bcpと防災マニュアル...bcpと防災マニュアル 2012年2月5日 5 第2章...

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BCPと防災マニュアル 2012251 BCPと防災マニュアル (Version 2.0) 【目次】 はしがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第0章 BCPと防災マニュアルの違い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第1章 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第2章 対象とするリスク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第3章 緊急事態に対する組織体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 第4章 緊急連絡網 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 第5章 情報の収集と提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 第6章 応急救護・初期消火・避難等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 第7章 継続対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 第8章 復旧対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 第9章 予防対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 第10章 ITの対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 第11章 教育と訓練 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 第12章 地域とインフラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

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Page 1: BCPと防災マニュアル...BCPと防災マニュアル 2012年2月5日 5 第2章 対象とするリスク 防災マニュアルには、命の危険がある災害を主に考えていますので、この章はありませ

BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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BCPと防災マニュアル

(Version 2.0)

【目次】

はしがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

第0章 BCPと防災マニュアルの違い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

第1章 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

第2章 対象とするリスク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

第3章 緊急事態に対する組織体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

第4章 緊急連絡網 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

第5章 情報の収集と提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

第6章 応急救護・初期消火・避難等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

第7章 継続対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

第8章 復旧対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

第9章 予防対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

第10章 ITの対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

第11章 教育と訓練 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

第12章 地域とインフラ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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はしがき

本稿では、事業継続計画書(BCP)と防災マニュアルを比較しています。防

災マニュアルの中心は「命を守る」ですが、BCPは少し欲張りで「命を守る」と

「企業の事業(機能)を守る」の両面作戦です。

本稿は中堅・中小企業を対象としていますので「命を守る」に少し偏っていま

すので、防災マニュアルとの類似点が多くあります。

ただし、中堅・中小企業でも社会機能を維持する責任を持つ企業は、従業

員や関係者の「命を守る」と共に、地域や社会のために「事業を守る」必要があ

りますので、本稿のレベル以上に「事業を守る」を実施することになります。これ

は具体的には、本稿よりレベルの高いリスクアセスメントとBIA(ビジネス影響分

析)を実行することになります。これらの資料としては、「JIS Q31000:2010 リ

スクマネジメント―原則及び指針」と、筆者編著「事業継続マネジメントシステム

の構築と実務、共立出版、2008年」が参考になると思います。

本稿の各章では、「*****」線以下が、実際のBCP文書になります。とこ

ろで、BCPとは、事業継続性を考える事業継続マネジメントシステム(BCMS)

の成果物のことで、緊急時対策書、継続対策書、復旧対策書、予防対策書、

教育・訓練対策書などの各種マニュアルの総称です。

なお、本稿の執筆に際しては、BCPは内閣府の「事業継続ガイドライン第一

版」と、現在検討が進められているISO22301「事業継続マネジメントシステム

― 要求事項(最終案)」を、また、防災マニュアルは愛知県防災局が編集した

「防災マニュアル作成例」を参考にしました。

2012年2月5日

黄野吉博

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第0章 BCPと防災マニュアルの違い

まず、「BCP」と「防災マニュアル」を目次の項目で比較すると、BCPの方には防災マニ

ュアルにはない「対象とするリスク」、「継続対策」、「ITの対策」、「地域とインフラ」の四つの

章があります。各章の中味は、用語を含め多少違いますが、BCPと防災マニュアルの一

番の違いは、この四つの章にあります。これら四つの章には多かれ少なかれ「事業(機能)

