エネルギー - 四国電力6 世界のエネルギー情勢...

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わたしたちと エネルギー ~ 原子力発電 これまでこれから ~

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Page 1: エネルギー - 四国電力6 世界のエネルギー情勢 石油や天然ガスは産出地域に偏りがあります 特に、石油は、中東地域に約5割が集中しており、産油国や

わたしたちとエネルギー

~原子力発電のこれまでとこれから~

Page 2: エネルギー - 四国電力6 世界のエネルギー情勢 石油や天然ガスは産出地域に偏りがあります 特に、石油は、中東地域に約5割が集中しており、産油国や

はじめに

皆さまには、日頃から、当社の事業活動にご理解を賜り、

心から御礼申し上げます。

私たち原子力発電に携わる事業者は、

福島第一原子力発電所と同様の事故を二度と起こしてはならないとの強い決意のもと、

原子力発電所のさらなる安全性・信頼性の向上に全力で取り組んでいます。

エネルギー資源に乏しいわが国が、

今後、どうやって安定的かつ長期的にエネルギーを確保していくのかが、今まさに問われています。

将来のエネルギー源の選択にあたっては、

安定供給、経済効率性、環境適合といった総合的な観点から考えることが大切です。

当社は、新たな規制基準への対応や独自の対策により、安全を確保した上で、

原子力発電を重要なエネルギー源の一つと位置付け、引き続き活用していきたいと考えています。

本冊子が、原子力発電をはじめとしたこれからのエネルギーについて、

考えていただけるきっかけになれば幸いです。

四国電力株式会社

Page 3: エネルギー - 四国電力6 世界のエネルギー情勢 石油や天然ガスは産出地域に偏りがあります 特に、石油は、中東地域に約5割が集中しており、産油国や

「福島第一原子力発電所」事故の概要

伊方発電所の概要

伊方発電所の安全への取り組み

福島第一原子力発電所の事故を踏まえた安全対策

伊方発電所はこれからも地域とともに歩みます

世界のエネルギー情勢

日本のエネルギー情勢

エネルギーの安定供給のために

エネルギーの豆知識『再生可能エネルギー編』

原子力発電のこれまでとこれから

エネルギーの豆知識『放射線・放射能編』

[第一章] エネルギー情勢から考える原子力発電

[第二章]伊方発電所の概要と安全対策

3

5-6

7-8

9-10

11-12

13-16

17-20

22

23-25

26-28

29-30

目次

Page 4: エネルギー - 四国電力6 世界のエネルギー情勢 石油や天然ガスは産出地域に偏りがあります 特に、石油は、中東地域に約5割が集中しており、産油国や

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 福島第一原子力発電所1~3号機は、地震により制御棒が自動的に挿入され、原子炉は停止しました。 しかし、その後、敷地レベル(10m)を超える大津波が襲来したことで建屋が浸水し、非常用発電機などが機能を失い、全電源喪失に至りました。このため、原子炉などを冷却することができなくなり、原子炉内の燃料が溶融しました。 また、原子炉内で発生した水素が漏れ出し、水素爆発により原子炉建屋が損壊し、放射性物質を外部に放出する事態に至りました。

 2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震により、東京電力の福島第一原子力発電所では、地震の強い揺れで送変電設備が損壊し、外部からの電源を失ったことに加え、大津波により建屋が浸水し、非常用発電機などが機能喪失したことにより、全ての電源を失いました。 その結果、原子炉の冷却が十分にできなくなり、燃料溶融や水素爆発による原子炉建屋の損壊が発生し、放射性物質が外部に放出される事態に至りました。 事故直後、原子力災害対策特別措置法に基づき、福島第一原子力発電所から半径20km圏内が警戒区域に設定され、立ち入り禁止となるとともに、20km圏外でも避難区域が設けられました。

「止める」ことはできましたが、「冷やす」、「閉じ込める」ことができませんでした

「福島第一原子力発電所」事故の概要

 東北地方太平洋沖地震で、関東から東北地方の太平洋沿岸に立地する火力および原子力発電所が被災した影響により、都心では「計画停電」が実施されました。 電力の供給力不足は、家庭生活や企業の生産活動、鉄道や交通など、国内のインフラに大きな影響を及ぼしました。

安定的な電力供給にも影響

 現在の福島第一原子力発電所は、継続的な注水により冷却することで各号機とも安定した状態を維持しています。 廃止措置等の完了までには30~40年という非常に長期間の取り組みが必要です。汚染水対策や溶けて固まった燃料(燃料デブリ)の取り出しなど、まだまだ大きな課題がありますが、皆さまが安心して生活できるよう、現在も安全最優先で作業が行われています。

安全最優先で廃止措置に取り組んでいます

計画停電が行われた都心(2011年3月) 提供:電気新聞

 事故直後から、自衛隊をはじめ、消防、世界各国の専門家、電気事業者等が協力し、事故の収束にあたりました。 また、環境放射線の測定とそれに基づく除染作業、震災がれきの撤去および生活インフラの整備など、現在も復旧作業が続けられています。

発電所周辺の復旧作業が続けられています

使用済燃料取り出し用カバーが設置された3号機

使用済燃料の取り出しが完了した4号機

想定されていた津波の最高水位

海水ポンプ

タービン建屋

原子炉建屋

原子力発電所の敷地レベル

非常用発電機

浸水高(建物や設備に残された変色部や漂着物などの痕跡から推測)約11.5~15.5m

基準海水面+6.1m

10m

基準面

提供:東京電力ホールディングス

Page 5: エネルギー - 四国電力6 世界のエネルギー情勢 石油や天然ガスは産出地域に偏りがあります 特に、石油は、中東地域に約5割が集中しており、産油国や

第一章

エネルギー情勢から考える原子力発電

4

Page 6: エネルギー - 四国電力6 世界のエネルギー情勢 石油や天然ガスは産出地域に偏りがあります 特に、石油は、中東地域に約5割が集中しており、産油国や

5

世界のエネルギー情勢

世界のエネルギー情勢

エネルギー資源には限りがあります

 産業革命以降、世界の人口は爆発的に増加しました。これにより、電気をはじめとするエネルギー消費が急増し、石油や石炭、天然ガスなどの消費も急速に進みました。今後もアジアやアフリカなどの新興国を中心に、人口の増加や経済成長が予測されており、それに伴い、エネルギー資源の消費は、ますます増加していくとみられています。 現在確認されている石油や天然ガスはあと50年、石炭は130年、ウランは100年程度で枯渇するといわれています。これらは、使ってしまえば新たに作り出すことはできない、限りある資源なのです。このため、世界ではエネルギー資源の獲得競争が激化しています。

2015 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 21000

120

110

100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

(年)

(億人)

11.9

43.9

7.46.33.673.5

0.7

13.4

46.0

7.4

6.73.777.6

16.8

49.2

7.3

7.24.085.0

20.6

51.4

7.2

7.64.291.6

24.8

52.7

7.1

7.84.397.3

29.0

52.9

6.9

7.94.5101.8

33.2

52.4

6.7

7.94.6105.5

37.2

51.4

6.67.74.8108.4

40.8

50.2

6.57.5

4.9110.6

43.9

48.9

6.57.25.0112.1

アフリカ

アジア

ヨーロッパ

南米北米

オセアニア

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」より作成

石油(2017年末)

天然ガス(2017年末)

石炭(2017年末)

ウラン(2017年1月)

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」より作成

1兆6,966億バーレル

50年

確認可採埋蔵量可採年数

194兆㎥

53年

1兆0,350億トン

134年

614万トン

99年

凡例 ●石油、天然ガス、石炭可採年数=確認可採埋蔵量/年間生産量

●ウラン可採年数=130ドル/kgU未満の費用で 回収可能な確認埋蔵量/年間消費量

0

1,000

2,000

3,000

4,000

6,000

5,000

石油換算百万トン

1990 2016 2030 2040 2050(年)

出典:「EDMC/エネルギー・経済統計要覧2019年版」より作成

世界の人口推移の見通し(地域別)

世界のエネルギー資源埋蔵量世界のエネルギー消費量の推移と見通し(国・地域別)

発展途上国(アジア除く)

中国

アメリカ

インド

日本

(全世界合計)(8,774) (19,275)(18,164)(16,554)(13,761)

Page 7: エネルギー - 四国電力6 世界のエネルギー情勢 石油や天然ガスは産出地域に偏りがあります 特に、石油は、中東地域に約5割が集中しており、産油国や

