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人と組織の成長支援のために 感動の不等式 <ストレス・マネジメント技術の応用> 1 plus 1 makes greater than 2 Catch Ball Club 特定非営利活動法人キャッチボールクラブ

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人と組織の成長支援のために

感動の不等式 <ストレス・マネジメント技術の応用>

1 plus 1 makes greater than 2

Catch Ball Club 特定非営利活動法人キャッチボールクラブ

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はじめに

ストレスを活かすという発想転換

人と組織の「ストレス反応」を科学する

巷間、離婚理由の No.1 は、「性格の不一致」で不動の一位だそうです。

ならば、離婚しない夫婦の多くは「性格が一致している」のでしょうか。

調査するまでもなく、そんなはずはありません。なぜなら、そもそも性格

が一致することなどあるはずがないからです。

おそらく調査結果の示す意味は、言い訳のNo.1といったところでしょう。

自分の思い通りにならない、意見が違うのが気に食わない…など、「性格の

不一致」を言い訳として、その場しのぎの生き方、責任転嫁や自己保身の

生き方を(無責任にも)社会が承認してしまっているように思われます。

「離婚してはいけない」などと決めつけるつもりではありません。「いや

なら離婚すればいい」という感情論でもなく、「簡単には離婚できないよう

にすればいい」という制度論を振り回したいわけでもありません。

互いの個性の違いは、強みが異なるということであり、補完し合えると

いう実に幸せな関係性です。互いに違っていることがどれほど素晴らしい

ことか!と伝えたいだけです。「そのことを知らない」「そのことが分から

ない」のではないか。「いっしょになる」「いっしょに生きる」ことの素晴

らしさを体験したことがないのではないか。このことを知るのはいつなの

か。このことに気づかせてあげられるのは誰なのか…。

「一人でも生きていける」という勘違いや思い込みをしても、させても

なりません。「ストレスとは何か?」と正しい認識も持たないままに、「現

実社会はストレスだらけ!」とストレスを悪者扱いしたり…。「嗚呼!スト

レスが無い世界に行きたい」などと、自殺宣言をしていることに気づいて

いなかったり…。実は、この誤った認識を変えるだけで、人も組織も元気

になるのです。

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■人間関係のダイナミズム「不等式」とは何か

それでは、ここで算数のおさらいをしながら、人間関係を考えます。

《1+1=2》:結果がイコールになる等式

1+1は2。これは、等式です。誰もが知っている足し算の結果です。

二人の力を合わせれば、キッチリ二人分の仕事ができる計算になります。

算数のテストは、この等式通り、理論的にも間違いは起こりません。

しかし、人間関係においては、なかなかこのような計算通りにはいきま

せん。誰かががんばっていても、誰かの身体の調子や気分が悪かったり、

誰かが手を抜いて働かなかったり…。こうして人間関係の足し算は、等式

ではなく、不等式で表される世界になります。その不等式は、次の2通り

です。つまり、限りなくプラスになっていくか、限りなくマイナスになっ

ていくか、天国と地獄のような開きとなっていく計算式となります。

《1+1>2》:結果がプラス∞になる不等式

1+1が2よりも大きくなることがあります。これが生命のダイナミズ

ムであり、人間関係の無限の素晴らしさです。この状態こそが求めてやま

ない幸せの姿と考えられます。

《1+1<2》:結果がマイナス∞になる不等式

1+1が2よりも小さくなることもあります。これもまた限りない生命

の厳しいルールであり、人間関係における悩みの姿といえます。

どちらかを選択するのが生き方であり、その繰り返しが人生と言えます。

どちらがいいかではなく、いかにすれば幸せな選択を繰り返すことが可能

となるのか…と考えていくのがこの講座です。

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■人と組織の成長のために

本書では、「人と組織のストレス・マネジメント技術獲得」を目標とし、

学校教育、家庭教育も含め、各種組織の人材育成と幸せのチームワークづ

くりへの提言を行います。

私は、これまで、組織人事監査業務をはじめ、一般組織のチームワーク

支援、および、コーチング等、現場の人材育成に携わってまいりました。

今回、満を持してご提案させていただく内容は、すでに世界標準の常識と

なっている「人と組織の成長を可能にする科学的法則」を活用する提案で

あり、さらに効果的・効率的な教育成果をあげるための具体的作戦です。

教育システムの新たな導入において、「何か画期的なことをしなければな

らない」との思い込みから無理な追加施策を行うと、かえって現場の生産

性を低下させ、往々にして気持ちを疲弊させてしまうことがよくあります。

いわゆる「また余計な仕事が増える」というネガティブ反応に終始するわ

けです。宿題が増えた子どもたちと同じように、大人たちも大して変わら

ないストレス反応をするわけです。まさにここに、心理学的(科学的)成

長支援の法則があるわけです。

「皆の幸福のために」という大目標の前では、現場においては、すべて

の活動や実践が最優先事項に思えてきます。『あれもこれも』となる現場で

は、目標達成のために日夜奮闘しているのに、なぜか、追い込まれていく

ような、先行き不安がつのる状態になっていたりします。これらもまた子

どもたちも同様に、いつしか追い込まれて自信を喪失し、先行き不安に苛

まれていたりします。ここでも大人も子どもも同じ事態に…。

『何のために』『何をするか』は、人と組織の永遠の課題です。「何をす

るか」を急ぐ余り「何のために」が置き去りになる場合があります。

本研修が、それぞれの「人と組織の成長のために」の一助ともなれば、

嬉しい限りです。

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INDEX

「感動の不等式」

■序章 セルフチェック

□Self-Check 1

個性とストレス状態チェック 10

◎資料1:8キャラ対応表/FFS マトリクス 11

□Self-Check 2

仕事に関する意識チェック 12

■第一章 ストレス・マネジメント

「相違」――認め合う世界 □個性とストレス概論

個性とストレスとの関係について 17

◎資料:不具合ストレッサー・セルフチェック 24

□人を理解する共通言語(FFS5因子解説)

