複素数平面【複素数平面】izumi-math.jp/s_yoshida/matome/h31r1hukusosuuheimen.pdfn...

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L □複素数平面 数学Ⅱで学んだように, 以下,複素数 DEL と書いた場合, 文字 DE は実数を表すものとする。 複素数は つの実数 DE 虚数単位 L を用いて D EL の形で表される。 複素数 D EL について,D をその実部といい,E をその虚部という。 たとえば,L の実部は ,虚部は である。 E のときの複素数 D L は実数 D を表す。 E のときの複素数 D EL 虚数といい,とくに 複素数平面のことを, ガウス平面と呼ぶことがある。 D である虚数 EL 純虚数という。 複素数 D EL に対して,座標平面上の点 DE を対応させると, どんな複素数も座標平面上の点で表すことができる。このように,複素数を [ \ 2 E D 3 ] ] D EL 実軸 点で表す座標平面を 複素数平面 または 複素平面 という。 複素数平面上の つの点は, つの複素数を表す。 複素数平面を考える場合, [ 軸を 実軸\ 軸を 虚軸 という。 実軸上の点は実数を表し,虚軸上の原点 2 以外の点は純虚 数を表す。 複素数平面上で複素数 ] を表す点 3 3 ] と書く。また,この点 を点 ] ということがある。たとえば,点 とは原点 2 のことである。 [ \ 2 $ L & L % L ' ( ) 例1) 複素数平面上に, $ L % L & L 図示すると,右のようになる。 W 問1)図で,点'() はそれぞれどのような 複素数を表すか。 問2) * L + L , L - をそれぞれ上の複素数平面に示せ。 複素数平面【複素数平面】 -1-

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Page 1: 複素数平面【複素数平面】izumi-math.jp/S_Yoshida/matome/H31R1hukusosuuheimen.pdfn 倍である。すなわち,2% n2$ である。 例題 ) d l,e [ l とする。 点

□複素数平面 数学Ⅱで学んだように,

以下,複素数 と書いた場合,

文字 , は実数を表すものとする。

複素数は つの実数 , と虚数単位 を用いて

               

の形で表される。

 複素数 について, をその実部といい, をその虚部という。

たとえば, の実部は ,虚部は である。

  のときの複素数 は実数 を表す。 のときの複素数 を虚数といい,とくに

複素数平面のことを,

ガウス平面と呼ぶことがある。

である虚数 を純虚数という。

 複素数 に対して,座標平面上の点 , を対応させると,

どんな複素数も座標平面上の点で表すことができる。このように,複素数を

実軸

点で表す座標平面を 複素数平面 または 複素平面 という。

 複素数平面上の つの点は, つの複素数を表す。

 複素数平面を考える場合, 軸を実軸, 軸を虚軸 という。

実軸上の点は実数を表し,虚軸上の原点 以外の点は純虚

数を表す。

 複素数平面上で複素数 を表す点 を と書く。また,この点

を 点 ということがある。たとえば,点 とは原点 のことである。

例1)  複素数平面上に,

   点 , , を

   図示すると,右のようになる。

                     

問1)図で,点 , , はそれぞれどのような

   複素数を表すか。

問2) 点 , , , をそれぞれ上の複素数平面に示せ。

複素数平面【複素数平面】 

-1-

Page 2: 複素数平面【複素数平面】izumi-math.jp/S_Yoshida/matome/H31R1hukusosuuheimen.pdfn 倍である。すなわち,2% n2$ である。 例題 ) d l,e [ l とする。 点

□共役な複素数

も成り立つ

 複素数 と共役な複素数を で表す。すなわち, に対して, である。

を の 共役複素数 ともいう。共役な複素数の性質として

   1     2 

   3        4 

が成り立つ。

 また と について

      

      

      

