燕市の地域経済循環分析 - kantei.go.jp · 燕市の高齢化率:25.0%...

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燕市の地域経済循環分析 燕市の地域経済循環分析 目次 1. 地域の概況 生産 . 生産 3. 分配 4. 消費 5. 投資 6. 結果の概要 詳細分析の概要 . 詳細分析の概要 8. 対策の検討 2 386

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燕市の地域経済循環分析燕市の地域経済循環分析

目次

1. 地域の概況

2 生産2. 生産

3. 分配

4. 消費

5. 投資

6. 結果の概要

7 詳細分析の概要7. 詳細分析の概要

8. 対策の検討

2386

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1 地域の概況1.地域の概況

(1) 歴史・自然条件

(2) 人口関連データ(2) 人口関連データ

(3) 就業関連データ

(4) 職住比

5

(1) 歴史・自然条件

分析の視点分析の視点

地域の歴史・自然条件は文献調査等により整理を行い、定性的に地域の特徴を記述する。

まちの成り立ちや産業構造の形成に影響した出来事等を記述する。

燕産業は、遠く江⼾時代の初期、農村の副業として始められた和釘の製造技術の導⼊に始まったといわれており、度重なる信濃川の⽔害で困っていた農村の情況を改善するために、江⼾より和釘職⼈が呼ば

地域の歴史

れ、和釘づくりが農家の副業として薦められ、燕地域に広まった。和釘の⼤部分は燕・三条の問屋を経由して江⼾に運ばれ、元和年間(1615〜1623)の江⼾地震・⼤⽕には災害復旧に⼤きく貢献したといわれている。当時の釘鍛冶職⼈は近郷をあわせ千⼈とまでいわれ 明治初期までは燕産業の約80%は和釘の⽣産で占当時の釘鍛冶職⼈は近郷をあわせ千⼈とまでいわれ、明治初期までは燕産業の約80%は和釘の⽣産で占められるに⾄り、福井県⼩浜市とともに東⻄の和釘の本場となった。⻑年の歴史で培われた技術は、現在も⾦属洋⾷器・⾦属ハウスウェアに確実に⽣かされ、世界に認められる産地となっている。良寛ゆかりの地でもあり、⽇本桜の名所100選の地⼤河津分⽔で⾏われる豪華絢爛な「おいらん道中」が有名である。

地域の気候・自然条件域

市域は、⻄部の国上⼭周辺を除いてほぼ平坦な地形となっている。平坦地には越後平野の⼀⾓をなす農地が広がっており、その中に燕地区・吉⽥地区・分⽔地区の各市街地や集落があり、中央部には県下有数の⼯業・物流団地が形成されている。市内 北陸⾃動⾞道 条燕イ タ ジ 上越新幹線燕 条 た⾼速交通機関が 主

6

市内には北陸⾃動⾞道三条燕インターチェンジと上越新幹線燕三条駅といった⾼速交通機関があり、主要国道116号、289号が整備され、JR越後線、弥彦線が交差するなど交通網が充実している。

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(2) 現在の人口規模と将来動向

分析の視点分析の視点

地域の消費や生産は、地域の人口に大きく影響を受けるため、現在及び将来の人口規模を把握する。

ここでは、まず夜間人口と昼間人口を比較し、通勤・通学者による流入・流出状況を把握する(下図①)。流入超過

昼間⼈⼝の⽅が夜間⼈⼝よりも多く 通勤者 通学者が地域 夜間⼈⼝は2000年以降減少し始め 2040年には対2010年⽐

の地域は、域外からの通勤者への所得の支払いを通じて雇用者所得が流出している可能性が高い。

また、将来の推計人口を含めて時系列で人口の推移を確認することで、将来の地域のすがたを把握する(下図②)。

②夜間人口の推移(2015年以降は推計値)

昼間⼈⼝の⽅が夜間⼈⼝よりも多く、通勤者・通学者が地域内に流⼊している拠点性が⾼い地域である。

夜間⼈⼝は2000年以降減少し始め、2040年には対2010年⽐で23.5%減少すると予測されている。

①夜間人口・昼間人口(H22)

70,000

80,000

90,000

(人)

82,419 81,876

70,000

80,000

90,000

(人)

-23.5%推計値

+0.7%

30,000

40,000

50,000

60,000

40,000

50,000

60,000

70,000

0

10,000

20,000

1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

0

10,000

20,000

30,000

0~14歳 15~64歳 65歳以上0

昼間人口 夜間人口

7

出所:総務省「平成22年国勢調査」より作成出所:総務省「平成22年国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人

口(平成25年3月推計)」より作成

(2) 現在と将来の年齢別の人口構成

分析の視点分析の視点

地域の住民が高齢化すれば、消費するモノやサービスが変化する。また所得の減少により消費が減少するため、従来の業態では商売が成り立たず地域の商店街の衰退等に繋がる可能性がある。

人 ピ ドから現在と将来 年齢別 人 構成を把握す

2010年では住⺠の約4.0⼈に1⼈が⾼齢者(65歳以上)である。⾼齢化率は全国平均よりも⾼い。

⾼齢化率がさらに上昇し、2040年には住⺠の約2.6⼈に1⼈が⾼齢者(65歳以上)となる。⾼齢化率は全国平均よりも⾼い。

ここでは、人口ピラミッドから現在と将来の年齢別の人口構成を把握する。

①人口ピラミッド(2010年) ②人口ピラミッド(2040年、推計値)

男 女 男 女全国(千人) 全国(千人)全国(千人) 全国(千人)

全国の高齢化率:23.0%燕市の高齢化率:25.0%

全国の高齢化率:36.1%燕市の高齢化率:38.0%

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000

燕市全国

6,000 4,000 2,000 0

65〜69歳70〜74歳75〜79歳80〜84歳85〜89歳90歳以上燕市

全国

0 2,000 4,000 6,000

燕市全国

6,000 4,000 2,000 0

65〜69歳70〜74歳75〜79歳80〜84歳85〜89歳90歳以上燕市

全国

30〜34歳35〜39歳40〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳60〜64歳65〜69歳

30〜34歳35〜39歳40〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳60〜64歳65〜69歳

0 1 000 2 000 3 0003 000 2 500 2 000 1 500 1 000 500 0

0〜4歳5〜9歳10〜14歳15〜19歳20〜24歳25〜29歳30 34歳

0 1 000 2 000 3 000 4 0003 500 3 000 2 500 2 000 1 500 1 000 500 0

0〜4歳5〜9歳10〜14歳15〜19歳20〜24歳25〜29歳30 34歳

0 1,000 2,000 3,0003,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 00 1,000 2,000 3,000 4,0003,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0

8

出所:総務省「平成22年国勢調査」より作成 出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」より作成

燕市(人) 燕市(人) 燕市(人) 燕市(人)

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(2) 人口の集積度合い

分析の視点分析の視点

人口密度が高い地域ほど人口が集積しており、経済活動も活発に行われていると考えられる。

ここでは、地域の人口密度を全国や県などの人口密度と比較し、人口の集積度合いを把握する。

燕市の夜間⼈⼝密度は⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼い⽔準である。

燕市の昼間⼈⼝密度は⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼い⽔準である。

1,055

1,200

1,055

1,200

①夜間人口密度(=夜間人口/可住地面積) ②昼間人口密度(=昼間人口/可住地面積)

792

624

800

1,000

可住

地面

積)(

人/

㎢)

787

624

800

1,000

可住

地面

積)(

人/

㎢)

530

400

600

人口

密度

(=昼

間人

口÷

530

400

600

人口

密度

(=夜

間人

口÷

0

200

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

昼間

0

200

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

夜間

(5万人以上 10万人未満)

※地方圏の平均

(5万人以上 10万人未満)

※地方圏の平均

9

出所:総務省「平成22年国勢調査」、「統計でみる市区町村のすがた2012」より作成 出所:総務省「平成22年国勢調査」、「統計でみる市区町村のすがた2012 」より作成

(2) 総人口の分布と変化

地域の人口が増えることで消費が増え、生産活動が増えることによって人口が増える等、経済活動と人口には密接な関係がある。

分析の視点

ここでは、地域で人口が集積しているエリアはどこか、人口の分布が大きく変化しているエリアはどこかを把握する。

鉄道沿線の平野部を中⼼とした⼈⼝集中地区に⼈⼝が分布している。

10年前と⽐較すると⼈⼝集中地区で⼈⼝が減少しているが、燕駅周辺では⼈⼝が増加している。

①総人口の分布(H22) ②総人口の分布の変化(=H22-H12)

10

出所:総務省統計局「平成22年国勢調査地域メッシュ統計」より作成 出所:総務省統計局「国勢調査地域メッシュ統計」より作成

390

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(2) 高齢者(65歳以上)人口の分布と変化

高齢者人口の分布を把握することで、高齢者の生活利便性を高める方策を検討することが可能になる。

ここでは、地域で高齢者人口が集積しているエリアはどこか、高齢者人口の分布が大きく変化しているエリアはどこか

分析の視点

、地域 高齢者人 集積 る リ 、高齢者人 分布 大きく変化 る リを把握する。

総⼈⼝と同様に鉄道沿線の平野部を中⼼とした⼈⼝集中地区に⾼齢者⼈⼝が分布している。

10年前と⽐較すると⼈⼝集中地区で⾼齢者⼈⼝が増加し、郊外で減少している。

①高齢者(65歳以上)人口の分布(H22) ②高齢者(65歳以上)人口の分布の変化(=H22-H12)

