顧客満足のマーケティング. hayashi doshisha business school 3...

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1 H. Hayashi Doshisha Business School 顧客満足のマーケティング It is no longer enough to satisfy customers. You must delight them. Kotler on Marketing 20051111日(金) 同志社大学大学院ビジネス研究科 教授 廣茂 (マーケティング戦略、ブランド戦略)

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Page 1: 顧客満足のマーケティング. Hayashi Doshisha Business School 3 顧客価値は、ブランド価値体系として創造・提供される。顧客価値は、永続して顧客満足を提供することである。鮮度を保つ:

1H. Hayashi Doshisha Business School

顧客満足のマーケティング

It is no longer enough to satisfy customers.You must delight them.

Kotler on Marketing

2005年11月11日(金)

同志社大学大学院ビジネス研究科

教授 林 廣茂

(マーケティング戦略、ブランド戦略)

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2H. Hayashi Doshisha Business School

マーケティングは、企業が顧客価値を創造するNavigatorである。顧客価値は、SICS(Solution, Interaction, Coordination, Situation)の生活価値として製品・サービス、組織・社員を通して提供される。

会社

• リレーションシップ(関係性)サービス、

これがリピート(ロイヤルティ)の源泉である。

• 顧客満足とその継続 生涯価値の最大化を実現す

る関係性(顧客のそばにいる、顧客を尊敬する、顧客満足をモニターする)

社員 お客

会社と社員の一体感(目的、やる気、生きがい) 価値の形成、伝達、配送、実現

永続するInteractive Marketing

永続するExternal Marketing

永続するInternal Marketing

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3H. Hayashi Doshisha Business School

顧客価値は、ブランド価値体系として創造・提供される。顧客価値は、永続して顧客満足を提供することである。

鮮度を保つ: レクサスは、いつも何か新しいコト、魅力あるコトを創造・提供している。

顧客パラダイムの変化

ニーズやウォンツを理解する

顧客満足を得る

ブランド資産の確立• 知名、アイデンティティ• 差別優位性な連想• 知覚品質• ロイヤルティ

製品・サービス開発

技術属性(特徴)を顧客属性(ニーズ、ウォンツ)

に翻訳する

顧客価値を形成する

自己表現的、心理・情緒的、経験的、

機能的

顧客価値を提供する

マーケティング支援伝達・情報発言

配送実現

たとえば、トヨタの「レクサス」はレクサス・ブランド

の価値体系が人々を魅了し(顧客満足)、リピート

を呼び、しかもクチコミを通して新規顧客を拡大し

続けている。左図のプロセス全体がブランド価値

体系であり、どれ一つが欠けても、「レクサス」とそ

のビジネスは衰退する・・・

顧客価値創造のマーケティング・コンセプト

顧客満足が永続する、循環する

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4H. Hayashi Doshisha Business School

各年の代表的ヒット商品(各トップ2プロダクト・サービス)

単品プロダクト・サービス Category(Generic) Doing&Partic ipation

1992年 エスティモルージュ(落ちにくい口紅) 洋服の青山 長崎オランダ村ハウステンボス

特盛牛丼(吉野家) もつ鍋 ナムコ・ワンダーエッグ(安く楽しめるテーマパーク)

1993年 セービング(ダイエーのPB) Jリーググッズ(元年) セーラームーンR(キャラクター)

ウィンドウズ3.1 低価格マンション(20代ー30代前半) アウトレット(ブランド品の安売りの店)

1994年 ハーゲンブロイ(ダイエー、低価格ビール) 携帯電話(売り切り制でヒット) 上越ウィング(パワーセンター)

ディオ・デ・ラ・ボーダ(低価格ワイン) 家族用32ビットゲーム機(ソニー、セガ) ジョイサウンド(家庭用通信カラオケ)

1995年 ウィンドウズ95 NOMO&NOMOグッズ SMAP(タレント6人組)

オデッセイ(ホンダRV、14万台) マルチメディアパソコン(出荷550万台) -

1996年 ナイキ 携帯電話(PHSを含む)(累計2,154万台) キャナルシティ博多(複合商業施設)

IXY(キャノン) 外債・外貨預金(10兆円) 安室奈美恵(1枚のアルバム300万枚)

1997年 東京三菱銀行の預金 デジタルカメラ もののけ姫

たまごっち ガーデニンググッズ ポケットモンスター(ポケモン)

1998年 スカイマークエアラインズ 消費税分還元セール 横浜(ベイスターズ、ベイサイドマリーナ、横浜高校)