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世界のエネルギー情勢

石油や天然ガスは産出地域に偏りがあります

 特に、石油は、中東地域に約5割が集中しており、産油国や輸入ルート周辺国の政治情勢が不安定になると直ちに入手困難な状況に陥るおそれがあります。また、最近は価格も短期間に大きく変動する傾向にあります。 一方、石炭やウランの産出地域は世界の各地域に分散しており、安定して調達しやすいエネルギー資源といえます。

地球温暖化は世界が懸念する課題です CO₂などの温室効果ガスの排出量増加に伴う地球温暖化は、その解決に向けて私たちが早急に対応しなければならない地球規模の課題です。 大気中のCO₂濃度は、産業革命以前の値である約280ppmから増加し続けており、現在は、400ppmを超える水準にまで上昇しています。 世界のCO₂総排出量は、2016年度で約320億トンです。排出量の最も多い国は中国で、全体の約28%を、日本は約4%を占めています。 日本は、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み「パリ協定」において、2013年度比で26%削減することを目標としています。

エネルギー資源の埋蔵地域

出典:「EDMC/エネルギー・経済統計要覧2019年版」より作成

ウランは世界の各地域で採掘されています

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」より作成

石油(2017年末)

天然ガス(2017年末)

石炭(2017年末)

ウラン(2015年末)

中東47.6%

アフリカ・中東1.4%

中東0.03%

ヨーロッパ・ユーラシア9.3%

ヨーロッパ・ユーラシア31.3%

北米13.3%

北米25.0%

中南米19.5%

中南米1.4%

アフリカ7.5%

アジア・オセアニア2.8%

アジア・オセアニア41.0%

中東40.9%

ヨーロッパ・ユーラシア32.1%

ヨーロッパ・ユーラシア21.5%

北米5.6%

中南米4.2%

アフリカ7.1%

アフリカ23.8%

アジア・オセアニア10.0%

アジア・オセアニア38.0%

北米11.9%

中南米4.4%

出典:「EDMC/エネルギー・経済統計要覧2019年版」より作成

CO2の国別排出量(2016年)

中国 28.0%

インド 6.4%日本

3.5%

その他アジア4.6%

インドネシア1.4%

北米 16.6%

中南米 5.0%

欧州OECD 10.7%

欧州非OECD 7.3%

アフリカ 3.6%

その他 3.8%

中東 5.7%

オセアニア 1.3%

韓国 1.8%

アジア・オセアニア地域

0

2010

30

5040

60708090100110(ドル/バレル)

1980年代半ばサウジ減産停止

1991年湾岸戦争

2008年7月史上最高値(終値)145.29ドル/バレル

原油価格の変動

大気中のCO2濃度の変化

出典:「気象庁ホームページ」より作成20192012200620001988 1994

420

410

400

390

380

370

360

350

340(年)

CO2(ppm)

大気中CO₂濃度推移

1972 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2017

2001年9月米国同時多発テロ

2000年代末リーマンショック

※構成比(%)の合計は四捨五入の関係で100にならない場合があります。

原子力発電のこれまでとこれから

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日本のエネルギー情勢

日本のエネルギー情勢

日本における電力化率※は主要国の中でも上位です

 国内のエネルギー消費量が減少傾向の中にあっても、電気は使いやすいエネルギーであるため、日本の電力化率は主要国の中でも上位です。日本の2017年度の電力消費量は9,774億kWhに達しています。これは1965年の約6倍になります。※電力化率:総エネルギー需要に占める電力需要の割合

 日本のエネルギー消費量は、東日本大震災までは1970年代の二度のオイルショック後や、世界的な不景気の一時期を除き、ほぼ一貫して増加してきました。省エネルギーを追求してきた産業部門のエネルギー消費量は、この40年間横ばい状態でしたが、運輸部門や家庭部門、業務他部門は、国内総生産(GDP)の伸びと同様、増大してきました。 東日本大震災以降は、省エネ機器の普及や省エネ意識が浸透し、エネルギー消費量は減少傾向にあります。

増加の一途をたどっていた日本のエネルギー消費

日本のエネルギー消費量とGDPの推移

家庭部門

19731975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2017

0

3

6

9

12

15

18

0

100

200

300

500

400

600

(年)

(兆円)(1018J)

GDPの伸び1973-20172.6倍

国内総生産(右目盛)

運輸部門

産業部門

1973~2017年度でのエネルギー消費量の伸び

0.9倍

2.1倍

2.0倍

1.7倍

出典:電気事業連合会「FEPC infobase2018」より作成

1975 1990 1995 2000 2005 2010 (年)2016

(%)55

50

45

40

35

30

25

200

主要国における電力化率の推移

業務他部門

出典:「電気事業便覧2018年版」より作成

1975

4,283

5,993

8,816

10,43810,5649,553 9,774

1985 1995 2005 201720152010 (年度)

(億kWh)12,000

10,000

8,000

6,000

4,000

2,000

01965

1965年から2017年で約6倍に増加

年度別使用電力量の推移

1,688

出典:「EDMC/エネルギー・経済統計要覧2019年版」より作成

49.69%(フランス)

44.44%(日本)37.46%(アメリカ)32.77%(イギリス)31.55%(ドイツ)

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日本のエネルギー情勢

エネルギー供給の原則はS+3Eです

日本のエネルギー自給率はわずか8%

エネルギー資源に乏しいわが国は、自らが使うエネルギー資源の多くを輸入に頼っています。福島第一原子力発電所の事故以降、化石燃料の輸入増大により、2016年の日本における一次エネルギーの自給率は、原子力を準国産エネルギーとしてもわずか8%にとどまります。これは、先進国の中でも最も低い水準です。

CO2の削減は大きな課題

 人間の産業活動の過程で排出されるCO₂の削減は、世界的な課題です。 日本におけるCO₂排出量の約4割は発電により発生しており、電力会社にとって地球温暖化への対応は責任ある大きな課題です。

経済性への配慮

 発電にかかるコストは、今後のエネルギーを選択する上で重要な判断材料の一つです。2015年5月に政府が公表した各種電源の発電コストの検証結果によると、原子力の発電コストは、一定の前提のもとで事故リスク対応や政策経費等を考慮しても、他の電源と比べて遜色ない水準であることがわかります。

エネルギー供給を考える上では、安全性(S)の確保を大前提に、安定供給・経済性・環境性の3つのEを考えることが非常に重要です。

安定供給

経済性

環境性

安全性(Safety)

EconomicEfficiency(Energy Security) (Environment)

安定供給 経済性 環境性

主要国の一次エネルギー自給率(2016年)

エネルギー供給の基本的な考え方

各種電源のCO2排出量

発電コストの現状と見通し(試算)(2014年)

出典:「発電コスト検証ワーキンググループ報告書」(2015年5月)より作成

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」より作成

石炭火力

原子力0

10

20

30

40

12.310.1~

13.7

21.6

16.9

11.0

23.3

29.7 29.4

石炭火力 LNG火力 風力(陸上)

一般水力 小水力 バイオマス(木質専焼)

石油火力 太陽光(住宅)

0

200

400

600

800

1,000

石油火力

太陽光 風力 原子力 地熱 水力天然ガス(火力)

天然ガス(コンバインド)

自給率(原子力を除く)自給率(原子力を含む)

日本のエネルギー自給率は原子力を準国産エネルギー

としても8%

188181

807888

7854

373018

387 11

(%)

020406080100120140160180200

日本 ドイツ フランスアメリカ 中国 ロシア

※発電過程に加え、エネルギー資源の採掘から発電設備などの建設・燃料輸送・運用・保守などのために消費されるすべてのエネルギー資源を対象としてCO2排出量を算出(原子力は、使用済燃料の国内再処理、プルサーマル利用などを考慮)※原子力はPWRの場合

※モデルプラントをベースとした試算であり、CO2対策、原子力の事故リスク対応、政策経費等の社会的費用も加算※原子力の発電コストは、現時点で判明している損害額を考慮した下限値※小水力については建設費80万円/kWを前提とした値

(g-CO2/kWh)

943

79

738

43

599

123

474

9838 26 20 13 11

設備・運用発電燃料燃焼

7040

7040

7040

2020

4540

地熱

8340

6040

8740

30・1040

1220

24.2

太陽光(メガ)1420

設備利用率(%)

(割引率3%)

稼動年数(年)

(円/kWh)

コスト試算のポイント

韓国

30.6~43.4

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」より作成

原子力発電のこれまでとこれから

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エネルギーの安定供給のために

エネルギーの安定供給のために

電気はさまざまな設備を経てお客さまのもとに届けられています

いろいろな電源を組み合わせて電気をお届けしています

 水力発電所や火力発電所、原子力発電所でつくられた電気は、張り巡らされた送電線を通り、変電所に送られます。変電所で電圧を下げられた後、配電線を経てお客さまのもとに届けられています。

