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軽度認知障害における継時的アセスメントツールとしての日本語版 Montreal Cognitive Assessment ―Mini-Mental State Examination と比較して― 1) ,稲 ふみ枝 2) 2) ,木 2) 本研究の目的は,近年開発された日本語版 Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)が,軽度認 知障害における継時的認知機能変化や早期介入効果のアセスメントへの適用可能性を検討することで ある。従来からそうしたアセスメント検査として使用されている Mini-Mental State Examination (MMSE)において,それらの平均値および各項目得点と平均正答率の標準偏差(SD)の継時的変化を 比較し,MoCA-Jのアセスメント検査としての特徴を考察する。対象は,通所リハビリテーション(デ イケア)の利用者 17 名(男性 5 名,女性 12 名)。年齢平均は,78.6 ± 8.99 歳である。1 対 1 面接方 式で,調査開始時,3 カ月後,6 カ月後の計 3 回に渡り MoCA-J と MMSE を実施した。3 回の調査の 平均得点は,MoCA-J で 19.2〜20.9,MMSE の 25.9〜27.5 であり,両検査の平均得点推移において, MoCA-J のみに有意差が見られた。両検査の項目ごと平均正答率の SD の比較では,全ての調査時に おいて MMSE では 4〜6 項目において正答率 100%でばらつきがないのに対し,MoCA-J では全項目 においてばらつきが見られた。また,対象者間の得点推移におけるクラスター分析においても, MMSE より MoCA-J にばらつきが大きかった。これらの結果は,MoCA-J が個人差を捉えるうえで の敏感性を有しているとも考えられるが,誤差の範囲かもしれず,今後はさらに対象者を増やし,他 の認知機能検査と併用するなかでアセスメントツールとしての妥当性を検討することが必要であろ う。 キーワード:高齢者,軽度認知障害,神経心理学的検査,MMSE,MoCA-J 問題と目的 我が国では急速な高齢化に伴い,加齢疾患である認 知症を有する高齢者数が増加の一途をたどっている。 最近では特にアルツハイマー型認知症が増加している が,これは進行性の変性疾患であり,現在のところ確 立した治療法が存在せず,何もしなければ症状の悪化 を促進させることになる。しかし,治療は早期ほど有 効と考えられており,進行抑制の効果を大きくする(伊 集院, 2010)。いくつかの研究で認知機能リハビリテー ションによる認知機能改善が示唆されており(今井, 2004,三村,2001),金子(1991)は,重症まで進んで いなければ可逆的であり,特に早期の認知症患者に対 する脳活性化訓練は期待できると報告している。 近年,そうした介入効果が期待できるとして,認知 症の前駆状態とされる軽度認知障害(MCI)が注目さ れるようになり,デイケア等の高齢者福祉施設でも早 期からの介入プログラムが実施されている長田 (2005)。非薬物療法の効果の評価については,実証的 研究に基づくエビデンスの検証の必要性を挙げてい 95 Kurume University Psychological Research 2011, No. 10, 95-103 原著 1)久留米大学大学院心理学研究科 2)久留米大学文学部

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軽度認知障害における継時的アセスメントツールとしての日本語版

Montreal Cognitive Assessment

―Mini-Mental State Examinationと比較して―

打 和 華 子1),稲 谷 ふみ枝2)

原 口 雅 浩2),木 藤 恒 夫2)