11出所:総務省統計局「平成22年国勢調査地域メッシュ統計」より作成 出所:総務省統計局「国勢調査地域メッシュ統計」より作成

(2) 生産年齢(15歳以上65歳未満)人口の分布と変化

分析の視点

生産年齢人口は、地域の生産及び消費に大きく影響する。

ここでは、地域で生産年齢人口が集積しているエリアはどこか、生産年齢人口が大きく変化しているエリアはどこかを把握する。

総⼈⼝と同様に鉄道沿線の平野部を中⼼とした⼈⼝集中地区に⽣産年齢⼈⼝が分布している。

10年前と⽐較すると⼈⼝集中地区で⽣産年齢⼈⼝が減少している。

①生産年齢(15歳以上65歳未満)人口の分布(H22)②生産年齢(15歳以上65歳未満)人口の分布の変化

(=H22-H12)

12出所:総務省統計局「平成22年国勢調査地域メッシュ統計」より作成 出所:総務省統計局「国勢調査地域メッシュ統計」より作成

391

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(3) 就業者の規模

分析 視点分析の視点

就業者は生産に従事するとともに、生産活動の対価として得た所得をもとに地域で消費を行うため、就業者の規模は地域の経済循環にとって重要な要素の1つである。

就業者数は近年減少傾向にある 第2次産業も第3次産業も従業者数が就業者数よりも多く 通勤者が地域内に流⼊して

ここでは、地域の就業者の規模を地域内の就業者(従業者)、地域住民の就業者(就業者)別に把握する(下図①)。

また、就業者数の近年の動向を産業別に把握する(下図②)。

①就業者数と従業者数 ②産業別就業者数の推移

就業者数は近年減少傾向にある。第2次産業も第3次産業も減少している。

従業者数が就業者数よりも多く、通勤者が地域内に流⼊している拠点性の⾼い地域である。

21 81635 000

40,000

45,000

50,000

(人)

45,073 42,592

35,000

40,000

45,000

50,000

(人)

+5.8%

21,81622,874

22,836

15 000

20,000

25,000

30,000

35,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

2,052 2,051 1,658

22,825 20,35718,098

0

5,000

10,000

15,000

2000 2005 2010

0

5,000

10,000

従業者数 就業者数(地域内の就業者数) (地域住⺠の就業者数)

第1次産業 第2次産業 第3次産業

13

注)従業者数は、従業地における就業者の数(域外からの通勤者を含む)である。就業者数は、常住地の住民の就業者の数(域外への通勤者を含む)である。

出所:総務省「平成22年国勢調査」より作成 出所:総務省「国勢調査」より作成

(地域内の就業者数) (地域住⺠の就業者数)

(3) 就業の集積度合い

分析の視点分析の視点

従業者の密度が高いほど、その地域では生産活動が活発に行われていると考えられる。

就業者の密度が高いほど、その地域では所得が高く消費が活発に行われていると考えられる。

燕市の従業者密度は⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼い⽔準である。

燕市の就業者密度は⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼い⽔準である。

ここでは、地域の従業者密度と就業者密度を全国や県などの密度と比較し、就業の集積度合いを把握する。

600 600

②就業者密度(=就業者数/可住地面積)①従業者密度(=従業者数/可住地面積)

409

491

400

500

住地

面積

)(人

/㎢

)

433

491

400

500

住地

面積

)(人

/㎢

)

258

295

200

300

者密

度(=

就業

者数

÷可

258 279

200

300

者密

度(=

従業

者数

÷可

0

100

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

就業

0

100

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

従業

( 以 未満)

※地方圏の平均

( 以 未満)

※地方圏の平均

14

注)従業者数は、従業地における就業者の数(域外からの通勤者を含む)を表す。出所:総務省「平成22年国勢調査」、 「統計でみる市区町村のすがた2012」より作成

注)就業者数は、常住地の住民の就業者の数(域外への通勤者を含む)を表す 。出所:総務省「平成22年国勢調査」、 「統計でみる市区町村のすがた2012」より作成

392

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(3) 従業者の分布と変化

従業者が多い地域は、地域内の事業所における生産活動が活発な地域であり、従業者が減少している場合、地域内の生産活動が低下している可能性がある。

分析の視点

ここでは、地域で従業者が集積しているエリアはどこか、従業者の分布が大きく変化しているエリアはどこかを把握する。

総⼈⼝と同様に鉄道沿線の平野部を中⼼とした⼈⼝集中地区に従業者が分布している。 10年前と⽐較すると⼈⼝集中地区で従業者が減少している。

①従業者の分布(H21) ②従業者の分布の変化(=H21-H13)

15出所:総務省統計局「国勢調査地域メッシュ統計」より作成

出所:総務省統計局「平成22年国勢調査地域メッシュ統計」より作成

(4) 夜間人口1人当たり就業者数(職住比)

分析の視点分析の視点

夜間人口1人当たり就業者数(職住比)が高い地域ほど、住民の幅広い年齢や性別を問わない労働参加があると考えられ、人口1人当たり雇用者所得の底上げにつながっている可能性がある。

ここでは 職住比を全国や県 同規模地域と比較し 地域住民の労働参加の状況を把握する

夜間⼈⼝1⼈当たり就業者数は全国や、県、⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼い⽔準であり、地域住⺠の労働参加が多い地域である。

夜間人口1人当たり就業者数(職住比)

ここでは、職住比を全国や県、同規模地域と比較し、地域住民の労働参加の状況を把握する。

0.520

0 4660.487 0 4730 50

0.60

住比

)

夜間人口1人当たり就業者数(職住比)

0.466 0.473

0.40

0.50

就業

者数

(職住

0.20

0.30

口1人

当た

り就

0.00

0.10

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

夜間

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

16出所:総務省統計局「平成22年国勢調査」より作成

393

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2.生産

(1)生産額関連データの分析

(2)域際収支データの分析(2)域際収支デ タの分析

(3)付加価値額関連データの分析

(4)雇用者所得の分析(4)雇用者所得の分析

(5)産業構造の分析

(6)1人当たり付加価値額の分析

17

生産に関する分析と企業会計(非製造業)との関係について

生産 す 析( ( ) ( ) ) 析す が 業会 (非製生産に関する分析( (1)~(4) )では、以下の項目について分析するが、それぞれ企業会計(非製造業)との関係は以下のとおりである。

(1)生産額 : 企業の売上(販売額)にあたる

(2)純移輸出 : 域外への売上(販売額)と域外からの購入額との差にあたる

(3)付加価値額 : 企業の粗利益(=売上-仕入額)にあたる(非製造業の場合)

(4)雇用者所得 : 企業が労働者に支払う人件費にあたる(4)雇用者所得 : 企業が労働者に支払う人件費にあたる

企業の売上と費用、利益の関係図

費用(仕入額)(1)生産額地域の中で規模の大き

(3)付加価値額地域で所得を稼いでい

売上粗利益

地域の中で規模の大きい産業は何か

地域で所得を稼いでいる産業は何か

(4)雇用者所得地域住民 生活を支え人件費

その他

地域住民の生活を支えている産業は何か

(2)純移輸出域外から所得を獲得している産業は何か

18

営業利益ている産業は何か

394

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(1)地域の中で規模の大きい産業は何か:売上

分析 視点分析の視点

生産額が大きい産業は、域内にとどまらず域外へも販売している可能性が高く、域外から所得を獲得できる地域にとって強みのある産業である。

燕市の産業で⽣産額が⼤きい産業は、第1位サービス業、第2位電 全国と⽐較して集積している産業は ⾦属製品 ⼀次⾦属 ⼀般

ここではまず、産業別生産額より、地域の中で規模の大きい産業が何かを把握する(下図①)。

また、修正特化係数を用いて、全国平均と比較して地域に集積している産業が何かを把握する(下図②)。

①産業別生産額構成比 ②産業別修正特化係数(生産額ベース)

気機械、第3位⾦属製品である。これらの構成⽐の合計は34.4%と⼤きく、本地域の「稼ぐ⼒」の⼤きなウェイトを占めている。

全国と⽐較して集積している産業は、⾦属製品、⼀次⾦属、⼀般機械、電気機械、パルプ・紙、その他の製造業である。

9.30

6 0

7.0

8.0

9.0

10.0

係数

サービス業

11.6%その他

サービス業

20.4%その他

24.3%

全国平均より低い産業

全国平均より高い産業

4.053.60 3.56

2.48

1 252.0

3.0

4.0

5.0

6.0

修正

特化

電気機械

11.5%

金属製品

11 2%建設業

その他の製造業

4.9%

そ 他

23.1%

卸売・小売業

10.6%食料品

4.2%

燕市域内⽣産額

6,012(億円)

1.250.95 0.85 0.84 0.84 0.78 0.73 0.73 0.64 0.57 0.48 0.47

0.15 0.03 0.02

0.0

1.0

2.0

金属

製品

一次

金属

一般

機械

電気

機械

パル

プ・紙

他の

製造

輸送

用機

建設

農林

水産

不動

産業

売・小

売業

公務

ス・水

道業

食料

サー

ビス

輸・通

信業

融・保

険業

・土石

製品

化学

繊維

・石炭

製品

鉱業

11.2%

一次金属

9.5%卸売・小売業

8.3%

不動産業

7.7%

一般機械

7.2%

4.9%

運輸・通信業

9.6%

不動産業輸送用機械

建設業

5.8%

公務

5.3%

金融・保険業

4.4%

1以上は全国平均より高い(集積している)産業を意味する

その

他 輸 農 卸売

電気

・ガ

運輸

金融

窯業

石油

不動産業

9.2%輸送用機械

6.3%

19注)外側の円グラフは全国の生産額の産業別構成比を表す

出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

(2)域外から所得を獲得している産業は何か:売上

分析の視点分析の視点

域内の経済循環の流れを太くするためには、地域が個性や強みを生かして生産・販売を行い、域外からの所得を獲得することが重要である。

純移輸出額がプラスとな ている産業は モノやサ ビスの購入に関して 域外への支払い額よりも域外からの受取

域外から所得を獲得し る産業は ⾦属製品 電気機械 般機械 次⾦属 そ 他 製造業 輸送⽤機械 プ 紙 農林⽔産

純移輸出額がプラスとなっている産業は、モノやサービスの購入に関して、域外への支払い額よりも域外からの受取り額の方が多く、域外から所得を獲得できる強みのある産業である。

