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2009 Summer Vol.6 No.3

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2009 Summer Vol.6 No.3

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寄稿 医療にとって栄養は本質である(2)武庫川女子大学食物栄養学科 教授 雨海 照祥 3

カリフォルニア大学デービス校 小砂教育研究基金特別講義講師 Michael Dubick (US Army, Institute of Surgical Research) 6

最近の論文・学会発表から 6

展示会参加報告 7■ 知的クラスター・産業クラスター合同成果発表会 北海道バイオイノベーションフォーラム2009

■ ifia/HFE JAPAN2009

AHCC研究会第17回国際研究報告会開催のお知らせ 8

幹事会開催報告 8

■ 編集後記 8

目 次

表紙の写真解説

『AHCC(担子菌培養 抽出物 ) の 

 基礎と臨床』■監修:細川眞澄男

北海道大学名誉教授 北海道医療大学教授

■編集:山﨑 正利 帝京大学薬学部教授 上山 泰男 関西医科大学外科教授

発行元 株式会社ライフ・サイエンス(医学専門出版社) 〒150‒0001 東京都渋谷区神宮前5‒53‒67 コスモス青山 TEL 03(3407)8963(代) FAX 03(3407)8938

B5版 本文271頁 上製本定価:3,990円(税込)

AHCCに関する初の医学書

第1回AHCC研究会研究報告会(95年6月)

※ご所属・お役職は初版発行時のものです。

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2009 SummerVol.6 No.3

命題「医療にとって栄養にお金をかけないものである」

前回同様で恐縮、またしても冒頭からいきなりの命題提出で始めさせていただく。具体的な命題を提示して、その問いに対していかようかのアプローチで自分の立場からの解答を考えることは、医学に限らず経済学や経営学、政治学、あるいは法律などにおいても、ケース・スタディーなどの形式には若干の違いがあるものの、問題を具体化して提示する手法は、問題を身近なものとしてとらえる絶好のスタイルであることが知られている。

 さて、ではこの命題を前回同様、キーワードの組合せとして考えて分解してみる。一つは「医療」、それから「栄養」、「お金」となるか。

日本初?「栄養外来」の設立 ここで最初の「医療」は、前稿で考えた。

福島労災病院(私が月に1回ないし今後は瞬間風速的かもしれないが、月2回になるかもしれない。そのウラには“アミノアップ化学”の参加があると聞く)で名づけられた「栄養外来」とは、日本ではきわめてめずらしい(詳しく調べていないが、おそらく対象を栄養障害の患者さんのみに特化した外来は、もしかすると本邦初かもしれない)。

「栄養外来」の内容 まず、「栄養外来」で一体何をやっているか。その具体的な内容を項目ごとに分けて示す(表1、2、図1)。

「栄養外来」を受診する患者さん自身の栄養の意識の高さ まず最初に特記すべきは、「栄養外来」に来られる患者さんは、あらかじめ選択がかかっている、ということである。

寄稿 医療にとって栄養は本質である(2)

雨海 照祥武庫川女子大学食物栄養学科 教授

■雨海照祥(あまがい・てるよし):武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科教授。1982年筑波大学医学専門学群卒業。1982年順天堂大学附属病院外科見学生、外科研修医。1984年順天堂大学附属病院小児外科。1987年静岡県立こども病院外科。1989年山梨県立中央病院小児外科。1989年筑波大学附属病院小児外科チーフレジデント。1990年茨城県立こども病院小児外科。1992年筑波大学臨床医学系小児外科講師。1993年~1994年英国バーミンガム小児病院 外科医員(英国医師免許取得)。2004年茨城県立こども病院小児外科部長。2007年より現職。

表1 栄養外来の診療内容の実際

項目Ⅰ 具体的な内容 実施するスタッフ 実施する場所 保険償還

(できるものに*)

1 身体計測(1) 身長、体重、上腕周囲長、皮下脂肪厚 看護師 外来

2 身体計測(2)

InBodyによる身体組成測定;水分(細胞内、細胞外)、タンパク量、ミネラル、体脂肪量など(図1)

