shinohara m
TRANSCRIPT
マルチエージェント分析による
顧客主導予約調整メカニズムの
有効性に関する研究
システム情報工学専攻
複雑系工学講座 調和系分野
修士課程2年
篠原 敏夫
平成15年度修士論文発表会
得するなら チケットを譲ってもいいな・・・
多少高くてもいいので、 チケット手に入らないかなぁ・・・
背景
航空券,コンサートチケット等の予約
先に訪れた顧客が優先される
後に訪れた顧客の方が予約を高く評価している可
能性
• 友人同士であれば,融通を利かせることは可能
• 他人同士の場合,売買メカニズムに調整機能はない
ネットオークション・ダフ屋
資源配分の調整機能を担う
• 資源をより高く評価している人へ再配分
• 第3者による調整→投機的行動(正常な価格付けが行われない)
研究目的
資源配分調整を行うメカニズムの提案
先に訪れた顧客が優先される状況を想定
顧客主導により市場機構を利用し,投機的行動を防止
提案メカニズムの有効性の分析
エージェントベースシミュレーション
予約をしたいのだけれど, まだ空いているかなぁ・・
顧客主導予約調整メカニズム
CRA (Customer-driven Reservation Adjustment)メカニズム
売り手(サービス提供者)
予約が一杯
申し訳ありません, その予約は一杯です・・
多少高くてもいいので, 予約が手に入らないかなぁ・・・
顧客主導予約調整(CRA)メカニズムを利用
顧客i(予約希望者)
多少高くてもいいので, 予約が手に入らないかなぁ・・・
顧客主導予約調整メカニズム
CRA (Customer-driven Reservation Adjustment)メカニズム
顧客i(予約希望者)
売り手(サービス提供者)
)( lpl 価格予約
顧客h(既予約者)
顧客(既予約者)
顧客(既予約者)
急ぎではないし,変更して得する なら予約を変更してもいいな・・・
)( lpl 価格予約
予約lを入手、
支払う価格はw )( kpk 価格予約
予約をlからkに変更,
支払う価格はpk-(w-pk)
顧客主導の予約調整,売り手は仲介のみ
希望した予約を入手
希望購入価格wと定価pkの差額の割引
販売率上昇
予約の
配分調整
シミュレーションモデル
ステップ(0,…,T)
各ステップで顧客エージェントが1人訪れ,予約1ユニットの入手を目指す
予約
エージェント
売り手エージェント1人
顧客エージェント複数 A={1,…,n}
),...,(),,...,(, 11 mm ppqqm pq 価格ット数 各種類の予約のユニ種類
)(),...,()( 1 tqstqstt mqsのユニット数に所持している各予約ステップ売り手エージェントが
: 全体の傾向を表現と : 個人差を表現
は標準正規乱数
値:ユニットに対する評価 の各予約 顧客エージェント
のユニット数に所持している各予約 がステップ顧客エージェント
jj
i
j
i
jj
i
jj
i
j
i
m
iii
j
i
m
ii
v
vvvji
tqbtqbtti
,
,
),...,(,1
)(),...,()(
1
1
v
qb
※一般的な需要関数の特徴を全て満たす[G. Gallego and G. v. Ryzin(1994)]
航空券に対する需要関数は正規分布[J. I. McGill and G. v. Ryzin(1999)]
※予め待ち行列を考え,順番に処理する状況を想定 順番異存
顧客エージェントの行動
ステップtに訪れた顧客エージェントiの行動
評価値と価格の差が正で最大となる予約jを入手
評価値と価格の差が正となる予約が無い場合
メカニズムが無い場合
• 予約を入手しない
メカニズムが有る場合
• メカニズムを利用し、入手を試みる
• 選択する予約は評価値が最大の予約l,希望購入価格wは評価値とする
予約変更を依頼された顧客エージェントhの行動
予約変更のメリットがある場合,変更に応じる予約kを通知
0)(maxarg tqspvpvj kk
i
kk
i
kk
i
lk
i
kk
vwtqsvl ,0)(maxarg
0)()(maxarg
0)(0)(
tqstpvk
tqstpvwvj
jj
h
jj
jj
h
l
h
j
1)()1(
1)1(
tqstqs
tqb
jj
i
j
1)()1(
1)1(
,0)1(
1)1(
tqstqs
tqb
tqb
tqb
jj
h
j
h
l
i
l
購入希望価格
数 予約のユニット
予約の価格
に対する評価値の各予約 顧客
ユニット数が所持している予約の 顧客
いる予約のユニット数 売り手が所持して
w
jiv
it
t
i
j
i
q
p
qb
qs
)(
)(
メカニズム有効性の尺度
余剰
売り手エージェントの余剰
顧客エージェントの余剰
社会的余剰
数 予約のユニット
予約の価格
に対する評価値の各予約 顧客
ユニット数が所持している予約の 顧客
いる予約のユニット数 売り手が所持して
q
p
qb
qs
jiv
it
t
i
j
i )(
)(
Ai
ii
Ai
ii TTT )()()( qbvpvqbqsqp
)(Tqsqp
pvqb
i
Ai
i T )(
CRAメカニズムの有無による各余剰の変化は?
