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Page 1: 代を担う若者の成長支援は代の要請に応える、次の …...G A ( 岐 阜 ア カ ウ ン テ ィ ン グ プ ロ グ ラ ム ) を 中 心 に | 中央大学

開会あいさつ

「高大接続」を探る中島三千男神奈川大学長神奈川大学高大連携協議会会長 本日はご多忙の中、第

6回神奈川大学高大連携

協議会フォーラム

接続

教育と

基礎学力

の確

にご参加いただき、

ありがとうございます。

 このフォーラムを主催

する神奈川大学高大連携

協議会は、2001年に

近隣の高等学校

校の校

長先生にお集まりいただ

高校教育と大学教育

の接続

について意見交

換を始めることからスタ

ートいたしました。

 現在では、県内の高等

学校を中心とした

校お

よび神奈川県立総合教育

センターとの協定によ

り、本協議会が構成され、

また、神奈川県教育委員

会のご支援も賜り、多彩

な活動を展開しておりま

す。

 その活動の一つとし

て、2006年から始め

たのがこのフォーラム

で、本年で6回目を迎え

ます。

 第1回から第4回まで

はキャリア教育を中心テ

ーマとして議論を深めて

まいりましたが、昨年の

第5回から

中等教育と

高等教育の接続

、いわ

ゆる

高大接続

の問題

を正面から取り上げるよ

うになりました。

 

歳人口の中で4年制

大学への進学率が

%を

超えるといういわゆる

ユニバーサル段階

おいて、大学生の質の多

様化が現出し、大学教育

学士課程教育

の質の

保証が問題とされており

ます。こうした中で入学

前教育や初年次教育とい

ったものを含めて今日ま

すます

高大接続

の問

題が喫緊の課題となって

きております。

 皆さま方の積極的なご

参加とご協力によって、

このフォーラムが有意義

な機会となりますことを

期待いたします。

 

