東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 mba program director...

12
MBA Program 都立大ビジネススクール 東京都立大学 大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士前期課程 経営学プログラム 修士 (経営学) 2021 年度 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士前期課程

Upload: others

Post on 13-Jul-2020

6 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

MBA

Program

都立大ビジネススクール東京都立大学 大学院経営学研究科 経営学専攻 博士前期課程経営学プログラム修士 (経営学)

2021 年度東京都立大学大学院 経営学研究科

経営学専攻 博士前期課程

Page 2: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

1

MBA Program Director東京都立大学大学院

経営学研究科 教授

経営学プログラム(MBA)

プログラムディレクター

高尾 義明

 近年の世界経済の不確実性・複雑性はますます拡大し、企業や公共部門のマネジメントを担う人材

には従来にも増して高度な知識と思考力を兼ね備えることが求められています。2003 年4月に本学

大学院に社会人を主な対象とした高度専門職業人養成プログラムが設置されたのはそのような時代の

要請に応えるためでした。以来 15 年以上にわたって、本プログラムはビジネス環境を緻密に分析し

経営戦略を立案する能力、組織や制度を設計し変革する能力、そしてビジョンと高い志を兼ね備えて

果断に意思決定できるマインドをもつ多くのビジネスパーソンを養成してきました。2016 年には新

設の丸の内サテライトキャンパスに移転を果たし、2018 年には名称を経営学プログラム(Master of

Business Administration, MBA プログラム)に変更するなど、改革をとげながら発展して現在に至っ

ています。

 本プログラムの大きな特徴は、第一線の研究者でもある専任教員を中心にした高度な少人数教育に

あります。単なるノウハウを教えるのではなく、最先端の研究成果を踏まえたマネジメントの本質に

迫る授業が数多く提供されています。本プログラムの修了には修士論文もしくは課題研究論文が必須

であることも特徴の一つです。論文の執筆には総合的な思考力が問われ、並大抵のことではありませ

ん。しかし、本人の努力と教員の密度の高い指導により、多くの方が優れた論文を完成させています。

また、経営学研究科は経営学プログラムに加えて、ファイナンスプログラム、経済学プログラムの三

本立てとなっており、他プログラムのほとんどすべての科目も幅広く履修することができます。

 授業は丸の内サテライトキャンパスで、平日夜間及び土曜日に開講されます。同キャンパスには最

新の設備を擁しており、優れた教育・研究環境が提供され、立地的にも多くの方にとって通学至便と

なっています。主体的に問題を発見し、課題解決力を磨きたいという意欲をもつ方々が本学経営学プ

ログラムに入学され、2年間の研鑽の後に MBA を取得されて、社会や自己に新たな価値を創造でき

る人材として更に高く羽ばたかれることを期待しております。

Page 3: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

2

Missionミッション

Characteristics特 徴

「経営戦略」「マーケティング」「経営組織・HRM・意思決定」「会計学」「マネジメント・サイエンス」

の5つの教育研究プロジェクトがあり高度で徹底した教育がおこなわれています。

充実した専任教員体制により、講義や演習科目を提供し、丁寧な指導で修士論文等の完成に導きます。

文系・理系を問わず多様な人材を受け入れます。

東京駅至近のキャンパスで平日の夜間と土曜日を中心に学べます。都民の方は入学金が半額となります。

経営者とディスカッションできるビジネスイノベーション特別演習、実務家を講師に招いた経営学

演習など多彩なプログラムで実践につながる学習が可能です。

経営学プログラム(MBA)は、産業の活性化を通じて首都東京と我が国に活力を与えていきます。

