コシgノヌノホキrhg~[フkニャム フアsニオト - chiba...

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㐰9,⸮,㐱4ㄹ㜰⤠ 下半身頑痛症に対するコルドトミーの適応と成績 一-䵩捲潳畲来特 の導入を中心として一一 植村研一牧野博安 山浦 日日 忍頂寺紀彰 浩志 瞕泊 侉좊瞋뎎먩 ⢏몘愠 9 日受付) 要旨 頑痛症,特に悪性腫療による底痛に対しては,種々の除痛手術があるが,特に下半身の底痛 に対しては,古来コノレドトミーが愛用されてきた。しかし, その除痛効果は未だ完壁とはいえ ず,また術後運動麻庫や排尿障害をきたす危険性も苧んでいる。従ってその手術には非常なる 正確さが要求され,今までは,長年の経験によってのみ手術成績を向上させてきた感がある。 著者らは近年発達してきた 䵩捲潳畲来特 の技術を導入して,正確な脊髄切断を容易にするこ とによって,その手術成績を向上させるべく努力してきた。 昭和 5 月より 例のコ J レドトミーを, 3 6 倍の拡大鏡下に施行した所, 例に完全 ,⸮, な除痛効果を得ることができた。 1 例は一時的除痛効果を得たのみで,他の l 例は全く効果が 見られなかった。この失敗例は,良性疾患による慢性の疹痛で, コルドトミーの適応外であっ たと考えられる。悪性腫蕩由来の頑痛症 例に限れば,成功率 㤲% となる。術後の同側下肢 られた。これは,排尿運動神経路が脊髄赤道面にあるとする説と,われわれの ㄯ4 完全切断を 狙う術式とを合せ考えれば,むしろ当然の結果であろう。 肉眼的脊髄切断では,切断面が小さすぎれば,排尿や運動障害を来たない代わりに,除痛効果 が劣仏大きすぎれば逆の結果となる。ここに,コルドトミーの難しさがあり, 䵩捲潳畲来特 の絶対必要なる理由がある。今後は,両側コ J レドトミーに際して,いかに排尿障害をなくしつ つ完壁な除痛効果の得られるようにするかの術式の研究が残されていると信ずる。 䭥祷潲摳㨠 J レドトミー 略語一覧⢕尀 ㄩ㨠 䍡⸺ 捡牣楮潭愠 唺 畲楮慲礠 捵汴y 琮㨠 扩污瑥牡氠 廿: 完全な除痛効果 䱴⸺ 汥晴 不十分な除痛効果 剴⸺ 物杨琠 なし 術の種類とその変遷については,先回論じた通りであ 。確かに,術後何らの生理的感覚障害を残すことな 諸種の原因による頑痛症に対する脳神経外科的除痛手 く除痛し得る 獴敲敯瑡硩c 䍅䴭瑨慬慭潴潭礠 ⢒ 쪔崠 啅䵕剁 䭅义䍈I 䵁䭉乏 䡉剏奁单 奁䵁啒A 䅋䥒A 义乃䡏嵉 乏剉䅋I 剙U 䡉剏 午䤺 䥮瑲潤畣瑩潮 潦 䵩捲潳畲杩捡氠 呥捨湩煵敳 瑯 瑨攠 䅮瑥牯污瑥牡氠 䍯牤潴潭礠 景爠 瑨攠 䥮瑲慣瑡扬攠 偡楮 潦 瑨攠䱯睥爠 偡牴 潦 䉯摹⸠ 周攠 卥捯湤 卵牧楣慬 䑥灡牴浥湴 卣桯潬 潦 䵥摩捩湥 䍨楢愠 啮楶敲獩瑹 䍨楢愮 剥捥楶敤 景爠 灵扬楣慴楯n 卥灴敭扥爠 ㄹ㜰⸠

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(千葉医会誌 46,409,....,414,1970)

下半身頑痛症に対するコルドトミーの適応と成績

一-Microsurgeryの導入を中心として一一

日植村研一牧野博安 山浦 日日

忍頂寺紀彰 劉 浩 志

(千葉大学医学部第二外科学教室)

(昭和 45年� 9月� 10日受付)