を守る」が含まれています。

さらにですが、BCPの中心は第6章と第10章にあります。継続対策もIT対策も事業を

守るための対策です。この中には、事業を維持するための代替生産、代替販売、迂回路

の活用、代替部品やITのバックアップオフィス、代替要員などが含まれます。

福島原発事故で、指定避難区域にいた乳牛を他の地域に移し飼育することや指定避

難区域の双葉町役場や飯舘村役場が役場機能を他に移し業務を継続することも継続対

策ですし、また、津波で被災した自動車部品メーカーがユーザー企業で事業を再開した

ことや、計画停電のために土日祝日などに操業を行い、平日を振替休日にすることも継

続対策です。東日本大震災では、被災後に継続対策を検討し、実行した事例が多く見ら

れますが、BCPはできる限り平時の冷静なときに、継続対策を考えます。

BCPの目次 防災マニュアルの目次

第1章 はじめに 第1章 はじめに

第2章 対象とするリスク

第3章 緊急事態時における組織体制 第2章 災害時における組織体制

第4章 緊急連絡網 第3章 緊急連絡網

第5章 情報の収集と提供 第4章 情報の収集と提供

第6章 応急救護・初期消火・避難等 第5章 応急救護・初期消火・避難等

第7章 継続対策

第8章 復旧対策 第6章 復旧対策

第9章 予防対策 第7章 予防対策

第10章 ITの対策

第11章 教育と訓練 第8章 防災教育・防災訓練

第12章 地域とインフラ

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第1章 はじめに

本章では、BCPと防災マニュアルに大きな相違はありません。以下の文書はBCP用で

すが、文書中にある「BCP」を「防災マニュアル」に、また「災害・事故・事件」を「災害」、そ

して第2項の「継続を図る」を「復旧を図る」に置き換えると防災マニュアルになります。

「継続を図る」と「復旧を図る」では、大きな違いがあります。「継続」とは継続対策のこと

で、被災後に新たな機材や人材を活用せずに、既存の機材や人材を転用や代用し、事

業および業務を続けることです。この中には代替生産や代替販売も含まれます。継続対

策がない場合は売上の減少を防止するために被災した工場や店舗の復旧を急ぐことにな

り、隣接する他社や地域社会に迷惑をかけることも、企業エゴと批判されることもあります。

応急復旧対策は新しい機材・人材を活用し、期間を数ヵ月から数年に限定して行う対

策です。被災後の企業は、例えば店舗は仮設店舗、生産は代替工場の活用など、継続

対策と応急復旧対策の組合せを活用することになります。コスト的には継続対策の方が既

存の経営資源を活用するため、安くまた早くなります。

参考までに継続対策と応急復旧対策を分類すると、避難所、避難住宅、事務所を代

用した店舗、代替工場は継続対策で、仮設住宅、仮設店舗、仮設事務所、仮設工場は

応急復旧対策になります。

************************************

第1章 はじめに

地震や水害をはじめとした災害・事故・事件(以下「災害等」という)に対処するため、こ

こにBCPを定める。当BCPは、わが社の従業員および関係者(以下「従業員等」という)と

資産、事業と業務の推進に大きな影響を与える災害等に対し備えるためのものであり、次

の三点を原則とする。

第1に、人命の保護を最優先する。

第2に、資産を保護し、事業および業務の継続を図る。

第3に、余力がある場合には近隣事業所への協力に当たる。

なお、当BCPによって迅速的確な対応をすることが、災害等による被害を軽減すること

となるので、従業員等は、予めこの内容をよく理解すること。

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第2章 対象とするリスク

防災マニュアルには、命の危険がある災害を主に考えていますので、この章はありませ

ん。BCPは事業を守るために、事業に脅威を与える災害・事故・事件を考えますので、こ

の章が必要になります。

なお、リスクは顕在化するまでで、顕在化後は災害・事故・事件(以下「災害等」)になり

ます。すなわち、顕在化前は「地震リスク」、「津波リスク」であり、顕在化後(発災後)は「地

震災害」、「津波災害」になります。

災害等は国や地域により発生する頻度や影響度が異なります。日本では、地震、津波、

水害、土砂災害など自然災害の発生頻度と影響度が高いのですが、欧州では水害(結

構長期間影響が出ます)、テロ、感染症が高く、北米では水害、竜巻、誘拐が高くなりま

す。また、海岸や河川に近い場合は、津波や河川氾濫が、山に近い場合は、土砂災害の

リスクが高くなります。

リスクアセスメントの観点からは、対象リスクを広くした方が「想定外」が減少しますので良

いのですが、対象リスクの増加はBCP文書を増加させ、リスク対策室や総務課の業務を

増やし、リスク管理を複雑にします。初級では対象とするリスクを下表から3~5個を選び出

し、まず一通りBCPを作成してください。その際、ひとつは事業を守るためのリスク含めてく

ださい。その後、BCPの作成と実行の習熟度が上がってから、対象リスクの数を増やして

行くことをお薦めします。

事象の分類

分類 事 象

災害 地震、台風、津波、高潮、河川氾濫、内水氾濫、土砂災害、竜巻、火山噴

火、降灰、雪害、感染症、他

事故 火災、情報漏洩、IT障害、労働災害、水質汚染、サプライヤ事業中断、物

流障害、材料異常、設計ミス、判断ミス、他

事件 テロ、サイバーテロ、役員誘拐、窃盗、放火、社内暴力、横領、他

(注意) 本稿では、自然災害を「災害」、判断ミス・操作ミス・設計ミス・劣化を「事

故」、意図的攻撃を「事件」としている。

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事象の規模

事象 規 模

地震 震度7、6強、6弱、5強、5弱

津波 10m以上、10-5m、5―2m、2-1m、1m未満

火災 大規模(周辺を含む)、大規模、中規模、小火

水害 浸水深: 3m以上、3-1m、1m未満

IT障害 中断時間: 24時間以上、24-12時間、12-6時間、6時間未満

SC中断 中断時間: 3ヵ月以上、3-1月、4-2週間、2週間未満

(注意) 事象の規模は、想定被害額(直接、間接)を算出する際に必要となる。

また社長は、事象の想定規模をBCPの構築関係者に提示する必要があります。この想

定規模に基づきBCP関係者は想定被害額(直接、間接)を算出し、各種対策を講じるこ

とになります。

さらにですが、社長は、対象とするリスクと、リスクが顕在化したときの想定規模を毎年見

直しする必要があります。

**************************************

第2章 対象とするリスク

当BCPで対象とする災害等は次のとおりとし、これ以外のリスクについては社長または

社長が指名した者(以下「社長等」という)が追加する。

自然災害: 地震、水害

事故・事件: IT障害、火災、サプライチェーン途絶

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第3章 緊急事態における組織体制

防災マニュアルでは「災害時における組織体制」と表題が代わりますが、内容はBCPと

ほぼ同じです。違いは、防災マニュアルでは「防災対策室」の設置場所が一箇所ですが、

BCPでは「防災対策室」が「災害等対策室」に名称が変わり、一番目の設置場所が使え

なることも想定し二番目を設置します。

ここでも、命を守ると事業を守るが出てきますが、最優先は命を守るための組織と活動

で、次が事業を守るための組織と活動になります。

東日本大震災では、予定した対策室が被災し、他の場所に対策室を設けざるを得なく

なった自治体、企業が多数出ましたが、BCPでは平時から対策室を二箇所以上に設置

することを推奨しています。

一番目の対策室と二番目の対策室の距離ですが、火災の場合は近い方が良く、広域

災害や原発事故を考えるとある程度離れた方が良いことになります。これらを考え、本書

では「50km離れる」ことにしています。なお、この距離は各社でご検討ください。

また、小型の対策室である「対策準備室」の設置もお薦めします。これは、緊急事態か

否かの判断が難しい場合に設置します。地震・津波・火事などは緊急事態の判断が容易

ですが、水害・風害・土砂災害などは企業の設置場所により対応が異なりますので緊急

事態の判断が難しくなります。さらに、サプライチェーン途絶、IT障害、社内犯罪などは、

自社単独での判断になりますから極めて難しくなります。この判断が難しい時に設置する

のが対策準備室です。

準備室は、総務課やリスク室が兼務することも可能です。ただし、事象により必要とする

人材が異なりますので、必要になる人材を含めることができる体制にします。

**************************************

第3章 緊急事態時における組織体制

1. 対策室の設置時期は、震度5強以上の地震、津波・水害・土砂災害などの自然災

害については気象庁が当地域に警報を出した時点とする。

2. 対策準備室の設置時期は、震度4以上の地震、津波・水害・土砂災害などの自然

災害については気象庁が当地域に注意報を出した時点とする。

3. その他の災害および事故・事件では社長または社長が指名した者(以下「社長等」)