そのために、科学的な思考能力を基礎とした戦略的な構想のもとで、新たな組織や制度を構築し、

また既存の組織や制度を変革しうるビジネスリーダーや、学術的な課題を自ら設定して研究を遂行

できる能力を持った研究者の養成を目指します。

高度な学び ─ 5 つの教育研究プロジェクト─

徹底した少人数教育

公立 MBA としての強み ─働きながら学べる─

高度で多彩な教育プログラム

ー 講義風景 ー ー 学生談話室 ー ー 共有ラウンジでの自習風景 ー

Page 4: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

3

Projects教育研究プロジェクト一覧

出願時に選択した教育研究プロジェクトを中心として、修士論文や課題研究論文の指導が行われます。

1年次には、所属する教育研究プロジェクトの担当教員の演習を受講して、理論的な研究とともに

研究の方法論などを学びます。

2年次に、教育研究プロジェクト担当教員から指導教員が決定され、当該教員を中心とした指導体

制のもとで論文作成に取り組みます。

戦略プランニングの目的は、不確実性の高い事業環境において、企業目標となる価値を創造し、価

値を獲得するための長期的な時間展開となる道筋を提示することにあります。戦略が実効性を高め

るためには、なぜそのような戦略を選択するのか、企業組織に提示することによって組織メンバー

を説得し、コントロールできるだけの戦略の「論理性」が必要です。経営戦略プロジェクトでは、

企業の経営資源や組織能力と持続的競争優位の関係性、或いは市場との関係性に焦点をあてて、企

業ケースやこれまでの学問的研究を広く展望して、企業の戦略行動についての実証的分析や理論的

考察を行うことで、プロジェクトメンバーの「論理性」を養成します。

顧客を中心とした企業活動を行うためには、マーケティングの思想と科学的なリサーチメソッドが

必要になります。このプロジェクトでは、マーケティング論を中心とした研究業績を基礎にしなが

ら、同時に最先端のマーケティング・サイエンスやリサーチメソッドを学ぶことを通じて、顧客と

の長期的な関係を構築し、新たな価値を創造していく論理の理解を深めます。論文指導では、各自

の問題意識に応じて、これまでの研究蓄積を踏まえた新しい論理やマーケティングの可能性を明ら

かにすべく、分厚い事例研究や精緻な実証研究を進めていきます。

1.経 営 戦 略(竹田・松田・松尾)

2.マーケティング(水越・森・中山)

Page 5: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

4

会計学プロジェクトでは、企業外部の関係者を情報提供のターゲットとした財務会計領域と、経営

者などの内部者をターゲットとした管理会計領域、双方の研究プロジェクトを推進しています。財

務会計領域では、主として、⑴ 企業会計制度の特質と限界を社会経済的コンテクストに照らして

分析するとともに、⑵ 会計情報と企業価値の関係ならびに会計情報の資本市場における機能につ

いて実証的に分析することを課題としています。また、管理会計領域では、⑶ 無形資産と企業価

値の関係及びそのマネジメントについて研究を行っています。

組織と人に関わる諸問題への学術的なアプローチを体系的に学びます。組織における個人・集団及

びその行動を分析対象とする組織行動論、組織能力の構築につながる人材の活用・育成・評価など

を検討する人的資源管理論(HRM)、人間の現実の意思決定のありようを心理実験などから明らか

にする行動意思決定論が主たるバックボーンになります。さらにそれらを基盤として、自らの問題

意識にしたがって研究を進めます。論文執筆では、現在の経営環境で直面する組織やそれにかかわ

る人の具体的な問題について、また人間一般の心理の本質について、実証的分析や理論的考察を行

います。

マネジメント・サイエンスは、経営活動に合理的な意思決定を持ち込もうとする科学的方法の学問

です。複雑な現実の本質を見抜き、それをモデル化し、数学やコンピュータを利用して解析し、最

適な解を導出したり、システムの特徴を浮き彫りにしたりして、現実に立ち向かう人々に有益な

提言をするものです。このプロジェクトでは、⑴ 種々の制約のもとで最適化を行う数理計画問題、

⑵ 不確実性を含むシステムの扱い、特に確率モデルの解析やシミュレーションによる解析、⑶ 生

産・物流・情報システムを核とした経営システムの革新、経営活動の効率化、などの研究を行って

います。

4.会 計 学(浅野・野口・細海)