要旨

頑痛症,特に悪性腫療による底痛に対しては,種々の除痛手術があるが,特に下半身の底痛

に対しては,古来コノレドトミーが愛用されてきた。しかし, その除痛効果は未だ完壁とはいえ

ず,また術後運動麻庫や排尿障害をきたす危険性も苧んでいる。従ってその手術には非常なる

正確さが要求され,今までは,長年の経験によってのみ手術成績を向上させてきた感がある。

著者らは近年発達してきた� Microsurgeryの技術を導入して,正確な脊髄切断を容易にするこ

とによって,その手術成績を向上させるべく努力してきた。

昭和� 44年� 5月より� 14例のコ� Jレドトミーを,� 3 6倍の拡大鏡下に施行した所,� 12例に完全,....,

な除痛効果を得ることができた。� 1例は一時的除痛効果を得たのみで,他の� l例は全く効果が

見られなかった。この失敗例は,良性疾患による慢性の疹痛で, コルドトミーの適応外であっ

たと考えられる。悪性腫蕩由来の頑痛症� 13例に限れば,成功率� 92%となる。術後の同側下肢

の運動障害は全く見られなかった反面,両側コ Jレドトミ ~4 例中 2 例 (50%) に排尿障害が見

られた。これは,排尿運動神経路が脊髄赤道面にあるとする説と,われわれの� 1/4完全切断を

狙う術式とを合せ考えれば,むしろ当然の結果であろう。

肉眼的脊髄切断では,切断面が小さすぎれば,排尿や運動障害を来たない代わりに,除痛効果

が劣仏大きすぎれば逆の結果となる。ここに,コルドトミーの難しさがあり,� Microsurgery

の絶対必要なる理由がある。今後は,両側コ� Jレドトミーに際して,いかに排尿障害をなくしつ

つ完壁な除痛効果の得られるようにするかの術式の研究が残されていると信ずる。�

Keywords: コJレドトミー

略語一覧(表� 1): Ca.: carcinoma U: urinary di伍culty

Blt.: bilateral 廿: 完全な除痛効果�

Lt.: left +: 不十分な除痛効果

Rt.: right なし

術の種類とその変遷については,先回論じた通りであ序 文�

る1)。確かに,術後何らの生理的感覚障害を残すことな

諸種の原因による頑痛症に対する脳神経外科的除痛手 く除痛し得る� stereotaxicCEM-thalamotomy (定位脳

UEMURA,KENICHI,MAKINO,HIROYASU,YAMAURA,AKIRA,NINCHO]I,NORIAKI,RYU,HIRO・

SHI: Introduction of Microsurgical Techniques to the Anterolateral Cordotomy for the Intractable Pain of the Lower Part of Body. The Second Surgical Department,School of Medicine,Chiba University,Chiba. Received for publication,September 10,1970.

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410 植村研一・牧野博安・山浦 晶・忍頂寺紀彰・劉浩志