が対策室または対策準備室の設置を判断する。

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4. 対策室および対策準備室の設置場所は次のとおりとし、第二設置場所の使用は災

害等対策室長が判断する。

(1) 第一設置場所: ○○○ビル (○○町○○丁目○-○番)

(2) 第二設置場所: □□□ビル (□□町□□丁目□-□番)

(第一と第二は50km程度離れていることが望まれる)

5. 設置場所の必要機材は次のとおりとし、災害等対策室長が管理する。

固定電話、携帯電話、ファックス、パソコン、プリンター、複写機、事業所配置図、

平面図、組織図、従業員等の名簿、救急箱、飲料水、非常食料、毛布など

6. 災害等対策室の組織はつぎのとおりとし、社長が対策室長と対策室次長を任命す

る。

7. 対策室長は、次の業務を行う責任者を任命する。

(1) 従業員および関係者の安否を確認する者

(2) 社内および周辺の主に人に関係する情報の収集、記録、報告をする者

(3) 救急救命を担当する者

(4) 消防、警察、自治体、病院との連絡を担当する者

(5) 顧客、サプライヤとの連絡を担当する者

(6) 設備、部材、商品などの被害の情報を収集、記録、報告する者

室次長

災害等対策室長

情報係A 情報係B 連絡係 安否係 保安係 連絡係 情報係

災害等対策準備室長

室次長

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第4章 緊急連絡網

防災マニュアルもBCPも基本は同じですが、ここでもBCPは事業の維持に必要な事項

が増えます。

東日本大震災では、被災しなかった東京でも固定電話、携帯電話が使えなくなり多く

の方が家族との連絡に6時間以上を要すことになりました。また、Eメールも輻輳し、電話と

同じ程度の時間を要しました。被災時における家族、友人、従業員等との連絡を確保す

ることは大変大きな問題ですが、これは通信会社に改善をお願いすることになります。

また、インターネット(IP)電話、衛星電話、韓国・台湾・米国など海外経由電話の活用

が考えられます。東日本大震災では、これらは比較的早く通話ができました。ただし、多く

の人が活用する用になると、これも混雑し、通話までに時間がかかる可能性があります。

**************************************

第4章 緊急連絡網

1. 従業員および関係者の安否確認・緊急動員に係る緊急事態は下図のとおりとし、班

長および副班長は対策室長が任命する。

2. 緊急連絡網を使用する際は、次の事項に注意する。

(1) 災害等が発生した時は、速やかに指定された次の従業員等へ連絡する。

(2) 長電話は避け、連絡は簡潔に行う。

(3) 次の従業員と連絡がとれないときは、その従業員等をスキップして次の従業員

等へ連絡する。

(4) 電話で連絡のとれない従業員については、対策室長が指定した者(連絡のとれ

ない従業員等宅の最寄りに住む従業員等)が直接訪問する。

(5) 災害等で被災し、負傷し、被害をうけた従業員等に対し必要なサポートをする。

(6) この緊急連絡網は、対策室からの情報伝達用連絡網としても使用される。

(7) 当社ホームページの対策室の掲示板にも逐次必要な情報を掲示する。

(8) 電話は固定電話と携帯電話を併記し、連絡先は適宜メンテナンスを行う。

3. 事業の維持に関する連絡と報告および指示は次の者が担当する。

(1) 顧客関係

(2) サプライヤ関係

(3) インフラおよびその他

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災害等対策室

班長

副班長

班長

副班長

班長

副班長

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第5章 情報の収集と提供

情報の収集と提供も「命を守る」を優先して行い、次いで「事業を守る」関係を行いま

す。

「命を守る」関係では、一部の用語が代わる程度で、BCPと防災マニュアルに大きな違

いはありません。なお、震度6弱以上や大津波の際は、特に正確な情報が必要になります

が、大規模災害であればあるほど、また被害が深刻であればあるほど、正確な情報の収集

は大変になり、時間もかかります。

さらに、対策室が「命を守る」ために発信する情報も正確さが減少し、不透明なままにな

ることもあります。例えば、「逃げろ」ですが、「どこに逃げろ」の「どこに」が曖昧になります。

このためにも、避難訓練と避難場所を平時に確認することは重要です。

また、情報の混乱は、情報を修正する際に多く発生します。情報の修正手順を明確し、

周知徹底すると情報の混乱は減少します。また、受信情報の正確さ判断、発信情報の正

確さ判断と発信対象との関係は平時に教育・訓練する必要があります。

【受信様式】

(1) 受信時刻、発信源、受信者、表題を明記する

(2) 次に内容を記載する

(3) 最後に情報判断者名、受信番号、判断時刻、判断レベルを書き加える

【受信の判断レベル】

A: 100%事実である

B: 事実である可能性が高い

C: 事実である可能性が低い

D: おそらく事実でない

E: 事実か否か不明

【発信様式】

(1) 文書作成時刻、作成者名、発信番号、発信先、表題を明記する

(2) 次に内容を記載する

(3) 最後に発信者名、発信時刻、発信レベルを書き加える

【発信の判断レベル】

A1: 100%事実であり、行動を伴う

A2: 100%事実であり、行動を伴わない

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B1: 事実である可能性が高く、行動を伴う

B2: 事実である可能性が高く、行動を伴わない

C: 事実の精度は不明だが、行動を伴う情報

**************************************

第5章 情報の収集と提供

1. 情報の項目、収集方法および責任者は先に決めたとおりとする。

2. 情報の収集に際しては次の事項に注意する。

(1) 建物内の従業員等、社外出務中の従業員等の安否確認を行う。

(2) 負傷者の有無(傷病程度も)を把握し、必要な応急措置を行う。

(3) 収集した情報は、会議室の壁にまとめて張り出すなどして、情報の一元管理を

図る。

(4) 収集した情報をPCで整理する要員を配置する。

(5) 災害等対策用従業員等の招集と、自宅待機従業員等の振り分けを行う。

(6) 勤務時間外に発生した場合には、参集者で災害等対策準備室を立ち上げる。

3. 対策室長が指名した担当者は関係業者の一覧表を作成し、変更がある都度更新し、

社内の関係者に周知する。

関係業者名 所在地 責任者 電話番号 FAX

A 通信会社

B 建設業社

C 物流会社

D 警備会社

E 電気会社

F 設備会社

・・・・・・

【注意】

社内での情報の錯綜を排除するためには、施設および関係業者毎に発信者とそ

の代理、受信者とその代理を平時に決めて置くこと。

電話・FAXが使用できない場合は、Eメールを活用すると良い。

4. 担当者はインフラ関係および行政等の連絡先一覧表を作成し、変更がある都度更

新し、社内の関係者に周知する。

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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情報 機関 入手先名(機関名) 電話番号

