居酒屋における注文内容の分析と プロモーションの提案 · 表2.1...

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中央大学理工学部情報工学科 卒業論文 居酒屋における注文内容の分析と プロモーションの提案 学籍番号 01D8101022L 小泉 純也 指導教員 田口 東 教授 2005 3

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中央大学理工学部情報工学科 卒業論文

居酒屋における注文内容の分析と

プロモーションの提案

学籍番号 01D8101022L

小泉 純也

指導教員 田口 東 教授

2005年 3月

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あらまし

本研究では,関東地区に存在する,ある居酒屋の伝票を集計したデータを用いて,注文

内容を分析し,得られた結果を考慮して,効果的なプロモーションを提案する. まず,メニューをカテゴリに分類し,ABC分析を用いて各カテゴリを 3レベルにランク付けを行う.次に,ドリンクと料理の相性を見るためにコレスポンデンス分析を用いて,

相性を視覚的に把握する.また,分析結果の数値を用いて,ドリンクと料理の相性を数値

化し,相性の順序付けを行う.以上の分析結果と客の滞在時間や注文内容を考慮して,あ

らゆる場合におけるプロモーションを提案する. キーワード:ABC分析,コレスポンデンス分析

i

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目次 第 1章 はじめに......................................................................................................... 1 第 2章 使用データ ..................................................................................................... 2

2.1 データの概要 ........................................................................................................ 2 2.2 対象とした居酒屋の特徴....................................................................................... 3

第 3章 中心となるメニューの抽出と時間による注文の変化...................................... 4

3.1 メニューの分類 ..................................................................................................... 4 3.2 ABC分析 .............................................................................................................. 5

3.2.1 ABC分析とは............................................................................................ 5 3.2.2 金額の構成比における ABC分析 .............................................................. 6 3.2.3 個数の構成比における ABC分析 .............................................................. 7

3.3 来店時間を考慮したメニューの注文数の変化 ...................................................... 9 3.4 来店からの経過時間による売上金額の変化 ........................................................ 11

第 4章 メニュー間の相性 ...............................................................................................13

4.1 コレスポンデンス分析 ........................................................................................ 13 4.1.1 コレスポンデンス分析とは ...................................................................... 13 4.1.2 計算手順 .................................................................................................. 13 4.1.3 寄与率と相関比........................................................................................ 17

4.2 コレスポンデンス分析の結果 ............................................................................. 18 4.2.1 クロス集計表の作成................................................................................. 18 4.2.2 ドリンクと料理のカテゴリの相性 ........................................................... 18 4.2.3 ドリンクと“魚介”に含まれるメニューの相性...................................... 19 4.2.4 ドリンクと“ご飯・麺”に含まれるメニューの相性............................... 20 4.2.5 ドリンクと人気メニューの相性............................................................... 21

4.3 相性の順序付け ................................................................................................... 22 4.3.1 相性の定義 ............................................................................................... 22 4.3.2 相性値の算出 ........................................................................................... 23 4.3.3 順序付け結果の考察................................................................................. 25

第 5章 効果的なプロモーション .............................................................................. 30

ii

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第 6章 おわりに....................................................................................................... 32

6.1 まとめ ................................................................................................................. 32 6.2 今後の課題 .......................................................................................................... 32

謝辞 ............................................................................................................................ 33 参考文献 ..................................................................................................................... 34 付録 ............................................................................................................................ 35

iii

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第 1章

はじめに 今日の外食産業は,あらゆる業態において新規店舗が次々とオープンしている.新規店

舗はどの店も斬新なサービスや料理とともに,大規模な宣伝をして新規客を呼び込む.そ

の一方で既存店は新規客の来店を狙うのは難しい.そのため,既存店は,リピーターの獲

得や客単価の向上を狙うことが重要である.日本フードサービス協会の調査によると,既

存店は売上金額や来客数は減少の一途をたどっているが,客単価は増加の傾向が出ている

[1].本研究で対象とする大衆居酒屋では,店員がメニューを客に勧めることは大変効果的であり,客との会話が増えることにより,店のイメージ向上にもつながる. 本研究では,居酒屋の伝票を収集したデータの分析を行う.メニューをカテゴリに分類

し,売上や注文数の中心となるカテゴリを把握する.また,ドリンクから見た料理の相性

を調べる.以上の分析結果をもとに,客の嗜好に合ったメニューのプロモーションを提案

することを目的とする.

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第 2章

使用データ

2.1 データの概要

本研究で使用するデータは,関東地区に存在する,ある居酒屋から提供していただいた

伝票を集計したものである. 対象期間は 2004年 7月 25日から 2004年 9月 15日の間から金・土曜日と 8月 1日と 8

月 15 日を除いた計 35 日間とする.金・土曜日を除いたのは,データの欠損が多かったためである.データから以下の項目を使用する. • 伝票 NO(何度目の注文か) • 客の人数 • 注文されたメニュー • メニューの注文数 • 日にち • 注文時間 • 注文されたメニューの金額 • 組の合計金額

本研究では,対象期間内で欠損のないデータのみを用いる.また,メニューの相性を見

る場合に大人数の客はふさわしくないため,7 名以上のグループ客はデータから除外した.データの概要は以下の通りである. • 来客組数 630組 • 来客人数 1,671人 • 注文回数 3,389回 • 注文個数 10,602個 • 売上金額 5,107,411円 • 客単価 3,056円

客の人数別に平均注文数と客単価を表したものを表 2.1に示す.表 2.1から,客の大半が

2,3名であることがわかる.しかし,2,3名の客単価は低くなっている.滞在時間や注文回数は,人数が増えると増加する傾向が見られる.

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表 2.1 客の人数による注文数と客単価の変化

客の人数 1名 2名 3名 4名 5名 6名

組数 [組] 26 376 108 64 34 22滞在時間 [分] 70 110 119 144 188 182注文回数 [回] 3.35 4.53 5.36 6.94 9.50 11.50

一人当たりのドリンク注文数 [個] 3.08 2.24 2.24 2.77 3.13 2.77一人当たりの料理注文数 [個] 3.23 2.26 1.77 1.96 1.91 1.75

客単価 [円] 3,785 2,935 2,680 3,123 3,375 3,253

2.2 対象とした居酒屋の特徴

本研究で対象とした居酒屋の特徴として以下のことが挙げられる. • 営業時間は,8月 15日までは 17時から翌 3時,それ以降は 17時から 24時である. • メニューに焼肉としゃぶしゃぶがあり,それぞれ 2時間制の食べ放題がある. • 対象期間内の日曜日には焼肉半額セール(食べ放題は 300円引き)を行っている. • 生ビールやサワーのジョッキが他の居酒屋に比べてサイズが大きく,中ジョッキが

他の店の大ジョッキに相当する.

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第 3章

中心となるメニューの抽出と時間による注文の変化

3.1 メニューの分類

本研究で対象とした期間内に注文されたメニューは 351 種類存在し,これらをこのまま分析することは困難なため,ドリンクを 7カテゴリ,料理を 11カテゴリ,その他を 4カテゴリの計 22のカテゴリに分類する.カテゴリコードとカテゴリ名を表 3.1から表 3.3に示す.料理のカテゴリの“一品料理”と“おつまみ”の分類は,加熱調理されて提供される

ものを“一品料理”,そうでないものを“おつまみ”とした.例として,“一品料理”には

“鶏の唐揚げ”や“ポテトフライ”,“おつまみ”には“枝豆”や“お新香”がある.その

他のカテゴリの“opt”は,“空のグラス”(ボトル注文時)などを含み,また,“他”は,“料理他”,“飲物他”などのメニューにない注文を含む.“サワー”の数が特別多いのは,グラ

スのサイズが 4種類あり,それぞれ別のメニューとしてカウントされているためである.

