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「建築物の振動に関する 居住性能評価指針・同解説」 e-learning講習会 環境振動運営委員会主査 居住性能評価指針改定WG主査 石川 孝重

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「建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説」

e-learning講習会

環境振動運営委員会主査

居住性能評価指針改定WG主査

石川 孝重

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前置き「居住性能評価の考え方」 2

環境振動とは….

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前置き「居住性能評価の考え方」 3

環境振動に関する評価フロー人為的外力 自然外力

建物内振動源 建物外振動源加振外力

人間の動作 設備機器 生産機器 道路交通 鉄道 建設工事 微振動 風 地震

伝 搬

応 答 予 測

測 定

建物の構造

建物内の積載物受振対象

(人体暴露・全身振動)建物内の人間

性 能 評 価

対 策

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前置き「居住性能評価の考え方」 4

2004年版居住性能評価指針改定に当たって

■設計者・技術者に対して

「1991年版指針に対する意見や要望」

に関するアンケート調査を行いました

居住性能評価検討(鉛直・水平)SWGが1998年に実施

調査対象者

全国のJSCA会員,

環境振動シンポジウム参加者など

回収数

鉛直振動に関して51件

水平振動に関して49件

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前置き「居住性能評価の考え方」 5

0

10

20

30

40

強風

のみ

地震を含

める

交通を含

める

設備を含

める

その他

割合

(%

0

5

10

15 回答数

(件

評価対象に含める加振源について

1991年版の指針で対象とする加振源以外に範囲を広げて欲しいという要望が多い

例えば...水平振動の交通や設備など

(居住性能評価検討SWG1998年実施)

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前置き「居住性能評価の考え方」 6

対象とする振動数範囲について

水平振動の場合

小規模な建築物における1.0Hz程度以上の風揺れを対象として欲しい設備や交通振動を加振源とした、50Hzや60Hzまで範囲を広げて欲しい

0

10

20

30

40

50

0.1~1.0Hz 狭い 広い その他

割合

(%

0

5

10

15

20回答数

(件

(居住性能評価検討SWG1998年実施)

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前置き「居住性能評価の考え方」 7

2004年改定版 目次(床振動)

Ⅰ.人の動作・設備による鉛直振動1.適用範囲2.居住性能評価の基本概念3.居住性能評価の基準4.応答評価の方法参考文献付 録付1.実測事例付2.性能評価例付3.人の歩行,走行による床振動の評価方法付4.振動測定方法

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前置き「居住性能評価の考え方」 8

2004年改定版 目次(交通振動)

Ⅱ.交通による鉛直・水平振動1.適用範囲2.居住性能評価の基本概念3.居住性能評価の基準4.応答評価の考え方参考文献付 録付1.振動レベルとの対応付2.簡易予測方法付3.実測事例付4.性能評価例付5.感覚評価と性能説明付6.振動測定方法

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前置き「居住性能評価の考え方」 9

2004年改定版 目次(風振動)

Ⅲ.風による水平振動1.適用範囲2.居住性能評価の基本概念3.居住性能評価の基準参考文献付 録付1.感覚評価に影響を与える要因付2.実建築物の評価例

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前置き「居住性能評価の考え方」 10

設計者・技術者に対するアンケート

0

10

20

30

40

ンク表

の他

割合

(%

0

5

10

15

20

回答数

(件

鉛直振動の場合

現状では評価曲線のレベルにおけるユーザーの状況を説明できない

→わかりやすく説明するためには,「○%の居住者が揺れを感じる」などの表現も有効だろう

(居住性能評価検討SWG1998年実施)

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前置き「居住性能評価の考え方」 11

指針の使いやすさについて

0

10

20

30

40

使

いやす

使

いにく

どちら

とも

いえな

割合

(%

) 0

5

10

15

20回答数

(件

) 0

10

20

30

40

使

いやす

使

いにく

どちら

とも

いえな

割合

(%

) 0

5

10

15回答数

(件

鉛直振動の場合 水平振動の場合

「基準レベルの曲線は直線で表現されていて良いが,振動種別,ランクなどの説明がわかりにくい」 など

(居住性能評価検討SWG1998年実施)

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前置き「居住性能評価の考え方」 12

-0.2

1.4

0 1

振動数(Hz)

加速度(0-p)(cm/s2)

知覚確率10%

知覚確率30%

知覚確率50%

知覚確率60%

知覚確率70%

V-10

V-30

V-50

V-70

V-90

1.0

1.0

0.633010

10

25

鉛直振動の場合 水平振動の場合

→本文p.1,p.3/Ⅱ章 付5(p.104)

-0.1

1.6

0 1

振動数(Hz)

