脳 卒 中 の 外 科24:262～267,1996

原 著

Interlocking detachable coilを 用 い た 脳 動 脈 瘤 の 塞 栓 術

兵頭 明夫1,松丸 祐司1,阿武 泉2

亀崎 高夫3,小松 洋治4,小野 幸雄4

吉澤 卓1,吉井與志彦1,能勢 忠男1

Embolization of Cerebral Aneurysm Using Interlocking Detachable Coil

Akio HYODO, M.D.,1 Yuji MATSUMARU, M.D.,1 Izumi ANNO, M.D.,2 Takao KAMEZAKI, M.D.,3 Yoji KOMATSU, M.D.,4 Yukio ONO, M.D.,4 Takashi YOSHIZAWA, M.D.1 Yoshihiko YOSHII, M.D.,1 and Tadao NOSE, M.D.1

Departments of 1 Neurosurgery and 2 Radiology, University of Tsukuba, 3 Department of Neurosurgery, Ibaraki Seinan Medical Center, and 4 Department of Neurosurgery, Kensei General Hospital, Ibaraki, Japan

Summary : IDC (Target Therapeutics, Fremont, CA) is a new embolic material to treat aneurysms. Part of the coil and its pusher are connected by an interlocking mechanism, and the coil is retriev-able if the connecting part is in a microcatheter. Endovascular treatment was performed for 6 cases of cerebral aneurysms, including 3 of ruptured aneurysm with IDC. These comprised 4 cases of saccular aneurysm and 2 cases of dissecting aneurysm. These aneurysms located in the internal carotid artery in 3 cases, vertebral artery in 2 cases, and basilar artery in 1 case. The endovascular

procedures include 4 intra-aneurysmal coil packings and 2 proximal occlusions. Complete occlusion of the aneurysm was obtained in 5 cases, but only partial occlusion was achieved in 1 case. During the procedure, no major complications occurred. After endovascular treatment, no rebleeding occur-red. But embolic complications occurred in 2 cases, including transient ischemic attack and minor stroke. We conclude that endovascular treatment of cerebral aneurysms with IDC is a useful alterna-tive, especially for surgically difficult aneurysms.

Key words :

・cerebral aneurysm

・embolization

・interlocking detachable

coil

は じ め に

Guglielmiら に よ るelectrodetachable coil(GDC)の 開 発

に よ り1)3)脳動 脈 瘤 の塞 栓 術 の適 応 は 拡 大 しつ つ あ るが,

わ が 国 で は ま だGDCは 供 給 され て い な い.一 方,機 械 的

に切 り離 す 方 法 を用 い た 離 脱 型 コ イ ル で あ るinterlocking

detachable coil(IDC)は 最 近 わ が 国 に お い て供 給 され る よ

うに な り,新 しい塞 栓 物 質 と して脳 血 管 内 手 術 に応 用 され

て い る7).今 回 我 々 は,6例 の 脳 動 脈 瘤 にIDCを 用 い て

塞栓 術 を行 った の で,そ の経 験 につ いて 報 告 す る.

対 象 お よび方 法

症 例 はTableに 示 す ご と く男 性2例,女 性4例,年 齢

は43～66歳,平 均59歳 で,内 頸 動 脈 瘤(海 綿 静 脈洞 部)3

例,脳 底 動 脈 瘤(上 小 脳 動 脈 分 岐 部)1例,解 離 性 椎 骨 動 脈

瘤2例 で あ っ た.3例 が ク モ 膜 下 出 血,2例 がmass

1筑波大学 脳神経外科,2同 放射線科,3茨 城西南医療セ ンター 脳神経外科,4県 西総合病院 脳神経外科(受 稿 日1995.12.15)

〔連絡 先:〒305つ くば市天王台1-1-1筑 波大 学臨床 医学系 脳 神経外科 兵頭 明夫〕 [Mailing address: Akio HYODO, M.D., Depart-

ment of Neurosurgery, University of Tsukuba School of Medicine, 1-1-1 Tennodai, Tsukuba 305, Japan]

effectに よ る脳 神 経 マ ヒ,1例 は頭 痛 で発 症 した.解 離性

椎 骨 動 脈 瘤2例 はparentarteryの 閉塞 を 目的 とす る た め,

他 の4例 は手 術 困難 例 と して血 管 内 手 術 の 適 応 と され た.