 電気は大量に貯めることが困難です。このため電力会社では、時々刻々と変化する電力の使用量に合わせて、24時間365日休まず発電量を調整し、電力をお届けしています。電力需要は季節や時間帯によって大きく変化するため、原子力、石炭火力などのベース電源に加え、昼間のピーク時には、石油火力や揚水式水力なども活用しています。 需要と供給のバランスが崩れると周波数や電圧が不安定になり、電気の「質」が低下します。さらに、大規模な停電が起きる可能性もあります。 瞬間的に電気の「質」が低下すると、工場では製品にばらつきがでるなど、大きな損害が発生することもあります。技術力の高い日本の「ものづくり」産業を支えているのも良質な電気なのです。

原子力発電所

火力発電所

水力発電所太陽光・風力発電所

送電線

配電線

柱上変圧器

大工場

18万ボルト6万ボルト

50万ボルト18万ボルト 2万ボルト

6千ボルト

6千ボルト6万ボルト

200ボルト100ボルト

200ボルト100ボルト

ビル・工場 商店

超高圧変電所 配電用変電所 一般家庭

電力需要に合わせた電源の組み合わせ(イメージ図)

貯水池式水力

(時)

原子力

石炭火力

自流式水力

LNG火力

石油火力

①ピーク部分

②変動が大きい部分

③ベース部分

揚水式水力

新エネルギー(太陽光・風力など)

0 2 4 8 10 14 16 20 226 12 18 24

一日の電気の使われ方(四国)

※四国エリアの需要状況

0

200

300

400

500

600

20 4 6 8 10 12

夏季

春季

冬季

14 16 18 20 22 24(時)

(万 kW)

Good! バランスが崩れると…需要と供給のバランス

電気の流れ

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出典:経済産業省「第5次エネルギー基本計画」より作成

10

エネルギーの安定供給のために

エネルギーミックスが重要です

 水力、火力、原子力などの発電方式には、それぞれ異なる特性があります。そのため、電力の供給にあたっては、それらをバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」が重要です。

再生可能エネルギーの開発・普及を進め、主力電源化を図ります

再生可能エネルギー

・安定供給性や経済性に優れた重要な ベースロード電源・環境負荷を低減しつつ活用していく エネルギー源

石油・ピーク電源および調整電源として 一定の機能を担う・今後とも活用していく重要なエネルギー源

・ミドル電源の中心的な役割を担う・今後、役割を拡大していく重要なエネルギー源

LNG

石炭

火力

・現時点では、安定供給面、コスト面で 様々な課題が存在・重要な低炭素の国産エネルギー源

原子力 ・長期的なエネルギー需給構造の安定性 に寄与する重要なベースロード電源

エネルギー基本計画における位置づけ 2030年度の電源構成

22~20%程度

26%程度

27%程度

3%程度

22~24%程度

電源

 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、環境負荷が小さく、地球にやさしいエネルギーです。2012年7月からは、固定価格買取制度が始まるなど、官民一体となって開発・普及に取り組んでいます。2018年7月に閣議決定した第5次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの「主力電源化」に向けた取り組みが示されました。 ただし、太陽光発電や風力発電には、以下のような課題もあります。

電源構成の考え方

太陽光発電の出力変動(春)

再生可能エネルギーの課題原子力と太陽光・風力の比較

出典:電気事業連合会資料より作成

出典:電気事業連合会「原子力コンセンサス2015」より作成

敷地面積

原子力発電 太陽光発電 風力発電

0.6km2 約58km2 約214km2

100万キロワット級発電所1基

容量3.2kW 北緯34.4° 東経132.4° 方位角0°(真南) 傾斜角30°(kW)

0

0.5

1

1.5

2

2.5

6 7 8 9 10 110 1 2 3 4 5 12 13 14 15 16 17 18 19 (時)20 21 22 23 24

大量の電気をつくるためには、多くの太陽光パネルを設置できる広大な敷地が必要となります。また、曇りや雨の日には発電量が少なくなり、夜間には全く発電できません。

太陽光発電

風力発電

大量の電気をつくるためには、多くの風車を設置できる広大な敷地が必要となります。また、発電出力が急激に変動するため、調整がしにくい電源ともいえます。

曇り

晴れ

夜間は発電できません

原子力発電の約97倍

山手線内とほぼ同じ面積= 原子力発電の

約350倍 = 山手線内の約3.4倍の面積

電源構成の推移

出典:電気事業連合会資料より作成

1970

2,939

3,876

4,850

5,840

7,376

8,557

9,396 9,408 9,3979,101

9,88910,064

19751980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2011 2012 2013 2014

(億kWh)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

1973年第一次オイルショック

1979年第二次オイルショック

2015 2016 2017(年)

8,850

9,94110,387

9,550

※2015年までは10電力計、2016年度以降は10エリア計、他社受電分を含む。石油等にはLPG、その他ガスを含む。

原子力

水力

石油

石炭

天然ガス(LNG)

その他

原子力発電のこれまでとこれから

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エネルギーの豆知識

 2009年11月の太陽光余剰電力買取制度の開始、2012年7月の固定価格買取制度の施行により、再生可能エネルギー設備容量の年平均伸び率は、22%に上昇しました。

Q 再生可能エネルギーはどれくらい増えたの?

エネルギーの豆知識 再 生 可

エ ネ ル ギ ー

Q 再生可能エネルギーで発電した電気の買取に要する費用の累計が、年々増加する一方で、お客さまが負担する「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」も、年々増えています。 2019年度の再エネ賦課金の単価は、1kWhあたり2.95円となっています。これは、四国電力の電灯契約の基本プラン「従量電灯A」の平均的なモデルの支払い額の1割を超え、1年間では1万円近くにまでのぼります。 上昇し続ける再エネ賦課金は、お客さまにとって、大きな負担になります。

再生可能エネルギー発電促進賦課金はどれくらい増えたの?

再生可能エネルギー設備容量の推移

出典:資源エネルギー庁 「日本のエネルギー2018」より作成

出典:資源エネルギー庁 「日本のエネルギー2018」より作成※1 2014年6月末までに認定を受けた設備が全て運転を開始した場合 ※2 使用量が260kWh/月の場合 ※3 使用量が100万kWh/月の場合

再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移※1

14,000 3,500

2,500

1,500

500

0

3,168万円

8,232円

3,480万円

9,048円

3,540万円

9,204円

2,700万円

7,020円1,896万円

4,920円900万円

2,340円420万円264万円684円 1,092円

3,000

2,000

1,000

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

0

(円/年) (万円/年)

0.22円/kWh 0.35円/kWh 0.75円/kWh 1.58円/kWh 2.25円/kWh

2017年度2016年度2015年度2014年度2013年度2012年度

賦課金単価

賦課金総額

2.64円/kWh

約1,300億円 約3,300億円 約6,500億円 約1.32兆円 約1.8兆円 約2.1兆円

2018年度

2.90円/kWh

約2.4兆円

2019年度

2.95円/kWh

約2.4兆円

家庭用※2 産業用※3

2010 2011 2012 2013 2014 2015 201720160

1000

4000

5000

2000

3000

7000

6000

(万kW)

固定価格買取制度

年平均伸び率9%

太陽光

地熱

風力

バイオマス

中小水力 年平均伸び率22%

賦課金は年々増加中

(年度)

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エネルギーの豆知識

Q 電気は常に需要と供給を一致させる必要があります。そのため、発電量を調整できず、天候等によって出力が大きく変動する太陽光、風力などの導入が進むほど、今まで以上に電圧や周波数の維持に注意を払う必要が出てくるとともに、その不安定な発電をバックアップする火力発電などにも負担をかけることになります。今後、四国エリアの需給バランスを維持するためにやむを得ず再生可能エネルギーの出力制御が必要となる可能性もあります。

再生可能エネルギーが増えるとどのような影響があるの?

※2017年4月下旬におけるイメージ (火力電源の抑制、揚水発電所の揚水運転、連系線の活用により、需給バランスを維持した)

需給バランスのイメージ※火力発電などによる出力調整のイメージ

6

需要

太陽光発電(PV)の出力 火力発電などの出力を調整天候による急変

時間的な日射量の増減に伴う変化

出力9 12 15 18(時)

出力変化速度、出力変化量

火力発電などの出力増

太陽光発電出力減

発電設備の頻繁な起動停止課題

Q 松山太陽光発電所は、約3.6万m2の広大な敷地に約2,000kWの発電設備があり、年間約250万kWh、約800世帯分に相当する電気をつくっています。 また、四国電力ではグループ会社とともに風力発電事業にも取り組んでおり、四国内では35基、約4万kWの発電設備があります。今後も環境にやさしい再生可能エネルギーの開発に努めてまいります。

四国電力の再生可能エネルギーへの取り組みは?

