防災なう ―データジャーナリズムと防災― (2012年9月)
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防災なう
2012/9/1 1防災のいま
JCEJ運営委員赤倉優蔵
JCEJ×GLOCOMデータジャーナリズム実践第2弾データ発掘キャンプ
予告
• オープニングクロストークの後、皆さまには「情報発信者」の立場から、オープンデータを発見してもらいながら、それらを活用した防災企画を、データジャーナリズムの観点で考えていただきます
2012/9/1 2防災のいま
防災の日
「防災の日」の創設について昭和35年(1960年)6月17日 閣議了解
• 政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備するため、「防災の日」を創設する。
• 「防災の日」は、毎年9月1日とし、この日を中心として、防災思想の普及、功労者の表彰、防災訓練等これにふさわしい行事を実情に即して実施する。
• 上記の行事は、地方公共団体その他関係団体の緊密な協力を得て行なうものとする。
2012/9/1 3防災のいま
「防災」とは?
• 災害を未然に防ぐための各種行為、施策、取り組み。
• 地震や風水害のような自然災害のみならず、火災、爆発のような人為災害、あるいは伝染病のようなものへの対応も含めて使われることがある。
<ウィキペディア「防災」からの抜粋>
2012/9/1 4防災のいま
日本における防災の取り組み
• 防災基本計画の策定・実行
• 防災まちづくりの推進
• 防災拠点の整備
• 防災地図の作成
…など
防災の取り組みを促進するため内閣府や国土交通省を中心に基礎情報<データ>を整備している
2012/9/1 5防災のいま
「防災」から「減災」へシフト
• 阪神・淡路大震災以降、如何なる対策をとったとしても被害は生ずるという認識のもと、災害時において被害が最も生ずる課題に対して、限られた予算や資源を集中的にかけることで、結果的に被害の最小化を図ろうという発想が生まれた。
• 災害における地域の弱点を発見し、対策を講ずるとしても行政単独で対策をとるだけでは、減災は達せられない。
• 近年は行政と市民が協働で地域の防災力を向上させようという防災まちづくり事業が多くの市町村において取り組まれるようになりつつあり、減災は防災まちづくりにおけるひとつの戦略として浸透しつつある。
<ウィキペディア「減災」からの抜粋>
2012/9/1 6防災のいま
2012/9/1 防災のいま 7
社会の脆弱性を発見・共有し災害が起きる前に対処すること
防災の考え方
海外における防災の取り組み
• 天災とは、人間がコントロールできない災害であるとして、日本のように巨額の防災対策関係費を計上する国は希有である。
• アメリカ合衆国を例にとれば、土砂災害(地すべりなど)による防災対策は、国ではなく土地所有者が行うべきものとされるなど、自己責任の原則が貫かれている。
• しかしながら2000年代に入ると、スマトラ島沖地震による津波災害、ハリケーン・カトリーナによる洪水災害など、規模の極めて大きく、かつ、事前の予知が可能とされた自然災害が頻発している。このため徐々に、国家レベルの自然災害対策の重要性が認識され始めたところである。
<ウィキペディア「防災」からの抜粋>
2012/9/1 8防災のいま
防災の取り組みまとめ
• ハード面
– 町づくり、堤防設置、避難場所設置など
• ソフト面
– 緊急時の情報整備、ハザードマップ作成など
• ヒト
– 防災訓練、啓蒙など
2012/9/1 9防災のいま
情報/ITが肝!