要 約

本研究の目的は,近年開発された日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)が,軽度認

知障害における継時的認知機能変化や早期介入効果のアセスメントへの適用可能性を検討することで

ある。従来からそうしたアセスメント検査として使用されている Mini-Mental State Examination

(MMSE)において,それらの平均値および各項目得点と平均正答率の標準偏差(SD)の継時的変化を

比較し,MoCA-Jのアセスメント検査としての特徴を考察する。対象は,通所リハビリテーション(デ

イケア)の利用者 17名(男性 5 名,女性 12 名)。年齢平均は,78.6± 8.99歳である。1対 1面接方

式で,調査開始時,3カ月後,6カ月後の計 3回に渡りMoCA-JとMMSEを実施した。3回の調査の

平均得点は,MoCA-Jで 19.2〜20.9,MMSEの 25.9〜27.5 であり,両検査の平均得点推移において,

MoCA-Jのみに有意差が見られた。両検査の項目ごと平均正答率の SDの比較では,全ての調査時に

おいてMMSEでは 4〜6項目において正答率 100%でばらつきがないのに対し,MoCA-Jでは全項目

においてばらつきが見られた。また,対象者間の得点推移におけるクラスター分析においても,

MMSEよりMoCA-Jにばらつきが大きかった。これらの結果は,MoCA-Jが個人差を捉えるうえで

の敏感性を有しているとも考えられるが,誤差の範囲かもしれず,今後はさらに対象者を増やし,他

の認知機能検査と併用するなかでアセスメントツールとしての妥当性を検討することが必要であろ

う。

キーワード:高齢者,軽度認知障害,神経心理学的検査,MMSE,MoCA-J

問 題 と 目 的

我が国では急速な高齢化に伴い,加齢疾患である認

知症を有する高齢者数が増加の一途をたどっている。

最近では特にアルツハイマー型認知症が増加している

が,これは進行性の変性疾患であり,現在のところ確

立した治療法が存在せず,何もしなければ症状の悪化

を促進させることになる。しかし,治療は早期ほど有

効と考えられており,進行抑制の効果を大きくする(伊

集院,2010)。いくつかの研究で認知機能リハビリテー

ションによる認知機能改善が示唆されており(今井,

2004,三村,2001),金子(1991)は,重症まで進んで

いなければ可逆的であり,特に早期の認知症患者に対

する脳活性化訓練は期待できると報告している。

近年,そうした介入効果が期待できるとして,認知

症の前駆状態とされる軽度認知障害(MCI)が注目さ

れるようになり,デイケア等の高齢者福祉施設でも早

期からの介入プログラムが実施されている長田

(2005)。非薬物療法の効果の評価については,実証的

研究に基づくエビデンスの検証の必要性を挙げてい

― 95 ―

Kurume UniversityPsychological Research 2011, No. 10, 95-103

原著

1)久留米大学大学院心理学研究科

2)久留米大学文学部

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る。治療効果のエビデンスが検証されれば,その治療

法に診療報酬がついてくる可能性も示唆されるし,広

く行われるようになれば,それは確実に患者や家族の

ニーズに応えることになる(斎藤,2006)。したがって,

介入プログラムの有効性を治療者がアセスメントし,

どのプログラムが,どの患者のどの障害の回復にどの

程度有効かを調査することは非常に重要であり,それ

らのアセスメントは,その後のより適切なプログラム

への改善にも役立つと考えられる。

認知症のアセスメントツールの 1つに神経心理学的

検査が挙げられ,画像,生理機能検査,生化学検査等

と共に用いられている。神経心理学的検査は,認知機

能低下の有無を調べるとともに,障害の性質(正常/低

下のパターン)を明らかにすることが可能である(望

月,2003)。また,臨床観察だけでは捉えにくい神経心

理学的な症状の変化や,前述した早期介入プログラム

の効果を客観的に測定し,それらの効果を明らかにす

るとともに,障害の進行の程度から予後の予測を可能

にする(Miller & Morris, 2001)。

現在までに多くの研究が神経心理学的検査を使用し

て,認知症早期介入プログラムの有効性を報告してい

る。代表的なものに Wechsler Adult Intelligence

Scale-III(WAIS-III)があるが,情報量は多いが,施行

時間が長く,高齢者に対する負担が大きい(加藤,

1996),また,多忙な臨床場面で認知機能を継時的測定

するには困難であるため,現状では簡便で実施が容易

であるMini-Mental State Examination(MMSE)が選

択される場合が多い。しかし,MMSEは年齢や教育

年数に影響を受ける(児玉,2005)ことや,軽度認知

症及び軽度認知障害に対する感度が低い(本間,2010)