松山太陽光発電所 三崎ウインドパーク

四国電力の再生可能エネルギーの導入状況

●風力発電所●太陽光発電所

松山太陽光発電所

大川原ウインドファーム

三崎ウインドパーク

三崎ウインドパーク 合計

20,000kW(1,000kW×20基)

39,500kW(35基)

2007年3月

大川原ウインドファーム

19,500kW(1,300kW×15基)

2009年2月

出力

運転開始時期運転開始時期

(敷地面積)

2,042kW(約3.6万㎡)

300kW(約0.9万㎡)

1996年3月 2010年12月

1,742kW(約2.7万㎡)出力

発電所発電所

(設備基数)

松山太陽光発電所 ※ ※

※グループ会社設備

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

風力

水力

太陽光出力

(時)

原子力

火力

揚水発電エリア需要

揚水動力および連系線活用

原子力発電のこれまでとこれから

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原子力発電のこれまでとこれから

原子力発電のこれまでとこれから

原子力発電の研究・開発

 20世紀後半に入り、大きなエネルギーを生む原子力発電への期待が、世界各国で高まってきました。日本でも第二次世界大戦後、国や電気事業者などが協力し、研究・開発が進められました。

「オイルショック」を経験して

 高度経済成長の1970年代、中東の政情不安から石油価格が高騰して入手しにくくなる「オイルショック」を二度経験しました。それを契機に、原子力や天然ガスの導入など、エネルギーの多様化が進められました。

 福島第一原子力発電所の事故後も、現実的な選択として、アメリカや中国、インドなどでは、原子力発電所の運転継続および新規建設が進む見通しです。エネルギー資源の乏しいわが国でも、安全の確保を大前提に、引き続き原子力発電を一定レベル活用していくことが必要だと考えられます。

地球温暖化への対応 エネルギー供給の3原則+安全性を踏まえて…

 1990年代に入り、世界中で地球温暖化への問題意識が高まりました。発電過程でCO2を排出しない原子力発電や太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーに大きな期待が集まりました。

原子力発電の歩み

 日本の一次エネルギー消費量は、ほぼ一貫して増加してきました。こうしたなか、日本の一次エネルギーは、1960年代に石炭から石油中心に移行しましたが、二度のオイルショックを契機に、原子力や天然ガスの導入など、エネルギーの多様化を進めてきました。 特に、原子力については燃料となるウランの産出地域が世界各地に分散していることに加え、燃料を国内で利用する期間が長く供給安定性に優れることなどから、積極的に導入されてきました。 また、世界に目を向ければ、人口増加に伴うエネルギー消費量の急増および地球温暖化への対応から、化石燃料の代替エネルギーとして積極的に原子力が利用されています。

日本の一次エネルギー供給量の推移

原子力

水力

石油

石炭

天然ガス(LNG)

新エネルギー・地熱等

2010 2015 2016 20172005

化石エネルギー

非化石

エネルギー

20001990198019701965 (年)

(1018J)

25

20

15

10

5

6.38

12.42

19.67

22.74 22.91

46.7%

20.9%

14.4%

11.6%

49.1%

18.5%

13.8%

12.6%

56.0%

16.9%

10.5%

9.6%

64.7%

17.6%

69.9%55.9%

21.3%

29.3%

15.92

22.0020.2019.86 20.10

40.3%

22.7%

18.2%

11.2%

40.7%

25.8%

23.3%

39.7%

25.4%

23.8%

39.0%

25.1%

23.4%

0

注)「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値について算出方法が変更されている。出典:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」より作成

3.5%1.4%

7.7%

高度成長期戦後~

これから近年

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原子力発電のこれまでとこれから

世界の原子力発電

世界各国の原子力発電への対応

原子力発電所の現状

 2019年1月現在、世界では31か国で443基の原子力発電所が運転中です。 福島第一原子力発電所事故後にドイツ、韓国、台湾、スイスの4か国が脱原子力発電を表明しましたが、それらの国も現時点で全基停止しているわけではありません。 また、多くの国が引き続き原子力発電を推進しています。特に急激な経済発展によりエネルギー需要の増加が見込まれるアジア諸国を中心に、現在、59基が新たに建設されています。

世界一の原子力発電大国。2019年1月現在、98基が運転中。建設中2基のほか、1基の新設を計画。

将来のエネルギー需要の増大を見込み、原子力発電の推進を継続。2019年1月現在、38基を建設または計画中。

資源大国として天然ガスや石油を輸出に回す一方、原子力発電の拡大を計画。建設中7基のほか、15基の新設を計画。

国民投票により段階的な原子力発電所の廃止が決定されたが、経済性や地球温暖化対策の観点より、脱原子力発電から現状維持の方針に転換。

2010年に脱原子力発電の見直しに踏み切ったが、福島第一原子力発電所の事故を受け、再度、脱原子力発電に方針を転換。2022年までに全ての原子力発電所を閉鎖予定。

アメリカ推進

中国推進

ロシア推進

ドイツ後退

スウェーデン現状維持

出典:日本原子力産業協会「世界の原子力発電開発の現状」他より作成

東京電力HD(株)東通原子力発電所

東北電力(株)女川原子力発電所

東京電力HD(株)福島第二原子力発電所

日本原子力発電(株)東海・東海第二発電所

中部電力(株)浜岡原子力発電所

東京電力HD(株)柏崎刈羽原子力発電所

関西電力(株)高浜発電所

関西電力(株)美浜発電所

日本原子力発電(株)敦賀発電所

関西電力(株)大飯発電所

九州電力(株)玄海原子力発電所

九州電力(株)川内原子力発電所

四国電力(株)伊方発電所

北陸電力(株)志賀原子力発電所

北海道電力(株)泊発電所

電源開発(株)大間原子力発電所

日本の原子力発電所

 2011年の福島第一原子力発電所の事故を受け、新規制基準が定められたことから、日本の原子力発電所は、震災前の17発電所54基から、15発電所33基にまで減少しています。 2019年8月末時点で、原子力規制委員会の適合性確認審査に合格したのは5発電所9基です。

出典:「資源エネルギー庁ホームページ」より作成

再稼働

9基 6基 12基 9基 24基

原子炉設置変更許可済

新規制基準への適合性審査中

適合性審査未申請

廃炉決定済・見込み

26

54

24

89

24

83

17

83

44

83

43

83

34

87

34

87

30

58

28

58

9

91

00

年数

出力(万kW)

100万kW未満

100万kW以上

00

00

0033

110

28

110

25

110

24

110

29

110

13

12132

116

40

110

25

118

22

118

27

118

26

118

31

110

25

114

14

138

139

138

東北電力(株)東通原子力発電所 13

11036

46

17中国電力(株)島根原子力発電所 30

82 13746

52

42

8334 50

56 56

57

78 78 78 78

57 54 84

118 118

110 110 110 110

東京電力HD(株)福島第一原子力発電所

110

※2019年8月末現在

※ で囲まれている3基は建設中の原子力発電所。

22

136

22

136

35

89

33

89

停止中

停止中

原子力発電のこれまでとこれから

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原子力発電のしくみ

 原子力発電のしくみは、基本的には火力発電と同じですが、燃料として石油や石炭、天然ガスなどではなくウラン燃料の核分裂で発生する熱エネルギーを利用することや、発電過程でCO2を排出しないことなどが特徴です。 なお、ウラン資源は安定して調達しやすく、リサイクルが可能です。

原子力発電のこれまでとこれから

リサイクル可能なウラン資源

 発電後のウラン燃料(使用済燃料)のうち、95~97%(ウランおよび新しく生まれたプルトニウム)は再利用できます。この再利用できる部分を回収し、再び原子力発電所で利用することを「原子燃料サイクル」といいます。使用済燃料を再処理し、MOX燃料※にして再び原子力発電所で利用することを「プルサーマル」といい、ウラン資源のリサイクルを進める有効な手段です。四国電力では、伊方発電所3号機でのプルサーマルによる発電を2010年3月より開始しました。

日本で使用している発電用原子炉(軽水炉)には、「加圧水型(PWR)」と「沸騰水型(BWR)」があります。 伊方発電所では、「加圧水型(PWR)」を採用しています。

●原子炉の種類

※Mixed Oxide燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)ウラン燃料に含まれるウラン235に代わり、プルトニウムを混合させて用いたもの。

MOX燃料の成分

蒸気

水 タービン

復水器放水路へ

冷却水(海水)循環水ポンプ

給水ポンプ

発電機

制御棒再循環ポンプ

圧力抑制プール

燃料

原子炉圧力容器 原子炉格納容器

変圧器

送電

プルトニウム3~5%

1%

1%

93~95%

4~9%

91~96%

核分裂生成物など(核分裂によりできた物質)