塞 栓 術 はDSAを 備 え た 血 管 造 影 室 に お い て,破 裂 脳 動

脈 瘤 亜 急 性 期 の1例 を除 き,局 麻,意 識 下 で 全 身 ヘ パ リ ン

總 の も とに行 っ た.動 脈 硬 總 が 強 くカテ ーテ ル操 作 が 困 難

で あ っ た1例 を除 き,大 腿 動 脈 経 由 の セ ル ジ ン ガー 法 で行

った.前 述 の1例 は,右 総 頸 動 脈 の 直接 穿 刺 法 で行 った.

母 動 脈 閉塞 例 で は,母 動 脈 閉 塞 に先 立 って,閉 塞予 定 部

位 にバ ル ー ン カ テ ー テ ル を導 入 して30分 間 の 閉 塞 試 験 を

行 った.次 い で ダ ブル ル ー メ ンの バ ル ー ン カテ ー テ ル をガ

イ デ ィ ン グ カ テ ー テ ル と し て 用 い,Tracker-18twotip

markercatheterを 動 脈 瘤 内 あ る い は母 動 脈 に 導 入 し,カ

テ ーテ ル の 位 置 が 適 当 で あ る こ と を確 認 した後,ガ イ デ ィ

ン グ カテ ーテ ル の バ ル ー ン を膨 ら ませ て 母動 脈 のi血流 を落

と した状 態 で,そ れ ぞ れ 適 当 な サ イ ズ のIDCを 動 脈 瘤 お

よび 母動 脈 が ほ ぼ 造 影 され な くな る まで挿 入 した.瘤 内塞

栓 例 で はTracker-18twotipmarkercatheterを 動 脈 瘤 内

に導 入 し,カ テ ー テ ル の位 置 が適 当 で あ る こ とを確 認 した

後,適 当 な サ イ ズ のIDCを 動 脈 瘤 が ほ ぼ 造 影 され な くな

る ま で 挿 入 した.術 後 は,初 期 はヘ パ リ ン を リバ ー ス し

シ ー ス を抜 去 した が,embolicstrokeの 合 併 症 を経 験 して

か ら は,heparinizationを24時 間 継 続 し,そ の 後 経 口 抗

血1小板 剤 の投 与 を行 った.

結 果

Tableに 示 す ご と く解 離 性 椎 骨 動 脈 瘤2例 はIDCコ イ

ル を用 い て母 動 脈 閉塞 を行 っ た.母 動 脈 閉塞 に先 立 って行

った 閉塞 試験 で は,neurologicaldeficitは 認 め な か った ・

2例 中1例 はIDCを 瘤 内 か ら母 動 脈 へ と順 次 挿 入 し,母

動 脈 閉 塞 を行 っ た が,も う1例 は近 位 母 動 脈 に の みIDC

を挿 入,閉 塞 した.

そ の 他 の 動 脈 瘤4例 は 瘤 内 塞 栓 を 行 っ た.い ず れ も

Tracker-18twotipmarkercatheterの 動 脈 瘤 内 へ の 導 入 や

IDCの 瘤 内 へ の 挿 入 も,特 に ト ラ ブ ル な く行 い 得 た.

giantの1例 はbroadneckの た め約80%程 度 の塞 栓 に と

ど ま った が,他 は ほ ぼ100%塞 栓 が 可 能 で あ った.

瘤 内 塞 栓 を 行 っ た4例 中2例 はmasseffectで 発 症 した

もの で あ り,可 能 で あ れ ば母 動 脈 閉塞 が 最 も良 い 治療 法 で

あ る と思 わ れ た が,い ず れ もバ ル ー ンカテ ーテ ル を用 い た

一 時 閉塞 試 験 で片 麻 痺 を 中心 と した症 状 を呈 した た め,母

動 脈 閉塞 を断 念 し瘤 内 塞 栓 を行 っ た.症 例1は 約80%程

度 の塞 栓 に と ど まっ た に もか か わ らず,術 後徐 々 に動 眼神

経 麻 痺 と顔 面 の しび れ感 お よ び痛 み が 改 善 し,2～3週 間

で ほ ぼ 消 失 した・ 症 例2は ほ ぼ100%塞 栓 が 可 能 で,術 後

1～2週 間 は若 干 の動 眼 神 経 麻 痺 の 改 善傾 向 を見せ た が,

そ の 後 改 善せ ず,術 前 よ りは若 干 良 い もの の,完 全 軽 快 に

は至 らな か った.

