構造物を対象とした発電式振動抑制装置の開発と特...

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構造物を対象とした発電式振動抑制装置の開発と特性調査 Development and Research of Vibration Control Device Using Power Generator for Structure ○正 砂子田勝昭(秋田大) 正 松岡 太一(秋田大) 正 平元 和彦(秋田大) Katsuaki SUNAKODA, Akita University, 1-1 Tegata Gakuen-machi, 010-8502 Akita Taichi MATSUOKA and Kazuhiko HIRAMOTO, Akita University In the previous paper the authors proposed a new vibration control device (V.C.D.) using power generator. The device has an inertial force created inertia disk, and damping force derived an energy dissipation of the power generator. The trial experimental model was made, and the vibration tests were carried out in our laboratory. In this paper, for the purpose of applying the device to a real large structure, new two V.C.D.s for 15 kN range are manufactured, and shipped to NCREE, Taiwan. In order to investigate about dynamic properties of the V.C.D., performance tests are carried out, and the resisting force characteristics are measured. Next, vibration tests of 3-story structure when the V.C.D.s are attached are carried out using by shaking table. Seismic responses at each story are measured when the earthquake wave of Imperial Valley El Centro NS component is inputted. The control law based on minimizing the Lyapunov function is used, and it is controlled by Bang-Bang type. The effects of vibration suppression using the V.C.D. are confirmed. Key Words : Damping, Vibration Control, Inertial Force, Power Generator, 3-Story Structure, Lyapunov Function A1.ま 前報において低い周波数で振動抑制効果が得られることを 目的として,慣性力と減衰力を併せ持つボールねじを用いた 発電式振動抑制装置を提案した.小規模モデルを製作し,そ の抵抗力特性,および周波数応答実験と解析を行い,本装置 の理論を確かめた.その次の段階として,実大構造物に対す る制振を目的として,15 kN 用の発電式振動抑制装置を新た に開発した.発電機の両端子間に可変負荷抵抗装置を取付け, リヤプノフ関数を規範としたセミアクティブ制御手法を用い て,3層大規模構造物に装置を取付けた場合の地震応答実験 を行い,本装置の制振効果を確かめた. A2.発電式振動抑制装置 本報で開発した 15 kN 用発電式振動抑制装置の構造を Fig. A1 に示す.本装置は,シリンダ,ピストン,ロッドエンド, ボールねじ,ボールナット,慣性円板,カップリング,増速 ギア,および発電機から構成される.ロッドエンド間に生じ た直線運動は,ボールねじによって回転運動に変換され,増 速ギアを介して発電機を駆動させる.発電機は内部コイルの 印加電流の大きさによって回転速度を制御できるので,その 逆にコイルの電流すなわち発電機の両端子間の負荷抵抗を変 えることによって回転速度に比例した減衰力を発生させるこ とができる.発電機の端子間には,負荷抵抗の値を任意に変 化させるための可変負荷抵抗装置を接続することで,減衰力 を制御することが可能となる. A3.地震応答実験 台湾大学,国家地震工学研究センター(NCREE)内にある 振動台を利用して,地震時における本装置の構造物に対する 制振効果を確かめるために地震応答実験を行った.試験構造 物はFig. A2 に示す高さ 9 m,長軸方向 3 m,短軸方向 2 m,階 層重量約 6 tである.本装置を1階と2階,および2階と3階 との層間にそれぞれ1個ずつ設置し,装置の慣性質量比およ び減衰比を変化させて実験を行った.制御手法は,エネルギ ー消散速度を最大にするため,Lyapunov関数の時間微分値を 最小にする条件を用いて,装置の減衰係数は二値切替え Bang-Bang)型とした.最大加速度を 0.5 m/s 2 に基準化した Imperial Valley地震El Centro NS成分を,3層構造物の長軸 方向に入力し,各層の絶対加速度および相対変位を測定した. 実験の結果,非制御時の時は絶対加速度で 1/3~1/4,相対変位 1/3~1/2 程度に低減した.また,慣性質量を増すことで振動 抑制効果が向上した. Weight Fig. A1 Construction of the vibration control device Ball screw Generator Inertial disk Coupling Bearing Gear Rod end Ball nut Fig. A2 Test setup in NCREE V.C.D. A/D PC D/A Shaking table Controller

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Page 1: 構造物を対象とした発電式振動抑制装置の開発と特 …nonoka.biz/download/dd447.pdfIn the previous paper the authors proposed a new vibration control device (V.C.D.)

