患者さんのadlを把握しやすくしよう!...全員が同じようにadlを...

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特定医療法人 博愛会病院 第1病棟 ◎渡邉亮太 近藤まい 安田茉莉 チーム名 リーダー氏名 3回 リーダー職種 看護師 経験年数 2年 1時間 70% 1件目 月当たりの会合回数 平均会合時間 平均会合出席率 テーマ歴 (平成27年 6月 1日 結成) 所属部門 活動内容 看護部 業務改善 メンバー構成 渡邉 亮太 メンバーの合計人数:3人 (男1人、女2人) JOKER 一般病棟は固定チームナーシングを採用 看護師の能力に偏りが生じないよう少人数の チームをバランスよく作り、看護を行う方式 患者さんのADLを把握しやすくしよう! ~より安全・安楽な看護を提供するために~ 1.テーマ選定の理由 勤務交代時には必ず申し送りを行い 情報の共有を行っている 主な申し送り内容 ・患者の状態(病名・主訴・認知度・簡単なADL情報) ・薬剤使用の有無 ・検査の有無 ・日勤、夜勤の状態 ・その他知ってもらいたい事 詳しいADLまでは申し送りを行っておらず・・・ 1病棟の患者はADLが自立されている方から 全ての患者のADLが 把握できない! 「食事が置きっぱなしでセッティングされていない!」 というクレームが家族からあった…! メリット ・チームで目標を立て達成に向かって看護 活動を行うため、モチベーションが保てる ・苦手な業務があってもチームで補えるため 看護の質が上昇 ・チームで連携するため素早い対応が可能 ・チーム毎のばらつきが少ないため、 全ての患者に質の高い看護を提供出来る デメリット ・チームの結束が必要不可欠 ◎チームで担当している患者以外と の意思疎通が難しい その他ADLが把握できないと ・トイレ介助の方法 ・食事介助の方法 ・移乗の方法 がわからない・・・ 特に困るのは夜勤業務時 夜勤体制はABチームからそれぞれ看護師1人ずつ+ ワーカーの3人体制 ・片方の看護師が何らかの理由で対応できないときに、 反対チームの看護師が対応しなければならない ・特に食事の配膳時は介助なのかセッティングで自己摂取 できるかわからないことがあるので そのままにしていることが多かった その結果 1 ページ

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Page 1: 患者さんのADLを把握しやすくしよう!...全員が同じようにADLを 把握出来る手段がない!! 3.要因解析 A D L を 把 握 で き な い スタッフ

特定医療法人 博愛会病院 第1病棟 ◎渡邉亮太 近藤まい 安田茉莉

チーム名リーダー氏名 3回リーダー職種 看護師 経験年数 2年 1時間

70%1件目

月当たりの会合回数平均会合時間

平均会合出席率テーマ歴

(平成27年   6月 1日 結成)

所属部門

活動内容

看護部

業務改善メンバー構成

渡邉 亮太

メンバーの合計人数:3人(男1人、女2人)

JOKER

一般病棟は固定チームナーシングを採用 看護師の能力に偏りが生じないよう少人数の

チームをバランスよく作り、看護を行う方式

患者さんのADLを把握しやすくしよう! ~より安全・安楽な看護を提供するために~

1.テーマ選定の理由

勤務交代時には必ず申し送りを行い

情報の共有を行っている 主な申し送り内容

・患者の状態(病名・主訴・認知度・簡単なADL情報)

・薬剤使用の有無

・検査の有無

・日勤、夜勤の状態

・その他知ってもらいたい事

詳しいADLまでは申し送りを行っておらず・・・

1病棟の患者はADLが自立されている方から

全ての患者のADLが

把握できない!

「食事が置きっぱなしでセッティングされていない!」

というクレームが家族からあった…!

メリット ・チームで目標を立て達成に向かって看護

活動を行うため、モチベーションが保てる

・苦手な業務があってもチームで補えるため

看護の質が上昇

・チームで連携するため素早い対応が可能

・チーム毎のばらつきが少ないため、

全ての患者に質の高い看護を提供出来る

デメリット ・チームの結束が必要不可欠

◎チームで担当している患者以外と

の意思疎通が難しい

その他ADLが把握できないと

・トイレ介助の方法

・食事介助の方法

・移乗の方法

がわからない・・・

特に困るのは夜勤業務時

夜勤体制はA・Bチームからそれぞれ看護師1人ずつ+

ワーカーの3人体制

・片方の看護師が何らかの理由で対応できないときに、

反対チームの看護師が対応しなければならない

・特に食事の配膳時は介助なのかセッティングで自己摂取

できるかわからないことがあるので

そのままにしていることが多かった

その結果

1 ページ

Page 2: 患者さんのADLを把握しやすくしよう!...全員が同じようにADLを 把握出来る手段がない!! 3.要因解析 A D L を 把 握 で き な い スタッフ

