2011 05-23-経営学授業メモ
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2011/05/23 経営学
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担当教員 日本大学商学部 髙橋淑郎教授
授業メモ: Written by Yukio Saitoh ( http://www.fxfrog.com/ )
今回の授業とゴール
1.私たちの生活と企業との関係を理解する
2.私たちの生活での勤めと稼ぎを考える
3.企業の持つ様々な機能を理解する
イントロダクション。経営とは,管理とは。社会と経営を考える。
産業構造の変化。サービス業の増加とサービス特性を考える。
(バランスト・スコア・カード BSC を使うための基礎力構築を目標)
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企業と私たちの生活
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企業とのかかわり
出資者として(金融市場)
従業員として(労働市場)
顧客として(製品・サービス市場)
地域社会のメンバーとして(市場以外)
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働くことは稼ぎと勤め
【稼ぎ】 → 所得
【勤め】 → 存在意義、目的
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人は何故はたらくのか
○「稼ぎ」と「務め」のため ← それだけではない
↓
ヒトの欲求を満たす
○会社=「経済活動の場」「社会生活の場」 二面性を持つ
↓
会社と個人の関係=「参加」「所属」
この関係性を踏まえたうえで、「仕事の場で何が起きているのか」を考える
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なぜ人は会社で働くのか
【会社】
||
集団
/
意味のある仕事 人間関係の場
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会社(企業)の二面性
【会社】
/
二面性
/
経済組織体 職場共同体
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会社と労働者の関係①
労働者 → 労働 → 会社
雇用関係
←賃金=所得←
経済組織体としてだけ?
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会社と労働者の関係②
企業
労働者 カネ 労働者
情報
感情
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会社と労働者の関係②
企業
労働者 人間関係 労働者
職場共同体も生み出す
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会社(企業)と個人の関係
会社と二面性
経済組織体とは参加のイメージが強い
職場共同体とは所属のイメージが強い
どっちが強いかによって個人の会社に対する
コミットメントが変わってくる。
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参加と所属
参加 所属
時間的長さ 短い 長い
目的性 ある 単一ではない
不可さ 浅い 深い
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企業へのコミットメント:日本とアメリカの違い
アメリカ:参加=経済組織体
日本:所属=職場共同体
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参加と所属のバランス
↓ ↑
参加 所属
Where
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【経営学の言葉で協働は重要】
仕事の場で何が起きているのか
①協働
協力し合いながら、一つの事を成し遂げようとする人々が働いていること。
→一人ではできないことも多くの人が協力すればできる。
協業こそ会社の本質 → マネジメントの本質
ヒトの協働意欲を湧き立たせ、協働しやすいような状況、
条件づくりをすることがマネジメント
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協働をスムーズに行うために、組織の中に階層(ヒエラルキー)が
生まれることもある。
○中心役をつくったほうが情報効率が良い
○中心役を「上の人」とイメージすれば、階層をつくったほうが遥かに情報効率が良い。
NPO法人はヒエラルキ・ボトムアップが少ない、
言いだしっぺの法則(言いだしっぺがリーダ)
その「上の人」の仕事がマネジメント
「下の人」を支配することがマネジメントではない
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②カネ、情報、感情が流れている
×労働サービス≠金 ・・カネを受け取る代償に命令を聞く、服従するというイメージ
命令、労働サービス、カネ
仕事をしているのは、生身の人間でロボットではない
つまり、人は「物質的存在」ではなく「情報的存在」であり「心理的存在」である。
↓
他人とのコミュニケーションをそながら仕事をしていく
→仕事のプロセスの中で、情報、感情が流れている。
【カネ、感情、情報が「あらゆる仕事に伴って否応なしに」流れている】
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<感情>
仕事をしている人々は必ず感情をもち、心理的な動きを自分の中に抱えた存在である。
多くの人々が協働している組織の中では、一人ひとりの感情の流れだけでなく、個々の
人の間に相互作用が起きることも多い。
一人の感情が他の人に電線、影響といった相互作用をもたらす
⇒「仕事の場には感情が流れている」
「カネ、情報、感情の流れを活発にするにはどうしたらいいのか」
それがマネジメントの本質。
↓
「協働を促すための条件は何か」
仕事にやりがいを感じることもあれば、つまらないと感じることもある。
給料に関係なく達成の喜びを感じたり、失敗して意気消沈することもある。
気の合う仲間と仕事をすると高揚感を感じたり、チームワークを乱す行動を
する人がいると、しらけた雰囲気が伝染することもある。
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○ヨコの流れ
カネ、情報、感情はタテ方向の流れが多い。
→協働のためのヒエラルキー(階層組織)のため
他者との共感から心理的エネルギーが湧いてくる心理的存在
↓
上司だけでなく同僚やチームメイトとの間に自然に情報と感情の流れが起きる
↓
「ヨコの流れ」
タテの流れだけではんく、ヨコんも流がうまく起きるように
うまく刺激し合うようなさまざまな条件づくりに気を配るのも
マネジメントの要諦である。
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<権力>
仕事の仕方や組織の作り方などに応じて、人々の間の権力の分配が行われている。
権限や地位だけでなく情報の分配に応じても変わる
情報を持つ=実質的な権力、影響力を持つことに等しいことがしばしばある。
<名誉(地位)>
高い地位は大きな名誉、仕事の種類が名誉の大きさを決めていることもある。
↓
会社の人事のあり方は、単に報酬や権限を決めているだけでなく
人々の名誉を決めている面がある。
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最近の話題1
企業が製造・販売で分化し、さらに消費者と生産者が同じことが少なくなってきたことで何が起こる?
