急性肺塞栓症の早期診断・治療...

45
急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川 浩一

Upload: others

Post on 24-Jan-2021

6 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策

はせ川内科循環器科

長谷川 浩一

Page 2: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

症 例

患 者 : 67歳 女性。

主 訴 : 胸痛

現病歴 : 1989年3月6日、閉塞性動脈硬化症の疑いで当院入院。

3月13日、両側大腿動脈造影を施行。翌日トイレ歩行中に

前胸部痛が出現し、ショック状態に陥ったため、当科に

転院した。

既往歴 : 子宮筋腫摘出術(1965年)。

家族歴 : 特記すべきことなし。

身体所見 :身長 151cm、体重 48kg。顔面蒼白・冷汗著明。

脈拍 整・55/分、血圧 60(触)/mmHg。

頸静脈拍動 a波増高。心雑音・肺野ラ音なし。

腹部・四肢に異常なし。

Page 3: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

aVR

aVL

aVF

V1

V2

V3

V4

V5

V6

`89-3-14 M.M. 67yo. F.

Page 4: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川
Page 5: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

aVR

aVL

aVF

V1

V2

V3

V4

V5

V6

`89-3-16 M.M. 67yo. F.

Page 6: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

99mTc-MAA (90/3/22)

Page 7: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

冠動脈造影

RCA LCA

Page 8: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

MGLV MULTIPLE GATED STUDY (EF, CINE, EDGE)

VARIABLE ROI EF (%) = 59.8±4.1

ED POINT (FRAME NO) = 1

ED VALUE (COUNT) = 9898

ED BACKGROUND (COUNT) = 5784

ES POINT (FRAME NO) = 12

ES VALUE (COUNT) = 5057

ES BACKGROUND (COUNT) = 3400

SAMPLING TIME (MSEC) = 30

END-DIASTOLIC IMAGE END-SYSTOLIC IMAGE

ID = C52317 MM F MGLV 1989, 3/17

Page 9: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

aVR

aVL

aVF

V1

V2

V3

V4

V5

V6

`89-3-25 M.M. 67yo. F.

Page 10: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

99mTc-MAA

Page 11: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

目 的

肺塞栓症は、近年本邦においても決して少なくないこと、

急死の一因ともなることが認識されてきた。

しかし、急性肺塞栓の診断はしばしば困難で、早期診断・

治療がなされなければ、その予後は不良となる。

今回の目的は、本症の臨床的特徴を明らかにし、早期

診断・治療に寄与することである。

Page 12: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

対象と方法

急性肺塞栓 43(男 21, 女 22)例、19~83(60.8±15.8)歳

を対象として、臨床症状、血液ガス分析、末梢血・血液生

化学、肺動脈圧、急性期心電図所見について解析した。

Page 13: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

背景因子

術後又は臥床 8 例 (19%)

カテーテル検査後 6 (14)

深部静脈血栓症 6 (14)

高血圧 6 (14)

心疾患 5 (12)

脳血管障害 5 (12)

下肢骨折後 3 (7)

悪性腫瘍 3 例 (7)

産婦人科的処置 2 (5)

プロテインC欠乏症 1 (2)

抗リン脂質抗体症候群 1 (2)

慢性腎不全 1 (2)

サルコイドーシス 1 (2)

なし 9 (21)

Page 14: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

臨床症状とその発現頻度

ショック・失神 18 例 (42%)

死亡 8 (19)

呼吸困難 37 (86)

胸痛 14 (33)

発熱(>37.5℃) 10 (23)

頸静脈怒張(↑a) 21 (49)

Page 15: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

血液ガス分析・血液生化学

PaO2 < 65・PaCO2<40mmHg 31/39 例 (79%)

WBC > 8000/μ l 24/39 (62%)

LDH > 140 IU/l 23/37 (62%)

Bil > 0.8 mg/dl 13/33 (39%)

Bil > 1.0 mg/dl 5/33 (15%)

(×1.5)

Page 16: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

肺動脈・右房圧(急性期)

症 例 年齢・性 肺動脈圧 (mmHg)

右房圧 (cmH2O)