消防 ○○消防署

○○出張所

警察 ○○警察署

○○派出所 行政情報

(町村)

○○市役所

○○市区役所

県 ○○県防災局災害対策課

災害対策本部情報統括部(設置時のみ)

道路

○○運輸局

○○県警察本部災害対策課

○日本高速道路株式会社

○○県道路公社

交通情報

鉄道・バス

JR○○駅

JR△△駅

A私鉄○○駅

B私鉄○○駅

地下鉄○○駅

○○市交通局

○○バス

電気 □□電力○○営業所

ガス □□ガス○○営業所

△△ガス○○営業所

インフラ

水道 ○○市水道局

○○県健康福祉部生活衛生課

気象情報 気象 ○○地方気象台[天気相談]

(気象予警報 177)

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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第6章 応急救護・初期消火・避難等

日本では応急救護も初期消火も一人でも実施する事例がありますが、米国ではまず三

人集めてからこれを実施する事例が多いように思います。これは、一人が対応を行い、一

人が対応者を見守り、最後の一人が緊急時の連絡担当になるためです。無論、この三名

ともに応急救護の教育と訓練を受けていることが前提になります。

三名を集めてから活動を開始するのは二次被害を避けるためには大変有効な方法で、

例えば、倒れている人を救護する場合に、倒れた理由がサーバルームでの酸素欠乏とす

ると対応者も救護を開始すると同時に酸欠で倒れる可能性があります。見守り者はそれを

連絡担当者に伝え、連絡担当者は消防、警察、関係者に伝えることになります。

このケースを一名で対応すると、始めに倒れた人と対応者の二名が被災し、共に死亡

する可能性があります。また、初期消火も一名で行うと、自身が被災したい場合に救出も、

連絡も出来なくなります。

なお、初期消火および応急救護は訓練を受けた方のみが実施し、訓練を受けていない方

は避難するが基本です。

**************************************

第6章 応急救護・初期消火・避難等

1. 担当者は初期活動一覧表を作成し、必要がある都度更新し、社内の関係者に周知

する。

応急救護

従業員等による

応急措置

1. まず、3名を集める。

2. 教育と訓練を受けた従業員等により、応急手当を実施する。

医療機関への搬送 1. 119番通報により救急車を要請する。

2. 同時多発災害の場合は、社用車等により最寄りの病院へ搬送

する。

【指定搬送先病院】 ○○○○病院

初期消火

火の始末 1. 地震発災後は、建物内の火気使用場所を点検する。

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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【点検場所】 湯沸室、燃料庫、その他

初期消火 1. 火災を発見した場合は、大声で周囲の人に知らせる。

2. 119番通報を行う。

3. 3名になってから、初期消火に努める。

【必要機材】 消火器、消火栓、水バケツ等

4. 地震の場合には、消防車の到着が遅れることを考慮する。

避難など

避難誘導 1. 避難の場合は、避難誘導に従い落ち着いて行動する。

2. 外来者は不慣れであるので避難誘導にあたっては特に気をつけ

る。

避難場所 1. 火災時: 原則として地上に向かう。

2. 洪水、高潮時: 原則として 2 階以上に向かう。

3. 地震時: まず、自分の身の安全を図る。

非常持ち出し

1. 非常用ナップザックを準備し、次のものを収納しておく。

応急手当セット、ラジオ、懐中電灯、従業員等の名簿等

大規模災害時の

落ち合い場所

1. 自治体の指定避難所または避難場

2. 落ち合い場所に集まることができない場合は、「災害用伝言ダイ

ヤル171」を利用する。

愛知県防災局編「防災マニュアル作成例」から作成

2. 地震の心得は次のとおりとする。

地震の心得 10カ条

① まずわが身の安全を図る

地震が発生したら、まず丈夫なテーブル、机などの下に身をかくして、しばらく様子を

見る。

② すばやく火の始末

大地震で最も恐ろしいのは火災。地震を感じたら落ち着いて、冷静に、すばやく火の

始末。

③ 火が出たらまず消火

万一出火した場合には、初期のうちに火を消すことが大切。周囲に声をかけあい皆

で協力して初期消火に努める。

④ あわてて外に飛び出ない

屋外は屋根瓦、ブロック塀、ガラスの飛散など危険がいっぱい。揺れがおさまったら

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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外の様子を見て、落ち着いて行動する。(外へ出るときは、ヘルメットや頭巾などをか

ぶって出る)

⑤ 危険な場所には近寄るな

狭い路地、塀ぎわ、ブロック塀の傍など、危険な場所にいるときは急いで離れる。

⑥ がけ崩れ、津波などに注意

がけ崩れ、津波など危険区域では、すばやく安全な場所に避難する。

⑦ 正しい情報で行動

テレビやラジオ、防災機関からの情報で行動し、デマに惑わされないよう注意する。

⑧ 人の集まる場所では冷静な行動を

あわてて出口や階段に殺到せず、係員の指示に従う。

⑨ 避難は徒歩で、持ち物は最小限に

避難は自動車、自転車は使わず徒歩で。また、身軽に行動できるよう荷物は必要最

小限にとどめ、背負うなどして両手をあける。

⑩ 自動車は左に寄せて停車

カーラジオの情報に注意し、勝手な走行はしない。また、走行できない場合は左に寄

せて停車し、エンジンを止める。車を離れて避難する時は、キーはつけたままで、ドア

ロックもしない。車検証などの貴重品を忘れず持ち出して徒歩で避難する。

愛知県防災局編「防災マニュアル作成例」から作成

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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第7章 継続対策