が成り立つ。したがって,複素数平面上の点について,次のことが成り立つ。

      点 は点 と実軸に関して対称

      点 は点 と原点に関して対称

『 が実数 』 ならば 「 」

「 」 であるから 『 』

『 が純虚数 』 ならば 「 」

「 」 であるから 『 』

      点 は点 と虚軸に関して対称

 これから,次が成り立つことがわかる。

          が実数

         が純虚数 ,

問4)  とする。点 と,実軸に関して対称な点を ,原点に関して対称な点を ,

     虚軸に関して対称な点を とするとき, , , を表す複素数をそれぞれ求めよ。

      実軸に関して対称な点を   

      原点に関して対称な点を  

      虚軸に関して対称な点を  

複素数平面【複素数平面】 

-2-

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  が実数のとき,

は実数の絶対値と

一致する。

□複素数の絶対値 複素数平面上の 点 , 間の距離は,

座標平面上の場合と同様に線分 の⾧さと考える。

 原点 と点 との距離を,複素数 の絶対値 といい,

で表す。 のとき, で

あるから,次のことがいえる。

  複素数の絶対値

  複素数 の絶対値は   

問5)複素数 , , の絶対値は,それぞれ

          

                                 

 絶対値の定義から次のことが成り立つ

  複素数の絶対値

   1    とくに     

   2                 

   3 

□複素数の実数倍 実数 と複素数 について, である。

よって, のとき,点 は 点 , を通る直線 上にある。

 逆に,この直線 上の点は, の実数倍の複素数を表す。

  のとき,点 は直線 上で,

            原点に関して点 と反対の位置にある。

 よって, のとき,次のことが成り立つ。

   点 , , が一直線上にある となる実数 がある

 複素数 を表す点を , を表す点を とすると,線分 の⾧さは線分 の⾧さの

倍である。すなわち, である。

例題 )  , とする。 点 , と原点 が一直線上にあるとき,

      実数 の値を求めよ。

  点 , , が一直線上にあることから, となる実数 がある。

○ □ ○ □ のとき

  ○ ○ ,□ □

    から 

   よって     ,

    から    ・

複素数平面【複素数平面】 

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ベクトルのように□複素数の和,差の図示 複素数の和,差を複素数平面上で図示してみよう。

  つの複素数    ,

の和は   である。

そこで,複素数平面上に 点 , , を

とると,次のことがいえる。

  点 は,原点 を点 に移す平行移動によって

  点 が移る点である。

    右上の図において,四角形 は平行四辺形である。

                 

  つの複素数 , とその差 について考えよう。

次の等式が成り立つ。

   

 そこで,複素数平面上に 点 , , を

とると,次のことがいえる。

  点 は,点 を原点 に移す平行移動によって

  点 が移る点である。

     であるから, の場合と逆向きの平行移動を考えている。

 複素数の差について,右の図より, であるから,

次のことがいえる。

  点 , 間の距離 は

        ( でもよい)

例3)   点 , 間の距離 は

    

      

      

      

                 

複素数平面【複素数平面】 

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例)複素数 , について, のとき,両辺の共役複素数を考えると

        すなわち           

練習 )複素数 , について, のとき, を求めよ。

      から  

  両辺の共役複素数を考えると

         すなわち          

    1  は実数である

    2 

例題) 複素数 について,次のことを証明せよ。

       のとき, は実数である。

  のとき, であるから

        すなわち  

   よって  

    は実数であるから, は実数である。    

練習) かつ を満たす複素数 について,次の値を求めよ。

                          

   

    の両辺を 乗すると  

    よって   

          

   展開して整理すると  

    であるから  

 したがって      

複素数平面【複素数平面】 

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□極形式

負の角や より大きい角も

考えられる。

 複素数平面上で, でない複素数 を表す点を

とする。線分 の⾧さを ,半直線 を動径と考えて

動径 の表す角を とすると

    ,  ,

である。

 よって, でない複素数 は次の形にも表される。

      

       ただし, で, は弧度法で表された一般角である。

は 「偏角」 を意味する英語

を略したものである。

 これを複素数 の 極形式 という。 である。また,角 を の 偏角 といい で表す。

偏角 は, の範囲や の範囲でただ 通りに定まる。

  の偏角の つを とすると,一般には,

           は整数

である。

例)複素数 を極形式で表せ。ただし,偏角 の範囲は とする。

  の絶対値を とすると

     

      ,

    では  

   したがって

    

 複素数 の偏角を とするとき, の偏角の つは,

     

である。また, であるから, と の極形式について,

次のことがいえる。

  のとき

        ,  

       