ここでは、産業別純移輸出額を用いて、域外から所得を獲得している産業が何かを把握する。

552

産業別純移輸出額

域外から所得を獲得している産業は、⾦属製品、電気機械、⼀般機械、⼀次⾦属、その他の製造業、輸送⽤機械、パルプ・紙、農林⽔産業である。これらは域内での⽣産額が⼤きい産業であり、地域で強みのある産業といえる。

406

276

域外に所得が流出している産業

域外から所得を獲得している産業

60 57 47 42 7

-8 -24 -33 -34 -50 -57 -63 -76 -80 -103 -108 -173 -182

-312

20

出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

395

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(3)地域で所得を稼いでいる産業は何か:粗利益

分析の視点分析の視点

付加価値が地域住民の所得や地方税収の源泉となることから、付加価値の大きい産業は地域において中心的な産業と言える。

ここではまず 産業別付加価値額により 地域の中で所得を稼いでいる産業が何かを把握する(下図①)

燕市の産業で付加価値額(GRP)を最も⽣み出しているのはサービ

ここではまず、産業別付加価値額により、地域の中で所得を稼いでいる産業が何かを把握する(下図①)。

また、修正特化係数で見た産業の集積度は、全国と比較した相対的な値であり絶対的に集積していることを示しているわけではないため、修正特化係数で見た集積度の高い産業が地域で所得を稼いでいるかを把握する(下図②)。

①産業別付加価値額 ②産業別付加価値額の構成比

燕市の産業で付加価値額(GRP)を最も⽣み出しているのはサ ビス業であり、次いで不動産業、卸売・⼩売業である。上位3つの産業の割合は39.1%と⼤きく、本地域の「稼ぐ⼒」の⼤きなウェイトを占めている。

燕市では修正特化係数が⾼く、地域内に集積している産業が地域で所得を稼いでいある産業である。

10 5%

13.1%

11.4%

14.6%

成比

:修正特化係数が1未満の産業:修正特化係数が1以上の産業

サービス業その他

サービス業

23.1%

その他

16.9%

①産業別付加価値額 ②産業別付加価値額 構成

10.5%

4.9%5.7%

8.1%

4.7%

6.0%5.6%

業別

付加

価値

額の

構成14.6%

不動産業

13.1%

運輸・通信業

5 6%

一次金属

4.9%

その他

20.0%

建設業

5.0%

電気・ガス・水道業

3.0%

食料品

2.8%

燕市GRP3,060(億円)

1.2%

3.6%

1.9%1.4%

2.5%2.0%

2.6%

0.1% 0.1% 0.0%0%

製品

金属

機械

機械

プ・紙

造業

機械

設業

産業

産業

売業

公務

道業

料品

ス業

信業

険業

製品

化学

繊維

製品

鉱業

産業

卸売・小売業

11.4%

金属製品

10.5%電気機械

8.1%

公務

6.0%

一般機械

5.7%

5.6%

不動産業

13.9%

卸売 小売業

公務

7.0%

金融・保険業

5.0%

金属

一次

一般

電気

パル

その

他の

製造

輸送

用機

建設

農林

水産

不動

卸売

・小売 公

電気

・ガス

・水道

食料

サー

ビス

運輸

・通信

金融

・保険

窯業

・土石

製 化 繊

石油

・石炭

製 鉱卸売・小売業

13.3%運輸・通信業

10.1%

21注)外側の円グラフは全国の付加価値額の産業別構成比を表す

出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

(4)住民の生活を支えている産業は何か①:賃金・人件費

分析の視点分析の視点

地域で生み出された付加価値は雇用者所得とその他所得(=営業余剰(営業利益、利子、賃料等)+固定資本減耗+間接税)に分配され、雇用者所得が地域住民の生活を直接支えている。

ここでは 地域の雇用者所得を産業別に分析し 住民の生活を支えている産業は何かを把握する(下図①)

住⺠の⽣活を⽀える雇⽤者所得への寄与が⼤きい産業は、サービス業と卸売・⼩売業と⾦属製品である。これらの産業の割合は45 6%と⼤きく 本地域の「稼ぐ⼒」の⼤きなウ イトを占めて

燕市の産業別従業者1⼈当たりの雇⽤者所得は、⼈⼝同規模地域と⽐較すると第3次産業では⾼いが 第1次産業と第2次産業では低い

ここでは、地域の雇用者所得を産業別に分析し、住民の生活を支えている産業は何かを把握する(下図①)。

また、産業別従業者1人当たりの雇用者所得を全国や県と比較し、地域の雇用者所得の水準を把握する(下図②)。

5

①産業別雇用者所得 ②産業別従業者1人当たりの雇用者所得

45.6%と⼤きく、本地域の「稼ぐ⼒」の⼤きなウェイトを占めている。

⽐較すると第3次産業では⾼いが、第1次産業と第2次産業では低い⽔準である。

3.73 3.82

4.36 4.28

3.86 4.03

4.22

3.80

3.5

4

4.5

5

得(百

万円

/人

)

サービス業

18.8%

次金属

その他

14.4%

サービス業

30.1%その他の製造業

3 1%

電気機械

2.9%

その他

13.6%

1.5

2

2.5

3

1人

当た

り雇

用者

所得

卸売・小売業

15.6%運輸・通信業

6.2%

公務

6.1%

一次金属

5.4%

建設業

金融・保険業

4.3%

輸送用機械

3.2%

3.1%

燕市雇用者所得

1,647(億円)

0.33 0.44 0.34 0.38

0

0.5

1

第1次産業 第2次産業 第3次産業

従業

員1

金属製品

11.2%電気機械

8.9%

建設業

6.7%

一般機械

6.7%

卸売・小売業

16.3%

運輸・通信業

公務

8.2%

建設業

7.6%

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

10.7%

22

注)外側の円グラフは全国の雇用者所得の産業別構成比を表す

出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

396

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(4)住民の生活を支えている産業は何か②

分析の視点分析の視点

従業者数や就業者が多い産業は、地域の雇用を吸収している産業であり、住民の生活を支えている産業である。

ここでは、産業別従業者数を分析し、住民(域外の住民も含む)の生活を支えている産業を把握する(下図①)。

地域で最も多くの雇⽤を吸収している産業は、製造業であり、次いで卸売業・⼩売業、医療・福祉となっている。

地域住⺠の雇⽤を最も多く吸収している産業は、製造業であり、次いで卸売業・⼩売業、医療・福祉となっている。

また、産業別就業者数を分析し、地域住民の生活を支えている産業(域外の事業所も含む)を把握する (下図②)。

15,167 16,000 18,493

18 000

20,000

①産業別従業者数 ②産業別就業者数

7,928

8,000

10,000

12,000

14,000

就業

者数

(人)

7 94710,000

12,000

14,000

16,000

18,000

従業

者数

(人)

3,522

2,282 1,635 1,599 1,598 1,594 1,499 1,380 1,253

899 713 602 370 230 203 105 12 1

0

2,000

4,000

6,000

産業

別就7,947

3,557

2,046 1,766 1,704 1,536 1,455 1,451 1,251 1,107 754 716 653 283 173 98 74 9 0

0

2,000

4,000

6,000

8,000

産業

別従

0

製造

卸売

業・小

売業

医療

・福

建設

宿泊

業、

飲食

サー

ビス

農業

、林

運輸

業、

郵便

ス業

(他

に分

類さ

れな

いも

の)

分類

不能

の産

生活

関連

サー

ビス

業、

娯楽

教育

、学

習支

援業

(他

に分

類さ

れる

もの

を除

く)

金融

業、

保険

研究

、専

門・技

術サ

ービ

ス業

複合

サー

ビス

事業

情報

通信

不動

産業

、物

品賃

貸業

電気

・ガ

ス・水

道業

鉱業

、採

石業

、砂

利採

取業

漁業

0

製造

卸売

業・小

売業

医療

・福

建設

運輸

業、

郵便

ス業

(他

に分

類さ

れな

いも

の)

農業

、林

分類

不能

の産

宿泊

業、

飲食

サー

ビス

生活

関連

サー

ビス

業、

娯楽

教育

、学

習支

援業

務(他

に分

類さ

れる

もの

を除

く)

金融

業、

保険

研究

、専

門・技

術サ

ービ

ス業

複合

サー

ビス

事業

不動

産業

、物

品賃

貸業

電気

・ガ

ス・水

道業

情報

通信

鉱業

、採

石業

、砂

利採

取業

漁業

サー

ビス 生

公務

学術

サー

ビス 生

公務

学術

23

注)従業者数は、従業地における就業者の数(域外からの通勤者を含む)を表す。出所:総務省「平成22年国勢調査」より作成

注)就業者数は、常住地の住民の就業者の数(域外への通勤者を含む)を表す。出所:総務省「平成22年国勢調査」より作成

影響力係数と感応度係数について

地域の産業構造の分析では、地域の産業の影響力係数と感応度係数を確認する。

地域において影響力係数、感応度係数ともに高い産業は、地域内で原材料の調達先が多く、かつ地域内への販売先も多い産業であり、地域にとって核となる産業であると言える。域内 の販売先も多い産業であり、地域にとって核となる産業であると言える。

