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1.諸言 PCC1燃焼は,通常のディーゼルエンジンよりも燃料を早期噴射し予混合気に均質性を持たせて燃焼させる予混合圧縮 着火方式のーつである.千混合圧縮着火は混合気が希薄で均質となるためPMの排出が少なく,燃焼最高温度も低いため NO,も抑制できる.また,燃焼室全域に亘うて多点で着火し,希薄で急速な燃焼となるため熱効率が高い等のメリットが ある,しかし,通常のディーゼル燃焼に比べ均質な混合気が形成されるため,出力を向上しようと燃料の投入母を増加す ると急峻な燃焼を起こしノッキングが発生tる.このノッキングにより運転領域が大幅に制限されてしまうことが課題で ある.この問題に対し,噴霧同士をぶうけることにより通常とは異なる混合気形成が望める対向噴身、1の適用を検討した 噴霧同士をぶつけることにより微粒化のプロセスを一部悪化させ,従来の予混合圧縮着火よりも細かい混合気形成の制御 を行う.これにより, NO,が生成されにくい温度でかつPMの排出が低減するような緩慢な燃焼を目指し運転領域の拡大 を図る 低圧対向噴霧による予混合圧縮着火燃焼の最適化 2.実験条件及び実験装置 1 に実験装置図の概略を示す.供試機関には 4 ストロークディーゼル機関 NS50OG (排気量 331[CCDを用いた.回 転数 1000[rpm],圧縮比ε=13.2臼,11.4ι・]とし,噴射時期を・30r ATDC],・40 r ATDC1とした.また,筒内を模擬し た噴霧撮影装世を用い噴霧を観察した. 発表者 指導教官:若井謙介 3.実験結果及ぴ考察 ま十,基本的なPCC1燃焼特性を把握するため, GTLの対恂噴霧を用いた際の熱発生率,排気・機関特性のグラフを図 2に示す.比較のため,同当母比において GTL単独と本研究室でこれまで使削していた代替燃料であるDME を用いた際 の結果も示す.燃料噴身、!時期はPCC1燃焼の特徴である低温酸化反応(LTR)がみられたθinj=・4帆゜ ATDC1とした.横軸が クランク角度,縦軸が熱発生率を示しており,実線が燃料に DME,破線が GTL,点線が GTL で対向噴霧を用いた際の 熱発生率を示している. GTLはDMEに比べ, LTR,高温酸化反応(HTR)の発生時期が遅角していることがわかる.これ は,燃料特性の違いによるものだと考えられる. GTLは液体燃料であるため,常温で気体である DMEよりも拡散性が悪 くさらに着火性を表すセタン価数が低いため着火遅れ期間が長期化したと考えられる.対恂噴霧に着目するとLTRが発 生せずに,単孔噴霧に比べ熱発生時期が遅角し,ビーク値が大きくな0ていることがわかる,これは,噴霧同士がぶつか ることにより,噴霧が重なり合い大きい液滴となったため燃料が蒸気になるまでの行程が遅れ,予混合期間が長期化した ためだと考えられる.機関特性をみると,図示熱効率および出力を表す代表値である IMEP はDME よりも GTLのほう が高い値を示し,対向噴霧を用いると単孔噴身,はりも高い値となるのがわかる.これは GTLが DME に比べ低位発熱量 が高いことや,熱発生率の遅角化により等容度が恂上したためだと考えられる.そのため,同一の当量比においてはGTL でIMEPが大幅に増加した,排気特性をみると, opaciWの変化は含酸素燃料である DMEでは発生しておらず, GTLの 単孔噴身、1だと高い値を示している.しかし,対向噴霧を用いることにより均質な予混合気が多く形成されたため減少して いることがわかる. N0 は対向噴霧で最も低い値を示している.これは,着火遅れ期間が長期化しているため均質な混合 気が希薄化し比較的低温で燃焼したためだと考えられる,しかし, HC は最も高い値を示している.これは,噴霧同士を ぶクけることで単孔噴霧よりも不均質性の高い混合気が形成されるためだと考えられる.不均質性が高くなることにより 着火遅れ期問が長期化し均質で希薄な混合気が多く生成されるが,局所的に濃度の濃い部分が存在しHCとして大量に排 出されたと老えられる.対向噴霧を適用tることにより,熱効率,1MEP の大幅な増加及び NO, opacity の低減が可能 であるというメリットが得られた.しかし, HCの排出量が高いレベルにある.そこで,次節以降では対向噴霽による HC の低減及び,排気の抑制を維持しうう運転領域の拡大を図る 並里和明 瀬名波出 Injection Driν日r InjeC暫on 00 Contr011er l^ 'n、,ー Fig.1 Sche皿atic experimentalofapPω'atus 0 a m a a h e / 1 . . Ξ / a " . M W 0 U O e e , e e g a 0 0