1. T.K.

2. K.A.

3. M.A.

4. S.K.

5. H.N.

6. H.K.

7. T.K.

8. Y.M.

9. Y.S.

10. M.T.

11. K.K.

71 M

74 F

54 M

67 M

19 M

34 F

80 M

74 F

70 F

59 F

57 F

64/28 (48)

73/22 (40)

85/32 (50)

35/15 (20)

34/ 7 (21)

49/17 (28)

48/22 (31)

75/28 (44)

40/

16

12

18

14

4

11

11

12

13

18

Page 17: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

超急性期心電図所見 全41例 死亡7例

↑ST in V1-2

inverted T in V1-3

↓ST in V4-6

S1

RBBB

S1 Q3 T3

S1 S2 S3

右軸偏位 肺性P

RV1 > 0.5mV

R/S in V1 > 1

SV5 > 0.5mV

SV5 > 0.7mV R/S in V5 < 1

15 例 (37%) 32 (78) 9 (22) 23 (56)

11 (27)

10 (24) 8 (20) 8 (20) 6 (15)

5 (12)

4 (10)

16 (39)

12 (29) 10 (24)

4 例 (57%) 7 (100) 3 ( 43) 6 ( 86)

6 ( 86)

2 ( 29) 3 ( 43) 3 ( 43) 2 ( 29)

2 ( 29)

3 ( 43)

3 ( 43)

0 ( 0) 2 ( 29)

Page 18: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

心拍数 (発症早期)

洞頻脈(>100/m) 21 (死亡 5)

徐 脈 (< 60/m) 4 (死亡 2)

Page 19: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

`90/5/10 6/13/11:30(胸痛)

Page 20: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川
Page 21: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川
Page 22: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

C93168 K.K. 57F.

ECG (`89/9/29)

Page 23: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

C93168 K.K. 57F.

PTE (onset)

`89/10/8 Ⅰ

Page 24: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

C93168 K.K. 57F.

PTE (onset 3.5hrs) `89/10/8 CVP=19cm H2O

Page 25: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

急性肺塞栓

エコノミークラス症候群

急死

(心筋梗塞よりも恐い)

Page 26: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

A12901 K.M. 55yo. M.

Master ECG

(on admission)

rest immed. after

Page 27: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川
Page 28: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川
Page 29: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川
Page 30: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

Post Rt-Lat

Ant

99mTc-MAA

L R

R L

Lt-Lat

Page 31: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川
Page 32: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

ECG

(2 days after tPA)

A12901 K.M. 55yo M

Page 33: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

目 的

急性肺塞栓症の予後は、早期診断が成され

なければ不良となるが、その診断は今なお容易

ではない。

今回の目的は、早期診断に直結する簡便な

臨床・検査所見の特徴を見出すことにある。

kawasaki Medical school

Page 34: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

対象と方法 当院で1978年から1994年まで(17年間)に肺動脈造影、

肺血流シンチあるいは剖検で確診しえた肺塞栓症59例

を対象として2群に分類。

Ⅰ. 1978年~90年発症の前期群: 43(男 21、女 22)例

年齢 19~83(平均 61)歳

Ⅱ. 1991年~94年発症の後期群: 16(男 4、女 12)例

年齢45~86(平均 67)歳

検討項目 発症の背景因子、臨床症状、他覚所見、

動脈血ガス分析、急性期心電図所見

を両群で対比し、その動向を調査した。 kawasaki Medical school

Page 35: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

背景因子

前期群 (n=43)

kawasaki Medical school

後期群 (n=16)

術後・カテーテル後

悪性腫瘍

深部静脈血栓症

脳血管障害

26 %

7

14

12

44 %

38

6

6

Page 36: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

臨床症状

前期群 (n=43)

kawasaki Medical school

後期群 (n=16)

ショック・失神

呼吸困難

胸痛

死亡

42 %

86

33

19

38 %

100

44

13

Page 37: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

他覚所見・動脈血ガス分析

前期群 (n=43)

kawasaki Medical school

後期群 (n=16)

頸静脈怒張(↑a)

ⅡP亢進

PaO2<65・PaCO2<40mmHg

49 %

16

79

88 %

81

79

Page 38: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

急性期心電図所見(全例)