理学療法士 理学療法室

3 採血 血算、血液生化学 *

4 肺活量 スパイロメトリー検査 臨床検査技師 検査室 *

5 外来診療 (表2) 医師 外来室 (消化器内科) *

6 栄養指導 栄養指導 管理栄養士 〃 (*1)

(*1):対象疾患が保険で指定(限定)されている

表2 外来診療の実際

項目Ⅱ 具体的な内容 実施するスタッフ

保険償還 (できるものに*)

0 診療前にデスクの上にある情報

身体計測値(1)、(2)、検査成績(主に血液)

看護師・理学療法士

1 一般診察 問診、視診(必要に応じて聴診、打診) 医師 *

2 検査成績の説明

経時的な変化を提示、データを手渡す 医師

3 超音波検査胆石、尿路結石、脂肪肝、腹水、胸水、腹部の皮下脂肪厚

医師 (*2)

4 内服薬のチェック

栄養、特に食欲や下痢に影響する薬剤 薬剤師

(*2):対象疾患が保険で指定(限定)されている

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医療にとって栄養は本質である(2)

このことは実際に詳しく調べたことはないが、一度は調べておく必要があると思う。しかしこれは、四半世紀以上にわたって“生

なまみ

身のひと”相手の生

なりわい

業に従事してきた私の直感である。 通常の外来以上に、ご自分の“栄養”の悪い状態を切実に感じ、切実にその問題を治したい。その結果として、患者さん方に曖昧ではあるが、なんとなく共通する性質があるような気がしている*¹

*1:この“なんとなく”感じることが、実は後でとても大切な大問題を発見するしっぽを見つけるヒントとなり、これが臨床には時にあり、お金がかからないからタダで、それだけにバカにできない。それがこの臨床における“直感”なのである。

その共通点とは何か(1) こちら(医師、管理栄養士、看護師、ときに薬剤師)の話を、一生懸命に聞く。(2) 栄養の情報を自分なりに、よく調べている。

これらは、一般外来よりも、より結果を出しやすい。言い換えれば、良くなる割合が高い、と言える。この「栄養外来」の客観的な結果(成果:

臨床結果、経済効果など)は、別の機会に報告したい。

「栄養外来」は総力戦 「栄養外来」の実際の内容を具体的にまとめてみる(表1、2)。特に関与する医療スタッフの職種の幅の広さに気づく。いわゆる“チーム医療”の総力戦である*²ことがわかる。

*2:この“チーム医療”という言葉は、要するに今まで同じ病院にいながらお互いの職種の仕事の内容を知らなかった、知らずに過ごせた、ということでもある。それゆえに、もしかすると同じある疾患に対してもお互いに認識を共有していなかった、共通の言語を用いてなかったのかもしれない。私自身はまったく好きな言葉ではないものの、この“チーム医療”という言葉は、現代日本の医療に潜む解決すべき課題を見事にあぶり出したのかもしれない。こうした医療スタッフの総力戦は、おそらく21世紀最初の10年は、その意味で“医療総力戦元年”なのかもしれない。

「栄養外来」から見えてきた日本の医療の今後の課題 「栄養外来」の実施内容の表1、2の 最 後 の 項 目 で“ 保 険 償 還(reimbursement)”という言葉を出した。これは実際の医療行為に対し、保険団体が病院に支払う行為のことであり、その内訳を見ると、「栄養外来」に限らず、日本の医療全体で

は検査や薬など、実際のモノに対する支払いが主役である。これでは薬漬け、検査漬けになるのは当たり前。その是正策は、我田引水になってしまい恐縮だが、この「栄養外来」でも見られるように、医療スタッフ(「栄養外来」ならば管理栄養士や栄養専門の看護師、医師など)の専門知識、それに基づいた医療行為(外来での相談や指示など)に対し、正当な保険償還が認定されるべきであろう。それは最終的に日本の医療のレベルを上げ、患者さんの生活、人生を豊かにし、幸せにする。

 今後“丸め”、(DPC:診断群分類包括評価)によって、薬漬け、検査漬けは是正の方向に進むと期待する*³。

*3:特に薬剤は、ジェネリックが日本にも登場し、その価格抑制効果が少しは出てきたが、この薬務行政の問題点を挙げればきりがない。このことは本稿の趣旨から外れるので触れないでおく。

