(佐賀ですが)に行くのみ気が
ひけてしまうので、このようなセミナーを県内でしていただけて、大変、ありがたいこと
と思っております。今後とも、何卒、よろしくお願いいたします。
●期待しています。
●サークル活動、大変と思いますが、がんばってください。
●また、勉強会してください。
●よい研修をありがとうございました。また、参加させてください。
●昨年、参加させていただいたことをきっかけに、親子共にとても前進できるようになっ
たと思います。良い支援者に出会うことの大切さもですが、身近に支えて下さる方がいて
くださることも改めて前進する力になっています。また、来年の講演を楽しみにしていま
す。
●いつも素晴らしい講師をよばれ、すごく熱心に思います。また、楽しみにしています。
●来年もぜひ、服巻先生!
●また、質の高い研修会を企画してください。
●悪天候への対応で、交通手段など、いろいろ情報提供をありがとうございました。
●副読本「自分について」は、自己購入されている方もおられるのではと思いました。当
日購入か受付時に確認していただくと良いかもと思いました。
●ここ何年か参加させていただいています。毎回、なかなか研修できない先生方の講話が
聴けて、いつも、この研修のお知らせが来るのを楽しみにしています。今回は、1日のみ
の参加でしたが、また、来年、参加させてください。
●いつも良い研修をありがとうございます。服巻先生の話をもう一回、聴きたいです!
●10年に及ぶ活動を継続され「すごいな」の一言です。もし、機会があれば、湯汲先生
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の研修があればうれしいです。
●とてもよいお話が聞けました。ありがとうございました。
貴重なご意見をありがとうございました。
セミナーにおけるアンケートだったため、セミナーに関するご意見が多かったといえる。
発達障害児支援サークル「のびのび」は、発達障害のある子を持つ親の会で、元々は、孤
立して悩んでいた母親たちが、偶然、集まる機会を持ち、その中から、子ども達の仲間づ
くりをしたいという思いで発足した会である。素人集団で、支援のイロハも知らないため、
全国で開かれる講演会やセミナーに参加し、この先生のお話を地域の方にも聞いてもらっ
て、発達障害に関する正しい理解と支援につなげたいという思いで、毎年、セミナーを開
催している。だから、発達障害児支援サークル「のびのび」が講師としてお願いする先生
方は、「メンバーが聴いたことがある」「わが子の療育セッションとつながりがある」「個人
的に面識がある」など、つながりがある方である。毎回、アンケートで、数名の方が、「次
は、○○○○先生をお願いしたい」というご意見をいただくのだが、「どういう先生」で「ど
ういう視点でのお話」で、地域の実情に欠かせない情報なのか、その意図が伝わってこな
いことが多い。私たち「のびのび」は、広い人脈がわるわけではないので、お勧めの先生
がいらっしゃって、この地域に欠かせない情報発信であるのであれば、ぜひ、一緒に連携
して、推薦される先生方の講演会を実現させたいものである。
また、発達障害児支援サークル「のびのび」の主催者としての力量では、50人から 100
人規模での運営が限界である。このたびの災害というアクシデントにおいても、受講者の
皆さんのご理解とご協力があって乗り切れたということもあるが、実は、運営責任者が災
害対応での動員を余儀なくされたため、島根県西部発達障害者支援センター・ウィンドさ
んに全面的にご協力いただいて運営させていただいた。このように運営力が脆弱な中、動
員をかけ、人数をこなすセミナーは困難と考えており、今後も、私たちの目がいきわたる
規模で、参加者も聴講して終わりというのではなく、この場で、顔見知りの関係が築け、
支援のネットワークの基礎になるような場の提供にこだわりたいと考える。
10周年を前に、気持ちを新たにし、親の会として、私たち親が、「こうあってほしい」と
いう理想に近づくように、私たち自身も、
・子ども達にどう成長してほしいのか
・それは、本人もそう思っているのか
・私たち親が、本人の意志を無視して、勝手に良かれと思って行動していないか
など、原点にふり返って、地域の支援者の皆さんとともに、わが子を支えることのでき
る親でありたいと思う。
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発達障害児支援サークル「のびのび」セミナー 2013/7/27
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見える会話ワークショップ
~コミック会話のかき方~
心と発達の相談支援another planet
(アナザープラネット)
―佐賀県武雄市―
所長 納富奈緒子
臨床ディレクター 篠田 朋子
今日のテーマ
• 見える会話
代表的な方法としてのコミック会話
本日のタイムスケジュール
• 10:00~11:00 見える化/自閉症の特性
• 11:00~11:10 休憩
• 11:10~12:00 使い方と手順
• 12:00~13:00 昼食休憩
• 13:00~14:20 事例&実習
• 14:20~14:30 休憩
• 14:30~15:30 実習&まとめ
• 15:30~16:00 質疑応答
※タイムスケジュールは、変更になることもあります。
氷山モデル
コミュニケーションとは?
