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循環経済をめぐる欧州動向と今後の在り方

環境・エネルギー研究本部サステナビリティ戦略グループ新井 理恵

2016年8月3日

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目次

欧州におけるサーキュラー・エコノミー(循環経済) 3欧州における循環経済をめぐる動向 6日本における循環経済の在り方 12

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欧州におけるサーキュラー・エコノミー(循環経済)

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サーキュラー・エコノミー(循環経済)とは

欧州は「資源効率(RE)の高いEU」を成長戦略の一つに掲げ、実現政策としてサーキュラー・エコノミー(循環経済)を位置づけ。

2015年12月に欧州委員会が政策パッケージを発表。循環経済への移行を推進し、域内製造業の競争力強化、新産業の創出を志向。

これまでの環境負荷削減のための環境政策にとどまらず、経済政策の観点を入れ込んだ政策パッケージ。

サーキュラー・エコノミーの経済効果 欧州企業にとって6千億ユーロの節約効果 58万人の雇用創出 2030年までに4.5億トンのCO2排出量削減

経済の加速化・雇用創出環境フットプリントの削減

出典:欧州委員会資料”Factsheet: an ambitious EU circular economy package”

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欧州の循環経済パッケージの概要図

<政策>廃棄物関連指令(廃棄物・リサイクルに関する規制)、廃棄物処理施設への認証・規格の適用、二次原料の品質基準の開発・適用

<政策>エコデザイン指令(製品設計に関する規制)、BAT(Best Available Techniques)の参照文書(産業公害抑制規制)、環境コミュニケーション 等

新たなビジネスモデル創出 開発・投資の促進 複数指標によるモニタリング

消費

情報の信頼性確保

グリーン公共調達推進

生産プロセス

ベストプラクティス推進

再生資源

二次原料品質基準

化学物質管理への対応

廃棄物処理・管理

リサイクル目標向上

処理施設の任意認証

製品設計

エコデザイン推進

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欧州における循環経済をめぐる動向

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欧州の循環経済を巡るステークホルダー①

訪問先機関 組織の概要 訪問時期

政府

欧州委員会域内市場・産業・起業・中小企業総局(DG GROW)

EU域内市場の経済政策を管轄。Circular Economy Packageを担当。

2015/12

欧州委員会環境総局 (DG ENV) EU域内市場の環境政策を管轄。Circular Economy Packageを担当。

2015/12

業界団体

IMA-Europe (欧州鉱物工業会) EU域内の10の鉱物資源業界団体で構成されており、産業鉱物の代表団体。

2015/12

CECED (欧州家庭用機器製造業委員会) 欧州の家庭用機器産業を代表する団体。 2016/2

DIGITALEUROPE(欧州情報通信民生電子技術産業協会)

欧州のデジタル技術産業を代表する団体。

2016/2

EUROPEN (欧州包装容器環境協会) 欧州の容器包装バリューチェーンの業界団体。

2015/12

Eurochambre (欧州商工会議所団体) 欧州の商工会議所の業界団体。欧州の中小企業を代表する団体。

2015/12

2015年12月発表の循環経済パッケージに対して、欧州の各業界団体が意見を表明。

弊社は、平成27年度経済産業省委託業務にて、以下のステークホルダーを訪問し意見を聴取。

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訪問先機関 組織の概要 訪問時期

業界団体

BDE (ドイツ廃棄物・廃水処理・原材料連盟) ドイツの廃棄物処理業者・水処理業者の業界団体。欧州廃棄物管理・環境サービス連盟(FEAD)に加盟。

2016/2

FEBEM-FEGE(ベルギー環境事業連合) ベルギーの廃棄物処理業者の業界団体。欧州廃棄物管理・環境サービス連盟(FEAD)に加盟。

2015/12

EuRIC (欧州リサイクル産業連盟) 欧州鉄回収リサイクル連盟(EFR) ・欧州再生紙協会(ERPA)・欧州金属取引リサイクル連盟(EUROMETREC)が合同で2014年に設立した欧州のリサイクル業者の団体。

2015/12

BIR(国際リサイクル事務局) リサイクル事業者・団体の国際事務局。 2016/2

Eurometaux (欧州非鉄金属業協会) 欧州の12カ国の非鉄金属精錬業の団体。 2015/12

欧州の循環経済を巡るステークホルダー②

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循環経済パッケージをめぐる意見

新たなビジネス機会を生み出すはず

循環経済パッケージは資源効率の高いEUを達成するプログラム

リサイクル産業での雇用創出に期待

市場ベースのボランタリー施策を

コンセプトには合意

グローバルレベルで検討すべき

バリューチェーン全体をカバーしている点が評価されている。雇用創出効果は限定的だが、新たなビジネス機会と認識。産業界からは期待もあるが、懸念する声も多い。

製品設計への規制強化、化学物質規制との整合性に懸念・・

シェアリングエコノミーなど新たなビジネス機会を生み出すものだろう

産業界全般

動脈企業(素材・メーカー)

欧州委員会

バリューチェーン全体をカバーした内容となっている

産業間・企業間連携による自主的なアプローチを重視したい

実行性を確保してほしいもっとインセンティブが必要では?

※本スライドはヒアリング内容に基づいたものであり、各団体の公式見解ではありません。

静脈企業(廃棄物処理・リサイクル)

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生産↓

消費

「生産」・「消費」をめぐる意見

エネルギー製品設計の改善を推進・耐久性(Durability)・修理可能性(Reparability)・リサイクル性(Recyclability)

製品の希少資源と化学物質のトレーサビリティの確保策を検討せねば

バリューチェーンアプローチに期待!