構造物を対象とした発電式振動抑制装置の開発と特性調査

Development and Research of Vibration Control Device Using Power Generator for Structure

○正 砂子田勝昭(秋田大) 正 松岡 太一(秋田大) 正 平元 和彦(秋田大)

Katsuaki SUNAKODA, Akita University, 1-1 Tegata Gakuen-machi, 010-8502 Akita Taichi MATSUOKA and Kazuhiko HIRAMOTO, Akita University

In the previous paper the authors proposed a new vibration control device (V.C.D.) using power generator. The

device has an inertial force created inertia disk, and damping force derived an energy dissipation of the power generator. The trial experimental model was made, and the vibration tests were carried out in our laboratory. In this paper, for the purpose of applying the device to a real large structure, new two V.C.D.s for 15 kN range are manufactured, and shipped to NCREE, Taiwan. In order to investigate about dynamic properties of the V.C.D., performance tests are carried out, and the resisting force characteristics are measured. Next, vibration tests of 3-story structure when the V.C.D.s are attached are carried out using by shaking table. Seismic responses at each story are measured when the earthquake wave of Imperial Valley El Centro NS component is inputted. The control law based on minimizing the Lyapunov function is used, and it is controlled by Bang-Bang type. The effects of vibration suppression using the V.C.D. are confirmed.

Key Words : Damping, Vibration Control, Inertial Force, Power Generator, 3-Story Structure, Lyapunov Function

A1.ま え が き

前報において低い周波数で振動抑制効果が得られることを

目的として,慣性力と減衰力を併せ持つボールねじを用いた

発電式振動抑制装置を提案した.小規模モデルを製作し,そ

の抵抗力特性,および周波数応答実験と解析を行い,本装置

の理論を確かめた.その次の段階として,実大構造物に対す

る制振を目的として,15 kN 用の発電式振動抑制装置を新た

に開発した.発電機の両端子間に可変負荷抵抗装置を取付け,

リヤプノフ関数を規範としたセミアクティブ制御手法を用い

て,3層大規模構造物に装置を取付けた場合の地震応答実験

を行い,本装置の制振効果を確かめた.

A2.発電式振動抑制装置

本報で開発した 15 kN 用発電式振動抑制装置の構造を Fig.

A1 に示す.本装置は,シリンダ,ピストン,ロッドエンド,

ボールねじ,ボールナット,慣性円板,カップリング,増速

ギア,および発電機から構成される.ロッドエンド間に生じ

た直線運動は,ボールねじによって回転運動に変換され,増

速ギアを介して発電機を駆動させる.発電機は内部コイルの

印加電流の大きさによって回転速度を制御できるので,その

逆にコイルの電流すなわち発電機の両端子間の負荷抵抗を変

えることによって回転速度に比例した減衰力を発生させるこ

とができる.発電機の端子間には,負荷抵抗の値を任意に変

化させるための可変負荷抵抗装置を接続することで,減衰力

を制御することが可能となる.

A3.地震応答実験

台湾大学,国家地震工学研究センター(NCREE)内にある

振動台を利用して,地震時における本装置の構造物に対する

制振効果を確かめるために地震応答実験を行った.試験構造

物はFig. A2 に示す高さ 9 m,長軸方向 3 m,短軸方向 2 m,階

層重量約 6 tである.本装置を1階と2階,および2階と3階

との層間にそれぞれ1個ずつ設置し,装置の慣性質量比およ

び減衰比を変化させて実験を行った.制御手法は,エネルギ

ー消散速度を 大にするため,Lyapunov関数の時間微分値を

小にする条件を用いて,装置の減衰係数は二値切替え

(Bang-Bang)型とした. 大加速度を 0.5 m/s2に基準化した

Imperial Valley地震El Centro のNS成分を,3層構造物の長軸

方向に入力し,各層の絶対加速度および相対変位を測定した.