• 発信されるコミュニケーションは、『言葉』とは限らない
• 発信方法:体の向き、姿勢、表情、ジェスチャー、語調、うなずきなどの非言語コミュニケーションも
発信側
受取側 発信側
受取側
コミュニケーションスキルとは?
• 言語での伝達能力だけではない
• 意味を互いに理解し合う(理解の共有)
• 言語以外の発信(非言語コミュニケーション)に気を配り、相手の気持ちを推察する
• 社会性が大きく関わっている
発達障害児支援サークル「のびのび」セミナー 2013/7/27
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• 何回も同じことを言ってるのに、分かってくれない。
• 何で会話を始めると、いつも怒ってしまうんだろう。
• もっとおしゃべりしてほしい。
• 結局、何をいいたかったんだろう。
ASDの人の
コミュニケーションの障害特性
• 出来事のどこを切り取って話せばいいか分からない
• 伝えたいことの何から話せばいいか、分からない
• 会話を出来事の順序に筋道立てて話すことが難しい
• 話したかったことと、話がずれてきてしまうことがある。話がずれてきていることに気づかず、話を続けてしまう。 (自分の関心のある話題に変わっていったなど)
ASDの人の
コミュニケーションの障害特性
• 相手にとって、分かりやすい話し方ができていない場合がある
• 言葉の捉え方・使い方が、ASDではない人たちと違う場合がある
• 相手のコミュニケーションの言葉以外の意味合いを理解することが難しかったり、誤解してしまうことがある
比較しよう!
• Nくん
特別支援学校高等部 男子
参加予定の療育キャンプ前の顔合わせ会に参加したことの報告
• ビデオ
特性が及ぼすさらなる影響
• コミュニケーションがうまくとれない(よく理解できない・正しく伝わらない)
• コミュニケーションをとることを諦める(コミュニケーション意欲の低下)しゃべらない・人とあまり関わらないようにする・外にあまり出歩かないなど
• うまく伝わらないことでイライラする・かんしゃく・自傷・他害・暴言など
ASDの人の
学習様式
• 視覚的に学ぶのが得意
• 視覚的なものの記憶が得意
• 視覚的に記憶したものを呼び起こすことが得意
見える化
発達障害児支援サークル「のびのび」セミナー 2013/7/27
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会話の見える化とは?
• 見えないやりとり(会話)を目で見える形にすること
• =視覚化
• “見える化”する方法は、文字・絵・写真・図・表・グラフなどあらゆるもので可能
○△□ △
△△
• “見える化”することで、会話をしている双方が、会話の内容を共有する(同じように理解する)ことができるというメリット
見える化をすると・・
• 得意な学習様式を使うことで、 うまく伝わる、正しく理解してくれる
• “分かった”、“伝わった”というコミュニケーションの達成感・満足感
• コミュニケーションをしたいという気持ちを育てることができる
何を見える化するか?
• 言った言葉
• そのときの 行動
• そのときの 表情
時系列に並べる
非言語コミュニケーション
相手の想い
私たちも使っている、
会話の見える化
• メモ
• 記録
• アンケート など
会話の見える化の例
• コミック会話
• 会話を文字におこす
• パソコンに入力
• The CAT-Kitを使う
• “コミック会話”は、会話の見える化の一つの方法
発達障害児支援サークル「のびのび」セミナー 2013/7/27
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会話の見える化の例
コミック会話
会話の見える化の例
会話を文字におこす・パソコンに入力
会話の見える化の例
チェックイン
会話の見える化の例
ブランクシート
会話の見える化の例
The CAT-kitの利用
会話の見える化の例
その他
発達障害児支援サークル「のびのび」セミナー 2013/7/27
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コミック会話とは?
• Comic Strip Conversation
• 会話に線画を組み込んだもの
• 絵によって補足的な支援を提供 今おこなわれているコミュニケーションを分かりやすくする
コミック会話を使用する目的
• 過去のことを報告
• 現在のことを説明
• 将来のことを計画
コミック会話の特長
• 人の言動を系統立てて明確にする
• 人はどう思っているのかに注目する
• 問題状況を視覚的に考えることができる
どんな人とコミック会話で
会話をするか?