3.経営組織・HRM・意思決定(桑田・高尾・長瀬・高橋・西村)

5.マネジメント・サイエンス(室田・山下・芝田・森口)

Page 6: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

5

Faculty Member専任教員一覧 (2020 年 4月現在)

(*)西村准教授、森口准教授は2021年度にサバティカル等のため講義はありません。(*2)室田教授は2021年3月定年退職予定です。

教員氏名 主な講義科目 研究教育内容

教 授

浅野 敬志 経営分析研究テーマは会計・統合報告と資本市場です。IFRS(国際財務報告基準)、企業開示制度改革、ガバナンス改革の効果・影響を、主に資本市場の視点から研究しています。

教 授

桑田 耕太郎 経営学 経営戦略と組織のダイナミック・インタラクションや組織変革の研究を行っています。

教 授

芝田 隆志 企業経済学専門分野はコーポレートファイナンスです。特に、オプション理論を用いた投資プロジェクト評価モデル、企業の負債評価モデル、などを中心に研究を行っております。

教 授

高尾 義明経営組織組織行動

組織の境界設定という切り口から、組織と個人の関係(自発性のマネジメント)および組織間関係(技術革新を産出するビジネス・エコシステムの形成)を研究しています。

教 授

竹田 陽子 経営戦略情報を表現し、コミュニケーションを促す技術を活用して、いかにしてイノベーションを創出する組織を醸成し、経営戦略を実現するかを研究します。

教 授

長瀬 勝彦 意思決定行動意思決定論に立脚し、人間の意思決定プロセスや意思決定バイアスを研究します。広く経営心理学の領域もカバーします。授業では論理的思考を重視します。

教 授

野口 昌良 財務会計日本の会計制度の特質とそれを制約する基礎的諸条件を歴史分析の手法を用いて析出することを目標としています。

教 授

細海 昌一郎 管理会計現在、知的資本と企業業績・企業価値との関係、知的資本相互間の関係などについて実証的な研究を行っています。また、意思決定・業績管理に関わる管理会計上の重要なテーマについて講義および PC 演習を行います。

教 授

松田 千恵子経営戦略演習財務戦略論

企業経営と金融、資本市場の間にある諸問題を研究します。財務戦略、M&A戦略とグループ経営、情報開示と企業統治などを扱い、事業・財務・組織を統合して考えることを目指します。

教 授

水越 康介 マーケティング・マネジメント 企業と市場の相互作用に焦点をあて、関係性構築のマネジメントを研究します。

教 授

室田 一雄(*2) 経営数理離散凸解析の理論と応用を中心として、さまざまなシステムの解析に使える普遍的な数理手法の研究をしています。

教 授

山下 英明 マネジメント・サイエンスⅡ数理計画法やモンテカルロ・シミュレーションなどのマネジメント・サイエンスの手法を用いて、経営システムや社会システムの数理モデルを解析します。

准教授

高橋 勅徳ベンチャービジネスビジネスイノベーション演習

ベンチャービジネスを組織論の観点から研究しております。近年は、環境ビジネスとベンチャー企業をテーマにフィールドワークを行い、その成果を教育にも反映しています。

准教授

中山 厚穂 マーケティング・サイエンスマーケティング・サイエンスの各手法を用いて、消費者の行動を計量化することでマーケティング戦略上の意思決定を行っていくための方法論について研究します。

准教授

西村 孝史(*)ヒューマン・リソース・マネジメント

働く意欲を高める人事管理や仕事の設計、リーダー育成などを研究しています。最近は、職場での人のつながり(ソーシャル・キャピタル)と人事管理の関係を研究しています。

准教授

松尾 隆 テクノロジー・マネジメント 製造業、サービス業の保有する技術と持続的競争優位との関係を研究しています。

教授

森  治憲 統計学基礎統計学。最近の研究テーマは、近年急速に普及したベイズ法です。特に、事前分布が推定結果に与える影響を研究しています。

准教授

森口 聡子(*) マネジメント・サイエンスⅠ最適化理論、特に組合せ最適化、離散凸解析の研究をしています。数理モデルを通じて経営、社会システムにおける実問題の解決法を研究していきます。