半額ハンバーガー(日本マクドナルド) キャミソール タイタニック

1999年 Iモード(NTTドコモ) 低価格パソコン 福岡ダイエーホークス

ヴィッツ(トヨタ自動車) 婦人服専門店エゴイスト 宇多田ひかる

2000年 平日半額バーガー(日本マクドナルド) ユニクロ(衣料品) スターバックス(コーヒー店)

フラン(明治製菓)、ムースポッキー(江崎グリコ) DVD 御殿場プレミアム・アウトレット

2001年 フィット(本田自動車) メード・イン・チャイナ(Made-in-China) イチロー

アサヒ本生 お茶飲料 東京ディズニーシー

2002年 健康エコナマヨネーズタイプ カメラ付き携帯電話 丸ビル

バウリンガル PDPテレビ サッカーのW杯

2003年 ヘルシア緑茶 デジタル家電 六本木ヒルズ

Edy 駅ナカ 阪神タイガース

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5H. Hayashi Doshisha Business School

消費者(生活者)の変化:「モノ」へのNeedsからSICSの「コト」へのWantsにシフトしている

日経ヒット商品リスト(各年1位から10位東西ヒット商品リストから)

92年から97年 98年から03年(6年間) (6年間)

(1) 単品の商品・サービスの消費(%) 34 34

(2) Category(Generic)の商品・サービスの消費(%) 40 27(-13)

(3) “Doing”と“Sharing”を通してSICSの消費(%) 26 39(+13)

100% 100%(120ヒット商品) (115ヒット商品)

ハイタッチ(イメージ・人気・ファッション)

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6H. Hayashi Doshisha Business School

上記6Mega-Needsはこの12年間余変化していない。しかし、①各Needsの重要度が変り、②Needsの中身が複合化し(あれもこれも欲しい)、③Needsの対象が商品・サービス単品の消費からCategory / Genericへ、そしてモノからコト消費へ(SICS:Solution, Interaction or Relationship, Coordination and Situation)根本

的に変化している。

これらのNeedsにうまくフィットするとその年のヒット商品・サービスとなる。但し、必ずしもヒット商品=長期的

成功商品とは言えない。

ハイテク(マルチメディア)高級・本物

ハイタッチ(イメージ・人気・ファッション)

個人・家族の健康・楽しさ・満足

低価格簡単・便利

新鮮・作りたて天然・自然

ライフ・スタイルのニーズ

社会(国)の価値観(=文化)というMega-Needsは、短期間では変化しない。しかし生活価値Needsの重要度と中身が変化する→価値パラダイムの大きな変化と言える

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7H. Hayashi Doshisha Business School

• ヒット商品=長期的成功商品とは言えないヒット商品が多い。一過性、流行といった瞬間的な人気や社会現象が多い。

• Young AdultsやJuniorsが、「一気に飛びつき、すぐに飽きて捨てる」、まるで幼児とおもちゃの関係のよう

に。

ハイテク(マルチメディア)94・95・96

高級・本物?

ハイタッチ(イメージ・人気・ファッション)93・94・95・96

個人・家族の健康・楽しさ・満足

92・93・94・95・96

低価格簡単・便利92・93・94・95・96

新鮮・作りたて天然・自然

?_

ヒット商品のキー・ベネフィット(1992-1996) --- 単純から複合へ

社会(国)の価値観(=文化)というMega-Needsは、短期間では変化しない。しかし生活価値Needsの重要度と中身が変化する→価値パラダイムの大きな変化と言える

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8H. Hayashi Doshisha Business School

• 驚くべき“Meism”と“Familism” → 社会システムのMeltdownに無関心。

• 何でもハイタッチ(イメージ、人気、ファッション)。• 低価格、簡単、便利(特に2002年)。

• 高級・本場は求めない、天然・自然に無関心。→ あんちょこ型消費?

• 02・03に、やっと大人の消費。

ハイテク(マルチメディア)

00・02・03高級・本物・大人

02・03

ハイタッチ(イメージ・人気・ファッション)97・98・99・00・01

個人・家族の健康・楽しさ・満足

97・98・99・00・01・02・03

低価格簡単・便利

98・01・02・03ハイタッチ(イメージ・人気・ファッション)97・98・99・00・01

新鮮・作りたて、天然・自然

03

ヒット商品のキー・ベネフィット (1997-2003)「所有の消費」から「利用する、参加する&消費」へ

社会(国)の価値観(=文化)というMega-Needsは、短期間では変化しない。しかし生活価値Needsの重要度と中身が変化する→価値パラダイムの大きな変化と言える

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9H. Hayashi Doshisha Business School