ことが報告されており,MCIでの継時的認知機能変化

やその段階における早期の介入効果を的確に捉えられ

ない可能性が考えられる。以上のことから,MCIにお

ける認知機能変化や認知症早期の介入効果を敏感に察

知し,認知症の予後の予測や,早期介入プログラムの

改善のための客観的指標となる簡便なアセスメント検

査が求められている。

Nasreddine, Phillips, Bédirian, Charbonneau, White-

head, Collin, Cummings,& Chertkow(2005)により開

発されたMoCAは,MMSEより難易度が高く,MCI

のスクリーニングに対する感度,特異度共に高いこと

が多くの国で報告されているアセスメント検査の 1つ

で,MMSE同様,10分程度を要する 30点満点の検査

である。我が国においてもその日本版(MoCA-J)の

有効性が報告されており(鈴木・藤原,2010),MCIに

おける認知機能変化や早期の介入効果のアセスメント

への適用が期待できると考えられる。しかし,鈴木・

藤原(2010)の研究では,物忘れ外来受診者と地域在

住の研究ボランティアを対象として行っており,一般

の高齢者福祉施設等での MoCA-Jの有効性は報告さ

れていない。また,MoCA-Jの有効性についての報告

は,現在のところ,鈴木・藤原(2010)の研究のみで

あるため,更なる有効性を確認するためにも研究の蓄

積が必要と考えられる。

そこで,本研究では,通所リハビリテーション(デ

イケア)を利用しているMCIの可能性が疑われる高

齢者,もしくは健常高齢者に,従来のアセスメント検

査である MMSEと,MoCA-Jを継時的に施行し,両

検査の認知機能変化に対する敏感性について検討を行

う。MoCA-Jのカットオフポイントは 25点(原版は

26点)であり,11 の質問区分から構成されており,各

区分は 1 問から 5 問までの課題を含む。その区分を

「項目」とみなし,表 1 にMMSEとMoCA-Jの項目を

示す。

方 法

調査対象と手続き

対象は,A県内の B デイケアを利用する高齢者で,

B デイケア職員により,健常もしくはMCIの疑いの

可能性があると判断された利用者のうち,研究に同意

した 17名(男性 5 名,女性 12 名)である。年齢平均

は,78.6± 8.99歳,Bデイケア利用回数は週 1回が 1

名,週 2回が 13 名,週 3回が 3名であった。

2010 年 3月下旬から 4月上旬,6月下旬から 7 月上

軽度認知障害における継時的アセスメントツールとしての日本語版Montreal Cognitive Assessment

― 96 ―

表 1 MoCA-JとMMSEの項目

③即時想起③時計描画

⑨書字指示⑨抽象的思考

②見当識(場所)②図形模写(立方体)

⑩自発書字⑩遅延再生

①見当識(時間)① Trail Making

⑪図形模写(五角形)⑪見当識

MMSEMoCA-J

⑦文の復唱⑦文の復唱

⑥物品呼称⑥注意(順唱・逆唱・Target Detection・計算)

⑤遅延再生⑤即時想起

④計算④命名

⑧口頭指示⑧語想起

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旬,9月下旬から 10月上旬にかけて計 3回,MoCA-J

とMMSEの両検査を実施した。経営者および職員の

コンセンサスを得た後,本調査に適しており,参加可

能な対象者のリストをデイケア職員より挙げてもら

い,改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

23〜30点である利用者を健常もしくはMCIの疑いの

可能性があるとみなし,調査対象とした。(2010 年 2

月下旬時)HDS-Rの目安として,24.3± 3.9 が非認

知症,軽度認知症が 19.1± 5.0 とされている。しか

し,認知症の大部分を占めるアルツハイマー型認知症

は,認知機能の低下が起こるはるか以前から始まって

いると考えられている。また,HDS-Rは軽度認知障

害のスクリーニングに敏感ではないことを考慮し,本

研究では,HDS-R23点以上を対象とした。リストに

挙げられた利用者に,調査の意図と目的・方法等の概

略説明を個別に行い,書面による参加の同意を得た。

その後,全対象者に対して,1 対 1 面接方式で,

MMSE,MoCA-Jの順で検査を実施した。MMSEの

項目 4とMoCA-Jの項目 6の計算課題『100 から順番

に 7を 5回くり返し引く課題』は同一であるため,一

度のみの実施とした。MMSEの項目 1〜2 と MoCA-

Jの見当識課題においても,日付(年,月,日,曜日)