パラメータ設定
j
i
jj
i
j
j
j
j
j
jj
vji
b
ap
ba
mjmjmbap
qT
ppqjm
に対する評価値の予約※顧客エージェント
需要の偏りの大小 偏りの大小の大小・・・評価値の
需要の大小大小の大小・・・評価値の ※
評価値のパラメータ
倍(全予約の・・・トの人数訪れる顧客エージェンステップ数
価格のユニット数各予約予約の種類
2.0
3.0,2.0,1.0,0,80.0,...,52.0,50.0
,,...,1,)2/)1(()1/(
)22)(
1,400,20
1通りにつき
100回行い、
平均を導出。
q
顧客エージェント
全体の需要
aが小
q
顧客エージェント
全体の需要
aが大
q
顧客エージェント
全体の需要
bが小
q
顧客エージェント
全体の需要
bが大
aの大小:全体の需要の大小 bの大小:全体の需要の偏りの大小
シミュレーション結果
社会的余剰(メカニズム有/メカニズム無)
CRAメカニズムが無い場合の販売率
aが上昇するほど
販売率が増加
偏りの大小の大小・・・評価値の
大小の大小・・・評価値の※
b
a
・bが大きいほど
高い効果
・a=0.64付近で
高い効果
CRAメカニズムが無い場合の販売率
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8
a(評価値の大小)
パー
セント
b=0
b=0.1
b=0.2
b=0.3
社会的余剰(メカニズム有/メカニズム無)
90%
100%
110%
120%
130%
0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8a(評価値の大小)
パーセント
b=0
b=0.1
b=0.2
b=0.3
シミュレーション結果
顧客エージェントの余剰の平均の割合
(メカニズム有,利用せず入手/メカニズム無)
顧客エージェントの余剰(メカニズム有/メカニズム無)
先に訪れ,変更に応じた
顧客エージェントの余剰が増加
売り手エージェントの余剰(メカニズム有/メカニズム無)
偏りの大小の大小・・・評価値の
大小の大小・・・評価値の※
b
a
売り手エージェントの余剰(メカニズム有/メカニズム無)
90%
100%
110%
120%
130%
0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8
a(評価値の大小)
パー
セント
b=0
b=0.1
b=0.2
b=0.3
顧客エージェントの余剰(メカニズム有メカニズム無)
90%
100%
110%
120%
130%
0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8
a(評価値の大小)
パーセント
b=0
b=0.1
b=0.2
b=0.3
顧客エージェントの余剰の平均(メカニズム有,利用せず入手/メカニズム無)
90%
100%
110%
120%
130%
0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8a(評価値の大小)
パーセント
b=0
b=0.1
b=0.2
b=0.3
ステップ毎の顧客エージェントの予約入手率(メカニズム有/メカニズム無)
0%
40%
80%
120%
160%
0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000
ステップ
パー
セント
CR Aメカニズムによる入手
普通に入手
シミュレーション結果
ステップ毎の顧客エージェントの予約入手率(メカニズム有/メカニズム無)
後の方に来た顧客エージェントは
メカニズムが有る場合,入手率上昇
※a=0.62,b=0.3の
場合の結果
100ステップ毎の
平均値
メカニズムを利用せずに
入手することが困難に
メカニズムの利便性が課題
最適な資源配分との比較(b=0.3)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8
a(評価値の大小)
パーセント
メカニズム有
メカニズム無
シミュレーション結果
最適な資源配分との比較(b=0.3)
CRAメカニズムは顧客主導の下で,
効率的な資源配分を実現
ほぼ最適な
資源配分を
実現
順番に関係なく配分
偏りの大小の大小・・・評価値の
大小の大小・・・評価値の※
b
a
Ai
ii T )(qbv※社会的余剰・・・
結論
顧客主導の資源配分メカニズムを提案
シミュレーションモデルを構築し,メカニズムの有効性を検証
需要構造の違いの影響
売り手,顧客,社会全体それぞれへの影響
最適な資源配分との比較