研究まとめ 児童生徒一人一人が今、 主体的に活動できる授業づ … · Ⅰ...

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平成 30 年度・令和元年度 研究まとめ 児童生徒一人一人が今、 主体的に活動できる授業づくり ―観点別評価の取り組みを通して― 岩手大学教育学部附属特別支援学校 25

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Page 1: 研究まとめ 児童生徒一人一人が今、 主体的に活動できる授業づ … · Ⅰ 研究主題 児童生徒一人一人が今、主体的に活動できる授業づくり

平成 30年度・令和元年度

研究まとめ

児童生徒一人一人が今、

主体的に活動できる授業づくり

―観点別評価の取り組みを通して―

岩手大学教育学部附属特別支援学校 25

Page 2: 研究まとめ 児童生徒一人一人が今、 主体的に活動できる授業づ … · Ⅰ 研究主題 児童生徒一人一人が今、主体的に活動できる授業づくり

目 次

【資料】

Ⅰ 研究主題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

Ⅱ はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「主体的に活動する姿」を目指した授業づくりについて ・・・・・・・・・・・

Ⅲ 1

(平成 26年度からの研究概要)

Ⅳ より「主体的に活動できる」授業づくりを目指して(本時研究)・・・・・・・・ 6

1 これまでの研究を受けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

2 研究の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

3 研究の内容と方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

4 研究の実際 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

(1)授業実践 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

(2)「観点別評価シート」の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

5 研究経過 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

(1)1年次の取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

(2)2年次(前半)の取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

(3)学校公開研究会を受けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

(4)2年次(後半)の取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

(5)「主体的に活動する姿」の学部間の連続性について ・・・・・・・・・・・・・ 12

Ⅴ 研究のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

1 本研究の成果と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

2 本研究を振り返って ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

Ⅵ 各学部の取り組み(概要) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

1 小学部 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2 中学部 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

3 高等部 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

研究に携わった職員・研究協力者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

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Ⅰ 研究主題

児童生徒一人一人が今、主体的に活動できる授業づくり

―観点別評価の取り組みを通して―

Ⅱ はじめに

本校は平成7年度より学校教育目標に「主体的」という文言を掲げ、その実現を目指し授業づくりを行

ってきた。また、卒業後の主体的な生活を目指し、平成 22年度からキャリア教育を取り上げ、4年間の

実践研究に取り組んだ。その結果、児童生徒の一人一人の力を小学部、中学部、高等部と積み重ねていく

必要があることが明らかになった。

平成 26年度からは、「今」という視点に注目し、「今」の主体的な生活の積み重ねが将来の主体的な生

活の実現につながると考え、「児童生徒一人一人が今、主体的に活動できる授業づくり」を研究主題に掲

げ、全校で授業づくりに取り組むこととした。平成 26~27年度は「『授業づくりの視点』に基づく全校で

の実践を通して」、平成 28~29年度は、「個に応じた適切な目標と支援を目指して」を副題に掲げ取り組

んできた。そして、平成 30年度~令和元年度は、「観点別評価の取り組みを通して」を副題に、観点別評

価を生かし児童生徒の「主体的に活動する姿」を目指した授業づくりの深化を図ることとした。

Ⅲ 「主体的に活動する姿」を目指した授業づくりについて

(平成 26年度からの研究概要)

本校では学校教育目標に示す児童生徒像(表

1)を「主体的に活動する姿」とし、この学校教

育目標の実現を目指し「児童生徒一人一人が今、

主体的に活動できる授業づくり」の主題の下、研

究を進めている。

この児童生徒一人一人が今、自分の力を発揮し

て「主体的に活動する姿」を日々の授業で実現す

るために「授業づくりの視点」(表2)を設定し

た。「授業づくりの視点」は、「①単元の設定」「②

単元の計画」「③活動内容」「④学習内容への支援」「⑤協働的活動への支援」の5つの視点で構成したも

のであり、全校で一貫した授業づくりを行う上での手掛かりとしている。さらに、全校で学校教育目標の

達成を目指すこと(一貫性)や児童生徒が生活年齢相応の活動に主体的に取り組むためには各学部のつ

ながりが必要であること(連続性)を確認した。これらを踏まえ、「授業づくりの視点」を中心に据えた

現在及び将来の社会生活において、主体的に、

そして、豊かに生きる人を育成する。

・やりがいをもって意欲的に活動する人

・自分の力で取り組む人

・自分の役割に進んで取り組む人

・精いっぱい活動し満足感・成就感をもつ人

・仲間と共に協力する人

・心身共に豊かに生きる人

表1 学校教育目標

-1-

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PDCAサイクルによる授業改善の流れを重視した「授業づくりの構想」(図1)を示した。「授業づくり

の視点」に基づいた単元計画、授業実践、学習評価、改善を図るという流れが明確になると同時に、児童

生徒個々の学習評価を授業改善に生かすことを確認した。

また、児童生徒の「主体的に活動する姿」を目指す授業実践を行うために「授業づくりの視点」を基に

指導案の様式を検討し、改善を図った(図2)。評価については、「主体的に活動する姿」を目標にするこ

とで、実際の活動の様子に基づき、より具体的な評価をすることができた。そしてこの評価は表3のよう

に整理され、現行の学習指導要領に示された4観点「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知

識・理解」に符合した評価であることを明らかにした。

前次研究では、この評価の考え方を生かし、よ

り適切に個に応じた目標と支援の設定の手立てと

して、図3の「評価シート」を作成した。

取り組みとしては、学校生活の中心に位置付け

られた学習である、小学部は「遊びの指導」と「生

活単元学習」、中学部と高等部は「作業学習」を取

り上げた。「評価シート」では、①これまでの学習

評価から「実態把握」をし、②児童生徒が自分の

力を発揮し、実際の活動で目指す具体的な姿を「目標」とし、③授業の中で発揮された力を具体的に「評

価」し、この評価を次の単元づくりに生かすこととした。作成例を図3に示す。「評価シート」を活用し

ながら実践を重ね、児童生徒個々の実態に即した目標設定や支援の在り方について迫り、学習活動が異

なっても児童生徒の「主体的に活動する姿」をつなげていくという学習評価を基にした授業づくりにつ

いて全校で共通理解を図った。

授業づくりの視点 授業づくりの視点の具体的内容

①単元の設定

学部目標に基づいて目標を設定

どの児童生徒も目的をもち取り組める単元に

○児童生徒の実生活に結び付いた単元

○興味・関心や願いを取り入れた単元

○活動の流れやつながりが明確な単元

②単元の計画

単元の目標に基づいた指導計画

中心になる活動を繰り返す計画に

○まとまりのある計画

○繰り返すことで活動を積み重ねることができる計画

○発展性のある計画

③活動内容

単元の計画を推進するための授業の展開

どの児童生徒も存分に活動できるように

○集団の中で、人と関わり、自分の役割を遂行できる活動内容

○自分のもっている力を生かし、やりがいが感じられる活動内容

○自分で考え、行動できる活動内容

○達成感、充実感を得られる活動内容

○自己選択・自己決定できる活動内容

④学習内容への支援

教材教具・場の設定・教師の働き掛け

分かって動き、十分に活動できるように

○児童生徒が自分でできる教材・教具

○自分から活動できる教材・教具

○十分に取り組める活動量と時間

○活動しやすい道具の配置、動線

○児童生徒が自分でできるような教師間の連携(T‐T)

