がんと静脈⾎栓塞栓症gan-yakuyaku.boo.jp/aizawa2015/bangou/kensyu/20180202/...がんと静脈...

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がん と 静脈⾎栓塞栓症 -担癌患者における ビタミンK拮抗薬 DOAC の位置づけ- 宮崎⼤学医学部附属病院 がん診療部 柴⽥ 伸弘 ⽇時︓平成30年2⽉2⽇(⾦曜⽇)19:15〜 場所︓相澤病院 ヤマサホール(⼤) ※本講演内容には論⽂未発表のデータ,本邦での適応外使⽤を含みます 第21回 中信がん薬薬連携勉強会 2018-002 ・はじめに ・がんとVTEの疫学 ・がんとVTEの機序 ・がんとVTEの予測 ・がんとVTEの治療 ・はじめに ・がんとVTEの疫学 ・がんとVTEの機序 ・がんとVTEの予測 ・がんとVTEの治療 がん と 静脈⾎栓塞栓症 -病態とリスク管理から考えるビタミンK拮抗薬DOAC- がんの疫学︓⽇本⼈の罹患・死亡数予測 罹患数予測 ・全体で約100万⼈ ・総合第1位︓⼤腸癌 ・男性第1位︓胃癌 ・⼥性第1位︓乳癌 死亡数予測 ・全体で約38万⼈ ・総合第1位︓肺癌 ・男性第1位︓肺癌 ・⼥性第1位︓⼤腸癌 国⽴がん研究センター がん情報サービス http://ganjoho.jp/ 男性︓4⼈に1⼈ ⼥性︓6⼈に1⼈ がんで死亡 ⽇本⼈の 2⼈に1⼈ が ⽣涯のうち がんに罹患 ⽇本⼈の罹患数予測(2017年) ⽇本⼈の死亡数予測(2017年) 消化管 20% 泌尿器 16% 肝胆膵 12% 呼吸器 9% 造血器 9% その他 34% 2015年 1707例 宮崎⼤学医学部附属病院の5⼤がん 肝臓 92件 46% 膵臓 80件 42% 胆嚢 26件 16% 前⽴腺 126件 45% 腎・腎盂 62件 22% 膀胱 45件 16% その他 45件 16% 148件 42% ⼤腸 110件 31% ⾷道 82件 23% その他 10件 3% 外来使⽤レジメンランキング (全科) 1位 mFOLFOX6+Bev. (⼤腸がん) 2位 FOLFIRI+Bev. (⼤腸がん) 3位 FOLFIRINOX (膵臓がん) 4位 GEM+nab-PTX (膵臓がん) 5位 THP-COP(悪性リンパ腫) 外来使⽤レジメンランキング (全科) 1位 mFOLFOX6+Bev. (⼤腸がん) 2位 FOLFIRI+Bev. (⼤腸がん) 3位 FOLFIRINOX (膵臓がん) 4位 GEM+nab-PTX (膵臓がん) 5位 THP-COP(悪性リンパ腫) 膵臓癌の件数が多い︕

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がん と 静脈⾎栓塞栓症-担癌患者における ビタミンK拮抗薬 と DOAC の位置づけ-

宮崎⼤学医学部附属病院 がん診療部柴⽥ 伸弘

⽇時︓平成30年2⽉2⽇(⾦曜⽇)19:15〜場所︓相澤病院 ヤマサホール(⼤)

※本講演内容には論⽂未発表のデータ,本邦での適応外使⽤を含みます

第21回 中信がん薬薬連携勉強会 2018-002

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

がん と 静脈⾎栓塞栓症-病態とリスク管理から考えるビタミンK拮抗薬とDOAC-

がんの疫学︓⽇本⼈の罹患・死亡数予測

罹患数予測・全体で約100万⼈・総合第1位︓⼤腸癌・男性第1位︓胃癌・⼥性第1位︓乳癌

死亡数予測・全体で約38万⼈・総合第1位︓肺癌・男性第1位︓肺癌・⼥性第1位︓⼤腸癌

国⽴がん研究センター がん情報サービスhttp://ganjoho.jp/

男性︓4⼈に1⼈ ⼥性︓6⼈に1⼈ がんで死亡

⽇本⼈の 2⼈に1⼈ が ⽣涯のうち がんに罹患

⽇本⼈の罹患数予測(2017年)

