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7 第三次中津川市環境基本計画 2 章 環境に係る国・県の動向

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第三次中津川市環境基本計画

第 2章 環境に係る国・県の動向

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第三次中津川市環境基本計画

第 2章 第 1節 環境に係る国・県の動向

(1) 環境政策全般の動向

◆国の動向

世界的な温暖化、生物多様性の重要性の高まり、また、東日本大震災とそれにともなう福島第一原

子力発電所の事故の影響を受けて、平成 24年に策定された第4次環境基本計画では、環境行政の究

極目標である持続可能な社会を、「低炭素」、「循環」、「自然共生」の各分野を統合的に達成すること

に加え、「安全」がその基盤として確保される社会であるとして位置づけています。また、環境政策

の展開の方向としては、「地域をはじめ様々な場における多様な主体による行動と参画・協働の推進」

といった人づくりに資する政策に関しても言及がされています。

出典:第4次環境基本計画

◆岐阜県の動向

岐阜県の環境基本計画では、「新たな

世代へと守り育てる「清流の国ぎふ」

づくり」という基本理念の下に、

「環境に配慮する持続可能な仕

組みを創る」と、「豊かで美しい

環境を守り伝える人を育てるこ

と」という2つの基本目標が掲

げられています。そして、その下

に5つの基本方針が位置づけら

れています。

出典:第5次岐阜県環境基本計画

持続可能な社会とは

「安全」が確保されていることを前提

として、「低炭素」・「循環」・「自然共

生」の各分野が、各主体の参加の下

で、統合的に達成され、健全で恵み

豊かな環境が地球規模から身近な

地域にわたって保全される社会

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第三次中津川市環境基本計画

(2) 自然共生地域づくり

◆国の動向

国では、生物多様性条約及び生物多様性基本法に基づき、生物多様性の保全及び持続可能な利用に

関する基本的な計画として「生物多様性国家戦略 2012-2020」を定めています。この計画では長期

目標(2050 年)として、生物多様性の維持・回復と持続可能な利用を通じて、日本の生物多様性の

状態を現状以上に豊かなものとするとともに、生態系から提供される資源や利益を将来にわたって

享受できる自然共生社会を実現することを掲げ、また短期目標(2020 年)では生物多様性の損失を

止めるために、効果的かつ緊急な行動を実施することを求めています。この短期目標の達成にあたっ

ては、以下に示す 5つの基本戦略を定め、その取組みを進めています。

◆岐阜県の動向

岐阜県は、生物多様性基本法に基づく生物多様性の保全と持続可能な利用に関する地域戦略とし

て、『「岐阜県の生物多様性を考える」-生物多様性ぎふ戦略の構築-』を平成 23年7月に策定して

います。この計画では、生物多様性の確保のため、「森・川・海のつながりを守る」「いのちを活かし、

暮らしにつなぐ」「ともに考え続ける」の3つの視点が掲げられており、この3つの視点のもと 10年

後の目指すべき姿とそれを実現するための施策を示し、その取組みが進められています。

参考:「岐阜県の生物多様性を考える」-生物多様性ぎふ戦略の構築- <概要>

《森・川・海のつながりを守る》

連続する豊かな自然の姿を損ねることなく、

他県にもつながる岐阜県の生物多様性を

守る。

生物多様性ぎふ戦略の目標

《いのちを活かし、暮らしにつなぐ》

他の生物から人間の暮らしが受ける恩恵を

よく考え、賢く利用し、互いに損なうことなく、

生物多様性を守る。

《ともに考え続ける》

岐阜県民にとって「好ましい自然」とは何か

を、いつもみんなで考え続けることで、生物

多様性を守る。

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第三次中津川市環境基本計画

(3) 循環型地域づくり

◆国の動向

国は、廃棄物等の発生抑制、資源の循環的な利用及び適正な処分が確保されることによって、天然

