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USMT を使ったユーザー データの移行

USMT の利用によるユーザー データの移行

USMT の利用によるユーザー データの移行(Windows 8.1 および Windows Server 2012 R2対応)評価ガイド

Microsoft Corporation発行日 : 2014 年 6 月

このドキュメントに記載されている情報は、このドキュメントの発行時点におけるマイクロソフトの見解を反映したものです。変化する市場状況に対応する必要があるため、このドキュメントは、記載された内容の実現に関するマイクロソフトの確約とはみなされないものとします。 また、発行以降に発表される情報の正確性に関して、マイクロソフトはいかなる保証もいたしません。 このホワイトペーパーは情報提供のみを目的としており、明示、黙示、または法律上の保証に関わらず、これらの情報についてマイクロソフトはいかなる責任も負わないものとします。 お客様ご自身の責任において、適用されるすべての著作権関連法規に従ったご使用を願います。このドキュメントのいかなる部分も、米国 Microsoft Corporation の書面による許諾を受けることなく、その目的を問わず、どのような形態であっても、複製または譲渡することは禁じられています。 ここでいう形態とは、複写や記録など、電子的な、または物理的なすべての手段を含みます。 ただしこれは、著作権法上のお客様の権利を制限するものではありません。 マイクロソフトは、このドキュメントに記載されている内容に関し、特許、特許申請、商標、著作権、またはその他の無体財産権を有する場合があります。別途マイクロソフトのライセンス契約上に明示の規定のない限り、このドキュメントはこれらの特許、商標、著作権、またはその他の知的財産に関する権利をお客様に許諾するものではありません。 © 2014 Microsoft Corporation. All rights reserved. Microsoft、Windows、Windows ロゴ、及びWindows Server は米国 Microsoft Corporation の米国またはその他の国における登録商標または商標です。 このドキュメントに記載されている会社名、製品名には、各社の商標のものもあります。

企画/執筆/監修 執筆 :ユニアデックス 株式会社 企画/監修/改訂 :日本マイクロソフト株式会社

改訂履歴バージョン年月日改訂者内容1.02014年6月13 日ユニアデックス 株式会社初版を作成

目次はじめに51.効率的な標準クライアントの展開6ステップ 1. 展開環境の準備6ステップ 1-1 テクニシャン コンピューターの作成6ステップ 1-2 展開サーバーの構築7ステップ 2. 参照コンピューターの作成7ステップ 3. 標準イメージの作成7ステップ 4. 標準イメージの保守7ステップ 5. 標準イメージの展開7ステップ 5-1 標準イメージの展開8ステップ 5-2 ユーザー状態の移行102.ユーザー状態移行の概念113.既存クライアント環境のアップグレード124.ユーザー状態データの移行ツール134.1.Windows 転送ツール134.2.User State Migration Tool (USMT) 5.0145.User State Migration Tool 5.0 について156.User State Migration Tool 5.0 のコンポーネント166.1.Scanstate.exe166.2.Loadstate.exe196.3.Usmtutils.exe226.4.移行規則ファイル226.5.USMT 内部ファイル237.User State Migration Tool 5.0 の要件247.1.サポートされているオペレーティング システム247.2.ソフトウェア要件247.3.ハード ディスク要件257.3.1.移行元コンピューター257.3.2.移行先コンピューター267.3.3.ScanState ツールを使ったディスク領域要件の計算267.4.ユーザーの前提条件268.User State Migration Tool 5.0 の考慮事項288.1.USMT により移行されるもの288.1.1.ユーザー データ288.1.2.オペレーティング システム コンポーネント288.1.3.サポートされているアプリケーション288.2.USMT により移行されないもの298.2.1.アプリケーションの設定298.2.2.オペレーティング システムの設定299.User State Migration Tool 5.0 を使用した移行手順309.1.USMT 5.0 のインストール319.2.ユーザー状態データ用中間ストアの準備339.3.移行元コンピューターのユーザー状態データの確認349.4.PC 更新シナリオでのユーザー状態の移行399.5.PC 置換シナリオでのユーザー状態の移行439.6.移行先コンピューターのユーザー状態データの確認47まとめ52Appendix53A.1. USMT で移行されるオペレーティング システム コンポーネント53A.2. 設定が移行されるアプリケーション54

USMT の利用によるユーザー データの移行

- 4 -

はじめに

多数のクライアントに Windows 7 や Windows 8、Windows 8.1 などの新しい OS 環境を効率的に展開する場合は、組織内の標準クライアント環境を構築し、そのイメージを作成します。作成したイメージはWindows Server に含まれる Windows 展開サービスや、System Center 2012 R2 Configuration Manager (SCCM) などの展開機能を使用してネットワーク経由でコンピューターに展開できます。新しい OS 環境を展開するだけでなく、以前に使用していたユーザーのデスクトップ環境や、以前の PC に保存されているデータも新しい環境で利用できることが生産性の向上につながるでしょう。

このドキュメントでは、既存の環境を、Windows 7 や Windows 8、Windows 8.1 などの新たに導入する環境へ、User State Migration Tool (USMT) 5.0 を使用して移行する手順を紹介します。

マイクロソフトでは、Windows 8.1 のサポートを含む展開用のツール群として、Windows アセスメント & デプロイメント キット (Windows ADK) を提供しています。Windows ADK は、Windows 8.1 を展開する IT 担当者向けに設計されています。Windows ADK を使用すると、標準クライアント イメージの作成、カスタマイズされたイメージ ファイルのメンテナンス、自動展開のための応答ファイルの作成などの作業が行えます。また、Windows ADK に含まれる User State Migration Tool (USMT) 5.0 を使用して Windows Vista などの既存のクライアント コンピューターに格納されているユーザー データを新たに導入される Windows 7 やWindows 8、Windows 8.1 などのクライアント コンピューターに移行できます。

本ドキュメントの他に以下のドキュメントも参照することで、効率的なクライアント展開をより理解することができます。

標準イメージの展開技術概要http://download.microsoft.com/download/9/7/9/97983C57-B297-4FBE-AA2B-F8736739B5F4/W8_Migration_WP_Overview.docx

Windows ADK による標準イメージの作成手順http://download.microsoft.com/download/9/7/9/97983C57-B297-4FBE-AA2B-F8736739B5F4/W8_Migration_WP_ADK.docx

Windows 展開サービスによる標準イメージの展開http://download.microsoft.com/download/9/7/9/97983C57-B297-4FBE-AA2B-F8736739B5F4/W8_Migration_WP_WDS.docx

効率的な標準クライアントの展開

組織内の大量のクライアント環境を効率的に新しい Windows 7、 Windows 8、Windows 8.1 の環境にするためには、次のようなステップがあります。

·

ステップ 1. 展開環境の準備

最初のステップでは、展開環境を作成します。クライアントを展開するには、まず IT 担当者が作業するテクニシャン コンピューターを準備します。クライアント展開を自動化する場合には、MDT、WDS、SCCM などの展開サーバーも準備します。

ステップ 1-1 テクニシャン コンピューターの作成

テクニシャン コンピューターは、Windows ADK をインストールして、展開に必要な応答ファイルを作成したり、オフラインでイメージの更新作業をしたりする作業用のコンピューターです。Windows 7 展開時に使用していた Windows AIK は Windows 8 のリリースとともに Windows ADK となりました。

テクニシャン コンピューターは、Windows 7、Windows 8、Windows 8.1 または Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012、Windows Server 2012 R2 Updateが動作している必要があります。また、マイクロソフトのダウンロード センターから Windows ADK を入手し、インストールする必要があります。

Windows 8.1 Update用 Windows アセスメント & デプロイメント キット (Windows ADK)

http://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=39982

ステップ 1-2 展開サーバーの構築

展開サーバーは、ネットワーク経由で標準クライアント イメージを展開するサービスを提供するサーバーで、選択した展開方法により構築するサーバーは異なります。展開サーバーとしての役割は、Microsoft Deployment Tool (MDT) サーバー、Windows Server に含まれる Windows 展開サービス (WDS)、System Center 2012 R2 Configuration Manager (SCCM) などがあります。

ステップ 2. 参照コンピューターの作成

ステップ 2 では、参照コンピューターを作成します。参照コンピューターとは、組織の標準のクライアント環境です。参照コンピューターに組織内の標準となる OS やアプリケーションをインストールし、環境を組織用にカスタマイズします。参照コンピューターにインストールするWindows 7 やWindows 8、Windows 8.1オペレーティング システムには、Volume License (VL) 版のインストール メディアを使用する必要があります。