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  • 1.諸言

    PCC1燃焼は,通常のディーゼルエンジンよりも燃料を早期噴射し予混合気に均質性を持たせて燃焼させる予混合圧縮

    着火方式のーつである.千混合圧縮着火は混合気が希薄で均質となるためPMの排出が少なく,燃焼最高温度も低いため

    NO,も抑制できる.また,燃焼室全域に亘うて多点で着火し,希薄で急速な燃焼となるため熱効率が高い等のメリットがある,しかし,通常のディーゼル燃焼に比べ均質な混合気が形成されるため,出力を向上しようと燃料の投入母を増加す

    ると急峻な燃焼を起こしノッキングが発生tる.このノッキングにより運転領域が大幅に制限されてしまうことが課題で

    ある.この問題に対し,噴霧同士をぶうけることにより通常とは異なる混合気形成が望める対向噴身、1の適用を検討した

    噴霧同士をぶつけることにより微粒化のプロセスを一部悪化させ,従来の予混合圧縮着火よりも細かい混合気形成の制御

    を行う.これにより,NO,が生成されにくい温度でかつPMの排出が低減するような緩慢な燃焼を目指し運転領域の拡大

    を図る

    低圧対向噴霧による予混合圧縮着火燃焼の最適化

    2.実験条件及び実験装置

    図1に実験装置図の概略を示す.供試機関には4ストロークディーゼル機関NS50OG(排気量331[CCDを用いた.回

    転数1000[rpm],圧縮比ε=13.2臼,11.4ι・]とし,噴射時期を・30rATDC],・40rATDC1とした.また,筒内を模擬した噴霧撮影装世を用い噴霧を観察した.

    発表者

    指導教官:若井謙介

    3.実験結果及ぴ考察

    ま十,基本的なPCC1燃焼特性を把握するため,GTLの対恂噴霧を用いた際の熱発生率,排気・機関特性のグラフを図2に示す.比較のため,同当母比においてGTL単独と本研究室でこれまで使削していた代替燃料であるDMEを用いた際

    の結果も示す.燃料噴身、!時期はPCC1燃焼の特徴である低温酸化反応(LTR)がみられたθinj=・4帆゜ATDC1とした.横軸が

    クランク角度,縦軸が熱発生率を示しており,実線が燃料にDME,破線がGTL,点線がGTLで対向噴霧を用いた際の

    熱発生率を示している.GTLはDMEに比べ,LTR,高温酸化反応(HTR)の発生時期が遅角していることがわかる.これ

    は,燃料特性の違いによるものだと考えられる.GTLは液体燃料であるため,常温で気体であるDMEよりも拡散性が悪くさらに着火性を表すセタン価数が低いため着火遅れ期間が長期化したと考えられる.対恂噴霧に着目するとLTRが発

    生せずに,単孔噴霧に比べ熱発生時期が遅角し,ビーク値が大きくな0ていることがわかる,これは,噴霧同士がぶつか

    ることにより,噴霧が重なり合い大きい液滴となったため燃料が蒸気になるまでの行程が遅れ,予混合期間が長期化したためだと考えられる.機関特性をみると,図示熱効率および出力を表す代表値であるIMEPはDMEよりもGTLのほう

    が高い値を示し,対向噴霧を用いると単孔噴身,はりも高い値となるのがわかる.これはGTLがDMEに比べ低位発熱量

    が高いことや,熱発生率の遅角化により等容度が恂上したためだと考えられる.そのため,同一の当量比においてはGTL

    でIMEPが大幅に増加した,排気特性をみると,opaciWの変化は含酸素燃料であるDMEでは発生しておらず,GTLの単孔噴身、1だと高い値を示している.しかし,対向噴霧を用いることにより均質な予混合気が多く形成されたため減少して