再利用可能(95〜97%)

核分裂しやすいウラン235

核分裂しにくいウラン238

核分裂しにくいウランなど

リサイクルMOX燃料

プルトニウム

発電後のウラン燃料

原子炉圧力容器

蒸気

蒸気発生器

加圧器

制御棒

燃料

タービン

復水器放水路へ

冷却水(海水)循環水ポンプ

冷却材ポンプ

給水ポンプ

発電機

原子炉格納容器

変圧器

送電

■沸騰水型(BWR)

■加圧水型(PWR)

原子炉の中でつくった高温高圧の水を蒸気発生器に送り、原子炉内の水とは別の水で蒸気をつくり、その蒸気でタービンを回して電気をつくります。

原子炉の水をそのまま沸騰させて蒸気をつくり、その蒸気でタービンを回して電気をつくります。

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原子力発電のこれまでとこれから

高レベル放射性廃棄物の地層処分

 使用済燃料の再処理で発生する放射能レベルの高い廃液を、ガラス原料と混ぜ合わせてステンレス製の容器に入れて固めたもの(ガラス固化体)を「高レベル放射性廃棄物」といいます。高レベル放射性廃棄物は、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任で、地下深くの安定した岩盤に埋設する(=地層処分※する)必要があります。 地層処分の仕組みや日本の地質環境等について国民の理解を深めるために、国は、2017年7月に地域の科学的特性を全国地図の形で示す「科学的特性マップ」を提示し、現在、全国的な理解活動を実施しています。

科学的特性マップにおける地域特性の区分

今後の理解活動と処分地選定の流れ

科学的特性マップ(中四国地方を中心に抜粋)

地層処分

ガラス固化体

地下300m以深

※日本では、法律で地下300mよりも深い地層に処分すると決められています。

好ましくない特性があると推定される× 火山の近傍

いずれも該当しない

地下深部の長期安定性等(オレンジ)

(シルバー)

(グリーン)

(グリーン沿岸部)

将来の掘削可能性

好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い

好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い

好ましい要件・基準輸送面でも好ましい

好ましくない要件・基準

× 活断層の近傍× 隆起・侵食が大きい範囲 など× 油田、ガス田、炭田が存在する範囲

一つでも該当する

該当する

該当する海岸からの距離が短い範囲

出典:資源エネルギー庁「科学的特性マップ公表用サイト」より作成

出典:資源エネルギー庁「科学的特性マップ公表用サイト」をもとに加工して作成

好ましくない特性があると推定される地域(地下深部の長期安定性等の観点)好ましくない特性があると推定される地域(将来の掘削可能性の観点)好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域輸送面でも好ましい地域

凡例

出典:資源エネルギー庁「科学的特性マップ公表用サイト」より作成

科学的特性マップの提示

全国・地域における対話の積み重ね

法律に基づく3段階の処分地選定調査

国民理解の深まり

国民・地域の声を聴きながら更なる取組

●地域毎のきめ細かな対話・地域の方々の学習支援●研究開発の充実●地域共生・地域支援に関する議論 など

地域の理解を得た上でNUMOが調査個別地点毎に調査

最終処分場所

(施設建設地)

の選定

処分施設の

建設

廃棄物の

搬入・埋設

処分施設の

閉鎖

科学的特性マップなどを活用した全国各地での説明会

文献調査 概要調査 精密調査

安全性の確認

調査を受け入れて頂ける地域が出てくれば

原子力発電のこれまでとこれから

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エネルギーの豆知識

 「放射線」とは放射性物質から放たれる粒子や電磁波のことを指します。その放射線を出す能力のことを「放射能」といい、放射線を出す物質のことを「放射性物質」といいます。

Q 放射線と放射能の違いは?

Q 放射線や放射能にはどのような特徴がありますか?

エネルギーの豆知識 放 射 線 ・

放 射 能 編

放射性物質から離れるほど放射線も弱くなります。

放射線は物質を通り抜ける力(透過力)がありますが、さえぎることができます。

 放射線の量は距離の2乗に反比例して減るため、放射性物質から2倍の距離に離れると、受ける量は4分の1になり、3倍の距離に離れると9分の1になります。

 放射能がもとの半分になるまでの期間を「半減期」といいます。半減期は、放射性物質の種類によって異なります。

 放射線には、α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線などいろいろな種類があり、その種類によって透過力が異なります。放射線は、透過力に応じて適切な材料と厚さの遮へい物で安全にさえぎることができます。

出典:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成29年度版)」より作成

放射線 = 光

放射性物質 = 懐中電灯

放射能 = 光を出す能力

放射性物質を懐中電灯にたとえてみると

放射線の種類と透過力

(ヨウ素131の場合)放射能の減り方

最初の放射能

半減期

半減期

半減期半減期

日数

放射能(相対値)

8 16 24 32

116

18

14

12

1半減期の10倍の時間が経つと、放射能は約1/1000

放射性物質は放射線を出しながら時間がたつと自然に放射能が減っていきます。

放射性物質

放射線を出す能力(放射能)

放射線

懐中電灯

光を出す能力

放射性物質と半減期

人工の放射性物質

原子の種類ヨウ素131コバルト60

約8日

セシウム137 約30年約5年

プルトニウム239 約24,000年ラドン222 約4日ラジウム226 1,600年カリウム40 約13億年ウラン238 約45億年

半減期

自然界に存在する放射性物質

出典:環境省「放射線による健康影響等に関する  統一的な基礎資料」より作成

0 1

1

1/4

1/91/16

2 3 4

線量率(相対値)

放射性物質からの距離(m)

α線を止める

アルファ(α)線

ベータ(β)線ガンマ(γ)線エックス(X)線

β線を止める γ線X線を弱める 中性子線を弱める

アルミニウムなどの薄い金属板

鉛や厚い鉄の板

水素を含む物質たとえば水やコンクリート

陽子

電磁波

中性子電子

放射線はいろいろな物質でさえぎることができます

距離と放射線の関係

出典:電気事業連合会「放射線Q&A」より作成

放射線の量は離れると減ります

中性子線

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エネルギーの豆知識

 被ばくとは放射線を受けることで、体の外から被ばくすることを外部被ばく、体の中から被ばくすることを内部被ばくといいます。外部被ばくも内部被ばくも、シーベルトで表す数値が同じであれば、人体への影響は同じです。また、汚染とは放射性物質が皮膚や衣服に付着した状態のことをいい、汚染した場合は、放射性物質を拭いたり、洗い流したりすることで除去します(除染)。

放射能の量はベクレル(Bq)

人体への影響の単位。放射線により身体がどの程度影響を受けたかを表します。

放射能の量の単位。放射性物質がどの程度放射線を出すかを表します。

ベクレル(Bq) シーベルト(Sv)

★単位のはなし

人体への影響はシーベルト(Sv)

被ばく 放射線を受けること

放射性物質で汚染されたものを飲み込んだり、汚染された空気を吸ったりすることにより、放射性物質が体内に入り、それにより放射線を受けること。

レントゲンのように身体の外にある放射線の発生源(放射性物質など)から出る放射線を受けること。

●外部被ばく ●内部被ばく

内部被ばく

放射線放射性物質

外部被ばく

出典:電気事業連合会「放射線Q&A」より作成

出典:電気事業連合会「放射線Q&A」より作成

汚染汚染された人は、放射線の発生源(放射性物質など)を除去するまで放射線を受け続けることになります。

放射性物質が皮膚や衣服に付着した状態

Q 外部被ばくと内部被ばくの違いは?

Q 放射線はどのように利用されていますか?

