月刊現代ギター - 2014年12月号

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Page 1: 月刊現代ギター - 2014年12月号
Page 2: 月刊現代ギター - 2014年12月号

14 特 集

スパニッシュギターの伝道師、ロマニリョス68 第 2 特集 尾尻雅弘:初見演奏に強くなるコツ

CONCERT PHOTO REPORT

24 コンサート・フォトレポート 鈴木大介 大谷美水 ホセ・マリア・ガジャルド・デル・レイ〔共演〕谷本綾香(Ms)

朴葵姫 薮田建吾、鈴木舞(Fl)、宮崎寿理(Fg) 熊谷俊之〔共演〕白井圭(Vn) キム・ヨンテ&浜野茂樹 益田正洋

REPORT

53 第 5回いいづなムジカ・フェスタ 201456 ニュルティンゲン国際ギターフェスティバル&イザローン国際ギターシンポジウム 2014

INTERVIEW

34 Jiro'sBar ~濱田滋郎対談〔21〕  原浩之(HakujuHall 支配人)42 ホセ・マリア・ガジャルド・デル・レイ46 カルレス・トレパット50 益田正洋

READING / ESSAY / LECTURE

30 愛器を語る[69]    松尾俊介(マイケル・ジー)

38 ポインツ・オブ・ギターテクニック[9]    尾尻雅弘72 奇蹟のギタリスト(手塚健旨)   イダ・プレスティ

77 オールド・ポップス・コレクション〔9〕   ウィンター・ワンダーランド(バーナード)(たしまみちを)

INFORMATION

60 ギター弦測定62 めもらんだむ63 新刊案内64 新譜案内66 外盤案内80 コンクール・インフォメーション100 今月の見どころ聴きどころ102 ギター名曲講座104 各地から109 イベント&コンサートガイド

ENSEMBLE

98 アンサンブルの広場

SCORE

125 今月の楽譜解説126 ソナタOp.6-2(モリーノ)132 雨(弘田龍太郎~莉燦馮)※二重奏136 二人の休日(佐藤正美)

Vol.48 No.13 December2014 No.612 December

朴葵姫

●表紙 ホセ・マリア・ガジャルド・ デル・レイ

●写真 東昭年

81 ポピュラー・ヒット・レパートリー〔21〕 すべての悩みは取り払われて(マデトヤ)

     牧人ひつじを(クリスマス・キャロル)  (小関佳宏)84 遡行ギター音楽史年表〔9〕(朝川博)86 atempo 日記〔57〕(渡辺和彦)88 セゴビアとパキータ〔45〕        (A.エスカンデ/訳:坪川真理子)92 ロンドン便り〔60〕(ワシリー・サバ/訳:関塚亮司)94 レパートリー充実講座〔237〕(猪居信之)   大序曲Op.61②(ジュリアーニ)

雑誌版『現代ギター』2014 年 12 月号に掲載の、連載『キネマ楽園』、添付楽譜『時代』は著作権権利者によりダウンロード販売が認められていないため、本電子版には掲載しておりません。

Page 3: 月刊現代ギター - 2014年12月号

14 Gendai Guitar

 ギター製作家、ホセ・ルイス・ロマニリョスは 1932年にマドリッドで生まれ、家具職人となった。1956 年にイングランドに移住し、そこでも家具職人として働いた。それから5年後、ロンドン在住中に、彼は初めてのギターを作った。1969 年にはジュリアン・ブリームに出会い、自分のギターを一挺見せたところ、準備ができたら他のギターも見せてほしいと頼まれる。ロマニリョスが数挺のギターを持っていくと、ブリームはその内の一挺を気に入り、自分の物とした。ブリームはセムリー

(イングランド南部)にスタジオを持っていたが、そこでギター製作をするよう招いた。そして、ブリームとロマニリョスは長年、友人として共に働いた。ブリームはロマニリョスのスタジオで彼のギターを弾いてみた後、貴重な意見を伝えた。ロマニリョスはブリームのアドバイスによって、より良いギターを作ることができた。