及び場所(市,建物)の課題は同一であるため,一度

のみ実施した。また,MMSEと比較しやすいように

11項目として採点した。検査実施方法を統一した上

で,筆者と,デイケア職員 1名,計 2 名により実施し

た。各検査の教示はマニュアルに従ったが,MoCA-J

のトレイルメイキング課題は,対象者の理解が困難で

あったため,マニュアルの「数字からひらがなへ順番

通りに線で結んで下さい」を「数字からひらがなへ順

番通りに交互に線で結んで下さい」に変更した。

本研究ではMoCA-JとMMSEの軽度認知障害に対

するアセスメントに 3つの分析を行った。まず,各調

査におけるMoCA-JとMMSEの平均得点の差を検討

するために 1 要因の分散分析(反復測定)を行った。

次に,両検査の軽度認知障害に対する敏感性を比較す

るために,各項目平均正答率における SD の比較を

行った。この分析では,MoCA-Jと MMSEの項目を

比較しやすいように,MoCA-Jの項目 5「即時想起」で

正当につき 1点ずつ加算した。最後に,各対象者の得

点推移を,Ward 法を使用したクラスター分析により

探索的に分類し,各検査における特徴を検討した。い

ずれの分析も SPSS for Windows(Ver.11.5J)を用い

た。

結 果

MoCA-JとMMSEの平均得点推移

対象者のMoCA-JとMMSE各回の平均得点と調査

開始時から 6ヵ月後までの平均得点の推移を図 1 に示

す。

MoCA-J における対象者の平均得点は 19.2〜20.9

であり,Nasreddine et al.(2005)と比較すると,MCI

平均得点範囲の下限を示した。MMSEにおける対象

者の平均得点は 25.9〜27.5 であった。MMSEのカッ

トオフスコアは様々な先行研究で異なっているが,

Folstein, Folstein,&McHugh(1975)は 24点以上を健

常と判断している。この値を基にするならば,本調査

対象者は健常とみなされた。

平均得点推移は,調査 1− 2 間,2− 3,1− 3 間に

おいて,MoCA-Jではそれぞれ 1.7,0,1.7であり,

MMSEではそれぞれ 1.6,-0.7,0.9 であった。多重

比較の結果,MoCA-Jにおける調査開始時から 3カ月

後までの得点変化,および調査開始時から 6カ月後ま

での得点変化に有意差が見られた。一要因の分散分析

の結果,MoCA-Jでは有意であったが(F(2,32)=5.67,

p <.05),MMSEでは有意でなかった(F(2,32)= 2.75,

n.s.)。

しかし,本研究ではサンプル数が少ないために統計

的に有意になりにくい傾向があった。そのため,実験

的操作の効果や変数間の関係の強さを表す指標で,「効

果の大きさ」を指す効果量を算出した。結果,MoCA-

Jでは d = 0.06で「中」,MMSEでは d = 0.07で「中」

となっており,サンプル数が増加すればMMSEにお

いても有意差がでる可能性が高いと考えられる。

久留米大学心理学研究 第 10 号 2011

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調査開始時 3カ月後 6カ月後

平均得点

MoCA-J

MMSE

図 1 調査開始時から 6カ月後の平均得点とその推移

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MoCA-JとMMSE正答率 SDの比較

本分析ではMoCA-JとMMSEの項目を比較しやす

いように,MoCA-Jの項目 5「即時想起」では正当につ

き 1点ずつ加算した。2尺度の各項目における対象者

の平均正答率と標準偏差(SD)を表 2 に示す。

MoCA-JとMMSEの各項目における平均正答率の

SDを各調査で比較した結果,MMSEにおいて調査 1

回目では 4項目(即時想起,物品呼称,口頭指示,書