影響力と感応度の概念図

産業 i が生産したモノやサービスの販売先

産業A

産業B

産業C

産業D 産業

EA C E

産業i

産業 i が販売先から受ける影響

産業 i が調達先に与える影響力

産業i 感応度影響力

産業 が生産を行うため 原材料等 調達先

産業A 産業

産業C

産業D 産業

:販売先

:調達先

モノやサ ビス

24

産業 i が生産を行うための原材料等の調達先 :モノやサービス の販売の流れ

397

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(5)地域の産業構造について①

分析の視点分析の視点

消費や投資の増加によって他産業に大きな影響を与える産業は何か、また、逆に影響を受ける産業は何かを、影響力係数と感応度係数から把握する。

影響力係数 当該産業 消費や投資 増加が 全産業(調達先) 与 影響 強さを表す

影響力係数と感応度係数

影響力係数は、当該産業の消費や投資の増加が、全産業(調達先)に与える影響の強さを表す。

感応度係数は、全産業(販売先)の消費や投資の増加が、当該産業に及ぼす影響の強さを表す。

一次金属

1.8

2 第Ⅱ象限他産業へ与える影響力は小さいが、他産業から受ける感応度は大きい産業

商業 サ ビス業など他

影響⼒係数と感応度係数がともに⾼い産業は、地域にとって核となる産業である。

地域の核となる産業は、⼀次⾦属、⾦属製品、電気機械、パルプ・紙である。

農林水産業

鉱業

食料品

4繊維

卸売・小売業サービス業1.4

1.6

感応度

商業、サービス業など他産業部門へのサービス提供部門が含まれる。 第Ⅰ象限

他産業へ与える影響力が大きく、同時に他産業から受ける感応度も大きい産業

一般的には 基礎資材などの

パルプ・紙

化学

石油・石炭製品

窯業・土石製品

一次金属

繊維

農林水産業

鉱業

食料品

繊維

パルプ・紙

化学石油・石炭製品 窯業・土石製品

金属製品

一般機械

電気機械

輸送用機械

その他の製造業

建設業

電気・ガス・水道業

金融・保険業

不動産業

運輸・通信業

公務

1

1.2

度係数

一般的には、基礎資材などの原材料製造業部門がこれに該当し、鉄鋼、パルプ・紙・木製品、化学製品等が含まれる。

金属製品

一般機械

電気機械

輸送用機械

その他製造業

建設業 鉱業 繊維石油 石炭製品 公務

0.6

0.8

0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4

影響力係数

第Ⅲ象限他産業へ与える影響力と他産業から受ける感応度ともに小さい産業

般的には 農業 電

第Ⅳ象限他産業へ与える影響力が大きいが、他産業から受ける感応度は小さい産業

建設業

電気・ガス・水道業

卸売・小売業

金融・保険業

不動産業

運輸・通信業影響力係数一般的には、農業、電

力・ガスなどの独立型の産業部門が含まれる。

度は小さい産業

一般的には、自動車などの最終財の製造部門が含まれる。

25出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

運輸 通信業

公務

サービス業

(5)地域の産業構造について②

分析の視点分析の視点

地域の産業間や地域内外の取引構造を分析することで、地元への波及効果を把握する。

ここでは、消費や投資の増加によって直接間接的に生じる生産誘発額を把握する。

生産誘発額

各産業の消費や投資が100万円増加したときの市内への⽣産誘発効果(全産業合計値)は、⼀次⾦属、⼀般機械、⾦属製品等で⾼く、影響⼒係数が⼤きい産業ほど市内への波及効果が⾼い。

3.0

3.5

万円

)

生産誘発額

1 5

2.0

2.5

果(産

業計

)(百

0.5

1.0

1.5

生産

波及

効果

0.0

一次

金属

一般

機械

金属

製品

電気

機械

輸送

用機

パル

プ・紙

建設

食料

の他

の製

造業

窯業

・土石

製品

化学

金融

・保険

運輸

・通信

サー

ビス

卸売

・小売

農林

水産

繊維

気・ガ

ス・水

道業

公務

不動

産業

石油

・石炭

製品

鉱業

その 窯

電気 石

全域への波及効果 市内への波及効果

26

注)全域とは当該地域を含む全国を意味する。 出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

398

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(6)地域の産業の1人当たり付加価値額について①

分析の視点分析の視点

我が国の今後の労働力不足克服のためには、1人当たり付加価値額の向上が重要である。我が国の雇用の7割を担うサービス業の1人当たり付加価値額の向上は、長年指摘されており課題となっている。

従業者 付加価値額 全 較す 付加価値額 高 産業 産

全産業の労働⽣産性を⾒ると、全国、県、⼈⼝同規模地域のいずれと⽐較しても低い。産業別には、⼈⼝同規模地域と⽐較すると第1次産業と第3次産業では労働⽣産性は⾼い⽔準であるが 第2次産業では低い⽔準である

ここでは、従業者1人当たりの付加価値額を全国や県と比較することで、1人当たり付加価値額の高い産業、低い産業を把握する。

従業者1人当たり付加価値額(労働生産性)

と第1次産業と第3次産業では労働⽣産性は⾼い⽔準であるが、第2次産業では低い⽔準である。

6.16

7.68

6.79

7.61

8.61 8.10

6.63

8.14

7.34 7.81

7.52 7.16

7

8

9

10

額(百

万円

/人

2.77 2 12 2.34 2 12

3

4

5

6

人あ

たり

付加

価値

2.12 2.12

0

1

2

第1次産業 第2次産業 第3次産業 全産業

従業

者1人

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

27出所:「地域経済循環分析用データ」「国勢調査」より作成

(6)地域の産業の1人当たり付加価値額について②

分析の視点分析の視点

ここでは、人口同規模地域との比較を行っていく。

全22産業の従業者1人当たりの付加価値額を人口同規模地域と比較することで、1人当たり付加価値額の高い産業 低い産業を把握する

第1次産業については、農林⽔産業の1⼈当たり付加価値額は⼈⼝同規模地域と⽐較して⾼い。第2次産業については、⾷料品、電気機械、建設業が⼈⼝同規模地域と⽐較して⾼い。第3次産業については、電気・ガス・⽔道業、卸売・⼩売業、不動産業、運輸・通信業、公務が⼈⼝同規模地域と⽐較して⾼い。

業、低い産業を把握する。

74.8 224.2 23 6

25.6 55.8 57.1 96.5 30

人)

従業者1人当たり付加価値額(労働生産性)

11.3 15.1

10.1 6 7

10.6 9.1

23.6

16.1

9.4 9.5 9.1

16.5

6 69.8

7 3 7 4

12.3 7 9

16.3

10

15

20

25

価値

額(百

万円

/人

2.8 0.0 0.3

6.4 4.1

0.0 2.7 4.3 4.9 4.1 5.8 6.7

4.3 4.3 2.1 1.5

6.1 6.6 7.3 7.4 5.0 4.1

7.9 4.6

0

5

10

産業

鉱業

料品

繊維

プ・紙

化学

製品

製品

金属

製品

機械

機械

機械

造業

設業

道業

売業

険業

産業

信業

公務

ス業

業者

1人

あた

り付

加価

農林

水産 鉱

食料 繊

パル

石油

・石炭

窯業

・土石

一次

金属

一般

電気

輸送

用機

その

他の

製造

建設

電気

・ガス

・水道

卸売

・小

金融

・保

不動

運輸

・通信 公

サー

従業

燕市 人口同規模地域燕市 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

28

出所:「地域経済循環分析用データ」、総務省・経済産業省「平成21年経済センサス」より作成

399

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3 分配3.分配

析(1) 所得の流出入状況の分析

(2) 1人当たりの所得水準の分析(2) 1人当たりの所得水準の分析

(3) 所得の流出率

30400

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地域内所得と地域住民所得について

所得には雇用者所得とその他所得があり、これらの所得は、従業地ベースで捉えるか居住地ベースで捉えるかによって、それぞれ地域内所得と地域住民所得に区分される。

雇用者所得を例に、地域内雇用者所得と地域住民雇用者所得の概念を以下に示す。

 地域内雇用者所得  地域住民雇用者所得

どこに居住しているかは問わず、地域内に通勤をしている雇用者に対して支払われる雇用者所得

どこに通勤しているかは問わず、地域内に居住している雇用者に対して支払われる雇用者所得をしている雇用者に対して支払われる雇用者所得

を表す。ている雇用者に対して支払われる雇用者所得を表す。

域外 域外 域外 域外

通勤通勤

域内

通勤通勤

域内雇用者所得

雇用者所得

雇用者所得

通勤通勤通勤通勤

雇用者所得

雇用者所得

31

域外 域外 域外 域外

所得 所得

(1)地域住民に所得が分配されているか

分析 視点分析の視点

分配面の分析においては、まず、地域内の生産・販売で得た所得が地域住民の所得になっているか否かを把握する。

同様に 生産・販売で得た所得(利益等)が市内の企業の所得になっているか否かを把握する。

地域内で企業が⽣産・販売で得た雇⽤者所得の⽅が、地域住⺠が得る所得よりも97億円多く、地域外へ雇⽤者所得が流出している。

地域内で企業が⽣産・販売で得たその他所得(内部留保、配当等)の⽅が、地域住⺠が得るその他所得よりも192億円少なく、地域内へその他所得が流⼊している。

同様に、生産 販売で得た所得(利益等)が市内の企業の所得になっているか否かを把握する。

1 8001 800

②地域内その他所得と地域住民その他所得の比較①地域内雇用者所得と地域住民の雇用者所得の比較

地域外から192億円の流入地域外へ97億円の流出

(労働力の流入)

1,413

1,605

1 200

1,400

1,600

1,800

)

1,647 1,550

1 200

1,400

1,600

1,800

)

域 億 流(労働力の流入)