6例 と も施 行 中 に破 裂 や コ イ ル の迷 入 な どの 問 題 はな く

コ イル の 出 し入 れ もス ム ー ズで あ っ た・ 術 後 早 期 に,瘤 内

Table Summary of 6 patients of cerebral aneurysm treated with interlocking detachable coils

Surgery for Cerebral Stroke 24 : 1996 263

塞 栓 を行 った 脳 底 動 脈 瘤(上 小 脳 動 脈 分 岐 部)1例 にembo-

lic complicationに よ る と思 わ れ る左 視 床 部 の梗 塞 に よ る

minor strokeを,ま た 術 後3週 間 ほ ど して,内 頸 動 脈 巨 大

動 脈 瘤(海 綿 静 脈 洞 部)1例 にTIAを1回 の み認 め た.ま

た,約80%程 度 の 塞 栓 に と ど ま っ た 内 頸 動 脈 巨 大 動 脈 瘤

(海綿 静 脈 洞 部)の 例 で は,頭 蓋 単 純 撮 影 で 数 カ月 後 にcoil

compactionを きた した こ とが 明 ら か に な っ た が,症 状 の

再 発 は な い た め経 過 観 察 中で あ る.

塞 栓 後 のfollow-upは,Tableに 示 す ご と く4～17カ 月,

平 均8.7カ 月 で あ り,ク モ 膜 下 出 血 で発 症 した症 例 を含 め

そ の 間 に 出 血の発 作 は な く,新 た なemboliccomplic ation

も認 めて い ない.次 に代 表 的 症 例 を示 す.

代 表 例 呈 示

〈 症 例4〉45歳,男 性.

激 しい頭 痛 と嘔 気 で 発 症.近 医 受 診 し頭 部CTで クモ膜

下 出血 を認 め 当 科 紹 介,入 院 とな った.脳 血 管 造 影 に て右

脳 底 動 脈 上 小 脳 動 脈 分 岐 部 にlarge aneurysmを 認 め た

(Fig.1):状 態 はHunt and KosnickのGrade Iで あ り,

脳 血 管 攣 縮 も認 め な か っ た の で,準 備 を整 え,day 6で

開 頭 直 達 手 術 を 行 っ た.右 側zygomatic trans-sylvian

approachに て手 術 を行 い,動 脈 瘤 は視 野 に納 め られ た が,

も と も とneckはhigh positionで あ り,操 作 に難 渋 す る う

ち に 動 脈 瘤domeか ら のpremature ruptureを きた し,止

血 は した もの の 不 十 分 なcoatingの み で,手 術 は終 了 した.

術 後 は そ の ま まbarbiturate療 法 で 維 持 し,4日 後,day

10で 血1管内手 術 に よ る動 脈 瘤 塞 栓 術 を予 定 した.

全 身ヘ パ リ ン化 をせ ず に,6Fカ テ ー テ ル をガ イ デ ィ ン

グ カ テ ー テ ル と して 左 椎 骨 動 脈 に挿 入 し,そ れ を 通 して

Tracker-18 two tip marker catheterを 右 脳 底 動 脈 上小 脳 動

脈 分 岐 部 動 脈 瘤 内 まで 導 入 した.ガ イデ ィ ン グカ テ ー テ ル

か らの造 影 で マ イ ク ロ カテ ーテ ル 先 端 の位 置 が適 正 で あ る

こ と を確 認、し,ま ず 径8mm× 長 さ20cmのIDCコ イ ル

を動 脈 瘤 内 に 挿 入,引 き続 き,5mm×15cm3本,4

mm×8cm1本,3mm×6cm3本 のIDCコ イ ル を順

次 挿 入 し,動 脈 瘤 を 閉塞 した.ガ イデ ィ ン グ カテ ーテ ル か

Fig. 1 A-P (left) and lateral (right) view of the left vertebral angiogram of the Case 4 before embolization.

Fig. 2 Left anterior oblique view of the left vertebral angiogram of the Case 4 before embolization (left), during embolization (center; aneurysm was partially embol-ized) and after embolization (right; aneurysm was totally embolized) .

264 脳 卒 中 の 外 科24:1996

らの造影で動脈瘤の閉塞状況を確認 しつつ行 ったが(Fig.

2),最 終 的に動脈瘤 はほぼ完全 に塞栓 され,母 動脈 の

flowは 良 く保たれていた(Fig.3).

術翌 日の頭部CTで は,embolic complicationに よると

思われる左視床部の梗塞巣を認めたが,そ のほかには特に

異常所見 はなかった.術 後barbiturate療 法を解除 し,回

復するまでに時間がかかったが,塞 栓術2週 間後には明ら

かな運動麻痺はなく,深 部知覚障害のため介助 を要 したが

歩行が可能となり,リ ハビリのため他院へ転院となった.