⑤協働的活動への支援

児童生徒同士の関わりへの支援・教師との関わり

教師も共に活動しながら、

共感的に支援できるように

○共に活動する友達に関心を向け、友達や教師と共に活動できる

ようにする。

○教師は児童生徒と共に活動し、児童生徒の自分でできる状況を

作るような適切な関わりをする。

表2 授業づくりの視点

・自分で考え活動する様子

・存分に活動する様子

・自分で判断して活動する様子

・単元の目標や自分の活動を理解して取り組む様子

・自分の活動に首尾よく取り組む様子

表3 授業で捉えた「主体的に活動する姿」

-2-

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図1 授業づくりの構想

学部目標 A改善

学校教育目標 A改善

一貫性、連続性

単元づくり P 計画

「授業づくりの視点」

学校教育目標

現在及び将来の社会生活において、主体的に、そして豊かに生きる人を育成する。

学部目標 小学部 中学部 高等部

教育課程

学習内容への支援 教材教具・場の設定・教師の働きかけ

協働的活動への支援 仲間同士の関わりへの支援・教師との関わり

単元の設定

学部目標に基づいて目標を設定

活動内容 単元・題材の計画を推進するための授業の展開

程計画や学習内容

単元の計画 単元・題材の目標に基づいた指導計画

A 改善

教育課程 A改善

単元 A改善

日々の授業 A改善

日々の授業 D 実践

主体的に活動する姿 C 評価

単元づくり P 計画

「授業づくりの視点」

単元の設定

学部目標に基づいて目標を設定

単元の計画

単元・題材の目標に基づいた指導計画

活動内容

単元・題材の計画を推進するための授業の展開

学習内容への支援

教材教具・場の設定・教師の働き掛け

協働的活動への支援

仲間同士の関わりへの支援・教師との関わり

授業づくり

A

-3-

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○学部「○○学習(○学年)」学習指導案

日 時 平成 年 月 日( )

校時( : ~ : )

場 所

対 象 学部 年( 名)

指導者 名 前(T1) 名 前(T2)

Ⅰ 単元名 「 」

Ⅱ 授業づくりの視点

1 単元の設定【 小見出し 】

2 単元の計画【 小見出し 】

3 活動内容【 小見出し 】

4 学習内容への支援【 小見出し 】

5 協働的活動への支援【 小見出し 】

Ⅲ 単元の目標【単元で目指す主体的な姿】

Ⅳ 単元計画(総時数 時間、 日間)

主に○校時に以下の活動内容について実施する。 ※活動時間帯が分かるように説明する。

主な活動内容 月日 時数

第1次

第 次

Ⅴ 本時の授業

1 本時の授業について

本時は~

2 本時の目標【本時で目指す主体的な姿】

(1)

(2)

3 本時の展開

学習活動(時間) 支援上の留意点

<活動内容>(○:△△~)

4 配置図

5 個人の目標及び支援

氏名等 現在の活動の様子 本時の目標 本時の支援

(教材教具、場の設定、教師の働き掛け他)

( 年・男or女)

・活動内容

6 評価

(1) ~したか。

(2) ~取り組んだか。

図2 「授業づくりの視点」に基づいた指導案

視点ごとに小見出しを付けることで、

視点の内容が一目で分かるようにする。

単元の目標は主体的に活動する姿とする。文

末は「~に取り組む」「~する」と表記する。

単元の目標を受けて、その日の活動内容に沿っ

た目標を具体的に示す。本時の目標は主体的に活

動する姿とする。

文末は「~に取り組む」「~する」と表記する。

単元づくりについて、「授業づくりの視点」

で具体的に説明する。

「現在の活動の様子」には本時の目標や支援の手掛かり

になる児童生徒の活動の様子を記載する。「本時の目標」は

力を存分に発揮することを願った目標とする。

自分の力を発揮して活動する姿

を見取り、本時の評価とする。

-4-

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単元名 作業Ⅳ くまさんマグネットを作ろう

~55個作ろう~

学習期間 平成 29 年8月21日(月) ~ 平成 29 年9月1日(金)

単元目標

設定に

あたって

作業Ⅰから作業Ⅲまでは「あにーわ」の組立に取り組んだ。作業台の番号や「がん

ばりカード」を見ながら、一人で手順どおりに組立できるようになった。また、報

告する教師を複数にし、始めの会で確認することで、困った際にも周囲の状況を見

て報告できるようになってきた。そこで、作業Ⅳでは、「あにーわ」作りを基礎とし

た「くまさんマグネット」の製作にみんなで取り組むこととした。「くまさんマグネ

ット」製作は全員が初めての取り組みなため、1 時間目はオリエンテーションを行

い、作り方の説明を行う。工程で鼻を付けることが増えるため、1日の組立て目標

数を少なめに設定し、焦らずに手順を覚えてほしいという願いから以下の目標を設

定した。

単元目標

「くまさんマグネット」の組立手順が分かり、1日8個組み立てる。

①「がんばりカード」や作業台の番号を見ながら一人で取り組む。

②報告する教師が分かり、終了したときや困ったときに報告する。

③印や見本を見ながら、くまさんの目や鼻の位置に気を付けて組み立てる。

主な活動内容 ・くまさんマグネットの組立(耳作り、顔にマグネット貼り、鼻付け)

・鼻の面取り・焼き・製品の袋詰め・tuk-tuk に納品

活動の様子(学習評価)