Page 7: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

6

Facilities学習環境

月~金: 5時限 18:20 ~ 19:50 6時限 20:00 ~ 21:30  土: 1時限 10:30 ~ 12:00 2時限 13:00 ~ 14:30 3時限 14:40 ~ 16:10 4時限 16:20 ~ 17:50

授業は平日夜間と土曜日に開講していますので、働きながら学ぶことができます。

都心からのアクセスが至便で最新の設備が揃っており、授業の受講の他に自習やグループ研究の環

境が整っています。

定評のある統計解析・数式処理およびデータマイニングのソフトを揃えた PC が準備されており、

講義や自習に活用できます。また、日経 NEEDS Financial Quest などの企業財務・金融・経済に

関するデータベースも利用可能です。

各講義に用いられるテキスト・参考文献を中心とした和洋専門書のほか、国内外の多数の

ジャーナルが開架されています。本学南大沢キャンパスおよび他大学所蔵の文献についても、

ビジネススクールの事務室を通じて、貸出申し込みを行うことができます。図書室や学外から

EBSCOhost(Business Source Elite)、ScienceDirect、Wiley Online Library、Web of Science な

どの各種オンライン・ジャーナルやデータベースが利用可能です。

膨大な学術文献やデータを検索、閲覧、ダウンロードして研究を進めることができます。

授業開講時間

丸の内サテライトキャンパス

PC 教室

図書室利用

平日の夜間の MBA プログラム講義は、最初の時限を5時限、次の時限を6時限と呼びます。

講義室 F PC教室 図書コーナー

Page 8: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

7

From Alumnae and Alumni修了生の声

ビジネススクールで学ぼうとしたきっかけは今でも鮮明に覚えています。当時、事業会社の経営企画部門に所属していた私は、外部環境の変化によりコモディティ化に苦しむ事業を立て直すというミッションを持っていました。その時に、有名な「イノベーションのジレンマ」と出会い、「企業が直面している問題に対して、このようにエレガントに説明する事ができるものなのか」と感銘を受け、ビジネススクールへの進学を決めました。とはいえ、正直なところ、当時の私がビジネススクールに求めていたものは、「経営戦略への処方箋」であり、「色々な理論やフレームワークを学んで、それを仕事に活かせたら良いな」程度の考えでした。ところが、1年生前期の初回の授業の事前課題で、「ポーターの5フォースの限界を述べよ」という課題が出され、面食らったのをよく覚えています。

誰しも就職して二十年も経つと、手持ちの知識・ノウハウの引出し・思考のクセで何とかやりくりし続けるのも限界がやってくるのでしょう。そして、悪いことにはそんな時は、もはや「知らないんだもん」とはとても言えない年齢にも環境にもなってしまっているのです。入学前は「自分には明らかに足りないがあって、もう何だか無性にインプットしたい!」そんな気持ちでした。一方でむしろ私が豊富に持っていながら職場では拠り所になり得ないと否定されていた、いわゆる「カンと経験」は、ビジネススクールではどのように位置づけられ、役立つのだろうかとも思いました。自分で何かを紐解き努力・探求するタイプではないので、他力に追い立て廻される環境に身をおこう、これらが入学の動機でした。首都大学東京ビジネススクールを選んだ理由は、勤務先からの近さ、公立ゆえのコストに加え、グループ作業やディスカッションよりも、プロ(先生)による座学が相対的に多いことです。私は滝のようにプロからのインプットを浴び続けたかったのです。それは叶えられ、私は2年間インプットの滝を浴び続け、睡眠時間を削り、読み物をこなして天を仰いでまた読んで、いつも頭の端っこに「やらなくちゃ」がひっかかりながら修了の日を指折り数えていました。しかし、修了後数カ月で「滝ロス」に陥ってしまっている自覚があります。