〈症例5〉43歳,女 性.

比較的突発性の拍動性頭痛で発症.近 医脳神経外科を受

診 しクモ膜下出血 は否定されたが,IVDSAで 右椎骨動脈

に動脈瘤様の陰影を認めたため当科紹介 となった.入 院後

の脳血管造影で右椎骨動脈,後 下小脳動脈よりやや近位部

に狭窄部 を持つ,動 脈瘤様の拡張を認めた(Fig.4).右 椎

骨動脈解離性脳動脈瘤と診断 し,未 破裂ではあるが年齢が

若いことなどを考慮 し,根治的治療を計画 した.患者の希望

もあ り,血 管内手術による近位部の閉塞 を行 うこととした.

椎 骨 動 脈 は右 側 が や や優 位 で あ った が,全 身ヘ パ リ ン化

の も とに行 っ た 閉塞 予 定 部 近 傍 で の バ ル ー ン閉塞 試 験 で は

約30分 の 閉塞 で特 に 問題 な く,閉 塞 中 に施 行 した対 側(左

側)椎 骨 動 脈 造 影 で は椎 骨 動 脈 合 流 部 か ら右 側 椎 骨 動 脈,

右 後 下 小 脳 動 脈 お よび 動脈 瘤 が逆 行 性 に よ く造 影 さ れ た.

動 脈 瘤 を 含 め た 右 椎 骨 動 脈 の 遮 断 は 可 能 と判 断 し,IDC

コ イル を用 い て の血 管 内手 術 に よる動 脈 瘤 お よ び近 位 部 の

閉 塞 を計 画 した.

全 身 ヘ パ リ ン化 の も とに7Fダ ブ ル ル ー メ ンバ ル ー ン カ

テ ー テ ル をガ イ デ ィ ング カ テ ー テ ル と して 右 椎 骨 動 脈 に挿

入 し,そ れ を 通 してTracker-18 two tip marker catheter

を右 椎 骨 動 脈 解 離 性 動 脈 瘤 内 まで 導 入 した.ダ ブ ル ル ー メ

ンバ ル ー ンカ テ ー テ ル を膨 ら ませ,flow-controlを 行 っ た

状 態 で,ま ず 径2mm× 長 さ4cmのIDCコ イ ル を2本

拡 張 した動 脈 瘤 内 に挿 入,引 き続 き,3mm×10cm,4

mm×12cmのIDCコ イ ル を用 い て 近 位 椎 骨 動 脈 を 閉塞

した(Fig.5).ダ ブ ル ル ー メ ンバ ル ー ンカ テ ー テ ル をde-

Hateし て も流 れ が な くな る までIDCコ イ ル に よ るパ ッキ

ング を行 っ た後,左 椎 骨 動 脈 撮 影 を行 い,右 椎 骨 動 脈 か ら

Fig. 3 A-P (left), lateral (center) and right anterior oblique (right) view of the left vertebral angiogram of the Case 4 just after embolization. Aneurysm was totally embolized.

Fig. 4 A-P (left) and lateral (right) view of the right vertebral angiogram of the Case 5 before embolization.

Surgery for Cerebral Stroke 24 : 1996 265

Fig. 5 A-P view of the right vertebral angiogram (right and left) or plain skull film (center) of the Case 5 during embolization. The embolization using IDC coils proceeded from upper left to lower right.

Fig. 6 A-P (upper left) and lateral (upper right) view of the right vertebral angiogram, A-P (lower left) and left anterior oblique (lower right) view of the left vertebral angiogram of the Case 5 just after embolization. Aneurysm and the distal part of right vertebral artery before right

posterior inferior cerebellar artery (PICA) were totally embolized, and right PICA was well visible through retrograde filling of the right distal vertebral artery.

266 脳 卒中の外 科24:1996

右 後 下 小 脳 動 脈 が よ く造 影 され る こ と,お よび動 脈 瘤 は造

影 さ れ な い こ と を確 認 し(Fig.6),血 管 内手 術 を終 了 した.

そ の後 特 に合 併 症 な く経 過 し,外 来 に て経 過 観 察 中で あ

る.

考 察

脳 動 脈 瘤 に対 す る血 管 内 治 療 はdetachable balloonを 用

い て 脳 外 科 的 手 術 困 難 例 を 中 心 に 行 わ れ て い た が4),

Guglielmiら に よ るGDCの 開 発 に よ りそ の 塞 栓 術 が よ り

容 易 に行 わ れ る よ う に な って きた1)3).当 初 は や は り後 頭

蓋 窩 の 動 脈 瘤 な ど,種 々の 理 由で の 脳 外 科 的 手 術 困 難 例 な

どが 適 応 とされ たが2),近 年 そ の適 応 は拡 大 しつ つ あ る6).