本章は「事業を守る」ですから、防災マニュアルにはありません。内容は代替対策、代

用対策です。いつもの駐車場が使えない場合は代替駐車場の活用、電力中断には非常

用発電機や蓄電池の活用などです。

図は、予防・緊急事態・継続・復旧の各対策を時間軸で表しています。発災(A点)前

は予防対策が中心であり、その後には緊急時策と継続対策が始まります。復旧対策と次

の災害等に備える予防対策は、被害の拡大が明らかに止まり、二次被害の可能性がなく

なり、緊急事態対策が終了するB点から開始されます。復旧対策が終了するC点では、継

続対策も終了し、平常時の体制に戻ります。

東日本大震災後のように、被災後に継続対策を考えることも大変重要ですが、平常時

に継続対策を考えると継続対策への移行時間が短縮化され、事業の継続性が高くなると

共に、かかるコストも低減できます。

時間

予防対策

緊急時対策

継続対策

復旧対策

事前 発災 事後

計画準備期間 活動期間

A点 B点 C点

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**************************************

第7章 継続対策

1. 災害等で本社ビルが使用できない場合は、○○支社でその機能を維持する。○○支

社が使えない場合は△△支社でその機能を維持する。

2. 支社などの事務所が使用不能の場合は、仮事務所を設置する。設置場所は各支社

長が平時に決定する。

3. 本社工場が被災した場合は、○○工場で同一商品の生産を行う。

4. 情報センターが被災した場合は、□□支社でその機能を維持する。そのため、各種

データは毎日午後7時に□□支社に送信し、保管する。

5. 継続対策に必要な要員は、都度社長が指名し、必要な訓練を行う。

【注意】

ここでは本社機能、本社工場、情報センターとなっているが本来は全社に高い影

響がある事業、業務を選び出し、これらの継続対策を考えることになる。

全社に高い影響がある事業、業務を選び出す作業を、ビジネス影響分析(BIA)と

いい、ISOのBCMS(事業継続マネジメントシステム)では必須作業になる。

ITの継続対策(バックアップ)は特に重要である。東日本大震災では、ITの継続対

策がない自治体や企業が見受けられ、重要データが修復できないほど損傷した事

例もあった。

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第8章 復旧対策

復旧対策には、生活の復旧と事業の復旧がありますが、ここは事業の復旧対策です。

また、復旧対策には応急復旧対策と恒久復旧対策があります。応急復旧と言う言葉は、

道路、上下水道、電力、通信、ガス、堤防などのインフラ関係で多く使われます。この場合

は、応急復旧の数ヶ月後から数年後に、防災・防犯力を高めた恒久復旧が行われるのが

一般的です。

企業の場合は、被災後に応急復旧か、恒久復旧か、または整理か、を社長が決めるこ

とになります。企業の応急復旧とは、被災した現場またはその近くで、仮設工場・店舗・事

務所を設置し、早期に業務を再開することですが、その使用期間は数ヵ月から数年です。

ただし、高度な設計を必要とする専門的な工場や、高度にITを活用する事務所は応

急復旧が困難であり、これは恒久復旧のみになります。

継続対策である代替工場や代替店舗が活用可能な場合は、社長は応急復旧をする

か、継続対策で乗り切るか、判断することになります。一般的に、新たに資材や設備を購

入し建築する応急復旧よりも、既存の建物や設備を代用する継続対策の方がコストを安く

押さえられます。なお、工業は継続対策で対応し、店舗は仮設店舗で対応する組合せも

あります。

東日本大震災では、被災後に継続対策と応急復旧を考える企業がありましたが、冷静

な平時に両対策を検討し、ある程度の実行案を準備した方が、被災後の時間もコストも低

くなります。

復旧する事業・業務(または商品)の優先順位は、一般的には中断時間が長くなると利

益額と売上額の減少が大きい事業から復旧することになりますが、被災後にこの優先順

位を決めると、復旧が容易な部分から始めることが多くなり、企業経営へのダメージを最少

化することになりません。

優先順位は、中断が売上額と経費に与える影響をチェックし、平時に社長が決めること

が望ましく、図はその際の参考です。なお、この図では中断時間が6時間から1週間と短い

ですが、これは地震や火災よりも発生頻度が10倍ほど高いIT障害を想定しているためで、

自然災害ではこの中断時間が1日から6ヵ月程度になります。

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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中断の時間 事業名