入学前に求めていたモノは「引出しの中の道具」ライフサイエンス系企業IPD(Intellectual Property Development)カンパニー事業推進マネージャー

(執筆時)

木川 大輔

製薬会社商品開発部勤務

(執筆時)

箕輪 久子

修了して実感する「滝ロス」―プロからのインプット

今になってつくづく思うことは、首都大学東京ビジネススクールが目指している教育は、入学前の私が求めていたような「インスタントな知識」を提供する場では無かったということです。フレームワークや理論は、世界中の研究者が、日々それらを発展・拡張させるべく凌ぎを削っており、いつかは陳腐化してしまいます。仮に陳腐化しなくても、ビジネススクールの2年間で学んだことは、恐らくいつかは忘れてしまうことでしょう。他方、ケーススタディや論文執筆を通じて、とことん考えぬいた思考プロセスは、不思議と身体に染み付いているものです。そして、その過程を通じて身についた洞察力は、極めて汎用性の高いスキルとして、ビジネスの場でも必ずや活きることでしょう。首都大学東京ビジネススクールはそういったプロセスを重視する点に特色があると思います。事実、修士論文執筆後には、ビジネスの場における景色が、それまでと明らかに違って見えるようになり、修士号を取得した後もそのプロセスを続けるべく、博士課程に進学しました。

社会経験を積んでからの大学院通いは本当に有意義でした。2年で自身が「変わった」 実感がとてもあります。知識を得ただけでなく、仕事・組織・自分・時間等といったことへの見方・考え方・付き合い方が変わりました。勿論「カンと経験」についての一定の見解も腹におさめました。知識を得ることは論理が広がるだけでなく、思考ルートや洞察力にも影響を与え、自分自身に余裕をもたらすことも分かりました。修士論文執筆中に現れるちょっとした煌めきともいえる「そうか分かった!」「こうやって考えるのか!」という瞬間は得がたい体験でした。泥縄な性格の私がそれらの体験をしたのは、本当に年末年始のキワだったのですが。一方で、知識の賞味期限も意識すべきという知恵もつきましたので、「滝ロス」をただ嘆いているばかりでなく、今後も何とかしてインプットを工夫し、煌めきの瞬間を追い求めるべく、読んだり見たりしては考える癖を維持しなければと思っているところです。お世話になった先生方、クラスメートの皆さん、どうも有難うございました。そしてこれからもどうぞ宜しくお願い致します。

実際に得られたモノは「もっと本質的な思考力・洞察力」

「滝ロス」から未来へ

-学び終えて思うこと-

Page 9: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

8

MBA を目指したきっかけはビジネスパーソンとしてより顧客の役に立ちたいという想いからです。当時、総合印刷会社の営業職として勤めていた私は、顧客企業のマーケティング戦略の実践を支援するというミッションを持っていました。デジタル社会の進展に伴って顧客の抱える多様な問題に直面し、広がり続けるマーケティング領域の中で顧客の問題を解決し、ビジネスを主導していくためには、マーケティングはもちろん、戦略論やデータ分析、人事・組織、財務会計やファイナンスなど経営学の知識を体系的に理解しておく必要があると考え、ビジネススクールへの進学を決意しました。

私がビジネススクールで学ぼうと思ったきっかけは、取引先とのやりとりであまりに知識のない自分を情けなく思ったことでした。入学前は飲料メーカー系の人材サービス会社に所属し、営業のサポートで取引先の従業員の方への研修の企画や運営を担当していました。取引先の経営者とお話しする機会も多くあり、「会社を大きくするために少しでも必要な知識を会社の中へ取り込みたい」と熱意を示されることにまったく役にたてない自分を大変残念に思っていました。会社に所属している時間だけが長くなり、経験だけで仕事をする限界を感じてもいました。本を読み、いろいろな短期間の講座を受講しましたが、さらに学びたい気持ちが募り、ビジネススクールの検討をはじめました。仕事と家庭と2年間の学習のバランスをとることができるかと大きな不安もありましたが、本学へ縁を得て入学することができました。