全てのヒット商品がBrandingしている、という共通性を持つ。しかし短命が多い(永続的な競争優位性の維持ができない)。

① 単品(プロダクトとサービス)へのNeedsは一見不変だが、ランキングの順位が下がっている。ヒット商品が益々小粒化、一過性。2003年は久々に期待・待望型のデジタル家電がヒットした(しかし特定ブランドへのロイ

ヤルティは未定・・・)。永続性があると予測されている。② Category(Generic)ブランド(プロダクトとサービス)へのNeedsが弱くなり、それらの多くは「低価格」が

差別性・優位性である。これらのCategory/Genericプロダクトとサービスをフィジカル・エビデンスにしてパッケージしたコト(SICS)が求められれている 。

③ コトへの“Doing”と“Sharing”(体験とその共有)。「所有」はできない/しないが、「消費」意欲は旺盛で

ある。

(a) Solution (食べモノ自体=フィジカル・エビデンス、を仲立ちにして家族で楽しくおいしく食べる

コトを求める)(b) Interaction=Relationship (電話機やカメラといったモノ=フィジカルエビデンスを媒介にして、お互いがInteract/Interfaceできるコトを求める)(c) Coordination (複数のモノヤやコトを自分のライフスタイルとCoordinateするコトを求める)(d) Situation (臨場感、目撃感、体験感にひたるコトを求める)

これを“SICS”の生活価値Needs・Wantsと名付ける。RealityとVirtual Realityの混在。

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10H. Hayashi Doshisha Business School

「満足」は、ある商品・サービスにおける

知覚された成果(あるいは結果)と購買者の期待との

比較から生じる。成果が期待を上回ると「喜び」になる。

A < B ・・・不満 ⇒ “失望”

A = B ・・・満足

A > B ・・・満足 ⇒ “喜び”

価値提案、価値提供によって顧客が結果として受ける経験

価値提案、価値提供によって顧客が結果として受ける経験

購買者の経験、情報、マーケターが抱かせる期待など

購買者の経験、情報、マーケターが抱かせる期待など

良いオファーへスイッチ

知覚された成果A

知覚された成果A

購買者の期待B

購買者の期待B

高い顧客ロイヤリティ

高業績をあげる企業・顧客の引き付けと維持・価値連鎖、サプライチェーン

×

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山美和)

の研究発表をベースに変更を加えた。

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11H. Hayashi Doshisha Business School

ニーズとウォンツがスパイラルに充足されて高度な満足と喜びの連鎖が生まれる。

STEP1 「ニーズ」(①)が特定のものに向けられると「ウォンツ」(①)になる。

ニーズ①POPレベル1ニーズ①

POPレベル1

ウォンツ①PODレベル1

顧客の受取価値顧客の受取価値

顧客満足顧客満足

購入

購入

顧客の受取価値顧客の受取価値

∥ベネフィット÷コスト

STEP2 「ニーズ」(①)から生まれた「ウォンツ」(①)は、やがて「ニーズ」(②)になる。STEP3 「ニーズ」(②)から、また新たな「ウォンツ」(②)が生まれる。・このSTEPが繰り返されることで、「ウォンツ」が拡大していく。

顧客の引き付け、新規顧客獲得などにおいて重要

顧客の引き付け、新規顧客獲得などにおいて重要

高い満足度を得て喜んでもらえるかが重要

高い満足度を得て喜んでもらえるかが重要

ニーズ②POPレベル2ニーズ②

POPレベル2ウォンツ②PODレベル2

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山美和)

の研究発表をベースに変更を加えた。

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12H. Hayashi Doshisha Business School

身近な具体例 ~携帯電話~

電話

動画

写真

音楽ダウンロード

PC機能

メモ帳

お財布

TV

e-mail

音声機能 文字・画像機能

出所:DBS学生(遠藤邦彦、

木村優、立石泰輔、荻山美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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13H. Hayashi Doshisha Business School

身近な具体例<インターネット>文字情報 画像・音声

コミュニケーション

双方向性CPU性能PCメモリ

ネットワークスピード

TV電話

買い物

オークション

身近な具体例 ~PC~

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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14H. Hayashi Doshisha Business School

身近な具体例 ~自動車~

移動手段 楽しみ・アミューズメント

空間

安全装備

高性能

顧客仕様

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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15H. Hayashi Doshisha Business School

『自動車』におけるNeedsとWantsの拡大

ドライバーの視点

同乗者の視点

歩行者・他のドライバーの視点

地球的視点

レベルの拡大(向上)