日々の様子

・始めの会では、くまさんマグネットの目標数55個と最終日に行く納品場所の確認を行った。〇〇さん

はどちらもすぐ覚え、教師の問い掛けに挙手をして答える様子が見られた。

・組立が早く終わった際には、全附連用の「あにーわ」の袋詰めや鼻の面取りや焼きを行った。特にも、

焼きは〇〇さんが希望していたので、楽しみにしており、バーナーの使い方を覚え焼きもやり直しなく

取り組み、終わりの会で出来上がった焼いた芯材を嬉しそうにみんなに見せる様子が見られた。

・目標数の55個を超えた際には、嬉しそうに「くまさんマグネット」をマンションに貼り、終わりの会

では、みんなで拍手して喜ぶ姿が見られた。

①について

・鼻を付けるという作業工程が1つ増えたが、「がんばりカード」や作業台の番号を見ながら手順通りに取

り組む様子が見られた。また、1日8個組み立てる目標も時間内に終えることができ、焦らずに組み立

てる様子が見られた。組立てが終わると、「がんばりカード」を見ながら、片付けや明日の準備をするこ

とができた。

②について

・報告する教師を複数にし、前回同様始めの会で確認することで、周囲の状況を見ながら報告する教師を

決めて報告できた。組立でトラブルがおきた際には、機械音に負けない大きな声で報告する様子が見ら

れた。

③について

・組立手順は正しいが、時々顔となる芯材に印を付けていないと鼻の位置を間違えて貼ることや、芯材の

形が完全な丸型でないときの鼻の位置決めに悩む場面が見られた。作業台に「くまさんマグネット」の

見本を置いて目や鼻を貼る位置に気を付けながら組み立てるようにした。また、ボンドで貼る前に目や

鼻を置いて位置を決めてからボンドで貼るように声掛けを行った。

納品の様子

・納品当日は、「あにーわ」や「くまさんマグネット」を運ぶ係に立候補した。1人2個作った「くまさん

マグネット」を選んで納品先に行った。肴町販売会だけでなく、他の店にクラフト班の製品が商品とし

て売られていることを知ることができた。また、tuk-tuk で好きなパンを選んで、みんなでパンを食べ

ながら楽しく会食することができた。

単元を終えて

・「くまさんマグネット」の組立て手順を覚えたので、次回単元で「くまさんマ

グネット」作りをする際は、1日の目標個数を増やして取り組みたい。製品と

しての仕上がりを意識して作るように、見本を置き、「がんばりカード」にポ

イントを書くなどの工夫をしていきたい。

・本人が希望した「焼き」の活動を取り入れることで、意欲的に取り組むことが

できた。

図3 評価シートの作成

P 単元の計画

学習評価に基づく

実態把握

D 日々の授業

児童生徒の力を

発揮する目標

C 授業の評価

活動に即した評価

A 授業改善

評価に基づいた改善

-5-

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Ⅳ より「主体的に活動できる」授業づくりを目指して(本次研究)

1 これまでの研究を受けて

学校教育目標の実現を目指し、全校で一貫した授業づくりを継続していくためには、児童

生徒の「主体的に活動する姿」について共通理解を図りながら、「授業づくりの視点」に基づ

いた授業実践を重ねていく必要がある。また、児童生徒がより主体的に活動できるように児

童生徒の力の質を高めていきたい。そして、その力を次の単元や他の学習場面においても発

揮するためには教師がその力をより多面的に捉えることが不可欠である。

これらのことから本次研究は、副題を「観点別評価の取り組みを通して」とし、観点別評

価により児童生徒が発揮した力を多面的に捉え、その質を高められるような「主体的に活動

できる」授業づくりに迫るものである。

2 研究の目的

観点別評価を生かし、児童生徒の「主体的に活動する姿」を目指した授業づくりの深化を

図る。

3 研究の内容と方法

・授業実践

・「主体的に活動する姿」の

観点別評価

4 研究の実際

(1) 授業実践

これまでどおり、「授業づく

りの視点」に基づいた授業づ

くり及び、「授業づくりの構

想」のPDCAサイクルで授

業改善を行うことを全校で確

認し、授業実践を重ねること

とした。

小学部は「遊びの指導」と

「生活単元学習」、中学部と高

等部は「作業学習」を取り上

げて取り組むこととした。右

の表4は、1年次に実施した

授業研究会である。

(2) 「観点別評価シート」の作成

1年次は、児童生徒の「主体的に活動する姿」の活動に即した具体的な評価が、新学習

指導要領で示された「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の

〇たんぽぽ組(1・2年生)遊びの指導

たんぽぽランドで遊ぼう③

●すみれ組(3・4年生)生活単元学習

フラワーポットを作ろう

〇つくし組(5・6年生)生活単元学習

おそば屋さんを開こう

~お世話になっている人をおもてなししよう~

〇クラフト班 作業学習

作業Ⅲ 肴町商店街で販売しよう①

~みんなで「あにーわ」を 80 個作ろう~

〇石けん班 作業学習

作業Ⅲ 肴町商店街で販売しよう①

~みんなで石けん 350 本を作ろう~

●園芸班 作業学習

作業Ⅲ 肴町商店街で販売しよう①

~みんなでラベンダーポプリを 100個作ろう~

〇木工班 作業学習

附特ベンチシリーズを作って販売しよう

~7月ガンフ工房販売会に向けて~

〇手織班 作業学習

織り物製品を製作して販売しよう

~第2回ガンフ工房販売会に向けて~

●陶芸班 作業学習

2月販売会に向けておにぎり皿を作ろう

~2月ガンフ工房販売会を成功させて1年間を

締めくくろう~

表4 授業研究会(1年次) 授業一覧

※ ●は全校授業研究会、〇は学部授業研究会

-6-

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3観点で整理できることを全校研究での演習を通し確認できた。このことから、観点別に

目標を立てるのではなく、児童生徒が「主体的に活動する姿」を目標にするとともに、児

童生徒が発揮した力を多面的に捉えられるように「評価シート」を「観点別評価シート」

に改めた。取り組みとしては、図4に示す手順で「観点別評価シート」を作成し、単元ご

との評価を積み重ねていき、1学期の個別の指導計画の目標に対応した評価を3観点で行

うことで個別の指導計画との関連付けを図りたいと考えた。

この「観点別評価シート」の取り組みを進める中で、それぞれの学部の実態に合わない

部分が明らかになったことから、実態に合わせた様式の修正を行った。

図4 「観点別評価シート」の共通様式

1 学期の目標 (個別の指導計画より)

単元名

期待する姿

(年間指導計画より)

個別の単元目標 支 援 評 価

○ ・

〇 ・

〇 ・

○ ・

〇 ・

観点別の評価

「知識・技能」

「思考・判断・表現」

「主体的に学習に取り組む態度」

② 個別の指導計画の 1 学期目標

主体的に活動する姿

③‐1 個別の単元目標と支援及び評価 ① 年間指導計画から

期待する姿(単元目標)

④ 個別の指導計画の目標に対応した評価

③‐2 個別の単元目標と支援及び評価

① 年間指導計画から単元における期待する姿(単元目標)を記入する。

② 個別の指導計画の1学期目標を記入する。

③‐1単元で目指す主体的に活動する姿として個別の単元目標を設定し、具体的な支援を記入し、

単元終了時に学習の様子を評価し、記入する。

③‐2これまでの学習評価を踏まえて、個別の単元目標を設定し、具体的な支援を記入する。

単元終了時に学習の様子を評価し、記入する。 ※1学期終了時まで各単元で繰り返す。

④ 各単元の評価を踏まえ、 1学期の個別の指導計画の目標に対応した評価を3観点で行う。

→ 2学期の個別の指導計画の目標へ

① 年間指導計画から

期待する姿(単元目標)

