黒い雨 水平に広がる原子雲npg.boo.jp/siryou/yagasaki_20190930-koua122.pdf2019/09/30 ·...
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甲A122号証
黒い雨 水平に広がる原子雲
2019年10月16日
「黒い雨」被爆者健康手帳 交付請求等事件
証人 矢ヶ崎克馬
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証人の経歴と専門 1943年生 沖縄県在住 学歴 名古屋工業大学、広島大学大学院理学研究科 専門 物性物理学 実験的手段による基礎研究 理学博士 1974年 琉球大学赴任 (目的)復帰後の教育研究の基盤整備 1991年 極低温センター開設 当研究室で開発された装置が全世界の研究室に普及 (熱電能測定装置「シーソーヒーティングシステム」) 2001年 別冊宝島 理科系編 物性物理学分野 大学ランキング(実績・教育内容) ベスト10にランクされる ~2009年 学生部長、理学部長等を経て退職 琉球大学名誉教授
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放射線分野での経歴 証人の妻沖本八重美が広島原爆認定胎内被爆者
であったことが研究の出発点 1981年 琉球大学教養教育・一般教育 「核の科学」 開設 1997年 鳥島劣化ウラン弾投爆 1520発 発覚 米軍第一声:劣化ウランは放射能では無い ⇒「学問的にはれっきとした放射能である」 2003年 原爆症認定集団訴訟 内部被曝証言 2011年3月24日~ 爆発直後福島入域 測定と懇談 2011年 衆議院科学技術特別委員会、 参議院予算委員会へ 参考人招致 2012年 久保医療文化賞 3
何故「原爆症集団訴訟」で証言を引き受けたか? 線量評価体系DS86第6章→総括
枕崎台風後の測定にも拘わらず「台風の影響は無かった」と処理 枕崎台風 1945年9月17日 長崎:1200mm大量降雨
広島: 900mm降雨 (1)デルタ入り口堤防決壊 (2)床上1m濁流 (3)太田川の橋 20本流失
⇓ 全ての測定が台風後
風雨に流されて辛うじて測定できた ⇓
風雨の影響なしとして 「放射性降下物 極めて少量」
⇓
科学的憤り⇒証言決意
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法廷証言と意見書
(1)2003年 原爆症認定集団訴訟 証言・意見書
(2)2009年 3号被爆者手帳取得訴訟 証言・意見書
(3)2011年 福島集団疎開裁判 意見書
(4)2012年 多重下請け労働者原発労災申請証言・意見書
(5)2013年 川中優子岡山原爆症認定訴訟 意見書
(6)2013年 長崎被爆体験者訴訟 証言・意見書
(7)2013年 大阪ガレキ差し止め訴訟 証言・意見書
(8)2015年 東電多重下請労働者損害賠償訴訟 意見書
(9)2017年 「黒い雨」訴訟 意見書
2019年 「黒い雨」訴訟 証言
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放射線は何故怖いか? ⇒組織が切断される
放射性微粒子 たった1粒内部被曝するだけで ⇓
身体に 原子爆弾の放射能の影響を受ける事情
の出現
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放射線の電離 原子内の電子を吹き飛ばす
原子をつないでいる電子ペアを破壊する
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あらゆる物質の組織(分子)を切断 1本の放射線で1万5千個程度の分子切断 ①人間(生物)は修復力を持つ 修復力(免疫力)の弱い人から犠牲に 放射線を浴びるだけで身体負担 ②電子の移動機構を持たない物質は修復力を持たない
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外部被曝と内部被曝 (原爆被爆者の場合) 外部被曝:身体の外からやってくる放射線に被曝 初期放射線 (γ線、中性子線) 内部被曝: 身体の内部から発射される放射線に被曝 放射性微粒子 (α線、β線、Γ線)
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exposure 数百m
外部被爆(放射性微粒子からの)
放射性微粒子 (放射能埃)
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1枚目/1枚中
2015年
6月8日毎日新聞
「黒い雨」肺からの放射線
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長崎被爆者腎臓七條和子氏撮影