600

800

1,000

1,200

その

他所

得(億

600

800

1,000

1,200

雇用

者所

得(億

0

200

400

600 そ

0

200

400

600 雇

地域内所得

地域住民所得

地域内所得

地域住民所得

0

地域内その他所得 地域住民その他所得

0

地域内雇用者所得 地域住民雇用者所得

32出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

注) その他所得とは雇用者所得以外の所得であり、財産所得、企業所得、財政移転(交付税、補助金等)等が含まれる。

401

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(2)1人当たりの所得水準①:雇用者所得

分析の視点分析の視点

地域の雇用者所得の規模は、地域の従業者数、就業者数、夜間人口の規模に依存する。

ここでは、地域内の雇用者所得を従業者数で、地域住民の雇用者所得を就業者数で、さらに、地域住民の雇用者所得を夜間人口で除した1人当たりの所得水準を作成し 全国や県と比較してどの程度の所得水準であるかを把

従業者1⼈当たりの雇⽤者所得は⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼いが、全国、県と⽐較すると低い⽔準である

就業者1⼈当たりの雇⽤者所得は全国、県、⼈⼝同規模地域と⽐較して低い⽔準である。

所得を夜間人口で除した1人当たりの所得水準を作成し、全国や県と比較してどの程度の所得水準であるかを把握する(下図①、②、③)。

夜間⼈⼝1⼈当たりの雇⽤者所得は県、⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼いが、全国と⽐較すると低い⽔準である

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

夜間人口1人当たり雇用者所得(百万円/人)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 就業者1人当たり雇用者所得(百万円/人)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

従業者1人当たり雇用者所得(百万円/人)

①従業者1人当たり雇用者所得(従業地ベース) ②就業者1人当たり雇用者所得(居住地ベース)

い⽔準である。

③夜間人口1人当たり雇用者所得(居住地ベース)

低い⽔準である。

1.89 燕市3.64 燕市3.65 燕市

1.93 全国4.14 全国4.14 全国

1.83

1.77

新潟県

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満)

3.75

3.74

新潟県

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満)

3.75

3.64

新潟県

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満) 10万人未満)

※地方圏の平均

10万人未満)

※地方圏の平均

10万人未満)

※地方圏の平均

33

注) 雇用者所得は、地域内(域外からの通勤者を含む)の雇用者所得を表す。 注) 雇用者所得は、地域住民(域外への通勤者を含む)の雇用者所得を表す。

出所:「地域経済循環分析用データ」「国勢調査」より作成

注) 雇用者所得は、地域住民(域外への通勤者を含む)の雇用者所得を表す。

(2)1人当たりの所得水準②:その他所得

分析の視点分析の視点

その他所得には財政移転が含まれる。まず、地域住民のその他所得(居住地ベース)を夜間人口で除した1人当たりの所得水準を作成し、全国や県と比較してどの程度の所得水準であるかを把握する(下図①)。

そ 他所得(居住地ベ ) 占める財政移転 割合を全国 県 同規模地域 比較し 当該地域 財政移転

夜間⼈⼝1⼈当たりのその他所得は全国、⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼いが、県と⽐較すると低い⽔準である。

その他所得(居住地ベース)に占める財政移転の割合を全国、県、同規模地域で比較し、当該地域の財政移転の水準を把握する(下図②) 。

燕市は、その他所得(居住地ベース)に占める財政移転の割合が全国と⽐較すると⾼いが、県、⼈⼝同規模地域と⽐較すると低い⽔準である

0% 20% 40% 60% 80% 100%

その他所得(居住地ベース)に占める財政移転の割合(%)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

夜間人口1人当たりその他所得(百万円/人)

①夜間人口1人当たりのその他所得(居住地ベース)

す ⾼ 、県 較す 低 ⽔準 。

②その他所得(居住地ベース)に占める財政移転の割合

ある。

27.9%燕市1.96 燕市

16.0%

34 7%

全国

新潟県

1.84 全国

34.7%

29.9%

新潟県

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満)

※地方圏の平均

2.07

1.85

新潟県

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満) ※地方圏の平均10万人未満)

※地方圏の平均

34

注)その他所得は、地域住民のその他所得(どこから得たかは問わない)を表す。

出所:「地域経済循環分析用データ」「国勢調査」より作成

注)財政移転は政府の「支出-収入」であり、政府支出(G)と税金(T)との差額(G-T)により算出している。財政移転(G-T)がプラス(G>T)の地域は、他地域からの財政移転に依存している地域である。一方、財政移転(G-T)がマイナス(G<T)の地域は、他地域に財源を拠出している地域である。

注) その他所得とは雇用者所得以外の所得であり、財産所得、企業所得、財政移転(交付税、補助金等)等が含まれる。

402

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(2) 1人当たりの所得水準③:合計(=雇用者所得

分析の視点

+その他所得)

分析の視点

所得を雇用者所得とその他所得にわけずに、両者を合計した所得について、地域住民の所得になっているか否かを把握する(下図①)。

また 地域住民所得夜間人口で除した1人当たりの所得水準を作成し 全国や県と比較してどの程度の所得水準

地域内で企業が⽣産・販売で得た所得の⽅が、地域住⺠が得る所得よりも95億円少なく、地域外から所得が流⼊している

夜間⼈⼝1⼈当たり所得は、全国、⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼いが、県と⽐較すると低い⽔準である。

また、地域住民所得夜間人口で除した1人当たりの所得水準を作成し、全国や県と比較してどの程度の所得水準であるかを把握する(下図②)。

夜間人口1人当たり所得(百万円/人)

①地域内所得と地域住民所得の比較

億円少 、 域外 所得 流

②夜間人口1人当たり所得(居住地ベース)

県 較 低 準 。

3.85

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

燕市

夜間人口1人当たり所得(百万円/人)

3,060 3,155

3,000

3,500 域外から95億円の流入

3.77 全国

1,500

2,000

2,500

所得

(億円

)

3.90

3.62

新潟県

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満)

500

1,000

地域内所得

地域住民所得

10万人未満)

※地方圏の平均0 地域内所得 地域住民所得

35

注) 所得=雇用者所得+その他所得 注) 所得は、地域住民の所得(どこから得たかは問わない)を表す。

出所:「地域経済循環分析用データ」「国勢調査」より作成

(3)所得の流出率

分析 視点分析の視点

雇用者所得、その他所得の流出率を県や人口同規模地域と比較して、どの程度の流出率であるかを把握する。

雇用者所得の流出率

雇⽤者所得の流出率は6.2%である。県や⼈⼝同規模地域と⽐較すると最も⾼い⽔準である。

その他所得の流出率

その他所得の流出率は-12.0%である。県や⼈⼝同規模地域と⽐較すると最も⾼い⽔準である。

-2%

0%6.2%

6%

8%

雇用者所得の流出率 その他所得の流出率

流出

-8%

-6%

-4%

の流

出率

(%)

0.0%0%

2%

4%

の流

出率

(%)

流出

地域外に流出

-12.0%-14%

-12%

-10%

その

他所

得の

-6%

-4%

-2%

雇用

者所

得の

流入

流入

地域内に流入

-15.7%-15.0%

-18%

-16%

燕市 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

-8.0%-10%

-8%

6%

燕市 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

流入流入

流入

※地方圏の平均(5万人以上 10万人未満)

※地方圏の平均

36

注) 所得の流出率(%)=(地域内所得-地域住民所得)/地域住民所得×100 注) 所得の流出率(%)=(地域内所得-地域住民所得)/地域住民所得×100

流出率のマイナスは流入を意味する。 流出率のマイナスは流入を意味する。

出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

403

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4 消費4.消費

( ) 消費 流出 状況 分析(1) 消費の流出入状況の分析

(2) 1人当たりの消費水準の分析(2) 1人当たりの消費水準の分析

(3)小売業関連データの分析

37

地域内消費額と地域住民消費額について

消費額には地域内消費額と地域住民消費額の2種類の概念がある。

地域内消費額は当該地域内で消費された額を表し、誰が消費したかは問わない。

地域住民消費額は、地域住民の消費額でありどこで消費したかは問わない。

域内 域外地域住民が域内で消費

 地域内消費額 : 域外住民を含む当該地域内での消費額を表す

域外住民が域内で消費

地域住民が域内で消費

域外住民地域住民

域内 域外地域住民が域内で消費 通院

 地域住民消費額 : 域外での消費を含む当該地域住民の消費額を表す

地域住民が域外で消費

38

地域住民商業施設等での買い物 宿泊 など

404

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(1)住民の所得が域内で消費されているか

分析 視点分析の視点

消費面では、地域の住民の所得が地域内で消費されているかを把握する。

まず、地域内消費額と地域住民消費額を比較し、消費の流出・流入状況を把握する(下図①)。

地域内で消費される額が、地域の住⺠が消費する額よりも105億円多く、消費が流⼊している。

燕市の消費の流出率は-5.5%と流⼊している。消費の流⼊は県や⼈⼝同規模地域と⽐較すると最も⼤きい。

次に、消費の流出率を県や人口同規模地域と比較して、どの程度の流出水準であるかを把握する(下図②)。

2.1%3%1,901

1 7962,000

①消費の流入・流出 ②消費の流出率

円多く、消費が流⼊して る。 ⼝同規模地域 ⽐較する 最も⼤き 。

0%

1%

2%

%)

1,796

1,400

1,600

1,800 流出

地域内に

地域外に流出

-2.7%-3%

-2%

-1%

消費

の流

出率

(%600

800

1,000

1,200

消費

額(億

円)

地域内で消費は105億円の流入

流入

地域内に流入

-5.5%-6%

-5%

-4%

燕市 新潟県 人 同規模地域0

200

400

600

地域内消費額

地域住民消費額 流入

燕市 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

地域内消費額 地域住民消費額

39

注) 地域内消費額は、地域内の民間消費(誰が消費したかは問わない)を表す。地域住民消費額は、地域住民の民間消費(どこで消費したかは問わない)を表す。

注) 消費の流出率(%)=(地域住民消費額-地域内消費額)/地域内消費額×100流出率のマイナスは流入を意味する。

出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

(2)1人当たりの消費水準の分析

分析の視点分析の視点

地域の消費の規模は、地域の昼間人口や夜間人口の規模に依存する。

ここでは、地域内消費額を昼間人口で、地域住民消費額を夜間人口で除した1人当たりの消費水準を作成し、全や県と比較 ど 程度 消費水準 あ を把握す ( ① ②)