表 3.1 ドリンクのカテゴリ

コード カテゴリ名 メニュー数

5 カクテル 33 11 サワー 70 13 シーズンドリンク 12 15 焼酎 30 17 ソフトドリンク 15 19 日本酒・ウイスキー・ワイン 25 20 ビール 6

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表 3.2 料理のカテゴリ

コード カテゴリ名 メニュー数

2 一品料理 17 3 おつまみ 17 6 魚介 12 7 串焼き 12 9 ご飯・麺 13

10 サラダ 6 12 シーズン 14 14 しゃぶしゃぶ 8 16 ステーキ 6 18 デザート 14 22 焼肉 22

表 3.3 その他のカテゴリ

コード カテゴリ名 メニュー数

1 opt 10 4 お通し 1 8 コース 5

21 他 3

3.2 ABC分析

3.2.1 ABC分析とは

飲食業のように複数の商品を扱っている業種において,店舗はどの商品がその店舗にと

って重要であるかを把握する必要がある.ABC 分析は,「少数の要因によって多数が決定づけられる」という考え方(パレートの法則)に基づいて,複数の要因の中から重要な要

因を決定する手法である. 各要因について全体での構成比を求め,それを降順に並べる.次に,構成比の高い順に

累計構成比を計算する.その要因までの累計構成比が 0%~70%となる要因を A ランク,同様に 70%~90%を Bランク,90%~100%を Cランクと全体を 3つに分類する.A,B,Cの 3つのランクに分類することから,ABC分析といわれている. 縦軸に構成比,横軸に要因を置き,各要因の構成比を棒グラフ,累計構成比を折れ線グ

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ラフとして描いたグラフをパレート図という.パレート図を描くことで,各要因の重要度

が把握しやすくなる. 3.1節で分類した全カテゴリのうち,どのカテゴリがいかに重要な要因であるかを分析する.ここで,データ量が少なく,メニューに統一性がないカテゴリ“opt”と“他”を除いた,計 20個のカテゴリについて ABC分析を行う.

ABC 分析を行う上で,各要因をどの視点から見て重要であるかを決める必要がある.ここでは,どの要因が売上金額に影響を与えているかと,どの要因が多く注文されているか

という 2つの視点から ABC分析を行う.

3.2.2 金額の構成比における ABC分析

各カテゴリにおける金額の構成比とランクを表 3.4に,パレート図を図 3.1に示す. “ビール”が全体の 2 割以上を占めており,ただひとつ飛びぬけている.ドリンク全体の 46%がビールである.“サワー”が“お通し”に次いで 3番目に入っている.また,食べ物では“焼肉”が 1番のウエイトを占めており,店の特徴がはっきりと表れている.“一品料理”,“おつまみ”に続いて“ご飯・麺”も A ランクに入ったが,図 3.1 を見ると,料理のカテゴリに関して,全体的に大きな差は見られない.

表 3.4 カテゴリの金額構成比とランク

カテゴリ 金額 金額構成比金額累計構成比ランクビール \1,120,042 21.93% 21.93% Aお通し \477,540 9.35% 31.28% Aサワー \474,243 9.29% 40.57% A焼肉 \342,869 6.71% 47.28% A一品料理 \332,661 6.51% 53.79% Aおつまみ \303,660 5.95% 59.74% Aカクテル \263,235 5.15% 64.89% Aご飯・麺 \207,312 4.06% 68.95% A焼酎 \189,231 3.71% 72.66% A魚介 \180,656 3.54% 76.19% Bサラダ \174,930 3.43% 79.62% B串焼き \169,965 3.33% 82.95% Bシーズン \163,548 3.20% 86.15% B日本酒・ウイスキー・ワイン \142,884 2.80% 88.94% Bステーキ \118,776 2.33% 91.27% Bシーズンドリンク \117,474 2.30% 93.57% Cソフトドリンク \112,476 2.20% 95.77% Cコース \103,920 2.03% 97.81% Cしゃぶしゃぶ \85,284 1.67% 99.48% Cデザート \25,970 0.51% 99.99% C合計 \5,107,411 100.00%

6

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0%

20%

40%

60%

80%

100%

ビー

お通し

ワー

焼肉

一品料理

つまみ

カクテ

ご飯

・麺

焼酎

魚介

サラダ

串焼き

シーズ

日本酒等

ステーキ

シードリ

ソフト

コー

ゃぶ

デザー

カテゴリ

構成比

金額構成比

金額累計構成比

図 3.1 金額構成比を用いたパレート図

3.2.3 個数の構成比における ABC分析

金額の場合と同様に,各カテゴリにおける個数の構成比とランクを表 3.5 に,パレート図を図 3.2に示す. 金額構成比と比較すると,“ビール”と“お通し”が,金額では 2倍以上の差があったのにも関わらず,個数ではほぼ等しくなっている.お通しは,客一人につき一つ提供するこ

とになっているので,“ビール”はほぼ来客人数と同じだけ注文されていることがわかる.

金額で大きな差が見られたのは,お通しが 315 円であるのに対して,カテゴリ“ビール”の中で一番注文数が多い「生ビール(中)」が 798円と,単価に大きな差があるからである.“ソフトドリンク”は金額において Cランクであるにも関わらず,個数では Aランクに含まれる.これも単価が影響しており,“ソフトドリンク”に含まれるメニューはどれも 300円以下のものであり,注文される数は多くても,売上にはあまり大きな影響を与えていな

い.また,対象期間が 7月の下旬から 9月の中旬という暑い時期であったにも関わらず,アイスクリームを含む“デザート”の注文が非常に少ない.食事を終えた客に“デザート”

を勧めることが客単価アップに効果的であると考えられる.

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表 3.5 カテゴリの個数構成比とランク

カテゴリ 数 個数構成比個数累計構成比ランクビール 1524 14.81% 14.81% Aお通し 1516 14.74% 29.55% A焼肉 934 9.08% 38.63% Aサワー 853 8.29% 46.92% Aおつまみ 751 7.30% 54.22% A一品料理 670 6.51% 60.73% Aカクテル 557 5.41% 66.15% Aソフトドリンク 479 4.66% 70.80% A串焼き 449 4.36% 75.17% Bご飯・麺 411 3.99% 79.16% B焼酎 328 3.19% 82.35% B魚介 323 3.14% 85.49% Bシーズン 323 3.14% 88.63% Bサラダ 319 3.10% 91.73% Bシーズンドリンク 193 1.88% 93.60% C日本酒・ウイスキー・ワイン 190 1.85% 95.45% Cステーキ 177 1.72% 97.17% Cしゃぶしゃぶ 148 1.44% 98.61% Cデザート 86 0.84% 99.45% Cコース 57 0.55% 100.00% C合計 10288 100.00%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

ビー

お通

焼肉

ワー

つま

一品料理

カク

ソフト

串焼き

ご飯

・麺

焼酎

魚介

シー

サラダ

シー

ドリ

日本酒等

ステー

ゃぶ

デザー

コー

カテゴリ

構成比

個数構成比

個数累計構成比

図 3.2 個数構成比を用いたパレート図

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3.3 来店からの時間による注文の変化

本研究で対象としている大衆居酒屋において,客の注文の流れは概して以下のようにな

る.はじめにドリンクを注文し,ドリンクが提供されたとき,もしくはドリンクの注文と

同時に料理を何品か注文する.以後,ドリンクや料理がなくなり次第,追加注文をする.

このとき,最初に注文されるメニューと,追加として注文されるメニューにどのような特

徴があるのかを,来店からの時間を考慮することにより調べる. 使用したデータに来店時間のデータが存在しないので,最初の注文時間をそのまま来店

時間と考える.来店からの時間を以下の 5つに分ける. ① 来店から 10分 ② 10分から 30分 ③ 30分から 60分 ④ 60分から 120分 ⑤ 120分以降

①から⑤の各時間におけるドリンクのカテゴリと料理のカテゴリにおける,各カテゴリ

の注文比率を算出し,グラフにしたものをそれぞれ図 3.3と図 3.4に示す.