実験の結果,非制御時の時は絶対加速度で 1/3~1/4,相対変位

で 1/3~1/2 程度に低減した.また,慣性質量を増すことで振動

抑制効果が向上した. Weight Fig. A1 Construction of the vibration control device

Ball screw Generator Inertial disk

Coupling Bearing Gear Rod end

Ball nut

Fig. A2 Test setup in NCREE

V.C.D.

A/D

PC

D/A

Shaking table

Controller

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uL

uL

πα=θ

π=θ

2,221

1.ま え が き

我が国は地震災害が著しい国であり,原子力発電所や化学

工場といった重要性の高い構造物を対象とした制振に限らず,

近では特に都市部における構造物の長周期振動の危険性が

叫ばれている.それらを防止する手段として,慣性質量を持

った制振装置が開発されている.例えば,ボールねじの回転

慣性モーメントを利用したメカニカルスナッバ(1)~(3)や,シリ

ーズマスを利用した研究(4)がある.これらは相対的な運動に

よって,慣性力を発生させる仕組みであり,配管振動や振動

遮断として大変有効である.これまでに,著者らは,流体の

慣性質量効果を用いた振動遮断装置を開発し,その効果を検

証してきた(5)(6). 一方,前報において低い周波数(長周期振動)で振動抑制

効果を発揮することを目的として,ボールねじを用いた発電

式振動抑制装置(V.C.D.)を提案した.本装置はメカトロダ

ンパとメカニカルスナッバの両方の特性,すなわち減衰機構

と慣性質量を併せ持ち,発電機両端子間の電気抵抗を制御す

ることによってセミアクティブダンパとして機能する.MRや磁気ダンパなどと違い,外部からのエネルギーを必要とし

ないため,信頼性,安全性に優れ,低コストという特長があ

る.小規模モデルを設計・製作し,その抵抗力を理論により

確かめた.また,周波数応答実験と解析,および地震応答シ

ミュレーションを行い,本装置の有効性を実証した(7)(8). そこで次の段階として,実大構造物の制振を目的として,

ボールねじを用いた 15 kN用の発電式振動抑制装置を製作し

た(9).実際の構造物に対する発電式振動抑制装置の制振効果

を確かめるために,台湾大学内の国家地震工学研究センター

( National Center for Research on Earthquake Engineering: NCREE)の施設において,試作した装置を持ち込み,その抵

抗力測定実験および大規模3層構造物に取付けたときの地震

応答実験を行った.地震応答実験では,発電機の端末に可変

負荷抵抗装置を取付けて,Lyapunov関数を規範とした二値切

替型のセミアクティブ制御手法を用いて,各層における絶対

加速度および相対変位の低減を試みた.また,実験結果を計

算結果と比較検討し,本装置の制振効果を確かめた.

2.振 動 抑 制 装 置 の 構 造

2.1 構造

15 kN 用発電式振動抑制装置の外観を Fig. 1 に,その諸元を

Table 1 に示す.本装置は,シリンダ,ピストン,ロッドエン

ド,ボールねじ,ボールナット,慣性円板,カップリング,

増速ギア,および発電機から構成される.ロッドエンド間に

生じた直線運動は,ボールねじによって回転運動に変換され,

増速ギアを介して発電機を駆動させる.発電機は内部コイル

の印加電流の大きさによって回転速度を制御できるので,そ

の逆にコイルの電流すなわち発電機の両端子間の負荷抵抗を

変えることによって回転速度に比例した減衰力を発生させる

ことができる.発電機の端子間には,負荷抵抗の値を任意に

変化させるための可変負荷抵抗装置を接続することで,減衰

力を制御することが可能となる.また,ボールねじ軸端に取

付けられた慣性円板は,2種類の付加質量に交換することが

でき,その回転慣性モーメントから大きな慣性力を発生する. 2.2 抵抗力特性 両ロッドエンド間の並進変位をuとし,ボールねじ軸の回転

角をθ1および増速ギアを介した発電機軸の回転角をθ2とする

と,その関係式は

(1)

となり,αはギアの増速比である. ボールねじ軸の回転トルクをT1および発電機の回転トルク

をT2とすると,ロッドエンドに働く力Fは

⎟⎠⎞

⎜⎝⎛ πα

η= 21

221 TL

TL

F (2)

で表される.ここで,ηはボールねじの逆作動変換効率である. ところで,ボールねじ軸および発電機の回転慣性モーメン

トによるトルクをそれぞれT1,Tiとすると

22

2

221

2

11 ,dt

dITdt

dIT iθ

= (3)