デジタル社会のマーケティングを統合的に主導していくための基盤を求めてシンクタンクコンサルタント

(執筆時)

石黒 大洋

飲料メーカー系人材サービス会社テレマーケティング担当部長

(執筆時)

高澤 美和

ビジネスに必要な知識とスキルを得るために

学ぶことの重要性に気づき、学び続けることをライフスタイルにできたことが、首都大学東京ビジネススクールで得られた最も大きな成果です。学び続けるために必要な要素は、①知的好奇心②思考力③洞察力④行動力⑤体力の5つと考えています。首都大学東京ビジネススクールで先生方や学生と幾度となく重ねたディスカッションはとても刺激的で、これらの要素が鍛え上げられました。そして、キャリアの面でも、経営学の学びを通じて組織を動かす上での戦略の重要性を実感し、それらをより制約なく主導できる経営コンサルタントに転身しました。今後さらに社会のデジタル化が進み、テクノロジーの変化が著しい時代になれば、社会の流行は目まぐるしく変わり続けて、それに伴い、人々の価値観や特性も大きく変わるでしょう。そのような中で、ビジネスパーソンとして社会に付加価値を生み出していくためには学び続けることが大切だと考えています。

本学を修了して、実務に携わるにあたり、入学前と比べて仕事のレベルが上がったと自分自身で感じています。理論と実務の結びつきを考え、実務ででてきた課題に対し理論から仮説をたて、検証して考察し、行動を修正するなど、授業やディスカッション、論文執筆を通して得た思考のプロセスによるものだと思っています。少人数で先生方との距離も近く、縦、横のつながりが続いていくのも本学の良さのひとつです。論文執筆は確かに大変でしたが、先生には丁寧に指導をいただくことができ、仲間とは今でも頻繁に意見交換の機会を持ち、刺激をもらっています。私はクラスの中で最も年齢が高かったのですが、もっと早くに取り組めばよかったな、と修了してから思いました。やれば、できるからです。迷っている方には、ぜひトライしてみてもらいたいです。思いきって挑戦してみることで、自分の見ている世界が間違いなく変わります。

学び続けることをライフスタイルに

理論を実務に活かし、実務から理論に戻って背景を理解する

Page 10: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

9

From Current Students現役学生の声

【入学の動機】

【入学の動機】

【入学して思うこと】

【入学して思うこと】

【これから入学を検討している方へ】

【これから入学を検討している方へ】

富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社サービスイノベーション事業部事業部長(執筆時)

一般財団法人 国際医学情報センター安全性情報部 係長(執筆時)

本田 亮(2019 年度入学)

紺谷(森) 千穂(2019 年度入学)

-入学して思うこと-

私が経営学の大学院への入学を意識し始めたのは、「このままではダメだ」という不安が募ってきたからでした。工学系の大学院を修了して大手電機メーカーに就職し、将来に不安を抱くことがないまま研究活動や製品開発に邁進してきました。しかし、市場は変化し事業構造も変えていかなければならない時代を迎えています。新規事業創出や投資家視点での経営管理、ビジネスセンスや経営判断のスピードも強く求められるようになりました。一方、人事制度や雇用制度も変化しつつあり、企業内高齢化も避けては通れない問題となってきています。組織行動論や人的資源管理の知識を体系的に学び、実践で通用する経営フレームワークを身に付けたいという想いが高まっていきました。また、年齢を重ねるにつれて公共活動や社会貢献を意識するようになりました。「自分の将来を具体化するラストチャンス」という決意をし、公立大学である東京都立大学大学院のビジネススクールの門を叩くことを決めました。