昼間⼈⼝1⼈当たりの消費額は、全国、県、⼈⼝同規模地域と⽐較すると最も⾼い⽔準である。

夜間⼈⼝1⼈当たりの消費額は、県、⼈⼝同規模地域と⽐較すると⾼いが、全国と⽐較すると低い⽔準である。

国や県と比較してどの程度の消費水準であるかを把握する(下図①、②)。

2.19 2.23 2.11 2 05

2.5 2.31 2.23 2.17 2.5

②夜間人口1人当たり消費額(居住地ベース)①昼間人口1人当たり消費額(従業地ベース)

2.05

1 5

2.0

百万

円/

人)

2.01

1 5

2.0

百万

円/

人)

1.0

1.5

人口

1人

当た

り消

費額

(百

1.0

1.5

人口

1人

当た

り消

費額

(百

0.5

夜間

0.5

昼間

0.0 燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

0.0 燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

40

注) 消費額は、地域内の民間消費(誰が消費したかは問わない)を表す。 注) 消費額は、地域住民の民間消費(どこで消費したかは問わない)を表す。

出所:「地域経済循環分析用データ」「国勢調査」より作成

405

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(3)小売業年間販売額の分布と変化

分析 視点

地域の消費額は、地域の小売業の販売額に直結している。

ここでは、地域で小売業の販売額が多いエリアはどこか、小売業の販売額の分布が大きく変化しているエリアはどこ

分析の視点

かを把握する。

鉄道沿線の平野部を中⼼とした⼈⼝集中地区に販売額が多いエリアが集中している

10年前と⽐較すると、鉄道沿線の平野部を中⼼とした⼈⼝集中地区の販売額が減少している

①小売業年間販売額の分布(H19) ②小売業年間販売額の分布の変化(=H19-H9)

アが集中している。 区の販売額が減少している。

41出所:経済産業省「商業統計メッシュデータ」より作成 出所:経済産業省「商業統計メッシュ

データ」より作成

(3)小売業売場面積の分布と変化

分析の視点

中心市街地と郊外商業集積への小売店の出店や撤退、地域の競合状況等を把握するため、小売業の売場面積の分布及び売場面積の増減を把握する。

地域 小売業 売場 積が大き ど か 小売業 売場 積 分布が大きく変化

分析の視点

ここでは、地域で小売業の売場面積が大きいエリアはどこか、小売業の売場面積の分布が大きく変化しているエリアはどこかを把握する。

鉄道沿線の平野部を中⼼とした⼈⼝集中地区に売場⾯積が多いエ 10年前と⽐較すると、鉄道沿線の平野部を中⼼とした⼈⼝集中地

①小売業売場面積の分布(H19) ②小売業売場面積の分布の変化(=H19-H9)

リアが集中している。 区周辺の売場⾯積が増加している。

42出所:経済産業省「商業統計メッシュデータ」より作成

出所:経済産業省「商業統計メッシュデータ」より作成

406

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5 投資5.投資

(1)地域内投資需要の分析

(2)1人当たりの投資水準の分析(2)1人当たりの投資水準の分析

43

地域内投資額と地域企業投資額について

投資額 は 地域内投資額と地域企等投資額 2種類 概念がある投資額には、地域内投資額と地域企等投資額の2種類の概念がある

地域内投資額は、新規に購入された当該地域内の固定資産の取得額を表し、どこの事業所・住民が取得したかは問わない。

地域内投資額 : 新規に購入された当該地域内の固定資産の取得額を表す

地域企業等投資額は、当該地域内の事業所・住民によって新規に購入された固定資産の取得額を表し、どこで取得したかは問わない。

域内 域外域内の事業所・住民が域内で購入

 地域内投資額 : 新規に購入された当該地域内の固定資産の取得額を表す

域外の事業所・住民が域内で購入

地域内の事業所・住民域外の事業所・住民

が域内で購入

域内 域外

 地域企業等投資額 : 当該地域内の事業所・住民が新規に購入した固定資産の取得額を表す

械パソコン域内の事業所・住民

域内の事業所・住民が域外で購入

機械 ソフトウェアが域内で購入

44

など建物地域内の事業所・住民

407

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(1)地域内に投資需要があるか

分析の視点分析の視点

投資面では、地域の企業への投資額(投資需要)と地域内企業等が投資した額を比較し、投資が地域から流出しているか否かを把握する。

投資 流 率 規模 域 較 程度 流 水準 あ 把握す ( ②)

地域内に投資される額が、地域内の企業が投資する額よりも87億円程度少なく、地域外に投資が流出している。

投資の流出率は27.2%である。投資の流出は県や⼈⼝同規模地域と⽐較すると最も⼤きい⽔準である。

また、投資の流出率を県や人口同規模地域と比較して、どの程度の流出水準であるかを把握する(下図②)。

27.2%30%

405 400

450

①地域内への投資需要と投資額 ②投資の流出率

流出

20%

25%

(%)

318

250

300

350

400

億円

)

地域外へ87億円の流出

流出

10.6%

14.8%

10%

15%

投資

の流

出率

(100

150

200

250

投資

額(億

地域外へ87億円の流出

地域内 地域企業流出

流出

0%

5%

0

50

100

地域内投資額 地域企業等投資額

地域内投資額

地域企業投資額

0%燕市 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

45

注) 投資額=民間投資+民間在庫品増加地域内投資額は、地域内の投資額(誰が投資したかは問わない)を表す。地域企業投資額は、地域内の企業・住民の投資額(どこに投資したかは問わない)を表す。投資額は年次による額の変動が大きい点に留意する必要がある。

注) 投資の流出率(%)=(地域企業等投資額-地域内投資額)/地域内投資額×100

流出率のマイナスは流入を意味する。

出所:「地域経済循環分析用データ」より作成

(2)1人当たりの投資水準

分析の視点分析の視点

投資が適正な水準であるかを把握するため、1人当たりの投資額を把握する。

まず、従業者1人当たりの地域内の投資額を全国や県と比較し、地域内の投資水準を把握する(下図①)。

地域内の投資⽔準は、全国、県、⼈⼝同規模地域と⽐較すると最も低い⽔準である。

地域住⺠の投資⽔準は、全国、県、⼈⼝同規模地域と⽐較すると最も低い⽔準である。

また、夜間人口1人当たりの地域企業の投資額を全国や県と比較し、地域住民の投資水準を把握する(下図②)。

0.7

1 231.4

①従業者1人当たり投資額(従業地ベース) ②夜間人口1人当たり投資額(居住地ベース)

と最も低い⽔準である。 ると最も低い⽔準である。

0.49

0.57 0.54

0.51 0.5

0.6

百万

円/

人)

1.23

1.01 0.99 1.0

1.2

百万

円/

人)

0 2

0.3

0.4

人口

1人

当た

り投

資額

(百

0.71

0 4

0.6

0.8

業者

1人

当た

り投

資額

(百

0.0

0.1

0.2

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

夜間

0.0

0.2

0.4

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

従業

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

46

注) 投資額=民間投資+民間在庫品増加投資額は、地域内の投資額(誰が投資したかは問わない)を表す。地域内の事業所が域外で生産設備を購入した場合は、地域内の投資額に含まれない。

注) 投資額=民間投資+民間在庫品増加投資額は、地域内の企業・住民の投資額(どこに投資したかは問わない)を表す。

出所:「地域経済循環分析用データ」「国勢調査」より作成

408

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6.結果の概要①夜間人口・昼間人口 ②就業者数と従業者数

45,073 42,592

35,000

40,000

45,000

50,000 (人)

82,419 81,876

60 000

70,000

80,000

90,000 (人)

① ② 数 数

5 000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

0

5,000

従業者数 就業者数0

10,000

昼間人口 夜間人口

③職住比 ④付加価値のシェア

サービス業

14.6%その他

20.0%

サービス業

23.1%

電気・ガス・水

食料品

2.8%

その他

16.9%

燕市

0.520

0.466 0.487 0.473

0.40

0.50

0.60

業者

数(職

住比

)

不動産業

13.1%

卸売・小売業

11.4%

金属製品電気機械

公務

6.0%

一般機械

5.7%

運輸・通信業

5.6%

一次金属

4.9%

不動産業

13.9%

公務

金融・保険業

5.0%

建設業

5.0%

道業

3.0%

燕市GRP3,060(億円)

0.10

0.20

0.30

間人

口1人

当た

り就

10.5%電気機械

8.1%

6 0%

卸売・小売業

13.3%運輸・通信業

10.1%

公務

7.0%

0.00 燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

夜間

47

注)外側の円グラフは全国の付加価値額の産業別構成比を表す

(1)生産:特化と生産性(燕市)

①修正特化係数注)(付加価値額ベース) ②産業別の純移輸出額552

406

276 300

400

500

600

円)

8.68

7.0

8.0

9.0

10.0

①修正特化係数注)(付加価値額ベース) ②産業別の純移輸出額

得意な(集積している)産業は、⾦属製品、⼀般機械、電気機械等である。

域外から稼いでいる産業は⾦属製品、⼀般機械、電気機械等である。

60 57 47 42 7

-8 -24 -33 -34 -50 -57 -63 -76 -80 -103 -108

173 182-200

-100

0

100

200

純移

輸出

額(億

2.86 2.49

2.12 1.76

1.42 1 13

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

修正

特化

係数

である。

-173 -182

-312 -400

-300

金属

製品

電気

機械

一般

機械

一次

金属

の他

の製

造業

輸送

用機

パル

プ・紙

農林

水産

繊維

鉱業

気・ガ

ス・水

道業

窯業

・土石

製品

建設

公務

食料

不動

産業

石油

・石炭

製品

金融

・保険

化学

卸売

・小売

運輸

・通信

サー

ビス

1.13 1.07 1.07 0.91 0.88 0.80 0.72 0.59 0.57 0.42 0.42 0.14 0.03 0.02 0.00 0.00

0.0

1.0

2.0

金属

製品

一般

機械

電気

機械

一次

金属

パル

プ・紙

不動

産業

公務

農林

水産

卸売

・小売

の他

の製

造業

・ガス

・水道

建設

サー

ビス

運輸

・通信

金融

・保険

輸送

用機

食料

窯業

・土石

製品

化学

繊維

石油

・石炭

製品

鉱業

一次金属2

8.61 9

10

人)