高大連携

というテーマを深め、研究し、その成果を発信する

第6回神奈

川大学高大連携フォーラム

が8月5日、接続教育と

基礎学力

の確保

テーマに、神奈川大学セレスト・ホールをメーン会場に開催された。主催は県内

の高校を中心に

校および県立総合教育センターとの協定により構成する神奈川

大学高大連携協議会。今回のフォーラムはキャリア教育の課題を踏まえ、中等

教育と高等教育の接続

の問題として深く掘り下げることを主眼に、最初に桐村

晋次神奈川大学特別招聘

へい

教授が基調講演。続いて、分科会形式による高

校実践発表と大学パネルディスカッション、高校実践発表コメンテーターからの

報告が行われた。総合司会は神奈川大学高大連携協議会副議長で県立横浜清陵総

合高等学校長の岡崎珠苗氏。

基調講演

高大連携による若者の成長支援桐村 晋次特別招聘教授神奈川大学

「学びの転換」協議を社会が求める能力養成も

高校実践

の発表者と

コメンテーター

高校実践発表・報告

 高大連携の高校実践発

表は分科会形式で3会場

に分かれて行われた後、

その内容がメーン会場で

報告された。

 実践発表

福岡県立城

南高等学校

ドリカムプ

ランからCCSへ

城南

高校のキャリア教育の現

在 体験的活動を重視し、

興味・関心・意欲を引き

出す指導

ドリカムプラ

がスクラップ・アン

ド・ビルドを経て、学習

の育成を目指した新

たなキャリア教育に生ま

れ変わろうとしている。

それは、国際社会おける

コミュニケーション能力

および科学的態度の養成

を核としたキャリア教育

CCS

への挑戦だ。

 実践発表

三重県立木

本高等学校

地域の活性

化を担う次世代の創出

キャリア教育における自

分らしい生き方を育む

 総合学科のコア科目で

ある

産業社会と人間

の内容をリニューアル。

郷土教育の単元を設定

し、普通科にも導入した。

生徒は郷土学習を生きる

上での精神的基盤とし、

生涯にわたる自己実現を

目指す。三重大学との高

大連携講座の充実などを

図っている。

 実践発表

岐阜県立岐

阜商業高等学校

公認会

計士の育成を目指した高

大接続教育

 中央大学商学部と高大

接続プロジェクトを締

結。簿記や会計を通して、

高大の教育資源が有機的

に結びつくことで

学び

の連続

が確立されると

ともに、生徒の学習意欲

を高めている。また、高

校教員が中央大学のゼミ

合宿に参加することで、

専門性・指導力の向上に

も貢献している。

接続による「新しい知」の構築を目指して|立命館大学・高大連携推進室の取り組み|

立命館大学

椋本 洋 教授

大学パネルディスカッション基調報告

KIT流きたえる・ほめる・引き出す教育の実践|初年次教育を中心として|

金沢工業大学

青木克比古 教授

神奈川大学高大連携フォーラム第6回 接続教育と「基礎学力」の確保主催 神奈川大学高大連携協議会

中大商学部における高大接続教育|GA(岐阜アカウンティングプログラム)を中心に|

中央大学

酒井正三郎 教授

基礎学力とは何か?|初年次教育の目指すもの|

神奈川大学

鈴木 陽一 教授

閉会あいさつ

質疑応答

 本学では高校生向け企画

の一つとして、模擬講義・

体験講座・ガイダンスを実

施しています。これらの出

前講義

は、生徒たちに刺

激を与えています。生徒に

とっての出前講義の意味を

考えてみると、まず、高校

生が

学問を知る

という

ことは日常の勉強の意味

を納得するために有効な仕

掛けだと思います。次に、

大学の広報活動やメディア

を通じた情報に接しただけ

では

大学を知る

ことに

なりませんので、体験講座

やオープンキャンパスなど

の体験が重要になります。

 その結果、参加する生徒

とりあえず大学に入る

ために勉強をする

という

曖昧だった進路意識が明確

になり、将来を見据えた学

習意欲の喚起が期待できる

と考えています。こうして

高まった学習意欲が学習行

動へと発展していくために

は、次の一歩が必要です。

 出前講義を有効にするに

は高校側の積極的な姿勢と

出前講義を行う大学教員

が、従来より少し前に出て

講義を設計することが求め

られます。このような体験

を高大の教員が重ねること

により、

高校の教員は大

学の持っている知の技法

を学ぶことができる

大学

の教員は高校の

実践知

を知ることができます。

 こうした高大の教員の協

働が進むことにより、本学

の場合は、高大の接続教育

を考える定期的な会合を重

ね、数学では大学入学時の

プレスメントテストの作成

を行いました。やがては、

大学のリメディアル教育な

どに役立てることができる

ようになればと思います。

 四つの大学の高大連携な