働きながら学ぶという生活は想像とは少し違う感覚でした。予習やレポート提出に追いまくられる日々を送ることに違いはありませんが、仕事の進め方や考え方の成長をすぐに感じました。業務の意義、将来起こり得ることを今まで以上に深く考えるようになりました。講義で習得した理論やグループディスカッションでの気付きの一つひとつが、実践に結び付いていったのだと思っています。本校の魅力の一つに少人数性と教授陣との距離が近いことが挙げられます。グループ発表やケーススタディでは活発に議論が交わされ、徹底的に思考力が鍛えられます。もう一つの魅力は多様な講義スタイルがバランスよく組み込まれていることです。グループ活動、ケーススタディ、ディベート、経営者とのディスカッションが様々な講義の中で行われます。理論と実務を両輪で学ぶことができるのです。また、本校には多様な年代とキャリアの方が入学しており、学友が学びの場をさらにすばらしく豊かなものにしてくれます。さまざまな立場と視点で率直に意見を交わし、励まし合いながら研究活動を進めていく環境は職場ではなかなか得られません。

経営学を体系的に学ぶという目的で、ビジネススクールの入学を検討されている方が多いと思いますが、ビジネススクールではそれ以上に得られるものがあります。不確実性が高まる世の中で、どのように生きていくか、どのように社会に貢献するかを熟考する時間でもあるのです。私は「再生されていく自分」を日々感じています。また、素晴らしい先生方の熱意のある指導と多様な学友から得られる刺激もかけがえのない財産となることでしょう。働きながらの通学には職場の上司や同僚の理解、家族の協力が必要ですので逡巡している方もおられると思います。それは実務で応え時間管理を工夫して果たす、と前向きに考えましょう。もし何らかの「問題意識」を持っているのであれば是非チャレンジして欲しいと思います。

私は元々理系で、経歴としてもアカデミックの研究職から民間に転職しましたので、一般的な会社勤めとしての社会人経験を年齢程には経験していません。そして女性であり、三人の育ち盛りの子どもを抱える母親であるというのも、MBA では少数派です。しかし、そういったマイノリティからの視点がこれからの経営には重要となるのではないか、と思っています。入学前は勉強と仕事と家庭の両立が本当に自分に出来るのだろうかと不安でした。実際、仕事の成果を維持しつつ、平日は通勤や昼休みなどの隙間時間を授業の予習復習に充て、お休みの日は課題や家族の用事にとゆっくり休む暇がないのも事実です。でもこの濃密な2年間で得られるものは、その努力に十分見合うものです。だからもし「やってみたい」という気持ちがあるのならば、ぜひそれを大切にして、本学への入学をチャレンジされてはいかがでしょうか。

都立大の特徴である少人数教育のため、とにかく議論の機会が多く、先生と生徒との距離が近いです。専門知識が豊富な先生方の講義と多種多様な業種・職種にある学友のリアルな話が混ざり合い、授業のたび新発見があってワクワクします。外部の企業経営者のお話を聞く機会があるのも非常に勉強になります。もう一つの都立大の特徴が、修了要件である修士論文の執筆です。その大きな目標のために必要な授業カリキュラムがきちんと用意されています。特に1年前期からのグループ研究や公共経営アクションリサーチに参加したのは、研究の進め方を学ぶだけでなく、物事に対する広い視野を養うことが出来てとても良い経験になりました。1年後期から始まったゼミの仲間とは、それぞれの研究テーマは異なりますが、お互いに情報共有して助けあっており、この仲間と出会えたことも大きな財産となっています。

現職では、医薬品の副作用といった安全性情報を医学文献等から収集し、その情報をお客様に提供する仕事をしております。現場監督の立場として「働く人の能力そのものが商品の品質に直結する場合の人材マネジメントはどうやったらいいのだろう?」と悩んでいる時、ふと立ち寄った書店で『経営組織(金井壽宏著・日経文庫)』という本に出会いました。その本を読み進めていくと、自分が仕事で経験する様々な出来事が組織論で研究され、その結果、多くの理論が構築されていることを知りました。