ステップ 3. 標準イメージの作成

ステップ 3 では、作成した標準クライアント環境をイメージ化します。イメージを作成する前に、参照コンピューターで、Sysprep (システム 準備ツール)を使用して、コンピューターを一般化します。一般化により、コンピューター固有の情報が削除され、次回起動時にコンピューター固有の情報を再設定できます。イメージ ファイルを作成するには、Windows ADK に含まれる Windows PE と展開イメージのサービスと管理ツール (DISM) を使用します。あらかじめ作成した Windows PE で参照コンピューターを起動し、DISM ツールを使用して標準イメージを作成することができます。

ステップ 4. 標準イメージの保守

ステップ 4 では、作成したイメージのメンテナンス作業を行います。DISM ツールを使用すると、作成したイメージへのドライバーやパッケージの追加、イメージ内の Windows の機能の有効化、地域と言語の設定の変更などをすることが可能です。

ステップ 5. 標準イメージの展開

ステップ 5 では、作成した標準イメージを選択した展開方法を使って展開します。その後、ユーザー状態データを移行します。

ステップ 5-1 標準イメージの展開

Windows 7 および Windows 8、Windows 8.1 の展開手法には以下の手法があります。

展開方法

手動展開

無人インストール

Microsoft Deployment Toolkit (MDT)(英語版のみ)

Windows 展開サービス(WDS)

System Center 2012 R2 Configuration Manager(SCCM)

展開数の目安

数台

10台 <

10台 < 1000台

10台 < 1000台

100台 <

展開時間

最も長い

最も短い

ネットワーク

オプション

オプション

必須

必須

必須

サーバー

不要

オプション

オプション

必須

必須

セットアップシナリオ

新規インストール

アップグレード

新規インストール

新規インストール

アップグレード

リフレッシュ

リプレース

新規インストール

新規インストール

リフレッシュ

リプレース

ユーザーデータ

別途移行

別途移行

組み込み可

別途移行

組み込み可

アプリケーション

別途インストール

標準イメージに組み込み可

標準イメージに組み込み可

標準イメージに組み込み可

標準イメージに組み込み可

特徴

確認しながらセットアップを進められる

台数が増えると人手と時間が必要

応答ファイルを使用した、インストールの自動化

アプリケーションを含んだ環境を同時に作成できる。

多くのセットアップ シナリオをサポート

ユーザー状態データの移行も可能

クライアント側に起動ディスクがなくても PXE ブートでセットアップ可能

WDS サーバーの構築は容易

クライアント管理ソリューションの一部として OS 展開可能

ユーザー状態データの移行も可能

アプリケーション配布、更新プログラム展開と同様に管理可能

手動展開手動展開は Windows 7 または Windows 8、Windows 8.1 のインストール メディアを使用したインストール方法を指します。手動展開では、インストール ウィザードを使用して、キーボードやマウスからコンピューターを構成しながらセットアップを行います。手動展開では、セットアップを確認しながら進められるという利点がありますが、手間がかかり、台数が増えると時間がかかるため、効率的な方法とはいえません。なお、組織用にカスタマイズした Windows 7 または Windows 8、Windows 8.1 の標準クライアント イメージを作成し、そのイメージを使った手動展開も可能です。手動展開で OS インストールを行った場合、クライアント環境が構築されたあとでユーザー状態データの移行を行う必要があります。

無人インストール無人インストールは、インストール開始後インストール処理が自動的に行われ、インストール終了まで操作が不要な展開方法です。無人インストールでは、Windows 7 や Windows 8、Windows 8.1 の構成に必要な値をあらかじめ応答ファイルに定義し、セットアップ時に応答ファイルを読み込みながらセットアップを進めることができます。組織内の共通で使用する値を応答ファイルに設定しておくことで、セットアップ時の値の入力を省略できます。応答ファイルは、Windows ADK に含まれる Windows システム イメージ マネージャーで作成および編集ができます。無人インストールでは、Windows 7 や Windows 8、Windows 8.1 のインストール メディアに含まれる初期イメージや IT 担当者により作成された標準イメージを使用することが可能です。標準イメージを使用すると、アプリケーションのインストールや環境のカスタマイズをイメージ作成時に処理することができるため、展開時にそれらの構成を省略することも可能です。無人インストールで使用する応答ファイルには、ユーザー状態の移行を含むことはできないため、クライアント環境が構築されたあとでユーザー状態データの移行を行う必要があります。

Microsoft Deployment Toolkit 2013Microsoft Deployment Toolkit (以下 MDT) は、クライアント コンピューターの効率的なライフサイクルをサポートするための包括的なソリューションです。MDT をインストールすると、クライアント コンピューターの導入計画、展開、移行などをサポートするためのドキュメントとツールが組み込まれます。それらのツールを使用することで、マイクロソフトの展開テクノロジーを使用した Windows クライアントのイメージの標準化とクライアント展開を実現できます。Windows 8.1 は、MDT 2013 でサポートされます。MDT は、完全な自動化が可能なゼロ タッチ インストール方法 (System Center 2012 R2 Configuration Manager の OS 展開機能相当を利用) と、ライト タッチ展開方法 (MDT サーバーからの無人インストール、標準クライアント イメージのインストールを利用) を提供します。展開時には、ユーザー状態データの移行を自動化するリフレッシュ インストール (PC 更新) やリプレース インストール (PC 置換) も行えます。MDT 2013 (英語)は以下のサイトからダウンロードできます。マイクロソフト ダウンロード センター

http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=40796

Windows 展開サービスWindows 展開サービス (WDS) は、Windows Server 2003 SP1 以降で利用可能な、ネットワーク経由でクライアント OS を展開するサービスです。通常、Windows 展開サービスで OS を展開するには、Active Directory ドメイン サービス、DNS、DHCP サービスが必要となります。展開先コンピューターは、PXE に対応していれば、起動用メディアを準備しなくても、ネットワーク経由で起動用イメージをダウンロードし、起動できます。Windows 展開サーバーをWindows Server 2008 以降で構成する場合には、[トランスポート サーバー] の役割を使用することで、スタンド アロン サーバーから OS イメージを展開先コンピューターにマルチキャスト配信できます。また、Windows 展開サービスでイメージを展開する場合にも、応答ファイルを関連付けることにより、自動展開を行うことができます。Windows 展開サービスでは、ユーザー状態データの移行が組み込まれないため、USMTやWindows転送ツールを使用して、別途行う必要があります。

System Center 2012 R2 Configuration Manager System Center 2012 R2 Configuration Manager (以下 SCCM) は、クライアントのインベントリ収集や、クライアントへのアプリケーション配布機能を持つシステム管理ソリューションを提供します。Windows 8.1 は、System Center 2012 R2 Configuration Managerでサポートされます。SCCM では、アプリケーションの配布だけでなく、OS イメージの展開や、更新プログラムの展開が可能です。SCCM の OS 展開機能では、コレクション (コンピューターのグループ) 単位で OS のセットアップを定義したタスクシーケンスの提供ができるため、展開対象のクライアントをコレクションにまとめ、一括して展開先を指定できます。また、スケジュール機能を利用して、指定した日時にクライアント展開を実行するなど、高度な展開機能が利用できます。OS 展開時には、ユーザー状態データの移行を自動化するリフレッシュ インストール (PC 更新) やリプレース インストール (PC 置換) も行えます。

ステップ 5-2 ユーザー状態の移行

標準イメージの展開後に、ユーザーが使用するコンピューターを決定し、事前に保存されたユーザー状態を展開先コンピューターに復元します。USMT を使用し、スクリプト化することで、効率的なユーザー状態の復元が可能です。

ユーザー状態移行の概念

Windows クライアントを使用しているユーザーは、デスクトップやスタート メニューの構成を使いやすいようにカスタマイズしたり、クライアント上のドキュメント フォルダーやデスクトップにファイルを保存していたりします。また、クライアントで使用しているアプリケーションでは、接続先のサーバーやユーザー ID などが設定されているものなどがあります。これらのクライアント上の設定やデータをユーザー状態といいます。

Windows 7 や Windows 8、Windows 8.1 などの新しいコンピューターを導入する場合には、これまで使用していたユーザー状態を新しいWindows コンピューターでも利用できるようにすることで、使用環境の変化によるユーザーの生産性の低下を防ぎ、新機能を利用することによる生産性の向上が見込めます。