手術による視床正中核破壊術)は理想的なものである

が,かなりの装置と訓練を要することと,確実に除痛し

得る標的が未だ学問上議論のあることとのために, どこ

の病院でも気楽にやれる手術ではない。

これに反して,� Schuller (1910)2)により提案され,�

Spiller & Martine (1912)3)により始められた古典的な�

anterolateral cordotomy (脊髄前側索切断術)は,術後

必要以上の広範囲にわたり,生理的な温覚と痛覚とを除

去してしまうことと,長年月にわたる除痛効果の得にく

いことの欠点があるが, どこの病院でも気軽に手術がで

き,また確実に器質性の頑痛を除去し得る点,さらに術

式も簡単で脳神経外科医なら誰でもできる点等より,今

後とも広く愛用されて良いと考えている。

しかし,確実な除痛効果を得るためには,� spinothala-

mic tract (脊髄視床路)を完全に包括する十分な切断

を行なわなければならず,このためには隣接する� py-

ramidal tract (錐体路)への損傷の危険があり,不注

意に行なえば,切断部以下の運動麻庫と排尿障害(特に

両側に行なった場合)という重大な術後後遺症を招くこ

とになる。

そこで著者等は,最近脳神経外科の各手術領域に導入

されてきた� Microsurgery(顕微鏡子術)をコノレドトミ

ーへ導入することにより,切断範囲をより確実にして,

完全にして安全な除痛効果をあげるべく努めて来てお

り,好成績を得たと思われるので,ここに報告する。

手術適応と術式

対象は,原則として(1例を除き),悪性腫蕩による

両側またはー側の下半身の頑痛症で,すでに麻薬を常用

するに至ったもので,臨床的にも,頑痛の部位が比較的

限局され,心因性疹痛の要素の可及的少ないものを選ん

だ。�

l例の� cervicalcordotomyを除き,他はすべてー

側もしくは両側で,� T._3 の高さで� thoraciccordotomy

を行なった。両側の場合は,一期に行なう場合には,左

右の切断の高さを少くとも一節� (onesegment)ずらし,

また二期的に行なう場合には,左右の� cordotomyの間

隔を少なくとも� 1週間おき,やはり左右の高さは� one

segmentずらして行なった。

術式そのものはすでに成書に記載された通りである4,�

5,九腹臥位で,全身麻酔� (G.O. F.)のもとに,� C7より�

T.1 の� dorsalspineにいたる皮切を行ない,ー側, 両

側にかかわらず,� T.→-3 の� totallaminectomy (全椎

弓切除術)を施行し,硬膜を切開する。ここで術者は拡

大鏡を着用する訳である。この場合,脳動脈癌や脳血管

吻合に使われているような� 10,,-,20倍の顕微鏡の使用は

必要ではなく,� 3,,-,� 6倍の拡大鏡付の� HeadLamp (図

1)で十分と思われるのでこれを用いた。くも膜を十分

に剥離し,一側の場合は� T2 の高さで,両側の場合に

は,片方は� T2,他方は� T3の高さで,神経根の出口の少

し頭側にある� dentate ligament の硬膜付着部を切離

し,これをつまみ挙げて,脊髄を安全な範囲で可及的に

長軸に治って回転させ前側索部を視野の中へ露出する

(図 2)。対側の� dentateligamentをも切離しすれば

回転が楽になるが,脊髄の横径と脊椎管腔の横径の比の

個人差により必ずしも必要ではない。拡大鏡の使用によ

り,脊髄表面の血管がよく見えるので可及的に無血管の

所を選ぶ。また切断にあたって前根がじゃまになるが,

適当な高さを選ぶことによって,前根を図� 3に示すごと

く� dentateligament断端より後方に変位させれば便利

図� 1

図� 2

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顕微鏡手術のコ� Jレドトミーへの導入とその成績� 411

図 3

であり,後はただ� anteriorspinal arteryの損傷のみ

気をつければ良い。まれに� dentateligamentを確認で

前根起その場合には,),1きない症例があるが(症例�

始部と後根起始部の中間を目標とする。

コルドトミーに当っては,特製の� cordotomyknife

を使用する人もいるが,われわれは替刃式の� No.11の

刃を使用し,先端より� 5mmの所に骨ろうで印をつけ

た後,図4のごとく,� dentate ligament起始部もしく

は,前根と後根の各起始部の中間より,脊髄表面に対し

て垂直に正確に� 5mm挿入して,円孤状に切断する。可

及的高位まで� analgesiaを得るためにはできるだけ正中

線ぎりぎりまで� anteriorspinal arteryを損傷するこ

となく切る必要があり,� White &Sweet5),6)の指摘して

いる通り少なくとも前根起始部を� 2mmは越えるように

した。また� sacralや� analの� analgesiaを得るために

は,� dentate ligament起始部ぎりぎりの所から刺入す

る必要があり,錐体路の損傷を避けるためには,刺入角

度が垂直を越えて後方に向かわぬよう最大の注意が必要

であり,これらの細かい点を拡大鏡で十分に確認する必

要がある。

症 例

表� lに示したごとく,昭和� 44年5月以降� 45年� 8月に

到る� l年� 3カ月間に,上記の術式によって行なったコル

ドトミーは� 14例であった。� l例(症例� 10)の� spinalad-

hesive arachnoiditisによる慢性の頑痛症以外はすべて

悪性腫療に由来する頑痛症である。� 13例の悪性腫、虜例中�

3例(症例� 3,� 9,11)は,両側の底痛に対して一期的

に両側のコ� Jレドトミーを施行した。他の一例(症例� 7)