「栄養外来」の意義―医療、社会、経済および全人的側面からの分析 「栄養外来」が、はたして現代の医療の進歩にわずかながらにでも貢献することができるか、できないかを認識するか、しないか、それ自体こそも、この「栄養外来」の将来の伸び幅を大きくすると信じ、ここで考えておく。

さて、「栄養外来」の意義を医学的にだけに限定せず、大きく俯瞰してまとめてみる。

(1) 医療への影響:栄養障害にハイライトを当てることで、この問題が患者さんの予後に影響することが次々に証明される今、その情報を患者さんと共有することは、さらなる医療のレベルアップと成績アップに直結する。(2) 社会への影響:小さすぎて図ることができないものの、福島労災

図1 InBody による身体組成データ

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医療にとって栄養は本質である(2)

病院の中で働かれる医療スタッフ、特に消化器内科、消化器外科のスタッフの方々の栄養障害に対する意識は高く、その影響は院内を越え、研究会や学会などを通じ、社会に影響すると期待する。(3) 経済的な影響:栄養外来の“売り上げ”については、今後の報告の機会にはしっかりと算出したいものの、現在までの印象では患者さん一人あたり10,000(±3,000)円/日。これについては、毎回の病院の報告からの主観的な数字である。 この金額は、「栄養外来」に特化して特に高いとも低いともいえない。しかし現在、1日の受診者数が、午前11時から午後5時まで(実働5時間)に、1時間あたり2~3人というのは、悪い数字ではない。つまり、「栄養外来」でカスカスペイするかしないかの現状と踏んでいる。これ自体、今後、日本で「栄養外来」が生き残れるかどうかのリトマス試験紙になる覚悟で始めたのも動機である。したがって今後さらなる努力によって、この数字がどう変化するか、慎重に判断するために重要な判断材料の一つになる経済指標ではある。(4) 全人的な影響:受診された患者さんの一人が、先日、がんの再発で入院となり、入院後1回、病棟回診でお会いしただけで、その後は栄養サポートセンター(栄養外来を支えてくれている管理栄養士さん達:現在、瞬間風速的になんと3人)が日々往診し、その都度連絡をくれていた。しかしすべてのスタッフの努力もむなしく、先日息を引き取った。「栄養外来」での死亡第1例となった。 栄養状態が改善し卒業していかれる患者さんも少なくない中で、死亡はご家族同様こちらにも大きなショックであった。しかしこの患者さんが「栄養外来」を受診され、その後の受診のたびに示してくれた“栄養”への期待。これこそが「栄養外来」

の全人的な影響である気がする。 患者さんが全人的に「栄養外来」と向き合う意味だけでなく、こちら側からも全人的に、常に携帯電話をONにしておく気構え、覚悟において、こちら側も全人的なおつきあいが必要であることに気づかせていただいた。いわば全人的というキーワードを通じ、“双方向”の影響がある。

「医療にとって栄養にお金をかけないものである」は正しいか ここまできて冒頭のこの命題への自分なりの解答を出したいと思う。 この直前の項で「栄養外来」の経済的効果を予測した。もちろん医療にお金がかからないほうがいい。しかしそれはみんなが健康で、医療を受診する回数が少なくなった場合の話である。健康が栄養の最終目標であることに疑いはない。しかしいったん病気になった時、栄養状態がその方のQOLや感染症をはじめとする合併症の発生率、ひいては生と死の決定因子として大きな鍵を握っている。 したがって、「栄養外来」でお金がかかる、それは患者ご自身ばかりでなく、医療経済全体の中で、栄養分が増加したとしても、「栄養外来」、栄養療法を常に適切に的確に進める限り、合併症は減りQOLは良くなることが期待できる。その結果、医療経済はネットでみればお金の節約になるのである。したがって、この命題は誤りである。