ユーザー状態を移行するには、Windows 7 や Windows 8、Windows 8.1 に含まれる GUI ベースの Windows 転送ツールを使用する方法と、Windows ADK に含まれる コマンド ベースの User State Migration Tool (USMT) を使用する方法があります。移行対象となるコンピューターの台数が多くなる場合には、スクリプト化が可能な USMT の使用が推奨されます。

ユーザー状態を移行する場合、「PC 更新」と「PC 置換」の2種類のシナリオがあります。

PC 更新移行元のオペレーティング システムが動作するコンピューターに新しいオペレーティング システムをインストールし、ユーザー状態データを移行する移行方法です。

PC 置換移行元コンピューターとは別のコンピューターが移行先コンピューターとなる移行方法です。

既存クライアント環境のアップグレード

クライアントの大量展開では、標準イメージの展開と共に、既存のクライアント環境を新しいクライアント コンピューターへのアップグレードおよび移行する計画も立てる必要があります。既存の環境を Windows 7やWindows 8、Windows 8.1 環境にアップグレードするには、「アップグレード インストール」と、既存クライアント環境の「移行」があります。Windows 8、Windows 8.1 への「アップグレード インストール」がサポートされるオペレーティング システムは、Windows 7 以降です。Windows 7へのアップグレード インストールが可能なオペレーティング システムは、Windows Vista SP1 以降です。Windows 7 やWindows 8へのアップグレード インストールがサポートされないオペレーティング システムの場合には、「移行」を実行します。

既存のオペレーティング システム

新しいオペレーティング システム

Windows 7

Windows 8、Windows 8.1

Windows Vista RTM

移行

移行のみ

Windows Vista SP1

アップグレード・移行

移行のみ

Windows 7

移行

アップグレード・移行

ユーザー状態データの移行ツール

ユーザー状態データとは、Windows クライアントに保存されているユーザーのデータ ファイルと、ユーザーのオペレーティング システムやアプリケーションの設定を組み合わせたものを指します。ユーザー状態データに含まれる設定には、デスクトップ画面の設定や Web ブラウザのお気に入りなどの項目が含まれます。ユーザーのデータ ファイルや設定を移行することで、展開プロセス後にユーザー業務を妨げる時間を最小限に抑えることができます。

ユーザー状態データを移行するために、マイクロソフトから以下の 2つのツールが提供されています。

Windows 転送ツール

Windows 転送ツールは、古い PC の重要なファイル、電子メール、画像や設定を新しい PC へと移行する手間を省きます。以前のバージョンに寄せられた操作感や動作に対するフィードバックを踏まえて、Windows 転送ツールには新しいファイル エクスプローラーが搭載され、どのファイルを新しい PC へコピーするのかを正確に選択することができるようになりました。Windows が連携できないファイルや設定を見つけた場合、転送が完了するまで停止せず、移行できなかった内容をすべて報告します。Windows 転送ツールは、以下のような特徴があります。

小規模環境 (1 台から数台程度) で使用することを前提とした GUI ベースのツールです。

ピア ツー ピアでの移行や外部記憶装置を経由した移行ができます。

Windows 転送ツールの利用には管理者権限が必要です。

エンド ユーザー自身が移行したいデータを選択することができるため、抜け漏れなく移行ができます

対話的な操作が必要のため、管理者によるコントロールはできません。

抽出されるデータは暗号化されるので安全に移行できます。

このドキュメントで紹介する手順では、大量展開時の移行方法を中心に紹介するため、対話的な操作を必要とするWindows 転送ツールを使用したユーザー状態移行の手順は扱いません。

User State Migration Tool (USMT) 5.0

ユーザー状態移行ツール (USMT) 5.0 は、Windows Vista、Windows 7 および Windows 8、Windows 8.1 オペレーティング システムの大規模な展開時にユーザー状態データを移行するコマンド ライン ツールです。USMT では、古いコンピューターのデスクトップやアプリケーションの設定を含むユーザー プロファイルやユーザーのファイルをキャプチャーし、それらを新しくインストールする Windows に移行できます。

User State Migration Tool 5.0 について

Windows オペレーティング システムを展開する企業にとって、USMT は次の利点があります。

ユーザー アカウント、オペレーティング システム設定、アプリケーション設定を安全に移行できます。

ユーザー状態を維持することで、Windows を展開するコストを抑えることができます。

エンド ユーザーがデスクトップをカスタマイズしたり、行方不明になったファイルを探したりするために必要な時間を減らします。

ヘルプデスクへの問い合わせを減らします。

ユーザーが新しいオペレーティング システムに早く慣れることができます。

従業員が移行後に感じる満足度を向上します。

Microsoft Deployment Toolkit や System Center 2012 R2 Configuration Manager に組み込み、ユーザー状態移行の自動化が可能です。

USMT は、大規模な自動展開を行う管理者を対象としています。数台のコンピューターにユーザー状態を移行するだけの場合は、Windows 転送ツールを使うことができます。

状況によっては、USMT の使用をお勧めしない場合があります。たとえば、次のような移行です。

エンド ユーザーの操作が必要となる移行

各コンピューターに個別にカスタマイズを加える必要がある移行

User State Migration Tool 5.0 のコンポーネント

USMT 5.0 には移行元コンピューターから移行先コンピューターへユーザー状態データを移行するために、以下のコンポーネントが含まれています。

Scanstate.exe

ScanState ツールは、移行元コンピューターをスキャンし、ファイルや設定を収集して、ユーザー状態ストアを作成します。ScanState では、移行元コンピューターは変更されません。既定では、ファイルを圧縮してユーザー状態ストアとして保存します。ScanState では、ファイルを一時的な場所にコピーしてから、ユーザー状態ストアにコピーします。なお、ScanState コマンドを実行するには、管理者権限が必要です。

Scanstate コマンドの構文

Scanstate <ストア パス> [オプション]

<ストア パス> には、キャプチャー対象となるユーザー データと設定の格納場所を指定します。ストア パスには c:\ を指定できません。<ストア パス> オプションは、/genconfig オプションを使う場合を除いて、Scanstate コマンドで必ず指定する必要があります。複数のストア パスの場所を指定することはできません。

オプションは以下のとおりです。

記憶域オプション

オプション

説明

/o

ユーザー状態ストア内の既存データを上書きする場合に使用します。これを指定しない場合、移行ストアに既にデータが格納されていると ScanState コマンドは失敗します。

/vsc

ボリューム シャドー コピーサービスを使用して使用中やロックされたファイルを移行します。

/hardlink

指定された場所にハードリンク移行ストアを作成します。/nocompress オプションを指定する必要があります。

/encrypt [/key:文字列 /Keyfile:ファイル名]

指定されたキーでユーザー状態ストアを暗号化します。

256 文字未満のキーを設定します。8文字以上が推奨されます。

/key:キー文字列では暗号化キーを指定します。キー文字列にスペースが含まれる場合は、キー文字列を引用符で囲む必要があります。

/keyfile:ファイルのパスと名前では、暗号化キーを含むテキスト (.txt) ファイルを指定します。

/encrypt:<暗号化強度>

移行ストアの暗号化に使う暗号化強度を指定できます。既定値は3DESアルゴリズムを使用します。

指定可能な暗号化アルゴリズム: AES、AES_128、AES_192、AES_256、3DES、3DES_112

/nocompress

データの圧縮を無効にし、ファイルを "ストア パス\USMT" にある "File" という隠しフォルダーに保存します。

オフライン移行オプション

オプション

説明

/offline:"offline.xml ファイルのパス"

オフライン Windows ディレクトリや、移行で必要なドメインまたはフォルダー リダイレクトなど、他のオフライン移行オプションを指定できるオフライン.xml ファイルのパスを定義します。

/offlinewindir:"Windows ディレクトリのパス"

ユーザー状態を収集するオフラインの Windows ディレクトリを指定します。

/offlinewinold:"Windows.old ディレクトリ"

オフライン移行モードを有効にし、指定された場所から移行を始めます。

移行規則オプション

オプション

説明

/i:移行規則ファイル名

移行するルールを定義した移行規則ファイルを指定します。複数の移行規則ファイルを使用する場合には、このオプションを複数回指定します。【例】 /i:MigApp.xml /i:MigUser.xml

詳細は、< 6.4 移行規則ファイル >を参照してください。

/genconfig:[パス\]ファイル名

Config.xml ファイルを作成します。このオプションでは、移行ストアは作成しません。このオプションを指定する場合は、/i オプションを使って他の移行.xml ファイルを指定する必要があります。

