2016.11.18 失神で入院した患者の肺塞栓症の有病率

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Health & Medicine


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BACKGROUND 肺塞栓症は、殆どの教科書で失神の鑑別診断に含まれる。 現行の国際的なガイドラインでは、失神で入院した患者で、肺塞栓症の診断を確定するための精査について、殆ど注意が払われていない。 初めての失神で入院した患者における肺塞栓症の有病率を評価しようと試みた。

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METHODS  study design and oversight 失神で救急部を受診し、イタリアの総合病院 11施設に入院した 18歳以上の患者は適格である可能性がある。●失神の定義 :失神は急性発症、持続時間 1分未満。自然寛解を伴う一過性の意識消失、てんかん発作、脳卒中、頭部外傷のような明らかな原因は除外。●除外基準 :以前に失神した事がある、抗凝固療法を施行、妊娠。

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METHODS  study design and oversight●入院した理由 :転倒に関連した外傷、重度の併存症、原因不明、 Evaluation of Guidelines in Syncope Study scoreで心原性失神の可能性が高い。

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METHODS  study assessments 研究プロトコルは欧州心臓学会の 2014ガイドラインに基づく。 研究プロトコルで明記された通り、入院後 48時間以内にs tudy assesmentsは完了された。  Pulmonary Embolism in Syncope Italian Trial(PESIT)の調査員で訓練された研究医により、全患者は面接、評価された。

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METHODS  study assessments●病歴 :自律神経の活性化 (発汗、蒼白、吐き気 )の前駆症状、既知の心疾患の存在など。●DVTのリスク因子 :両脚の症状 (疼痛、腫脹 )、最近の手術、外傷など。●他 :不整脈、弁膜症など。 胸部 X線写真、心電図、動脈血液ガス分析、 D-dimerを含むルーチンの血液検査を全患者に施行。 該当する場合、頚動脈洞マッサージ、 tilt試験、心臓超音波検査、 24時間心電図を試行。

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ASCERTAINMENT OF PE①肺塞栓症の有無を D-dimer,検査前確率で評価した。●D-dimer:250~500μg/mlをカットオフ。●検査前確率 :Simplified Wells Scoreで定義。

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ASCERTAINMENT OF PE●低い検査前確率かつ D-dimer陰性。 →肺塞栓症は除外。●高い検査前確率または D-dimer陽性。 →肺血管造影 CT。  換気血流シンチ (重度の腎障害または造影剤アレルギーがある場合 )。  CTで造影欠損または、換気血流シンチで正常な換気に対応した区域で少なくとも 75%の陰影欠損。 →肺塞栓症は存在。

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ASCERTAINMENT OF PE●検死 :診断のアルゴリズムが完了する前に患者が死亡した場合依頼。

②thrombotic burdenを評価した。 肺塞栓症の患者では、 CTで塞栓した最も近位の位置または換気血流シンチで陰影欠損の重症度により評価された。

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STATISTICAL ANALYSIS●pilot data(失神で入院した 50人の内 6人は肺塞栓症 )に基づいて、肺塞栓症の有病率を初めての失神で 10~15%と推測。●肺塞栓症の有病率・それに関連する 95%信頼区間を、患者の全ての群・関連する subgroupで算出。●肺塞栓症である群・肺塞栓症でない群で baseline characteristicsを比べるため、カテゴリー変数で 2重検定、連続変数で Student's t-test。●オッズ比はロジスティック回帰で算出。●95%信頼区間、 P値は二項分布の正規近似により算出。

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RESULTS  patient(Fig.1)失神で入院した患者の肺塞栓症の精査。

560人が参加。

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RESULTS  patient

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RESULTS  prevalence of PE 高い検査前確率または D-dimer陽性の 230人のうち、●CT:72/180(40.0%)●換気血流シンチ :24/49(49.0%)●検死 :1/1 を肺塞栓症と診断した。  97/230(42.2%;95%CI,35.8 to 48.6)は肺塞栓症と診断。①肺塞栓症の有病率は 97/560=17.3%(95%CI,14.2 to 20.5)。

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RESULTS  thrombotic burden②thrombotic burden●CTで肺塞栓症を検出した 72人のうち、塞栓子の位置は、 30人 (41.7%)で肺動脈主幹部、 18人 (25.0%)で肺葉動脈、 19人 (26.4%)で区域動脈、 5人 (6.9%)で亜区域動脈。●換気血流シンチで検出した 24人のうち、陰影欠損は、4人 (16.7%)で両肺の 50%以上、 8人 (33.3%)で両肺の26~50%、 12人 (50.0%)で両肺の 1~25%。●検死した 1人で、両肺動脈主幹部に塞栓子があった。

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RESULTS  additional ovservation(Table2)患者の人口統計学的 ,臨床的な特徴。

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RESULTS  additional ovservation 以下の項目では、肺塞栓症である患者の方が、肺塞栓症でない患者より高い。●呼吸 (45.4% vs. 7.1% of the patients)●頻脈 (33.0% vs. 16.2%)●高血圧 (36.1% vs. 22.9%)●DVTの臨床的徴候または症状 (40.2% vs. 4.5%)●静脈血栓塞栓症の既往 (11.3% vs. 4.3%)●活動性がある癌 (19.6% vs. 9.9%)

 肺塞栓症と診断された 97人のうち、 24人(24.7%)は、頻呼吸、頻脈、高血圧、 DVTの臨床的徴候または症状がない。

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RESULTS  additional ovservation  560人のうち 355人 (63.4%)では、臨床的根拠より肺塞栓症以外の失神であると説明されていた。●臨床的根拠より肺塞栓症以外の失神であると説明された 355人の内 45人 (12.7%;95%CI,9.2 to 16.1)は肺塞栓症。●原因不明の失神である 560-355=205人の内 52人(25.4%;95%CI,19.4 to 31.3)は肺塞栓症。

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DISCUSSION●肺塞栓症は、初めての失神で入院した患者のほぼ 6人に 1人 (17.3%)で同定。意外に多い。 各施設で有病率は 15~20%で変わりない。●呼吸困難、頻脈、高血圧、 DVTの臨床的徴候または症状、活動性がある癌は、より肺塞栓症である可能性がある。●肺塞栓症以外の失神であると説明された患者の13%は肺塞栓症。●肺塞栓症の有病率は原因不明の失神で最多(25%)。

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DISCUSSION●血栓が静脈系に移動し肺循環系に止まると、心臓を通過する際不整脈を起こすかもしれない。それゆえ小さい血栓さえ失神の原因となり得る。

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LIMITATION●外来通院で治療した患者・入院を不必要と考えられた患者は、含まれていない。●失神は、医学的に訓練されていない居合わせた人が観察した病歴に基づく事が多いので、診断が難しい。●研究プロトコルでは、両脚に疼痛 ,腫脹がある患者で DVTを客観的に確認する方法を示されていないので、症状のある患者での DVTの合併率は分からない。

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LIMITATION●国際的なガイドラインに基づき失神を精査したが、具体的な精査は研究プロトコルに示されていない。 失神の肺塞栓症以外の原因の検索は担当医の裁量である。 それゆえ 205人の患者が原因不明の失神となったのかもしれない。●複数回の失神の既往、抗凝固療法の患者では、肺塞栓症の可能性が低いので、除外された。●研究目的ではないので、治療の決定、肺塞栓症の診断的アルゴリズムの完了後の follow-upに関する情報を収集していない。

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CONCLUSION●肺塞栓症は、初めての失神で入院した抗凝固療法を施行されていない患者で、ほぼ 6人に 1人(17.3%)で同定。●肺塞栓症の有病率は原因不明の失神で最多。