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(1)放射線⇒電離:分子切断 ⇒体力消耗、免疫力低下等、生命機能の不調 (2)DNA損傷 ⇒ ①修復できたら・・・ ミトコンドリア ②アポトーシス:細胞死 活性化酸素 ③結合し間違え、修復失敗 がん・白血病、活性酸素症候群、放射線倦怠症 初期放射線 中性子線⇒誘導放射化 外部被曝 半径2(⇒3.5)km ガンマ線 外部被曝 半径2(⇒3.5)km 放射性降下物 半径18㎞・移動 水溶性血液・リンパ液に乗って全身被曝 生物学的半減期に従う 不溶性一か所に留まり永久被曝 α線 体内で ~40μm 内部被曝 臓器毎計測で極端な過小評価 β線 ~数mm 内部被曝 臓器毎計測で極端な過小評価 γ線 半価層100mm 内部被曝/ 外部被曝
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原子雲のでき方
元火球 高温気団:原子雲頭部
の急上昇 ⇓
熱気球の原理 上昇速度は大きく 10分後には10~15キロメートル程度に及んだ
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広島原子雲(約1時間後)
原子雲頭部
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長崎原子雲
約40分後 17
原爆 核分裂連鎖反応
超高温 (1)プラズマ⇒原子形成⇒微粒子形成 ⇒水と合体⇒原子雲⇒黒い雨 (2)火球⇒急膨張⇒空気圧縮⇒ショックフロント 爆風/目や腸が飛び出す(急激な圧縮と減圧) 初期放射線 中性子線⇒誘導放射化 ガンマ線 熱線 火傷 火災 放射性原子生成 ⇒原子雲⇒放射性降下物/全世界へ
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10分間に 1万5千m 上昇
火球 (高温)
↓ 上昇 ↓
直下に 熱と放射能
②引きずられる
①浮力
きのこ雲の形成 火球の上昇が原因
急上昇
中心軸
←ここに熱と放射性微粒子
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全焼域 ・ 全壊域
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原子雲はどうやってできたか
火球 ⇒ 高温気団 ①高温⇒密度小さい⇒浮力⇒急上昇 高温気団(頭部)が猛烈な勢いで上昇 ↓ 直下(中心軸)に熱と放射性微粒子を置き残して上昇 ②爆心地半径2㎞の火炎域⇒上昇気流 ③ ①②が合体 (流体力学的必然性) ↓ 中心軸の形成 (放射能と熱) <地上から上空まで> ↓ (少し遅れて) 水平原子雲の形成 (放射能と黒い雨) 上記とは別に ④ 火球⇒空気を押しのけ 高圧空気壁 ショックフロント ⇒前向き爆風⇒高圧⇒後ろ向き爆風
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原子雲のでき方 黒い雨に関する専門家会議等の誤った「科学」
(1)原子雲の構造(熱力学的考察無し) 頭部は浮力上昇 基本は衝撃波の反射波 (2)放射線微粒子と水との合体を認識せず ⇔原子雲という雲=水との合体 適用できない実態に誤ったモデルを適用↓ ストークスの法則・砂漠モデル の適用 ⇓ 合理的考察できず⇒降下物範囲を極端に過小評価
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専門家会議 ↓
衝撃波の 反射波 で原子雲
衝撃波が ⇒ 中心に集まったとする そんなことがあるはずがない
誤った見解
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誤った見解
衝撃波が下からの気流を作る 24
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⇒ショックフロント
火球の膨張
⇒空気を追いやる⇒空気がフロントに集中⇒高圧壁
26 反射波も同様⇒非求心性
放射性微粒子の分布
(1)誤ったシミュレーション 砂漠モデル(放射性微粒子は水分子と合体せず) ストークスの法則 ⇓ せいぜい4.5㎞を基とする風下への分布 ⇒専門家委員会の設定した原子雲直径 (2)実際に実現した現象 放射性微粒子は水分子と合体⇒水平原子雲 ⇒気象現象に従う⇒雨は雲の下に降る ⇒黒い雨
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ストークスの法則
多湿空気中 乾燥空気中
雲を形成 ↓ 雨
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誤った見解
砂漠モデルを適用 ストークスの法則
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長崎原子雲
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投下直後
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水平原子雲の生成 圏界面2の存在
浮力 (気団の温度⇔周囲の温度) 周囲より温度が高い⇔周囲より密度が低い⇔周囲より重さが軽い⇔上向きの力を受ける(浮力) 圏界面1 対流圏 と 成層圏 の境 圏界面2 地上風圏 と 偏西風圏 の境 偏西風圏の温度が高い(すべてが合理的に理解できる)