は,最初頭痛を右側にのみ訴えていたので、左側のコ� Jレド

表1. コJレドトミー症例一覧表�

除痛症併止口』コルドトミー 死 亡術後No. 痛 部発 備考年月日Hyp Anal

鈴� O 光� O

年月日左,右高�

Penis Ca. Rt. Inguinal34合� T10 Ll69/ 5/19 Lt.T 3 69/ 7/26

69/12/18

+ト。 Uterus Ca. Lt.Sacral56♀ 十十� 2 吉 利� 69/ 7/ 7 R t. T 2 T 8 T10

T6 T8 十ト� Uterus Ca. Blt. Pelvic56♀3 佐� O は� O 69/ 9/17 (Lt.T 4 十十� T6 T8

Lt.Knie !69/川� R t.T 3 +トT8 2ヵ月Patella Ca.4 岩� O き00 34♀ 70/ 1/26 Rt. C2 C5 T8 後再発�

5 大� 00ふ� O +

Uterus Ca. Lt. leg 69/10/14 Rt. T 3 死 亡

6 長00千00

56♀ -ttT6 T8

Uterus Ca. Lt.leg45♀ 69/12/ 2 Rt. T 2 T6 Ts +ト 対側痛Rectal Ca. Lt. sacral 70/ 1/20 Rt. T 2 T6 T g42♀7 三� O と� O +十出現�

u

8 吉� O O

(Rt. Sacral) 70/ 2/ 2 Lt. T 3 T7 Ll +十

Breast Ca. Lt. Sacral-leg 70/ 2/ 3 R t.T 2 T4 Ts 70/ 311135♀ +十

十十T2 T4 T11fltMmlUterus Ca. 君。清

9 藤� O 7/23ft35♀ R t.leg Lt. T 3 十十�

10 胸� O 俊� O

T4 Ta

Arachnoiditis R t.Leg 70/ 2/26 Lt. T 2 T5 Ts63合�

十十T4 T10Uterus Ca. Blt. Sacral45♀11 増� O ひ� O 7 仰� iRt

T2

T4 TllLt.T3 十卜�

12 大� O ぃ� O Rectal Ca. Lt.Sacral54♀ 70/ 6/30 Rt. T 2 T5 T6 什�

13 近 緑� Uterus Ca. Lt. Leg40♀ 70/7/21 R t.T2 T7 Ta 70/ 7/31

14 矢 実�

-tt Anal Ca. Rt. Inguinal48合� 70/ 8/19 Lt. T 2 T4 T5 +十

。。

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412 植村研一・牧野博安・山浦

トミーを施行し完全な除痛効果が得られると同時に,新

たに反対側(左)の頑痛を訴え始めたので,� 2週間後に

右側のコルドトミーを施行し,両側とも完全な除痛効果

を得た。症例� 4は,原発巣不明の左膝部の癌による同部

の頑痛を訴え,底痛のために全く起立歩行不能であっ

た。右の� T3 でのコルドトミーによって完全な除痛効果

が見られ,自由に歩行できる状態で退院したが,退院後徐

々に左大腿部から膝部にかけて悲痛が再発し,analgesia

のレベルは依然� T8 であったが,悲痛部では� analgesia

が完全で、ないように感じられたので,� spinothalamic

fibersの切断が不十分であったとの推定の下に,� 3ヵ月

半後に右の� C のコ� jレドトミーを施行した。底痛は軽快2

したが,除痛効果は不十分であった。この時点で、転移に

よる腰椎の圧迫骨折が発見された。残る� 9例は,一側性

の頑痛に対して� l回のー側性のコ� Jレドトミーで完全な除

痛効果を得ている。

合併症としての同側性の運動障害はなかった。術後の

排尿障害は,ー側性のコルドトミ一例にはなかったが,

両側に行なった� 4例中� 2例(症例� 7,11)に発生した。

考 察

以上� 14例中,コルドトミーによって除痛効果のなか

った症例� 10と,短期に再発した症例� 4とが不成功例で,

残る� 12例は完全な成功例と見られる。従って除痛成功

率は� 86%である。ただし,全く不成功に終わった症例�

10は,� 5年半に及ぶ� arachnoiditisadhesivaによる右

下肢の慢性の頑痛症であり,過去において� 2回椎弓切除

術を他院にて受けており,広痛の性質がしびれるような

痛みであったこと,病図的にも広痛の機序として必ずし

晶・忍頂寺紀彰・f1J浩志

も明確で、なかったこと,さらに原因のいかんによらず頑

痛が長期に及んだ場合,心因性の因子が多分に混入して

来,除痛手術の効果が得難いという経験的知見,しかも

コルドトミーによる初期の除痛効果を長期間保持するこ

との困難性等を考慮すれば,この症例はコ� Jレドトミーの

正しい適応でなかったのではないかと考えられる。そこ

で病因的に単一な悪性腫蕩由来の頑痛症� 13例に限って

論ずれば, 除痛成功率は� 92%となる。表� 2はこの結果

と諸家の成績5ト� 14)との比較を示したものである。他の

諸家の大体� 70%前後の成績に比し� 86%という抜群の�

Whiteら6)の成績は,� thoracic cordotomy 341例とい

うこれまた抜群に豊富な経験の上にあるものと感じられ

る。 これに対して, わずか� 14例の経験の中でのわれわ

れの� 86%, さらに悪性腫蕩に限つての� 92%の成績は,�

Microsurgery によるより正確な手術々式によるとこ

表� 2. コルドトミーの除痛効果(成功率)

症例数短期 長期�

Grant(1943) 126 64%

Nolam & Peyton(1956) 40 75%

Simionescu (1957) 62 74%

Diemath et al(1961) 81 70%

Frankel & Prokop(1961) 59 67%

Brihaya et al(1962) 28 43%

50% Nathan

一側� 71 54%

、,yhiteet al(1950,1955) 210 81% 75%

White et al(1969) ~ (悪性 271 86%

(良性 70 86% 56%

著者ら 悪性のみ� 13 92%

(全症例 14 86%)

表� 3. コルドトミーの合併症�

症例数 運動障害 排 尿 障 害 �

一側両側�

Babtchine (1929)

Stebbing (1929)

Diemath et al (1961)

Frankel & Bokop (1961)

Brihaya et al (1962)

Owens (1966)

White et al (1950,1955)

White et al (1969)

著者ら

22

14

126

75

13%

41%

4%

70%

8%

女性例のみ�

210 両側

4%

8,......10%

2,......5%

179 ー側� 6% 9%

14 0% 。%�

79,も

25%

33%

11%

78%

40%

i29%(一期)�

16% (二期)

i開(一期)� 17% (二期)

50%

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413 顕微鏡手術のコルドトミーへの導入とその成績�

ろ大であると考えられ,肉眼的手術の限界が示されたも

のと思う。

一方� Whiteらは,術後下肢の運動麻庫を来たすこと

なく,最高の� analgesiclevelひいては最大の除痛効果

を得るために,局麻下で手術を施行し,術中運動および

痛覚機能を患者の協力の下に,繰り返し検査しつつ,満

足すべき� analgesiclevelが得られるまで脊髄切開をく

り返した訳である。しかしわれわれは,脊髄の解剖学的

特徴をよく把握して,切断範囲を拡大鏡下に正しく決定

すれば,術中の生理学的検査の必要はないと考え,全例

全麻の下に手術を行なった。その結果は表� lに示したご

とく最初の症例� 1を除いてすべて� T5_11 という非常に満

足すべき� analgesiclevelが得られた。ことに� T8以高

のレベルが� 10例にも見られている。

つぎ、に合併症の問題を論ずる。われわれの成績と諸家

の報告仏6),7),11),12),1払� I仏1仏17)は表� 3に示した通りであ

る。まず下肢の運動障害については,最も手術成績の良

い� Whiteらですら,一側コルドトミー後に� 4,-..,� 6 %,

両側コ� Jレドトミー後に� 8,-..,� 10%の発生率を示している。

メスの脊髄への刺入点とその角度を拡大鏡下にコントロ

ールしたわれわれの手術では,運動障害を認めたものは

なかった。

術後の排尿障害については,� Babtchineの例外を除

き,ー側のコノレドトミー後でも数%に発生しているが,

これは� White も論じているようにコルドトミー以前に

すでに,反対側の� sacralnerve plexus に癌浸潤があ

ったためと思われる場合が多いので,術式と結びつけて

論ずることはできない。

さて, 両側のコ� Jレドトミーについては,� Stebbingl6)