汚染

レントゲン検診・乳がん検診・がん治療・輸血用血液のアレルギー反応抑制などに使われています。また、放射線には殺菌作用があるので、プラスチック製の注射筒・注射針・手術用器具・縫合糸などに放射線を当て、滅菌処理をしています。

じゃがいもの発芽をストップさせる食品照射などに使われています。また、放射線を当てることで、花の色や形が多彩な菊やバラ、病害虫に強く冬でも枯れない芝など多数の新品種が作り出されています。

空港の手荷物検査(透視)・紙や鉄板の厚み測定などに使われています。また、放射線が化学物質の分子構造を変える働きを利用して、素材の性能を強化することができます。ゴムの強度を高めたラジアルタイヤ、耐火消防服などに用いられる特殊繊維など、工業製品の製造・加工に幅広く役立っています。

● 害虫駆除● 化学分析ではわからない微量分析、犯罪捜査にも応用● ラドン温泉・ラジウム温泉● 古美術品の鑑定・考古学や地層の年代測定

そのほかにも、こんなところで放射線が活用されています

農業分野での放射線利用

医療分野での放射線利用 工業分野での放射線利用

原子力発電のこれまでとこれから

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エネルギーの豆知識

エネルギーの 豆知識 放 射 線 ・

放 射 能 編

Q 宇宙の誕生とともに、放射性物質は存在しています。私たちは、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きる前から大地や宇宙、食べ物、呼吸などから年間約2.1ミリシーベルト(日本平均)の自然放射線を受けています。また、医療目的でも放射線を受けるケースがあります。例えば、胸部のX線コンピュータ断層撮影(CTスキャン)検査は1回で約2.4~12.9ミリシーベルト、胃のX線検診は1回で約3ミリシーベルトの放射線を受けます。なお、日本では1人あたり平均で年間約4ミリシーベルトの医療放射線を受けています。 私たちは食物からも放射性物質を取り込んでいますが、放射性物質は時間とともにだんだん少なくなっていく上に新陳代謝されるため、体内でほぼ一定の割合に保たれ、溜まり続けることはありません。

放射線はどこにでもあると聞きますが?

放射線を受ける量の比較

体内、食物中の自然放射性物質

出典:日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」より作成出典:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成29年度版)」より作成

(単位:ベクレル/kg)

●体内の放射性物質の量

●食物中の放射性物質[カリウム40]の量 (日本) 干しこんぶ

2,000

魚100

牛肉100

牛乳50

食パン30

米30

ビール10

干ししいたけ700

ポテトチップ400

生わかめ200

ほうれん草200

(体重60kgの日本人の場合)

カリウム40

炭素14

ルビジウム87

トリチウム

鉛ポロニウム

4,0002,500500100

20

ベクレル

ベクレル

ベクレル

ベクレル

ベクレル

食物からも放射性物質を取り込んでいます

0.08~0.11

2.4~12.9 

3.0

出典:電気事業連合会「原子力コンセンサス」より作成

0.001

0.01

0.1

1

10

100

0.001未満 原子力発電所からの放出実績(年間)

クリアランスレベル※3 0.01(年間)

東京~ニューヨーク 航空機旅行(往復)

1人あたりの 自然放射線(年間) 2.1

インド/ケララ、チェンナイ※1の 約5~30

空気中のラドン※2から0.48

宇宙から 0.3

大地から 0.33

食物から 0.99

全身被ばく 100

発電所などで働く作業者に対する制限(年間)※4 

一般公衆に対する制限(医療は除く)(年間)

0.06 胸のエックス線集団検診(1回) 

0.05 原子力発電所周辺の線量目標値(年間)

0.01 歯のエックス線撮影

※1 南インド、タミル・ナドゥ州の都市※2 空気中に存在する天然の放射性物質※3 自然界の放射線レベルと比較して十分小さく、安全上放射性物質として扱う必要のない放射線の量※4 発電所などで働く作業者に対する制限は5年間につき100ミリシーベルトかつ1年間につき50ミリシーベルトを超えない

(日本平均)

住民の方の健康への影響は確認されていません。

これより低い線量では臨床症状が確認されていません。

放射線を受けた量

私たちはいろいろな放射線を

受けています

1.0

50

(ミリシーベルト)

CT検査(1回)

胃のエックス線検診(1回)

放射線(年間)

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エネルギーの豆知識

Q 飲料水や食品に含まれる放射性物質については、法律で制限値が設けられているため、制限値を超える食品などは市場に流通しません。日本では、食品の国際規格を作成しているコーデックス委員会の指標等(WHOの指標含む)を基に、年間1ミリシーベルトを超えないように、基準が設けられています。制限値上限の放射性物質を含む飲料水や食品を毎日摂取しても、健康に影響はありません。 なお、日本の基準値は、放射性物質を含むと仮定する食品の割合を高く設定していることなどもあり、海外の基準値よりも厳しい値に設定されています。

放射性物質を含む飲料水や食品を摂取するとどうなりますか?

 現在の研究では、一度に100ミリシーベルトより低い放射線を全身に受けても、身体への影響は確認されていません。人体の細胞は、放射線を受けると細胞内のDNAが損傷しますが、修復機能やアポトーシス(自死)により、放射線影響が溜まっていくことはありません。ただし、一度に500ミリシーベルトの放射線を全身に受けると血液中のリンパ球の数が一時的に減少します。また、1,000ミリシーベルト以上になると気分が悪くなったり、最悪死亡につながる場合があります。 なお、広島と長崎の被ばく者の追跡調査と生活習慣についての研究の結果、100~200ミリシーベルトを被ばくした時のがんの発症率は1.08倍に増加しますが、これは野菜不足や塩分の取り過ぎによるがんの発症率の増加とほぼ同じ程度です。 自然放射線も人工放射線も、受ける放射線量が同じであれば、人体への影響の度合いは同じです。

Q 放射線を受けるとどうなりますか?

多量の放射線を一度に受けた場合の身体への影響

1,000~2,000ミリシーベルトの放射線を受けた場合

喫煙

飲酒(毎日3合以上)

やせ過ぎ

肥満

200~500ミリシーベルトの放射線を受けた場合

運動不足

塩分の取り過ぎ

100~200ミリシーベルトの放射線を受けた場合

野菜不足

1.8倍

要 因 がんになるリスク※

1.6倍

1.29倍

1.22倍

1.19倍

1.15~1.19倍

1.11~1.15倍

1.08倍

1.06倍

食品中の放射性物質に関する指標(ベクレル/kg)

出典:消費者庁「食品と放射能Q&A」より作成

放射線と生活習慣によってがんになる相対リスク

出典:国立がん研究センター調べより作成※基準となるグループとの相対比較による(対象:40~69歳の日本人)

核種 食品の種類 日本 EU 米国

岡田往子先生の学ぼう放射線一緒に学びませんか?暮らしと放射線のこと。放射性

セシウム

放射性物質を含む食品の割合の仮定値 50% 10% 30%

飲料水

牛乳

乳児用食品

一般食品

10

50

50

100

1,000

1,000(乳製品)

400

1,250

全ての食品1,200

出典:(公財)放射線影響協会「放射線の影響がわかる本」より作成

100%の人が死亡

50%の人が死亡

7,000~10,000

3,000~5,000

1,000

500

100

悪心、嘔吐(10%の人)

末梢血中のリンパ球の減少

これより低い線量では臨床症状が確認されていません

皮膚に被ばく 紅斑水晶体に被ばく 白内障

皮膚に被ばく 急性潰瘍

100

2,500~6,000

5,000

10,000以上

2005001,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,0009,00010,000

放射線を受けた量(ミリシーベルト)

水晶体に被ばく 水晶体混濁500~2,000

皮膚に被ばく 脱毛3,000

生殖腺に被ばく 永久不妊

学ぼう放射線 検索

局部被ばく

全身被ばく

原子力発電のこれまでとこれから

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第二章

伊方発電所の概要と安全対策

伊方町

伊方発電所

 四国の西側から九州に向かって細長く伸びた佐田岬半島。伊方発電所はその瀬戸内海側にあります。

 伊方発電所の周辺には、約1億年前に形成された硬い結晶片岩(緑色片岩)が広く分布しています。建設に

あたっては、地質調査等を詳細に行い、敷地内に分布する結晶片岩(緑色片岩)が発電所の安全上重要な

設備を設置する基礎岩盤として十分な強度を有することを確認しています。

りょくしょくへんがん

21

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伊方発電所の概要

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伊方発電所の概要

●伊方発電所の全体図

●発電所施設の概要

●伊方発電所の設備利用率

●1~3号機の概要

1号機

定格電気出力

原子炉型式

燃料集合体数

運転開始時期

56万6千kW

加圧水型軽水炉

121体

1977年9月30日 1982年3月19日 1994年12月15日

2号機

56万6千kW

加圧水型軽水炉

121体

3号機

89万kW

加圧水型軽水炉

157体

原子炉格納施設(原子炉格納容器・コンクリートの遮へい壁)

冷却材ポンプ

二次系の水 タービン

蒸気

発電機

復水器

放水口取水口

冷却水(海水)

蒸気発生器加圧器

制御棒

原子炉容器

燃料 一次系の水

加圧水型軽水炉(PWR)のしくみ

発電所設備の監視・制御・定期的な点検や、現場のパトロール、放射線の監視などを6チーム2交替の24時間体制で行っています。

中央制御室

蒸気発生器から送られた蒸気でタービン(写真奥)と発電機(写真手前)を1秒間に30回転させ、電気をつくります。発電された電気は送電線や変電所を経由し、お客さまにお届けしています。