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

初~10分 ~30分 ~60分 ~120分 120分以降

来店からの時間

構成比

カクテル

サワー

シーズンドリンク

焼酎

ソフトドリンク

日本酒など

ビール

図 3.3 来店からの時間別ドリンクのカテゴリの構成比

9

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0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

初~10分 ~30分 ~60分 ~120分 120分以降

来店からの時間

構成比

一品料理

おつまみ

魚介

串焼き

ご飯・麺

サラダ

シーズン

ステーキ

デザート

図 3.4 来店からの時間別料理のカテゴリの構成比 “ビール”は初めの 10分間で約 60%を占めているが,その後減少を続け,120分以降で

は 10%程度にまで下がっている.その一方で,初めの 10分間とそれ以降を比較すると,“サワー”と“焼酎”は,それぞれ約 2.5倍,約 4倍と大幅に増加している.このことから,最初の 1 杯目や 2 杯目あたりまではビールを注文し,その後は“サワー”,“焼酎”など“ビール”以外のドリンクに変えていく傾向が見られる.また,“サワー”と“焼酎”は,10分経過後は割合がほとんど変化せず,“ソフトドリンク”と“カクテル”は,全体的に大きな

変化は見られなかった. 料理のカテゴリのグラフでまず目につくことは,“デザート”が食事を終えたころの 60分以降から注文されていることである.また,“デザート”を除いてみると,右上がりのカ

テゴリと右下がりのカテゴリに分けられる.“一品料理”,“おつまみ”,“ご飯・麺”は,初

めの 10分間の構成比に比べ,他の時間における構成比が大きくなる.他のカテゴリは初めの 10分間の構成比が最大となっている.このことから,最初は食事という感覚で料理を注文し,ある程度時間が経過した後は酒のつまみとして注文する.最後の締めには“ご飯・

麺”,“デザート”を注文するなどの変化が見られる.また,“一品料理”と“おつまみ”は,

120分まではほぼ同じ割合であるが,120分以降は“おつまみ”が大きく上回っている.120分以降は加熱調理された“一品料理”よりも,冷めてもおいしく食べられる“おつまみ”

を好む傾向が出ている.120分以降では,注文される料理の 30%以上が,“おつまみ”となっている.

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3.4 来店からの経過時間による売上金額の変化

来店からの経過時間別の売上金額を,10 分間隔で計算しグラフにしたものを図 3.5.a と図 3.5.bに示す.図 3.5.bは,図 3.5.aの最初の 20分間を除いたものである.図 3.5.aを見ると,最初 20分間がそれ以降に比べて大きな値となっている.使用したデータの総売上金額は 5,107,411円であり,そのうち,最初の 20分間での売上金額は 3,150,638円と,全体の 6割を占めている.また,図 3.5.bから,30分経過時の売上に比べ,40分,50分経過時の売上が増加していることがわかる.このことから,40分から 50分経過時に,最初に注文した料理やドリンクがなくなることが多く,追加注文が増えていると考えられ

る.

0

50

100

150

200

250

10 60 110 160 210 260 310 360

来店からの時間[分]

売上金額

[

万円

]

図 3.5.a 来店からの時間別の売上金額

0

5

10

15

20

25

30

35

30 80 130 180 230 280 330 380

来店からの時間[分]

売上金額

[

万円

]

図 3.5.b 来店から 20分以上経過後の売上金額

11

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客一人の一分間の平 経過時間別の単位売

上を計算し,グラフにしたものを図 3.6に示す.図 3.6を見ると,図 3.5.aと同様に最初の20分間がそれ以降に比べて大きな値となっている.最初の 20分間を除き,30分間隔に変更したものが図 3.7 である.30 分間隔に変更したのは,ある程度時間が経過すると客数が減少し,客一人の影響が大きくなるためである.図 3.7より,来店から 90分を過ぎたところで,単位売上は 10円を下回っている.さらに,210分を過ぎたところで 5円を下回っている.300分以降は,データ数の欠乏により,ばらつきが大きくなっている.この結果,180分を過ぎてからは,追加の注文はあまり望めないと言える.

均売上金額を単位売上と定義する.来店からの

0

20

40

60

80

100

120

10 60 110 160 210 260 310 360 410

来店からの時間[分]

単位売上

[

]

図 3.6 来店からの時間別の単位売上

0

5

10

15

20

30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330 360 390

来店からの時間[分]

単位売上

[

]

図 3.7 来店から 20分以上経過後の単位売上

12

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第 章

ニュー間 相性

4.1 レスポ デンス分析

4.1.1 コレスポンデンス分析とは

コレスポンデンス分析は,クロス集計表を元データとして,行要素と列要素を反応傾向

に基づいて数量化する手法である.数量化した値からポジショニングマップを作成するこ

とにより,要素の類似度を視覚的に把握することができる.出力された数値が近いものほ

ど,類似度が高いと評価できる.理論的には数量化Ⅲ類と同等である. コレスポンデンス分析では,行の要素をサンプル,列の要素をカテゴリと呼ぶ.クロス

集計表において,サンプルが 個,カテゴリが 個

4

メ の

コ ン

1n 2n ( )21 nn >

1nとする.コレスポンデンス分

析は,サンプルとカテゴリの相関係数が最大となるように, 個のサンプルスコアと 個

のカテゴリスコアを与えていく.スコアは最大で

2n12 −n 次元与えることができる.これは

単に, 次元与えると元のデータをそのまま表せてしまうからである.

計算手順

元データのクロス集計表を行列

2n

4.1.2

Aと考える.行列 Aの 行の総和を 列の総和を と

し,それらを成分とするベクトルをそれぞれ , とする.さらに,求めるサンプルスコ

アとカテゴリスコアをそれぞれ ,

i ib ,j jc

B Cx yとし,以下のように表す.

, ,

⎜⎜⎜⎜⎜⎛

= 2

1

xx

Mx ,

⎜⎜⎜⎜⎜⎛

= 2

1

yy

My

⎟⎟⎟⎟⎟

⎜⎜⎜⎜⎜

=

2111

2

2

21

22221

11211

nnnn

n

n

aaa

aaaaaa

K

MOM

K

A

⎟⎟⎟⎟⎟

⎜⎜⎜⎜⎜

=

1

2

1

nb

bb

MB

⎟⎟⎟⎟⎟

⎜⎜⎜⎜⎜

=

2

2

1

nc

cc

MC

⎟⎠⎝ 1nx ⎠⎝ 2ny⎟⎟⎟⎟

⎟⎟⎟⎟⎟

13

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ただし,

∑=

=1

0

n

kiki ab ,

相関係数

∑=

=1

0

n

kkjj ac

である.

rは, を の分散, をxxS x yyS yの分散, を とxyS x yの共分散とすると,

∑∑∑∑==

2.

2. jjii

jiijxy

aa

aSr

yx

yx

t

a

=⎟⎜⎟⎜

2

M

K

MOM (4.1)

yyxx SS

表せる.ここで,

( )yx n

n

njiij

yy

aaaaaa

xxxa ⎟

⎟⎞

⎜⎛

⎟⎞

⎜⎛

=∑∑ 2

2

1

2

1

22221

11211

21

K

K Ayx

nnnnn yaa ⎟⎟⎠

⎜⎜⎝⎟⎟⎠

⎜⎜⎝ 221111

であり,Bの要素を対角成分とする 11 nn × の正方行列を diagB ,C の要素を対角成分とす

る 2 の正方行列を diagC とすると, 2nn ×

( ) xBxBx diagt

n

diagnii

x

xx

xxxa =

⎟⎟⎟⎟⎟

⎜⎜⎜⎜⎜

=∑

1

1

2

1

212

. MK (4.2)

n

diagnjj

y ⎟⎟⎠

⎜⎜⎝ 1

1

1

21. M (4.3)

と表せる.(4.2)式と(4.3)式は,行 や列

( ) yCyCy tyy

yyya =⎟⎟⎟⎞

⎜⎜⎜⎛

=∑ 22 K diag

i jの順番を変えても値は変化しないので,(4.2)式と(4.3)式は一定の値となる.つまり,相関係数 rは とx yの分散の値に依存しないということになる.そこで,(4.2)式と(4.3)式の値を に規準化すると相関係数1 rは,

AyxAyxyCyxBx

Ayxyx

yx tt

diagdiagtt

t

jjii

jiij

aa

ar ====

∑∑∑∑

112.