前期群 (n=41)

kawasaki Medical school

後期群 (n=14)

↑ST in V1-3

Inverted T c ↑QT in V1-3

S1

洞頻脈

↓ST in V4-6

S1Q3T3

RBBB

徐脈

37 %

78

56

51

22

24

27

10

36 %

79

79

71

29

36

14

21

Page 39: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

ショック・失神例の心電図所見

前期群 (n=18)

kawasaki Medical school

後期群 (n=6)

↑ST in V1-3

Inverted T c ↑QT in V1-3

S1

洞頻脈

↓ST in V4-6

S1Q3T3

RBBB

徐脈

65 %

100

82

82

33

35

53

18

67 %

100

83

83

50

33

33

50

Page 40: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

総 括

kawasaki Medical school

1. 急性肺塞栓症は、術後・カテーテル後、悪性腫瘍での

発生頻度が増加している。

2. 早期診断のためには、病状急変(ショック・失神、呼吸

困難)時に本症を想起し、頸静脈怒張・ⅡP亢進、低

CO2かつ低O2血症に留意すべきである。

3. 心電図では、V1-3のST上昇 → QT延長を伴うT波陰転、

S1、洞頻脈を重視すべきで、ショック・失神例ではこれら

の所見が一層高率であった。

Page 41: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

aVR

aVL

aVF

V1

V2

V3

V4

V5

V6

Page 42: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

aVR

aVL

aVF

V1

V2

V3

V4

V5

V6

安静時 2000.1.7

Page 43: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

肺塞栓症診断のポイント

1. 性差なくあらゆる年齢で発症しうるので、臨床状況の急変時に本症を想起

すること。

2. 長期臥床、術後・カテ後、深部静脈血栓症、心疾患、悪性腫瘍、ステロイド

投与が背景因子

3. 突然の呼吸困難・胸痛、ショック・失神、頸静脈怒張・著明なa波、ⅡP亢進。

4. 低CO2かつ低O2血症、LDH(1, 2)上昇。

5. 心電図ではV1-2のST上昇 → QT延長を伴うT波陰転、S1が高率で、右脚

ブロック・S1Q3T3・肺性Pは低率。

6. 心エコー図で、右室・右房拡大による左室の扁平圧排化、三尖弁閉鎖不全。

7. 胸部レ線では、CTR拡大・肺動脈拡大、肺血管影の減弱。

以上から本症を考え、確定診断は ① 肺血流シンチ ② 肺動脈造影

③ 肺のenhanced CT で行う。

Page 44: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

肺塞栓症治療のポイント 1. 可及的速やかな治療開始

1) 抗凝固療法 ヘパリン 5,000単位を初回静注。

維持量 1.5~2万単位/日×7日。

2) 血栓溶解療法 Ⅰ) tPA 1,800万~2,400万単位を1時間で静注し、翌日、

翌々日にUK後療法を追加。

Ⅱ) UK 72~96万単位を1時間で静注し、翌日1/2量、

翌々日1/4量を2~3時間で静注。

Ⅲ) 肺動脈圧モニター(SGカテ)が重症度・改善度の把

握と血栓溶解薬追加の指標となる。

3) 呼吸循環管理 Ⅰ) O2吸入、気管内挿管

Ⅱ) カテコラミン製剤 → Shock Ⅲ) PGE1、PGI2製剤 Ⅳ) 経皮的心肺補助(PCPS)

4) 経カテーテル的な血栓吸引・破砕

5) 肺動脈血栓摘除術

Page 45: 急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策...急性肺塞栓症の早期診断・治療 およびその予防対策 はせ川内科循環器科 長谷川

予防のポイント

1. 頻回の体位変換、受動的・他動的な下肢の運動

2. 術後・カテ後の早期離床

3. brachial approach によるカテーテル

4. カテサイズを細く(5Fr)し、圧迫止血時間の短縮(5~6時間)

5. high risk 群には、少量ヘパリン(200単位/hr)の持続点滴

6. 再発予防には warfarin を6ヵ月以上継続(INR 1.5~2.0)

7. 反復例・ warfarin 禁忌例には下大静脈フィルター挿入