その

電気 窯 石そ

電気 窯 石

③影響力係数・感応度係数

農林水産業

鉱業

食料品

④産業別の労働生産性(付加価値/従業者数)

地域取引の核となっているのは ⼀次⾦属 ⾦属製

卸売・小売業

サービス業1.4

1.6

1.8

感応度

6.16

7.68

6.79

7.61 8.10

6.63

8.14

7.34 7.81

7.52 7.16

5

6

7

8

9

付加

価値

額(百

万円

/人食料品

パルプ・紙

化学

石油・石炭製品

窯業・土石製品

一次金属

金属製品

一般機械

4繊維のは、⼀次⾦属、⾦属製品、電気機械、パルプ・紙等である。

農林水産業

鉱業

食料品

繊維

パルプ・紙

化学

石油・石炭製品 窯業・土石製品

金属製品一般機械

電気機械

輸送用機械

その他の製造業

建設業

電気・ガス・水道業金融・保険業

不動産業

運輸・通信業

公務

0.8

1

1.2

度係数 2.77

2.12 2.34 2.12

0

1

2

3

4

従業

者1人

あた

り付電気機械

輸送用機械

その他製造業

建設業

電気・ガス・水道業

卸売・小売業

金融・保険業

不動産業

運輸・通信業

影響⼒係数と感応度係数がともに⾼い産業は、地域にとって核となる産

全ての産業の⽣産性が全国平均、県平均、同規模地域平均と⽐較してかなり低く、全体の稼ぐ⼒も低い

0.60.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4

影響力係数

第1次産業 第2次産業 第3次産業 全産業

燕市 全国 新潟県 人口同規模地域

(5万人以上~10万人未満)

※地方圏の平均

48注)地域の付加価値額の産業別構成比を全国の構成比で除した特化係数について、全国の産業別の輸出入をもとに調整したもの

公務

サービス業

とって核となる産業である。

409

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(2)分配:住民1人当たり所得(燕市)

③夜間人口1人当たり所得

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

夜間人口1人当たり所得(百万円/人)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

夜間人口1人当たりその他所得(百万円/人)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

夜間人口1人当たり雇用者所得(百万円/人)

①夜間人口1人当たり雇用者所得 ②夜間人口1人当たりその他所得③夜間人口1人当たり所得

(=雇用者所得+その他所得)

3.85 燕市1.96 燕市1.89 燕市

雇⽤者所得の⽔準は全国より低 総所得の⽔準は全国や同規模地

3.77 全国1.84 全国1.93 全国

雇⽤者所得の⽔準は全国より低いが、県、同規模地域平均よりも⾼い

その他所得の⽔準は全国より⾼いが、県、同規模地域平均よりも低い

総所得の⽔準は全国や同規模地域平均より⾼いが、県平均よりも低い

3.90 新潟県2.07 新潟県1.83 新潟県

3.62

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満)

※地方圏の平均

1.85

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満)

※地方圏の平均

1.77

人口同規模地域

(5万人以上~

10万人未満)

※地方圏の平均

49

注1)雇用者所得は、地域内の生産活動によって生み出された付加価値のうち、労働を提供した雇用者への分配額である。

注2)その他所得とは雇用者所得以外の所得であり、財産所得、企業所得、財政移転(交付税、補助金等)等が含まれる。

(3)地域の所得循環構造(燕市)地域住⺠所得の3.0%が市外からの流

付加価値(GRP)=3,060億円 95億円流入

⼊である。

従業者一人当たり付加価値第1次産業 277万円第2次産業 616万円第3次産業 768万円全産業 679万円

地域内所得3,060億円

地域住民所得3 155億円

地域内雇用者所得1,647億円

97億円流出 192億円流入

地域内その他所得1,413億円

3,155億円

地域住民雇用者所得1,550億円

地域住民その他所得1,605億円

財政移転割合27.9%

その他所得の流⼊のうち、財政移転は448億円程度である。財産所得、企業所得等の流出が256億円程度あるため、190億円の流⼊となる。⽇常の買物によって

消費が流⼊設備投資が流出しており、製造業の⽣産性向上に寄

95億円流出

地域内支出3,060億円 87億円流出105億円流入 114億円流出

消費が流⼊ 製造業の⽣産性向上に寄与していない

地域住民支出3,155億円

地域内消費1,901億円

地域住民消費

地域内投資318億円

地域企業投資

地域内その他支出841億円

地域住民その他支出

50

地域住民消費1,796億円

地域企業投資405億円

地域住民その他支出955億円

410

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1

7.詳細分析の概要

(1)総括

地場産業である金属加工で有名な燕市は第 2 次産業を中心に所得を稼いでいるが、規模が小

さい事業所が多いため、全産業の生産性が全国平均を下回り、結果的に雇用者所得も全国平均

よりやや低い水準となっている。

分配段階では財政移転により地域住民の雇用者所得は全国平均を上回るが、同時に域外から

の通勤と本社への所得移転により域外にも多くの所得が流出している。

支出段階では、5,000 ㎡以上の商業施設が4店舗立地しているため、域外に分配された所得を

域内消費で回収できている。その一方で、第 2 次産業が集積しているにも関わらず生産性が低い

ため、投資が域外に流出しており、第 2次産業の労働生産性の向上に繋がっていない可能性があ

る。

(2)生産面

①産業間の取引構造:一部の製造業がサプライチェーンを形成

純移輸出額プラス産業である金属製品、電気機械、一般機械はそれぞれ一次金属から調

達する額が燕市の生産額の 0.5%を超えており、川上から川下を結ぶサプライチェーンを形成

している。

農林水産業は地域内の食料品にも財・サービスを販売しており、更に食料品はサービス業

に財・サービスを販売しており、地域内で6次産業のサプライチェーンが形成されていると考え

られる。

411

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2

図 7-1 産業間取引構造(燕市)

②産業構造:金属関連産業を中心とする第 2次産業に特化した地域

燕市の産業部門別の付加価値額割合は、第 1 次産業 1.9%、第 2 次産業 23.3%、第 3 次

産業 74.8%であり、第 2次産業ウェイトが全国平均と比較すると高い。

金属製品、一次金属、電気機械、一般機械等が得意かつ外から稼ぐ産業であり、地域の取

引の核となっており、金属関連産業が中心となって地域経済を牽引している地域である。

③第1次産業:豊富な森林資源を活かした林業が盛ん

燕市の第1次産業の労働生産性は 2.77 百万円/人と全国と比較して高く、農業の付加価値

額の割合が 99.9%とほとんどを占めていることから、燕市の第 1次産業は農業が支えていると

言える。

農業の内訳を見ると、稲作が占めるウェイトが販売額、経営体数ともに高く、燕市産の厳選

されたコシヒカリは「飛燕舞」として名付けられ、品質・食味に優れたブランド米として高い評価

サービス業卸売・小売業

不動産業

建設業

輸送用機械

電気・ガス・水道業

その他の製造業

繊維

パルプ・紙

化学

一次金属農林水産業

窯業・土石製品

金属製品

一般機械

食料品

電気機械

運輸・通信業

公務

金融・保険業

70.0 50.046.5

29.7

26.6

12.3

29.5

0.0

10.1

0.6

56.86.8

0.5

67.4

43.3

18.1

69.3

27.7

23.3

12.6

単位:10億円

純移輸出額がプラスの産業(数値及び円の大きさは当該産業の地域内生産額)

純移輸出額がマイナスの産業(数値及び円の大きさは当該産業の地域内生産額)

当該産業(矢印始点)が他の産業(矢印終点)に販売した財・サービスの総額が地域

内総生産額の0.5%以上を占める取引

当該産業(矢印始点)が他の産業(矢印終点)に販売した財・サービスの総額が地域

内総生産額の0.5%以上を占める、かつ当該産業の地域総生産の30%以上を占める

川下産業

川中産業

川上産業

412

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3

を得ている。

④第2次産業:地場産業である金属製造業や一次金属のウェイトが高いが事業所規

模が小さいため生産性は低い

地場産業である金属加工が有名な燕市の第2次産業は、金属製品の付加価値額割合が

24.5%と最も高く、全国平均と比較しても高い割合である。しかし、従業者の割合が高い金属

製品、一般機械の労働生産性が低いため、第2次産業全体の労働生産性は全国の水準より

やや低くなっている。

出所:地域経済循環 DB より作成。

図 7-2 第2次産業における産業別付加価値額割合(燕市、全国)

出所:地域経済循環 DB より作成。

図 7-3 第2次産業の労働生産性(燕市、全国)

0.0%

4.6%

0.0%

2.8%

0.2% 0.0% 0.2%

11.6%

24.5%

13.4%

18.9%

4.6%

8.4%

10.9%

0.4%

11.8%

0.6%1.7%

8.3%

3.5% 2.5%

5.5%4.1%

8.6%10.2% 10.8% 10.9%

21.1%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

鉱業

食料品

繊維

パルプ・紙

化学

石油・石炭製品

窯業・土石製品

一次金属

金属製品

一般機械

電気機械

輸送用機械

その他の製造業

建設業

第2次産業における産業別付加価値シェア

燕市 全国

0.0

11.3

0.3

6.4 4.1

0.0

2.7

15.1

4.3 4.9

10.1

4.1 5.8 6.7

18.1

9.0

1.2

8.0

18.9

8.5

15.5

5.7 6.9

9.6 8.6 7.0

5.1

0

5

10

15

20

25

30

35

40

鉱業

食料品

繊維

パルプ・紙

化学

石油・石炭製品

窯業・土石製品

一次金属

金属製品

一般機械

電気機械

輸送用機械

その他の製造業

建設業

従業者1人あたり付加価値額

(百万円/人)