技術の進化・深化

Wants より自分らしい独自性

個客仕様 生産方式

Wants より早く時間軸 高速化

最短経路、渋滞回避エンジン性能カーナビ

Wants より快適に快適性 乗り心地(空調、静寂さ、安定感)

エンターテインメント カーナビ

Wants より安全に安全性 事故回避

事故時生存率

アクティブ・セーフティ

パッシブ・セーフティ

Wants より環境に優しく環境性 燃費向上

排出ガス低減燃費向上排出ガス低減

視点の拡大

Needs 「移動する手段」 「安全で快適な居住空間」+

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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16H. Hayashi Doshisha Business School

身近な事例 ~『自動車』の安全装置~

ムーヴ カムリ セルシオ

EBD付きABS 一部メーカオプション

一部メーカオプション

プリクラッシュセーフティシステム(レーダ方式)

ー ー オプション

レーダクルーズコントロール ー ー オプション

衝撃感知安全システム 標準装備 標準装備 標準装備

トラクションコントロール ー ー 標準装備

VSC(Vehicle Stability Control)

ー ー 標準装備

インテリジェントAFS ー ー 標準装備

衝撃吸収ボディ 標準装備 標準装備 標準装備

エアバッグ 標準装備 標準装備 標準装備

サイドエアバッグ 一部メーカオプション 一部メーカオプション 標準装備

シートベルト(プリテンショナー等)

標準装備 標準装備 標準装備

パワーウィンドウ挟み込み防止

標準装備 標準装備 標準装備

車速感応オートロック ー 標準装備 標準装備

盗難防止システム 標準装備 ー 標準装備

標準装備 標準装備

ブレーキアシスト 標準装備 標準装備

衝突安全装置は標準装備が当たり前に。今後は予防安全に対するWantsが拡大か。

予防安全

当たり前のWantsに

衝突安全

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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17H. Hayashi Doshisha Business School

自動車の安全装置

事例:『自動車』の安全装置『安心で』快適な居住空間に

SICS 心理的、情緒的Solution

衝突安全 予防安全

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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18H. Hayashi Doshisha Business School

身近な事例 ~『自動車』のカーナビゲーション~

安全・安心PAYD保険(走行距離に応じた保険料)

ロードアシスト点検・整備のネット予約

インテリジェンス渋滞情報

ニュース速報、株価、天気予報

アミューズメントぐるなび、ラーメン達人、デートの達人

AUTOLIVEカラオケ、BGM

トヨタ「G-BOOK」の例

地図の代替というニーズから、自分の部屋にいる以上の快適さを実現

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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19H. Hayashi Doshisha Business School

身近な事例 ~自動車のカスタマイズ~

トヨタ「モデリスタ」の例

カラーインテリア

多様化するお客様ひとりひとりのニーズにこたえるモデリスタは、ライトからヘビーまで高い水準で「あなただけの

クルマづくり」のための…

大量生産品ではなく、個人毎のニーズに対応し、自分だけのオリジナル空間の提供

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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20H. Hayashi Doshisha Business School

全体のまとめCSとDelight

• Needs: モノやコトを所有・消費する欲求。顧客の期待することは、その欲求が満たされること(satisfaction)。

• Wants: 所有・消費することは当たり前。それでどんな喜びが得られるか。

喜び=期待以上のSICSが得られる

S: 心理的、情緒的解決

I: 人と人との繋がり

C: ライフスタイルとの一致

S: コトを消費する場所や状況

顧客の期待を超える喜びを常に提供するには、顧客のWantsを理解してWantsを創造していかなくてはならない。

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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21H. Hayashi Doshisha Business School

全体のまとめSICSの意味(再訪)

車の例にSICSを当てはめると・・・

Solution 車を使って家族と過ごす時間を求める

Interaction 車をオリジナルにカスタマイズして仲間と共感を得る

Coordination 自分のライフスタイルをアピールする存在としての車

Situation 移動する道具ではなく、ドライビングというアミューズメントを体験

するオケージョンや場としての車

進化した安全装置・カーナビ・カスタマイズシステムがWANTSを支援

出所:DBS学生(遠藤邦彦、木村優、立石泰輔、荻山

美和)の研究発表をベースに変更を加えた。

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22H. Hayashi Doshisha Business School

顧客の期待

(1)期待の形成

サービス機関ごとに異なる(居酒屋と料亭、旅館とホテル、銀行と郵便局)

サービス・エクスペリエンスに先立つ何らかの内的基準(Internal Standard)を持っている。この内的基準に照らしてService Qualityを判断する。