各単元の

評価

-7-

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5 研究経過

(1) 1年次の取り組み

「観点別評価シート」については、各学部の実態に応じて共通様式を修正しながら、作成

を行った。その結果、以下のような成果と課題が明らかになった。

ア 成果

・児童生徒がどのような力を発揮して主体的に活動しているのかを具体的・分析的に捉え

ることができ、児童生徒の良さや頑張りを整理して確認することができた。

・児童生徒の学習状況や、より実態に即した目標設定と支援の在り方、単元づくり、授業

づくりを意識することができた。

・「観点別評価シート」をツールとして児童生徒の姿を共有する場を設定できた。それを通

して、他の学習場面でも主体的に活動できているか、主体性を発揮しているのかと話題

にし、他の学習での支援についても考えることができた。

イ 課題

・学校全体で取り組みを進めるに当たり、「主体的に活動する姿」について共通理解を図る

機会がなかった。学校全体で目指す「主体的に活動する姿」と児童生徒個々の「主体的

に活動する姿」について確認する必要がある。

・学習評価の進め方が明確でなかった。そこで、単元の評価を「いつ」「誰が」「どのよう

に」評価するのかという評価の時期や手順を検討、確認する必要がある。

・「観点別評価シート」を作成していく中で、年間指導計画で設定した期待する姿(単元目

標)と前単元の学習評価から設定する個別の単元目標のつながりにずれが生じることが

あった。児童生徒の実態に即したより主体的な取り組みにつながる年間指導計画になる

よう見直しを図る必要がある。

(2) 2年次(前半)の取り組み

1年次の取り組みを受け、本校が目指す授業づくりに迫るために次のことに取り組むこと

とした。

ア 「主体的に活動する姿」の共有

①全校研究会において本校が目指す「主体的に活動する姿」は学校教育目標から学部目標、

単元目標、日々の授業の目標につながっており、一貫性と連続性があることを「授業づ

くりの構想」と併せて確認し

た。

②前単元の学習評価から設定し

た単元目標や日々の授業の目

標は、児童生徒個々の実態に即

した目標であり、「主体的に活

動する姿」であることを授業者

間で確認、共有した。また、図

5に示したように「観点別評価

シート」の個別の単元目標を踏

まえることで目標が具体的と 図5 目標のつながり

単元目標

個別の単元目標

本時の目標

(本時の)個人の目標

(指導案)

(指導案)

(指導案)

(観点別評価シート)

(観点別評価シート)

これまでの学習評価を

踏まえて設定

より個に応じた目標に

-8-

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なり、より実態に即した(本時の)個人の目標が設定されるようにした。

③授業研究会では「観点別評価シート」を活用し、前単元までの評価を踏まえた目標設定

について、下線を引いたり、文字の色を変えたりして検討した。また、このように前単

元までの学習の様子(評価)を共有することで、児童生徒の「主体的に活動する姿」の

具体的なイメージをもてるようにした。

イ 客観性のある評価にするために

検討、見直しを図った学習評価の時期や手順で児童生徒の「主体的に活動する姿」を観

点別評価することとした。複数の教師で児童生徒の姿を多面的に評価することが客観性を

もたせると考え、必ず複数で評価をすることとした。

ウ 見直しを図った教育課程に基づいた授業実践

見直しを図った教育課程に基づいて、観点別評価シートを活用しながら、授業実践を積

み重ねることを全校研究会で確認した。全校授業研究会を表5のとおり実施した。

表5 全校授業研究会(2年次) 授業一覧

(3) 学校公開研究会を受けて

令和元年9月 28日の学校公開研究会にて、取り組みの中間報告を行った。学校公開研究

会の各分科会で話題になったことや参加者からの意見を受けて、本校の授業づくりに関わっ

て以下のことについて全校で確認を行った。

ア 評価規準について

本校では、児童生徒の「主体的に活動する姿」を目標とした授業づくりを行う中で、評

価規準を設定していない。それは以下の二つのことが理由であることを確認した。

①評価規準を設定すれば、評価基準も必要となる。そのことで、評価のために教師が「仕

向ける」「させる」授業づくりになるのではないかという危惧がある。それでは児童生徒

が自ら学習活動に向かう姿にはつながらず、本校が目指す「主体的に活動する姿」とは

掛け離れてしまうと考える。

②児童生徒の姿は日々、その一瞬一瞬で変わるものである。教師がそれを受け止め、その

状態に合わせて弾力的に授業を行っている実態があるため、規準化することが難しいと

考える。

授業日 学部:学級、グループ 単元名

6月 18日 中学部:石けん班

(作業学習)

石けん作業Ⅲ:肴町商店街で販売しよう①

~みんなで石けん 150本を作ろう~

7月4日 小学部:たんぽぽ組(1・2年)

(遊びの指導)

みんなでゴーゴー!わくわくひろば

7月9日 高等部:手織班

(作業学習)