優先

順位

売上額

経費額 6時間 12時間 24時間 1週間

売上変動額 A事業

経費変動額

売上変動額 B事業

経費変動額

売上変動額 C事業

経費変動額

(注意) 中断時間中は、売上額も経費額も減少する。

**************************************

第8章 復旧対策

1. 社長等が応急復旧を指示した場合は、対策室長は次の業務を行う。

(1) 被災した自社の経営資源を確認する。

(2) 使用可能な経営資源を確認する。

(3) 応急復旧に必要な資源のコストと調達時間を調べる。

(4) 社長等が応急復旧の範囲と期間を決定する。

(5) 応急復旧を実施する。

2. 社長等が恒久復旧を指示した場合は、対策室長は次の業務を行う。

(1) 被災した自社の経営資源を確認する。

(2) 使用可能な経営資源を確認する。

(3) 社長等が恒久復旧計画を策定する。

(4) 応急復旧に必要な資源のコストと調達時間を調べる。

(5) 計画に基づき復旧を実施する。

3. 対策室長は次の事項に留意する。

(1) 被災した建物や資源の警備体制を確保する。

(2) 被災事業所の所在する地域社会の救援活動および復旧計画には、進んで協

力する。

(3) 避難場所の提供に協力する。

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第9章 予防対策

ここには、「命を守る」と「事業を守る」の両方があります。また、対策は対象リスクの増加

に伴い増加します。対策の基本は、危ない所(リスクの顕在化率が高い所)から危なくない

所への移転、免震構造や装置・備品の固定などのハード対策、各種マニュアルの充実や

教育・訓練などのソフト対策があります。

ハード対策には以下のような経営資源の二重化と分散化も含まれます。東日本大震災

でも原発事故でも極めて重要と指摘されるのは「無形財」に含まれる「経営意欲」、「勤労

意欲」、「ブランド」です。有形財や情報、資金が津波に流されても、人材が残り、その人材

に経営意欲や勤労意欲があれば組織や企業は再生が可能です。

逆に、終息の見通しがなかなか出ない福島原発事故は、目の前にある有形財や情報

などが活用出来ないばかりか、経営意欲と勤労意欲を著しく傷つけますので、この意欲の

減少に歯止めをかける対策も必要となります。

人材 従業員、経営者、関係者など

無形財 知財、専門技能、ブランド、ノウハウ、経営意欲、勤

労意欲、観光資源など

有形財 材料、部品、生産設備、製品、建物など

資金 現金、貯預金、売掛金回収、給与支払など

情報(一般) 社史、規約、契約書、従業員情報、IR情報など

情報(ICT) 各種データ、各種ソフト、部材など

インフラ 電力、上下水道、ガス、通信、道路、鉄道など

サプライチェーン 顧客、サプライヤ、物流関係

**************************************

第9章 予防対策

1. 当社の建物および設備の予防対策は社長の指示に基づき各部門長が実施する。な

お、主な実施項目は次のとおりである。

(1) 建物の全般的定期点検と補強及び補修工事の必要項目を毎年一度見直す。

(2) 看板、ブロック、ガラス等の落下倒壊防止対策を実施する。

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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(3) キャビネット、パーテーション、ロッカー等什器の転倒防止を実施する。

(4) ストーブ、湯沸かし器等火気使用設備、危険物施設、消防用設備、AED等の

安全確認と点検を実施する。

(5) IT機器、複写機、FAX等情報機器類の安全対策を実施する。

2. 重要書類の保管と非常用持ち出し袋の管理は社長の指示の基づき各部門長が実

施する。なお、主な項目は次のとおりである。

(1) 重要書類は、耐火金庫に保管する。

(2) 非常用持ち出し書類は、最小限とし、火災又は爆発の危険性のあるときに限

る。

3. 非常用持ち出し袋は、事務所棟とB倉庫に各4セットを対策室長が保管する。

(非常用持ち出し袋の収容物)

№ 品 名 数量 № 品 名 数量

1 救急医療セット 1 11 部門の従業員等名簿 1

2 携帯ラジオ 1 12 軍手 2

3 懐中電灯 1 13 ゴミ袋 2

4 予備電池(ラジオ、電灯用) 1 14 ウォーターパック 1

5 現金(小銭) 1 15 マスク 2

6 テレホンカード(50度数) 1 16 笛 2

7 ライター 1 17 近隣の地図 1

8 タオル 2 18 方位磁石 1

9 ポケットティッシュ 5 19 災害用トイレ 10

10 コップ 5

20 その他

愛知県防災局編「防災マニュアル作成例」から作成

4. 非常用備品は次のとおりとし同数を事務所棟とB倉庫に保管する。対策室長はは毎

年○月と□月の第一水曜日に現在の数量、内容物の保存状態を確認し、関係者に

周知する。

【注意】表の数量は30名・3日分である。

項目 番号 品名 数量

1 飲料水 300リットル 食料 2 食料品 (カンパン、カップ麺、缶詰等) 300セット

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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3 毛布・タオル 各60枚

4 炊き出し道具 (携帯コンロ、携帯燃料、鍋など) 3セット

5 食器セット(紙皿、紙コップ、箸等) 3セット

6 ポリタンク 6個

7 ティッシュ・ウエットティッシュ 各30個

8 軍手 60組

9 防塵マスク 60個

生活用品

10 簡易トイレ 300個

11 防水シート 6枚

12 土嚢 120個

13 ロープ 150メートル

14 救急箱 3セット

15 懐中電灯(予備の電池含む) 15個

16 ヘルメット 30個

17 脚立(はしご) 3個

各種機材

18 防災用工具 3セット

19 感染症対策マスク 360個

20 消毒液 9個

21 体温計 3個

22 感染防止手袋 180組

感染症対策

23 感染症防護服 12組

24 雨具 60組

25 使い捨てカイロ 360個 その他

26 その他

愛知県防災局編「防災マニュアル作成例」から作成

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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第10章 ITの対策

これは「事業を守る」対策です。下の表は、英国のICM社が関係2000社のBCP発動

理由を調査した結果ですが、地震や火災よりも圧倒的にIT障害が多いことを示していま

す。その中でも、ハブやルータ、電源、冷却ファンなどIT部品の故障が80%以上を占めて

います。無論、IT障害は地震や水害、火災に連動しても発生しますが、その多くはIT単

独での事故・事件です。

単位:件数

BCP発動理由 2009年 2010年

ウィルス 2 2

電源停止 8 7

アクセス拒否 2 1

通信中断 3 10

データ損傷 0 3

害 IT部品の故障 114 114

環境破壊 0 2

火災 0 0

洪水 1 1

その他 3 0

合計 133 140

英国ICM社の資料から作成

ICM社の調査は、IT障害ではIT部品の故障が多いと指摘していますが、その内容ま

では解説していません。一般的に、IT部品で故障や劣化が多いのは、インターネットと社

内ネットワークを接続する部分のハブ・ルータ、社内サーバの電源・ハードディスク・冷却フ

ァン、社内サーバとパソコンを接続するハブ・ルータです。

従って、ITの対策は、故障の可能性が高いハブ、電源などの予備部品を持つことと、

問題点を素早く見つけ修復できる人材を社内または社外に確保することになります。予備

部品は1個あたり数千円から数十万円ですが、人件費の方はITの規模と対応時間の早さ

で異なり、社外の監視サービス(部品の故障を見つける)や障害復旧サービスに委託する

と、毎月30万円位から数百万円になります。多くの場合は、対応開始までの時間は24時

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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間以内になりますが、12時間以内、6時間以内と短くなると外部委託費はそれに連れ高