となり,I1はボールねじ軸等の慣性モーメント,およびI2は発

電機軸の慣性モーメントである.一方,発電機の制動トルク

Tdは次式で表されることが知られている(1).

dtd

RRKKT

a

TEd

2θ+

= (4)

ここで,KEは起電力定数,KTはトルク定数,Raは電機子内部

抵抗,Rは端子間の負荷抵抗を表す.したがって,発電機の回

転トルクはT2 = Ti + Tdであるので,装置の全抵抗力Fは式(1)~(4)より次式で表される.

(5) ⎭⎬⎫

⎩⎨⎧

+α+α+⎟

⎠⎞

⎜⎝⎛ π

η= u

RRKKuII

LF

a

TE &&& 22

21

2

)(21

上式から,発電機両端子間における負荷抵抗の大きさを変

えることにより,発電機に流れる電流を制御でき,減衰係数

を変化させることが可能となる.すなわち,負荷抵抗 R = 0(短絡)の場合には減衰係数が 大となり,負荷抵抗 R = ∞(開放)の場合にはほぼ零の 小値をとる.ここで,加速度

Fig. 1 Construction of the vibration control device

Table 1 Design parameters of the vibration control device

VCD Length 640 mm Weight 15 kg Max. driving force 15 kN Stroke ±60 mm Ball screw Lead L 5 mm Diameter 14 mm Rotary efficiency η 0.94 Inertial disk Equivalent mass me 6000, 12000 kg Moment of inertia I1 24.9×10-4 kgm2

50.0×10-4 kgm2

Gear Increasing ratio α 5 Generator Type SS40E4-L1-5 Damping coefficient cd 184×102 Ns/m Permitted watt 40 W Torque constant KT 0.074 Nm/A Electromotive force KE 0.074 Vs/rad Motor resistance Ra 1.7 Ω Moment of inertia I2 0.53×10-4 kgm2

Ball screw Generator Inertial disk Ball nut

Gear Coupling Bearing Rod end

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および速度の係数をそれぞれ等価慣性質量me,減衰係数cdと

する.

3.抵 抗 力 測 定 実 験

3.1 実験装置 本装置の一端を固定壁に,他端を油圧アクチュエータに取

付けて,正弦波状変位を与えた場合の抵抗力をロードセルに

よって測定した.発電機端子間の負荷抵抗を4種類(開放お

よび 24.0, 15.2, 10.8 Ω),および慣性質量を2種類(me = 6000, 12000 kg)について周波数を 0.3~0.7 Hzまで変化させた. 3.2 実験結果

Fig. 2 に慣性質量が 6 t の場合における負荷抵抗を変化させ

た実験結果を,Fig. 3 に慣性質量を 12 t にした場合の実験結果

を,それぞれ計算値と併せて示す.Fig. 2 から,左肩上がりで

示される慣性力およびだ円形で示される減衰力の和で表され

ることがわかる.また,発電機端子間の負荷抵抗を減らすに

つれて減衰効果が増加していることが分かる.Fig. 3 から,左

肩上がりの勾配が増加しており,慣性質量が増えていること

が分かる.なお,実験からシリンダ,ピストン間の摩擦力は

100 N 程度であった.全ての場合で,加振周波数が上がるに

つれて高周波のノイズが見られるが,これはねじ軸とボール

とのバックラッシによる影響と考えられる.

4.地 震 応 答 実 験

4.1 実験施設 台湾大学,国家地震工学研究センター(NCREE)内にある

振動台を利用して,地震時における本装置の構造物に対する

制振効果を確かめるために地震応答実験を行った.試験構造

物は,高さ 9 m,長軸方向 3 m,短軸方向 2 m,階層重量約 6 tで,その外観をFig. 4 に,諸元をTable 2 に示す.各層には重

量調整のための鉛錘が設置されている.本装置を1階と2階,

および2階と3階との層間にそれぞれ1個ずつ設置した.ま

た,実験は質量比ε(= me/m)および減衰比ζ(= (ci + cd)/2(mki)1/2)