燕市 全国

112.6

413

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4

i)金属製品

江戸時代初期の和釘づくりを起源とする燕の金属製品は、包丁の製造販売で有名な藤次

郎株式会社等が所在し、金属被覆・彫刻業,熱処理業、金属素形材製品製造業、洋食器・刃

物・手道具・金物類製造業が大きなウェイトを占めている。

しかしながら、これらの産業の全国平均の労働生産性は金属製品製造業の中で相対的に

低く、事業所の規模も全国平均と比較して小さいため、第 2 次産業全体の生産性を押し下げ

ている可能性がある。

ii)一次金属

燕市には、金属製品に生産財を供給する一次金属が集積しており、その他の鉄鋼業、製

鋼・製鋼圧延業等が大きなウェイトを占めている。

しかしながら、これらの産業の全国平均の労働生産性は一次金属の中では平均的な水準

だが、市内事業所の規模が全国平均と比較して小さく、従業者の割合も金属製品と比較する

と少ないため、第 2次産業全体の生産性を押し下げている可能性がある。

iii)電気機械

電気機械では、パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 新潟工場等が立地しており、

民生用電気機械器具製造業が事業所数、従業者数で大きなウェイトを占めている。その他に

電球・電気照明器具製造業、電子計算機・同附属装置製造業、ユニット部品製造業が、事業

所数、従業者数で大きなウェイトを占めている。

しかしながら、これらの産業の全国平均の労働生産性は電気機械の中では高くはないため、

第 2次産業全体の生産性を押し下げている可能性がある。

⑤第3次産業:建築材料,鉱物・金属材料等卸売業の付加価値割合が全国より高い

燕市の第 3 次産業の労働生産性は全国平均や県平均より低く、人口同規模地域よりやや

高い水準である。第 3次産業に占める産業別付加価値額割合では、不動産業と卸売・小売業

が占める割合が全国と比較して高くなっている。

414

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5

出所:地域経済循環データベース

図 7-4 第3次産業の産業別付加価値額割合(燕市、全国)

出所:地域経済循環データベース

図 7-5 第3次産業における労働生産性(燕市、全国)

i)卸売・小売業

卸売・小売業で大きなウェイトを占めているのは、飲食料品小売業とその他小売業等の小

売業である。小売業の労働生産性は卸売業と比較して相対的に低いため、小売業のウェイト

の大きさが、燕市における卸売・小売業の労働生産性を低めていると考えられる。

その一方で、全国の従業者割合と比較すると、金属加工が盛んな燕市では、燕地区には

県下有数の物流団地が整備されており、建築材料,鉱物・金属材料等卸売業の割合が全国

と比較して高く、同産業の全国平均の生産性は 9.1百万円/人と高い水準にある。

従って、第 3 次産業全体の生産性は小売のウェイトが高いにも関わらず、人口同規模地域

よりは高い水準となっている。

ii)不動産業

燕市の持ち家率及び戸建て率を全国や首都圏内の人口同規模地域と比較すると、持ち家

4.4%

20.5%

4.6%

23.5%

10.1% 10.8%

26.1%

4.0%

17.6%

6.6%

18.2%13.4%

9.3%

30.9%

0%5%

10%15%20%25%30%35%40%

電気・ガス・水道業

卸売・小売業

金融・保険業

不動産業

運輸・通信業

公務

サービス業

第3次産業における

産業別付加価値額割合

燕市 全国

74.8

4.3 10.6

224.2

9.1 23.6

4.3

48.2

6.1 14.8

55.1

9.4 15.8 5.3

0

50

100

150

200

250

電気・ガス・水道業

卸売・小売業

金融・保険業

不動産業

運輸・通信業

公務

サービス業

従業者1人当たり付加価値額

(百万円/人)

燕市 全国

415

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6

率、戸建て率ともに相対的に高い水準にある。従って、燕市の不動産業における帰属家賃分

が、燕市の不動産業の付加価値額割合の高さに寄与していると言える。

(3)分配面:就業地として機能しているが民間所得は流出

①雇用者所得

市内産業の労働生産性はやや低く、一部の就業者は市外から通勤しているため、雇用者所

得は域外に流出している。

雇用者所得は通勤者1人あたり約 390万円流入しており、これは就業者一人当たりの雇用者

所得 364 万円/人を上回っている。すなわち、域外からの通勤者が燕市に居住する就業者が

受け取る以上の所得を持ち帰っていると言える。

②その他所得

その他所得は、財政移転による 448億円の流入があるものの、財政移転率は県平均よりかな

り低い。また、民間の所得移転による流出額が 256億円と非常に大きく、これはイオン県中央店、

ケーズデンキ燕三条店等、市内に立地している大手資本の支店から本店への送金等の金額

が大きいためである。

上記①②より、燕市の夜間人口一人当たり所得は生産性の低さに起因する雇用者所得の低

さ、及び民間所得の移転によって、県平均よりやや低い水準となっている。

(4)支出面:大型商業施設が買物客を呼び込み民間消費は流入

①日常の消費

燕市内には燕市内には、イオン県中央店の他、売場面積が 5,000㎡を超える大型小売店舗

が計4店舗立地し、周辺市町村から日常の消費を呼び込んでいる。

②非日常の消費

燕市は新潟県内の他市と比較して夜間人口当たりの観光入込客数がかなり少ない。また、

観光客の消費を喚起する名所や名産品、宿泊施設も不足しているため、非日常の消費が流入

しているとは言い難い状況である。

上記①②より、市の民間消費は 105億円流入している。

③投資

燕市の民間投資は87億円流出している。燕市は第2次産業に特化しているにも関わらず、

域外から設備投資を呼び込めていない。その結果、第 2 次産業の生産性が伸び悩んでいる

状態である。

416

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7

8.対策の検討

(1)対策検討の方針・考え方

地域経済循環分析に基づく経済対策の考え方は、「長所を活かし、短所を補う」ものである。す

なわち、地域の短所を局所的に改善するのではなく、長所を活かすことによって、短所(所得循環

のボトルネック)を連鎖的に補う施策を検討する。

さらに、経済の生産・分配・支出の 3面のうち、短所のない場合には、長所をさらに引き上げるこ

とによって全体の労働生産性、最終的には地域住民の所得向上につなげていく。

このような対策検討の方針者と、これまでの分析に基づき、燕市の経済対策の方向性(案)は

以下のとおりである。

(2)燕市の具体的な経済対策の方向性(案)

1)長所

地場の金属関連産業を中心とした第 2 次産業が域外から所得を稼いでいる。産業間の取

引も盛んで、金属関連産業を頂点とするサプライチェーンを形成できている。

農林水産業から食料品を経由してサービス業に財・サービスを販売しており、地域内で6次

産業のサプライチェーンが形成されていると考えられる。

2)短所

生産面では、中小規模の事業所が多いためか生産性が低く、集積のメリットを活かせてい

ない。結果的に投資も域外に流出しており、第 2 次産業が成長しにくい循環構造となってい

る。

分配面では、市外から通勤している従業者が市内就業者の所得水準を上回る給料を持ち

帰っており、所得水準が低下する一因となっている。

支出面では、日常の買物需要は地域の小売店で賄えているが、夜間人口当たりの観光入

込客数がかなり少ない等、非日常の観光消費を呼び込めていない。

3)対策の方向性

燕市の長所である金属関連産業の集積を活かしつつ、域外販路の開拓支援、観光振興に

よる観光客の呼び込みを通じて、域外から所得を稼ぐ仕組みを強化する。

417

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8

①金属関連産業の多角化・販路開拓支援

地場の金属関連産業の集積は強みと言える一方で、伝統的な産業分野では、生活スタイ

ルの変化から需要の減少が見られ、新たな連携や取り組みの検討が必要となっている。

技術やノウハウの蓄積があるが、市外の大企業の 2次・3次サプライヤーとして機能している

中小企業の連携と新たな技術開発・製品開発を支援し、燕市全体として事業多角化を後押し

していくことが考えられる。

また、燕三条地場産業振興センターの海外共同事務所及び現地活動員を活用して、市内

企業の海外でのビジネスチャンスの拡大を支援することも有効と考えられる。

②産業観光の振興

燕市の歴史のある金属産業の集積を活かし、産業観光を観光の目玉として創出して観光

客数の増加を図る。

併せて、地元資本による高付加価値な土産物や、宿泊施設などを興すことにより、食料品

製造等の他の 2次産業、宿泊、卸売・小売りなどの 3次産業などの他産業に投資需要が創出

されることが考えられる。

このように、新たな観光振興策を講じるとともに、観光で得た所得を地域内でうまく循環させ

る仕組みを同時に構築していくことが重要である。

③まちなか居住による域内消費促進と第 3次産業の労働生産性向上

市外から通勤している従業者を中心に、まちなか居住を推進して域内の消費を促進すると

共に、労働集約型サービス業の労働生産性の向上を目指すことで、消費流出を抑制すると同

時に全体の労働生産性や住民所得を向上させる。

そのためには、「燕市空家等対策計画」で挙げられているように、空き家の市場への流通を

促進してまちなか居住を推進するとともに、子育て施設の充実や若者・女性の雇用支援など

をセットで取り組む等、市民が長く住み続けられるまちづくりを進める必要がある。

418

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9

419