問9) 複素数 の極形式を とする。このとき, , の絶対値と

     偏角を , を用いてそれぞれ表せ。

   ,  なので

       ,       ,  

複素数平面【複素数の極形式】 

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□極形式で表された複素数の積と商 絶対値が である つの複素数 , の積と商は,三角関数の

加法定理により,次のようになる。

   

  

  

   

  

  

, のとき

      

      

  複素数の積と商の絶対値と偏角

  1     

  2      

 一般に, 複素数の積と商については,次のことが成り立つ。

 偏角についての等式では, の整数倍の違いは無視して考える。

    1より,複素数 と自然数 について, が成り立つ。

例5)  , のとき, ,

   をそれぞれ極形式で表せ。ただし,偏角 の範囲は とする。

    ・

     

   

     

複素数平面【複素数の極形式】 

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□原点を中心とする回転(複素数の積の図表示) 絶対値が である複素数 と複素数 との積 について,その絶対値と偏角

は,次のようになる。

       ・

      

 このことから,次のことがいえる。

   と に対して,

  点 は,点 を原点を中心として だけ回転した点である。

  であるから,

   点 は,点 を原点を中心として だけ回転した点である。

例)点 と点 の位置関係を考えてみよう。

   , であるから,

  点 は,点 を原点を中心として だけ回転した点である。 

例6)点 と点 の位置関係を考えてみよう。

    であるから,

    , より

  点 は,点 を原点を中心として だけ回転し,

                原点からの距離 を 倍した点である。   

例)   とする。点 を原点を中心として だけ回転した点を表す複素数 を求めよ。

 

     

     

複素数平面【複素数の極形式】 

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 商について, とおくと  ,

 よって,点 は,点 を原点を中心として角 だけ

回転した点 を 倍した点である。

  が実数でないとき,△ は△ を角 だけ

回転し, 倍に拡大または縮小したものであることがわかる。

すなわち,△ と△ は相似であり,その相似比は : である。

例) 複素数 , に対し, , をそれぞれ極形式で表せ。

    また,それらを表す点を複素数平面上に図示せよ。

積⇒距離は積, は和

商⇒距離は商, は差

   ,

   であるから

   

     

   

    

  点 , を図示すると,図のようになる。

例題1) とする。 点 , を頂点とする正三角形の第 の頂点を表す

      複素数 を求めよ。( の表す点を , の表す点を とする)

  点 は,点 を原点を中心として または だけ回転した点であるから,

   を表す複素数は

    

  または

    

   すなわち

      または 

複素数平面【複素数の極形式】 

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□ド モアブルの定理  でない複素数に絶対値が の複素数 を

掛けると,絶対値は変わらずに,偏角が だけ増える。

 このことを用いて の累乗を考えると

  

  

となり,一般の自然数 について,次の等式が成り立つことがわかる。

         ……①

  でない複素数 に対して と定める。このとき,①は のときにも成り立つことがわかる。

 また, でない複素数 と自然数 に対して と定める。

  なので

 このとき, 以上の整数 について,次の等式が成り立つことがわかる。

      ……②

ド モアブルの定理

    が整数のとき  

 ①,②より,次の ド モアブルの定理 が成り立つ。

例8)ド・モアブルの定理を用いて, の値を求めてみよう。

    なので

   よって  ・ ・

                  

                                

例題2) を計算せよ。

     より

   よって 

                

                              

複素数平面【ド・モアブルの定理】 

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□ 乗根 自然数 と複素数 に対して, を満たす複素数 を, の 乗根 という。 でない複

素数 の 乗根は, 個あることが知られている。複素数の極形式を用いて,まず の 乗根につ

いて考えよう。

例) の 乗根は, つの複素数 , , で,

  極形式で表すと

     

     

     

   となる。よって,点 , , は,

   点 が分点の つとなるように,

   単位円を 等分した各分点(正三角形の頂点)である。            

 一般に, を自然数として, を の 乗根としよう。

  から        

  は正の実数であるから  

 ここで, とおくと,ド ・ モアブルの定理から  

 よって, , であるから

          すなわち    は整数

となる。逆に, を整数として

           ……①

とおくと,ド ・ モアブルの定理より が成り立つから, は の 乗根である。また, と

の偏角は だけ異なり,ともに絶対値は であるから が成り立つ。よって,①の の

うち,互いに異なるものは   , , ,……, の 個である。

 以上より,次のことが成り立つ。

の 乗根

 自然数 に対して, の 乗根は, 次の 個の複素数である。  

          