このファイルを作成したら、ScanState コマンドで /config オプションを指定してこのファイルを使う必要があります。

/config:Config.xml

Config.xmlファイルを指定します。

/auto:スクリプト ファイルのパス

既定の.xml ファイルの場所を指定して移行を始めることができます。パスが指定されていない場合、USMT は USMT バイナリの存在するディレクトリを参照します。このオプションを使用すると、/i:MigDocs.xml/i:MigApp.xml /v:5 というオプションを使ったときと同じ効果があります。

/genmigxml:ファイルのパス

ドキュメント検索を使って、ScanState コマンドが実行されているコンピューター上のすべてのファイルの移行方法を定義する.xml ファイルを作成してエクスポートするよう指定できます。

/localonly

.xml ファイル内の規則に関係なく、ローカル コンピューター上に格納されているファイルのみを移行します。このオプションを使用すると、固定ドライブ内のファイルのみ移行対象となり、ネットワーク ドライブやリムーバブル ドライブのファイルは除外されます。

監視オプション

オプション

説明

/listfiles:<ファイル名>

移行対象のすべてのファイルを一覧表示するテキスト ファイルを生成できます。

/l:ファイル パス

出力するログ ファイルの場所と名前を指定します。ストア パスにログ ファイルを格納することはできません。

/v:詳細レベル

出力するログ レベルを指定します。既定値は 0 です。

0: 既定のエラーと警告のみが有効になります。

1: 詳しい出力を有効にします。

4: エラーと状態の出力を有効にします。

5: 詳しい出力と状態の出力を有効にします。

8: デバッガーへのエラー出力を有効にします。

9: デバッガーへの詳しい出力を有効にします。

12: デバッガーへのエラーと状態の出力を有効にします。

13: 詳しい出力、状態の出力、デバッガー出力を有効にします。

/progress:ファイル パス

進捗ログ ファイル名とパスを指定します。

/c

致命的ではないエラーを無視して処理を続行します。

/r:再試行回数

エラーが発生した場合の再試行回数を指定します。

既定値は 3 回です。

/w:再試行までの秒数

再試行するまでの待機時間を秒単位で指定します。

既定値は 1 秒です。

/p:ファイル パス

ユーザー状態データのサイズを確認する場合に使用します。指定したパスに .xml ファイルが作成されます。

ユーザー オプション

オプション

説明

/all

移行元コンピューター上のすべてのユーザーを移行します。

/ui:[ドメイン\]ユーザー名

または

/ui:ローカルユーザー名

移行するユーザーを指定します。既定ではすべてのユーザーを移行するため、このオプションは、/ue または /uel オプションと一緒に使用します。

/ue:[ドメイン\]ユーザー名

または

/ue:ローカルユーザー名

除外するユーザーを指定します。このオプションを /all オプションと一緒に使うことはできません。

/uel:日数

または

/uel:YYYY/MM/DD

または

/uel:0

最後のログオンからの日数または日付を条件として指定して除外するユーザーを指定します。

【例】

/uel:90…90日間ログオンしていないユーザーを除外

/uel:1…24時間ログオンしていないユーザーを除外

/uel:0…現在ログオン中とプロファイルがロードされているユーザー以外を除外

暗号化ファイル オプション

オプション

説明

/efs:hardlink

EFS ファイルをコピーする代わりに、EFS ファイルへのハード リンクを作成します。同時に指定できるのは、/hardlink オプションと /nocompress オプションだけです。

/efs:abort

移行元コンピューターで暗号化ファイル システム (EFS) ファイルが見つかった場合、ScanState コマンドはエラー コードを伴って失敗します。既定で有効になっています。

/efs:skip

EFS ファイルを無視します。

/efs:decryptcopy

ファイルを移行ストアに保存する前に、ファイルの暗号化の解除を試みるようにします。ファイルの暗号化を解除できない場合、このコマンドは失敗します。

/efs:copyraw

ScanState コマンドで、ファイルを暗号化形式でコピーします。ファイルは、EFS 証明書が移行されるまでは移行先コンピューターでアクセスできなくなります。

Loadstate.exe

LoadState ツールは、ユーザー状態ストアから移行先コンピューターの一時的な場所に、ファイルと設定を一度に 1 つずつ移行します。このプロセスでは、ファイルが展開され、必要に応じて暗号化が解除されます。次に、ファイルが適切な場所に転送され、一時的なコピーが削除されて、次のファイルの移行が開始されます。圧縮により、ネットワーク帯域幅の使用量やユーザー状態ストア内で必要な領域が減るため、パフォーマンスが向上します。

Loadstate コマンドの構文

Loadstate <ストア パス> [オプション]

<ストア パス> には、復元するユーザー データと設定の格納場所を指定します。オプションは以下のとおりです。

記憶域オプション

オプション

説明

/hardlink

ユーザー状態データをハード リンク移行ストアから復元できるようにします。

/nocompress オプションを指定する必要があります。

/decrypt [/key:文字列

/Keyfile:ファイル名]

指定されたキーでユーザー状態ストアの暗号化を解除します。

256 文字未満のキーを設定します。8文字以上が推奨されます。

/key:キー文字列では暗号化キーを指定します。キー文字列にスペースが含まれる場合は、キー文字列を引用符で囲む必要があります。

/keyfile:ファイルのパスと名前では、暗号化キーを含むテキスト (.txt) ファイルを指定します。

/ decrypt:<暗号化強度>

移行ストアの暗号化の解除に使う暗号化強度を指定できます。既定値は3DESアルゴリズムを使用します。

指定可能な暗号化アルゴリズムAES、AES_128、AES_192、AES_256、3DES、3DES_112

/nocompress

ストアが圧縮されないように指定します。/decrypt オプションと共に使用することはできません。

移行規則オプション

オプション

説明

/i:移行規則ファイル

移行するルールを定義したファイルを指定します。複数の移行規則ファイルを使用する場合には、このオプションを複数回指定します。【例】 /i:Migapp.xml /i:Miguser.xml

詳細は、< 6.4 移行規則ファイル > を参照してください。

/config:Config.xml

Config.xmlファイルを指定します。

/auto:スクリプト ファイルのパス

既定の.xml ファイルの場所を指定して移行を始めることができます。パスが指定されていない場合、USMT は USMT バイナリの存在するディレクトリを参照します。このオプションを使用すると、/i:MigDocs.xml/i:MigApp.xml /v:5 というオプションを使ったときと同じ効果があります。

監視オプション

オプション

説明

/l:ファイル パス

出力するログ ファイルの場所と名前を指定します。ストア パスにログ ファイルを格納することはできません。

/v:詳細レベル

出力するログ レベルを指定します。既定値は 0 です。

0: 既定のエラーと警告のみが有効になります。

1: 詳しい出力を有効にします。

4: エラーと状態の出力を有効にします。

5: 詳しい出力と状態の出力を有効にします。

8: デバッガーへのエラー出力を有効にします。

9: デバッガーへの詳しい出力を有効にします。

12: デバッガーへのエラーと状態の出力を有効にします。

13: 詳しい出力、状態の出力、デバッガー出力を有効にします。

/progress:ファイル パス

進捗ログ ファイル名とパスを指定します。

/c

致命的ではないエラーを無視して処理を続行します。

/r:再試行回数

エラーが発生した場合の再試行回数を指定します。

既定値は 3 回です。

/w:再試行までの秒数

再試行するまでの待機時間を秒単位で指定します。

既定値は 1 秒です。

ユーザー オプション

オプション

説明

/all

移行先コンピューター上にすべてのユーザーを移行します。

/ui:[ドメイン\]ユーザー名

または

/ui:ローカルユーザー名

移行するユーザーを指定します。既定ではすべてのユーザーを移行するため、このオプションは、/ue または /uel オプションと一緒に使用します。

/ue:[ドメイン\]ユーザー名

または

/ue:ローカルユーザー名

除外するユーザーを指定します。このオプションを /all オプションと一緒に使うことはできません。

/uel:日数

または

/uel:YYYY/MM/DD

または

/uel:0

最後のログオンからの日数または日付を条件として指定して除外するユーザーを指定します。

【例】

/uel:90…90日間ログオンしていないユーザーを除外

/uel:1…24時間ログオンしていないユーザーを除外

/uel:0…現在ログオン中とプロファイルがロードされているユーザー以外を除外

/md:前のドメイン:新しいドメイン

または

/md:ローカル コンピューター名:新しいドメイン

ユーザーの新しいドメインを指定します。コンピューター上のユーザーのドメインを変更するか、ローカル ユーザーをドメイン アカウントに移行するには、このオプションを使います。前のドメインには、アスタリスク (*) のワイルドカード文字を含めることができます。