⽇本⼈の死亡数予測(2017年)

消化管20%

泌尿器16%

肝胆膵12%呼吸器

9%

造血器9%

その他34%

2015年1707例

宮崎⼤学医学部附属病院の5⼤がん

肝臓 92件 46%膵臓 80件 42%胆嚢 26件 16%

前⽴腺 126件 45%腎・腎盂 62件 22%膀胱 45件 16%その他 45件 16%

胃 148件 42%⼤腸 110件 31%⾷道 82件 23%その他 10件 3%

外来使⽤レジメンランキング (全科)

1位 mFOLFOX6+Bev. (⼤腸がん)2位 FOLFIRI+Bev. (⼤腸がん)3位 FOLFIRINOX (膵臓がん)4位 GEM+nab-PTX (膵臓がん)5位 THP-COP(悪性リンパ腫)

外来使⽤レジメンランキング (全科)

1位 mFOLFOX6+Bev. (⼤腸がん)2位 FOLFIRI+Bev. (⼤腸がん)3位 FOLFIRINOX (膵臓がん)4位 GEM+nab-PTX (膵臓がん)5位 THP-COP(悪性リンパ腫)

膵臓癌の件数が多い︕

Strength of risk Risk factorWeak 肥満

エストロゲン補充静脈瘤

Moderate ⾼齢⻑期臥床うっ⾎性⼼不全呼吸不全がん中⼼静脈カテーテル化学療法重篤な感染症

Strong 深部静脈⾎栓症の既往下肢の⿇痺下肢のギプス固定

VTE/DVT予防ガイドライン・リスク因⼦

担癌患者というだけでVTE/DVTリスク因⼦

sLVFU2

2時間

5-FU 持続点滴 2,400 mg/㎡ 48時間

l - LV 200 mg/㎡ 2時間

5-FU 急速静注 400 mg/㎡

Day1 Day2 2週間毎投与

mFOLFOX6

FOLFIRI

CPT-11 150mg/m2 2時間

2時間

5-FU 持続点滴 2,400 mg/㎡ 46時間

l - LV 200 mg/㎡ 2時間

Day1 Day2 2週間毎投与

Day1

l-OHP 85mg/m2 2時間

2時間l - LV 200 mg/㎡ 2時間

5-FU 急速静注 400 mg/㎡

2時間l - LV 200 mg/㎡ 2時間

5-FU 急速静注 400 mg/㎡

5-FU 持続点滴 2,400 mg/㎡ 46時間

2週間毎投与Day2

5-FU 急速静注 400 mg/㎡

5-FU 急速静注 400 mg/㎡

FOLFIRINOX:膵癌

(→165mg/㎡)

FOLFOXIRI:⼤腸癌

2時間

l - LV200 mg/㎡

l-OHP 85mg/m2

CPT-11 180mg/m2

5-FU 持続点滴 48時間2,400 mg/㎡

1.5時間

2時間

(→3,200mg/㎡)

2週間毎投与

ポート留置を要する化学療法が増加︕ ポート留置を要する化学療法が増加︕

Strength of risk Risk factorWeak 肥満

エストロゲン補充静脈瘤

Moderate ⾼齢⻑期臥床うっ⾎性⼼不全呼吸不全がん中⼼静脈カテーテル化学療法重篤な感染症

Strong 深部静脈⾎栓症の既往下肢の⿇痺下肢のギプス固定

VTE/DVT予防ガイドライン・リスク因⼦

担癌患者+⾼齢+中⼼静脈カテーテル+化学療法⾎栓症のリスク↑↑ Lillicrap D. Blood 2013; 122: 1687-1688

Dr. Trousseau

定義︓悪性腫瘍に伴う⾎液凝固亢進によって

広義︓⾎栓塞栓症を⽣じる病態狭義︓脳卒中などを⽣じる病態

治療︓原疾患の治療と抗凝固療法が必要

トルーソー症候群︓Trousseau Syndrome 症例提⽰︓膵癌再発・69歳男性

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

がん と 静脈⾎栓塞栓症-病態とリスク管理から考えるビタミンK拮抗薬とDOAC-

患者数経過観察の期間⾎栓の診断⽅法がん腫とステージ,治療その他,患者因⼦(例︓肥満,⾼齢,など)