タービン発電機原子炉を冷却する主要な配管に万が一損傷があった場合などに、自動で起動し、原子炉容器に多量の冷却水を送り込みます。

高圧注入ポンプ原子炉格納容器内部に通じる「エアロック」と呼ばれる二重構造の扉です。この扉の先に原子炉容器や蒸気発生器が設置されています。

原子炉格納容器出入口

設備利用率(%)= ×100発電電力量

認可出力 × 暦時間数

〔2016年5月10日〕 〔2018年5月23日〕〔運転終了時期〕

2010

東北地方太平洋沖地震

20082006200420022000199819961994199219901988198619841982198019780

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

(年度)

37.7%

0%

2012 2014 2016 2017 2018

19.3%

伊方発電所平均全国平均

福島第一原子力発電所の事故による影響

39.3%

運転終了 運転終了

原子力発電のこれまでとこれから

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伊方発電所の安全への取り組み

伊方発電所の安全への取り組み

安全確保の基本方針

 原子力発電所では、放射性物質の異常な放出による周辺環境への影響を防止することが安全確保の基本です。このため、異常な事態が起こらないよう設計の段階からきめ細かい防止対策を講じています。 また、異常な事態が発生したとしても、原子炉を「止める」、「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」を基本に、放射性物質が周辺環境に影響を与えないようにしています。

 伊方発電所では、安全確保のための対策を二重、三重に行っています。さらに、運転員・保修員の教育訓練に努めるとともに、設備や機器の点検・検査などを計画的に実施しています。また、伊方発電所周辺では、常に放射線を厳重に監視していますが、発電所から出る放射線は自然放射線に比べて極めて微量であり、周辺環境に与える影響はありません。 また、福島第一原子力発電所の事故以降、緊急安全対策や新規制基準への対応を図るなど、より一層の安全性・信頼性の向上に努めています。加えて、1、2号機の廃止措置について安全を最優先に適切に進めてまいります。

閉じ込める冷やす

止める

未然に防ぐ

 伊方発電所内に設置した地震計が震度5程度以上の揺れを検知した場合、直ちに制御棒が自動的に挿入され、原子炉が安全に停止するしくみとなっています。 制御棒は、地震時の最大の振幅で揺れているときでも挿入できることを確認しています。

設備や機器の点検

 原子力発電所では、安全に運転を続けるために、改正された「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(原子炉等規制法)に基づき、設備や機器の「施設定期検査」を行っています。また、常時、設備や機器の状態を入念に確認し、小さな異常でも早期に発見して処置するなど速やかに対応できる体制を整えています。

入念に行われる施設定期検査 日常のきめ細かな確認

健全性の確認

機能の維持 信頼性の向上

●消耗品などの定期的な交換

●劣化に対する処置

●他の発電所で発生した事故・故障の類似個所の点検・処置

●最新技術を導入した設備・機器への取り替え

●異常の早期発見と処置

●主要設備の運転性能や設定値などの確認

●分解点検や漏えい検査による設備の健全性の確認

発電所の安全・安定運転

原子力発電所の施設定期検査の目的

安全確保の基本方針

★原子炉を安全に自動停止停止信号 制御棒

原子炉容器

地震計

基礎コンクリート

岩盤

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伊方発電所の安全への取り組み

放射線のモニタリング

 原子力発電所周辺の放射線の量は、法令で定められた値を十分下回るよう、施設を設計・管理しており、自然から一般の方々が受ける放射線の制限値よりも低くなっています。 四国電力では、周辺環境への影響がないことを確認するため、伊方町や八幡浜市、大洲市および西予市に21基の放射線モニタリング設備を設置しており、測定結果はホームページで公開しています。

運転員・保修員の技術向上

 設備の健全性を維持し発電所の安全・安定運転を続けていくためには、教育訓練を通じて、優秀な運転員・保修員の養成と資質の維持・向上に努めることが重要です。 四国電力では、運転員・保修員の技術的能力向上のために、教育訓練の充実を図っています。松山市にある「原子力保安研修所」では、運転員を対象に、運転訓練シミュレータを用いて、プラントの基本的な起動・停止操作から複雑な事故や故障の対応操作に至るまで、さまざまな訓練を行っています。さらに、保修員を対象に、保修業務に必要な訓練を計画的に実施しています。

ホームページで測定結果を公開

モニタリングステーション

画像支給希望

原子力保安研修所 運転訓練 保修訓練

伊方発電所周辺の環境放射線モニタリング設備の設置状況(伊方発電所付近の当社設置のものです)

モニタリングポストNo.3

モニタリングポストNo.2

モニタリングステーション

モニタリングポストNo.1

モニタリングポストNo.4

1・2号機放水口水モニタ

3号機放水ピット水モニタ

伊方ビジターズハウス

モニタリングポストモニタリングステーション水モニタきらら館至三崎

至八幡浜市

瀬戸内海

1号

2号3号

197

原子力発電のこれまでとこれから

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伊方発電所の安全への取り組み

1、2号機の廃止に伴う取り組みについて

 2016年5月10日に運転を終了した伊方発電所1号機は、2017年6月28日に原子力規制委員会より廃止措置計画の認可を受け、同年9月より廃止措置作業(第1段階)を実施しています。 2号機については、2018年5月23日に運転を終了し、現在、廃止措置計画について、原子力規制委員会の審査を受けています。(2019年9月の状況)

1号機の廃止措置の全体工程

第1段階 第2段階 第3段階 第4段階解体工事準備期間

約10年(~2026年度頃) 約15年(~2041年度頃) 約8年(~2049年度頃) 約7年(~2056年度頃)

原子炉領域周辺設備解体撤去期間

原子炉領域設備等解体撤去期間

建家等解体撤去期間

燃料を搬出するとともに、主に2次系設備(ポンプ・タンク等)の解体撤去を開始

1次系設備(ポンプ・タンク等)の解体撤去を開始

1次系の主要設備である原子炉容器や蒸気発生器等の解体撤去を実施

原子炉格納容器、原子炉補助建家等の解体撤去を実施

管理区域内設備(原子炉領域周辺)の解体撤去

燃料の搬出管理区域外設備の解体撤去

原子炉領域設備の解体撤去

蒸気発生器

原子炉容器

蒸気発生器

原子炉容器

建家等の解体撤去

原子炉格納容器

原子炉補助建屋等

原子炉格納容器

原子炉補助建家等

伊方発電所の使用済燃料貯蔵対策について

 伊方発電所で発生した使用済燃料は、発電所内にある使用済燃料ピットと呼ばれるプールで、青森県六ヶ所村の再処理工場に搬出するまでの間、一時的に貯蔵しています。 そのプールとは別に、使用済燃料を一時的に貯蔵する施設として、発電所敷地内に、新たに乾式貯蔵施設を設置する準備を進めており、現在、原子力規制委員会の審査を受けています。(2019年9月の状況)

 乾式貯蔵施設は、使用済燃料を乾式キャスクと呼ばれる4つの安全機能を備えた金属製の頑丈な容器に入れて、貯蔵する施設です。水や電気を使用せず、空気の自然対流(換気)で冷却することができるため、安全性に優れています。

使用済燃料二重のふたで密封

5.2m

2.6m

温度低 高

空気の流れ仕切り板で、核分裂の連鎖反応を防止

放射線を約100万分の1まで減衰

使用済燃料から発生する熱を乾式キャスク表面に伝え外気で冷却

除熱

遮へい

臨界防止

閉じ込め4つの安全機能

使用済燃料の搬出までの流れ

乾式貯蔵施設の安全性

伊方発電所

使用済燃料ピット 乾式貯蔵施設 青森県 六ヶ所村

六ヶ所村 再処理工場への搬出

再処理工場

原子炉容器

■ 冷却のしくみ ■ 乾式キャスクの構造

燃料集合体約3~4年使用

使用済燃料の取出し

使用済燃料

1~3号機にそれぞれ設置

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福島第一原子力発電所の事故を踏まえた安全対策

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福島第一原子力発電所の事故を踏まえた安全対策

訓練の実施

 緊急時における発電所員の対応力を向上させるため、事故の収束に向けた対策の指示や外部への迅速な通報連絡等を目的とした総合訓練など、さまざまな事態を想定した訓練を継続的に実施しています。

中型ポンプ車の操作訓練総合訓練

ホイールローダでの陥没箇所修復訓練

全交流電源喪失を想定したシミュレータ訓練

冷却水確保訓練

夜間に携帯用照明だけで作業を行う訓練

新規制基準について

新規制基準の考え方 新規制基準の全体像

 国(原子力規制委員会)は、福島第一原子力発電所の事故や海外の規制動向を踏まえて、原子力発電所に対する規制を全面的に見直し、2013年7月8日、新しい規制基準として施行しました。