/mu:前のドメイン\前のユーザー名:[新しいドメイン\]新しいユーザー名

または

/mu:前のローカル ユーザー名:新しいドメイン\新しいユーザー名

指定したユーザーの新しいユーザー名を指定します。ストアに複数のユーザーが含まれる場合、複数の /mu オプションを指定できます。

/lac:[パスワード]

ユーザー アカウントがローカル (ドメイン以外の) アカウントであり、移行先コンピューターに存在しない場合に、USMT で移行先コンピューターにアカウントを作成し、そのアカウントが無効になるように指定します。このアカウントを有効にするには、/lae オプションも使う必要があります。

/lae

/lac オプションで作成されたアカウントを有効にします。このオプションは、/lac オプションと一緒に指定する必要があります。

Usmtutils.exe

Usmtutils ツールは、移行の暗号化オプションをより簡単に特定したり、共有ロックのために他の方法では削除できないハードリンク ストアを削除したりできるようになります。

オプション

説明

/ec

このオプションは、現在のシステムでサポートされている暗号化アルゴリズムの一覧を返します。

/rd <ストア ディレクトリ>

すべての固定ディスクから <ストア ディレクトリ> 引数で指定されたディレクトリ パスを削除します。このコマンドは、共有ロックのために他の方法では削除できないハードリンク ストアを削除するのに便利です。たとえば、次のように入力します。

usmtutils /rd D:\MyHardLinkStore

/y

/rd オプションと組み合わせると、削除の承認を求めるメッセージが表示されなくなります。

/verify

圧縮移行ストアに損傷がないかどうか、また圧縮移行ストアに破損したファイルやカタログが含まれているかどうかに関する情報が返されます。

/extract

圧縮された USMT 移行ストアからファイルを復元します。

移行規則ファイル

USMT によって使用される移行用の .xml ファイルは、MigApp.xml、MigUser.xml、MigDocs.xml が用意されています。これらの移行用 .xml ファイルの他に、ユーザーが任意で作成したカスタム.xml ファイルも使用することができます。また、 Config.xml ファイルを作成し、移行から除外するファイルや設定を指定することもできます。

移行用の .xml ファイルには、移行するデータ特定するための規則を定義します。USMT では、次のサンプル スクリプトが提供されています。

スクリプト

説明

MigApp.XML

アプリケーション設定の移行規則です。

MigDocs.XML

GenerateDocPatterns ヘルパー関数を使って、USMT がファイルの場所に基づいて移行元コンピューターからファイルを移行するための指示を作成します。ScanState ツールと LoadState ツールで MigDocs.xml ファイルを使うと、XML の指示なしで USMT を使う場合よりも移行の対象を絞り込むことができます。

MigUser.XML

ファイル名拡張子に基づいてユーザー ファイルを移行するための指示が含まれます。

MigUser.xml ファイルは、標準のユーザー プロファイル フォルダーにあるすべてのファイルと、指定されたファイル名拡張子を持つ、コンピューター上のすべてのファイルを収集します。

カスタム.XML

/genmigxml コマンド ライン オプションを使って、移行対象に含めるファイルを決めることができます。/genmigxml オプションを使うと、指定した場所にファイルが作成されるため、XML 規則を調べ、必要に応じて修正できます。

USMT 内部ファイル

USMT に含まれているその他の .dll、.xml、.dat、.mui、.inf ファイルは、すべて内部で使用されるものです。これらのファイルは変更できません。

User State Migration Tool 5.0 の要件

USMT 5.0 には、移行元または移行先コンピューターのどちらに関しても、RAM や CPU 速度の明示的な要件はありません。オペレーティング システムのシステム要件を満たすコンピューターであれば、USMT 5.0 の要件も満たします。ただし、移行するすべてのデータと設定を保持できる十分なサイズのユーザー状態ストア用の格納域と、移行先コンピューター上に移行するファイルと設定を格納するための同じサイズのハード ディスク領域が必要です。

サポートされているオペレーティング システム

USMT 5.0 でサポートされているオペレーティング システムの一覧を次の表に示します。

オペレーティング システム

ScanState (移行元コンピューター)

LoadState(移行先コンピューター)

Windows Vista (32 ビット版)

Windows Vista (64 ビット版)

Windows 7 (32 ビット版)

Windows 7 (64 ビット版)

Windows 8 (32 ビット版)

Windows 8 (64 ビット版)

Windows 8.1 (32 ビット版)

Windows 8.1 (64 ビット版)

Note

32 ビット オペレーティング システムから 64 ビット オペレーティング システムに移行することはできますが、64 ビット オペレーティング システムから 32 ビット オペレーティング システムに移行することはできません。

USMT は、Windows Server オペレーティング システムおよび Windows Vista、Windows 7 の各 Starter Edition をサポートしません。またWindows(R) RT では、USMT はサポートされていません。

ソフトウェア要件

USMT 5.0 では、以下のソフトウェア要件があります。

Windows Vista と Windows 7 では、管理者モードで実行する必要があります。Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows 8.1 で ScanState と LoadState ツールを手動で実行する場合は、指定したすべてのユーザーが確実に移行されるように、管理者資格情報を持つアカウントから管理者モードで実行する必要があります。これは、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows 8.1 では、ユーザー アカウント制御 (UAC) が既定で有効になっているためです。USMT を管理者モードで実行しないと、ログオンしているユーザーのプロファイルしか移行されません。

/c オプションと、Config.xml ファイルの 設定を指定します。ファイルまたは設定を移行できない場合、/c オプションを指定していないと、USMT は失敗します。/c オプションを指定すると、USMT は、使用中のために移行できないファイルを見つけるたびにエラーをログに記録しますが、移行は中断されません。USMT では、移行を続けられる種類のエラーと、移行が失敗する種類のエラーを、Config.xml ファイルで指定できます。

LoadState コマンドを実行する前に、アプリケーションをインストールします。ユーザー状態を復元する前に、移行先コンピューターにすべてのアプリケーションをインストールします。そのようにすると、移行される設定を確実に維持できます。

ハード ディスク要件

ユーザー状態ストアの場所、移行元コンピューター、および移行先コンピューターに十分な空き領域があることを確認します。移行用のディスク領域の要件は、ユーザー状態ストアのサイズや移行の種類によって異なります。非ハード リンク移行の場合は、移行されるデータを格納するためのユーザー状態ストアを保存する場所に十分な空きディスク領域があることを確認してください。ユーザー状態ストアは、別のパーティション、USB フラッシュ ドライブなどの外部記憶装置、またはネットワーク上のサーバーに保存できます。

1.1.1. 移行元コンピューター

移行元コンピューターには、次のとおり十分な空き領域が必要です。

250 MB 以上のハード ディスク領域ページ ファイルの増大など、USMT 5.0 の処理をサポートするのに必要な領域です。移行対象のすべてのボリュームが NTFS でフォーマットされている場合、移行のサイズに関係なく、250 MB の空き領域があれば、ハード リンク移行に失敗することはまずありません。250 MB の空きディスク領域がない場合、USMT ツールによって移行ストアが作成されません。

USMT を実行するための一時領域USMT ツールを使うための追加ディスク領域が必要です。これには、移行ストアを作成するのに最低限必要な 250 MB は含まれません。必要な一時領域の量は、ScanState ツールを使って計算できます。

ハード リンク移行ストアハード リンク移行ストアのサイズは、必ずしも見積もる必要はありません。ハード リンク ストアのサイズが非常に大きくなる唯一のケースは、NTFS 以外のファイル システムがシステム上に存在し、そこに移行対象のデータが格納されている場合です。Windows Vista は、NTFS が既定のファイル システム形式であるため、この条件に該当することはまれです。

1.1.2. 移行先コンピューター

移行先コンピューターには、次のものを格納できるだけの容量が必要です。

オペレーティング システム

アプリケーション

移行対象のデータ移行対象のファイルのほか、レジストリ情報の保存用にもハード ディスク領域が必要になるということを考慮してください。

USMT を実行するための一時領域USMT ツールを使うための追加ディスク領域が必要です。必要な一時領域の量は、ScanState ツールを使って計算できます。

1.1.3. ScanState ツールを使ったディスク領域要件の計算

移行に必要なディスク領域のサイズは、ScanState ツールを使ってディスク領域の要件を計算し、領域要件レポートを生成することができます。ScanState ツールは、ツールを実行した時点でのコンピューターの状態に基づいてディスク領域要件を計算します。ScanState ツールを使用してディスク領域の計算をするには以下のコマンドを実行します。