2.

(4.4)

となる. 以上より,コレスポンデンス分析におけるスコアの計算は,次のような最大値問題とみ

14

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なすことができる. 最大化 (4.5)

制約条件 (4.6)

dia 4.7)

この最大化問題にラグランジュ乗数を導入し,ラグランジュ未定乗数法を考える.ラグ

ランジュ乗数を

Ayx tr =

1=xBx diagt

1yCy gt (=

1µ , 2µ とすると,関数 は, F

( ) ( )12

12

21 −−−−= yCyxBxAyx diagt

diagttF µµ

(4.8)

と求まる.計算を簡単にするために条件式の係数を 21 とする.(4.8)式を ,x y, 1µ , 2µで偏微分して,

0xBAyx

=−=∂∂

diagF

1µ (4.9)

0yCAxy

=−=∂∂

diagtF

2µ (4.10)

となる. 1µ , 2µ で偏微分したものは制約条件と等しくなるので省略する.(4.6),(4.7),(4.9),

の 4 まず,(4.9)式の両辺に を左からかけて, (4.10) 式より固有値問題の形式に変形する. tx

( )

1

1

1

µ

µ

µ

=

=−

×=−

Ayx

0xBxAyx

0xxBAyx

t

diagtt

tdiag

t

となる.(4.10)式も同様に を左からかけて,

( )1=xBx diagtQ

(4.11)

ty

( )

2

2

2

µ

µ

µ

=

=−

×=−

Ayx

0yCyAxy

0yyCAxy

t

diagttt

tdiag

tt

と変形できる. となる.さらに,(4.4)式より相関係数

( )1=yCy diagtQ

(4.12)

以上より,

であるから, 1

Ayx t== 21 µµ Ayx tr =µ もしくは 2µ が相関係数 r の最大値となることを示している.以後,

21 µµµ == とする.次に, yを消去する変形を行う. 式より, t

(4.10)

diag

1

11

−−

=

=

=

=

µ

µ

µ

µ

(4.13)

xACy

xACyCC

xAyC

AxyC

tdiag

tdiagdiagdiag

tdiag

( )ICC =−diagdiag

1Q

する.(4.9)式の両辺をµ 倍した式に,(4.11)式を代入し,

15

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( )xACA − tdiag

1 (4.14)

0xB

0xBAy

=−

=−

diag

diag

2

2

µ

µµ

とする.固有値問題にするには,左辺からB

を新しく定義する.

diag を除く必要があるので,以下の 2つの行列

⎟⎟⎟⎟⎟⎞

⎜⎜⎛ 0

2

11 b

b

⎠⎜⎜⎜

=

10

2

nbO

B ,

⎟⎟

⎜⎜ 0

b

⎟⎟⎟

⎜⎜⎜⎜⎜

=−

1

1

1

0

21

n

bB

これらを用いて,

⎞⎛ 1

⎟⎜ 1b

⎟2

O

diagBBB =21

21

であるから,

0xBxBBAACB

0xIBIxAACB

0BxBBBxAAC

=−

×=−

−−2212 µ

µ

t

diag

(4.15 B

xBBxAAC

=⎟⎟⎠

⎞⎜⎛

−⎟⎟⎠

⎞⎜⎜⎝

=−

−−−

−−−−

21

221

21

121

11

21

21

21

21

2121

21

21

21

µ

µ

tdiag

diag

t

tdiag

)

ここで,

0

⎜⎝

212−−−

= BACBH t 11

Adiag (4.16)

xBl 21

= (4.17)

(4.18) と置くと,

2µλ =

lHl λ= (4.19) となり, を固有値算出行列,H λを固有値, を固有ベクトルとする固有値問題の形式にl表せる.固有ベクトルが l ≠ となる解をもつには, 0

0=− IH λ (4.20)

であるから,この行列式から固有値λと固有ベクトル がそれぞれ 個ずつ求められる.

そのとき, 個の固有値の中には必ず最大固有値 が含まれる.これは,(4.9),(4.10)の 2l 2n

2n 1

16

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式を満足してしまうため意味を持たない.つまり,固有値と固有ベクトルは 組求ま

る.相関係数

12 −nλµ ==r より,相関係数は固有値の正の平方根であるので,固有値の値が

大きい次元ほど,元データに近い結果を得られる.固有値を大きい順に 121 2,,, −nλλλ K とし,

対応する固有ベクトルを とする.

サンプルスコア とカテゴリスコア

121 2,,, −nlll K 求められた固有値と固有ベクトルを用いて,

x yを求める.各次元のサンプルスコア は(4.17)式のx21−B を左からかけて, 両辺に

xlB

xBBlB

=

=

−−

21

21

21

21

(4.21)

と求まり,カテゴリスコア yは, 式より,(4.11)

xACy =µ

tdiag

11 − (4.22)

と求まる.

4.1.3 適合度と寄与率

数量化などの多変量解析では,分析結果と元のデータとの当てはまりを調べる必要があ

る. は,データ分 の次元が表している比率のことである.コ

レスポンデンス分析では,固有値が相関係数と一致するので,固有値の総和に対する各次

元の固有値の大きさを寄与率として扱うことができる.4.1.2項で述べたように,固有値は

個存在するので,第 次元の寄与率 は,

各次元の寄与率と 散量のうちそ

12 −n i ie

∑−

=

=1

1

2n

jjiie λλ (4.23)

として表せる. 適合度は,コレスポンデンス分析のモデルが元データのどの程度当てはまっているかを

ある.つまり, 次元のうち分析結果として採用した次元までで表せる割合

と考える.採用した次元を とすると,そのときの適合度 は第 次元から第 次元までの

累積寄与率となるので,

12 −nk

表すもので

kf 1 k

∑∑−

=12n

j

k

iie λλ (4.24) ∑===

=111 ji

k

ikf

で得られる.この適合度の

視覚的に類似度を捉えられるように 2次元を採用する. 値から次元数を決定することも有効であるが,本研究ではプロ

ットを用いて

17

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4.2 コレスポンデンス分析の結果

4.2.1 クロス集計表

351351 行 351

る.

結果 外した.また,“シーズンドリンク”は,味に統一性が

ないために除外した.したがって,ドリンクは,“ビール”,“サワー”,“カクテル”,“焼酎”,

“日本酒”,“ソフトドリンク”

とは,この 6カテゴリを指す.文字数の関係で,“ソフトドリンク”は“ソフト”としてプ6 結果,クロス集計表は 166行 166列とな

った.この集計表より,分析

析を行う.

.2.2 ドリンクと料理のカテゴリの相性

とドリンクとの相性を見る.“シーズン”は,“シーズン

ドリンク”と同様の理由で除外し,“しゃぶしゃぶ”はデータ数が少ないため除外した.行

をドリンクの カテゴリ,列を料理の カテゴリとしてクロス集計表を作成し,コレスポ

ンデンス分析を実行する.実行結果のプロットを図 4.1に示す. 次元での適合度は と大変高い値になっている. 次元の寄与率が であり,

図 の横軸の次元 で,元データの 割以上を数量化したことになる.図 から,“焼

肉”に含まれるメニューを注文する客は,“ソフトドリンク”の近くにプロットされ,他の

ドリン 飲みに来るというより,焼肉

を食べに来るということがわかる.実際に,全 630組中で“焼肉”に含まれるメニューを 1つ以上注文した組は 83 組存とは同時に,メ 肉があることが来店客に広く知られていることを表している.