「栄養外来」の今後の課題 思いつくまま、「栄養外来」の今後の課題を書きつける。

(1) 「栄養外来」の効果判定:正と負の影響を示す。(2) 経済的な効果判定:同様にその客観的数字を示す。

(3) 患者さんの側からの「栄養外来」の意義と問題点を聞く:これも今後の改善のためには、ぜひとも必要に違いない。(4) 臨床治験:薬剤と同様に、株式会社アミノアップ化学のAHCCが既にがんのQOLなどに有効であることは、国内外で示されている。現在、福島労災病院の倫理委員会に提出し、許可が出ればAHCCの前向き対照二重盲検試験も将来的には患者さんの幸せのため、「栄養外来」から提供するためには必須であろう。(5) 遠隔医療への参画:栄養状態の評価は、体重や身長、採血など、いわゆる次元(ディメンション)のあるデータばかりでなく、あるいはむしろディメンションのない食事内容やその概略、体重や体格の主観的な変化などの情報が重要で、その患者さんの将来予測(アウトカム)にきわめて有力である。さらにこうした栄養外来に必要な知識と情報、そして経験は、特に医師不足が謳われる現在、十分な医師やスタッフ数が充てられることが期待できないとすれば、ビデオ往診など、遠隔医療のツールを駆使して参画したい。遠隔に住まれる患者さんも、外来時間を病院で待つより自宅で待つ方が、気が楽であろう。さらに昨今のインフルエンザの流行でその重症度の判別なども含め、この遠隔医療による外来の非必要性を再度痛感した。われらが「栄養外来」の遠隔医療への参画も同様に急務であろう。

 今後もできれば定期的に本誌で栄養外来の定期的報告をしたいと思う。

「栄養外来」についてみなさんのご感想を事務局までお送りいただければ幸いです。

2009年6月

マレーシア・クアラルンプール Hotel Swiss Gardenの一室で

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カリフォルニア大学教育研究基金特別講義

論文発表

学会発表

■日本補完代替医療学会誌,6(1):1-7(2009)「AHCCの基礎と臨床 ―最近の話題―」

三浦健人、北舘健太郎 ら(株式会社アミノアップ化学)

■Nutrition Research, 29:139-143(2009)「Low-dose supplementation with active hexose correlated compoundimproves the immune response to acute influenza infection in C57BL/6 mice」

Shoko Nogusa, Barry W. Ritz, et al.(Drexel University)

■ASPEN 2009(ニューオリンズ、アメリカ)2009年2月1日(日)~4日(水)

「Dietary nucleotides:Present status and future directions」Anil D. Kulkarni, et al.(University of Texas)

「Dietary substrates:Fruit and plant」伊藤壽記 ら

(大阪大学大学院医学系研究科)「Alleviating function of active hexose correlated compound (AHCC), a health food component, for side effect in chemotherapy patients」

柳本泰明 ら(関西医科大学外科)

■立命館大学R-GIROシンポジウム(滋賀、日本)2009年3月6日(金)

「ラット肝細胞を用いたサイトカインによる誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)誘導に対するオリゴノールの効果」

奥村忠芳、西澤幹雄ら (関西医科大学外科、立命館大学生命科学部)

「長距離選手の短期合宿におけるオリゴノール摂取による効果検討」上 英俊、伊坂忠夫 ら

(京都市立芸術大学、立命館大学生命科学部)「誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)遺伝子におけるアンチセンス転写物を介する転写後調節機構と創薬への応用」

西澤幹雄 (立命館大学生命科学部)

■第82回 日本薬理学会年会(横浜、日本)2009年3月16日(月)~18日(水)

「Oligonol preconditioning induces neuroprotection via upregulation of EAAT3 activity in LPS stimulated C6 cells」

張暁紅(株式会社アミノアップ化学)

■日本薬学会 第129年会(京都、日本)2009年3月26日(木)~28日(土)

「Oligonolは高濃度グルコース負荷による人血管内皮細胞のインスリンシグナル抑制を正常化させる

張暁紅、西岡 浩 ら(株式会社アミノアップ化学)

■最近の論文・学会で発表された本会に関連のある研究テーマをお知らせいたします。最近の論文・学会発表から

 カリフォルニア大学デービス校では毎春、小砂教育研究基金特別講義を主催する栄誉に浴している。植物化学やヒトの健康について行われる特別講義は、株式会社アミノアップ化学と小砂憲一氏の傑出した貢献に敬意を表して年1回行われている。 2009年の講義は米国陸軍外科研究所 主 任 薬 理 学 研 究 員Michael Dubick博士により、「Polyphenols- Beyond Antioxidants」と題して行われた。冒頭、小砂氏は70人以上の学部生、大学院生、教職員、ゲストらに迎えられ、ポリフェノールに関する重要な研究課題に対して共同研究を継続する考えを表明した。また、小砂氏のあいさつと特別講義には聴覚障害者のために手話通訳が付された。