期待基準は、これまでに受けてきたService Experienceによって大きく影響を受ける。初めてのサービスであれば期待は広告や口コミに基づく。

CS(顧客満足=Perceived Service Qualityに依る) = Perceived ServiceExpected Service

デモグラフィックスによって変わる食べ物・レストランならグルメの人、高収入・高レベルの人

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23H. Hayashi Doshisha Business School

(2) 顧客の期待の各レベル

図表5-1:サービスの期待に関わる要因

個人のニーズ

提供可能と考えるサービス

他のサービス

状況要因限界サービス

Adequate Service

容認範囲

予測サービスPredictedService

サービス組織(金融機関)からの提供サービスについての明示的・非明示的約束。口コミこれまでのサービス・エクスペリエンス

本来受けたいサービス・クオリティ。Service Experienceが累積されると向上する。

不満を感じない程度のサービス。容認できる最低レベルのサービス。 実際に得られると考えるService Quality。(混んで

いる時、暑い時、支払い日など)。

サービスの変動を受け入れる範囲。人によって容認範囲が広まったり、狭まったりする。

希望サービスDesiredService

期待サービス

顧客は各サービス毎にさまざまな期待レベルを持つ。

高級レストラン大衆食堂⇒異なる期待レベル

この範囲内にサービス・パフォーマンスがおさまっていれば、注意を払わない。それを超えると肯定or否定のリアクション

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24H. Hayashi Doshisha Business School

Service QualityとCSの理解Service QualityとCSは相互に関連するが同じではない。コインのように表裏一体である。SQ=あるサービス組織(金融機関)のサービス・デリバリーについて長期的な認識に基づいてくだす評価。

CS=特定のサービス・パフォーマンスに対する短期的かつ情緒的な反応。

図表5-2:期待、顧客満足、知覚されたサービス・クオリティの関連

期待サービス

予測サービス

知覚サービス

希望サービス

限界サービス

知覚サービス:実際のサービス>希望サービス

知覚サービス:容認の範囲内である

満 足 ・喜び

サービス・クオリティ尺度

⇒嬉しい・良い意味でのおどろき(肯定的)

希望サービスから限界サービスまで

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25H. Hayashi Doshisha Business School

(1) 顧客はどのようにしてService Qualityを評価するか。

図表5-3:顧客の不満足につながる7つのQuality Gap(SQは、顧客が抱くService Deliveryに対する全般的な態度である)

顧客が求めているニーズと期待

サービス組織が考える顧客ニーズ

サービス・デザイン/デリバリーの内容への変換

サービス・デザイン/デリバリーの実行

サービス・プロダクトの実行についての顧客の知覚

顧客の期待とサービス・エクスペリエンス

1.知覚ギャップ

2.スタンダード・ギャップ

3.デリバリー・ギャップ

5.知覚ギャップ

7.サービス・ギャップに至る1~6のギャップの最小化が大切

広告や販売にコミュニケーションでのおけるサービス内容の約束

コミュニケーションについての顧客の解釈

6.解釈ギャップ

4.インターナル・コミュニケーション・ギャップ

4.インターナル・コミュニケーション・ギャップ

(顧客はサービス・クオリティを正確に評価できない)

実際のサービス・クオリティが顧客の期待する限界サービスを下回るとき・・・

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26H. Hayashi Doshisha Business School

(2) 5つのQuality判断基準

コアプロダクトの評価の他に、信頼性: サービス組織、Service Experience後に判断する。←Service Qualityの中心有形性: サービス組織の施設、設備、従業員、パンフレットなどのコミュニケーション

用具は、サービスにふさわしいか。反応性: 従業員の迅速さ、Skillsはどうか。確実性: 従業員の知識、礼儀などが信頼できるか。共感性: 顧客への気遣いや顧客ごとの注意 の払いかたはどうか。

他の4基準はService DeliveryProcessに関わる

サービス機関の戦略実践①戦略的コンセプト=顧客本位②トップのコミットメント③高い基準④モニターシステム⑤顧客の苦情処理⑥従業員満足と顧客満足

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27H. Hayashi Doshisha Business School

コラム5-1:金融サービスのQuality評価尺度

SERVQUOL尺度には、5つのクオリティ次元(有形性、信頼性、反応性、確実性、共感性)が含まれる。それぞれ「全くそう思う」から「全くそう思わない」に至る7点尺度で計測される。項目は合計で21項目ある。

SERVQUOLの内容(期待の測定)*注:実際の調査対象者には、インストラクション文が示される。個々の項目には「全くそう思う」=7から「全くそう思わない」=1に至る7点尺度が付けられる。尺度の両端(1と7)だけに「全く・・・」の説明文がある。他の2から6については何も説明は付かない。