どの取り組みの発表の後、

パネリストが会場からの質

問に返答。

基礎教育と専

門教育との兼ね合い

につ

いては

基礎教育として、

基盤となる消えない学力

と専門教育に使える学力

の両方を鍛えなければなら

ない

青木教授、基礎、

専門二つの接続教育の構築

が必要

椋本教授

年次から就職活動をしなけ

ればならない深刻な事態を

どう断ち切るかを考えなけ

ればならない

鈴木教授、

コミュニケーション能力

や論理的思考力が求められ

る中で、教養科目の教育を

大事にしていきたい

井教授

と答えた。

神奈川大学高大連携協議会

アドバイザー・県立横浜緑

ケ丘高等学校長

西村 宗一郎氏

 講演・発表をなされた皆

さま、ありがとうございま

した。参加者の皆さんにと

っても、高大連携・接続を

考える有意義な機会であっ

たと思います。本日を機に

それぞれの教育現場で、ぜ

ひ実践していただければ幸

いです。

 日頃からキャリア教育で

お世話になっている企業・

団体の皆さまに感謝を申し

上げるとともに、引き続き、

ご理解とご協力をお願いし

たいと存じます。

第3種郵便物認可年 平成 年 月 日 金曜日 

 本学の接続教育は

高大

接続教育

入学準備教育

学部教育

の三つで構成さ

れています。高大接続教育

は本学への入学を前提にし

ない

高大連携

と入学を

前提にする

高大接続

附属高校を対象とする

大一貫

に分かれます。入

学準備教育は推薦・特別入

試入学手続者を対象とする

プレ・スチューデント・

プログラム

と新入生全員

を対象とする

スタートア

ップILセミナー

を実施

しています。学部教育は1

年次にベーシック演習、主

に2年次以降は志望進路に

応じた四つのプログラム科

目群を用意しています。

 この接続教育の成果とし

ては、第一は接続教育を経

験した期待される高校生

の入学が促進されました。

第二に入学準備教育によ

り、大学生としての学習意

欲や態度に変化が見られま

した。第三に高大接続教育

の導入が新しい実学教育を

実現する学部教育改革に結

び付くとともに、高大連携

教育の経験が入学後に必要

とされる導入教育の提供に

つながりました。

 高大接続教育の成功事例

の一つとして、岐阜アカン

ティング

GA

・プログ

ラムを紹介します。このプ

ログラムは岐阜商業高等学

校の日商簿記1級または全

経簿記上級の合格者で、将

来公認会計士を志望する生

徒が本学商学部の

会計ゼ

出張講義

を受講し、

そこでの成績と面接で大学

への合否が判定されるもの

です。GA入学生はGPA

成績評価値

が非常に高

く、公認会計士の試験もか

なり高い割合で合格してい

ます。

 本学は2006年度に全

学必修科目として初年次教

育科目FYS

ファースト

・イヤー・セミナー

を、

選択科目としてキャリア系

科目を導入しましたが、神

大教育改革の次の一歩とし

て、認証評価を踏まえての

教育条件の改善、来年度に

立ち上げる教育支援センタ

ーによって教員の教育と学

生の学習を支援する体制の

確立に取り組みます。

 それでも問題は残りま

す。個別の学科の成績を学

力の指標としているもの

の、学力とは何かについて

学問的にも、社会的にも、

大学の中でも合意がありま

せん。その結果、ユニバー

サル化と相まって一定レベ

ルに到達していない生徒が

残念ながら高校を卒業し、

大学に入学し、卒業してい

きます。

 大学の入試によって高校

卒業時の学力を判断する時

代は去りました。私立大学

では、今後もさまざまなレ

ベルの学生を受け入れざる

を得ません。今後も拡大す

る学生の学力格差に、現状

を大きく変えることのない

まま、補習や特進、厳格な

評価などによって、どこま

で対応できるかは疑問で

す。

 従って、今こそ高校と大

学の間で学力の担保策を本

気で議論しなければなりま

せん。そのうえで、私たち

は、高大連携を前提とした

入学前教育、初年次教育、

導入教育を充実させ、学生

が自ら学力を伸ばすことが

できるよう体系的なカリキ

ュラムを実現し、魅力ある

授業と厳格な評価を行うこ

とが絶対に必要です。

 さらに、科目ごとにとら

えられていた学生の持って

いる学力をトータルに把握

し、個々の学生の到達度に

合わせた的確な個別指導の

導入をも視野に入れた改革

こそが私立大学の生き残り

の道であり、学力問題の唯

一の解決の道であると思っ

ています。

 教育には時代が変わって

も普遍なものと変化に対応

していかなければならない

ものがあると思います。時

代の要請に応える、次の世

代を担う若者の成長支援は

われわれが取り組まなけれ

ばならない変わらない原則