    いることがわかる.N0は対向噴霧で最も低い値を示している.これは,着火遅れ期間が長期化しているため均質な混合

    気が希薄化し比較的低温で燃焼したためだと考えられる,しかし,HCは最も高い値を示している.これは,噴霧同士を

    ぶクけることで単孔噴霧よりも不均質性の高い混合気が形成されるためだと考えられる.不均質性が高くなることにより

    着火遅れ期問が長期化し均質で希薄な混合気が多く生成されるが,局所的に濃度の濃い部分が存在しHCとして大量に排

    出されたと老えられる.対向噴霧を適用tることにより,熱効率,1MEPの大幅な増加及びNO,opacityの低減が可能

    であるというメリットが得られた.しかし,HCの排出量が高いレベルにある.そこで,次節以降では対向噴霽によるHC

    の低減及び,排気の抑制を維持しうう運転領域の拡大を図る

    並里和明

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    の増加及び均質な混合気量の増加による燃焼完結性の向上を図りHCの低減を目指す.図3の上部に圧縮比を低下した際

    の熱発生率を,下部に排気・機関特性のグラフを示す.熱発生率のグラフは当母比一定となうており,赤い実線がε=13.2,

    青い破線がε=11.4を表している.横軸がクランク角度,縦軸が熱発生率を示している.圧縮比の低下により着火遅れが

    長期化し等容度が向上していることがわかる.しかし,筒内温度が低下するため熱発生率のピーク値は波少している.排

    気・機関特性のグラフでは,横軸が当母比となうており,縦軸がそれぞれの値を示している.1MEP,及び熱効率の値に

    圧縮比による大きな変化はみられない.これは,低圧縮比化により等容度が向上したがビーク値が減少したためだと考え

    られる.しかし,排気をみると低圧縮比化によりOpacity,HCの排出母を低減できていることがわかる,とくに,当量

    比が高い領域で大きな差が表れている.N0に大きな変化はみられない.これは,圧縮比を低下tると着火時期が遅角化

    tるため予混合期間が長期化し均質な混合気がより多く形成されたためだと考えられる.しかし,HCの排出量はIMEP

    が0.7Mpa付近の際80OPP皿と一般的には非常に多いためさらなる減少を図る必、要がある.そこで,噴身↓時期を遅角化し高圧で噴身・1することで,均質化を促進し燃焼完結性の向上を図る.

    GTL ^エ=13.2Flatpi引on ー^ε冨11.4、"=10oolrpm】

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  • 炊に低圧縮比化した'=11.4において噴身・門寺期を遅角化した際の、噴身,1圧が与える影響を検討する。同一当母比におい