歯状靭帯

附着部

議:;;;:;:援護� urinarymotor pathway

ミミゴルドトミーの範囲

は同一� segmentで両側に施行した� 14例中� l例� (7%)

のみに排尿障害を見たと報告しているが,彼の脊髄切開

は� 3mmの浅いものであった。一方� Whiteはその初

期の報告5)においては,� 5mmの深い切聞を一期に両側

に行なった場合には� 29%に,二期に分けて行なった場

合には� 16%に, 排尿障害を経験し, 両側コルドトミー

は二期に分けるべきと主張した。しかし彼らの最近の報

告6)では,一期二期ともに� 17%となっており,排尿障害

の発生は脊髄切開の範囲によって決まると論じている。

これに反し,われわれは� 4例の両側コルドトミー中� 2例�

(50%)に排尿障害を経験した。� Kahn & Peetl8)は脊

髄切闘を深くする程,排尿障害の発生率は増加すると指

摘している。しかしながら,著者らは切開の深さそのも

のよりも,メスの刺入角度に問題があるのではないかと

考えている。 このことは, 図4に示すごとく,� urinary

motor fibersの脊髄中の通路19)とわれわれの徹底した

コJレドトミーの範囲とを合せ考えれば容易に理解できる

ことと思う。� Sacralsparingを避けるために,� dentate

ligament付着部より水平にメスを入れれば, 当然�

urinary motor pathwayを損傷することになるからで

ある。すなわち,� 1/4脊髄切断術の技術が確実になれば

なる程,除痛の効果は確実となり,運動障害の危険は去

る一方,両側に行なった場合の排尿障害の危険率は最高

に達する。この相反する最後の合併症をいかに抑えるか

が,今後のわれわれに残された問題と思う。�

SUMMARY

The recently advanced microsurgical technique

was applied to the anterolateral cordotomy to

alleviate the intractable pain of the lower part

of the body in attempt to control accurately the

extent of the spinal cord to be incised so as to

attain persistent pain-relieving effect. A head-

lamp attached with binocular lenses of 3 to 6

times magnification was employed. Since May

1969,14 cases were submitted to microsurgical

cordotomy in which No. 11 changeable knife-

blade was inserted into the spinal cord just at

the origin of the dentate ligament and exactly

perpendicularly for the extent of exactly 5 mm

and swept' anteriorly to incise the anterolateral

quadrant,at least 2 mm beyond the exit of the

ventral root. Three cases were submitted for

one-stage bilateral and another case was submit-

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414 植村研一・牧野博安・山浦 晶・忍頂寺紀彰・劉浩志�

ted for two-stage bilateral cordotomy. Complete

pain relief was obtained in 12 cases,temporary

complete pain relief was obtained in one case

which was submitted for cervical cordotomy

with only partial relief,and one case (only one

case of chronic pain of non-malignant pathology)

resulted in complete failure. Except one just

mentioned,all the other cordotomies were car-

ried out at the level of T2-3. When only malig-

nant cases were concerned,our successful rate

was 92%,highest as compared with other reports.

N 0 motor weakness deve loped. However,post-

operative urinary di伍cultywas observed in 20ut

of 4 cases of bilateral cordotomy,which can be

well related to the extent of cordotomy and

which must be improved by further study,espe-

cially in regard to the angle of insertion of the

knife-blade.

引用文献�

1)牧野博安,植村研一, 山浦晶: 頑痛症に対する

脳神経外科的手術の進歩について,千葉医会誌,

44,232-239,1968.

2) 5chuller,A.: Uber operative Durchtrennung

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