です。

●施策の変遷

 1990年以降の学校教

育に関する施策の変遷を挙

げます。

年9月に月1回

の学校5日制が導入され、

いわゆる

ゆとり教育

始まりました。

年5月に

は日経連が

新時代の日本

的経営

を発表。その中で

年功制から業績評価に変

えていこう

働き方の多

様性を認めよう

と、従来

の終身雇用制から非正規雇

用の労働者が増えていくこ

とを容認する動きが顕著に

なってきました。そうした

中で

月に中央教育審

議会が

初等中等教育と高

等教育の接続の改善につい

を提言しました。ここ

での

接続

が本日のフォ

ーラムの主要なテーマにな

っています。

●連携と接続の目的

 高大連携と接続教育の目

的を整理します。まず、高

校と大学における

教育の

質保証

をいかに確保する

か、多様な大学入学希望者

の選抜にどう取り組むかが

問題となります。その上で、

高校と大学が相互理解を深

め、それぞれの役割分担と

連続性を認識するためにど

のように力を合わせるかが

問われると思います。

 次に

教えられて学ぶ

という姿勢から、大学にお

ける

学びの転換

をどの

ように進めるかが大きなテ

ーマとなります。加えて、

グローバル化時代の高校、

大学の教育の在り方につい

ての協議が求められます。

 さらに、社会がこれから

求める能力の養成にどのよ

うに対応するかが問題とな

ります。そこでは高大連携

とともに、その先にある大

学と社会の接続についても

考え、それぞれの学校の特

色づくりに協力し合わなけ

ればなりません。

●青少年の意識

 

青少年の体験活動等と

自立に関する実態調査

立行政法人国立青少年教育

振興機構

によれば、

の自分が好き

という自分

に対する評価自己肯定感

は小5で

・5%、中2で

6・7%、高2で5・2%

となっています。この状況

をどのように考えるかが

今、われわれに突き付けら

れています。

 

中学生・高校生の生活

の意識調査報告

財団法

人日本青少年研究所のあ

なたは人並みの能力があり

ますか

という高校生への

問いでは、米国は

・0%、

中国は

・1%が

はい

と答えたのに対し、日本は

・5%という愕然とする

がくぜん

数字が出ています。

●社会が求める能力

 企業が採用選考時に重視

する要素として、

新卒採

用に関するアンケート調

日本経団連

では

ミュニケーション能力

毎年第1位となっていま

す。コミュニケーション能

力とは単に

プレゼンテー

ション能力

傾聴能力

をさすのではなく会話や議

論を通じて、課題の発見や

問題解決を進める力のこと

です。

 社会人としての業務遂行

力の評価ポイントは

指示

された仕事

以外に、指示

されてはいないけれどもこ

れくらいはやってくれと

期待される仕事

、上司

からも期待はされていない

けれども自分で

創造する

仕事

ができることです。

与えられた仕事をどのよう

に膨らませることができる

かが

仕事のできる人

のです。

 本学では数理工教育研究

センターを開設し、1・2

年次教育を中心に数理工統

合教育を行っています。こ

れは

正課

授業

+課外

学習

学習支援

を組織

的に実践する教育プログラ

ムで、多様化する入学生に

対応した教育の実践と専門

教育へのスムーズな接続を

狙いとしています。

 具体的には三つの教育プ

ログラムが用意されていま

す。

 

きたえる教育

では、

専門領域に合わせた数理統

合教育を正課として開講、

課外学習では専門分野に必

要な数理リテラシー

数理

を使いこなす能力

項目を

分野ごとに定義して課外講

座などを開講。

ほめる教

では、学長褒賞やセン

ター長表彰によって課外学

習を評価。引き出す教育

では数理リテラシーパスポ

ートの導入によって学習目

標を明確にしています。こ

のパスポートは各自の専門

に進むための数理の道標と

みちしるべ

なるもので、必修科目・選

択科目・課外で修得すべき

数理リテラシーを明示し、

自己目標に挑戦できるよう

に学生自らがスキルレベル

を設定します。

 このプログラムによっ

て、学生が学内で学びに向

かう姿勢が受動から能動に

変化してきました。今後は

きたえる教育

では大学

がきたえる

受動

から学

生自らがきたえる

能動

への移行を進めるととも

に、学部の特長に合わせた

数理教育を展開。

ほめる

教育

では課外学習を評価

する学生スタッフの育成。

引き出す教育

では数理

リテラシーパスポートの定

着化と専門課程とのさらな

る連携による学習の能動化

に努めたいと考えていま

す。