実施項目 担当者目標実施目標実施目標実施目標実施目標実施目標実施目標実施目標実施

全員要因分析

11月6月 7月 8月 9月 10月

テーマの選定 全員

現状把握  全員

目標設定 全員

標準化と管理の定着 全員

反省と今後の課題 全員

対策立案・実施 全員

効果の確認 全員

★その他ADLを把握する方法

・経過記録を見る

・他スタッフから聞く

・他スタッフに任せる

・探り探りで介助する

・わからないので患者に聞く

経過記録に記載されていても記載欄まで

遡らないといけない

スタッフによって記録の仕方にバラつきがある

さらにコールがあってから調べたり、聞いたりするのは

二度手間であり、対応が遅れてしまう!

2.現状把握

一般病棟はほぼ毎日患者が入退院をしており、

長期間の入院は原則できない

(10月現在)

前年度の入院患者802人

退院患者734人

今年の平均在院日数15.75日

つまり1日平均2.2人が入院をし

そして退院をしている

(1日6人以上入退院をする場合も!)

そのため初めて受け持つ場合が多く

記録を頼りにADLを把握している

早くご飯食べたいのに

準備してもらえない・・・

この人どれぐらい動けるか

分からない・・・

2 ページ

Page 3: 患者さんのADLを把握しやすくしよう!...全員が同じようにADLを 把握出来る手段がない!! 3.要因解析 A D L を 把 握 で き な い スタッフ

全員が同じようにADLを

把握出来る手段がない!!

3.要因解析

ADLを把握できない

スタッフ

環境

目標:ADLを把握出来る表を作り活用する

①情報不足

申し送りが少ない 経過記録以外

で知る術が無

記録が無い

申し送りの

短縮

記載に個人

差がある

コミュニケーション不足

受け持ち患者

以外の情報が

わからない

②固定チーム

ナーシング

他チームの

情報不足

情報共有が

無い

関わりが少

ない

内容が限られる

④患者

高齢

認知症

自分で

訴える事が出

来ない

ADLが変化

しやすい

③一般病棟

固定チーム

ナーシング 入退院が

激しい

在院日数が

短い

関わりが

少ない

安静度の制限

治療優先

自分で動け

ない

重要要因

①経過記録の記載方法が統一化されていないため、把握するのに時間がかかる

②固定チームナーシングのため他チームの情報が共有されにくい

③一般病棟では、在院日数が限られており、患者との関わりが少ない

④患者自身が自己のADLを正しく伝える事が出来ない場合がある

だが病室に患者のADLが

把握出来る表があれば

すぐ対応できるのでは!?

Page 4: 患者さんのADLを把握しやすくしよう!...全員が同じようにADLを 把握出来る手段がない!! 3.要因解析 A D L を 把 握 で き な い スタッフ

要因 採・否

ベッドサイドにADL表を作る 採否

何を なぜ 誰が いつまでにベッドサイドのADL表を

安全に介助するため

全員が 10月までに

ADLが把握できない

ADLを把握するために

作成する

どのようにする

具体策

患者全体のADL一覧表を作りファイリングする

ADLに関する記録を徹底する

対策の立案

対策の実施

行った対策

スタッフから意見を聞くと・・・

◎これでは表に文字が多く細かく分類されておりパッと見分かりにくい

◎名前が表示されているため個人情報の問題がある

◎トイレという文字を不快に思う方もいる

介助の仕方をイラストで表現したら

どうだろうか

食事介助

一部介助 全介助

端座位で摂取可

車椅子に移乗

ギャッジアップ 度

看護師で介助必要

車椅子移乗

一部介助 全介助 見守りで移乗 柵につまり移乗 支えが必要 腰 肩 平行移乗 麻痺あり 右 左

上肢 下肢 車椅子の位置 右側 左側

トイレ介助

一部介助 全介助 歩いて誘導

歩行器使用

車椅子使用

尿瓶使用

日中 夜間

しかし問題発生!

ADL表を作成しベッドサイドに設置

介助方法を具体化し四角にレ点を打ち介助しやすいようにする

これを病室の見える位置に設置

Page 5: 患者さんのADLを把握しやすくしよう!...全員が同じようにADLを 把握出来る手段がない!! 3.要因解析 A D L を 把 握 で き な い スタッフ

ADLをイラストで表現するために

ピクトグラムを使用!