地上風圏で浮力が有り押し上げてきた中心軸外周の気団が ここで浮力を失う ⇒水平方向に展開(同心円)⇒水平原子雲
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高温気団(元火球)内の温度 中心に行くほど高温に
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真上から見た図(火球、中心軸)
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温度高い ⇓
浮力大 ⇓
上昇速度大
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10分間に 1万5千m 上昇
火球 (高温)
↓ 上昇 ↓
直下に 熱と放射能
②引きずられる
①浮力
きのこ雲の形成 火球の上昇が原因
急上昇
中心軸
←ここに熱と放射能
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浮力
=周囲より温度が 高い
⇒圏界面で温度が等しくなる
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原子雲は なぜ濃い放射能を持ったか
<全ての放射能は火球の中にあった> ①(流体力学的考察) 元火球 中心軸 の上昇過程で 火球直下:中心軸最上部 に熱と放射性微粒子 ②(熱力学的考察) 水平の原子雲 中心軸の放射性微粒子が移行 中心軸外側には放射能が多い ⇔中性子誘導化物質 プラス 高圧空気・ショックフロントも放射能を帯びる
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①浮力 気団の温度が周囲の気温より高い ②圏界面2 その高さでの中心軸が冷えて 偏西風圏の温度と等しくなる⇒浮力失う 少し遅れて水平原子雲が生まれる ③水平の原子雲にはたっぷりの放射能 ④地上風に乗って北北西に移動 黒い雨の移動と強度⇔水平原子雲の発達移動
⑤突破した中心軸内部の気団 ⇒その後偏西風に乗って東方へ流される
水平原子雲
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黒い雨は原子雲の範囲と移動により説明できる
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増田雨域
大瀧雨域
宇田雨域 ●爆心地
降雨時間2010年広島市
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降雨強度・大瀧雨域
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強い、 どしゃぶり
中くらい、 ザーザー
弱い、 パラパラ
黒い雨の雨域
基本的には水平原子雲が黒い雨の雨域 水平原子雲とともに放射能空間が移動 ↓ 原子雲 自然風とともに移動 発生⇒活発化⇒最盛期⇒衰退 ↓ 雨域の移動 (1時間後くらいが最も活発) ⇒増田雨域、大滝雨域
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黒い雨の黒は? ①火球内の全ての原子の不規則結合(リトルボーイ) リトルボーイ全部が原子に分解 冷却時不規則結合の末、 黒い微粒子となった 放射能充満 ウラン235、 ウラン238、 核分裂生成原子 ②火災の「すす」 ③微粒子、すす 水溶性と不溶性の両者があった ④残留放射能の一部⇒中性子誘導放射化物質
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黒い雨に関する専門家会議などの誤り
今までの「科学的分析」は誤っていた (1)単純な科学上の問題ー現象の把握と因果関係の解明 事実を客観的に見ているか? 諸科学に基づき科学的に考察できているか? ①水平原子雲・全体像の把握(客観的事実の把握、) ②原子雲のでき方 (根本原因の認識 熱力学、流体力学、力学) ③砂漠モデル (水分子と放射線の相互作用、ストークスの法則の適用限界) (2) 結果として 黒い雨ー雨域の縮小化 (科学に反し核戦略に資す) 放射能汚染域の著しい過小評価 1 被曝地域 半径18㎞の円の移動範囲 を⇒ 2㎞に 限定 2黒い雨領域の過小評価
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証言まとめ (1)「黒い雨」雨域は 水平に広がる原子雲によってもたらされた (2)水平に広がる原子雲は 半径18㎞ほどで風とともに移動した (3) 「黒い雨」には たっぷり 放射性微粒子が含まれていた (4)「黒い雨」の黒は ①核分裂後に生成した放射性原子を含む微粒子 ②火災の煤 (5)放射性微粒子がたった1個体内に入るだけで十分に 「身体に原子爆弾の放射能の影響を受ける」事情 が出現する ましてや 数々の健康被害事実がある (6)よって十分な健康手帳交付条件下にある 49