字指示),調査 2回目では 6項目(即時想起,物品呼称,

文の復唱,口頭指示,書字指示,図形模写),調査 3回

目では 5項目(即時想起,物品呼称,口頭指示,書字

指示,図形模写)において床効果が見られた。

また,調査 1回目から 3回目までの各項目 SDの相

関係数は,MoCA-Jでは,調査 1− 2 で 0.93(p <.01),

調査 1− 3 で 0.94(p <.01),調査 2− 3 で 0.94(p <

.01),MMSEでは,調査 1− 2 で 0.53(n.s.),調査 1

− 3 で 0.75(p <.01),調査 2− 3 で 0.62(p <.05)で

あった。

MoCA-JとMMSEの得点推移の群分けによる比較

対象者のMoCA-J,およびMMSEの平均得点推移

をそれぞれ図 2,3,Ward 法を使用したクラスター分

析結果をそれぞれ図 4,5 に示す。

図中の線部分より,対象者番号[4,6,13,14,6,

12,15],[1,17],[9,10,11],[5,8,3,7,2]を

4 つのグループに分類し,それら 4 つの群をMoCA-J

グループA,B,C,Dとした。

図中の線部分より,対象者番号[8,12,6,9],[2,

5,4,7,14,3],[10,11],[15,17,1,16,13]を

4 つのグループに分類し,そられ 4 つの群を MMSE

の A,B,C,Dとした。

分類されたMoCA-J4群およびMMSE4群を,それ

ぞれ図 6.a〜d,図 7.a〜dに示す。

グラフから見る MoCA-J の A〜D の 4 群(図 6.

a〜d)の特徴の比較から,A群を 20点近辺に位置し,

調査開始時から 6カ月後まで少しずつ点数が増加する

「中群」,B群を 18点近辺に位置し,調査開始時から 3

カ月後までに点数が増加するが,その後 6カ月まで点

数が下がり元の値近辺に戻る「低群 1」,C群を 18点

近辺に位置し,調査開始時から 3カ月後まで点数に変

化がなく,その後 6カ月まで点数が少し増加する「低

群 2」,D群を 24点近辺に位置し,調査開始時から 6

軽度認知障害における継時的アセスメントツールとしての日本語版Montreal Cognitive Assessment

― 98 ―

表 2 MoCA-JとMMSEの各項目における平均正答率と標準偏差(SD)

6ヵ月後

84.3(23.9)③時計描画

32.4(30.3)⑨抽象的思考

58.8(50.7)②立方体

9.41(17.5)⑩遅延再生

35.3(49.3)① Trail Making

92.2(12.0)⑪見当識

開始時MoCA-J

100.0(0.0)

50.0(35.4)⑦復唱 82.4(39.3)

100.0(0.0)66.9(25.4)⑥注意

92.2(14.6)

63.5(28.5)

82.4(12.0)⑤記憶

100.0(0.0)

90.6(10.3)

84.3(26.7)④命名

92.9(9.85)

88.2(33.2)

100.0(0.0)

100.0(0.0)

100.0(0.0)

100.0(0.0)

84.3(20.8)

76.5(29.4)

100.0(0.0)

88.2(10.1)

96.5(7.86)

3ヵ月後

100.0(0.0)

88.2(33.2)

23.5(43.7)⑧語想起

100.0(0.0)

②見当識(場所)

①見当識(時間)

MMSE

82.4(39.3)

82.4(39.3)

100.0(0.0)

100.0(0.0)

82.4(39.3)

100.0(0.0)

74.5(25.1)

62.4(32.3)

100.0(0.0)

89.4(17.5)

91.8(12.4)

開始時

100.0(0.0)

72.1(16.8)

83.5(12.7)

88.2(28.7)

90.2(15.7)

64.7(49.3)

52.9(51.5)