防災情報の種類
2012/9/1 10防災のいま
• 避難情報
• 生活情報
• 安否情報
• 事前啓蒙情報
今年の防災訓練の傾向
• 大規模化
– 北海道、千葉県、埼玉県、大阪府などで数十万から数百万人規模の防災訓練が行われる(行われた)
• IT活用
– 防災訓練でメールやソーシャルメディア、災害時アプリケーションを活用
2012/9/1 11防災のいま
2012/9/1 防災のいま 12
防災週間 大阪350万人に訓練メール…5日
30日から始まった「防災週間」の最終日の9月5日、大阪府が府内で利用されている携帯電話を対象に避難訓練メールを送信する。「いざという時にどう避難するか」などの防災意識を高めるのが狙い。期間中、全国で同様の大規模訓練が行われるが、大阪の場合は最大規模の約350万人がかかわると見込まれる。
府によると、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクモバイルの3社との間で、利用者に災害時に避難情報を一斉に送信してもらう契約を締結。訓練では、5日午前11時、「実際の災害時には、身の安全を確保し、指定避難所に避難してください」との内容のメールが送られる。府内で使用中で、避難情報が受信できる携帯電話に限られ、府消防防災課の担当者は「どう行動するか、想像力を高め、訓練に臨んでほしい」と話す。
<中略>
こうした訓練は東日本大震災を機に各地に普及。北海道では30日に10万人が参加し、9月にも千葉市や埼玉県などで行われる。
<8月30日読売新聞>
(事例2) IT防災訓練
• 昨日(8月31日)に内閣官房IT担当室が立ち上げたウェブサイト。
• 官民の取組みについての情報共有と連携の強化を図るのが目的。
• 試行的な立ち上げで、今後さまざまな試みが実施される予定。
• 現在は、各社の災害用伝言板や避難所情報、道路情報などを扱うアプリやサービスに関する情報が集約されている。
2012/9/1 13防災のいま
<抜粋> RBB TODAY (8月31日)“内閣官房、「IT防災訓練」ポータルサイトを公開……各社の情報を集約”
2012/9/1 14防災のいま
(事例3) ソーシャル防災訓練
• ヤフー、Twitter Japan、J-WAVE、森ビルの4社は共同で2012年9月19日に「ソーシャル防災訓練」(画面)を開催すると発表した。
• ソーシャルメディアから得られる情報を活用した避難訓練を行うことで、防災と情報活用に関する意識の啓発を図る。
• 避難訓練の後には、避難中の体験やソーシャルメディア上に集まった情報を振り返りながら、防災について理解を深める「防災レクチャー会」を開催する。
2012/9/1 15防災のいま
<抜粋> 日経新聞 (8月28日)“Twitterなど4社が「ソーシャル防災訓練」 非常時の情報活用を啓発”
2012/9/1 防災のいま 16
Google Big Tent 2012 in 仙台
• Googleが主催する、プライバシーや公共政策などの様々なテーマとITテクノロジーを組み合わせた国際会議。
• 政治家や企業、NPO組織など様々な立場の人が集まり、テー
マに対してテクノロジーで何ができるかについて発表したり、話し合ったりする。
• 今年のテーマは「災害」で、7月3日、初めて日本(仙台)で開催され、参加者は460名を超えた。
• 内閣府、国連や赤十字などの国際ボランティアに加え、ITを
使ったボランティア活動を行っている人達も参加、ネット技術、インフラ、ソーシャルネットワーク、オープンデータなどの話題をテーマにした発表やパネルディスカッションが行われた。
2012/9/1 17防災のいま
<抜粋> CNET Japan (7月3日)“Big Tent 2012:Googleが日本で初めて開催した国際会議のテーマは「災害」”
災害時にITが力を発揮するための4課題
1. オープンデータとクローズドアーキテクチャ– フォーマット、API、権利関係の課題
2. 情報ソース– 政府が発表する情報と、クラウドソースのバランスのとり方
– 政府からいかにして必要な情報を引き出すか
3. 環境や文化の違い– 日頃から使い慣れていないと、いざというときに使えない
4. コミュニケーションとコラボレーション
– 政府と支援団体、災害現場と技術者、個人とボランティア組織などでのコミュニケーション・コラボレーションの円滑化
2012/9/1 18防災のいま
<抜粋> CNET Japan (7月6日)“Big Tent 2012:災害時にITが力を発揮するための4課題”
2012/9/1 防災のいま 19
メディアの担い手として何ができるのか?
2012/9/1 防災のいま 20
エントロピーの増大を防ぐのがメディア=伝え手の仕事
By 中川和之さん (時事通信社記者)
災害時の意志決定には情報が重要!
• 平時に比べて多様で膨大な意思決定が必要になるのが災害時。多様な場面で意思決定に必要な情報が求められる。
• そのために必要な情報とは何か。
• 情報がどのように届けられればいいのか。
• 非常時だけの情報ルートは機能しない。
• 情報をもらってから行動方法を考えるのではなく、日頃から行動を想定しておく。行動を起こすきっかけになる情報にするために、何をするか。
2012/9/1 防災のいま 21
By 中川和之さん (時事通信社記者)
2012/9/1 防災のいま 22
私たちにはデータがある!データを防災に活かそう!
<前回の復習>Data Journalism Award 評価のポイント
• 単にデータを可視化しただけの独りよがりのプロジェクトはNG
• 「読者にとって分かり易いか」「読者が洞察を得る手助けができたか」など、読者目線が大きなポイント
2012/9/1 防災のいま 23
2012/9/1 防災のいま 24