                  , , ,……,

複素数平面【ド・モアブルの定理】 

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問18)(2)   の 乗根は  より 

      , , ,……,

  よって   ,  , 

        , ,

  個の の 乗根は,点 が分点の つとなるように,単位円を 等分する 個の分点を与えて

いる。 よって,これらの点は単位円に内接する正六角形の頂点になっている。  

  一般に,自然数 に対して, の 乗根

    

        , , ,……,

  を表す点は,単位円を 等分する 個の分点である。

   特に,分点の つは点 である。

 一般に, でない複素数の 乗根は,極形式を用いると,次の例題のようにして求められる。

例題3) 方程式 を解け。

 方程式の解 の極形式を   ……①

 とすると与式の左辺は  

 与式の右辺を極形式で表すと 

 よって   

 両辺の絶対値と偏角を比較すると

          ,   は整数

    であるから    ……②

   また       

    の範囲で考えると, , , , であるから

           , , ,  ……③

   ②,③を①に代入すると,求める解は

           , , ,

複素数平面【ド・モアブルの定理】 

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内分点,外分点

 1 線分 を : に内分する点を表す複素数は 

   特に,線分 の中点を表す複素数は 

 2 線分 を : に外分する点を表す複素数は 

数Ⅱ図形と方程式

数Bベクトル

と同様に

 ここでは複素数平面上で図形を考えてみよう。

□線分の内分点,外分点 複素数 , を表す点を,それぞれ ,

とする。このとき,線分 を : に内分する点 の実部,虚部

は,それぞれ   ,  となる。

外分の場合も同様にして求めることができる。

 よって, 点 , に対して,次の1,2が成り立つ。

 

問1) 次の , について, 点 , を結ぶ線分 を : に内分す

   る点,外分する点を表す複素数を,それぞれ求めよ。

      ,         

    内分点 

    外分点 

      ,

    内分点 

    外分点 

数Ⅱ図形と方程式

数Bベクトル

と同様に

例題1) 複素数平面上の 点 , , を 頂点とする

      △ の重心 は, で表されることを証明せよ。

 線分 の中点を とすると,重心 は中線 を

     に内分する点である。

       であるから, は ・

    すなわち,△ の重心 は で表される。

複素数平面【図形への応用】 

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□垂直二等分線

 異なる 点 , を結ぶ線分 の垂直二等分線上の

点 は

        

すなわち    を満たす点である。

例1)  方程式 を満たす点 は,

    点 , から等距離にある点の全体で,

   線分 の垂直二等分線である。

数Bベクトルと同様に

□円

  は正の実数とする。点 を中心とする半径 の円は,

次の方程式を満たす点 全体である。

      すなわち   

とくに,原点を中心とする半径 の円は,

例2)条件 を満たす点 はどのような図形をえがくか。

      

    と変形できるから,点 は,点 を中心とする半径 の円をえがく。

例題2) とする。点 が単位円上を動くとき,点 はどのような図形をえがくか。

点 が単位円上を動けば,

点 は点 を中心とする半径 の円

さらに 倍すると の回転を与えることになる

  

   点 が単位円上を動くから

          ……①

    を について解くと

        

   これを①に代入して

       

       

       

  したがって,点 は点 を中心とする半径 の円をえがく

複素数平面【図形への応用】 

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□アポロニウスの円

例題)方程式 を満たす点 全体は,どのような図形か。

  方程式の両辺を 乗すると   

   よって   

   ゆえに   

   左辺を展開して整理すると

         

   よって   

   すなわち  

   ゆえに   

   したがって,求める図形は点 を中心とする半径 の円である。

 例題の円は, 点 と からの距離の比が : である点 全体である。

 このような円を アポロニウスの円 という。

例題3)複素数平面で, 点 , からの距離の比が である点 全体の

      表す図形を求めよ。

②①

 条件より    すなわち 

 よって   

 両辺を 乗すると

       

      

      

展開して整理すると

として

点間の距離から解く方

法もある(数Ⅱ図形と方

程式として解く)

     

     

     

     