額になります。

また、IT障害が発生した際に問題となるのは、事業・業務毎の目標復旧時間(RTO)

の設定と、目標復旧ポイント(RPO)の設定です。目標復旧時間は名称のとおり、復旧す

べき時間目標であり、目標復旧ポイントは喪失しても良いデータの時間です。例えば、金

融機関では事故などで喪失しても良いデータは事故前のゼロ秒であり、「目標復旧ポイン

トはゼロ秒」と表現されます。生産企業ではこれほど厳しくなく、事故などで喪失しても良い

データは事故前の10~60分程度になります。これを「目標復旧ポイントは10分から60

分」と表現します。

目標復旧時間も目標復旧ポイントもまずビジネス側(社内ユーザー側)が提示し、次い

でIT側(社内ベンダー側)がその条件に合うように調整を行います。ここでもRTOとRPO

が短くなればなるほど企業の事業継続性は高くなりますが、ITシステムのバックアップ性能

を高くすることが必要になり、経費もかさむことになります。

**************************************

第10章 ITの対策

1. 社長から任命されたIT管理責任者は、次の業務を担当する。

発災

Z

X

倒産・事業部閉鎖

目標復旧時間 RTO 目標復旧ポイント RPO

ビジネス側 時間軸

IT側

ビジネス側

IT側

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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(1) ITの全部品の名称、調達先、在庫状況、発注から納期までの時間、代替部品

の要件を明記した一覧表の作成

(2) IT関係要員の資格、知識、スキル、経験条件、代替要件を明記した一覧表の

作成

(3) ビジネス側と協議し、業務毎の目標復旧時間(RTO)の設定

(4) ビジネス側と協議し、業務毎の目標復旧ポイント(RPO)の設定

(5) RTO とRPOの遵守

(6) 情報漏洩対策と不正侵入対策

(7) 情報の予防・緊急事態・継続・復旧対策と各対策書(BCP)の作成

2. IT管理責任者は、バックアップオフィスの維持管理を担当する。

(1) 本社のIT機能のバックアップオフィスの設置

(2) 毎時(または毎日)本社のデータをバックアップオフィスへの送信

(3) 毎月一度、バックアップオフィス機能の検証

3. IT管理責任者は、次の事項に留意する。

(1) ITにかかる経費は社長の指示を受ける

(2) 次席および三席代行者を指名する

(3) 社長が別に任命するIT監査責任者の内部または外部監査業務に協力する

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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第11章 教育と訓練

教育と訓練は、「命を守る」と「事業(機能)を守る」の二つがありますので、混同しないよ

うに注意します。優先順位が高いのは、「命を守る」で、次が「命を守るための機能を守る」、

そして三番目が「事業を守る」になります。

「命を守る」ためには、地震・津波・火災など生命に危険を及ぼす災害の特徴、救急救

命器具の使い方、初期消火の方法、避難の方法と考え方などを座学で教育を受け、それ

を実地に訓練することになります。

「命を守るための機能を守る」は、対策室の安否確認方法や、安全確認の方法、負傷

者の手当と病院への搬送、地震時の職場内滞留者へ支援方法、火災や事故の場合の

第一発見者の行動、対策室の情報受発信方法などを座学で教育を受け、次にそれを実

地訓練することになります。ここの受講者は、「命を守る」教育訓練よりも限られた方になり

ます。

「事業を守る」ための教育は、IT対策、代替生産、代替販売、被害の確認方法、利用

可能な経営資源の判断方法、必要資金の手当て、インフラ中断時の対策、サプライチェ

ーン中断時の対策などですが、こちらの受講者は「命を守るために機能を守る」教育・訓

練らは全ての授業員と関係者を対象とする「命を守る」教育訓練よりもさらに少なくなりま

す。下の図は、各教育訓練の受講者数を表したものです。

それぞれの訓練には、入門から上級レベルまでがあります。下の表は、訓練のレベルと

難易度を表しています。なお、訓練の前後に、訓練内容に適した講義またはワークショッ

命を守る教育訓練の受講者 = 全従業員+関係者

事業を守る教育訓練の受講者

命を守るための機能を守る教育訓練の受講者

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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プを実施すると参加者の理解度は高くなります。訓練を実施する際は、訓練指導者と訓

練安全管理者を決め、両者および訓練受講者の知識や経験を確認し、適したレベルの

訓練をする必要があります。無理に高いレベルの訓練を行うと事故が生じる危険がありま

す。

また、中級・上級レベル以上の訓練では、目標を設定し、理解度と行動を試験により確

認する場合もあります。なお、インフラ系以外の企業が上級レベルの訓練をすることはほと

んどありません。

実地訓練の区別 A B C D

20名未満 ●

50名未満 ●

100名未満 ●

参加者数

100名以上 ●

1 ●

2 ●

3~4 ●

訓練の目的数

(顕在化するリスク数)

5以上 ●

100% ●

80%以上 ●

60%以上 ●

正確な情報の充実度

60%未満 ●

なし ●

1~2 ●

3~4 ●

突発的出来事

5以上 ●

入門レベルは、全てAまたはBが二つ以下。 初級レベルは、Bを三つ以上含む。

中級レベルは、Cを三つ以上含む。 上級レベルは、Dを三つ以上含む。

表中の「訓練の目的数」とは消火、避難、情報受信、情報判断、情報発信、行動命令

など、訓練の目的の数のことで、「正確な情報の充実度」は必要な時に必要な情報が入

手出来る比率のことです。この情報の充実度は、レベルが上がるに従い入手出来る正確

な情報が減少し、不正確な情報の比率が増加し、難しくなります。

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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第11章 教育と訓練