また,これは一般的に考えて当然の結果とも言えるが,“ビール”と“おつまみ”,“串焼き”

が非常に相性がよい.プロットされた結果は,遠く離れた点を見るのも重要である.たと

えば,“魚介”は,“カクテル”に比べて,“日本酒”や“焼酎”と相性がよいと言える.反

の作成

メニュー同士の相性を見ることを目的とし,コレスポンデンス分析を行う. 各メニューに対して,同じ客がどのメニューと同時に注文されるかをカウントし,三角

行列を作成する.それを対称にしたものをクロス集計表と考える.メニューは 種類存

在するので, 列の行列となる.そのままのサイズではコレスポンデンス分析の

精度があまりにも低くなってしまうため,ドリンクはカテゴリごとにまとめて考え こ

のとき,“日本酒・ウイスキー・ワイン”は相性という面からすると,まとめて考えるのは

ふさわしくないため分解した.しかし,“ウイスキー”と“ワイン”はともにデータ量が少

なく,偏った が表れたために除

の計 6 カテゴリとする.以後,本章における「ドリンク」

ロットされる.ドリンクを カテゴリにまとめた

に必要な行と列のみをその都度選択し,コレスポンデンス分

4

3.1節で分類した料理のカテゴリ

6 9

2 0.961 1 0.9224.1 1 9 4.1

クからは離れた点にプロットされているため,お酒を

在し,うち 49 組が“焼肉食べ放題”を注文していた.このこニューに焼

18

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1.0

次元 1

1.0.50.0

2

.5

0.0

-.5

-1.0

-.5-1.0

焼肉デザート

サラダ

串焼き

魚介

おつまみ

一品

ビール焼酎 サワー

カクテル

料理

ステーキ

ご飯・麺日本酒

ソフト

次元

0

料理のカテゴリ

ドリンク

4.2.3 ドリンクと“魚介”に含まれるメニューの相性

ゴリ“魚介”に含まれるメニューとドリンクの相性を見る.“魚介”に含まれ

メニューは 12品存在するが,“刺身の盛り合わせ”と“刺身単品”をまとめたため,計 8となる.行をドリンク,列を“魚介”のメニューとして分析し,実行結果のプロットを

ン酢をかけたもので,“イカホイ”

とはイカのホイル焼きである. 項における結果では,“魚介”は“日本酒”と相性がよかったが,ここでは“日本酒”

は離れた点に ットされた.これは, 日本酒”のデータ数が他の要素に比べて少ないこ

とが関係している.コレスポンデンス分析のスコア 算方法で 式(4.17),式(4.18)で述べたように,行また 要素の総数の逆数,または平方根の逆数に比例しているから

である. 2次元の適合度は であり,次元 1の寄与率は 0.409である. の縦軸

図 4.1 ドリンクと料理のカテゴリ 対に,“カクテル”は,“魚介”よりも,フライドポテトやピザが含まれる“一品料理”と

相性がよいと言えるからである.

料理の相性を見るときに,カテゴリごとでは具体的なメニューとドリンクの相性を見る

ことができないため,ここからは料理のカテゴリ内のメニューと,ドリンクとの相性を見

る. まず,カテ

図 4.2に示す.ここで,“たこぽん”とはたこの刺身にポ

4.2.2プロ “

の計 は,

は列の

0.727 図 4.2

19

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次元 1

1.0.50.0-.5-1.0

次元 2

1.0

.5

0.0

-.5

-1.0

ソフトカクテル

サワー

ビールほっけ

ししゃもサンマ

刺身

イカホイ

イカ一夜

日本酒

焼酎

たこぽん

鮪鮭炙り

ドリンク

”魚介”のメニュー

図 4.2 ドリンクと“魚介”に含まれるメニュー

を見ると,“たこぽん”,“刺身”,“鮪鮭炙り”と,生ものに近いメニューが下方に集まり,

焼き物が上方に集まった.“日本酒”には刺身,“焼酎”には焼き物が相性がよいと考えら

れる.また,横軸は,右側に“焼酎”,“日本酒”がプロットされ,左に“カクテル”がプ

ロットされていることから,右側は中高年男性,左側は若者や女性が好むメニューが集ま

えられる.

ドリンクと“ご飯・麺”に含まれるメニューの相性

るメニューの相性を見る.“ご飯・麺”に含まれるメニ

ーは 13 品存在するが,“お茶漬け”と“おにぎり”にそれぞれ梅と鮭があり,それらをとめて,計 11 品とする.行の要素をドリンク,列の要素を 11 品のメニューとしてコレ

ン 4.3

カテゴリでの結果を見ると,“ご飯・麺”は“サワー”と相性がよいことがわかる.

っていると考

4.2.4

ドリンクと“ご飯・麺”に含まれ

スポンデ ス分析を行う.実行結果のプロットを図 に示す.“キムチャ”はキムチチャ

ーハン,“ライスセ”はライスセット,“餃子丼”はご飯の上に 20cmの円状の薄い餃子をのた料理である. 2次元での適合度は 0.775であり,次元 1の寄与率は 0.463である.図 4.1のドリンクと料理の

こで,図 4.3を見ると,“サワー”のスコアは次元 1が 0.002,次元 2が 0.060とほぼ中心にプロットされており,“ご飯・麺”のメニューと全体的に相性がよいことになる.その

20

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次元 1

1.51.0.50.0-.5-1.0

次元 2

1.5

1.0

.5

0.0

-.5

-1.0

ソフト

日本酒

焼酎

カクテル

サワービール

焼うどん

ラーメンキムチャ

おにぎりお好み焼

おこげ

ライスセ

焼きそば

餃子丼

お茶漬け

ビビンバ

0

ドリンク

”ご飯・麺”のメニュー

図 4.3 ドリンクと“ご飯・麺”に含まれるメニュー 中でも,“焼きそば”と“ラーメン”との相性がよい.また,“カクテル”は“ビビンバ”, “キムチャ”,“おこげ”と非常に相性がよい. 残りの料理のカテゴリに対しても同様にコレスポンデンス分析を行う.“串焼き”に属す

るメニューが,“串焼き盛り合わせ”と“串焼き単品”をひとつにまとめたところ,メニュ

ーが 2 品になってしまうため,比較的近いカテゴリと考えられる“ステーキ”に含まれるニューと合わせて行う.結果のプロットを付録に示す.

4.2.5 ドリンクと人気メニューの相性

おにぎり”や“お茶漬け”の梅と鮭ように,味が違うものをまと

,“刺身”や“串焼き”の盛り合わせと単品で注文できるものもまとめる.さらに,食べ

題することができる“焼肉”と“しゃぶしゃぶ”に属するメニューは,データに著しく

て 50し 実

料理は全部で 141 品存在し,全体での分析は困難なため,注文回数の多い人気メニューを抽出して行う.まず,“

偏りが出 しまうため除外する.残った中で,注文回数が 回を超えたものを人気メニュ

ーと定義 ,ドリンクとの相性を見る.人気メニューに該当したものは 19品存在する.結果のプロットを図 4.4に示す.“ミモザ”は卵のマヨネーズ和えとツナの入ったサラダ,

“ジャコ”はジャコ入りの和風サラダ,“明パリ”は明太マヨネーズソースの洋風サラダ,

21

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次元 1

.6.4.20.0-.2-.4-.6-.8

次元 2

.8

.6

.4

-.2

-.4

-.6

.2

-.0

ビール

サワー

ソフト

和風ジャロンピー

焼きそば

ミモザ

なんこつ

たこわさ

たこ焼き

串焼き

キムチャ

チヂミ枝豆

カクテル 日本酒 レンコン

明パリ

ポテト

だし巻き

ジャコ

アスベー

焼酎

浅漬けおにぎり

ドリンク

人気メニュー

図 4.4 ドリンクと人気メニュー

“ロンピー”は 50cmの細長いピザ,“アスベー”はアスパラのベーコン巻き,“和風ジャ”は醤油風味のジャガイモの炒め物,“レンコン”はレンコンの薄切りを揚げたチップス,“ポ

テト”はフライドポテトである. 2次元の適合度は 0.677であり,次元 1の寄与率は 0.477である.図 4.4から,“ビール”

“串焼き”が大変相性がよいということがわかる.“カクテル”に合うものは

“ポテト”や“たこ がある.原点の近

にプロットされた“ロンピー”や“ジャコ”はどのドリンクとも相性がよいと言える.