⇒製・販・消費の分離が生活の質を落とす
・個別に、自分だけ良ければという発想は社会の悪循環に入る可能性がある。
・食が乱れる⇒食卓が乱れる⇒家庭が乱れる⇒仕事や生活が乱れる⇒社会が乱れる⇒国が乱れる。
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企業と私たちの生活での変化
・国際化の進展
労働力、製品、資本、情報
・消費者の意識変化
二極化、質と量
・企業の意識変化
資本主義、人本主義
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産業の変化
・大規模化と小規模特化
・低価格化と高級化
・産業構造の変化
重厚長大産業⇒軽薄短小産業
・就業構造と売上高の変化
製造業からサービス業へ
最近モノづくっり(製造業)への回帰
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企業の発展、大規模化によるマイナス作用
・起業家精神の衰退
・個人の主体性の喪失
・効率主義の弊害
・環境問題
アメリカは廃業より起業のほうが多い → 刺激が多い
日本は起業より廃業は少ない → 刺激が少なくなってくる
【トリプル・ボトム・ライン】
利益なんぼ・・・シングルボトムライン
環境、社会性と経済性を考えるこれからの企業活動の考え方
ex.) http://www.toshiba-medical.co.jp/tmd/company/csr/report/report02.html
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最近の話題2
効率化 数値化 格付け
我々の生活はこれでいいのか
効率には価値観、価値判断が入らない
組織有効性を考える必要性
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仮定の豊かさと企業
家庭を取り囲むステークホルダーがある。
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仕事と生活
・多様性に富む仕事
・変化する仕事
IT化、グローバル化
同一組織でも細分化
・研究開発部門⇒基礎研究、応用研究、商品化
研究が円滑にいくようにサポートする仕事が誕生
・国内では、汚い、きつい、危険(3K)を敬遠
なぜ、東京都西葛西にはインド人が多い?
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ビジネスとは何か
・ビジネスの本質は、社会のために財やサービスの交換の促進
提供者(売り手)と需要者(買い手)の自由意思で交換が成立
↓
両者とも効用(幸せ度)上昇
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ビジネスとは何か?2
・売り手:買い手から頂く代価の価値(金銭、感謝、尊敬などが)
売り手にとって提供するサービスや品質よりも価値がある。
(売り手の知覚した価値より高まった)
・買い手も同様:支払った金額よりも、受けたサービスや購入した
品物のほうが価値があると納得して購入している。
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ビジネスとは何か3
売り手も買い手も双方が幸せになる。
交換を社会の中で促進させること。
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サービスや財の交換
サービスや財の交換を
上手く行う仕組みが
ビジネス
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ビジネスとは何か4
社会のために財とサービスを生産し、分配するために
資源交換を促すこと
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様々な組織が変化し発展していく
・一人で酒屋を開店 一人では身が持たない
アルバイト1人を雇用
→接客がうまい → 自分は配達・仕入れ
従業員1人雇用
→仕入れがうまい
配達ができる
自分は経営を考え、アイデアを実行する仕掛けを作り実行する
・分業と協業 → 組織の基本
・複数の人が共通の目標の達成に向かって行動
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組織として分業と調整を行うには
・仕事の分担(職務)を決める。役割を決める。
→分業
・どのような役割を結び付けていくか
→グループ化(部門化)
・役職刊の指揮命令関係を決める
→権限
・役割間の情報伝達と協議の在り方
→伝達と協議
・個人個人の仕事の進め方、どの程度規定するか
→公式化
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組織はなぜ作られる?
・人間は個人としての限界を克服するために、様々な協業を展開してきた。
・共通の目的の達成:焦点を合わせ、ベクトルを合わせる。
・この協働の仕組みを協働システム(cooperative system)
・ピラミッドの建設
・万里の長城の建設
span of control 一人か直接管理できる部下(奴隷)の数
詳細は「組織の授業」で講義
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サービスでの問題点
サービスの特徴で満足と生産管理に重要なもの
・生産と消費が同時
・評価が主観的
・目に見えない
利用者個人の期待水準の相違
同一人物でも、状況で期待水準が変化
期待水準≦サービスの結果(満足)
期待水準≧サービスの結果(不満足)
以上