織り物製品を製作しよう

~7月ガンフ工房販売会で販売しよう~

-9-

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イ 指導と評価の一体化について

学校公開研究会の参加者から、児童

生徒の「主体的に活動する姿」を目標に

掲げて授業を行い、3観点で評価して

いるが指導と評価の一体化がされてい

ないという指摘が多くあった。本校の

観点別評価は図6に示すように「主体

的に活動する姿」を目標とし、授業で見

られた「自分の力を発揮して活動する

姿」すなわち「主体的に活動する姿」を

見取り、それを3観点で整理するもの

である。2段構えの評価となっており、

指導と評価は一体になっていることを

確認した。

(4) 2年次(後半)の取り組み

ア 小学部

小学部では「遊びの指導」と「生活単

元学習」を取り上げて観点別評価に取り

組んだ。特にも生活単元学習においては、活動内容が多岐に渡ることから単元ごとに評価

できるように「観点別評価シート」の様式の見直しを図った。また、学習評価を次の単元

づくりに生かせるよう年間指導計画を立てる段階で評価の時期を設定し、学級単元の単元

期間も学部全体でそろえるようにした。併せて、年間指導計画で設定した単元目標(期待

する姿)と前単元の評価を踏まえて設定した単元目標にずれが生じることがあったため、

随時、年間指導計画の単元目標(期待する姿)を修正してきた。また、評価方法として日々

の授業の中で見られた児童の「主体的に活動する姿」を付箋に記録し、単元終了後にそれ

らを持ち寄って授業者間で児童の姿について話し合い、観点別に整理した。

これらの取り組みから、「観点別評価シート」を活用した評価の流れが構築され、「主体

的に活動する姿」について授業者間で話し合うことで学習評価に客観性をもたせることが

でき、さらに授業者間で児童の姿を共有するなど深い児童理解につながった。また、学習

評価を具体的な目標設定や支援に生かすことができ、授業づくりの深化が図られた。

その一方で「観点別評価シート」の様式について、単元ごとに観点別の評価の欄を設け

たことで評価しやすくなったものの個別の指導計画に反映しにくいという実態もあった。

そこで次年度に向けて、生活単元学習の単元の整理を行い、「観点別評価シート」の様式に

ついて検討を行った。生活単元学習の単元を整理したことで、今年度の単元づくりを次年

度計画に生かしやすくなった。また、「観点別評価シート」については、付箋を活用して授

業者間で観点別評価を行うことは継続しながら、個別の指導計画や指導要録に反映しやす

いように3観点を含み端的な文章で評価を記載する様式に変更することとした。実用性の

高まった「観点別評価シート」を活用することで児童の実態により即した授業づくりにつ

ながると考えている。

目標 「主体的に活動する姿」

評価

「自分の力を発揮して活動する姿」

=「主体的に活動する姿」

※評価した姿を観点別に整理する

主体的に学習に

取り組む態度

思考・判断・表現

知識・技能

図6 本校の観点別評価

-10-

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イ 中学部

中学部では、作業学習1単元に1枚の「作業ノート」を作成し、保護者との情報共有の

ツールとして活用している。この「作業ノート」は、前単元までの学習の様子を基に単元

目標を設定し、有効な支援や学習の様子を記録したものである。「観点別評価シート」と「作

業ノート」の記載内容が重複することから、作成の意義や手順を検討、整理した。それに

より、「作業ノート」は単元の評価、「観点別評価シート」は学期の評価とすることとした。

「作業ノート」を作成し、生徒の「主体的に活動する姿」を授業者間で共有及び確認し、

「観点別評価シート」に転記した。そして、単元ごとの学習の様子をさらに3観点で整理

した。1学期に5単元あるので、この手順を5回積み重ねて、最後に観点別に総評を記入

した。この総評が個別の指導計画の1学期評価につながるようにした。

これらの取り組みから、生徒の学習の様子を授業者間で意見交換しながら観点別に整理

することで多面的に生徒の姿を捉えることができ、深い生徒理解につながった。そして、

授業者間で評価することで、生徒が主体的に活動できる単元計画になるよう協議したり、

次の単元目標を検討することで支援の有効性が確認したりできたという授業づくりの深化

が図られた。

「作業ノート」は単元改善に即時性があり、「観点別評価シート」は複数の単元をまと

めることができ、学期のまとめとして有効だった。しかし、整理を進めたものの、まだ作

成に煩雑さが残ったため、今後、この両者の長所を生かしながらスムーズに学習評価でき

るように「作業ノート」の中に、「観点別評価シート」のまとめに当たる欄を設けるなど

して、様式の統合や見直しを図ることとした。

ウ 高等部

高等部の作業学習の単元期間は約3か月あり、1学期と2学期をまたぐ単元があるため、

1単元ごとに「観点別評価シート」を作成した。また、高等部では週ごとを基本とし筆記

や写真、動画などで生徒の活動の様子や有効だった支援、仲間や教師との関わりなどにつ

いての「作業学習の記録」をまとめている。これを基に授業者間で打ち合わせを行ったり、

支援の検討や授業改善を行ったりしている。この「作業学習の記録」は前次研究から継続

して取り組んでおり、日々の実践や記録に継続して取り組む中で、3観点による評価の記

載が自然に見られるようになってきた。これは生徒の「主体的に活動する姿」を3観点に

沿って授業の中で評価していると言える。そして、この「作業学習の記録」を基に「観点

別評価シート」を作成し、授業者間で見合い、多面的、客観的に学習評価を行ってきた。

また、学部研究会において、評価した生徒の「主体的に活動する姿」を教師間で共有し、

生徒理解にも役立てた。

これらの取り組みから、生徒を多面的に見取ることができ、より深い生徒理解につなが

った。また、授業者間で評価することで客観性をもたせつつ分析的な学習評価を行うこと

ができ、それが授業の評価及び指導の評価につながり、授業改善を行うことができたこと

で授業づくりの深化が図られた。

高等部では、「観点別評価シート」に記載された生徒の「主体的に活動する姿」につい

て共有するだけでなく、他の学習場面でもそのような姿が見られたかについて話題にして

きた。今後は、個別の指導計画や指導要録の記録等から、他の学習場面でも生徒が自分の

-11-

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力を発揮しているのかを検証していく。また、今後もこの学習評価を継続し、年間指導計

画や個別の指導計画の見直しや修正を随時行い、「主体的に活動できる授業づくり」の深

化を図っていくことを確認した。

(5) 「主体的に活動する姿」の学部間の連続性について

本研究を通し、「主体的に活動する姿」の中でどのような具体的な姿が「知識・技能」「思

考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」に当たるのかを確認することができた。

さらにそれらの具体的な姿により学部間の連続性が明らかになった。観点別評価シートに実

際に記載された姿を観点別に整理したものを【資料1】から【資料4】にまとめた。

ア 学部間の連続性

小学部「遊びの指導」は、三つの単元を【資料1】に、「生活単元学習」は【資料2】に

まとめた。小学部「生活単元学習」は行事単元、製作活動、調理活動、校外学習など活動内

容が多岐に渡り、単元数が多いため、活動内容ごとに整理した。また、小学部は児童全員

分の観点別評価シートを作成しているので、【資料2-1】から【資料2-6】は、活動内容

ごとに、学級単位でまとめた。中学部「作業学習」は石けん班、クラフト班、園芸班の対象

生徒2~3名の観点別評価シートの記載内容を【資料3】に、高等部「作業学習」は木工

班、手織班、陶芸班の対象生徒2~3名の観点別評価シートの記載内容を【資料4】にま

とめた。

これらの資料を基に、小学部の「遊びの指導」と「生活単元学習」を、小学部「生活単元

学習」と中学部「作業学習」を、中学部「作業学習」と高等部「作業学習」を並べて見る

と、共通する姿や関連する姿が多く見られた。その一部を次の表6から表8に示す。

表6 「遊びの指導」と「生活単元学習」

遊びの指導 生活単元学習

知識・技能

〇遊びに必要な要素(「同じ」が分かる、物や人

の名前が分かる、リズム打ちができるなど)