一 方 わ が 国 で は まだGDCは 供 給 され て い ず,そ の 恩 恵

を被 る こ と はで き ない が,そ の か わ り機 械 的 に切 り離 す 方

法 を 用 い た 離 脱 型 コ イ ル で あ るinterlocking detachable

coil(IDC)が 我 が 国 に お い て 供 給 さ れ る よ う にな り,新 し

い塞 栓 物 質 と して脳 血 管 内 手 術 に応 用 され て い る.

IDCに つ い て の報 告 は,近 年 散 見 さ れ て い るが5)7),今

回 我 々 は6例 の脳 動 脈 瘤 にIDCを 用 い て 塞 栓 術 を行 った

が,6例 中4例 は瘤 内 塞栓 を,2例 は母動 脈 閉塞 を行 い,

い ず れ も技 術 的 に は問 題 な く良好 な結 果 を得 た.母 動 脈 閉

塞 に は従 来 か ら離 脱 型 バ ル ー ンカ テ ー テ ル が用 い られ て い

る が,わ が 国 の現 状 で は 良 い離 脱 型 バ ル ー ンカ テ ー テ ル の

入 手 が 困難 で あ る た めIDCを 用 い た が,良 好 な結 果 で あ

っ た.瘤 内塞 栓 を行 っ た4例 中2例 はmass effectで 発 症

した もの で あ り,基 本 的 に は瘤 内塞 栓 は適 当 で ない と は思

わ れ たが,一 時 閉塞 試 験 の結 果,母 動 脈 閉塞 が 不 可 能 と判

断 さ れ た た め瘤 内塞 栓 を行 っ た.そ の 結 果,2例 中1例 は

masseffectに よ る症 状 は ほ とん ど改 善 を認 め な か っ た が,

1例 に は改 善 を認 め,母 動 脈 閉 塞 の 不 可 能 な例 に は試 み る

価 値 はあ る もの と思 わ れ た.

IDCの カ テ ー テ ル 内,塞 栓 目的 部 位 で の 操 作 性 は 良好

で あ り,retrievabilityも コ イ ル の 数 回 の 出 し入 れ で は特 に

問 題 は無 か っ た.早 期 離 脱 やmigrationな どの 危 険 性 は残

る もの の,我 々 の症 例 で は起 こ らな か った.IDCはGDC

に比べ,そ の構造上どうしても連結部であるフックの部分

が硬い部分 として残 り,コ イルの太さの関係からコイル部

分 もGDCよ りは硬いという欠点があ り,小 さな破裂脳動

脈瘤などには適応するのは困難 と思われるが,GDCが 使

用できない日本の現状においては,手 術困難例や母動脈の

閉塞を目的とした脳動脈瘤の塞栓術には十分に使用可能で

あると思われる.

結 語

6例 の脳動脈瘤にIDCを 用いて塞栓術 を行い良好な結

果を得た.IDCはGDCに 比べ硬いといわれてお り,そ の

操作には十分 な注意が必要であるが,GDCが 使用できな

い現状においては,手 術困難例や母動脈の閉塞を目的とし

た脳動脈瘤の塞栓術には使用可能である.今 後,GDCが

供給 されるようになれば,脳 動脈瘤に対する血管内治療の

適応は更に拡大されるものと思われる.

文 献

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saccular aneurysms via endovascular approach. Part 2: pre-

liminary clinical experience. J Neurosurg 75: 8-14, 1991

2) Guglielmi G, Vinuela F, Duckwiler G, et al: Endovascular

treatment of posterior circulation aneurysms by electro-

thrombosis using electrically detachable coils. J Neurosurg

77: 515-524, 1992

3) Guglielmi G, Vinuela F, Sepetka I, et al: Electrothrombosis

of saccular aneurysms via endovascular approach. Part 1:

electrochemical basis, technique, and experimental results.

J Neurosurg 75: 1-7, 1991

4) Higashida RT, Halvach VV, Leslie DC, et al: Detachable

balloon embolization therapy of posterior circulation in-

tracranial aneurysms. J Neurosurg 71: 512-519, 1989

5) Marks MP, Chee H, Liddell RP, et al: A mechanically de-

tachable coil for the treatment of aneurysms and occlusion

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Acta Neurochir (Wien) 134: 177-183, 1995

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Surgery for Cerebral Stroke 24 : 1996 267