 原子力発電所においては、炉心が損傷するような事故(重大事故)を起こさないよう、従来の基準の中でも、地震の揺れに対する対策や電源の信頼性に対する対策などを実施することとなっていました。 しかし、福島第一原子力発電所での事故を教訓として、従来の基準が強化されるとともに、これまで事業者の自主的対策であった重大事故に対する備えが規制の対象として加えられました。さらに、竜巻や森林火災などの自然現象や、航空機衝突への対応も規制の対象となりました。

 福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、「地震対策」、「浸水対策」、「冷却手段の確保」、「重大事故対策」を進めています。詳細は、次ページ「伊方発電所の安全対策」をご覧ください。

 伊方発電所では、福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こしてはならないとの決意のもと、従来から実施していた安全対策に加え、福島第一原子力発電所の事故を踏まえた設備面での対策を進めるとともに、さまざまな事態を想定した訓練を継続的に実施しています。 また、国の定める新規制基準への適合はもちろんのこと、さらに安全性を高めるための自主的な安全対策も講じています。

重大事故に対する備えは事業者の自主的対策

自然現象に対する考慮

従来の基準

自然現象に対する考慮

意図的な航空機衝突への対応

放射性物質の拡散抑制対策

格納容器破損防止対策

炉心損傷防止対策(複数の機器の故障を想定)

火災に対する考慮

電源の信頼性

その他の設備の性能

耐震・耐津波性能 耐震・耐津波性能

新規制基準新設

テロ対策

重大事故対策

新設

強化

強化または新設

(火山・竜巻・森林火災を新設)

火災に対する考慮

電源の信頼性

その他の設備の性能

内部 水に対する考慮(新設)

設備面での対策

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伊方発電所の安全対策

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福島第一原子力発電所の事故を踏まえた安全対策

地震対策

浸水対策

●伊方発電所での最大の津波高さは、津波が重なり大きくなる場合など厳しい条件でも8.1mと想定しており、海抜10mにある伊方発電所への影響はないと考えています。●タンクの破損などによる浸水にも備え、水密扉の設置や海水ポンプの浸水防止対策などを行いました。

●南海トラフの巨大地震や中央構造線の断層による地震などを詳細に調査した上で、最大規模の地震の揺れ(650ガルほか)を想定し、耐震性の向上対策を実施しています。●重要な建物は強固な岩盤上に設置しているため、地震の揺れは軟らかい地盤上の建物に比べ1/2~1/3程度となります。

重要な建物は強固な岩盤上に直接設置耐震性向上対策の例

最大津波高さは敷地より低い8.1m海水ポンプの浸水防止対策大型水密扉(扉の厚さ35cm)

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福島第一原子力発電所の事故を踏まえた安全対策

冷却手段の確保

重大事故対策

●重大事故時の対応拠点として、高い耐震性を有する緊急時対策所を設置しました。●格納容器内の水素爆発を防止するため、水素処理装置を設置しました。●万一、原子炉格納容器が破損しても、破損個所に放水し、放射性物質の拡散を抑える大型放水砲や大型ポンプ車を配備しました。

原子炉や使用済燃料を「冷やし続ける」ための電源やポンプを多重化・多様化しました。●空冷式非常用発電装置や複数の電源車を分散配備●配電線を海抜95mの変電所から2ルート敷設●非常時に原子炉等に注水するため、複数の中型ポンプ車や水中ポンプを分散配備

空冷式非常用発電装置 中型ポンプ車 水中ポンプ

緊急時対策所 水素処理装置(イグナイタ) 大型放水砲/大型ポンプ車

原子力発電のこれまでとこれから

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伊方発電所はこれからも地域とともに歩みます

伊方発電所はこれからも地域とともに歩みます

●地域振興支援

●地域の皆さまとのふれあい活動

四国電力では、地域の皆さまに原子力発電に対する理解をより一層深めていただくため、情報公開の徹底に努めています。これからも報道発表、ホームページなどにより、ありのままの情報をわかりやすい言葉でタイムリーにお伝えしてまいります。

トラブル報告書、保安規定および原子力関係資料などについては、当社の本店、原子力本部および伊方ビジターズハウスで公開しています。

 原子力発電への取り組みには、地域の皆さまのご理解、ご協力が欠かせません。伊方発電所では、今後とも、情報公開の徹底に努めるとともに、地域共生にも積極的に取り組んでまいります。

ありのままの情報をわかりやすい言葉でお伝えします

地域共生・地域貢献に積極的に取り組みます

●情報公開の徹底

伊方発電所では、地元の伊方町、八幡浜市の全戸を対象に、1988年以降毎年、当社従業員がお客さまのもとを戸別に訪問し、発電所の運転状況やその時々のトピックスなどをご説明するとともに、ご意見、ご質問をお伺いする訪問対話活動を展開しています。(福島第一原子力発電所の事故以降は、伊方発電所の周辺20km圏内を対象に実施) 四国電力は、今後とも、こうした取り組みを継続し、地域の皆さまとのさらなる信頼関係の構築に努めたいと考えています。

 伊方発電所では、「発電所は地域と共に生き、歩み、共に栄えていくものであり、発電所で働く従業員は地域の一員である」との認識に立って、地域の皆さまとの交流を深めるさまざまな取り組みを行っています。 具体的には、広報誌「伊方だより」を発行するとともに、伊方町の夏まつりへの参加など、地域の皆さまとのふれあい活動に積極的に取り組んでいます。 また、地域振興支援として、伊方町の地元団体との共同出資により伊方サービス株式会社を設立し、伊方発電所での業務以外にも、地元公共施設の運営、管理および地元特産物を活かした商品の販売・PRなどを行っています。 その他にも、地元の伊方町、八幡浜市を中心とした愛媛県南予地域の医療を担う医師を確保するため、2018年に南予医療振興財団を設立し、愛媛大学医学部医学科生を対象に、2019年度から奨学金貸与事業を行っています。

●訪問対話活動ホームページで原子力情報を公開

伊方まつり

訪問対話活動

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伊方発電所はこれからも地域とともに歩みます

 佐田岬半島を東西に走る国道197号(メロディーライン)沿いに、「伊方ビジターズハウス」があります。 大型3Dシアター、原子炉格納容器内部や中央制御室の体験コーナーなど、原子力発電のしくみや構造を学べる施設です。 また、地域の展示ホールや憩いの場として、ご利用いただいています。

伊方ビジターズハウス

【開館時間】

【 休 館 日 】

【 所 在 地 】

【 電 話 】

午前9:00~午後5:00年末年始(12/29~1/1)〒796-0421愛媛県西宇和郡伊方町九町コチワキ3-204

ラウンジ 伊方とぶナビ シアターホール 緑色片岩展示コーナー

アースギャラリー・ゲームコーナー

原子炉格納容器内部体験コーナー中央制御室体験コーナー 使用済燃料プール体験コーナー

0894-39-1399

197

197 378

(分)

1540

三崎港

70

20

1010

40

40

松山

大洲保内伊方

ビジターズハウス

八幡浜

宇和島

●所要時間

30 50

よんでんエネルギープラザ阿南

Jパワー&よんでんWaンダーランド西 条 発 電 所 P R 室坂 出 発 電 所 P R 館

〒774-0023

〒779-1620

〒793-0042

〒762-0064

徳島県阿南市橘町幸野106

徳島県阿南市福井町舟端1愛媛県西条市喜多川853香川県坂出市番の州町2

0120-021-539(0884)28-0215(0884)34-3251(0897)56-0260(0877)46-3995

午前10:00~午後5:00

午前10:00~午後5:00午前 9:00~午後5:00午前 9:00~午後4:00

土・日曜日、GW、お盆、年末年始(12/29~1/3)ほか火曜日ほか土日祝日、年末年始(12/29~1/3)ほか土日祝日、年末年始(12/29~1/3)ほか

よんでんエネルギープラザ本川 〒781-2611 高知県吾川郡いの町脇ノ山367-3 (088)869-2410 午前 9:00~午後5:00 土日祝日、年末年始(12/29~1/3)ほかTel.

Tel.Tel.Tel.Tel.

原子力発電所

火力発電所

水力発電所

■ 四国電力 エネルギーPR施設一覧施設名 所在地 電話番号 開館時間 休館日

伊方ビジターズハウス 〒796-0421 愛媛県西宇和郡伊方町九町コチワキ3-204 (0894)39-1399 午前 9:00~午後5:00 年末年始(12/29~1/1)Tel.

原子力発電のこれまでとこれから

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このパンフレットは自然環境に配慮した用紙と植物油インキを使用しています。 2019.9

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しあわせのチカラになりたい。