を獲得している。

〇学習に必要な要素(属性、色、形、音、数、

文字、量など)を獲得している。

〇遊びに合わせた体の動かし方、バランスの取

り方が分かる、できる。

〇学習に必要な体の動かし方、手指の動かし方

が分かる、できる。

思考・判断・表現

〇いろいろな動きで遊びを試す。

〇遊具の仕組みに興味をもったり、試したりす

る。

〇選ぶ。 〇まねる。 〇想像する。

〇考える。 〇判断する。 〇見比べる。

〇工夫する。

〇遊びたい遊具が空くのを待つ。 〇約束やルールを守る。

〇支援を受けながら友達と遊びを共有する。

〇遊びに誘う。

〇教師に依頼する。

〇相手を意識する。

〇伝える。

〇やり取りする。

主体的に学習に

取り組む態度

〇夢中になってやり続ける。 〇興味、関心をもって取り組む。

〇繰り返し、何度も取り組む。

〇意欲的に、真剣に取り組む。

〇期待感をもちながら遊ぶ。 〇見通しをもって取り組む。

〇興味、関心をもって取り組む。

〇達成感や満足感を味わう。

表6からは、「遊びの指導」で見られた児童のめいっぱい遊ぶ姿は、「生活単元学習」の

多様な学習活動の中で自分の力を発揮して存分に活動する姿につながっていることが分か

る。

-12-

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表7 小学部「生活単元学習」と中学部「作業学習」

小学部:生活単元学習 中学部:作業学習

知識・技能

〇活動内容が分かる。

〇役割や係が分かる。

〇活動内容が分かる。

〇自分の役割が分かる。

〇道具・用具の使い方が分かる。

〇作業のペース配分ができる。

〇学習に必要な要素を獲得している。 〇完成形や仕上がりがどうあれば良いかが分かる。

思考・判断・表現

〇支援を活用する。 〇考える。

〇見比べる。 〇判断する。

〇支援を活用して、または支援を受けて、次の手順

や活動を確認したり、適切な量や数を判断したり

する。

〇相手を意識する。 〇まねる。

〇見比べる。 〇考える。

〇判断する。

〇見本を見たり、友達の様子を見たりして、自分は

何をどうするのか、考え、調整する。

主体的に学習に

取り組む態度

〇見通しをもって取り組む。

〇意欲的に、真剣に取り組む。

〇目標数や仕上がりを意識して意欲的に取り組む。

〇意欲的に、真剣に取り組む。

〇係や役割に取り組む。

〇達成感や満足感を味わう。

〇笑顔や声の大きさを意識して、販売活動に取り組

む。

表7からは小学部「生活単元学習」と比べ、中学部「作業学習」では働くことに関わる

要素が加わっているが、それらは、「生活単元学習」で見られた姿と掛け離れた姿ではなく、

むしろ「生活単元学習」で培った様々な活動に取り組んだ経験や学習に向かう姿勢を基に

していることが読み取れる。

表8 中学部「作業学習」と高等部「作業学習」

中学部:作業学習 高等部:作業学習

知識・技能

〇活動内容が分かる。

〇自分の役割が分かる。

〇作業のペース配分ができる。

〇道具・用具の置き場所が分かり、準備する。

(片付ける)

〇手順通り、作業する。

〇なぜ必要なのかが分かり、取り組む。

〇やりやすい方法が分かり、作業効率が上がる。

思考・判断・表現

〇見通しをもってペース配分を考えた

り、複数の工程や販売練習に取り組

んだりする。

〇出来上がった製品を誰に買ってほしいか、どんな製品な

ら買ってもらえるのか考えながら取り組む。

〇前回の振り返りや教師に指摘されたことを次の目標に生

かして、取り組む。

〇見本を見たり、友達の様子を見たり

して、自分は何をどうするのかを考

え、調整する。

〇適切な量を判断し、調節する。

〇合図を送るタイミングを判断し、仲間に合図する。

〇仲間と話し合ったり、確認したりして活動する。

〇どうしたら仲間がやりやすくなるかが分かって手伝う。

主体的に学習に

取り組む態度

〇目標数や仕上がりを意識して意欲的

に取り組む。

〇出来栄え良く仕上げることを考えながら(製品になるこ

とを意識しながら)取り組む。

〇友達や教師とのやり取りから自分の

気持ちを整えたり、切り替えたりし

て活動に向かう。

〇仲間や教師と励まし合ったり、確認したり、相談しなが

ら一緒に取り組む。

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表8の中学部と高等部の「作業学習」を見ていくと、中学部では作業学習に向かう基本