VTEの 20-30%が「がん」を危険因⼦とするもの

がん患者のVTE発⽣率について

がん患者の静脈⾎栓症の発⽣率は⼀般/⾮がん患者の4-7倍︕︕

がん患者のVTE発⽣率は研究によって⼤きく異なる

⾮癌患者

担癌患者

Timp JF, et al. Blood 2013; 122: 1712-1723

がん患者のVTE発⽣は年々増加している

Timp JF, et al. Blood 2013; 122: 1712-1723

乳癌・前⽴腺癌

がん腫とVTE発⽣率の関係

⾼リスク膵癌・肺癌・卵巣癌(リンパ腫, ⾻髄腫, 腎癌, 胃癌 etc.)

低リスク

癌腫によって VTEリスク は異なる

Timp JF, et al. Blood 2013; 122: 1712-1723

がんの病期別⾎栓リスク

同じ癌腫でもHigh Stage, 転移あり でVTE増加Timp JF, et al. Blood 2013; 122: 1712-1723

⾎栓症の発⽣は 癌の進⾏後における死亡原因の第2位

VTE・癌 と 死亡リスク

(年齢・性別調整後)

1. がん患者の静脈⾎栓リスクは通常の4-7倍

2. ⾎栓リスク︓がんの原発部位,ステージ,

治療,患者関連因⼦と関係

3. がん患者の⾎栓症の予後は⾮常に悪い

がんとVTE:疫学のまとめ

⾎栓症は 癌の進⾏後における死亡原因の第2位

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

がん と 静脈⾎栓塞栓症-病態とリスク管理から考えるビタミンK拮抗薬とDOAC-

がん患者における⾎栓の発⽣機序

Virchow’s triad: 1. ⾎流の停滞2. ⾎管壁の損傷3. ⾎液成分の変化

がん患者における⾎栓の発⽣機序

Virchow’s triad: 1. ⾎流の停滞2. ⾎管壁の損傷3. ⾎液成分の変化

1.がん細胞の凝固促進活性

2.腫瘍による⾎流の乱れ,うっ⾎

3.がん細胞の浸潤に伴う⾎管内⽪細胞の損傷

4.がん細胞の増殖による組織損傷と炎症反応

5.薬物療法による⾎栓形成傾向

Thrombin

組織因⼦(Tissue Factor; TF)と外因系⾎液凝固

Tissue Factor

細胞膜

組織因⼦ 第7因⼦

Fibrin第10因⼦

Thrombin

組織因⼦(Tissue Factor; TF)と外因系⾎液凝固

Tissue Factor

細胞膜

DOAC組織因⼦ 第7因⼦

Fibrin第10因⼦

組織因⼦(Tissue factor; TF)

Tumor derived-microparticles (T-MP)

がん細胞

shedding

進⾏癌では循環TF+MPが増加して⾎栓形成傾向となるHron G et al. Thromb Haemost 2007; 97: 119-123.

Tesselaar ME, et al. J Thromb Haemost 2007; 5: 520-527.