4.3 相性の順序付け

4.3.1 相性の定義

とカテゴリごとの分析,もしく

カテゴリに含まれるメニューを用いて分析を行った.しかし,それではどのメニューが

のドリンクと一番相性がよいかは言えない.そこで,コレスポンデンス分析を行って得

コ 比較する.

は いるが,数値に表すことで各

と “枝豆”,焼き”があり,“焼酎”には“おにぎり”,“浅漬け”

4.2節では,料理メニューをカテゴリに分類し,ドリンクは

られたス アを用いて,各ドリンクに対する全メニューの相性を数値的に表し,

プロット 全体の相性を一目で把握するという利点を持って

22

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ドリンクに合うメニューの順序が付けやすくなる. 本研究では,コレスポンデンス分析の次元数を 2としているため,各要素にはスコアが 2

つ与えられる.このとき,ある行要素の次元 1のスコアを ( )1x ,次元 2のスコアを ( )2x とし,

ある列要素の次元 1のスコアを ( )1y ,次元 2のスコアを ( )2y とする.さらに,次元 1の寄与率を ( )1e ,次元 2の寄与率を ( )2e とする.このとき,この行要素と列要素の相性値 aを,

( ) ( ) ( )( ){ } ( ) ( ) ( )( ){ }22222111 yxeyxea −

と定義する.ここで,単に 2 点間の距離で計算するのではなく,寄与率を用いたのは次元

−+= (4.25)

に重みを持たせるためである.コレスポンデンス分析では,相性がよい要素同士ほど,近

くに寄り合うので, が小さい数値であるほど,相性がよいと言える.相性値は,データ数

の多い要素ほど,全体的に小さくなりやすくなるという性質を持っている.この原因とし

て,4.2.3項でも述べたように,コレスポンデンス分析のスコアはその要素のデータ数の逆数,もしくは逆数の平方根に比例し,データ数が多いと中心に引き寄せられるため,他の

要素と近い点にプロットされやすくなるからである. ここで,この相性値を用いて,各ドリンクに対する料理の相性を順序付けするための 2つの指標を考える. 1. 相性ポイント

a

p 4.2.2項で行った分析結果のスコアを用いて,ドリンクと料理のカテゴリの相性値

を算出する.さらに,4.2.3項以降で行った,ドリンクと料理の各カテゴリに含まれるメニューの分析から,同様にして相性値 を算出する.相性値 , を用い

て,相性ポイント

dca

cma dca cma

pを p cmdc aa ×= (4.26)

と定義する. . 相性値

ドリンクと料理全体に対してコレスポンデンス分析を行い,そこで得られたスコア

あるほど相性はよいので,2つの指標はともに,数値が小

相性値の算出 4.2.2項のスコアから算出した,ドリンクと料理のカテゴリの相性値 を表 4.1に示す.

の次元 1 0.922であり,次元 2の寄与率が 0.039であるため,この値は

dma 2

から,式(4.25)を用いて,各ドリンクとメニューの相性値 dma を算出する.

ここで,相性値 aは小さい数値で

さいものほど相性がよい.

4.3.2

dca

図 4.1 の寄与率は

23

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4.2.2項の分析における次元ワー”の 性値が他のドリ

1のスコアの差と近い値となっている.また,“ビール”や“サ相 ンクに比べて小さくなっている.これは,データ数が多いと相

は全体的に同じ相性値 を持ってい

とメニューの相性値 を算出する.“デザート”と“焼肉”はカテゴリ内のメニューに大

きな差がないため省略する.ドリンクと“魚介”に含まれるメニューの相性値を表 に示

は ,

順序付けが可能となった.料理の各カテゴリに対して算出した に表 4.1のカテゴリの相性値 を乗じて,ドリンクと各メニューの相性ポイ

値が小さくなりやすいという,相性値の性質に基づいていると考えられる.表 4.1より,“焼肉”と“ソフトドリンク”の相性値は 0.170 であり,相性がよいことがわかる.その理由として,4.2.2項で述べたように,“焼肉食べ放題”の注文数が非常に多く,居酒屋というよりも,焼肉屋感覚で来る客が多いことと,もう 1 つは,家族連れの多い日曜日に焼肉の半額を行っているため,子供が注文するソフトドリンクが多くカウントされていること

の 2 点が考えられる.また,“焼肉”と“デザート” dca

. 同様にして,料理の各カテゴリに含まれるメニューの分析結果のスコアから, リンク

cm

4.2す.表 4.2から“ビール”に “たこぽん”に比べ“サンマ”のほうが合うというように

a

cm

ント

a

dca pを計算する. 続いて,もう 1つの指標である相性値 dma を算出する.“焼肉”は食べ放題が中心であり,

“焼肉”に属するメニューを注文する客は,同じカテゴリ内のメニューばかりを注文する.

その結果,データに偏り生じるので除外する.さらに,注文回数の少ないメニューは信憑

性に欠けるため,注文回数が 10 回未満であるメニューを除く.残った 61 品とドリンクのクロス集計表を用いて,コレスポンデンス分析を行う.料理メニューの要素をプロットす

ると煩雑になるため,ドリンクのみのプロットを図 4.5に示す.2次元での適合度は 0.581であり,次元 1の寄与率は 0.356である.算出されたスコアより,式(4.25)を用いて,ドリ

表 4.1 ドリンクと料理のカテゴリの相性値

ビール サワー カクテル 焼酎 日本酒 ソフト

ンクと料理メニューの直接の相性値 dma を求める.

dca

一品料理 0.222 0.116 0.493 0.567 0.719 0.743 おつまみ 0.099 0.418 0.813 0.247 0.399 1.050 魚介 0.222 0.520 0.923 0.172 0.305 1 50 .1串焼き 0.063 0.383 0.776 0.284 0.436 1.020 ご飯・麺 0.471 0.151 0.260 0.816 0.965 0.486 サラダ 0.128 0.205 0.589 0.472 0.624 0.838 ステーキ 0.144 0.211 0.613 0.466 0.612 0.838 デザート 0.951 0.632 0.254 1.296 1.446 0.047 焼肉 1.116 0.797 0.412 1.461 1.611 0.170

24

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表 4.2 ドリンクと“魚介”に含まれるメニューの相性値

ビール サワー カクテル 焼酎 日本酒 ソフト cma

イカ一夜 0.070 0.106 0.427 0.705 0.676 0.229 イカホイ 0.467 0.548 0.909 0.257 0.785 0.301 刺身 0.219 0.162 0.648 0.664 0.487 0.193 サンマ 0.302 0.436 0.676 0.345 0.866 0.208 ししゃも 0.451 0.531 0.185 0.897 1.101 0.590 鮪鮭炙り 0.316 0.181 0.474 0.931 0.559 0.436 ほっけ 0.260 0.288 0.211 0.851 0.846 0.427 たこぽん 0.430 0.306 0.773 0.869 0.269 0.428

次元 1

-.

次元 2

-.6

-.8

.8.6.4.2.0-.2-.46-.8-1.0

1.0

.6

-.4

ソフト

サワービール

日本酒.8

焼酎

カクテル.4

.2

0.0

-.2

ドリンク

4.5 ドリンクのプロット

4.3.3 順序付け

各ドリンクに対し,相性ポイント

結果の考察 pと相性値 dma の低い,つまり相性のよい上位 品を

表 4.3 .8に示相性 は,全体的に“おつまみ”, 料理 れ ーの

10

から表 4 す. ポイントで “一品 ”に含ま るメニュ 多くが上

25

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位 1 ランクイン た ラン した 数が

気メ あった. は, リ内 ュー こ して 考

えら ュー数 ため 数が 相性 く さら 性

値 a する際に ー とで スポ ス分 ット が

高く ンクの くに さ ュー しや その結果,

が小さい値をとりやすくなると考えられる.