1)「人格(社会性)」を形成する因子 A&B 25

2)「性格(論理性)」を形成する因子 C 31

3)「気質(適応性)」を決定する因子 D&E 37

□ストレス・マネジメント(まとめ)

A:「ライバルはきのうの自分」 42

B:「あれこりやるよりこれだけは」 44

D:「ほめすぎるってことはない」 46

E:「ちょっとずつ ちょっとずつ」 48

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INDEX

■第二章:フィードバック

「対話」――反応し合う世界 □フィードバック・プロセス

●出来ていることを喜び合う反応環境づくり 51

●メンタル・トレーニングの共通性 53

●成功への言葉と習慣 54

●音響担当の責務 55

●「生命論パラダイム」 56

●「システムの科学」 57

●「最強組織の法則」 58

●2つのフィードバック・プロセス 59

拡張フィードバック/平衡フィードバック

●感動――心のビタミンC 61

☆所感:「反応はビタミン」成長環境づくり 64

□対話の極意

◎正しいキャッチボールのすすめ 74

◎聴き上手のリアクション 76

Re: 1 うなずき返し / Re: 2 鸚鵡返し

Re: 3 ア行返し / Re: 4 そのまんま返し

□個別的最適化 アプローチ、ヒヤリング、プレゼン、クロージング

A:「敬意」「主義を聴く」「結論から」「理想のために」 84

B:「謝意」「関係を聴く」「どちらでも」「誰かのために」 85

D:「親近感」「好みを聴く」「事実から」「得する他」 86

E:「安心感」「悩みを聴く」「結論から」「損しない他」 87

8

INDEX

■第三章:コンビネーション

「相性」――組合せの世界 □ウサギとカメの二人三脚物語

●ウサギとカメは伴走者 90

●同質――似た者同士の組合せ 92

●補完――異なる個性の組合せ 93

□組合せ最適化:強みを生かし合う

◎組合せ別ワンポイントアドバイス 96

AD:確信に満ちた発言の数々――。

BD:ワクワクするようなアイデアの数々――。

BE:やさしさ溢れる心配りの数々――。

AE:軌道をそらさぬアドバイスの数々――。

◎幸せになる3つの組合せ「RAP ストーリー」 104

R:ライバル …………二人三脚

A:アドバイザー ……役割分担

P:パートナー ………心理補完

●8+1キャラクターと組合せ 105

■終章:チームワーク

「共生」――生かし合う世界 □共生生命体の30億年 109

□からだのチームワーク 110

□次元の話 111

※参考文献/あとがき

114

チームワーク・プランナー

蔵 満 正 樹 Masaki Kuramitsu

◇学術博士

◇特定非営利活動法人キャッチボールクラブ 理事長

◇個性別目標達成支援スーパーバイザー/ヒューマンサイエンス研究所

◇パーソネル・アナリスト/組織人事監査協会

◇経歴/1957 年大阪生まれ。O 型、おひつじ座、ピーナッツ(CBC キャラクター)。

コンサートやミュージカルなどの音響ミキサー、演出マネージャーとして舞台活動。その後、雑誌記者、出版編集、広告プランナー、制作ディレクターを経て、1990 年、システム開発会社を設立。一般企業のSPプレゼンテーションシステム、医療現場のコミュニケーション支援システムを開発し、人材教育と営業支援を行ってきた。1995年、FFS 理論の開発者・小林惠智博士と出会い、米国ペンタゴンで採用された組織最適編成プログラムのアナリスト資格を取得。チームマネジメント(組織最適編成支援)と、セルフコーチング(個性別目標達成支援)を実践。以降、医療におけるチームワークとストレスに関する研究を重ね、2006 年、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科にて、新庄文明教授の指導のもと、博士(学術)の学位を取得。2009~2011 年、川崎医療福祉大学非常勤講師。2013 年春、NPO 法人 Catch Ball Club として社会教育をテーマに活動開始。現在、各種チーム(医療・福祉・教育・一般企業)の対話支援システムの開発と後進育成の研修を行っている。 ◎著書:「The Bible of FFS Method」「マイ・ストレス制御技術-ストレスマネジメント技術の応用」 ◎論文:「歯科スタッフの仕事に対する不満度に影響を与える個人要因に関する研究」「歯科医院経営における経営管理姿勢と経営状態、満足度との関連に関する調査」 ◎開発:口コミ支援システム「Catch Ball System」、個別最適対応のためのヒヤリングシステム「Monsing7」、キャラクターチェック・Web サイト「TAIWA-NAVI」、歯科治療説明支援ツール「Menu321, Menu Maker」他

E-mail: [email protected] Web: https://www.taiwa-navi.com Net Shop: https://catchballclub.net

Catch Ball Club ――――――――――――――――――――――――

「感動の不等式」 ストレス・マネジメント技術の応用――研修用テキスト

2020年4月16日 第二版

編集・発行/特定非営利活動法人 キャッチボールクラブ ――――――――――――――――――――――――

Catch Ball Club

Printed in Japan

一人

無限大