凝固因⼦と結合し⾎栓形成

Bevacizumabによって⽣じる⾼⾎圧・⾎栓症

⾎管内⽪細胞

VEGFR-2VEGF

COX-2eNOS

PGI-2NO※⾎管拡張,⾎⼩板凝集抑制

Bevはこの経路を阻害するので⾼⾎圧・⾎栓症が増加する

・組織因⼦(TF)とTF-MPの循環はがん患者の⾎栓形成の引き⾦となる→指標はD-dimmer

・薬剤によって⽣じる⾎栓症もあるVEGF︓⾎管内⽪細胞増殖因⼦VEGFR︓⾎管内⽪細胞増殖因⼦受容体

がんとVTE︓がん関連⾎栓症の機序のまとめ

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

がん と 静脈⾎栓塞栓症-病態とリスク管理から考えるビタミンK拮抗薬とDOAC-

悪性腫瘍関連のVTE予測︓D-dimer ≧1.44Khorana VTE リスク評価スコア

リスク因⼦ リスクスコア

原発部位胃癌・膵癌 2肺・リンパ腫・婦⼈科癌膀胱癌・精巣癌 1

化学療法開始時の⾎⼩板数 ≧ 35万 / μL 1

Hb値 または エリスロポイエチンの使⽤ ≦10g / dL 1

化学療法開始前の⽩⾎球数 ≧ 11,000 / μL 1

BMI ≧ 35 1

精度を⾼めた Khorana VTE リスク評価スコアの追加D-dimmer ≧ 1.44 μg / mL 1

⾎中P-セレクチン ≧ 53.1 mg / mL 1

悪性腫瘍関連のVTE予測︓リスクスコア

Inpatients:Most patients with active malignancy with acute illness and reduced mobility(hospitalized patients) should receive pharmacologic prophylaxis throughout hospitalization.

Outpatients:routine pharmacologic prophylaxis is not recommended.

Patients with multiple myeloma treated with thalidomide or lenalidomide and Dexamethasone and/or chemotherapy should receive prophylaxis.

Patients undergoing major surgery should receive prophylaxis, starting before surgeryand continuing for at least 7-10 days.

⽶国臨床腫瘍学会 VTE予防ガイドライン

外来患者︓

ルーチンの予防は推奨しない.

⼊院患者︓

⼊院期間を通じた薬物による予防を推奨.

がんによる⾎栓症の予測︓まとめ

・予測はできてもルーチンの予防は出⾎リスクの観点から勧められない

・がん患者の⾎栓予測因⼦は癌の部位,⽩⾎球数,貧⾎の有無,⾎⼩板数,BMI,D-dimmer など

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

・はじめに・がんとVTEの疫学・がんとVTEの機序・がんとVTEの予測・がんとVTEの治療

がん と 静脈⾎栓塞栓症-病態とリスク管理から考えるビタミンK拮抗薬とDOAC-

がん患者の DVT/PE 治療のASCO2013ガイドライン

がん患者の VKA コントロールPT-INR:2-3 は本当に許容できる ?

急性期・導⼊治療︓ 低分⼦ヘパリン 5-10days (CrCl>30ml/min)

維持療法︓ 低分⼦ヘパリンVKA (⽬標PT-INR 2-3) are acceptable

治療期間︓ 少なくとも6ヶ⽉

Hutten BA, J Clin Oncol. 2000; 18: 3078-83

VKAによるVTE治療とPT-INRの関係:再発率

VKA治療中のVTE︓担癌患者では⾼率に再発

担がん患者(n=261) ⾮がん患者(n=1038)

Hutten BA, J Clin Oncol. 2000; 18: 3078-83

VKAによるVTE治療とPT-INRの関係:⼤出⾎

VKA治療中の⼤出⾎︓担癌患者で多数に⼤出⾎ありINR≦2.0でも出⾎イベントあり

担がん患者(n=264) ⾮がん患者(n=1039)