資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される「循環型社会」の形成に向け、国、地方

公共団体、事業者及び国民が全体で総合的・計画的に進めるため「循環型社会形成推進基本計画」を

策定しています。

この計画では、中長期的な方向性として、「量だけではなく質にも着目した循環型社会の形成」、「循

環資源・バイオマス資源のエネルギー源への利用」「廃棄物の適正な処理」「環境教育等の推進と的確

な情報共有・普及啓発」などを定め、こうした循環型社会に至る方向性を各主体が共有し、相互に連

携・協働しながら、各主体の取組みが十分なされることにより、平成 42年頃までに自然界における

循環と経済社会における循環が調和する循環型社会の形成を目指すものとしています。

◆岐阜県の動向

岐阜県は、環境と共生する持続可能な循環型社会の形成を目指して、平成 24年3月に「第2次岐

阜県廃棄物処理計画」を策定しています。

この計画では、廃棄物を取り巻く諸課題の解決を図り、豊かな自然環境と快適な生活環境を将来世

代に引き継いでいくため、「循環型社会の形成」「生活環境の保全」「不適正処理対策の推進」の3つ

の基本方針を掲げ、県民、事業者及び行政が、それぞれの役割分担のもとで循環型社会の形成を目指

して取り組むべき基本的な考え方が示されています。

県内のごみ排出量は、近年は漸減傾向にあり、今後も人口の減少が予想されるため減少する見込み

であるものの、各主体が発生抑制に向けた取組みを積極的に進めるため、一般廃棄物の減量化の目標

として、平成 21年度実績から平成 28年度までに、廃棄物の排出量を5%削減、再生利用率を 25%

に引き上げ、最終処分量※1を 19%削減することとし、さらに平成 33年度までに、廃棄物の排出量を

10%削減、再生利用率を 26%に引き上げ、最終処分量の 32%削減が示されています。

図 県内ごみ総排出量及び1人1日あたりのごみ排出量の推移

参考:環境省一般廃棄物処理実態調査

※1 ここでいう最終処分量とは、廃棄物の埋め立て量のことです。

807 813 790 768 736 712 711 702 696

1048 10601027 1013

991960 959

932 928

1013

1070 10601041 1034

1055 1068 1058 1047

400

500

600

700

800

900

1000

1100

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

17 18 19 20 21 22 23 24 25

一人一日あたりごみ排出量(g)

ごみ総排出量(千

t)

年度

ごみ総排出量(岐阜県) 1人1日排出量(岐阜県) 1人1日排出量(中津川市)(参考 中津川市)

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第三次中津川市環境基本計画

(4) 低炭素地域づくり

◆国の動向

平成 27年 12月に開催された「COP21(第 21回国連気候変動枠組条約締結国会議)」において合

意されたパリ協定では、全体目標として「世界の平均気温上昇を2度未満に抑える」ことに向けて、

今世紀後半には、世界全体で人間活動による温室効果ガス排出量を実質的にゼロにしていく方向を

示しました。この達成のために、全ての国が排出量削減目標を提出し、その達成のための国内での対

策を行っていくことも義務づけされました。我が国においては、このパリ協定の中で 2030年までに

2012年比で 26%の温室効果ガスの削減目標を掲げています。

また、エネルギー基本計画に記載された方針に基づき、現実的かつバランスの取れたエネルギー需

給構造の将来像について検討する「資源エネルギー庁長期エネルギー需給見通し小委員会」では、温

室効果ガス排出量の大部分を占める発電部門において、徹底した節電の推進、再生可能エネルギーの

最大限の導入、火力発電の効率化等を進めつつ、原発依存度を可能な限り低減することを基本方針に

したうえで、2030年(平成 42年)の各電源の構成目標値を下記のように定めています。

表 2030年の日本の電源構成の内訳

電源 発電電力量(億 kwh) 構成比率(%)