相性値 に関して 4.5 ドリ “ビール”と“サワー”は比較的近く

プロットされたが,残りは分散した.ドリンクのプロットがそれぞれ離れてプロットさ

たため,各ドリンクから近くに存在する料理のメニューは異なる.その結果,相性値

のランクには全

各ドリンクの相性ポイント

0位に した.ま 同時に, クイン ほぼ半 4.2.5項で定義した人ニューで これら カテゴ のメニ 数が多い とが関係 いると

れる.メニ が多い データ 多く, 値が小さ なった. に,相

cmを算出 ,メニュ が多いこ ,コレ ンデン 析のプロ の密度

なり,ドリ 点と近 プロット れるメニ が存在 すい. cma

dma は,図 より, ンクは,

dmaれ

61品中,51品がランクインした. pと相性値 のランクを比較すると,どのドリンクにも,同

時にランクインしたメニューが 2 6つのメニューが両方にランクインした.この

たメニューは,そのドリンクと相性がよいと言える. 表 “ビール 串焼 の相 番よ な の 2 2.5

項での分析においても,大変近い点にプロットされた. のカクテルと相性のよいメ

ニューを見ると,“ポ イ” こ焼 石焼 バ” 付 若

者に人気のあるメニューが多く, 焼酎 のよ ュー イカ 浅

漬け マ”など の方 メニ く .ま 酎

まみ”に属するメニューとの相性がよく,“日 は, も魚 ー が

くなっている.

表 4.3 “ビール”と相性のよいメニュー 相性ポイント

adm

つ以上存在する.“カク

2テル”と“焼酎”に関しては,

つの指標でともに上位 10品にランクインし

4.3から, ”には“ き”と 性が一 いことに った.こ つは 4. 表 4.5

テトフラ や“た き”,“ ビビン など,味 けの濃い

表 4.6の と相性 いメニ では,“ ホイ”,“

”,“サン ,年輩 が好む ューが多 見られた た,“焼 ”は“おつ

本酒” 肉より のメニュ との相性

p 相性値 dma 順位 メニュー カテゴリ メニュー カテゴリ

1 串焼き 串焼き 串焼き 串焼き

2 だし巻き玉子 おつまみ 和風ジャーマンポテト 一品料理

3 浅漬け おつまみ だし巻き玉子 おつまみ

4 ロングソーセージ 一品料理 鶏の唐揚げ 一品料理

5 レンコンチップ おつまみ 韓国風すじ煮込み 一品料理

6 イカの一夜干し 魚介 浅漬け おつまみ

7 鶏の唐揚げ 一品料理 鉄板餃子 一品料理

8 キムチ おつまみ 枝豆 おつまみ

9 枝豆 おつまみ 明太サラダ サラダ

10 スパイシースティック おつまみ 鮭鮪の炙り焼き 魚介

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表 4.4 “サワー”と相性のよいメニュー

相性ポイント p 相性値 dma 順位 メニュー カテゴリ メニュー カテゴリ

1 ロングピザ 一品料理 鶏の唐揚げ 一品料理

2 小海老の唐揚げ 一品料理 明太サラダ サラダ

3 カマンベールオーブン焼き 一品料理 イカせんべい おつまみ

4 鶏の唐揚げ 一品料理 アスパラベーコン串 串焼き

5 コーンバター 一品料理 上カルビ石焼 ステーキ

6 大根サラダ サラダ 和風ジャーマンポテト 一品料理

7 和風ジャーマンポテト 一品料理 じゃこサラダ サラダ

8 焼きそば ご飯・麺 冷やしトマト サラダ

9 韓国風チヂミ 一品料理 ロングピザ 一品料理

10 ロングソーセージ 一品料理 串焼き 串焼き

表 4.5 “カクテル”と相性のよいメニュー 相性ポイント p 相性値 dma 順位

メニュー カテゴリ メニュー カテゴリ

1 ポテトフライ 一品料理 ポテトフライ 一品料理

2 石焼きおこげ ご飯・麺 石焼きおこげ ご飯・麺

3 石焼きビビンバ ご飯・麺 石焼きビビンバ ご飯・麺

4 キムチチャーハン ご飯・麺 ソーセージパイ包み 一品料理

5 たこ焼き 一品料理 キムチチャーハン ご飯・麺

6 たこわさび おつまみ たこ焼き 一品料理

7 なんこつの唐揚げ 一品料理 シーザーサラダ サラダ

8 アスパラベーコン串 串焼き なんこつの唐揚げ 一品料理

9 キュービックステーキ ステーキ 韓国風チヂミ 一品料理

10 餃子丼 ご飯・麺 コーンバター 一品料理

27

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表 4.6 “焼酎”と相性のよいメニュー 相性ポイント p 相性値 dma 順位

メニュー カテゴリ メニュー カテゴリ

1 イカのホイル焼き 魚介 マグロチャンヂャ おつまみ

2 レンコンチップ おつまみ サンマ塩焼き 魚介

3 浅漬け おつまみ キムチ おつまみ

4 スパイシースティック おつまみ 鶏湯葉の変り揚げ 一品料理

5 サンマ塩 魚介 鉄板餃子焼き 一品料理

6 だし巻き玉子 おつまみ 浅漬け おつまみ

7 鉄板餃子 一品料理 冷奴 つまみ お

8 キムチ おつまみ だ おし巻き玉子 つまみ

9 ラムのス キ ステーキ枝豆 おつまみ テー

10 お新香 おつまみ レンコンチップ おつまみ

日本 性の表 4.7 “ 酒”と相 よいメニュー 相性ポイント p dma 相性値順位

カテゴリ メニュー カテゴリメニュー

1 なんこつ 揚げ 一 たこのポ ン酢がけ 魚介 の唐 品料理

2 チーズオ ツ 一 パイシ ク おつまみムレ 品料理 ス ースティッ

3 たこのポン酢がけ 魚介 お新香 おつまみ

4 ポテトフライ 一品料理 牛タン石焼 ステーキ

5 たこ焼き 一品料理 刺身 魚介

6 刺身 魚介 特大ほっけ 魚介

7 梅たたききゅうり お レンコンチップ お つまみ つまみ

8 鮪鮭の炙 き 魚介 梅たたき おつまみり焼 きゅうり

9 ステーキ イカの一 魚介牛タン石焼 夜干し

10 一品 鮭鮪の 魚介チヂミ 料理 炙り焼き

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トドリ 相性のよい ー

相性ポイント

表 4.8 “ソフ ンク”と メニュ

p 相性値 dca 順位 メニュー カテゴリ カテゴリ メニュー

1 コーンバ 品料理 焼き ご飯・麺ター 一 そば

2 いかせ おつ 塩 麺んべい まみ ラーメン ご飯・

3 お ご飯 麺茶漬け ・麺 お好み焼き ご飯・

4 地鶏の ステ 地 鶏のチーズ焼き ステーチーズ焼き ーキ キ

5 一品 麺たこ焼き 料理 焼きうどん ご飯・

6 韓 一品 み国風チヂミ 料理 スパイスパスタ おつま

7 ステ キュービッ キ クステー ーキ ししゃも 魚介

8 小海老 一品 ロン ジ 理の唐揚げ 料理 グソーセー 一品料

9 一品 マン 焼き 理ロングピザ 料理 カ ベールオーブン 一品料

10 ソー 品 キ ュービックステーキ ステーセージパイ包み 一 料理 キ

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第 5章

効果的なプロモーション 本章で 前章 用い

果的なプロモーションを提案する. まず, 析

① AB ドリンクに関して ”の ぬけて の売 比の 2割 上を占めている.料理に関しては,カテゴリによる大きな変化は見られなかっ

た. デザート”の割合が低く,客に勧めることにより注文数の増加が見込める. ② 来店からの時間による変化

ドリンクに関しては,初めの 10 分間は“ビール”が約 割を占めているが,時間

が につれて分散 .料理に関 ,時 れて が上が

るものと下がるものに分けられる.“ご飯・麺”,“おつまみ”,“一品料理”は割合が

増加し,“串焼き”,“サラダ”,“魚介”,“ステーキ”は減少する.“デザート”は来

店からの時間が ら

の時間が “おつまみ”の注文比が 3 割以上を占めている.