VKAによるVTE治療

Prandoni P, Blood 2002; 100: 3484-8

治療中の⼤出⾎治療中のVTE再発

Cancer: 12%

No-Cancer: 5%No-Cancer: 7%

Cancer: 21%

担癌患者のVTE治療︓VKAはハイリスク・ローリターン

VKA vs LMWH, DOAC︓VTE再発 メタ解析

Thromb Res 136:582–589, 2015

LMWH vs VKA︓LMWHで有意に再発リスクは低い

DOAC vs VKA︓統計学的有意差はないがDOACで良い傾向

VKA vs LMWH, DOAC︓⼤出⾎イベント メタ解析

Thromb Res 136:582–589, 2015

LMWH vs VKA︓統計学的有意差なし

DOAC vs VKA︓統計学的有意差なし,ただしDOACで良い傾向

VKA vs LMWH, DOAC︓VTE再発と⼤出⾎イベント メタ解析

VKA >> LMWH ≒ DOAC

効果・副作⽤とも VKA より 低分⼦ヘパリン・DOAC が優れる

VKA > LMWH ≒ DOAC

⼤出⾎

VTE再発

Thromb Res 136:582–589, 2015

Hokusai-VTE Cancer試験︓第3相試験

Cancer Associated VTE

N=1050

ダルテパリン(低分⼦ヘパリン)

N=525

エドキサバン(DOAC)N=525観察期間︓

ランダム化より12ヶ⽉間

VTE治療期間︓少なくとも6ヶ⽉以上12ヶ⽉まで

R

試験登録期間2015/11 – 2016/12

⾮劣勢 & 優越性 を検証

主要評価項⽬︓VTE再発+⼤出⾎イベント(%)

副次評価項⽬︓VTE再発(%),⼤出⾎イベント(%)

Gary E. Raskob et al, NEJM, 2017

Hokusai-VTE Cancer試験︓主要評価項⽬

エドキサバン(DOAC)

ダルテパリン(低分⼦ヘパリン)

VTE再発+⼤出⾎イベント(%)

HR 0.97; 95% CI, 0.70-1.36P=0.006 for non-inferiority

ダルテパリン(低分⼦ヘパリン)に対してエドキサバン(DOAC)は⾮劣勢を証明

Days

Gary E. Raskob et al, NEJM, 2017

⼤出⾎(%)

VTE再発(%)

Hokusai-VTE Cancer試験︓副次評価項⽬

エドキサバン

ダルテパリン

エドキサバン

ダルテパリン

VTE再発はエドキサバン群でやや少ない

⼤出⾎はダルテパリン群でやや少ないただし,治療期間はダルテパリン群がやや短い

Gary E. Raskob et al, NEJM, 2017

重篤な出⾎イベントは両群で⼤きな差がない

1

持続5FU

CPT-11

l-OHP

静注5FU

2400

180 150

10

80

400

減量理由

4 7

mg/㎡

mg/㎡

mg/㎡

mg/㎡

36 (サイクル)2400 2400

症例提⽰︓70代⼥性・膵癌化学療法中

G2好中球減少G3好中球減少

末梢神経障害CTCAE:G2, DEB-NTC:G2

肺動脈塞栓症

症例︓経過概要

左肺動脈の主幹から上葉枝・下葉枝右肺動脈下葉枝

下肢に静脈⾎栓あり

【診断】肺動脈塞栓症(PE)深部静脈⾎栓症(VTE)

急性期・導⼊治療︓ 低分⼦ヘパリン 5-10days 未分画ヘパリン (⽇本のVTE/PE GL)

症例︓治療⽅針の検討

維持療法︓ 低分⼦ヘパリンVKA (⽬標PT-INR 2-3)

治療期間︓ 少なくとも6ヶ⽉

今回の治療⽅針

急性期・導⼊治療︓低分⼦ヘパリンは⽇本で保険適応なし→未分画ヘパリンで導⼊(APTTの1.5-2.5倍)で数⽇間管理

維持療法︓エドキサバン(リクシアナⓇ)

治療前後の画像⽐較

これ以後も外来で治療継続中

・担癌患者のVTE治療においてVKAはハイリスク・ローリターン

がん患者のVTEの治療︓まとめ

・Cancer VTEの治療は低分⼦ヘパリンがスタンダード

・DOACは低分⼦ヘパリン・VKAより使⽤が簡便VTE再発・出⾎リスクは同程度

・Hokusai-VTE Cancer試験︓エドキサバンは低分⼦ヘパリンとの直接⽐較で⾮劣勢

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御質問・御意⾒は [email protected] まで