石油 315 3

石炭 2,810 26

LNG(天然ガス) 2,845 27

原子力 2,317~2,168 22~20

再エネ 2,366~2,515 22~24

合計 10,650 100

出典:経済産業省「長期エネルギー需給見通し」より作成

◆岐阜県の動向

岐阜県は、地球温暖化対策への取組みとして「岐阜県地球温暖化対策実行計画」(区域施策編)を

策定し、長期目標として、温室効果ガスの排出を 2050年までに 1990年度比 80%削減すること、中

期の目標として、温室効果ガスの排出を 2020年までに 1990年度比 20%削減することを掲げていま

す。このうち中期目標を達成するために「次世代エネルギーの利用促進」「ライフスタイルを変える

ための動機付けとなる機会の提供」「事業者の事業活動の把握と地球温暖化対策の支援」「地域環境の

整備及び改善」「森林の整備と新たな環境価値の創出」という5つの取組み方針を掲げ、その取組み

を進めています。

また、県のエネルギー政策の方向性を示す「岐阜県次世代エネルギービジョン」は、平成 23年3

月の策定から5年を経過するため、平成 28年度から5年間を計画期間とする見直しを行っています。

この見直しでは、「本県の特性を活かした再生可能エネルギー導入」「地産地消エネルギーシステムの

構築」「次世代エネルギー・技術の使用定着を通じた省エネルギーの推進」を目指し、最終エネルギ

ー消費量に対する再エネの比率を平成 24 年の 3.0%から、平成 32 年で 2.3 倍の 6.8%、平成 42 年

で 3.2倍の 9.7%とする目標が掲げられる方針です。

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第三次中津川市環境基本計画

(5) 安全安心な環境づくり

◆国の動向

国の第4次環境基本計画では、国民の「安全・安心の確保」という視点の重要性を強調しています。

この計画では、人の健康や生態系に対するリスクが十分に低減されている状態を「安全」な状態と定

義し、この状態が前提となって、「低炭素」・「循環」・「自然共生」の各分野が統合的に達成され、健

全で恵み豊かな環境が保全されるとしています。

国の安全安心な環境づくりのための取組みとして、「水環境の保全」「大気環境の保全」「包括的な

化学物質対策の確立と推進」があげらています。

大気環境については、様々な施策により全体としては改善しつつありますが、光化学オキシダント

や微小粒子状物質(PM2.5)などについては全国的に環境基準を超える可能性が示唆されているとこ

ろであり、監視体制の整備と広域的な汚染の影響も踏まえた対策についても検討がされています。

水環境についても、汚染汚濁負荷の低減等を通じて保全を図る取組みが進められており、河川にお

いて水質環境基準の達成率は年々高くなっています。

また、多種多様な化学物質の中には、人の健康や環境への影響が懸念されるものがあり、人や生態

系に及ぼすリスクをできる限り低減する対策が進められています。

図 水環境の環境基準達成率の推移(BOD又は COD※1)

出典:平成 27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

◆岐阜県の動向

岐阜県は環境基本計画において、安全で健やかな生活環境で暮らすための施策として、生活に密接

した「水環境の保全」「大気環境の保全」などの良好な生活環境の保全と、美しい景観の保全・創出

をあげています。

水環境保全の取組みとして、水質常時監視と水質汚濁事故が発生した場合の調査、汚濁物質の回収

などを行い、大気環境保全の取組みとして、PM2.5 をはじめとする大気汚染物質の測定箇所を増や

すなどして状況の把握に努めるとともに環境基準の達成を目指すこととしています。

また、不適正処理への対応として、不法投棄等の早期発見、改善を図るため、パトロール等の監視

活動を実施するとともに、関係機関と連携した改善指導を実施することとしています。

※1 BOD・CODは河川や湖沼の水質汚濁度を測る一般的な指標です。

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(6) 環境保全に向けた人づくり

◆国の動向

平成 24年2月に策定された国の第 4次環境基本計画では、9つの優先的に取り組む重点分野の一

つとして、「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」が掲げられ、

具体的な施策として環境教育の推進を通じた地域づくりの担い手の育成と各主体間のネットワーク

の構築・強化があげられています。また、「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」

に基づき、「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本

的な方針」を決定し、持続可能な社会づくりに向けて様々な主体の自発的な活動を支援し、その基盤

となる環境教育等の推進に取り組んでいます。

さらに、環境省と文部科学省を中心に「持続可能な開発のための教育(ESD:Education for

Sustainable Development)」を推進し、「ESDの 10年」の最終年となる 2014年には、名古屋市及

び岡山市において ESD に関するユネスコ世界会議が開催されました。「ESD の 10 年」における日

本の取組みをまとめた「ジャパンレポート」では、2015 年以降の課題・展望として「日本のESD

の推進計画の再構築」「学校教育現場へのESDの更なる浸透」「社会教育現場/地域における更なる

ESDの推進」「国際的な枠組み構築への貢献」があげらています。今後、環境や平和等の ESDの対

象となる課題への取組みをベースにしつつ、環境・経済・社会の各側面から総合的に取り組むことが

求められています。

出典:文部科学省 HP ESDとは http://www.esd-jpnatcom.jp/about/index.html

◆岐阜県の動向

岐阜県環境基本計画では、2つの基本目標の一つとして「豊かで美しい環境を守り伝える人を育て

ること」が掲げられています。

平成 24年度から導入した「清流の国ぎふ森林・環境税」を財源として、様々な環境教育事業を展

開するとともに、県民協働により行われる河川清掃活動などの環境保全の取組みを支援し、自然環境

保全に対する意識の向上と将来につなぐ担い手づくりに取り組んでいます。

持続可能な開発のための教育(ESD)とは

一人一人が自然環境や資源の有限性、地

域の将来性など、様々な分野とのつながり

を認識し、持続可能な社会の実現に向けて

行動する人材を育成する教育のことです。

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黒沢川の梅花藻