有形性(Tangibles)優れた銀行(この部分にはケーブル・テレビ会社、病院、その他のサービス・ビジネスを入れることもできる。以下同じ)ならば、最新の設備を備えている。優れた銀行ならば、物理的な施設は、外見上も魅力的である。優れた銀行ならば、従業員は身なりや態度も洗練されている。優れた銀行ならば、サービスに関連する各種用具(パンフレットや説明書など)は、良く工夫されていて見栄えが良い。

信頼性(Reliability)優れた銀行ならば、特定の期日・時間までに行うと約束したことは、必ずその通りに遂行する。優れた銀行ならば、顧客が何か問題を抱えたときは、心からの関心を持って解決を手助けしてくれる。優れた銀行ならば、最初からサービスをきちんと遂行できる。優れた銀行ならば、約束した時間通りにサービスを供給できる。優れた銀行ならば、これまで記録上の間違いは一度もないことを表明できる。

反応性(Responsiveness)優れた銀行ならば、従業員はいつサービスが行われるか顧客に正確に表明できる。優れた銀行ならば、従業員は顧客に迅速なサービスを供給できる。優れた銀行ならば、従業員はいつでも進んで顧客の手助けを行うことができる。優れた銀行ならば、従業員は忙しさにかまけて顧客の要望に応えられないということはありえない。

確実性(Assurance)優れた銀行ならば、従業員の行動は信頼感を与えるものである。優れた銀行ならば、利用顧客は取引に安心感を持つものである。優れた銀行ならば、従業員は顧客に対してどんなときでも礼儀正しく接する。優れた銀行ならば、従業員は顧客からの質問に答えることのできる十分な知識を持っている。

共感性(Empathy)優れた銀行ならば、顧客にそれぞれ個別の目配りをするものである。優れた銀行ならば、全ての顧客にとって便利な営業時間を採用している。優れた銀行ならば、従業員は顧客に直接の人的な目配りをすることができる。優れた銀行ならば、従業員は顧客毎のさまざまなニーズを理解することができる。

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(3) 失敗から学ぶFishbone diagram パレート分析 (Pareto analysis) あることの80%が20%の原因変数でおこる売上の80%が20%のheavy usersから来る など

図表5-5:因果関係チャート(旅客機の離陸の遅れ)

顧 客

他 の 原 因

施 設 ・ 設 備

資材供給

フ ロ ン ト ス テ ー ジ

バ ッ ク ス テ ー ジ

手 順

情 報

離陸の遅れ

• 乗客の出発ゲート到着の遅れ• チケットカウンター未手続• 持ち込みサイズ・オーバーの手

荷物

機体の出発ゲート到着の遅れ・ 機体の空港到着遅れ・ 他旅客機のゲート使用機体の不具合・故障地上作業車の遅れ

出発ゲート係員が乗客を迅速に処理できない・ 係員の人数不足・ 係員の調練不足・ 係員のモチベーションの低さ・ 係員がゲートに遅れてやってくる操縦室クルーの遅れまたは勤務できない状態客室クルーの遅れまたは勤務できない状態

チェックイン業務の遅れ・ 座席の割り振りが混乱・ 搭乗券に係る混乱乗客の遅れの容認・ 出発準備の中断・ 遅れた乗客への配慮・ 企業の収入への配慮・ ゲートの配置が悪い

機内食の積込みの遅れ飲み物類の積込みの遅れ燃料補給の遅れ

客室清掃の遅れ出発案内の不手際機体バランス・重量情報の遅れ

天候離発着の混雑

設備 人員

手順

手順人員原材料

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CS(顧客満足)<テロリスト>離反するばかりでなく、自身の怒りや不満を誰かれなくいいふらす。マイナスの口コミを広めることに専心する。

<伝道師>理想のClients ⇒ 良い口コミをもたらす。

ROQ= Return of QualityQuality情報システム

購買調査:金融機関でのアンケートトータル・マーケット調査(A&U、Perceptionなど)⇒SERVQUAL Mystery shopping 新規・購買頻度低下、Lapsed Clientへの調査FGI(FGD)従業員のField Report 図表5-6 競争環境と満足 - ロイヤルティ関係

地域電話会社

航空会社

パソコン

自動車

「 人 質 」 「伝道師」

「テロリスト」 「傭兵」 (大金をもらう)