「悩みを持っているのは自分だけじゃない。ビジネスを基礎から学び、そして経営についての議論がしたい。」そう思ったとき、MBA が自分の目的を達成するために一番近い場所だろうと考え、理論と実践のバランスが良い都立大 MBA の入学を志願しました。

Page 11: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

10

年 齢 構 成

男女比

出身大学の文系・理系構成

20 代15%

30 代39%

男 性79%

女 性21%

文 系74%

理 系26%

40 代30%

50 代16%

60 代 0%

現役学生の構成(2020 年5月現在)

MF    (Master of

Finance)

 本学大学院経営学研究科は、東京都の成長戦略の一環として、グローバルに活躍できる高度金融専門人材を養成するために、ファイナンスプログラムを2016 年度に開設しました。取得できる学位は修士

(ファイナンス)(Master of Finance)です。最先端の金融工学を基礎とするファンド・マネージャー、クォンツ・アナリスト、リスク管理者の養成、および事業会社の財務分野で CFO などのキャリアを目指す方々の教育に重点を置きます。国際的水準の教授陣による最先端のカリキュラムを提供し、国際金融都市のアカデミックな拠点を形成していきます。 キャンパスは MBA プログラムならびに MEc プログラムと同じ丸の内サテライトキャンパスで、多くの講義は平日の夜間ならびに土曜日に行われます。履修については相互に乗り入れがあり、MBAの院生も、MF の科目の多くを履修することができます。

Programファイナンスプログラム

MEc  (Master of

Economics)

 本学大学院経営学研究科では、2018 年度から新たに経済学プログラム(MEc)を開設しました。取得できる学位は修士(経済学)(Master of Economics)です。MEc プログラムでは、近代経済学と歴史からのアプローチに重点を置いており、スタッフの多くは、これまで学術研究に携わり経済学や関連する分野の国際学術誌に論文を発表してきた研究者です。また本プログラムは既に社会人だけではなく、さらに経済学を深く学び探求してみたいと思う大学生にも門戸を開いています。 キャンパスは MBA プログラムならびに MFプログラムと同じ丸の内サテライトキャンパスで、講義は平日の夜間ならびに土曜日に行われます。履修については相互に乗り入れがあり、MBA の院生も、MEc の科目の多くを履修することができます。

Program経済学プログラム

Page 12: 東京都立大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 博士 …...1 MBA Program Director 東京都立大学大学院 経営学研究科 教授 経営学プログラム(MBA)

詳細については、必ず公式の学生募集要項でご確認ください。

■募集定員経営学専攻:50 名(経営学プログラム、経済学プログラム、ファイナンスプログラムの合計)経営学プログラムでは 30 名程度を予定しています。募集定員に満たない場合でも入学を許可しないことがあります。

■選抜方法選抜は9月と2月に実施予定。提出された書類と本研究科で実施する学力試験(筆答試問、口頭試問)の結果により総合的に判断して決定します。

■納付金等(予定額)入学料:東京都の住民……………… 141,000 円    その他の者………………… 282,000 円授業料(年額)……………………… 520,800 円

Entrance Examination − 入試関連情報 −

東京都千代田区丸の内 1-4-1丸の内永楽ビルディング 18 階TEL. 03-6268-0521

東京都立大学丸の内サテライトキャンパス

入試関係のお問い合わせ先

東京都立大学管理部 | 文系学務課 経済経営学部教務係〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1TEL.042-677-1111(内線 1715、1716)

入試関連等の情報は、ホームページにて随時更新して参ります。

https://www.biz.tmu.ac.jp スマートフォン・タブレットの方はコチラから

AccessMap

プログラムの主な授業が開講される丸の内サテライトキャンパスが設置されている丸の内永楽ビルディング18階の賃借契約期間は 2021年3月末までとなっていますが、本研究科としましては、2021 年4月以降も同ビルディングにて本研究科の授業を継続できるように関係部署と協議を行っています。(2021年4月からキャンパスが移転される可能性が排除されていないことをお含みおきください。)