 Dubick博士は、ポリフェノール研究の歴史を抗酸化作用に焦点を当てて説明した後、彼自身の研究を含む最近の研究について、フラバノールの一酸化窒素産生制御、血管内皮機能、遺伝子発現など、ポリフェノールの個々の機能について詳細に示してくれた。その中のUCDの研究者との共同研究で、Dubick博士は、ライチ果実由来の抽出物で、生体利

用性の高い特徴のあるオリゴノールを摂取したヒトの遺伝子発現パターンについて説明した。安全で効果的な植物抽出物に対する世界的需要の高まりを受けて、2009年の小砂教育研究基金では、ポリフェノールの研究者にこの刺激的な分野の研究で人々の生活に変化をもたらすことのできる機会と挑戦を与えてくれた。

Robert M. Hackmanカリフォルニア大学デービス校栄養学部教授

カリフォルニア大学デービス校 小砂教育研究基金特別講義

Michael Dubick 米軍外科学研究所(サンアントニオ)の上級薬理学研究者であり、陸軍戦闘災害ケア研究プログラム内の損傷制御蘇生の任務区域管理者。南カリフォルニア大学で生理学修士と薬理学・栄養学の博士号を修め、25年以上の研究歴を持つ。過去20年間、少量の高張性/高腫脹性輸液や、そうした輸液を運搬するための骨内装置の使用を含む出血性及び熱性ショックの輸液蘇生に関する生理学と薬理学について研究している。彼の研究は外傷性障害に関連する酸化傷害機構や外傷の二次的な結果の調節における抗酸化物質の役割などにも及んでいる。

特別講義終了後の記念写真 講師のMichael Dubick氏と小砂憲一氏

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展示会参加報告

展示会参加報告■知的クラスター・産業クラスター合同成果発表会 北海道バイオイノベーションフォーラム2009 北海道では、国際競争力のあるバイオクラスターの形成を目指し、文部科学省「知的クラスター創成事業(第II期):さっぽろバイオクラスター構想“Bio-S”」および経済産業省「産業クラスター計画:北海道バイオ産業成長戦略」を 推進している。 この両クラスター事業から生み出された独創的な新技術やビジネスモデルを紹介し、北海道のバイオ産業の成長戦略を議論する「北海道バイオイノベーションフォーラム2009」が3月18日、京王プラザホテル札幌で開催された。経済産業省北海道経済産業局、北海道、札幌市、財団法人北海道科学技術総合振興センターの主催で開催された同会の第一部パネルディスカッションでは、土井尚人氏(株式会社ヒューマン・キャピタル・マネジメント社長)、小砂憲一氏(北海道バイオ産業クラスターフォーラム会長、株式会社アミノアップ化学代表取締役)、五十嵐靖之氏(北海道大学名誉教授)、鈴木文夫氏(知的クラスター本部事業総括)、児玉俊洋氏(日本政策金融公庫特別参与)により、「北海道のバイオ産業の成長に向けて」をテーマに活発な討論が行われた。バイオ産業に特化したものとしてはおそらく全国唯一の業界団体である一般社団法人北海道バイオ工業会の会長も務める小砂氏から、健康食品の現状と機能性表示に関する法制度の整備や食品の機能性評価システムの構築について問題提起があった。また、小砂氏から技術者の人手不足の問題が指摘されたことに対して、児玉氏からポスドクの活用が提案されるなど、活発な議論が交わされた。

■ifia/HFE JAPAN 2009 5月20日~22日の3日間にわたって東京ビッグサイトで行われた ifia/HFE Japan 2009(ifia JAPAN 2009-第14回国際食品素材/添加物展・会議、HFE JAPAN 2009-第7回ヘルスフードエキスポ)は、国内最大級の機能性食品素材に特化した展示会で、今年も出展社は合計で500社以上を数える。新型インフルエンザの影響か、期