1. 「命を守る」訓練と教育は、対策室長が消防、警察などの指導と助言の下に実施し、

全ての従業員等は参加するものとする。

2. 以下の訓練は毎年一度実施し、これ以外の災害等に対する訓練は社長が別途指

示する。

(1) 防火訓練

(2) 救急救命訓練

(3) 防災訓練

(4) 防犯訓練

(5) 水防訓練

3. 「命を守る」訓練には次の項目を含む。

(1) 火災発生時の初期対応

(2) 地震発生時の初期対応

(3) 救出救護

(4) 災害等対策室の設置及び運用

(5) 情報の収集、伝達

4. 「事業を守る」教育は、対策室長が毎年一回以上実施し、次の項目を含む。

(1) 当社のBCPの概要について

(2) 各員の任務と行動基準について

5. 社長は各部門長に指示し、従業員等が次の講習会に参加できるようにする。

(1) 消防署が行う応急手当普及員講習会

(2) 警察署が行う防犯講習会

(3) 自治体が行う防災講習会

(4) その他防災等に関する講習会

(5) その他BCPに関する講習会

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第12章 地域とインフラ

本章は「命を守る」と「事業を守る」の両方を含みます。

12.1 地域の環境

地域の環境とは、まず、海岸・河川・崖・火山・活断層・住宅密集地・原子力発電所か

らの距離です。距離の区分は各種ありますが、例えば、100メートル未満、1キロメートル

未満、10キロメートル未満、30キロメートル未満、30キロメートル以上などのことです。この

距離は長くなるほど好ましくなります。また、対策室長と関係者は企業がある土地の高さも

把握する必要があります。

次に、学校・病院(診療所)・警察・消防・役所(役場)・大規模公園からの距離もありま

す。これは近い方が好ましいですが、幼稚園・保育所・老人介護施設が100メートル未満

にある場合は、広域災害の発生時に、企業はこれら施設に対し避難を支援することが望

まれます。

企業が新たに工場や事務所を国内外に設置する場合は、用地や建屋の費用やインフ

ラの整備状況と同程度に、この地域の環境を評価する必要があります。

12.2 地域の用途

地域の用途とは、都市計画法が定めている土地利用のことで、低層住居専用地域、中

高層住居専用地域、住居地域、商業地域、近接商業地域、準工業地域、工業地域、工

業専用地域があります。工業専用地域や工業地域にはほとんど住居がないため、災害発

生時に住民の避難を優先することを検討する必要はありませんが、準工業地域や住居地

域では住民の優先避難を企業も検討する必要があります。

商業地域および近接商業地域では、住民に加え、顧客の優先避難と帰宅困難者対

策も必要になります。

12.3 インフラの概念

インフラとは社会基盤のことですが、この概念は国により、時代により異なります。現在の

日本ではライフラインと言われている電力・ガス・上下水道に加え、通信・道路・鉄道・金

融・行政が一般的に含まれます。海外では、食料提供施設(スーパー、コンビニなど)・教

育施設・医療施設・公営住宅・宗教施設などを含むことがあります。

12.4 インフラへの依存度と代替度

この節は「事業を守る」ことを想定しています。まず、インフラへの依存度とは、あるインフ

ラが中断すると企業が困る程度のことで、中断しても全く困らないインフラは、依存度がゼ

ロになります。これは同じ工業団地内でも、企業により異なります。例えば、近くに貨物鉄

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BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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道線と貨物駅があっても、その貨物鉄道を全く利用していない場合は、貨物鉄道への依

存度は「0」になります。電力の場合は、多くの企業が極めて強く依存していますので、依

存度は「5」になります。

また、中国の大連港から主要部品を輸入しているケースでは、遠くても大連港への依存

度は高くなります。製品の輸出入に成田空港を利用している場合は、近くに○○空港が

あっても、成田空港への依存度が○○空港よりも高くなります。

表は企業が活用しているインフラへの依存度を把握するためのもので、依存度が高いイ

ンフラについては、迂回輸送や非常用電力の確保など代替プランが必要になります。

表中の「代替度評価」とは代替プランの評価ポイントのことで、平時のインフラと比較し

有効率が高く、かつ追加費用も時間も発生しない場合を「5」とし、有効率が30%以下で

追加費用も高額で、かつ追加時間も大きくかかるもの「0」としています。例えば、通勤鉄

道で並行して路線がある場合は、このポイントは「4」程度になり、中国との交易で海運の

代替プランとして空運を使う場合は「3」程度になります。

インフラへの依存度が高くとも、代替プランの評価ポイントが高い場合は、バランスが取

れていることになり、逆に依存度が1か2でも、代替プランの評価が0の場合は、災害に弱

いことになります。

インフラへの依存度・代替度

インフラ項目 区間/箇所 依存度評価 代替度評価 差

○○自動車道 A1 ←→ A2

同上 ←→

国道N号線 ←→

県道M号線 ←→

鉄道(貨物) ←→

鉄道(通勤) K1 ←→ K2

成田空港

大連港

電力

通信

ガス

上水道

下水道

【依存度評価ポイント】

5: 中断すると事業への影響が大きい

Page 32: BCPと防災マニュアル...BCPと防災マニュアル 2012年2月5日 5 第2章 対象とするリスク 防災マニュアルには、命の危険がある災害を主に考えていますので、この章はありませ

BCPと防災マニュアル 2012年2月5日

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4: 4と3の間

3: 中断すると事業への影響がある

2: 3と1の間

1: 中断しても事業へ影響が小さい

0: 中断しても事業へ影響は全くない

【代替度評価ポイント】

4: 代替性が高く、実証されている

3: 代替性が中程度に高く、実証されている

2: 代替性が低く、実証されている

1: 代替性はあるが、実証されていない

0: 代替性がない

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参考資料・図書

1. ISO22301 「事業継続マネジメントシステム - 要求事項(最終案)」 2011年

2. ISO31000 「リスクマネジメント―原則及び指針」 2010年

3. 「事業継続ガイドライン第一版」 内閣府、2005年

4. 「中小企業BCP策定運用指針」 中小企業庁、2006年

5. 「防災マニュアル作成例」 愛知県防災局、2005年

6. 「事業継続マネジメントシステムの構築と実務」 共立出版、2008年

7. 「企業のレジリエンシーと事業継続マネジメント」 日刊工業新聞社、2007年

BCPと防災マニュアル

Version 2.0

2012年2月5日 発表

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著者: 黄野吉博

ykohno@arm.jp

発行者: 社団法人日本工業技術振興協会