6ヵ月後

⑪図形模写

⑩自発書字

⑨書字指示

⑧口頭指示

⑦文の復唱

⑥物品呼称

⑤遅延再生

④計算

③即時想起

21.2(28.7)

61.8(33.2)

35.3(49.3)

47.1(37.4)

77.9(21.9)

85.9(13.7)

84.3(33.6)

80.4(23.7)

47.1(51.5)

23.5(43.7)

3ヵ月後

93.1(10.3)

11.8(22.4)

61.8(37.6)

47.1(51.5)

47.1(37.4)

99.0(4.04)

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調査開始時 3カ月後 6カ月後

得点

図 2 MoCA-Jにおける調査開始時から 6カ月後の得点推移

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調査開始時 3カ月後 6カ月後

得点

図 3 MMSEにおける調査開始時から 6カ月後の得点推移

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久留米大学心理学研究 第 10 号 2011

― 99 ―

図 4 MoCA-Jにおける得点推移のクラスター分析結果

0 Num +---------+---------+---------+---------+---------+

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252015105

Rescaled Distance Cluster Combine

0 Num +---------+---------+---------+---------+---------+

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15

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252015105

Rescaled Distance Cluster Combine

図 5 MMSEにおける得点推移のクラスター分析結果

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調査開始時 3カ月後 6カ月後

No.4

No.16

No.13

No.14

No.6

No.12

No.15

図 6. a MoCA-J グループ Aにおける調査開始時から 6カ月

後までの得点推移

図 6. b MoCA-J グループ Bにおける調査開始時から 6カ月

後までの得点推移

図 6. c MoCA-J グループ Cにおける調査開始時から 6カ月

後までの得点推移

図 6. d MoCA-J グループ Dにおける調査開始時から 6カ月

後までの得点推移

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調査開始時 3カ月後 6カ月後

No.1

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調査開始時 3カ月後 6カ月後

N0.9

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No.11

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調査開始時 3カ月後 6カ月後

No.5

No.8

No.3

No.7

No.2

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カ月後まで点数が増加する「高群」とみなした。

次に,グラフから見るMMSEの A〜Dの 4群(図

7. a〜d)の特徴の比較から,A群を 28点近辺に位置

し,調査開始時から 3カ月後まで点数がほとんど変化

せず,その後 6カ月まで点数が下がる「高群 1」,B群

を 29点近辺に位置し,調査開始時から 6カ月後まで

少しずつ点数が増加する「高群 2」,C群を 24点近辺

に位置し,調査開始時から 6カ月後まで点数に変化が

ない「中群 1」,D群を 25点近辺に位置し,調査開始

時から 3カ月後までに点数が増加するが,その後 6カ

月までほとんど変化しない「中群 2」とみなした。

これらの比較から,MMSEのグループ A〜Dが中

の上でほぼ高群に集中しているのに対し,MoCA-Jグ

ループA〜Dは低群〜高群まで分類され,ばらつきが

多いことが示された。

考 察

MoCA-JとMMSEの継時的認知機能変化に対する敏

感性

まず,3回に渡る調査においての平均得点推移は,

MoCA-Jのみで有意差がみられた。本研究で得られた

両検査の得点変化は非常に少ないが,金子(1995)が

示したMMSEの指標を参考にすると,これらは,「±

2点以内」に止まっており,調査開始時から 6カ月目

までは認知機能を維持出来ていることがうかがえる。

同じ 30点満点のMoCA-Jについても,「維持出来てい

る」と言うことが可能かもしれないが,難易度がより

高いため,得点の比重がMMSEと比較し大きい可能

性も示唆される。こうした点数による悪化等の指標と

なる点数を今後考えていくことも必要であろう。

次に,両検査の項目ごと平均正答率の SDの比較か

ら,MoCA-Jにおいては各項目における SDに全体的

なばらつきがあり,個人差を表している可能性が示唆

されたのに対し,MMSEにおいては,調査開始時では

軽度認知障害における継時的アセスメントツールとしての日本語版Montreal Cognitive Assessment

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No.3