間中の来場者は昨年実績比で約2割減の26,325名(運営事務局発表)となったが、それでも会場は新しい機能性素材を求める業界関係者で賑わっていた。 今回も昨年に引き続き東洋精糖株式会社と株式会社アミノアップ化学が共同でブース出展し、株式会社アミノアップ化学の素材Oligonolをはじめ、ゆずポリフェノール、糖転移ヘスペリジンなどの機能性素材の展示があった。また、21日には若命浩二氏(株式会社アミノアップ化学 研究部学術開発室長)によるセミナーが開催され、先般Oligonolが米国においてSelf-affirmed GRAS*として認められたことを受けて、Oligonolの海外でのレギュレーション対応について解説があった。 世界規模で食の安心・安全が叫ばれる中で、Oligonolが米国FDAの基準に則ったGRAS基準をクリアしていることは、来場者にも高い関心を持って受け入れられていたようである。

*GRAS:Generally Recognized As Safe

図1 北海道バイオイノベーションフォーラム2009での小砂憲一氏(北海道バイオ産業クラスターフォーラム会長)の講演の模様。小砂氏はバイオ産業に特化した業界団体「北海道バイオ工業会」の会長も務める。

図3 安全性と海外レギュレーションへの対応に焦点を当てたセミナーが開かれた。講師は若命浩二氏(株式会社アミノアップ化学研究部学術開発室長)

図2 ifia/HFE JAPAN2009でのOligonolの展示コーナー。安全性と国際的なレギュレーションに対応した素材であることがアピールされていた。

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AHCC研究会 第17回国際研究報告会開催のお知らせ

AHCC研究会NEWS LETTER2009 Summer Vol.6 No.3

2009年7月15日発行発行: AHCC研究会事務局 〒004‒0839札幌市清田区真栄 363番地32 株式会社アミノアップ化学 内 TEL:011‒889‒2233 FAX:011‒889‒2375 E‒mail:[email protected]制作: 株式会社ライフ・サイエンス

[禁無断転載]

 去る6月27日に本年度の幹事会が開催されました。会則の規定に従いまして、2008年度の活動報告、2009年度の事業計画ならびに事業費用計画が事務局より報告され、承認されました。昨年、幹事会で提案されてから準備を進めていました当会のホームページが出来上がり、開設が承認されました(http://www.ahcc.jpn.org/)。また、今年の国際研究報告会より優れた研究報告に対する表彰制度の導入も提案され、後援予定の経済産業省北海道経済産業局への賞状交付依頼が承認されました。 幹事会で承認された活動報告書、事業計画書は本誌に同封されて会員の皆様に配付致します。これをもって総

会の開催に代えさせていただきますので、会員の皆様にはご理解を賜りますようお願い申し上げます。

編 

集 

後 

 新型インフルエンザ蔓延の状況は、本誌の編集作業を続ける間に

刻々と、かつ劇的に移り変わってきている。発生初期の頃から編集を

はじめ、感染拡大が騒がれ始めフェーズ4に移行したかと思えば、記

事が入稿された頃には国内感染例が出て日本中にマスク姿が目立ち始

めた。編集後記を執筆している今では、国内では鎮静化しマスク姿も

目立たなくなったと思いきや、WHOはフェーズ6への引き上げを発

表。感染防御のあり方やその対応にはお国柄もあり、色々と考えさせ

られる。各国からの研究者が集まる7月の研究報告会でも、インフル

エンザを含む感染症対策はホットな話題となるに違いない。

(事務局運営委員 三浦 健人)

AHCC研究会 第17回国際研究報告会開催のお知らせ

基調講演:「栄養とがん患者のケア」 Richard J. Andrassy, MD, FACS テキサス大学医学部ヘルスサイエンスセンター外科部長

日 時:2009年 7月25日(土) ~ 26日(日) 場 所:ホテルロイトン札幌 3F ロイトンホール

座 長:細川眞澄男(北海道大学名誉教授) 山﨑 正利(帝京大学薬学部教授) 上山 泰男(関西医科大学名誉教授) 水島  豊(社会福祉法人 函館共愛会 共愛会病院 呼吸器科部長兼副院長)

主 催:AHCC研究会 後 援:経済産業省 北海道経済産業局(予定)     株式会社アミノアップ化学

幹事会開催報告

幹事会の様子