●ギター製作家として初の名誉博士号取得――あなたは最近、とても忙しいですね。スペインのアリカンテ大学から、名誉博士号をいただきましたね。

ホセ・ルイス・ロマニリョス(以下、R) 贈呈式は、私にとってとても感動的でした。アリカンテ大学がスパニッシュ・ギターの製作家に博士号を与えるのは、これが初めてのことで、大変誇りに思っています。同時に、この博士号は世界中のギター製作家への賛辞のようにも思います。今までギター製作家はずっと「舞台裏」の存在で、その芸術がなかなか認められなかったので。――ギター製作家として、そしてギター製作研究家としてのあなたの働きは、多くの人にとって、ギター製作の芸術に関心を持つきっかけとなったと思います。最近は、新しい本を出版されましたね! スパニッシュ・ギターについての新しい本を完成させるのに、困難はありましたか? アイディアがどんどん浮かんできたのでは?R 最初に『Making a Spanish Guitar』を書こうと思ったのは 1961 年のことです。スパニッシュ・ギターについての本は少なく、情報も薄かったからです。ギター製作の技術や知識を蓄えてから完成させたかったので、時間をかけて書きました。――アントニオ・デ・トーレスの本や、スパニッシュ・

最新インタビュー / ホセ・ルイス・ロマニリョスAn interview with José Luis Romanillos by Thèrése Wasssily Saba インタビュー:テレーズ・ワシリー・サバ 翻訳:長 佑樹

特集:スパニッシュギターの伝道師、ロマニリョス

2008 年コルドバ・ギターフェスティバルでのロマニリョス Photograph by Therese Wassily Saba

ロマニリョス・インタビュー.indd 14 2014/11/06 16:24:58

Page 4: 月刊現代ギター - 2014年12月号

24 Gendai Guitar

CD『キネマ楽園』シリーズ 6作品目となる“Baroque バロック”を9月24日にリリースした鈴木大介が「映画名曲コンサート」と題したリサイタルを行なった。前半は最新アルバムに収録したバロックの名曲を取り上げ、鈴木による荘厳かつ重厚なギターの響きがホールに浸みわたった。後半は同シリーズからポピュラー、クラシック、ボサノバなどジャンルや時代を超えた映画音楽の名曲が演奏されたが、聴衆は鈴木の語りかけるような温かいギターの音色に、映画のワンシーンを思い出すかのごとく聴き入っていた。プログラム:神秘的なバリケード(クープラン~ディアス)、

ソナタ K.213,K.544,K.263(スカルラッティ)、G線上のアリア(バッハ~ラッセル)、サラバンド(ヘンデル)、シャコンヌ(バッハ)、イル・ポスティーノ(バカロフ)、ひまわり、シャレード(マンシーニ)、ニュー・シネマ・パラダイス(モリコーネ)、ゴッド・ファーザー・メドレー(ロータ)、ノクターン(ショパン~タレガ)、アランブラの想い出(タレガ)、ス・ワンダフル(ガーシュウィン)、裸の島(林 光)、ワルツ~他人の顔(武満 徹)、サンタ・マリア(伊福部 昭)、エル・チョクロ(ビジョルド~ディアンス)、イパネマの娘(ジョビン)

[9月 27日/三鷹市芸術文化会館・風のホール]

鈴木大介 DDaisukeaisuke Suzuki 写真:東 昭年写真:東 昭年

Page 5: 月刊現代ギター - 2014年12月号

30 Gendai Guitar

愛器を語る

松尾俊介 ◆マイケル・ジー

(1992)

Shunsuke Matsuoパリ国立高等音楽院ギター科を満場一致の首席で卒業。アントニー国際ギターコンクール(仏)第 3 位入賞、庄内国際ギターフェスティバル第 1 位。ファーストCD「ヴァリエ1」をリリースしデビュー。NHK-FM 名曲リサイタル、ベオグラード国際ギターアートフェスティバル、東京オペラシティB → C など、内外で多彩な演奏活動を展開。2013 年、最新アルバム「ギターが奏でるバッハの世界」がレコード芸術誌特選盤に選ばれる。