図 7. a MMSE グループ Aにおける調査開始時から 6カ月後

までの得点推移

図 7. b MMSE グループ Bにおける調査開始時から 6カ月後

までの得点推移

図 7. c MMSE グループ Cにおける調査開始時から 6カ月後

までの得点推移図 7. d MMSE グループ Dにおける調査開始時から 6カ月後

までの得点推移

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No.1

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4項目,3カ月後では 6項目,6カ月後では 5項目で床

効果が示された。とくに,即時想起,物品呼称,口頭

指示,書字指示における床効果は調査開始時から見ら

れ,全調査に共通であった。本研究の対象者は

MoCA-Jの得点から判断すると,軽度認知障害を有し

ている可能性が示唆されたが,そのレベルの障害をア

セスメントするにあたり,上記の課題は難易度が低く,

妥当でないことが明らかになった。

また,認知障害は個人差が大きく,そうした個人差

を敏感に捉えることが検査に求められる。しかし,本

研究で示されたようなMMSEにおける床効果は,個

人差を測ることを困難にし,軽度認知障害を敏感に捉

えるとは言い難いと考えられる。さらに,平均正答率

の SDにおいて,3回の調査間でMMSEよりMoCA-J

の方により強い安定した相関が確認されたことから

も,MoCA-Jの検査としての信頼性がうかがえた。こ

れらのことから,継時的認知機能変化測定において,

MoCA-JはMMSEより個人差を敏感に捉え,その信

頼性も高い可能性が考えられる。

最後に,各対象者の得点推移による群分けによる比

較から,同じ 4群ではあるが,MMSEは全ての群にお

いてほぼ上限に集中しており,それらの形状も,近似

しているのに対し,MoCA-Jでは,低群から高群といっ

た多様性が示された。こうしたMoCA-Jの反応は,個

人の認知機能変化をより敏感に反映させた結果と解釈

できる可能性を有する。また,高群とみなされる

MoCA-Jのグループ Dに関しても,24点近辺に位置

しているため,今後点数が大幅に増加してもその変化

を十分に捉えられる可能性が示唆される。

これらの結果は,本研究の目的であるMoCA-Jの軽

度認知機能障害に対する敏感性,および継時的認知機

能変化に対するアセスメントツール,さらには,早期

の介入効果に対するアセスメントツールとしての適用

可能性を示唆している。MMSEでは捉えにくいとさ

れている軽度認知障害を,より難易度の高い課題を含

むMoCA-Jで変化を追っていくことで,認知症の予後

を予測できることが期待できる。

本研究の問題点および今後の課題

まず,問題点として,研究デザインの問題が挙げら

れる。MoCA-JとMMSEは認知機能を測定する検査

とされているが,それらの結果の正確性を確認するた

めにも,認知機能を測る他の検査を導入するべきで

あった。本研究では MoCA-Jにおける反応のばらつ

きを個人差とみなし,MMSEより敏感に軽度認知障

害を捉えていると解釈したが,実際,そのばらつきは

個人差ではなく,単なる誤差であったかもしれない。

それが単なる誤差で,MMSEの方がより的確に認知

機能を捉えている可能性も考えられるため,同様の認

知機能を測る他の指標と比較し,MoCA-Jと MMSE

の各結果の正確性を裏付ける必要があった。

また,MoCA-Jの検査としての軽度認知障害に対す

る敏感性,および妥当性・信頼性を測定することが目

的であったため,検査慣れもしくは練習効果を考慮し,

初めに MMSE ではなく MoCA-J を実施するべきで

あった。または,対象者をランダムに振り分けて

MMSEから開始する群とMoCA-Jから開始する群に

分けることで,後者の検査としての適性を確認できた

と考えられる。本研究では,平均得点推移において

MoCA-Jのみに有意差がでたが,上記したように練習

効果が否めないため,今後,これらの問題点を改善し

た研究を行うことが必要であると考えられる。

さらに,本研究のサンプル数は非常に少なく,対象

者も B デイケアの認知障害レベルが近似した者に限

られていた上,各対象者が有する疾患やライフスタイ

ルなど,背景となる個別の因子を統制することも困難

であったことから,研究結果は限定的であることが示

唆される。今後,様々な背景でのサンプル数を増やし

ていくことで,より適切な結果を導くことが期待でき

る。また,MoCA-J や MMSE といった検査のパ

フォーマンスは,被験者とのラポールや検査状況に影

響されることが示唆されており(松田,2010),鹿島

(2007)も,そうした検査の実施と結果の評価にあたっ

て留意するべきものとして,疲労,動機付け,うつ状

態等を挙げている。今後,研究を重ねるにあたり,そ

うした要因にも十分に配慮する必要性が示唆される。

最後に注記しておくが,MoCA-Jと MMSEは,認

知症のアセスメント検査であるが,本研究で得られた

結果は対象者の臨床評価に置き換わるものではない。

そうした臨床評価には,先述したように,画像,機能

画像,生理機能検査,生化学検査と共に評価していく

必要がある。

本研究は MoCA-Jの継時的認知機能変化に対する

敏感性,および現場における継時的アセスメントツー

ルとしての適用可能性を示唆するものであった。我が

国の多忙な介護現場の現状としては,WAIS-IIIなど

の精度は高いが実施に非常に時間を有する検査より

も,上記のような簡易検査の方が選択されやすいこと

が考えられる。しかし,認知症による認知機能障害は,

各々のケースで障害部位や重症度が異なるため,精度

の高い総合的な認知機能を測る検査を使用し,どのよ