    て噴身、1圧力を4.1、8.1、12.1MPヨと変化させた際の熱発生のグラフを図4に示す。4.1Mpaに比べ8.1Mpa、12.1MP且で

    は着火遅れ期間が長期化し熱発生のピーク値が大きくな0ている。これは高圧で噴身、1するほど噴霧の拡散性が良くなり、0

    形成される混合気量が増加するためだと考えられる。また、8.1Mpaと12.1Mpaを比較tると、着火遅れ期問がほとんど

    同時期であることがわかる。しかし、ピーク値は12,1Mpaのほうが大きく1MEPの向上が期待できるため、対向噴霧に

    おいてはより高圧で噴身.1することが適していると考えられる。

    10・5 TDC 5

    Crankangle{゜ATDC】

    Fi宮.4EffectoflnjectionpressureonlowcompreS8ionratio

    図5に噴身"寺期を遅角化し,比較的高い12.1Mpaで噴身、1した際の熱発生率と排気・機関特性の変化を木司、,上部に

    12.1MP日において当量比を向上させていウた際の熱発生率のグラフを,下部に排気・機関特性を比較的低圧である4.1Mpa

    と比較したグラフを示す.熱発生率をみると,当量比の増加に伴い熱発生率のピーク値が減少し燃焼期問の長い緩やかな

    燃焼とな0ていることがわかる.これは,当量比を増加していくと後半に噴射される燃料の予混合期間が短くなるため拡

    散的な燃焼が支配的になるためだと考えられる.排気・機関特性のグラフをみると,当量比φ=03̃0.6の問において,1MEP

    が0.2̃0.7Mpaまで向上できている.しかし更なる向上を図ろうと当量比を増加しても,φ=0.6以降ではIMEPの増加率

    が減少していることがわかる.これに比例して熱効率も伺様に低下していることがわかる.opacityやHCも当垂比が少ないと低い値を示している.これは,高圧で噴身・1することにより均質な混合気量が増え局所的に過濃な部分が減少したた

    めだと考えられる.しかしφ=06以降ではOpecity,HCともに急増していることがわかる.このことから,φ=0.6以降

    では拡散的な燃焼となり無駄に捨てられる燃料が増えるということがわかる.N0は拡散燃焼にみられるOpacityとのトレードオフ関係が表れているため低下したと考えられる.

    噴身,1時期の遅角化及び低圧縮比化を行い,燃料噴身↓圧力を比較的高くtることにより,当量比φ=0.6,1MEP=0.7Mpa

    付近まではOpaciw,HCがこれまでの条件よりも低減が可能となった.今後は,より高負荷領域での排気の抑制及びNO,

    HCの更なる低減を図り,改善していく"、要がある,

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    030609121.5030.6091.21、

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    TDC 5

    C伯"k帥91el'ATD引

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  • 4.結言

    (DPCC1燃焼の領域において,対向噴霧を用いることにより単孔噴霧に比べIMEPの向上が可能となる.

    (2)対向噴霧において低圧縮比化を行うことで,高負荷領域でのOpaciw,HCの低減が図れる

    (3)低圧での噴身↓は噴舞の拡散性が悪く不均質性が高くなるため燃料投入量を増加していくと,拡散的な燃焼となり燃

    焼完結性の悪化によりHCの排出量が増加する.

    (4)燃料噴射時期を遅角し,噴身1圧力を12.1MPヨと高圧にすることで噴霧の拡散性が良くなるため均質化を促進しHC

    の排出母を抑制tることができる.

    (5)対向噴霧において,低圧縮比化及び12.1MP且での高圧噴身、1を行うことにより一定のIMEPまでは排気を抑制する

    ことができる

    5.今後の課題

    対向噴霧により,低圧縮比化及び高圧噴身1を行うことで一定のIMEPまでは排気の抑制を実現できたが,それ以降の高

    負荷領域では拡散的な燃焼が支配的となりOpacityとHCの大幅な増加にうながってしまった.これは,出力を向上しようと燃料投入量を増加する際に噴身、1期間が長くなるため,後半に噴身、1される燃料が十分な予混合期間を得られずに不完全

    燃焼してしまうためだと考えられる.このように,燃料噴身、1時期を遅角化し高圧での噴身↓を行うと,出力の増加に伴い排

    気が悪化してぃく.逆に燃料噴身、1時期を進角化すると高圧での噴身,1は均質な混合気が多く形成されるため急崚な燃焼によ

    るノッキングにつながうてしまう,

    今回の実験では,対向噴霧の影響を検討するため空気流動のないフラットヒストンを使用していたが,今後は燃焼室形

    状を変更し空気流動を取り入れることにより,燃料噴身、1時期を定格位置で行う.これにより,高圧での噴身、1でもノッキン

    グが生じずに,通常のディーゼル燃焼より均質化を促進でき単位時間当たりの燃料投入量を増加できるため排気のさらな

    る低減が期待できる

    また,本研究室ではこれまで燃料の噴身,1を膨張行程で行う低温燃焼においてN0の大幅な低減を可能としてきた.しか

    し,出力の向上を図ろうと燃料投入量を増加すると,膨張行程で筒内が低温になるため後半に噴射される燃料が燃焼せず

    HCの排出量が急増しIMEPの向上が図れないという課題が残0ていた.しかし,ノズルを2つ取り付け単位時問当たり

    の燃料投入量を増加することができるようになったため,この課題の改善を図る.