よって  

       より 

        したがって 

これは中心が ,半径 の円を表す

複素数平面【図形への応用】 

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□一般の点における回転

 複素数平面上の 点 , について,点 を点 を中心に角 だけ回転した点 を , を用

いて表そう。

 点 と点 をともに複素数 だけ平行移動した点をそれぞれ点 , とすると

を だけ

回転させる

             

       

となる。点 を原点 を中心に角 だけ

回転すると点 に一致するから

    

したがって

    

ゆえに

    

上の変形を用いると

ここから始まる

例3)点 を点 を中心に だけ回転させた点 を求めてみよう。

      が原点となるように考えると

     点 を だけ回転させると点 になるので

     

        

         

         

         

         

複素数平面【図形への応用】 

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□半直線のなす角 複素数平面上の異なる 点 , について,半直線 が実軸の正の向きとなす角を と

する。ただし,角は向きを含めて考える。

  だけ平行移動すると,点 は原点に移り,

点 は点 に移るから,次のことが成り立つ。

    

  , , を異なる 点とする

とき,半直線 から半直線 までの回

転角を, と表すことにする。

半直線のなす角

 異なる 点 , , に対して   

 点 が原点 に移るような平行移動で,点 が点 に,

点 が点 に移るとすると

     ,

また  

     

     

 したがって,次の等式が成り立つ。

 

例5)複素数 , , が表す点をそれぞれ , , とするとき,∠ を求めよ。

         

                    

                     

                     

   よって             

複素数平面【図形への応用】 

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 回転角 が,特別な値をとる場合を考えてみよう。

  が または であるのは, 点 , , が

一直線上にあるときである。これは が または であるとき,

すなわち が実数のときである。

 また, が または であるのは, 直線 , が

垂直に交わるときである。これは が または であると

き,すなわち が純虚数のときである。

 よって,異なる 点 , , について,次のことが成り立つ。

    点 , , が一直線上にある が実数

    直線 , が垂直に交わる が純虚数

例6) 点 , , について, , , が一直線上にあるときと, 直線 ,

     が垂直に交わるときの実数 の値をそれぞれ求めてみよう。

 

 であるから,

   点 , , が一直線上にあるのは  が実数 ⇒ 

   直線 , が垂直に交わるのは  が純虚数 ⇒   ∴

応用例題4)  点 , , において, が成り立つとき,

         △ はどのような三角形か。

    より

     

  また   より

   ∠

 したがって,△ は,∠ ,∠ であるような直角三角形である。

複素数平面【図形への応用】 

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演習) を複素数とし, を虚数単位とする。

  が実数となる点 全体の描く図形 を複素数平面上に図示せよ。

  が で求めた図形 上を動くときに の描く図形を複素数平面上に図

 示せよ。

解説

  かつ から 

       

 これが実数のとき  

    

            

            

             または

             は実数 または  ただし,

 よって,求める図形は右上の図のようになる。

 ただし,点 , を除く。

  から  

 すなわち  

  はこれを満たさないから       よって 

    のとき

  

    

    

      ただし,

  よって,点 は点 を中心とする半径 の円周上を動く。

  ただし,点 を除く。

    のとき

   から  

  

  よって,点 は 点 , を結ぶ線分の垂直二等分線,すなわち虚軸上を動く。

  ただし,点 を除く。

  , から,求める図形は右上の図のようになる。ただし,点 , を除く。

(北海道大学 )

複素数平面【図形への応用】 

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演習) , は等式 を満たす でない複素数とする。

  を極形式で表せ。

 複素数平面上で, 点 , , を頂点とする三角形の つの角の大きさを求めよ。

   等式の両辺を で割ると   ・    よって     

    を極形式で表すと     ,

  , , とすると, から

         すなわち       また   

 よって, は,点 を直角の頂点とする三角形で  , ,

練習)原点 とは異なる 点 , がある。次の等式が成り立つとき,△

はどんな形の三角形か。

              

解説

  であるから,等式の両辺を で割ると  

 よって  ・・

         複号同順

 ゆえに  

 よって  

 また, であるから  

 したがって,△ は , の二等辺三角形である。

  であるから,等式の両辺を で割ると   ・

 よって  ・

         複号同順

 ゆえに  

 よって   : :

 また, であるから   

 したがって,△ は , ,  の直角三角形である。

複素数平面【図形への応用】 

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