を変化させて行った.減衰比に関しては,発電機両端子間に

可変負荷抵抗装置を取付け,外部電圧(この場合パソコンか

らのフィードバック出力値)に比例して,端子間の電流を制

御し,負荷抵抗を変化できるようにした. 4.2 制御手法 3層構造物の解析モデルを Fig. 5 に,各パラメータを Table

2 に示す.構造物は3質点系に置き換えると,その運動方程

式はマトリクス表示すると

(6)

となり,それぞれ

(7) である.ここで[M],[K],[C]はそれぞれ質量,剛性,減衰マ

トリクス,xi(i = 1, 2, 3)は各階の絶対変位,cid(i = 1, 2)は

-10 0 10-3

0

3

-10 0 10 -10 0 10

i 階に設置した振動抑制装置の減衰係数である. 一方,Lyapunov 関数は以下のように定義される.

(8)

ここで,βは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの相互

の重みの役割である.ちなみに,β = 0.5 とした場合,単純な

運動およびポテンシャルエネルギーの総和になる.エネルギ

ー消散速度は式(8)を時間微分することで得られ

(9) となる.右辺第1項および4項はcidを含む時変項で,それ以

-10 0 10-3

0

3

-10 0 10 -10 0 10

Fig. 3 Resisting force characteristics (me = 12000 kg)

(a) R = ∞ (cd = 0 Ns/m)

Fig. 2 Resisting force characteristics (me = 6000 kg)

-10 0 10-3

0

3

-10 0 10 -10 0 10

-10 0 10-3

0

3

-10 0 10 -10 0 10

-10 0 10-3

0

3

-10 0 10 -10 0 10

(b) R = 24.0 Ω (cd = 9000 Ns/m)

(c) R = 15.2 Ω (cd = 13600 Ns/m)

(d) R = 10.8 Ω (cd = 18400 Ns/m)

0.3 Hz 0.5 Hz 0.7 Hz

0.3 Hz 0.5 Hz

Forc

e [k

N]

0.7 Hz

Forc

e [k

N]

0.3 Hz 0.5 Hz 0.7 Hz

0.3 Hz 0.5 Hz 0.7 Hz

Forc

e [k

N]

Forc

e [k

N]

Displacement [mm] (solid: Exp., dashed: Cal.)

0.3 Hz 0.5 Hz 0.7 Hz

Forc

e [k

N]

Displacement [mm] (solid: Exp., dashed: Cal.)

000102 }{}{}{}]{[}]{[}]{[ xbxbxbxKxCxM ++=++ &&&&&&

T

Td

Te

dd

ddd

e

e

kb

ccbmb

xxx

xcccccccc

ccccccC

kkkkkk

kkkK

mmm

mmM

}00{}{

}00{}{,}00{}{

}{,0

0][

0

0][,

000000

][

10

1112

3

2

1

33

323222

222121

33

3322

221

=

+==

⎪⎭

⎪⎬

⎪⎩

⎪⎨

⎧=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

−−++−−

−−+++=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

−−+−

−+=

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

⎡+

+= }]{[}){1(}]{[}{)( xKxxMxtV TT β−+β= &&

0001

02

}{}{}{}{

}{}{}]{[}){21(}]{[}{}]{[}){1(}]{[}{)(

xbxxbx

xbxxKxxCxxKxxMxtV

TT

TTT

TT

&&&

&&&&&&

&&&&&

β+β+

β+β−+β−=

β−+β=

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外は受動要素なので,エネルギー消散速度を 大,すなわち

式(9)を 小にするためには,時変項である

(10)

を 小にすれば良いことがわかる.式(7),(10)から

(11) となる.時変項は第1項と3項であるが,第3項は相対速度

がどの値をとっても常に負になるため,2階に取付けた装置

の減衰係数c2dは常に 大値が好ましい.第1項は,絶対速度

および相対速度の積が,減衰力を発生できる向きであれば減

衰係数を 大にし,それ以外では除荷するのが好ましい.し

たがって,1階に取付けた装置の減衰係数は以下の二値切替

え(Bang-Bang)型となり以下の式で与えられる(10).