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うな認知機能が維持されているか,もしくは障害され

ているかを詳細に調べることは非常に重要である。障

害の詳細なプロフィールに基づいた治療やリハビリ

は,より良い予後が期待できるからである。こうした

点も踏まえ,現状に適した検査の選択をし,認知症予

防につなげることが必要である。

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Japanese Version of the Montreal Cognitive Assessment as a Successive Assessment Toolfor Mild Cognitive Impairment― Comparison against Mini-Mental State Examination ―

HANAKO UCHIWA (Graduate School of Psychology, Kurume University)

FUMIE INATANI (Faculty of Literature, Kurume University)

MASAHIRO HARAGUCHI (Faculty of Literature, Kurume University)

TSUNEO KITO (Faculty of Literature, Kurume University)

Abstract

The purpose of this study was to examine the applicability of the recently developed Japanese version of the

Montreal Cognitive Assessment (MoCA-J) as an assessment tool for successive cognitive change and for the effect of

early intervention in mild cognitive impairment. This study compared MoCA-J against Mini-Mental State

Examination (MMSE), which has been the conventional standard for these assessments, regarding the mean scores,

item scores and successive changes in the average percentage of correct answers and those standard deviations

(SD), and then discussed the features of MoCA-J as an assessment test. Participants consisted of 17 people (five men

and twelve women) at an adult day care,mean age 78.6± 8.99. The method of the interview was one-to-one ; MoCA-

J and MMSE were administered to all subjects a total of 3 times : once at the beginning of the investigation, once 3

months later, and once 6 months later. The mean scores of the three investigation was 19.2~20.9 on MoCA-J and 25.

9~27.5 on MMSE. The results indicated that of the two tests, only MoCA-J showed a statistically significant change

in the mean scores. In the comparison of each test's percentages of correct answers, there were 4~6 items of MMSE

where subjects scored 100% in all investigations and thus no dispersion was present, whereas MoCA-J showed a

dispersion in all items. Also, a cluster analysis for the score change among participants showed that MoCA-J had

greater dispersion than MMSE. These results may suggest MoCA-Jʼs sensitivity to capture individual differences in

cognitive impairment, however, the dispersion might just be the range error. Thus, it is necessary to further

examine the validity of MoCA-J as an assessment tool by increasing the numbers of subject and comparing with

other cognitive function tests.

Key words : Elderly, Mild Cognitive Impairment, Neuropsychological Test, MMSE, MoCA-J

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