修理可能性などの情報は購入インセンティブになるのでは

耐久性、修理可能性、リサイクル性などの規格化が要請されているが、非常に困難・・・

ステークホルダー間の対話が進む!

再生材の利用促進というが化学物質規制との整合は?消費者は受け入れるのか?

ステークホルダー間の対話の促進の観点から期待。製品設計規制を意図する欧州委員会と懸念を示すメーカー。

情報提供の方法や範囲も課題

正しく、かつ、消費者が理解できる環境情報の表示方法とは?

産業界全般

電気製品メーカー

欧州委員会

※本スライドはヒアリング内容に基づいたものであり、各団体の公式見解ではありません。

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再生材↑

廃棄物管理

「廃棄物管理」・「再生資源」をめぐる意見

再生材の活用を推進するために、「二次原料(Secondary RawMaterials)品質基準」をつくる!

適正な廃棄物管理と、リサイクル産業育成を目指す

リサイクル産業からの要請に対応・廃棄物規制の明確化・新しい目標を設定

再生材市場が活性化すればエコデザインも進むと期待

曖昧なリサイクル率の定義や、算出方法が明確化してきたが、実現できる?

埋立削減や新しいリサイクル率目標は事業の収益向上につながる!

リサイクル産業の活性化につながるという期待。欧州委員会の提案の実現可能性を疑問視する静脈企業。

「二次原料品質基準」というが。すべての素材・産業で必要?グローバル市場にも適用できる?資源化プロセス管理は大丈夫?

再生材の市場を創出するためには、インセンティブが必要

再生材における化学物質の対応は非常に難しい課題・・・

廃棄物処理リサイクル業界

リサイクル業界

リサイクル業界

欧州委員会

※本スライドはヒアリング内容に基づいたものであり、各団体の公式見解ではありません。

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日本における循環経済の在り方

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アジア各国での欧州の規制・制度

国際標準の取り込み

ISO規格

JIS規格

欧州の循環経済政策の日本への影響

欧州市場へのアクセス制限

メーカー製品設計への影響

EN規格

法規制や規格などによる、欧州域内市場へのアクセスの制限。

欧州規格の国際標準化による日本メーカーへの影響。

日本企業の国際展開の障壁。

日本企業の国際展開の障壁

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日本における「循環経済」を考える

日本で「循環経済」を考えると?

従来の資源循環・リサイクルの推進?

バリューチェーンを見直す機会

新しいビジネスを考える機会

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日本が「循環経済」に移行した姿

天然資源

環境

動脈

静脈

動脈

静脈

製品設計・生産

静脈資源供給 消費

廃棄物管理・リサイクル

①再生資源の利用促進天然資源依存からの脱却

②国際資源循環の適正化

⑤循環型社会と低炭素社会の実現

④動静脈連携による高付加価値化

③静脈産業の海外展開

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【バリューチェーン最適化】プラスチック循環

家電メーカー

成形加工素材加工(コンパウンド)

リサイクル 部品・最終メーカー排出・回収生産・販売

多様な製品に使用されているが、再生材としての利用が難しい ステークホルダー間のニーズ・シーズが整合しない 多様な排出・回収ルートがあり、集まる量が少ない

多数の小規模事業者が、カスタマイズ生産・販売多様な排出・回収ルート

品質:多様な排出源→ばらばら価格:回収・処理コストベース量:排出者に依存→安定しない

品質:強度+安定価格:安く量:一定ロットを安定的に

量・品質のミスマッチ

自動車メーカー

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【バリューチェーン最適化】プラスチック循環

家電メーカー

成形加工素材加工(コンパウンド)

リサイクル 部品・最終メーカー排出・回収生産・販売

バリューチェーン管理範囲の拡張、ステークホルダーの集約による横断的な回収・規模拡大によって、バリューチェーンの最適化(量・質・コスト)を実現

自動車メーカー

横断的な回収・規模拡大

バリューチェーン管理範囲拡張

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対象食品の発生量、内容をリアルタイムモニタリング

食材情報・調理メニュー情報を提供

【新しいビジネス】食べきり物流の構築

納品期限切れ等

製造過多等

販売期限切れ等

一元管理

農業/漁業 食品メーカー

卸売業 小売店

飲食店

消費者

わが国の事業系の食品ロスは約330万トン(H24年度)。⇒元々、いい素材で作ってい

るのにもったいない。

お酒が飲めれば、つまみは何でも

いい。

小腹空いたけど買いに行くのも作るのもの面倒。

安くて環境にいいなら!

オーダーストップだけどもう一品

食べたい。

食料を食べきる物流システム(=食べきり物流)を地域単位で構築。 食品量・内容を一元管理し、食材情報と調理メニューを発信。希望

する消費者に廉価で販売。飲食店では、来店客への販売が可能。

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日本における「循環経済」の在り方

「循環経済」の実現のために取り組む

バリューチェーン全体を見通して

効率的な経済社会を生み出す

新たな付加価値を生み出す

今こそ 動き出すチャンス!

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本資料に関するお問い合わせ先

株式会社 三菱総合研究所

環境・エネルギー研究本部 サステナビリティ戦略グループ

[担当] 新井 理恵 [email protected]

TEL : 03 - 6705 - 5423FAX : 03 - 5157 - 2146