競争の激しい分野

完全に不満足 顧客満足 完全に満 足

高い

低い

ロイ

ヤルテ

非 競 争 分 野

コモディティ化ないし低差別化消費者のこだわりの無さ多くの代替品低いスイッチング・コスト

規制による独占ないし代替品がほとんどない

抜きん出たブランド・エクイティ

高いスイッチング・コスト強力なロイヤルティ・プログラム

専有技術

注: 「 」の呼び名は、顧客を表現したものである。それぞれロイヤルティと満足の点で違いがある。

病院・金融機関

金融機関へのLoyaltyの度合はCSの度合に強く(正に)相関する

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(1)生産性とCS

標準化と質の両立:量(生産性)と質(Quality)とのトレード・オフ。⇒ サービスがCustomizeされることでCSが得られる場合がある。

Service Factory• Airlines, Trucking• Hotels, Resorts & Recreation

Mass Service• Retailing• Retail Banking• Schools• Retail aspects of commercial banking (ATM)

専門性

一般性

カスタム化(個別性)(high labor intensity)

標準化(不特定多数)

(Low labor intensity)

Professional Services• Doctors• Lawyers• Accountants• Architects• Professors

Service Shop• Hospitals• Auto repairs

CSの向上

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(2) セグメンテーションとターゲティング

サービス・オファリングの幅

サービス集中非集中

(多くの人に多様なサービスを)

完全集中(サービスも市場

セグメントも絞り込む)

市場集中

多 い

少ない

狭い 広い

提供セグメントの数

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(3) POPとPODの創造

有形性

信頼性

反応

共感性 確実性

コアコアプロダクトプロダクト

コアプロダクトでPOP金融商品(金利を含む)

補足的サービスでPOD

• 信頼性: 約束を守る、Attentiveness、実行力、正確

• 有形性: 施設、従業員の身なり・態度、各種パンフレット

• 反応性: 時間通り、迅速、積極的、親切

• 確実性: 従業員の行動、取引の確実性、礼儀正しさ、専門知識

• 共感性: 個別の気配り、テーラーメード、便利な営業時間

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第4章:顧客から見たサービス

プロダクト要素場所と時間プロモーションとエデュケーションサービスの価値とそのコスト

プロセス生産性とクオリティ人的要素フィジカル・エビデンス

顧客がサービスを評価する際に用いる3つの異なる属性とは何か。また、これらの属性がサービス・オファリングにどのように関係するかを理解する。無形性などのサービスの諸特性が顧客の評価プロセスを左右する理由を理解する。サービスの購買プロセスを理解する。サービスのコア・プロダクトと補足的なサービス要素の違いを理解する。顧客視点からのサービス・プロセスを表現するフローチャートを理解する。

顧客から見たサービス

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第4章:顧客から見たサービス

1.Service Performanceの評価

図表4-1:プロダクト属性と評価の容易性

大部分の物財大部分のサービス

難しい外科手術

教育サービス

法務サービス

コンピュータ修理

エンターテイメント

ヘアカット

芝用肥料

レストランの食事

食品

自動車

椅子

衣服

探索属性が高い 経験属性が高い 信頼属性が高いSearch attributes Experience attributes Credence attributes

評価が容易評価が困難

さまざまなサービス・タイプ人を対象にするプロセス ⇒ 治療や手術メンタルな刺激を与えるプロセス ⇒ サイコセラピー情報を対象とするプロセス ⇒ 保険、銀行

Serviceは経験属性と信頼属性が大切。

探索属性 (Search attributes)購買する前にプロダクトの特性を理解できる。(物財:衣服、家具、自動車など)

経験属性(Experience attributes)購買前には評価ができない。(観光地、劇や芝居、スポーツ観戦、レストランの食事)

信頼属性(Credence attributes)購買や消費の後ですら、自信を持って評価できない。(医療、大学教育(?)、歯科手術など)

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第4章:顧客から見たサービス

1.Service Performanceの評価

特にServiceのQualityは、① Service performanceの無形性 ゆえに、Quality Controlに対する信頼感が② InputとOutputの変動性 不可欠である。

Intangibility経験属性が高いのだから、Clientに対して体験など(トライアル:体験入院、体験治療)の探索属性を提供する 。Benefitの視覚化(医療の広告) ⇒広告などで、Credit cardのBenefitsを提供する(医師の技術や専門性を伝える)。信頼属性の高いサービス(医療など)の場合は有形のCue(Physical Evidence)を与える。⇒病院の施設、サービス内容、医師の実績、などの信頼の証を示す。

最近は物財のマーケティングで無形の属性を強調する ⇒ “Lexusを買っている人は、単に車を買っているのではない” ⇒ 非常に特別なサービスを提供することで、顧客にプレステージ