コミック会話 基本ルール
・線画でかく
人 実際に話した言葉 心の中で思ったこと
コミック会話 基本ルール
・筆記用具を用意する
・鉛筆と紙
・色鉛筆、マーカー
※ホワイトボードや黒板でもOK
・色を使う
発達障害児支援サークル「のびのび」セミナー 2013/7/27
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コミック会話 基本ルール
• 会話をする相手の隣に座る
(ジミニ―・クリケット・ポジション)
コミック会話 描き方のポイント
・時間帯と場所を特定してから会話を始めるようにする
⇒左か右上にシンボルとなる絵や文字
を描いておく
・その後、5W1Hの情報を聞いていく
「誰が」「だれに」「どうした(どう言った)」「その時、どう思った」など
ASDの人たちにとって
コミック会話でやりとりをすること
• コミック会話を描いて視覚的に示すことで記憶を呼び覚ますことが容易になる
⇒出来事について話しやすくなる
・自分でコミック会話を描くようになる人も多い
・描いたことを記憶しやすい
⇒コミック会話によって、問題状況についての
解決策を決めた場合、同じようなシチュエー
ションの際の適切な行動・言動を思い出すこ
とができる
ASDの人たちにとって
コミック会話でやりとりをすること
• コミック会話がなくても、順序立てて話すことがうまくなる
⇒相手に伝えるべき必要な情報をもらすことなく
伝えることができるようになる
・他者にも思いや考えがあることに気付くことができる
・出来事の因果関係に気付くことができる
⇒物事のとらえ方のカンチガイを避けることができる
模擬コミック会話
• 実際やってみます!
• 設定
納富は、担当者からこの週末のことを聞かれる
• 見るポイント
支援者の話し方(話の引き出し方、質問の仕方)
会話のどの部分を描いているか
コミック会話
• 会話の『内容』を見える形にする
• 出来事の状況を明らかにするために、支援者が質問をして、得られた情報を整理し、見える形にする
• コミック会話での会話
≠ 支援者の質問と
その回答をそのまま描く
発達障害児支援サークル「のびのび」セミナー 2013/7/27
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コミック会話 導入の仕方
• さりげなく
• 初めて取り組むときは、なんでもない会話から
コミック会話 導入の仕方
• 子どもであれば、楽しかった出来事などポジティブな出来事を話すことからはじめる
⇒トラブルが起きたときなどネガティブな
出来事を話すことからはじめると、その後、
コミック会話を使って会話をすることにネガ
ティブな印象を持ちやすい
• 中高生や成人であれば、本人が話しはじめたこと(他愛もない話や報告、相談など)を、支援者が聞きながら書いていくことからはじめてもよい。
コミック会話 会話の進め方
• 本人から話したい内容や情報を聞き出していく
• 出来事ややりとりの順番を整理していく
・場面ごとに絵を描き、1つの場面ごとに時系列で
番号をつける
(1枚の紙にいくつかの場面を描く or
1場面1枚ずつ紙を使って描く)
・1つの場面でいくつかのやりとりや動きがあると
きは、やりとりの順番で番号をつける
など
コミック会話 会話の進め方
• 会話の途中で誘導尋問や指導をしない
• 出来事と関連のない話は、うまく流す(『今はそれは関係ないでしょ』などと否定はしない)
コミック会話 会話の進め方
• たんたんと話をする
• ソーシャルストーリーのような話し方
ソーシャルストーリーのセミナー
http://www.from-a-village.com/index.html
実際にやってみよう(実習)
発達障害児支援サークル「のびのび」セミナー 2013/7/27
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事例
まとめ
another planet
○another planetに関する詳しい情報は、以下のブログをご覧ください。
http://anotherplanet.sagafan.jp/
7/11/2013
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Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
発達障害の本人告知と
自己認知支援の方法
服巻智子
島根:のびのび
平成25年7月25日(日)
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
自己認知支援とは?
• 歴史 と 定義
• 「自己認知支援」は、自分の障害を知って以
降の自分の価値を正しく知っていく過程を支援すること。
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Haramaki 服巻智子
本人への告知の意義
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
告知に適切な年齢とは?