写真:木田新一

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68 Gendai Guitar

【初見】しょけんsight-reading(英)、Vomblattspielen(独)、déchiffrage(仏)、prima visita(伊)

初めての楽譜を見て、ただちに歌ったり弾いたりすること。このためには、見た音をすぐ出せるような喉の訓練や、すぐ弾ける指の訓練が必要である。初見の能力は演奏家にとって重要なものの一つであるが、これは先天的な素質によるよりは、後天的な練習によって発達させることの出来るものである。         〔新音楽辞典~楽語/音楽之友社刊より〕

第 2特集

初見演奏に 強くなるコツ尾尻雅弘 Masahiro Ojiri※プロフィールは 38 頁を参照

譜例 1:「ド」の音を鳴らすには

●はじめに

 「ギタリストは他の楽器奏者に比べると初見が出来ない!」という話をよく耳にします。しかしながら、個人的には逆に、ギターという楽器は初見に不向きな楽器という風に考えています。ギターなどの弦楽器は、ある1つの音が鍵盤上の 1 ヵ所に限られているピアノなどの鍵盤楽器とは違い、同じ 1 つの音でも、押さえる弦、ポジションによって、数ヵ所の異なる場所で鳴ります(譜例 1)。

●ギター譜について

 さて、初見演奏を上達させるには、1 にも 2 にも経験がものを言うでしょう。今までどれだけ多くの楽譜を読んできたか、また、それらを演奏してきたか。もちろん訓練でも良くなります。 ギターの楽譜は、オーケストラの指揮者が見るスコアやピアノ譜など二段譜で書かれているものに比べて、基本的には一段譜でありシンプルです。しかし、同じ一段譜でも、金管・木管楽器などの単旋律を奏でる楽器の楽譜よりは、読み取る情報量が多いと言えます。 まず、初心者の方は初見に強くなることを考えるよりも、与えられた課題となる曲の楽譜をきちんと理解することを、習慣付けるように心掛けましょう。これはとても大事なことです。そのことが、後に初見演奏上達のための道標となるでしょう。じっくりと楽譜と向き合い、その中から最大限の情報を読み取る習慣付けを心掛けていけば、音楽的な関心も高まり、より良い音楽家へ成長出来ると思います。ある程度の技術が身に付き、初見に強くなりたいと思うようになったとすれば、その時点が初心者から中級に移行する分岐点とも言えます。

●初見演奏のための基礎知識・基礎感覚

 音楽には、「メロディー」、「リズム」、「ハーモニー」という、音楽を構成する上で必要不可欠な 3 大要素があります。これらの理解が初見演奏には大変重要なポイントとなります。また、自分の出している音が、譜面通りなのか違うのかの判断が可能となる「音感」も必要となってきます。これらはギターと言わず、他の楽器についても同様で、新たに楽器を始める時は、少なからず皆、同

ピアノ ギター

ピアノでは1ヵ所 ギターでは……2弦 1フレット3弦 5フレット4弦10フレット5弦15フレット

4ヵ所ある

 ヴァイオリンなどの擦弦楽器にも同じことは言えますが、弦は 4 本とギターより少なく、無伴奏の作品は別として、譜面上でもポリフォニーや和音がたくさん書かれているものは少なく、モノフォニーの単旋律の方が圧倒的に多く見られます。しかしギターは弦が 6 本あり、かつモノフォニーよりもポリフォニーで多く書かれています。その点がギターにおける初見の難しさに与える影響は大きいでしょう。とは言うものの、ギタリストがいつまでも初見に弱いままでいる訳にもいきません。近年のギタリストの技術的な面も年々進歩の一途をたどっていますし、初見についても同様なことが言えると思います。

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