③ 来店からの経過時間による売上金額の変化 1 分以 は

④ ドリ ク

ド ンク 対し よいメ 付けを ール”

は 串焼き” き玉 性がよく テル”は味付けの濃いメニ

ューとの相性がよく,“焼酎”は“おつまみ”, 相性がよ

以上のことをふまえて,客単価の向上のための効果的なプロモーションを考える.

• 来 後の注 ビール 文さ ”と よいメニ

ューを客に勧める.具体的には“串焼き”,“鶏の唐揚げ”などが挙げられる. • “串焼き”や“ステーキ”などの,来店から時間が経つにつれて注文比が減少して

しまうカテゴリのメニューは,最初の注文時など早い段階で勧める. • 客のテーブルにある料理がなくなったとき,またはなくなりそうなときに,追加の

メニューを勧める.その際,客の飲んでいるドリンクを見て,表 4.3から表 4.8より,そのドリンクと相性のよいメニューを勧める.また反対に,客のドリンクがなくな

は, までの分析結果を て,客の注文内容や来店からの時間を考慮した効

各分 結果より明らかになった点を以下に挙げる. C分析

は,“ビール 人気がとび おり,全体 上構成

6経つ する しては 間が経過するにつ 注文比

60 分か 120 分であるときに,注文比が大きく増加している.来店から 120 分以上であるときは,

80 降は,追加の注文 あまり望めない. ン と料理の相性 リ の 6カテゴリに て,相性の ニューの順位 行った.“ビ

“ や“だし巻 子”との相 ,“カク

“魚介”との い.

店直 文では“ ”が多く注 れるため,“ビール 相性が

30

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ったときには,今まで飲んでいたものおかわりを勧めるだけでなく,残っている料

理と相性のよ

• 分以降に“デザート”の注文数が増加することより,客に料理を勧めた際に「お

腹いっぱい たり,それ以上料理を注文することはないと思われる客に,デ

ート”

• 4.4 よ と相性 ュ

いメニューを勧める. 60

」と断られ “

ザ を勧める. セットメニューを提案する.たとえば,表 り,“サワー” のよいメニ

ーの相性ポイント pと相性値 dca でともにランクインした“ロングピザ”,“鶏の唐揚

げ”,“ ト をセッ ンク ”

• 文数の増加 “デ ,相性 ク”

和風ジャーマンポテ ”の 3 点 トとし,最初のドリ で“サワー

を注文した客にすすめる.

注 が見込める ザート”を のよい“ソフトドリン と同時に

注文した場合に割引をする.

31

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第 6章

おわりに

6.1 まとめ

C 分析とコレスポンデンス分析 行 3 章では,メニューをカテゴリに分類し,売上構成比と注文数構成比を用いて,A注文内容

行い,ド

果を比較した.以上の分析結果を考慮して,効果的なプロモーションを提案した.

6.2 今後の課題

本研究

除いたも

た.デー 多く集計し,曜日や季節を考慮した分析や,メニューを除外することな

く 析 ,本研究ではドリンクを中心として考え

たが,料

本研究では,居酒屋の伝票を集計したデータに対して,ABを った.第

BC分析を行い,カテゴリにランク付けをした.また,来店からの経過時間により,が大きく変化することが明らかになった.第 4 章では,コレスポンデンス分析をリンクと料理の相性を調べた.相性の順序付けを行うための指標を 2 つ挙げ,結

で使用したデータは,夏場の 35日間であり,データ欠損の多かった金・土曜日をのであった.また,データ数の欠乏により,分析から除外した箇所が多数存在し

タをより

分 する必要がある.さらに,相性を見る上で

理同士の相性を見ることも必要である.

32

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謝辞

本研究を進めるにあたり,多くの適切なご指導とご助言をいただきました中央大学理工

学部情

きまし 辺 水本

ら感謝

報工学科の田口東教授に心から感謝の意を表します.また,多くのご助言をいただ

た鳥海重喜氏,芦 修一氏, 剛四郎氏をはじめとする田口研究室の皆様に心か

いたします.

33

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参考文献

]社団法人日本フードサービス協会,「外食産業市場動向調査」,2005 年 1 月,//www.jfnet.or.jp/data.htm

[1http: .

Sによるカテゴリカルデータ分析の手順,東京図書,東京,2001. [3

[7 島 正明,中川 慶一郎,生田目 崇,佐川 昌弘,廣岡 康雄,マーケティング・

データ解析,朝倉書店,東京,2003.

[2]石村 貞夫,SPS]井上 勝雄,パソコンで学ぶ多変量解析の考え方,筑波出版会,東京,1998.

[4]岩坪 秀一,数量化法の基礎,朝倉書店,東京,1987. [5]大澤 清二,稲垣 敦,菊田 文夫,生活科学のための多変量解析,家政教育社,東京,1992. [6]岡太 彬訓,木島 正明,守口 剛,マーケティングの数理モデル,朝倉書店,東京,2001.

]木

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付録

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1.0

次元 1

1.51.0.50.0-.5-1.0

次元2

.5

ソフト

ビールレンコンだし巻き

いかせん

0.0 日本酒枝豆

焼酎

サワー

マグチャ

冷奴

スパステ浅漬け

キムチ

お新香

カクテルたこわさスパパス 梅きゅう

-.5

-1.0

ドリンク

”おつまみ”のメニュー

つまみ”に含まれるメニュー

図 1 ドリンクと“お

次元 1

1.51.0.50.0-.5-1.0

次元 2

1.0

.5

0.0

-.5

-1.0

ソフト

日本酒

焼酎

カクテル

サワー

ビール

明パリ

ミモザトマモッ

大根サラ

ジャコサ

シーザー

ドリンク

”サラダ”のメニュー

図 2 ドリンクと“サラダ”に含まれるメニュー

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次元 1

1.0.50.0-.5-1.0-1.5-2.0

次元 2

1.0

.5

0.0

-.5

-1.0

-1.5

-2.0

ソフト

日本酒 焼酎カクテル

サワー

ビール

マヨピザ

冷しゃぶ

うど

谷中豚

揚げ豆腐冷トマト

トロサラ

刺身コ酢豚

カレ 揚

えび焼き

おぼろ

ガッツ炒

生姜アジア

んドリンク

”シーズン”のメニュー

図 3 ドリンクと“シーズン”に含まれるメニュー

次元 1

1.0.5-.0-.5-1.0-1.5

次元 2

1.5

1.0

.5

0.0

-.5

-1.0

ソフト

日本酒

焼酎

カクテル

サワービール地鶏チー

上カル焼串焼き

キュステ

牛タン焼

甘ステ

アスベー

ドリンク

”串焼き”と”ステーキ”

図 4 ドリンクと“ステーキ”.“串焼き”に含まれるメニュー

37

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次元 1

1.51.0.50.0-.5-1.0

次元 2

1.0

.5

0.0

-.5

-1.0

ソフト 日本酒

焼酎

カクテル

サワー

ビール和風ジャ

ロンピー

ロンソー

ポテト

なんこつ

鶏湯葉鳥の唐揚

鉄板餃子

チーオム

たこ焼き

ソーパイ

コーンバ

小海老チヂミ

筋煮込み

カマンベ

ドリンク

”一品料理”のメニュー

図 5 ドリンクと“一品料理”に含まれるメニュー

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