• 思春期を迎える前までに済ませておくことが適切
【注意!】
診断名を知ったからと言って、何もかもわかるわけではない。
自分で調べさせると、とんでもないカンチガイを起こす可能性がある。
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
告知の方法(発達段階別)
• 幼児期から小学校低学年(発達段階)
「ぼくの本」
• それ以降の場合
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
ぼくの本づくり
• 「ぼくの本」作りをしながら、告知をする方法
• 数ヶ月かかる→かけた方が良い
• 具体例→「自分について」(ヴィレッジ出版)を
見ながら説明します。
7/11/2013
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Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
小学校中学年以上
• 自分の良いところ=得意なこと、長所
• 自分の良くないところ=苦手なこと、欠点
• 本人を含めた数人で話し合って洗い出す。
• そのどれもが、自閉症によって形作られていることを教える
• 決して、「良い点だけ」や「立派な人たちも皆自閉症」だけを強調してはならない
青年・成人の場合
• 長所 と 短所 を限りなく正確に。
• 事前の情報収集。
• 保護者や家族の同席!
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
具体例
• The CAT-Kitのツールを用いるのも例。
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
自己認知支援とは?
• 告知に始まり、成人まで継続していくもの
• 自分の得意不得意と自閉症の影響 を知りつつ、自分を確立していく支援
• 自分と他者と違いを認識していく
• 他者とのかかわり、振舞い方を自己モニターしていくスキルを高める
• 相談する習慣
• 自分に自信を持ち、自分を好きになる
• 自分のことを人に説明するスキル=自己権利擁護スキルを高める
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
活用する技術
• コミック会話
• ソーシャルストーリーズ™
• The CAT-Kit
• ノンジャッジメンタルな会話スキル
• 常に、サポーティブであること
• 共感的であること
• 視覚支援=約束も
• その他、その特定個人が持つ特定の要因のために考えうる特定の方法
Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
演習
• 幼児向け~「ぼくの本」
• 小学校高学年以降成人の事例
• The CAT-Kitのホイール
• 長所・短所のミーティング
7/11/2013
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Copyright2010~2013(©)Tomoko
Haramaki 服巻智子
自己認知支援カリキュラム
• 自分の特性
• 自閉症の勉強
• 自分の自閉症
• 身近な人の自閉症との違い
• 自分と家族、家族の中の役割
• 自分の振る舞いが他者に与える影響
• 人との関係で、言ってよいこといけないこと、やってよいこといけないこと
• 人権と自己権利擁護
• 自分の弱点。
• 性教育
• 自分のセイフティネット
本日は、「のびのび」主催セミナー「自閉症スペクトラム支援のための専門セミナー」にご参加いただ
き、誠にありがとうございました。
当アンケートは、今後、「のびのび」が事業を行う際の参考とさせていただくとともに、事業実績報告
を目的に行うものです。
ご参加いただいた皆様からの忌憚のないご意見をいただきますよう、ご協力をお願いいたします。
発達障害児支援サークル「のびのび」
≪以下の設問で該当する欄に☑を入れてください≫
1「見える会話ワークショップ」に参加された方にお聞きします。
(1)本日のセミナーの内容全般について、ご満足いただけましたか。
□ 満足 □ やや満足 □ やや不満足 □ 不満足
(2)セミナーに参加して、どのような点が良かったですか。(複数回答可)
□ 役立つ情報が得られた □ 日頃の活動に役立った □ スキルアップにつながった
□ 他の参加者との交流・情報交換が図られた □ 抱えていた問題・不安の解消につながった
□ その他 -良かった点を具体的に教えてください-
(3)同様の見える会話等のセミナーを受講されたことがありますか。
□ある(今回で、□2回目 □3回目 □4回以上 受講した)
□今回が、はじめて
(4)「見える会話ワークショップ」について、ご意見ご感想がございましたら、ご
記入ください。
セミナーに関するアンケート
2「発達障害の本人告知と自己認知支援の方法」に参加された方にお聞きします。
(1)本日のセミナーの内容全般について、ご満足いただけましたか。
□ 満足 □ やや満足 □ やや不満足 □ 不満足
(2)セミナーに参加して、どのような点が良かったですか。(複数回答可)
□ 役立つ情報が得られた □ 日頃の活動に役立った □ スキルアップにつながった
□ 他の参加者との交流・情報交換が図られた □ 抱えていた問題・不安の解消につながった
□ その他 -良かった点を具体的に教えてください-
(3)「発達障害の本人告知と自己認知支援の方法」について、ご意見ご感想がございまし
たら、ご記入ください。
3.来年度、発達障害児支援サークル「のびのび」は、10周年を迎えます。活動に関して、
ご意見やアドバイス、また、10周年事業としてご参考意見などお寄せください。
協力ありがとうございました。