Scanstate.exe <ストア パス> /p:<ファイル パス>

<ストア パス> は、ユーザー状態ストアが保存されるディレクトリのパスです。<ファイル パス> は、領域要件の XML レポートが保存されるパスおよびファイル名です。たとえば、次のように入力します。

Scanstate.exe c:\store /p:c:\spaceRequirements.xml

このコマンドを実行してもユーザー状態ストアは作成されませんが、ストア パスは必須のパラメーターです。

Note

必要な領域のレポートには、 と という 2 つの要素が示されます。 の値は、USMT によって移行中に使われるディスク領域をバイト単位で表したものです。これには、USMT をサポートするのに最低限必要な 250 MB は含まれていません。 の値は、移行ストアの内容を移行元コンピューターと移行先コンピューターの両方にホストするのに必要なディスク領域をバイト単位で表したものです。

ユーザーの前提条件

USMT 5.0 を使用するには、IT 担当者がコマンド ライン ツールについて理解している必要があります。また、USMT 5.0 用の .xml の規則を作成する IT 担当者は以下の知識が必要です。

Windows レジストリのナビゲーションと階層

アプリケーションが使用するファイルとファイルの種類

社内のソフトウェア開発グループや Microsoft 以外のソフトウェア ベンダーによって作成されたアプリケーションからアプリケーションと設定の情報を手動で抽出する方法

XML の基本的な作成方法

User State Migration Tool 5.0 の考慮事項

USMT では、既定の移行規則ファイルを使用して移行されるデータと移行されないデータがあるため、移行対象となるクライアント コンピューターで移行する必要のある項目を確認し範囲を特定する場合には、以下の点に考慮し計画してください。また、本番環境のユーザーの使用環境を移行する前に十分なテストを行ってください。

USMT により移行されるもの

USMT 5.0は、IT エンジニアが USMT の .xml スクリプト言語を使用して移行を精密に定義できるよう設計されています。

1.1.4. ユーザー データ

既定の MigDocs.xml ファイルを使って USMT によって既定で移行されるユーザー データ、移行されないデータは後述のAppendix、および下記のサイトを参照してください。

「MigDocs.xml ファイルの概要」

http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/hh825143.aspx#BKMK_MigDocs

「カスタム XML ファイルの作成と編集」

http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/hh825143.aspx#BKMK_CreateXML

1.1.5. オペレーティング システム コンポーネント

USMT では、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows 8.1 が実行されているコンピューターから、移行先コンピューターにオペレーティング システム コンポーネントが移行されます。

移行されるオペレーティング システム コンポーネントの一覧は、Appendix 「移行されるオペレーティング システム コンポーネント」を参照してください。

Note

LoadState ツールを使用しても、フォントなどの一部の設定は、移行先コンピューターを再起動するまで適用されません。このため、LoadState ツールの実行後に、移行先コンピューターを再起動してください。

1.1.6. サポートされているアプリケーション

すべてのアプリケーションで必須ではありませんが、ユーザーの状態を復元する前に、移行先コンピューターにすべてのアプリケーションをインストールすることをお勧めします。これにより、移行された設定が保持されます。

MigApp.xml を指定して、USMT によって設定が移行されるアプリケーションの一覧は、Appendix 「設定が移行されるアプリケーション」を参照してください。

USMT により移行されないもの

アプリケーションの設定と、オペレーティング システムの設定の一部は、USMT で移行されません。

1.1.7. アプリケーションの設定

USMT では、次のアプリケーション設定は移行されません。

アプリケーションの以前のバージョンの設定各アプリケーションのバージョンは、移行元と移行先のコンピューターで一致している必要があります。USMT では、Microsoft Office を除いて、アプリケーションの旧バージョンから新バージョンに設定を移行する機能はサポートされていません。USMT では、旧バージョンの Microsoft Office から新バージョンに移行できます。

ローカル アカウントを作成したときのアプリケーション設定と一部のオペレーティング システム設定たとえば、/lac を実行して移行先コンピューターにローカル アカウントを作成した場合、USMT によってユーザー データは移行されますが、オペレーティング システム設定については、一部の設定しか移行されません。また、アプリケーション設定は移行されません。

Office 2003 から 2007 Office system に移行する場合の Microsoft Project 設定

1.1.8. オペレーティング システムの設定

USMT では、次のオペレーティング システム設定は移行されません。

ローカル プリンター、ハードウェア関連の設定、ドライバー、パスワード、アプリケーション バイナリ ファイル、同期ファイル、DLL ファイル、その他の実行可能ファイル

共有フォルダーのアクセス許可移行後、移行元コンピューターで共有されていたフォルダーを手動で再共有する必要があります。

異なる言語のオペレーティング システム間で移行するファイルと設定移行元コンピューターと移行先コンピューターで、オペレーティング システムの言語が一致している必要があります。

カスタマイズされたショートカット アイコン

USMTによって移行されるデータと移行されないデータの詳細については

以下のサイトを参照してください。

「USMT によって移行されるもの」

http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/hh825238.aspx

User State Migration Tool 5.0 を使用した移行手順

USMT 5.0 は、数多くのコンピューターを対象としたハードウェアやシステムのアップグレード計画に使用します。

USMT を使用する一般的なシナリオでは、移行元コンピューターのオペレーティング システムだけを新しいオペレーティング システムにアップグレードする「PC 更新」と、ハードウェアの一部を新しいハードウェアと新しいオペレーティング システムに交換する「PC 置換」があります。

この手順では、以下の環境の移行元コンピューターのユーザー状態を移行し、移行後に確認します。

移行元コンピューター

移行先

OS

Windows 7 Professional

Windows 8.1 Enterprise Update

ドメイン

メンバー

メンバー

アプリケーション

Microsoft Office Enterprise 2007

Microsoft Office Professional Plus 2013

ローカル ユーザー

LocalAdmin (移行対象)

LocalAdmin のユーザー プロファイルを移行します。

LocalUser1 (移行対象)

LocalUser1 を新規作成し、ユーザー プロファイルを移行します。

LocalUser2 (移行除外)

LocalUser2 は移行しません。

ドメイン ユーザー

DomUser1 (移行対象)

DomUser1 のユーザー プロファイルを移行します。

DomUser2 (移行除外)

DomUser2 のユーザー プロファイルは移行しません。

ユーザー データの格納場所

C:\Users

既定のユーザー フォルダーが移行されることを確認します。

C:\UserData

C:\UserData フォルダーの移行を確認します。

C:\EFSData ※1

特定のユーザーで暗号化したファイルを配置

C:\EFSDataフォルダー内の暗号化されたファイルが移行されることを確認します。

C:\ACLData ※2

特定のユーザーのアクセス許可を設定したファイルを配置

C:\ACLData、ファイルに割り当てたアクセス許可が移行されることを確認します。

設定

フォルダー オプション登録されているファイル拡張子は表示しない:オフ

フォルダー オプションを変更し、移行されることを確認します。

ネットワーク プリンター\\Dep-Srv\NetPrtA

ネットワーク プリンターが移行されることを確認します。

Internet Explorerホーム ページ の設定お気に入り

Internet Explorer の設定が移行されることを確認します。

共有ストア

\\Dep-Srv\migdata\コンピューター名

※1 DomUser1によって暗号化されたファイルを配置

※2 DomUser1、ローカルAdministratorsのアクセス許可が付与されたファイルを配置

USMT 5.0 のインストール

USMT 5.0 は、Windows アセスメント & デプロイメント キット (Windows ADK) に含まれています。USMT 5.0 を利用するには テクニシャン コンピューターに Windows ADK をインストールします。USMT のコンポーネントが格納されているフォルダーを共有設定にし、その共有フォルダーにクライアントから接続してから実行するか、USMT コンポーネントのフォルダーをクライアントにコピーしてから実行します。

テクニシャン コンピューターに Windows ADK をインストールするには、次の手順を実行します。

この手順では、テクニシャン コンピューターとして、Windows Server 2012 R2 Updateを使用します。

手順

テクニシャン コンピューターに管理者としてログオンします。

ダウンロードした、Windows ADK の セットアップ プログラム [adksetup.exe] を実行します。

[場所の指定] ページで、[このコンピューターに アセスメント & デプロイメント キットをインストールします] を選択し、[次へ] をクリックします。

[カスタマー エクスペリエンス向上プログラム (CEIP) への参加] ページで、参加する場合には、[はい] を選択し、参加しない場合には、[いいえ] を選択し、[次へ] をクリックします。