数種類のピクトグラムを用意し

介助方法を表現した

排泄方法

移動方法

食事方法 身体状況

歩行可 歩行器使用 車椅子使用

トイレ 尿瓶使用 床上排泄

日中トイレ歩行

夜間床上排泄

日中歩行器使用

夜間床上排泄

日中尿瓶使用

夜間床上排泄 日中車椅子使用

夜間床上排泄

全身 セッティングのみ

(黄色)

全介助

(赤色) 上肢 下肢

ピクトグラムとは・・・

表現対象である事物や情報から

視覚イメージを抽出、抽象化し、

文字以外のシンプルな図記号によって

表したもの

1つ1つをラミネート加工後カード式にして

カードの余白に具体的な介助方法を記入できるようにした

(例:見守り可、肩を支えるなど)

・食事方法にはギャッジアップや見守り、看護師食介など

特記事項をカードの上に記入

・身体状況には麻痺・拘縮部位が分かるようにカードに

”L””R”と記入した

Page 6: 患者さんのADLを把握しやすくしよう!...全員が同じようにADLを 把握出来る手段がない!! 3.要因解析 A D L を 把 握 で き な い スタッフ

何を いつ 誰が どのようにする標準化 ADL表を 患者が入院した時 受け持ちナースが 作成する

管理 作成したADL表を何らかの理由でADLが変化した時

受け持ちナースが 変更する

教育 ADL表が作成出来る様に ADL表を設置するまでに QCチームが 作成手順書を作る

ADL 表の作成の仕方

・4つの仕切りにそれぞれカードが入っています。

患者さんに合った介助方法が分かるように

表示して下さい。

・介助の仕方は空欄に記入して下さい。

・ベッドの足元に置いて下さい。

・ADLに変更があった場合は必ず変更してください。

・ADLが自立している人は全部裏向けてください。

※使用する時に必ず本人・家族に了解を得て下さい。

排泄

方法

移動

方法

食事

介助

身体

状況

排泄方法のカード(7枚)

トイレ使用 尿瓶使用 床上排泄

日中トイレ歩行 日中歩行器使用 日中尿瓶使用 日中車椅子使用

移動方法のカード(3枚)

空いているスペースに介助の仕方を記入

例:見守り OK・肩を支える など

ストレッチャーやベッド上安静の人は

カードを裏向けて記入

歩行可 歩行器使用 車椅子使用

食事方法のカード(2枚)

看護師食介なら赤のカードに「Ns」と記入

G-Up でセッティングなら黄色カードに数字記入

端座位で摂取なら「端座位」車椅子なら「車椅子使用」と記入

昼のみ車椅子なら「昼のみ車椅子」と記入して OK

全介助 セッティングのみ 絶食の人は裏向けて「絶食」と記入

身体状況のカード(3枚)

麻痺があれば「R」または「L」を記入

例:右上肢のみ麻痺なら手のカードに「R」と記入

その他何かあれば記入する

例:腰痛あり・痛みあり など

全身 上肢 下肢

標準化と管理の定着

ADL表を誰でも同じように作成出来る様、ナースステーションに作成の手順書を置いた

ADL表の統一化が

出来るようになりました

Page 7: 患者さんのADLを把握しやすくしよう!...全員が同じようにADLを 把握出来る手段がない!! 3.要因解析 A D L を 把 握 で き な い スタッフ

常に見やすく、落下するおそれの少ない

ホワイトボートに設置し、対応できるようにした!

★認知症や不穏などで部屋変更やベッドの位置変更を

行うと見えにくくなったりする

★またベッドサイドを通る時やベッドを動かした時に

ADL表が落下する

しかし…

そこで…

全てのベッドに完成したADL表

設置

※一番目につきやすい

ベッドの足もとに設置した

ADL表を作成、いざ使用開始!! ※2週間実施/対象:一病棟職員 26名

Page 8: 患者さんのADLを把握しやすくしよう!...全員が同じようにADLを 把握出来る手段がない!! 3.要因解析 A D L を 把 握 で き な い スタッフ

今回ADLをピクトグラムにて表現することで、患者に対しどの様な介助が必要なのか一目で

分かるようになった。

その結果、より安全・安楽に介助が出来る様になり、介助への不安も減少した。

しかし・・・ 患者によっては状態の変化によりADLが改善または悪化したが、ADL表を変更するのは主に

受け持ちナースが行うため、勤務等の理由でADL表が変更されておらず、実際のADLと違い

とまどいを感じた。

また患者氏名の記載を省いたため、部屋変更を行なった際ADL表を変更し忘れ、実際と違う

ADL表になってしまった。

今回の取り組み終了後再検討し、ADLが変化した際その日の担当看護師が表を変更する事で

患者に合ったADL表を表示させる事が可能となった。

今後もADL表を活用しより安全・安楽な介助を行っていきたい。

効果の確認

★2週間後、対象者26名にアンケート実施。73%(19人)がADL表を使用したと回答

★スタッフの声より、一目でADLを把握出来るようになった事で・・・

・トイレコール時にADL表を見てすぐ対応できた

・食事の配膳時にその場で見てセッティング出来た

・他チームの介助に行く時に使用した

・夜勤帯に初めて患者を見た時に使用した

・ADLの変化も分かるため退院支援時に使用した

使用したスタッフの声

反省と今後の課題