姿勢を学ぶ段階であり、生徒自身が自分の役割や作業に向かう姿を「主体的に活動する姿」

として主に見取っている。高等部では、目の前の製品作りに取り組む姿勢に加え、仲間と

協力しながら活動すること、購入してもらうためにより良い製品について考えながら活動

することなど社会に出て働くために必要なことを学ぶ段階であり、その学ぶ姿を「主体的

に活動する姿」として評価されていることが読み取れる。

その他にも【資料2-1】から【資料2-6】は小学部「生活単元学習」の活動内容ごとに

1・2年、3・4年、5・6年と児童の「主体的に活動する姿」が段階的に発展していく様

が見て取れる。例えば、小学部全員で取り組んだ運動会【資料2-5】の「知識・技能」を

見ると、1・2年では、自分や友達の所属や応援練習などの活動内容という運動会に関わ

る事柄の概要が分かること、3・4年ではそれに加え、活動に必要な手指や体の動きが分

かり取り組む姿や自分の役割が分かって活動する姿を見取っている。5・6年になるとよ

り具体的に、競技の内容やルール、勝敗、応援グッズの作り方や手順、自分の役割を理解

してせりふや動きを覚えて活動する姿なども「知識・技能」として見取っており、段階的

に発展した内容になっている。

また、【資料2-2】の「調理活動」では、前単元の「思考・判断・表現」に記載されてい

る「量や数を調節する」姿が、次単元では「出来上がりがどうあれば良いか分かって、量

や数を調節する」姿が「知識・技能」の観点に記載されている。これは、前単元では見本と

見比べたり、試行錯誤したりしながら量や数を調節する姿を「思考・判断・表現」の観点

で整理し、次の単元では試行錯誤することなく量や数を調節する姿が見られたので「知識・

技能」の観点で整理したものである。「量や数を調節する」という同じ姿でも、児童の様子

を丁寧に見取り分析して評価しているからこそ、このようなことが起こると考えられる。

同じことが【資料4】高等部「作業学習」でも見られている。

以上のことから、観点別評価に取り組んだことで、具体的な児童生徒の姿を捉えること

ができ、学校全体で目指す「主体的に活動する姿」を各学部段階で明らかにすることがで

きた。そして、それらの姿は、各学部の学部目標に示された姿でもあった。これにより、

学部間の連続性のある授業づくりができていることが分かった。

―14-

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Ⅴ 研究のまとめ

1 本研究の成果と課題

(1) 成果

観点別評価の取り組みを通して「児童生徒一人一人が今、主体的に活動できる授業づく

り」の深化を図ることができた。

ア 学習評価システムの明確化

評価方法や評価時期が明確になった。また、評価した「主体的に活動する姿」を3観点

に整理することが全校で確認された。

イ より個に応じた目標設定

観点別評価による分析的評価によって、児童生徒の実態をより深く理解することができ

た。そのため、より個に応じた目標の設定や支援の在り方について検討することができた。

ウ 共通認識をもった授業づくり

授業者間で観点別評価することで、児童生徒の実態や設定された目標、有効な支援など

について共有しながら授業づくりを行うことができた。

エ 学部間の連続性

観点別評価を通して学部間の連続性が確認された。児童生徒が実態に即した学習活動で

あり、かつ、生活年齢に見合った学習活動に主体的に取り組んでいることが明らかになっ

た。

(2) 課題

ア カリキュラム・マネジメント

児童生徒が自分の力を発揮できる場面が広がるよう、年間指導計画等については学習評

価を生かしながら柔軟に見直しを図ることが今後も必要である。

イ より実用性のある学習評価へ

個別の指導計画等との関連付けを図るために評価方法や「観点別評価シート」の活用及

び様式の検討を今後も継続して行う。

2 本研究を振り返って

本研究の観点別評価の取り組みを通して、児童生徒の「主体的に活動する姿」を具体的な

姿として整理していくことで、学部間に連続性があることが明らかになった。これにより、

「授業づくりの構想」に示すような「主体的に活動する姿」という一貫性、及び児童生徒が

生活年齢に見合った活動内容に取り組むための学部間の連続性のある授業づくりができたと

考える。これは、学校教育目標の実現に向けて全校で取り組むことができたということでも

ある。そして、それは「児童生徒一人一人が今、主体的に活動できる授業づくり」を研究主

題に掲げて6年間に渡り、全校で一丸となって取り組みを続けてきたことで具現できたこと

である。

今後も、児童生徒が自分の力を存分に発揮して学習に向かう「主体的に活動する姿」が見

られるような授業づくりの実践を全校で継続しながら、新学習指導要領に示された資質・能

力の育成を目指していきたい。

-15-

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参考文献

1 岩手大学教育学部附属特別支援学校(2015)「研究紀要第 23集」

2 岩手大学教育学部附属特別支援学校(2017)「研究紀要第 24集」

3 文部科学省(2017)特別支援学校幼稚部教育要領 小学部・中学部学習指導要領

4 文部科学省(2018)特別支援学校教育要領・学習指導要領解説 総則編(幼稚部・小学部・

中学部)

5 文部科学省(2019)特別支援学校高等部学習指導要領

6 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(2015)専門研究B知的障害教育における組織的・

体系的な学習評価の推進を促す方策に関する研究-特別支援学校(知的障害)の実践事例を

踏まえた検討を通じて-

7 独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所(2016)「育成を目指す資質・能力」をはぐくむ

ための知的障害教育における学習評価の実践ガイド-学習評価の9実践事例を踏まえて-

(ジアース教育新社)

8 名古屋恒彦著(2018)豊かな生活が切り拓く新しい知的障害教育の授業づくり「アップデー

ト!各教科等を合わせた指導」

9 全日本特別支援教育研究連盟編著(2018)特別支援学校新学習指導要領ポイント総整理 特

別支援教育(東洋館出版社)

10 中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会(2019)児童生徒の学習評価の在り方

について(報告)

11 名古屋恒彦著(2019)「各教科等を合わせた指導」エッセンシャルブック 子ども主体の学

校生活と確かな学びを実現する「リアルの教育学」(ジアース教育新社)

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Ⅵ 各学部の取り組み(概要)

1 小学部

(1) 小学部の授業づくり

ア 小学部目標

以上の6つの児童の姿を、児童の「主体的に活動する姿」と捉え、小学部では、遊びの指導と生

活単元学習を教育課程の中心に位置付けている。

イ 「授業づくりの視点」に基づいたPDCAサイクルによる授業づくり

P単元づくり

・これまでの単元の児童の様子を受けて、児童の興味関心や願いを取り入れた活動を設定する。

・観点別評価シートに、目標と支援を記入する。

D日々の授業

・日々の授業においても、授業の計画P、授業D、児童の評価C、授業改善AのPDCAサイ

クルで行う。

C児童の評価

・複数の授業者で話し合い、児童の「主体的に活動する姿」を、「知識・技能」「思考・判断・表

現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理する。

・授業者の話し合いを受けて、観点別評価シートに、評価を記入する。

A単元の改善

・これまでの観点別評価シート(学習評価)を基に、次の単元づくり(目標や支援の設定)を行

う。

(2) 成果

ア 観点別評価シートを活用した学習評価の手順の構築

教育課程の見直し(評価をするための期間を設定)、観点別評価シートの様式変更(評価を3

観点に分けて表記)、複数の授業者による話し合い(付箋を活用した単元の振り返り)の導入等

を行った。その結果、取り組みやすく、且つ授業づくりにも生かせる学習評価の手順を構築す

ることができた。

イ 多面的に見取ることによる深い児童理解と授業づくりの深化

複数の授業者で、児童の「主体的に活動する姿」を確認し合い、3観点に整理していくこと

で、児童の姿を多面的に見ることができ、深い児童理解につながった。また、複数の授業者で

児童の学習評価をしっかり行うことで、具体的な目標設定や支援に生かす等、授業づくりに役

立てることができた。

ウ 観点別評価シートの作成を通して

小学部では全児童、全単元(遊びの指導、生活単元学習)について観点別評価シートを作成

した。その結果、年間を通して児童の成長の変化を見取ることができた。また、活動内容が多

岐にわたっていても、学年に合わせて系統性をもって単元づくりができていることを確認する

ことができた。

(3) 今後に向けて

ア 教育課程の見直し~学習評価を受け、児童の姿に応じた学習活動になるように

今年度、観点別評価シートを活用した学習評価を取り組んだことで見えてきた課題を生かし、

今の児童の「主体的に活動する姿」により近付けられるよう、生活単元学習の単元の整理をす

る等、次年度計画に反映させていく。

1 生き生きと活動する児童 2 自分の力を発揮する児童 3 自分の役割に取り組む児童

4 存分に活動し、満足感をもつ児童 5 みんなと仲良く、協力する児童 6 明るく元気な児童

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イ 観点別評価シートを活用した学習評価~個別の指導計画につながるように

観点別評価シートの取り組みは継続し、全児童において作成する。次年度は、観点別評価シ

ートの様式の見直しを行い、評価を3観点に分けて記載せずに、3観点を含む端的な文章で記

載することとし、観点別評価シートによる学習評価がより個別の指導計画等につながるように

していく。

2 中学部

(1) 中学部の授業づくり

ア 中学部目標

1 自分の仕事や活動にやりがいをもち、意欲的に活動する生徒

2 自分の力で様々な活動に、存分に取り組む生徒

3 自分の役割に進んで取り組む生徒

4 活動を成し遂げ、満足感、成就感をもつ生徒

5 仲間と協力しながら楽しく活動する生徒

6 丈夫な体をつくり、すこやかな心をもつ生徒

中学部では、以上の6項目を中学部における「主体的に活動する姿」と捉え、「授業づくりの

視点」に基づいたPDCAサイクルで授業づくりに取り組んでいる。

イ 作業学習の単元づくり

年間計画 販売会や納品活動を目的とし、年間8単元を2~3週間で計画している。

・合同販売会単元 :年間4回(「肴町商店街で販売しよう」3回、「あにわ祭で販売

しよう」)

・各作業班設定単元:年間4回(例「注文販売をしよう」「畑を作ろう」「納品しよう」)

作業班 石けん班、クラフト班、園芸班

合同販売会「肴町商店街で販売しよう」

第1次 オリエンテーション

第2次 製品作り(単元の中心) ちらし配り(肴町での宣伝活動) 直前集会(販売会前

日の集会)