[使用許諾契約] ページで、[同意する] をクリックします。

[インストールを行う機能を選択してください] ページで、アセスメント & デプロイメント キットでインストールするコンポーネントを選択します。この手順では、以下の機能を選択し、[インストール] をクリックします。

[Deployment Tools]

[Windows Preinstallation Environment (Windows PE)]

[User State Migration Tool (USMT)]

選択した機能のインストールが開始されます。

インストールが完了したら、[閉じる] をクリックします。

[アプリ] 画面に、[展開およびイメージング ツール環境]と、[Windows システム イメージ マネージャー] が追加されます。

USMTコンポーネントは、[C:\Program Files(x86)\Windows Kits\8.0\Assessment and Deployment Kit\User State Migration Tool] に x86 フォルダー (32 ビット版) と amd64 (64 ビット版) に、それぞれ格納されています。

ユーザー状態データ用中間ストアの準備

ユーザー状態データの保存場所は ScanState 実行時に指定できます。保存場所はローカル ドライブ上でも、ネットワーク ドライブでも指定できます。ここでは、移行元コンピューターと移行先コンピューターの両方からアクセスできるサーバーの共有フォルダーを中間ストアとして構成する手順を紹介します。

手順

1. ユーザー状態ストアを格納するサーバーに管理者としてログオンします。ここでは、Dep-Srv にログオンします。

エクスプローラーを開き、移行データ格納用のフォルダー (【例】 C:\Migdata フォルダー) を作成します。エクスプローラーで、ユーザー状態ストアを作成するドライブ (ここでは C:\ ) を右クリックし、[新規作成] – [フォルダー] をクリックし、[新しいフォルダー] の名前を「Migdata」に設定します。

C:\Migdata フォルダーを右クリックし、[共有] - [特定のユーザー] をクリックします。

[ファイルの共有] が表示されます。必要に応じてアクセスを許可するユーザーまたはグループを追加します。ここでは、既定のアクセス許可のまま、[共有] をクリックします。

共有設定が完了したら、[終了] をクリックし、エクスプローラーを閉じます。

移行元コンピューターのユーザー状態データの確認

ここでは、このドキュメントで紹介する移行手順の例で構成された移行元コンピューターの設定およびデータを確認します。

手順

1. 管理者として移行元コンピューターにログオンします。この例では、ドメインの管理者としてログオンします。

[スタート] から、[コンピューター] を右クリックし、[管理] をクリックします。

[コンピューターの管理] ツールで、[ローカル ユーザーとグループ] を展開し、[ユーザー] をクリックします。

ローカル ユーザーを確認します。この例では、以下のユーザーが存在することを確認します。ユーザーが存在しない場合には、ここで作成します。

LocalAdmin

LocalUser1

LocalUser2

[スタート] から、[コンピューター] を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。

[システム] から、[システムの詳細設定] をクリックし、[ユーザー プロファイル] - [設定] をクリックします。

ローカル コンピューター上に存在するユーザープロファイルを確認します。この例では、以下のユーザー プロファイルが存在していることを確認します。

LocalAdmin (ローカル ユーザー)

LocalUser1 (ローカル ユーザー)

LocalUser2 (ローカル ユーザー)

DomUser1 (ドメイン ユーザー)

DomUser2 (ドメイン ユーザー)

ドメイン ユーザーのユーザー プロファイルが存在しない場合には、そのユーザーでログオンしてください。

ドメイン ユーザー自体が存在しない場合には、ドメイン コントローラーでユーザー アカウントを作成してください。

[ユーザー プロファイル] で、[キャンセル] をクリックし、[システムのプロパティ] を閉じます。

次に、移行対象となるドメインユーザーの環境を確認します。この例では、DomUser1 ユーザーを使用します。移行元コンピューターで、DomUser1 としてログオンします。

エクスプローラーを開き、C:\ に、移行対象のフォルダーが存在することを確認します。この例では、以下のフォルダーが移行対象です。

ユーザー (Users)

UserData

EFSData(暗号化ファイルを配置)

ACLData(アクセス許可を付与したファイルを配置)

UserData、EFSData、ACLData フォルダーは、本シナリオで移行を確認するためのフォルダーです。

P.31を参照し、事前にフォルダー、ファイルを配置してください。

エクスプローラーの [ツール] メニューから、[フォルダー オプション] を開き、オプションを確認します。[表示] タブをクリックします。

[詳細設定] の[登録されている拡張子は表示しない] のチェックをオフにします。

マイ ドキュメントを開き、ファイルが存在することを確認します。

ユーザーのデスクトップを確認します。この例では、デスクトップに、[DomUser1] (ドキュメント)、[コンピューター]、[ごみ箱] のアイコンが配置され、他にもファイルが保存されています。

EFSData フォルダー内に暗号化されたファイルが存在することを確認します。暗号化が有効なファイルは、ファイル名が緑色で表示されます。

ACLData フォルダー内にファイルが存在することを確認します。

ACLData フォルダー内のファイルを右クリックし、プロパティをクリックします。[セキュリティ] タブをクリックし、アクセス許可を確認します。この例では、以下のアクセス許可が付与されています。

Administrators : フルコントロール

DomUser1 : フルコントロール

[スタート] をクリックし、[デバイスとプリンター] をクリックします。

ネットワーク プリンターが登録されていることを確認します。

Internet Explorer を開き、[お気に入り] をクリックします。

登録されているお気に入り一覧を確認します。

Internet Explorer の [ツール] メニューから

[インターネット オプション] をクリックし、設定されている[ホーム ページ] を確認します。

移行対象データの確認が完了したら、ログオフします。

PC 更新シナリオでのユーザー状態の移行

ここでは、PC 更新の移行手順を紹介します。PC 更新は移行元のオペレーティング システムが動作コンピューターに新しいオペレーティング システムをインストールし、ユーザー状態データを移行する移行方法です。

ここでは、移行元コンピューターのWindows 7 Professional から、移行先コンピューターのWindows 8.1 Enterprise Update への PC 更新シナリオの移行手順を紹介します。

手順

1. 管理者として、移行元コンピューターにログオンします。ここでは、ドメインの管理者としてログオンします。

移行元コンピューターの C:\ に、USMT フォルダーを作成し、USMT コンポーネントをコピーします。USMT コンポーネントは、テクニシャン コンピューターの [C:\Program Files(x86)\Windows Kits\8.1\Assessment and Deployment Kit\User State Migration Tool] に x86 フォルダー (32 ビット版) と amd64 (64 ビット版) がそれぞれ格納されています。

移行元コンピューターで、コマンドプロンプトを開きます。

コマンド プロンプトから以下のコマンドを入力し、移行データ格納用の Dep-Srv の migdata 共有フォルダーにネットワークドライブを割り当てます。ユーザー資格情報の入力が要求される場合には、migdata共有に書き込み権限を持つ資格情報を指定します。

net use w: \\Dep-Srv\migdata

c

コマンドプロンプトで C:\USMT に移動してから、以下のScanstate コマンドを入力し、ユーザー状態データの保存を実行します。この例では、LocalUser2とDomUser2を移行対象から除外しています。

Scanstate w:\RefreshPC /ue:LocalUser2 /ue:contoso\DomUser2 /i:migdocs.xml /i:migapp.xml /v:13 /l:scanstate.log /efs:copyraw

※1行で入力

Note

暗号化ファイル (EFS) とEFS 証明書を移行するには、/efs:copyraw オプションを指定する必要があります。移行先コンピューターで Loadstate コマンドを実行すると、暗号化ファイルと EFS 証明書が自動的に移行されます。

Scanstate により、ユーザー状態データは中間ストアに保存されます。

移行先コンピューターにOSをインストールします。

アプリケーションをインストールします。

組織の標準構成を行い、ドメインに参加します。

移行先コンピューターに管理者としてログオンします。ここでは、ドメインの管理者としてログオンします。

移行先コンピューターの C:\ に、USMT フォルダーを作成し、USMT コンポーネントをコピーします。USMT コンポーネントは、テクニシャン コンピューターの [C:\Program Files(x86)\Windows Kits\8.1\Assessment and Deployment Kit\User State Migration Tool] に x86 フォルダー (32 ビット版) と amd64 (64 ビット版) がそれぞれ格納されています。