(12) 4.3 地震応答実験 実験に使用した波形はImperial Valley地震(1940)El Centro

のNS成分を 大加速度 0.5 m/s2に基準化したものである.3

層構造物の長軸方向に地震波を入力し,そのときの各層の絶

対加速度および相対変位を測定した.ただし,ねじれ方向の

モードが生じることがあるため,各層短軸方向に二つの測定

機器を取付けてある. 地震応答実験結果の 大値をまとめて Table 3 に示し,その

応答波形を Fig. 6 に示す.Table 3 より装置を取付けない場合

に比べて,非制御時の時は絶対加速度で 1/3~1/4,相対変位で

1/3~1/2 程度に低減していることがわかる.慣性質量を増やし

た場合,相対変位が減少していることから,振動抑制効果が

上がっているといえる.また,非制御時よりも制御時の方が

少し悪化しているが,これは測定機器のサンプリング周期が

細かすぎて,可変負荷抵抗装置ならびに発電機の追従性に多

少問題があったことが要因であると考えられる.装置非取付

時において,実験結果波形と計算結果波形に違いがあるが,

ねじりの影響があると考えられ,装置取付時ではほとんど一

致していることがわかる.

)}{}]{([}{)( 01 xbxCxtV T &&&& −β−=υ

})(

))(()()({)(2

323

2212201110111

xxc

xxccxxxcxxxctV dd

&&

&&&&&&&&&

−+

−++−+−β−=υ

5.ま と め

実大構造物用の発電式振動抑制装置を開発し,その抵抗力

特性および大規模実験モデルによる地震応答実験を行った.

主な結果は以下の通りである. ⎩⎨⎧

≤−>−

=0)(00)(

011

0111 xxx

xxxcc d

d &&&

&&&

(1) 抵抗力測定実験の結果,実験値と理論値がほぼ一致して

いることがわかる.また,その特性は加速度および速度

比例型の和で与えられる. (2) 地震応答の結果,振動抑制効果は 大変位で 1/2~1/3 程

度,また加速度で 1/4~1/3 程度になることがわかる. (3) 階層重量と同程度から2倍の慣性質量をもち,慣性質量

が増すと,相対変位の制振効果が向上する.

x3 m 3rd

k3

Fig. 4 Test setup in NCREE

Table 2 Physical parameters of the 3-story structure

Total height 9 m (3 m each) Width 3 m Span 2 m Weight of each story m 6000 kg (18 t total) Natural Frequency 1.53 Hz (2nd mode)Stiffness k1 1.6609×106 N/m k2 1.9152×106 N/m k3 1.5694×106 N/m Damping coefficient c1 8.7314×102 Ns/m c2 3.6620×103 Ns/m c3 5.4533×103 Ns/m

Table 3 Seismic responses of the 3-story structure

Experiment Calculation Story

Acc. Disp. Acc. Disp.1st 1.24 10.8 0.54 8.152nd 1.04 9.65 0.77 5.82

Without the V.C.D.

3rd 1.26 6.33 1.10 4.291st 0.25 4.34 0.25 3.972nd 0.35 3.90 0.32 2.45

With the V.C.D. (Uncontrol, ε = 1, ζ = 0.1 const.) 3rd 0.41 2.12 0.32 1.23

1st 0.29 5.09 0.27 4.892nd 0.42 3.99 0.39 3.13

With the V.C.D. (Control, ε = 1, ζ = 0.1 max.) 3rd 0.44 2.38 0.47 1.78

1st 0.29 3.90 0.30 5.062nd 0.41 3.45 0.39 3.13

With the V.C.D. (Uncontrol, ε = 2, ζ = 0.1 const.) 3rd 0.40 2.31 0.44 1.68

1st 0.26 3.31 0.30 5.082nd 0.40 3.28 0.39 3.14

With the V.C.D. (Control, ε = 2, ζ = 0.1 max.) 3rd 0.40 2.27 0.44 1.69

Acc. [m/s2], Disp. [mm]

Fig. 5 Analytical model of 3-story structure

V.C.D.

Weight

Shaking table

2nd m c3 x2

me,c2d

k2 c2

1st m x1

k1

me,c1d

x0c1A/D

D/A

PC

Controller

Page 5: 構造物を対象とした発電式振動抑制装置の開発と特 …nonoka.biz/download/dd447.pdfIn the previous paper the authors proposed a new vibration control device (V.C.D.)