第3次 販売会

第4次 振り返り

ウ 観点別評価の取り組み

・単元の評価「作業ノート」の取り組み

中学部では、前時研究の「評価シート」を改善し、単元のつながりを意識しながら一人一人の目標設定から評価までをまとめた。単元目標は、「日々の製品作り」と「販売会当日」の二つに分けて生徒の主体的に取り組む姿を設定することで、期間中の目指す姿を明確にした。また、評価は、目標ごとに支援の改善に対する変化も含めて記載したことで、支援の最適化を図った。さらに、評価内容を授業者で3観点に整理することで、今の姿や有効な支援、次単元の目標を共有することができた。

・学期の評価「観点別評価シート」の取り組み

「作業ノート」の目標、支援、評価を貼り付け、蓄積していくことで、1枚のシートで複

数の単元の様子を把握できるようにしている。中学部では、毎単元の整理した生徒の姿を、

3観点ごとに分類し、学期末に観点毎の姿や支援の内容をまとめ、次の学期の目標や支援に

生かした。

(2) 成果

ア 観点別評価による多面的な見取りが深い生徒理解に

評価を複数の教師で観点別に整理することで、評価の客観性を担保することができた。また、

3観点で評価することで、多面的に今の姿を見取り、支援の改善や次単元の目標を検討するこ

とができた。

イ 授業づくりの深化

評価を次単元の目標や支援に生かすことで、生徒が主体的に取り組むための授業づくりが深

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まった。また、年間計画では、合同販売会の場所や回数を見直し、単元計画では、ちらし配り

の実施時期を改善した。このことで、生徒にとって分かりやすく、見通しをもって取り組める

単元へと結び付いた。

(3) 今後に向けて

ア スムーズな評価と分析的なまとめ

本研究では、「作業ノート」と「観点別評価シート」の2つのツールを用いることで、評価と

目標のサイクルや、複数の教師で観点別に評価し分析する授業改善が整った。今後は、「作業ノ

ート」を用いて観点別評価の取り組みを継続し、様式も本研究の経験を生かしたより使いやす

いものに検討していく。

イ より主体的に活動できる学校生活へ

今年度は作業学習の単元計画を改善し、より分かりやすい計画となった。今後は、作業学習

と他の授業や行事との関連を踏まえた年間計画を検討し、年間を通して分かりやすい計画とな

るようにしたい。

3 高等部 (1) 高等部の授業づくり

ア 高等部目標

高等部の作業学習では、以上の6項目を生徒の「主体的に活動する姿」と捉え、「働く」こと

を学校生活の中心に考え、仲間と共に活動することを積み重ねる。

イ 作業学習(ガンフ工房)の取り組み

年間計画 販売会をテーマとした単元化を行い、日々の製品作りのほか、販売会に関わる

宣伝活動や販売準備を計画

作業班 木工班、手織班、陶芸班

販売活動 年3回の販売会を実施し、全員で販売会に参加

・外部での販売会2回(7月、2月に地域のスーパーマーケットにて)

・あにわ祭(学校祭)での販売会1回

宣伝活動

・ちらし配り、ポスター掲示の設定

在庫管理な

作業班ごとに製品の保管、在庫管理表などを活用しての在庫管理

ガンフ集会 単元のテーマや目標の共有 作業の様子や出来上がった製品の紹介

販売会までの日程や計画の確認 給料日

ウ 「授業作りの視点」に基づいた、PDCAサイクルでの授業づくり

・単元に関わっては、「単元の設定や計画P」「日々の授業と授業改善D」「学部研での単元の反

省C」「次単元への改善A」のPDCAサイクルで単元づくりを行った。

・日々の授業作りでは、「授業の計画P」「授業D」「作業学習の記録C」「観点別評価シートの

作成CA」のPDCAサイクルで授業作りを行った。

エ 学習評価と授業(単元)改善

・一人1事例による観点別評価シートを作成し、「主体的に活動する姿」を「知識・技能」「思

考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理した。

1 自分の仕事や活動にやりがいをもち、意欲的に活動する生徒

2 自分の力を十分に発揮して活動する生徒

3 自分から積極的に活動する生徒

4 精いっぱい作業に取り組み、働く喜び、成就感、達成感をもつ生徒

5 仲間と協力し合い、仲間との生活に楽しみをもつ生徒

6 心身共に豊かに生きる生徒

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・授業者間で作成した観点別評価シートを見合い、生徒の学習評価を多面的、客観的に行った。

また、今後の支援の在り方等について検討し、授業改善を行った。

(2) 成果

ア 深い生徒理解

日々の授業実践とそれに基づく、「作業学習の記録」「観点別評価シート」の取り組み及び「作

業T会議」「学部研」を行うことで、生徒を多面的に見取ることができ、より深い生徒理解につ

ながった。

イ 授業づくりの深化

目標に立てた生徒の「主体的に活動する姿」を3観点によって授業者間で評価することで、

客観性を担保し、分析的な評価を行うことができた。そして、この学習評価を「授業の評価」

「指導の評価」につなげ、授業改善を行うことができた。

(3) 今後に向けて

ア 他の学習場面での主体性の発揮について

研究の取り組みの結果、明らかになった生徒の主体性が他の学習場面でも生かされているか

を個別の指導計画の評価等から検証していく。

イ 更なる「主体的に活動できる授業づくり」を目指す

「学習評価」「授業の評価」「指導の評価」を継続して行い、年度途中での年間指導計画の修

正や見直しを行い、「主体的に活動できる授業作り」の深化を図っていく。

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Page 23: 研究まとめ 児童生徒一人一人が今、 主体的に活動できる授業づ … · Ⅰ 研究主題 児童生徒一人一人が今、主体的に活動できる授業づくり

研究に携わった職員・研究協力者

校 長 上 濱 龍 也

副校長 藤 谷 憲 司

〈助言者〉

岩手県立盛岡ひがし支援学校 指導教諭 佐々木 聖

岩手県立前沢明峰支援学校 副校長 近 藤 健 一

岩手県立盛岡みたけ支援学校 副校長 最 上 一 郎

〈小学部〉

田 口 ひろみ 中 村 くみ子 岩 崎 正 紀 齋 藤 絵 美 及 川 和 恵

日 當 友 恵 細 川 絵里加 阿 部 大 樹 佐々木 千 尋 有 馬 多喜子

三田地 つぐみ

〈中学部〉

佐々木 弥 生 熊 谷 知 子 細 井 奈美江 高 橋 円 高 橋 幸

齋 藤 貴 子 伊 藤 槙 悟 吉 田 篤 新 妻 純 美 那 須 星 香

〈高等部〉

安久都 靖 藤 川 健 星 野 英 樹 昆 亮 仁 澤 田 眞 美

山 口 美栄子 中 村 真 淑 品 川 倫 行 小 原 一 志 湯 沢 幸 己

竹 内 翼

〈旧職員〉

清 水 茂 幸 高 橋 縁 菊 池 明 子 小 山 芳 克 高 橋 勝 子

羽 藤 幸 恵 千 葉 優香子 高 橋 基

〈共同研究者〉

柴 垣 登 鈴 木 恵 太 東 信 之 佐々木 全 滝 吉 美知香

池 田 泰 子(H31.3退職)

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