とLuxuryを感じてもらう。

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第4章:顧客から見たサービス

医療サービスのSICSベネフィット・価値=QOL

Solution 病気の治癒やコントロールInteraction 病院・医師などとの信頼関係Coordination 自立した毎日を送るSituation (Service-Scape) 病院の外観やサービス様式⇒五感の快適さ

VariabilityとQualityの問題サービス・プロセスへの顧客の関与の度合による⇒ 経験財や信頼財

サービスについての評価は、顧客とサービスの物理的部分(従業員や他の顧客たち)とのインタラクションによって大きく左右される。医療も、医師、看護師などとのインタラクションでそのクオリティ評価が左右される。

物財のクオリティはClientの関与がなくてもよい。

1.Service Performanceの評価

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第4章:顧客から見たサービス

2.Service の購買プロセス一般的なサービス・プロダクト、物は充足。未だ満たされていないニーズはサービスによって充足されようとしている。モノより思い出に残る体験やコト。HH’s SICSで説明できる。

図表4-2:購買プロセス:サービスを選択、利用、評価する顧客の活動

サービスの購入決定は物財よりも複雑である。無形性と変動性があるからである。代替案の評価が難しい。

医療は経験/信頼サービスである。

ニーズの認識

ニーズの認識ニーズの明確化解決方法の探索代替サービス組織の明確化

代替サービス組織の評価文書類のレビュー(例:広告、パンフレット、ウェブ・サイト、など)他の人への相談(例:友人、家族、他の顧客)サービス組織への訪問(例:サービス従業員との対話)

選択されたサービス組織に対するサービスのリクエスト

(または、セルフ・サービスの開始)

サービス・デリバリー

サービス・パフォーマンスの評価

今後の意向

購買前ステージ

サービス・エンカウンター・ステージ

購買後ステージ

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第4章:顧客から見たサービス

2.Service の購買プロセス

(1) Pre-purchase Stage ⇒ 利用決定をする購入・消費に先立ち評価することが困難Intangibility/Variabilty (医療・大学教育など)友人・知人からの情報サービス組織(病院、大学)の評判を探索Qualityの保証を求めるTrialを求める従業員に競合サービスについてたずねる有形のCuesやPhysical evidenceを吟味インターネットを用いて、サービスを比較する

大学、銀行などブランドに対する信頼

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第4章:顧客から見たサービス

2.Service の購買プロセス

(2) Service Encounter Stage ⇒ ServiceのDeliveryが行われる<サービス環境: Service-scape>Service deliveryが行われる環境のスタイルや外観などの有形的特性。(施設や設備、組織の雰囲気<清潔さ、臭いの有無、騒がしさなどの五感に与えるモノやコト>)。他のClientsの存在 ⇒ Service qualityを左右する

<サービス従業員>high – low contact いずれでも何らかのInteractions

Service従業員の訓練など

<サポート・サービス>用具類と設備、すべてのバックステージ・プロセス

(3) Post-purchase StageService qualityとService experienceについて自身の満足、不満足を評価する。受け取ったもの>期待したもの ⇒ 満足度が高くなる。

Front stageInteractive

ExternalInternalBack stage

サービスそのもの、従業員、サービス環境

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第4章:顧客から見たサービス

3.Service Encounter StageでのService Offering 顧客に満足を与えるためにサービス・エクスペリエンスに盛り込まれる要素すべて。

A bundle of core productsとsupplementary service elements = service offering

Core productはどの業界でもコモディティー(差別優位性がつけ辛い)になる。コア・プロダクトのパフォーマンスは「生き死に(やらねば生き残れない= do or die)の問題。⇒ もちろんInnovationsによる新しいcore product開発は必要であるが・・・InnovationsはSupplementary service elementsで起きる。⇒ これが競争力になる場合が多い。やらねば衰退する(do or decline)。成熟産業のClientsにとって差別化や付加価値はSupplementary service elementsのBundleからもたらされる。銀行のATM、長い営業時間、24時間の電話サービス。診療所でも夕方/夜開院が一般的(台湾など)。

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第4章:顧客から見たサービス

3.Service Encounter Stageでの>Service Offering

図表4-4:サービス要素と競争手段

やらねば衰退する

競合者と均衡する

競合者に打ち勝つ

Competitive Points of Difference

Competitive points ofParity

やらねば生き残れないCategory points of parity

Do or decline: Supplementary service elements情報提供注文取り支払請求問題解決

Beat them or Match them: Ditto

4. ClientのService experienceのMapping フローチャート化し、改善点・改良点を発見し、CSを高める手段を講じる。