(4) パッシブとセミアクティブとの制振効果の違いはあま

り見られなかったが,これは装置の時間遅れ等に起因し

ているものと考えられる. (5) 実験結果と解析結果がほとんど同じ傾向になることか

ら,解析の妥当性が確かめられた. 今後の課題として,3層構造物の同定精度を上げることが

必要である. 後に,本実験を遂行するに当たり,実験施設の提供およ

び協力をして頂いた台湾大学 Chin-Hsiung Loh 教授,テキサス

A&M 大学 Paul N. Roschke 教授,台湾大学地震工学研究セン

タースタッフ Pei-Yang Lin 氏に心から謝意を表する.

参 考 文 献

(1) 砂子田勝昭,他3名,メカトロダンパによる免震システ

ムのセミアクティブコントロール,機論,61-584,C(1995),pp. 1308-1312.

(2) 岩田義明,他3名,メカトロダンパによる免震システム

のハイブリッドコントロール,機論,63-613,C(1997),pp. 2991-2995.

(3) 川口修,他4名,メカニカル防振器の研究開発(I),日本

原子力学会誌,33-1(1991),pp. 76-89. (4) 川俣重也,他2名,耐震ダンパーに関する研究,東京大

学生産技術研究所,生産研究,25-3(1973),pp. 130-135. (5) 砂子田勝昭,他3名,流体の質量効果を用いた振動遮断

方法に関する研究,JSME Dynamics & Design 2005,No. 319(2005-8),4p.

(6) Sunakoda, K., Matsuoka, T.,Vibration Tests of a Cut-off System Using Water and Functional Fluids, ASME, Proc. PVP-ICPT-11, No. 93532 (2006-7), 4p.

(7) 砂子田勝昭,他2名,発電式振動抑制装置に関する研究,

JSME Dynamics & Design 2005,No. 307(2005-8),5p. (8) Ohtake, T., Sunakoda, K., Matsuoka, T., Study on Vibration

Control Device Using Power Generator, ASME, Proc. PVP-ICPT-11, No. 93534 (2006-7), 5p.

Fig. 6 Seismic responses

(b) Without the V.C.D.

(a) Input acceleration

0 10 20 30 40-0.5

0

0.5[m/s2]

x 0..

Time [s]

[m/s2]

-100

10

-100

10

0 10 20 30 40-10

010

0 10 20 30 40

-101

-101

0 10 20 30 40-101

0 10 20 30 40

-101

-101

0 10 20 30 40-101

0 10 20 30 40

-100

10

-100

10

0 10 20 30 40-10

010

0 10 20 30 40

-101

-101

0 10 20 30 40-101

0 10 20 30 40

-100

10

-100

10

0 10 20 30 40-10

010

0 10 20 30 40

(c) With the V.C.D. (Control, ε = 1, ζ = 0.1 max.)

(d) With the V.C.D. (Control, ε = 2, ζ = 0.1 max.)

x 1-x

0

x 1..

Exp. Cal. [mm]

Exp. Cal.

Exp.

x 2-x

1Cal. Exp. Cal.

x 3-x

2

x 2.. x 2..

Exp. Cal. Exp. Cal.

x 3..

[m/s2]

x 1-x

0

x 1..

Exp. Cal. [mm]

Exp. Cal.

Exp.

x 2-x

1Cal. Exp. Cal.

Exp. x 3

-x2Cal. Exp. Cal.

x 3..

[m/s2]

x 1-x

0

x 1..

Exp. Cal. [mm]

Exp. Cal.

Exp.

x 2-x

1Cal. Exp. Cal.

x 2..

Exp.

x 3-x

2Cal. Exp. Cal.

x 3..

Time [s] Time [s] Time [s]Time [s]

Page 6: 構造物を対象とした発電式振動抑制装置の開発と特 …nonoka.biz/download/dd447.pdfIn the previous paper the authors proposed a new vibration control device (V.C.D.)

(9) Matsuoka, T., et al., Numerical Simulation of 3-Story Structure with Vibration Control Device, Proc. 4th Int. Conf. on Earthquake Engineering, No. 199 (2006.10), 8p.

(10) Hiramoto, K., et al., An Energy Dissipation Based Semi-Active Control of Civil Structure with a New Mechatronic Vibration Control Device, Proc. 4th Int. Conf. on Earthquake Engineering, No. 189 (2006.10), 10p.