[アプリ] 画面から、[コマンドプロンプト] を右クリックし、[管理者として実行] をクリックします。

[ユーザーアカウント制御] が表示される場合には、[はい] をクリックします。

コマンド プロンプトから以下のコマンドを入力し、移行データ格納用の Dep-Srv の migdata 共有フォルダーにネットワークドライブを割り当てます。

net use w: \\Dep-Srv\migdata

コマンドプロンプトで、C:\USMT に移動してから、以下の Loadstate コマンドを入力し、ユーザー状態データを復元します。

Loadstate w:\RefreshPC /i:migdocs.xml /i:migapp.xml /lac /lae /v:13 /l:Loadstate.log

※1行で入力

Note

/lacオプションにより、移行先に存在しないローカルユーザーを新規に作成します。/laeオプションにより、新規に作成したローカルユーザーを有効にします。

移行先コンピューターに新規に作成されたユーザーは、初回ログオン時にパスワードを設定する必要があります。

Loadstate により、ユーザー状態データは、移行先コンピューターに復元されます。移行処理が完了したら、コマンド プロンプトを閉じます。

PC 置換シナリオでのユーザー状態の移行

PC 置換は、移行元コンピューターとは別のコンピューターが移行先コンピューターとなる移行方法です。ここでは、移行元コンピューターから収集したユーザー状態データをネットワーク上のユーザー状態ストアに保存し、移行先コンピューターへユーザー状態ストアからユーザー状態を復元する手順を紹介します。この手順では、Windows Server 2012 R2 Update (コンピューター名: Dep-Srv) をユーザー状態ストアとして利用し、移行先コンピューターには、標準クライアント環境の展開が完了しているものとします。

ここでは、移行元コンピューターのWindows 7 Professional から、移行先コンピューターの Windows 8.1 Enterprise Updateへの PC 置換シナリオの移行手順を紹介します。

手順

1. 管理者として、移行元コンピューターにログオンします。ここでは、ドメインの管理者としてログオンします。

移行元コンピューターの C:\ に、USMT フォルダーを作成し、USMT コンポーネントをコピーします。USMT コンポーネントは、テクニシャン コンピューターの [C:\Program Files(x86)\Windows Kits\8.1\Assessment and Deployment Kit\User State Migration Tool] に x86 フォルダー (32 ビット版) と amd64 (64 ビット版) がそれぞれ格納されています。

移行元コンピューターで、コマンドプロンプトを開きます。

コマンド プロンプトから以下のコマンドを入力し、移行データ格納用の Dep-Srv の migdata 共有フォルダーにネットワークドライブを割り当てます。ユーザー資格情報の入力が要求される場合には、migdata 共有に書き込み権限を持つ資格情報を指定します。

net use w: \\Dep-Srv\migdata

コマンドプロンプトで C:\USMT に移動してから、以下の Scanstate コマンドを入力し、ユーザー状態データの保存を実行します。この例では、LocalUser2 と DomUser2 を移行対象から除外しています。

Scanstate w:\ReplacePC /ue:LocalUser2 /ue:contoso\DomUser2 /i:migdocs.xml /i:migapp.xml /v:13 /l:scanstate.log  /efs:copyraw

※1行で入力

Note

暗号化ファイル (EFS) とEFS 証明書を移行するには、/efs:copyraw オプションを指定する必要があります。移行先コンピューターで Loadstate コマンドを実行すると、暗号化ファイルと EFS 証明書が自動的に移行されます。

Scanstate により、ユーザー状態データはコンピューターのユーザー状態ストアに保存されます。

移行先コンピューターに管理者としてログオンします。ここでは、ドメインの管理者としてログオンします。

移行先コンピューターの C:\ に、USMT フォルダーを作成し、USMT コンポーネントをコピーします。USMT コンポーネントは、テクニシャン コンピューターの [C:\Program Files(x86)\Windows Kits\8.1\Assessment and Deployment Kit\User State Migration Tool] にx86 フォルダー (32 ビット版) と amd64 (64 ビット版) がそれぞれ格納されています。

[アプリ] 画面から、[コマンドプロンプト] を右クリックし、[管理者として実行] をクリックします。

[ユーザーアカウント制御] が表示される場合には、[はい] をクリックします。

コマンド プロンプトから以下のコマンドを入力し、移行データ格納用の Dep-Srv の migdata 共有フォルダーにネットワークドライブを割り当てます。

net use w: \\Dep-Srv\migdata

コマンドプロンプトで、C:\USMT に移動してから、以下の Loadstate コマンドを入力し、ユーザー状態データを復元します。

Loadstate w:\ReplacePC /i:migdocs.xml /i:migapp.xml /lac /lae /v:13 /l:Loadstate.log

※1行で入力

Note

/lac オプションにより、移行先に存在しないローカル ユーザーを新規に作成します。/lae オプションにより、新規に作成したローカル ユーザーを有効にします。

移行先コンピューターに新規に作成されたユーザーは、初回ログオン時にパスワードを設定する必要があります。

Loadstate により、ユーザー状態データは、移行先コンピューターに復元されます。移行処理が完了したら、コマンド プロンプトを閉じます。

移行先コンピューターのユーザー状態データの確認

ここでは、このドキュメントで紹介する移行手順の例で移行された移行先コンピューターの設定およびデータを確認します。

手順

1. 管理者として移行先コンピューターにログオンします。この例では、ドメインの管理者としてログオンします。

チャームの [検索] から、[コンピューター] と入力し、[PC] を右クリックし、[管理] をクリックします。

[コンピューターの管理] ツールで、[ローカル ユーザーとグループ] を展開し、[ユーザー] をクリックします。

ローカル ユーザーを確認します。この例では、以下のユーザーが存在することを確認します。

LocalAdmin

LocalUser1

Note

移行先コンピューターに新規に作成されたユーザーは、初回ログオン時にパスワードを設定する必要があります。

チャームの [検索] から、[システム] と入力し、[システム] をクリックします。

[システム] から、[システムの詳細設定] をクリックします。

[ユーザー プロファイル] - [設定] をクリックします。

ローカル コンピューター上に存在するユーザー プロファイルを確認します。この例では、以下のユーザー プロファイルが存在し、除外したユーザーのユーザー プロファイルが存在していないことを確認します。

LocalAdmin (ローカル ユーザー)

LocalUser1 (ローカル ユーザー)

DomUser1 (ドメイン ユーザー)

[ユーザー プロファイル] で、[キャンセル] をクリックし、[システムのプロパティ] も閉じます。

次に、移行対象となるドメインユーザーの環境を確認します。この例では、DomUser1 ユーザーを使用します。移行元コンピューターで、DomUser1 としてログオン します。

エクスプローラーを開き、C:\ に、移行対象のフォルダーが存在することを確認します。この例では、以下のフォルダーが移行対象です。

ユーザー

UserData

EFSData

ACLData

エクスプローラーの [表示] タブをクリックし、オプションを確認します。

移行元コンピューターで、[登録されている拡張子は表示しない] をオフに設定にし、拡張子が表示されるようにしているので、移行先コンピューターでも、[ファイル名拡張子] がオンになり、拡張子が表示される設定になっています。

[ドキュメント] を開き、移行されたファイルが存在することを確認します。

ユーザーのデスクトップを確認します。この例では、デスクトップに、[ドキュメント]、[コンピューター]、[ごみ箱] のアイコンが配置され、移行元コンピューターのデスクトップに保存されていたファイルが存在することを確認します。

EFSData フォルダー内に暗号化されたファイルが存在することを確認します。暗号化が有効なファイルは、ファイル名が緑色で表示されます。

ACLData フォルダー内のファイルが存在することを確認します。

ACLData フォルダー内のファイルを右クリックし、プロパティをクリックします。[セキュリティ] タブをクリックし、アクセス許可を確認します。この例では、以下のアクセス許可が付与されています。

Administrators: フルコントロール

DomUser1: フルコントロール

チャームの [検索] から、[デバイス] と入力し、[設定] - [デバイスとプリンター] をクリックします。

移行元コンピューターに存在したネットワーク プリンターが登録されていることを確認します。

Internet Explorer を開き、[お気に入り] をクリックします。

登録されているお気に入り一覧が移行元コンピューターと同じであることを確認します。

Internet Explorer の [ツール] から、[インターネット オプション] をクリックし、設定されている [ホーム ページ] が移行元コンピューターと同じであることを確認します。

移行対象データの確認が完了したら、サインアウトします。

まとめ

このドキュメントでは、Windows 7 やWindows 8、Windows 8.1 などのクライアント イメージ展開時に行う USMT 5.0 を使用したユーザー状態データの移行のクライアント