加速度(0-p)(cm/s2)

1.01.0 10 30

1.0

10

40

H-90

H-10

H-30

H-50

H-70

知覚確率10%

知覚確率90%

知覚確率70%

知覚確率50%

知覚確率30%

知覚確率による性能評価

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前置き「居住性能評価の考え方」 13

視覚による知覚閾への影響

水平振動の場合

→本文p.4+Ⅲ章 付1(p.126)

-0.1

1.6

-1 0

振動数(Hz)

加速度最大値(cm/s2)

0.1

細実線:体感による知覚確率太破線:体感と視覚による知覚確率

1.0 5.0

10

1.0

40

H-90

H-70

H-50

H-30

H-10

知覚確率90%

知覚確率70%

知覚確率50%

知覚確率30%

知覚確率10%

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前置き「居住性能評価の考え方」 14

建築物にかかわる意思決定

注:横線は従来の性能レベル

の決定主体,

建築基準法

性能設計

品確法

目標性能の設定目標性能の設定

斜線は今後のレベル決定主体を示す

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前置き「居住性能評価の考え方」 15

わかりやすい性能説明と説明責任

ユーザーの財産である建築物に対して,ユーザー自身が自己責任を負う必要がある

技術者・設計者には情報開示が求められ,建築主等に対して説明責任が生ずる

日常的な言葉で語られるユーザーの要求をくみとれるようなわかりやすい説明資料が必要である

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前置き「居住性能評価の考え方」 16

性能説明資料の考え方-鉛直振動

→Ⅱ章 付5(p.101~)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1 10

鉛直振動7.1Hzの場合

まったく感じない

あまり感じないまで

とても小さい

まったく不快でない

まったく不安を感じない

とても弱い

知覚確率

回答確率(%)

加速度最大値(cm/s2)

専門家の設計指標→加速度最大値

ユーザーの表現に近い性能レベルの説明項目

対象建物の固有振動数などと対応させる振動数

性能のグレード→回答確率

性能設計

性能評価 ○%の人が△△と

感じる   ⇔加速度最大値が

□cm/s2程度

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前置き「居住性能評価の考え方」 17

性能評価において用いる場合

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1 10

鉛直振動7.1Hzの場合

まったく感じない

あまり感じないまで

とても小さい

まったく不快でない

まったく不安を感じない

とても弱い

知覚確率

回答確率(%)

加速度最大値(cm/s2)2gal弱の振動が生じている

 約95%の人が まったく不快でない

 約70%の人が 振動をまったく感じない

 30%程度の人が 体感で振動を感じる

→Ⅱ章 付5(p.101~)

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前置き「居住性能評価の考え方」 18

性能設計において用いる場合

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1 10

鉛直振動7.1Hzの場合

まったく感じない

あまり感じないまで

とても小さい

まったく不快でない

まったく不安を感じない

とても弱い

知覚確率回答確率(%)

加速度最大値(cm/s2)

 90%の人が まったく不快でない

80%の人が振動をとても小さいと感じる

 個別の要求性能レベルの取り合わせが必要

 20%の人が 振動を感じる

→Ⅱ章 付5(p.101~)

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前置き「居住性能評価の考え方」 19

性能説明資料の考え方-水平振動(参考)科研報告書(2004.3)資料より

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1 10

水平振動0.4Hzの場合

まったく感じないあまり感じないまでとても小さいまったく不快でない

まったく不安を感じない体感による知覚確率体感と視覚による知覚確率

回答確率(%)

加速度最大値(cm/s2)

専門家の設計指標→加速度最大値

ユーザーの表現に近い性能レベルの説明項目

対象建物の固有振動数などと対応させる振動数

性能のグレード→回答確率

性能設計

性能評価

○%の人が△△と

感じる   ⇔

加速度最大値が

□cm/s2程度

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前置き「居住性能評価の考え方」 20

2004年版の指針改定のポイント

①対象振動源・振動数範囲の拡大・近年要求の高い「交通振動」に対する評価を盛り込んだ。

・風振動の振動数範囲を拡大した。

②目標性能の設定・決定主体は建築主が原則。設計者は,施主の具体的な要求項目を整理しながら,時には社会的な要求も考慮して施主を啓発し,目標性能を決定する。

・この考え方から,本指針では,建物用途などに対する目標性能(推奨値)を規定化していない。

③わかりやすい評価・説明資料・建築の性能グレードを居住者にわかりやすくする必要がある。

・設計評価の参考になるように、指針解説に評価レベルに対する説明資料をできるだけ盛り込むようにした。

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それでは、これからそれぞれの章について、順次要点を中心にご説明します。